百醜千拙草

何とかやっています

個人的な話ですみません

2010-04-13 | Weblog
最近、頭痛の発作によく悩まされるのですけど、これまで月に一回あるかないかぐらいだったのが、この論文緊急事態になってから頻度が増して、先の日曜日もあんなに良い天気の日だったのに、頭痛発作で一日中ベッドで寝ていました。前の晩に知り合いの家でパーティーがあって、普段食べない高タンパク高カロリーのものを食べ過ぎたのが原因ではないかと思っています。頭痛発作を誘発しやすくなるので、アルコールは二年ほど前に止めましたし、ここ数ヶ月は殆ど動物性蛋白質を取らないようにしていたのですけど、久しぶりにチーズ料理や肉料理を食べるとおいしいと感じますし、その後、手作りティラミスがでてきた時は、「食べてはいけない、これは毒だ」と叫ぶ理性の声は余りにか弱く、ついついおかわりまでしてしまったのが敗因かと後悔しています。
 私は昔から一人でじっとしているのが好きなので、パーティーとか学会とか、人の集まるところが苦手で、行く前はいつもどんよりしているのです。でも、行くと行ったで、それはそれなりに楽しいし、それでつい度を過ごしてしまうのです。そういう場では、結局、普段は寡黙で余りしゃべらないのに、ついついおしゃべりが過ぎて、ずっと喋り通しになって、何を飲み食いしたかわからなくなってしまうこともしばしばで、結果、起伏の少ない規則正しい生活を心がけているのに、今回のように、食べ過ぎ、しゃべり過ぎとなって、翌日にそのツケが出たりすることになってしまいます。
 結局、人間というのは本来、社会的な動物で、他人とどうでもよいことでも語り合って、愉快に過ごすということが好きなのだなあ、と思います。「森の生活」で、森の中で一人暮らしをしたソローは、どういう心境だったのだろうと思ったりします。そういえば、ちょっと昔のトムハンクスの映画では、無人島に流れ着いたトムハンクスが、一緒に流れ着いたサッカーボールに目鼻を描いて、ウィルソンという名前をつけ、何かにつけて語りかけていました。筏でウィルソンと一緒に無人島脱出を試み、嵐に遭って、ウィルソンを見失ってしまうトムハンクスが「ウィルソーン!」と叫ぶ場面、最初はギャグかと思いましたが、最近はその気持ちがわからなくなくもありません。
 それで、日曜日は子供のサッカーシーズンが始まったのに見にも行けず、論文で気が焦っているのに仕事も進まず、ということになってしまいました。しかし、休むことも仕事のうちと思って、家族には悪かったですけど、ベッドでじっとしていました。

論文のほうですけど、苦しいところは峠を越えつつあるようです。時間が限られているので、やらねばならないこととやりたいけれどもやれないことがはっきりしてきたし、ストーリーも大体決まってきたので、多少道筋が見えて、気持ちが安定してきました。後、一、二週間ぐらいで読める論文にはなるだろうという感じがあります。投稿後もreviseまたはrejectionの場合の再投稿に備えて、やりたいけれども今回できなかった部分の実験を継続する必要があるので、当分、気は抜けませんけど、トンネルの出口が多少見えているというのは精神衛生上、随分違います。関連したプロジェクトでpactを組んでいたイスラエルのグループに競合相手の状況を伝えたら、彼らはこのプロジェクトからしばらく前に撤退したとのこと。ちょっと一人取り残されたような感じです(もともと、研究というものは個人的な活動ではありますが)。よく言えば、ゴライアスに石つぶてを持って立ち向かうダビデのような心境、悪く言えば野党に転落してから離党者が後をたたない自民党幹事長のような心境です。
 論文のストーリーは、ほぼ決まりはしたのですけど、まだちょっと弱いのです。正確にはメカニズムを明らかにできたわけではありません。結局、競合者とぶつけて、同じ雑誌に投稿して、雑誌側の反応を見る、という強気の策に出ることにしました。雑誌社側が主題に興味があれば、チャンスはあるのではないか、と読みました。その雑誌は基本的には分子生物学雑誌なのですけど、何故か発生生物系の遺伝学研究論文もよく採用されるというちょっと変わった雑誌です。私の論文は基本的にマウス遺伝学的手法を使った発生生物的研究なのですけど、扱っている遺伝子産物が分子生物でここ十年注目を集めている分子群の一つなので、雑誌の興味とは合致していると思います。編集者レビューの関門を越えて一般レビューに回り、そこで何とか引っ掛かれば、私、レビューアの心理を読むのは得意なので、最終的にねじ込むことができるだろうと思っています。今は、それに備えて、実験結果の解釈を確実にしておくための実験を繰り返しているところです。まだまだ気は抜けませんが、気持ち的には随分ストレスは減ってきました。一段落したら、温泉に入っておいしい手打ちそばを食べたいなあ、などと思っています。
コメント (1)
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