百醜千拙草

何とかやっています

新人

2020-12-18 | Weblog
新しい人が来てくれました。化学エンジニアリングの細胞への応用が専門の工学者の人で優秀な成績で大学院を出ています。細胞工学的な実験をまかせたいと思って、生物学者ではないですけども来てもらうことを決めました。プレゼンテーションなどは得意のようですが、まだ細胞生物学の理解はちょっと不十分に思われます。

生物学研究に工学は不可欠ですが、それは生物学研究のためのツールとして必要という意味で、本来の目的はその先にあります。加えて工学と生物学ではそもそも目的も文化も違います。その辺が少し不安です。希望としては、この二年ほど苦しんできた細胞の化学的リプログラミングのプロジェクトをやってもらうつもりで、彼女のエンジニアのスキルが生かせたらいいなあと思っていますが、エンジニアであることが生物学とコンフリクトを起こすと逆効果になるかもしれません。

また、生物のような複雑でばらつきの大きい系では、実験では大多数のデータが玉虫色です。それをどうにかして解釈できるようにしていく作業というのはしばしば辛いもので、粘り強さが必要です。なので、テストで測られる大学レベルの優秀さと実際の研究に加えて求められる優秀さはちょっと質が違うものだと思います。実際、過去にも学校での成績は優秀なのに実地はだめという人が複数いました。

しかし、一般に、よい大学で優秀な成績をとってきた人と言うのは、自己の能力に挑戦しそれを示したいという欲が強い人が多いと思います。だれでもエゴがありますが、それがよいように仕事に昇華されると、優秀な頭脳をもつハードワーカーという理想の研究者になります。無論、強すぎるエゴは色々な問題のもとにもなるわけですが。

というわけで、うまく個人のエゴをモチベーションへ変換させて、自分のパワーと慣性で自律的に研究が進むように持っていければ最高なわけです。しかし、現実にはそんなことは稀にしか起こりません。幸いなことに大卒で技術補助できてくれた人々が、成長してきて、彼らが並のポスドク以上の働きをしてくれているので、最悪の場合でもなんとかなるのではないかなあ、と思っています。
予想がいい方向に裏切られたら嬉しいです。
コメント
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