とくに低め安定で変わりありませんので、今日はScience magazineのフロントページで目についた記事を淡々と。
Golden Rice。フィリピンでゴールデン ライスの栽培が認可。これはベータカロチンを作るように改変した米で、ビタミンA欠乏による子供の失明を防ぐ目的で開発されたもののようです。ビタミンAが足りないのなら別に足せばいいと思うのですけど、ダメなのですかね?昔の米には色付きの米粒が少数混じっていて、それらはビタミンB強化米だったように思います。ビタミンAも同じようにできないのでしょうか?ゴールデン ライスと聞いて、昔の同僚の間で話題になっていたゴールデン バナナという大人のお店を思い出しました。
臓器移植を受けた人の間では、COVIDワクチン接種にかかわらずコロナに感染する率が高いというデータが出たそうです。一般人と比べてブレークスルー感染の率は82倍だそうです。免疫抑制剤のせいでしょうね。
プリオン病の実験室の研究員がプリオンに罹患して死亡した事件が続き、フランスではプリオン病研究そのものを一時的に凍結。死亡した研究員の家族は研究所を殺人で告訴したそうです。治療法はなく、発症から死亡まで週単位で急激に進行するこの病気は恐怖です。研究所以外なら患者との接触、狂牛病の牛の肉から罹患するのが多いようです。関係ないですけど私はこの十年、牛肉を食べていません。
コロナワクチンには、現在、RNAワクチン、アデノウイルスワクチン、伝統的な不活化ウイルスの三種が使用されていると思います。最近のデータから、ファイザー(BioNtech)とモダーナのRNAワクチンの感染予防効果が高いことがわかりました。ワクチンの予防効果は抗体レベルと相関し、RNAワクチンの抗体産生効果が優良であるとのこと。
太っているからといって不健康であるとは言えないという話。この記事は長いので面白いと思ったところだけ。肥満と代謝的健康さの相関を調べたところ、アメリカ女性では肥満の42%は代謝的には健全、一方イギリス女性では肥満の25%が健康、男性だと、各々、32%、13%となります。アメリカ人は太っていても健康な人が多く、イギリスでは逆に標準体重でも代謝的に不健康な人が多いようです (女性で47%、男性61%で、アメリカでは各々、20%、25%)。不味い食事のせいでしょうか?
コロナに効く薬を見つけるのは困難。すでに認可されている薬は数千種類、バイオロジクスを入れるとその倍はあるわけですが、これらのすでに臨床試験を通ってきた薬がコロナに効けば、数多くの利点があります。こうした研究は積極的におこなわれていますが、多くの知見は実験システム上のアーティファクトである可能性があるという話。Catinonic amphiphillic drugs (CAD)と呼ばれるタイプの薬剤は、培養細胞ではリソゾームのリン脂質の蓄積を起こすことが知られていて、これが、ターゲット分子の阻害と無関係に多くのウイルスの産生を阻害するそうです。これまで、培養細胞でのスクリーニングで有効とされたコロナに効く薬剤の6割がCADの可能性があります。CADがこのメカニズムでウイルス産生を抑えるのは培養細胞だけで、動物で実験するとこうした薬剤は効かないという話。去年、コロナに効くと言われたがダメだった薬、クロロキンがこの手の薬の例です。この教訓から、この記事では「仮説」のない薬剤スクリーニングの落とし穴を強調しています。スクリーニング実験をやったことのある人なら、「仮説なし実験」の泥沼を実感した経験があるのではないでしょうか。うまくいけば、大発見、アッセイシステムをつくって数をやるだけの単純作業なので、つい、こうした実験に手を出しがちですが、実際には当たる確率は低く、当たらないのが普通。その場合にあきらめきれず、アッセイシステムの最適化などの方向に行ってしまうと、底無し沼に落ちてしまいます。仮説を立ててあらかじめ深く考えておくことは、うまく行かない場合にどこで損切りをするかの判断をするためにも重要だと思います。
長くなったので、この辺で。