古本屋でアドラー心理学入門(岸見一郎)という本を見つけたので読んでみました。結局、アドラー心理学とは何かはよくわからなかったのですけど、どうも、いわゆる「成功本」に書いてあるような内容とオーバーラップしているらしいということを感じました。
この手の成功本で、私が感銘を受けたのはマイクロソフト ワードの開発者、リチャード ブロディーの書いた「Getting past OK (日本語訳 - 夢をかなえる一番よい方法」で、私は、この本から自分の人生のあらゆることの責任を自分に求めることの重要性を学びました。これはアドラー心理学においても重要視されている点だと思います。結果を出すことにフォーカスして逆算すればそういう結論に到達します。
加えて、二、三、興味深い記述があったので、ランダムに。
「人が根本的に理想として持っているのは「所属」しているということ、共同体に受け入れられているということである、とアドラー心理学では考えられています。しかし、このことは何もしないでただ受動的に受け入れられるというのではなく、積極的に受け入れてもらうということです(p112)」
人間の悩みは最終的に人間関係に行き着きます。人間が社会的動物ある以上、人間の心理は人間と人間との関係から生まれる心の動きのことなのかも知れません。日本人が定職をもち、高齢になっても働き続けることを尊いと思うのは、働くことによって、共同体への帰属を得やすいからではないだろうかと思います。一方で、働かないということに関する罪悪感情は何とかすべきだと思います。仕事以外での共同体づくりに日本人がもう少し上手くなり、遊んで暮らすことに寛容になれば、社会はより豊かになるのではないだろうかと思います。
「私がアドラー心理学から学んだことは、政治的なスローガンとしてではなく、実質的な意味での民主主義の重要性です。かつてナチスは近代の民主主義憲法の典型であるとされるワイマール憲法のもとで合法的に誕生しました。民主主義はこのように民主的な手続きを経て自殺することができるのです(p182)」
心理学を学ぶことによって、民主主義の重要性を知るということが、この心理学の特徴を表しているように思います。どこかの国に「ナチスの手口に学べ」と言った口と根性の曲がった老人がいましたが、この人は漢字を読むのも難がありました。そう思うと、教育、教養というのは大切だなあと思います。心理学も民主主義も繋がっているわけですから。