PRESIDENT Online(2017.8.3付)に《あなたの地元は大丈夫?「金持ち県民、貧乏県民」ランキング》という記事が出ていた。2016年6月に金融広報中央委員会が発表した「金融リテラシー調査2016年調査結果」に基づくものだ。なお「リテラシー」とは「読解記述力」のこと。PRESIDENT Onlineから記事を抜粋すると、
秋田県民の72.3%は老後の生活費の計画を立てていない……そんな衝撃的な調査結果がでた。実施したのは、金融広報中央委員会(事務局:日本銀行情報サービス局)。18歳から79歳までの全国2万5000人を対象にした「金融リテラシー調査」だ。年代、性別、都道府県分布を人口構成に合わせた大規模調査は世界でも例がなく、海外でも報道されている。
幸せな老後を送るために、金融リテラシーは必須の時代になったと言えよう。調査内容は「老後の生活費について資金計画はあるか」といった、お金についての行動特性や考え方を尋ねる設問が約半分。加えて25の正誤問題も出題された。
こうした正誤問題の正答率と各種アンケート結果を組み合わせると、さらに面白いことがわかった。47位の山梨県ほか「金融リテラシーが低い」と判断された県ほど、金融トラブル経験者の割合が高く、また緊急時に備えた資金を確保している割合が低いのである。
今回、この正答率ランキングに県別の“収入”ランキングを加味することで「金持ち県民、貧乏県民」ランキングを算出した。上位の県ほど、よく稼ぎよく殖やす「お金に心配のない」県だと言えるだろう。
なんと!この「金持ち県民、貧乏県民」ランキングで、奈良県は6位に入った。ベスト5は、福井、静岡、愛知、滋賀、東京の順である。なお正誤問題の正答率だけを取ると、奈良県は堂々の1位!である。記事によると、
正誤問題正答率の全国トップは奈良県。京都が着倒れ文化、大阪が食い倒れ文化とするならば、奈良は「寝倒れ文化」の県と言われる。大仏目当てに押しかける観光客を相手にしていれば、苦もなく生活できたからだ。
「しかし、それは旧奈良県人の姿です」と矢野氏(県民性研究家)。近年、大阪のベッドタウン化が進んだことで、奈良県民像に変化が生じているという。「今の奈良県民は、大阪出身の人、大阪に通勤通学する人が多く、彼らは買い物上手です。1年間の収入に対する預貯金の割合も全国4位で、よく貯め込んでいます」
奈良県民は「金持ち県民」であることが判明したが、だからといって安心してはいられない。
日銀の川村氏(「金融リテラシー調査」を担当した日銀・金融知識普及グループ長の川村憲章氏)は、「老後破綻、下流老人化は年収が低い人だけの問題ではない」と注意を呼びかける。「金融リテラシー調査では、50代でも6割以上は老後資金の資金計画を策定していない、住宅ローンを借りている人の3人に1人は定年退職後も支払いを継続している等の課題が明らかになりました。ライフプランを十分考えずに過大な住宅投資を行い、老後資金の確保で苦労する人が多い。『ライフプランの下で、お金の管理や運用を考える』という基本をもっと重視したほうがいい」(川村氏)
自分は金持ち県民だからという過信も命取りだ。経済コラムニストの大江氏は過去13年間、企業のサラリーマン40万人を相手に確定拠出年金を勧めるセミナーを行ってきた。そこで痛感したのは日本人の「自立意識の欠如」だ。「日本人は国や会社がなんとかしてくれると思っている。そこが危ない。セミナーを開いて知識を詰め込んでも、聞いてくるのは結局『何が一番儲かるか教えて』ですから(苦笑)」(大江氏)
ならばどうするか。大江氏が勧めるのは「知識より、実践」だ。もらえる年金額を日本年金機構のHPなどでおおよそ試算する。家計簿は妻任せにせず自分でつける。たったこれだけの手間で「老後足りない金額」が判明する。「はやりの積立投資も確定拠出年金も、少額で始めて、上がった下がったと一喜一憂してみる。実践しないと身に付きません。水泳の本を100冊読んでも、水に入らなかったら泳げるようにならない。それと同じです」(大江氏)
金融リテラシーの底上げは、脱貧乏県民の必要条件。だが知識があっても自ら活かそうとしなくては宝の持ち腐れに。「誰かが何とかしてくれるだろう」という他者依存からの脱却が、一流県民入りのカギと言えそうだ。
確かに金融知識があっても実践しないと身につかない。畳の上の水練ではダメなのだ。人生の三大費用は「子どもの教育費、住宅購入費、老後の生活費」といわれる。よく稼ぎよく殖やし、安心できる老後を迎えたいものである。
秋田県民の72.3%は老後の生活費の計画を立てていない……そんな衝撃的な調査結果がでた。実施したのは、金融広報中央委員会(事務局:日本銀行情報サービス局)。18歳から79歳までの全国2万5000人を対象にした「金融リテラシー調査」だ。年代、性別、都道府県分布を人口構成に合わせた大規模調査は世界でも例がなく、海外でも報道されている。
幸せな老後を送るために、金融リテラシーは必須の時代になったと言えよう。調査内容は「老後の生活費について資金計画はあるか」といった、お金についての行動特性や考え方を尋ねる設問が約半分。加えて25の正誤問題も出題された。
こうした正誤問題の正答率と各種アンケート結果を組み合わせると、さらに面白いことがわかった。47位の山梨県ほか「金融リテラシーが低い」と判断された県ほど、金融トラブル経験者の割合が高く、また緊急時に備えた資金を確保している割合が低いのである。
今回、この正答率ランキングに県別の“収入”ランキングを加味することで「金持ち県民、貧乏県民」ランキングを算出した。上位の県ほど、よく稼ぎよく殖やす「お金に心配のない」県だと言えるだろう。
なんと!この「金持ち県民、貧乏県民」ランキングで、奈良県は6位に入った。ベスト5は、福井、静岡、愛知、滋賀、東京の順である。なお正誤問題の正答率だけを取ると、奈良県は堂々の1位!である。記事によると、
正誤問題正答率の全国トップは奈良県。京都が着倒れ文化、大阪が食い倒れ文化とするならば、奈良は「寝倒れ文化」の県と言われる。大仏目当てに押しかける観光客を相手にしていれば、苦もなく生活できたからだ。
「しかし、それは旧奈良県人の姿です」と矢野氏(県民性研究家)。近年、大阪のベッドタウン化が進んだことで、奈良県民像に変化が生じているという。「今の奈良県民は、大阪出身の人、大阪に通勤通学する人が多く、彼らは買い物上手です。1年間の収入に対する預貯金の割合も全国4位で、よく貯め込んでいます」
奈良県民は「金持ち県民」であることが判明したが、だからといって安心してはいられない。
日銀の川村氏(「金融リテラシー調査」を担当した日銀・金融知識普及グループ長の川村憲章氏)は、「老後破綻、下流老人化は年収が低い人だけの問題ではない」と注意を呼びかける。「金融リテラシー調査では、50代でも6割以上は老後資金の資金計画を策定していない、住宅ローンを借りている人の3人に1人は定年退職後も支払いを継続している等の課題が明らかになりました。ライフプランを十分考えずに過大な住宅投資を行い、老後資金の確保で苦労する人が多い。『ライフプランの下で、お金の管理や運用を考える』という基本をもっと重視したほうがいい」(川村氏)
自分は金持ち県民だからという過信も命取りだ。経済コラムニストの大江氏は過去13年間、企業のサラリーマン40万人を相手に確定拠出年金を勧めるセミナーを行ってきた。そこで痛感したのは日本人の「自立意識の欠如」だ。「日本人は国や会社がなんとかしてくれると思っている。そこが危ない。セミナーを開いて知識を詰め込んでも、聞いてくるのは結局『何が一番儲かるか教えて』ですから(苦笑)」(大江氏)
ならばどうするか。大江氏が勧めるのは「知識より、実践」だ。もらえる年金額を日本年金機構のHPなどでおおよそ試算する。家計簿は妻任せにせず自分でつける。たったこれだけの手間で「老後足りない金額」が判明する。「はやりの積立投資も確定拠出年金も、少額で始めて、上がった下がったと一喜一憂してみる。実践しないと身に付きません。水泳の本を100冊読んでも、水に入らなかったら泳げるようにならない。それと同じです」(大江氏)
金融リテラシーの底上げは、脱貧乏県民の必要条件。だが知識があっても自ら活かそうとしなくては宝の持ち腐れに。「誰かが何とかしてくれるだろう」という他者依存からの脱却が、一流県民入りのカギと言えそうだ。
確かに金融知識があっても実践しないと身につかない。畳の上の水練ではダメなのだ。人生の三大費用は「子どもの教育費、住宅購入費、老後の生活費」といわれる。よく稼ぎよく殖やし、安心できる老後を迎えたいものである。