毎日新聞奈良版に毎週木曜日に連載している「ディスカバー!奈良」、前回(8/10)掲載されたのは「古代築造ロマン楽しむ 奈良市の蛙股池」、執筆されたのは久門たつおさん(奈良市敷島町在住)である。
※トップ写真は蛙股池。周辺には緑豊かな美術館のほか、神社、住宅街、小学校がある
蛙股池は『日本書紀』に出てくる菅原池(大池)だとされ、「現存する日本最古のダム」ともいわれる。降水量の少ない大和盆地にはたくさんのため池があり、「大和八百八池」といわれた(江戸は「八百八町」、大坂は「八百八橋」、京都は「八百八寺」、越後は「八百八後家」!など。八百万と一緒で、数が多いことをいう)。
蛙股(カエルの股)とは奇妙なネーミングだと思われるだろうが、これは古代の寺院建築の部材のことである。『デジタル大辞泉』「蛙股」によると、
この図は『デジタル大辞泉』から拝借した
(蟇股)社寺建築で、梁(はり)や桁(けた)の上に置かれる、輪郭が山形をした部材。構造上必要な支柱であったが、のちには装飾化した。厚い板状のままの板蟇股と、内部をくりぬいて透かせた本蟇股とがある。
「Google Earth」で見ても、まさに蛙股!
航空写真のない時代に蛙股池とは、よく名付けたものだ。今「Google Earth」という文明の利器で見ても、全く蛙股そのものである。では、記事全文を紹介する。
ため池が多い県内でも蛙股(かえるまた)池は、面積8.6㌶と指折りの規模を誇ります。池の形が社寺建築の部材の一つ、蛙(蟇)股に似ていることから名付けられました。丘陵の谷に造られたダム型の池で、日本書紀にある607(推古天皇15)年、大和に築造された四つの池のうちの菅原池とする見解が有力です。
菅原道真もまつる菖蒲池(あやめいけ)神社
堰の高さが15㍍を超えるものがダムとの定義がありますが、奈良市によると、蛙股池は場所により14㍍とも16㍍ともされ、ダムと言えるかは微妙ですが、「現存する日本最古のダム」とも呼ばれます。ほとりには、築造時に池守護のため創建されたという菖蒲(あやめ)池神社が鎮座。近くには大和文華館や中野美術館もあり、美術鑑賞とともに池の景観や古代築造ロマン、若草山や春日山の遠望を楽しむのも一興です。
【メモ】蛙股池へは近鉄菖蒲池駅から南へ徒歩約5分。大和文華館、中野美術館へは近鉄学園前駅から南東へ徒歩約10分。(奈良まほろばソムリエの会 久門たつお)
高級住宅地のど真ん中にこんな大きな古代のため池が残されているところが、すごい。大和文華館や中野美術館を訪ねていただき、この池の景観をお楽しみいただきたい。久門さん、いいお話をありがとうございました!
※トップ写真は蛙股池。周辺には緑豊かな美術館のほか、神社、住宅街、小学校がある
蛙股池は『日本書紀』に出てくる菅原池(大池)だとされ、「現存する日本最古のダム」ともいわれる。降水量の少ない大和盆地にはたくさんのため池があり、「大和八百八池」といわれた(江戸は「八百八町」、大坂は「八百八橋」、京都は「八百八寺」、越後は「八百八後家」!など。八百万と一緒で、数が多いことをいう)。
蛙股(カエルの股)とは奇妙なネーミングだと思われるだろうが、これは古代の寺院建築の部材のことである。『デジタル大辞泉』「蛙股」によると、
この図は『デジタル大辞泉』から拝借した
(蟇股)社寺建築で、梁(はり)や桁(けた)の上に置かれる、輪郭が山形をした部材。構造上必要な支柱であったが、のちには装飾化した。厚い板状のままの板蟇股と、内部をくりぬいて透かせた本蟇股とがある。
「Google Earth」で見ても、まさに蛙股!
航空写真のない時代に蛙股池とは、よく名付けたものだ。今「Google Earth」という文明の利器で見ても、全く蛙股そのものである。では、記事全文を紹介する。
ため池が多い県内でも蛙股(かえるまた)池は、面積8.6㌶と指折りの規模を誇ります。池の形が社寺建築の部材の一つ、蛙(蟇)股に似ていることから名付けられました。丘陵の谷に造られたダム型の池で、日本書紀にある607(推古天皇15)年、大和に築造された四つの池のうちの菅原池とする見解が有力です。
菅原道真もまつる菖蒲池(あやめいけ)神社
堰の高さが15㍍を超えるものがダムとの定義がありますが、奈良市によると、蛙股池は場所により14㍍とも16㍍ともされ、ダムと言えるかは微妙ですが、「現存する日本最古のダム」とも呼ばれます。ほとりには、築造時に池守護のため創建されたという菖蒲(あやめ)池神社が鎮座。近くには大和文華館や中野美術館もあり、美術鑑賞とともに池の景観や古代築造ロマン、若草山や春日山の遠望を楽しむのも一興です。
【メモ】蛙股池へは近鉄菖蒲池駅から南へ徒歩約5分。大和文華館、中野美術館へは近鉄学園前駅から南東へ徒歩約10分。(奈良まほろばソムリエの会 久門たつお)
高級住宅地のど真ん中にこんな大きな古代のため池が残されているところが、すごい。大和文華館や中野美術館を訪ねていただき、この池の景観をお楽しみいただきたい。久門さん、いいお話をありがとうございました!