NPO法人「奈良まほろばソムリエの会」は毎週木曜日、毎日新聞奈良版に「ディスカバー!奈良」を連載している。先週(5/10)掲載されたのは「神仙境の名刹 吉野町の龍門寺跡」、執筆されたのは、姫路から来た優等生こと池内力(ちから)さんである。姫路市出身・在住ながら、頻繁に奈良に足を運んで下さっている。龍門寺跡は、「スマイルバスで行くディープな吉野の旅」でお訪ねになったのだろうか。
※トップ写真は龍門寺の下乗石(聖域との結界を示した石標)
龍門といえば「公益財団法人 阪本龍門文庫」が思い浮かぶ。龍門に生まれた阪本猷(さかもと・ゆう)氏が収集された和漢の古典籍を集めたライブラリーである。猷氏のお父上の阪本仙次氏は、吉野の大実業家で吉野銀行頭取だったし、ご親戚の阪本龍兒氏(龍門のご出身)は、長らく南都銀行(吉野銀行など4行が合併してできた銀行)の頭取をお務めになった。
ところで龍門寺である。『日本国語大辞典』の「龍門寺」によると、「奈良県吉野郡吉野町、龍門岳(904メートル)の南側のふもとにあった寺。義淵の創建で、久米仙人が修行したと伝えられる」。『世界大百科事典』の「岡寺」には「(岡寺は)義淵僧正が草壁皇子の岡宮(岡本宮)を天智天皇より授けられて寺としたと伝えられる。(中略)吉野郡にあった竜門寺と共に興福寺別当の兼帯の重要寺院とされてきた」とある。ともに義淵僧正が創建した寺で、西国三十三所の一つである岡寺と並び称される大寺だったのだ。では、池内さんの記事全文を紹介する。

龍門の滝
神仙境の名刹 吉野町の龍門寺跡
龍門寺(りゅうもんじ)は奈良盆地と吉野を隔てる龍門岳の南麓(なんろく)にあり、奈良時代に義淵(ぎえん)僧正が創建したと言われています。平安時代には藤原道長も参詣した名刹(めいさつ)ですが、戦国時代に廃寺になってしまいました。
集落から近畿自然歩道を北に進めば、金剛界四方仏が彫られ、1333(元弘3)年の銘がある下乗石(げじょういし)が迎えてくれます。さらに登ると、県指定史跡である塔跡があり、ほぼ完全な形で礎石が残っています。心礎と隅礎石に円い穴が彫られているのが特徴です。奥には本堂、六角堂、宿坊の跡とされる場所がありますが、谷間なので宮都の寺院とは違う伽藍(がらん)配置だったと考えられています。
途中には龍門の滝があり、江戸時代に訪れた松尾芭蕉は「龍門の花や上戸(じょうご)の土産(つと)にせむ」などの句を残しています。吉野が神仙境とされていたことが実感できる地であり、吉野町森林セラピーも行われています。
【メモ】近鉄大和上市駅からコミュニティバスで「山口」下車、北へ徒歩約15分(奈良まほろばソムリエの会 池内力)。
奈良はミナミが面白い。皆さん、奥深い吉野をぜひお訪ねください!
※トップ写真は龍門寺の下乗石(聖域との結界を示した石標)
龍門といえば「公益財団法人 阪本龍門文庫」が思い浮かぶ。龍門に生まれた阪本猷(さかもと・ゆう)氏が収集された和漢の古典籍を集めたライブラリーである。猷氏のお父上の阪本仙次氏は、吉野の大実業家で吉野銀行頭取だったし、ご親戚の阪本龍兒氏(龍門のご出身)は、長らく南都銀行(吉野銀行など4行が合併してできた銀行)の頭取をお務めになった。
ところで龍門寺である。『日本国語大辞典』の「龍門寺」によると、「奈良県吉野郡吉野町、龍門岳(904メートル)の南側のふもとにあった寺。義淵の創建で、久米仙人が修行したと伝えられる」。『世界大百科事典』の「岡寺」には「(岡寺は)義淵僧正が草壁皇子の岡宮(岡本宮)を天智天皇より授けられて寺としたと伝えられる。(中略)吉野郡にあった竜門寺と共に興福寺別当の兼帯の重要寺院とされてきた」とある。ともに義淵僧正が創建した寺で、西国三十三所の一つである岡寺と並び称される大寺だったのだ。では、池内さんの記事全文を紹介する。

龍門の滝
神仙境の名刹 吉野町の龍門寺跡
龍門寺(りゅうもんじ)は奈良盆地と吉野を隔てる龍門岳の南麓(なんろく)にあり、奈良時代に義淵(ぎえん)僧正が創建したと言われています。平安時代には藤原道長も参詣した名刹(めいさつ)ですが、戦国時代に廃寺になってしまいました。
集落から近畿自然歩道を北に進めば、金剛界四方仏が彫られ、1333(元弘3)年の銘がある下乗石(げじょういし)が迎えてくれます。さらに登ると、県指定史跡である塔跡があり、ほぼ完全な形で礎石が残っています。心礎と隅礎石に円い穴が彫られているのが特徴です。奥には本堂、六角堂、宿坊の跡とされる場所がありますが、谷間なので宮都の寺院とは違う伽藍(がらん)配置だったと考えられています。
途中には龍門の滝があり、江戸時代に訪れた松尾芭蕉は「龍門の花や上戸(じょうご)の土産(つと)にせむ」などの句を残しています。吉野が神仙境とされていたことが実感できる地であり、吉野町森林セラピーも行われています。
【メモ】近鉄大和上市駅からコミュニティバスで「山口」下車、北へ徒歩約15分(奈良まほろばソムリエの会 池内力)。
奈良はミナミが面白い。皆さん、奥深い吉野をぜひお訪ねください!
