tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

ヤバい、徳島県が宿泊者を増やしている!/観光地奈良の勝ち残り戦略(122)

2018年05月08日 | 観光地奈良の勝ち残り戦略
このゴールデンウィーク期間中に、ほぼ同時にこんな2つの観光に関する記事を読んだ。1つは奈良商工会議所の街頭調査(2018年3月発表)に基づく毎日新聞奈良版(5/3付)の《奈良市の外国人観光客 県内宿泊わずか16% 商議所調査「もっと情報発信を」》。外国人観光客はたくさん来ているが、たった16%しか泊まっていないのだ。全文を紹介すると、
※トップ写真は、春日大社桂昌殿で4/16に撮影

奈良市を訪れた外国人観光客の61%が10泊以上の日程を組んで日本を訪れているのに県内での宿泊はわずか16%--という実態が、奈良商工会議所の調査で分かった。前年度の調査でも県内の宿泊割合は14・6%にとどまっており、同会議所の担当者は「外国のガイドブックなどを参照して奈良は泊まらずに楽しめる場所と認識している外国人もいるようだ。もっと奈良の情報発信をすべきだ」と話している。【新宮達】

調査は、観光客の訪問目的や不満などを探り、会員企業にフィードバックするため昨年11~12月の4日間、ボランティアガイドに委託して奈良市の東大寺前で外国人と日本人101人ずつ計202人にインタビューした。外国人については、85%が初来県で、国籍・地域別ではフランスが13人、旅行人数は2人が49%でそれぞれ最も多かった。県に入るための交通手段(複数回答)は、JR59%▽近鉄25%▽貸し切りバス8%--の順だった。

日本での旅行日数を尋ねたところ、10泊以上が61%で最多。以下、不明(11%)▽7泊(9%)▽5泊と9泊(各5%)--と続いた。ところが、県内での宿泊数は1泊が13%、2泊が2%、5泊以上が1%にとどまり、84%が他府県と回答した。県内での宿泊施設の種類はホテルが43%、ペンション・民宿が36%、旅館14%など。日本における宿泊費は1人1泊当たり1万円以上~2万円未満が44%、1万円未満が35%の順だった。

また、県以外の訪問地(複数回答)について聞いたところ、京都府が63件で最多。大阪府33件、東京都21件、広島県13件などと続いた。県内の観光で困った点(複数回答、特になし除く)は「観光地図など外国語の情報が少なかった」(9%)、「Wi-Fiの環境が不十分だった」(7%)などが目立った。

外国人を含めてほぼ同数を対象に16年11~12月に初めて調査を実施。外国人に宿泊地(複数回答)を尋ねたところ、京都(64・6%)、東京(59・8%)、大阪(58・5%)、広島(18・3%)に続き、奈良は14・6%で5番目だった。

厚生労働省によると、県内の旅館とホテルを合わせた客室数(16年度末)は8690室で、大阪の10%、京都の24%に過ぎず、全国最下位だ。同会議所は「少しは結果を想像していたが、やっぱりという感じ。意見交換した留学生からは、母国のサイトなどで宿泊を含む奈良の情報がほとんど出てこないという意見もあり、もっと奈良に泊まってもらう工夫が必要だ」と指摘している。



この写真は、産経新聞のサイトから拝借(外国語ボランティアガイドの松村洋子さんだ!)

うーん。調査をした場所は「東大寺前」とあるから、南大門前の参道なのだろう。ここにはいつもたくさんの外国人観光客が来ている。奈良市ではJR奈良駅前などにホテルが増えているから、最近は泊まってくれているのだろうと高(たか)をくくっていたら、なんとわずか16%、6人に1人程度しか泊まっていないのだ。「おカネを落とさず、ゴミだけ落として帰る」の噂どおりである。

私は電車の中で、よく外国人客に(下手な英語で)話しかける。宿泊場所は、たいてい大阪だという。理由は「関西を周遊するのに便利だから」。あと記事にあるように「母国のサイトなどで宿泊を含む奈良の情報がほとんど出てこない」と、情報発信努力も足りないので、ダブルパンチで効いているのだろう。

その一方で、こんな記事がHP「やまとごころjp」に出ていた。見出しは《【宿泊者数】2018年2月は前年同月比20.7%増の696万人泊、徳島県が人気急上昇》(5/2付)。全文を紹介すると、

観光庁が発表した2018年2月の宿泊旅行統計調査結果によると、全体の延べ宿泊者数は3677万人泊で、前年同月比2.6%増だった。日本人延べ宿泊者数は前年同月比0.9%減となったが、外国人延べ宿泊者数は、前年同月比20.7%増の696万人泊で、2月としては調査開始以来の最高値を記録した。なお、延べ宿泊者全体に占める外国人宿泊者の割合は18.9%になる。



外国人宿泊者の伸びを三大都市圏と地方部の前年同月比で見ると、三大都市圏では17.2%増だったのに対し、地方部は24.5%と引き続き大きく増加している。都道府県別の伸び率では徳島県(7,760人泊)と三重県(29,900人泊)が100%を超える高い数字を示した。

徳島県は2017年の伸びも40%増の9万6870人と四国4県では最も増加率が高かった。三好市大歩危・祖谷地区が人気を牽引しているが、香港や台湾、中国からの旅行客が多いため、春節で宿泊数が伸びたと見られる。



2月の宿泊者数を国籍(出身地)別で見ると、1位が中国、以下台湾、韓国、香港、アメリカとなり、この上位5カ国・地域で全体の76.7%を占めた。伸び率では、中国、ベトナムが大幅増となった。これは、今年の旧正月が2月だったためと見られる。

ちなみに、上位5カ国・地域の旅行者が宿泊する割合が最も多かった都道府県は、中国とアメリカが東京都、韓国が大阪府、香港と台湾は北海道だった。北海道はタイとマレーシアからの訪日客も最も多く宿泊している。




私がなぜこの2つの記事を並べたかというと、奈良県と徳島県は、いつも都道府県別宿泊者数で「ビリ争い」をしているからである。ゴルフでいえば、メーカー(ビリ)とブービー(ビリから2番目)を争っているのである。もう何年も続いている

奈良県は近年の外国人観光客増加のおかげで、ビリにならずにすんでいた。しかしうかうかしているうちに、徳島県が109.1%と倍増しているのだ。ということは奈良県は、ブービーの座からメーカーに転落するかも知れない!これは困った(ずいぶん低次元の話ではあるが)。

私が注目するのは、徳島県三好市の「大歩危(おおぼけ)・祖谷(いや)地区が人気」というくだりである。昨年、知人で上海在住のFさんという若い日本人医師が「tetsudaさん、今の訪日中国人観光客は、リピーターが増えています。なので『あまり中国人観光客が行かないような、かくれ観光スポット』を探しています。奥吉野の秘湯や秘境を売り込むチャンスですよ」とおっしゃっていた。

大歩危や祖谷は、まさにそのようなかくれ観光スポットではないか!Fさんのおっしゃるとおりになった。大仏殿の柱の穴くぐりをしているのはビギナーで、リピーターはかくれスポットを探しているのだ。

徳島県に抜かれると、奈良県はドン尻になる。「屯鶴峯(どんづるぼう)」は県指定天然記念物だが「ドン尻坊」ではシャレにもならない。奈良県は、「脱ワースト!」「せめてドン尻にはならない数の宿泊客を呼ぼう!」というキャンペーンを張ろうではないか!
コメント (4)
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