初詣というほどの目的意識はないままに訪れた乃木神社。
狛犬にしては大きい。
想像上の獅子ではなく、実際にライオンを見たことがある石工の作なのだろう(大正以後なんだから、当たり前か)。
阿吽(あうん)の阿形なら、吽形の獅子像も反対側にあるだろうと見回したが、これ単独だった。
明治天皇に殉じた人を祀った神社だからこその理由があるのかないのか。
獅子は死しに通じるのかも知れない。
これを見たのは、ある人の訃報を受けたあと。
1年ほど前、バスに乗り合わせた時は、大きなカメラをナップザックに入れていて、バード・ウォッチングの帰りだと言っていた。
テニスがすごく上手くて、化学専攻の優秀な研究者で、大手企業の研究所勤務だった人だから、嫉妬の対象にはならずにただ賛嘆の思いで見ていた存在。
十年程前に癌の手術をしたことも、つい最近再発して具合悪くなっていたことも知らなかった。
本日これから彼の葬式にいく用意をする。