



鎌などの道具を持たずに、膝をついたりしゃがんだりして草むしりをする。
うちの田舎では草取りと言うが、関西では草引きと言うし、草むしりと言うのは関東の人だった気がする。
草抜きと言う人はどこ出身の人だったか、私は転々と移住したが、草むしりが一番ふさわしい気がする。
地べたに這いつくばっているようにも見えるはずの格好で草むしりをしていると、地表辺りにはアリばかりではなくいろんな生き物がいるのが分かって興味が尽きない。
歳をとると眼前に起きる虫などの小さな動きを、逐一目で追うようになると読んだことがある。
加齢により集中力が鈍って判断力も鈍っていると常に不安な状態にあり、目の前の変化を自動的にぼんやり追うのではないだろうか。
そのように草むしりをしていると、アリやミミズに気を取られ、いろんな甲(こう)虫を見つけて首を傾げ、走るクモを目で追う。
赤アリをくわえて走り回るクモを見つけて、しばらく手が止まった。
普通の黒いアリはいくらでも歩き回っているのだけれど、見たことのない赤いアリはどういう種類の何なのだろう。
クモに捕まって運ばれている赤アリに、黒いアリが1匹噛み付いているのもこれまた謎だ。
仕事を中断して画像を撮ってから、急いで小さなプラケースを持ってきて赤アリごとクモを捕まえた。
ところが他のことに気を取られて放置したまま次の朝に見たら、2匹とも小さく縮んでしまっていた。
かわいそうなことをしたと思わないではないわけで、これだから、小さい虫は野に置いたまま撮るだけに限る。
もう一つ、草を引き抜いたときに卵と思われるものが転がり出てきた。
これはポケットに入れて持ち帰り、プラケースに入れていたらぺこんと凹みができてしまった。
破ったらクモの子が飛び出すのではないかと期待してハサミで破ってみたら、卵の黄身状のものが出てきた。
もしかしたらニホンカナヘビかニホントカゲの卵なのではないかと思うと、これもまたかわいそうなことをした。
そんなことをして、あっちやりこっちやり撮ったり観察したりネットしたりブログ書いたりしているうちに、何をやったかあまり成果のない1日が終わるという日常。