インスリン注射を日に2回打ってもらっているトイプードルが近所にいる。
糖尿病になり自分で毎日インスリンを打っているという人が得意先にいるけれど、犬も同じなのかと、聞いた時に驚いた。
ついこの前までぬいぐるみみたいだったのに、ここ数年で老け込み、毛も抜けて、ガニ股になり、歩くのがやっとなのだ。
目は全く見えなくなっているそうで、以前は私を見ると吠えていたのに、顔を向けることもなくなり、俯き加減によろよろとやっと歩いている。
リードを付けているのは飼い主の都合だったはずだけれど、目が見えていない今となっては信頼の絆そのもので、リード無しには歩くことすらできないのではないか。
家の中では、ちゃんと室内空間を分かっていて、物には触れる程度でぶつかることもなく動くのだそうだ。
インスリンを打つから水を多く欲しがり、必然的にオシッコの回数が多くて、犬用のオムツをしていても漏れるくらいなんだとか。
「高うつきますわ」と言うので、ついつい「保険は効かないんですか」などとバカなことを聞いてしまったら、「う〜んそんなもん」と首を振った。
数ヶ月前にインスリンのことは聞かされていたので、私は勝手にこの夏は越せないだろうと予想していた。
それで、つい「暑い夏を越せましたねぇ」と言ったら、主人は少し嬉しそうに笑顔を作った。
他の家族が散歩に連れ歩いているのを見たことはなく、家の前で体に石鹸をつけて洗ってやるのも世話一式も、家の主人でもあるこの人がやっているようだ。
人を看る介護犬もいるのに、この犬は飼い主の精一杯の介護を受けながら余生を過ごしている。
この犬を亡くした後のご主人が心配になる、余計なことだけれど。
「シロはがんだったハズ」と言われたこのことばが、「なぜあの時ガンと思ったのか」といつか聞いてみたい。
まだ結婚もしていなかった。
さみしい・・・話も聞き流す抵抗力も必要かもしれません。
ご安全に!
いつもいつも感受性全開でいたら身が持ちません。
心の片隅に少しだけかけらを・・ね。