透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

壮大な自分史

2006-10-18 | A あれこれ

 写真を差し替えた

しばらく前の新聞の文化欄に載った記事。
黒川紀章氏の代表作品のひとつ「中銀カプセルタワー」が取り壊されるかもしれない、と報じている。メタボリズムという建築思想を氏はこのビルで具現化して見せた。これ程までに明確にこの思想を建築化した例を他に私は知らない。

黒川紀章氏の思想は論文になり、あるいはこのビルのように建築として形象化されてきた。氏の場合、建築作品より世に提示してきたキーワード、例えば「共生」の方が一般にはあるいは知られているかもしれない。『けんちく世界をめぐる10の冒険』の中で伊東氏は書くこととデザインすることとは等価だと指摘している。

昨日のブログに黒川氏の著作集全18巻のパンフレットの写真を載せた。建築家で著作がこれだけのボリュームになるというのは凄いことだと思う。今年の3月に出版された『都市革命 ―公有から共有へ―』中央公論新社が100冊目だという。

40年以上にも及ぶ黒川氏の思索を網羅的に収録するという今回の企画、一番嬉しいのは氏自身であろう。

いま、定年後、来し方を振り返り自分史としてまとめることが静かなブームなのだという。この著作集は黒川氏の壮大な「自分史」だ。