■ 昨晩、NHK衛星第2で「第三の男」を観た。第二次世界大戦直後のウィーンが舞台。「光と影」の重厚な都市に繰り広げられるサスペンス。
アメリカ人作家マーティンスがウィーンに訪ねた友人ハリーは交通事故で死亡していた。目撃者の証言が食い違っていて腑に落ちない。友人の死に不信感を抱いた彼は真相を追求してウィーンの闇に入り込んでいく・・・。
煉瓦の壁に映る影、闇に浮かび上がるハリー(オーソン・ウェルズ)の顔。密室代りの大観覧車でのマーティンスとハリーの再会。信じられないほど巨大な地下排水溝での追撃、逃げるハリーと追う警官達。印象的な場面はいくつもあるけれどやはりラストが一番。
ハリーの愛人アンナ・シュミットが葬式のあとパースペクティブな並木道(並木が繰り返しの美学!)を向こうからこちらに早足で歩いてくる。マーティンスが道路脇でアンナを待ち構えている。彼女は彼を一瞥もせずに通り過ぎていく・・・。この映画のラストシーンは何回観てもいい。
もうこんな光と影の芸術作品をつくることが出来る都市は世界中どこにもないだろう・・・。