透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

デザインのルール

2007-02-01 | A あれこれ



 今回はデザインの約束事、ルールについて。 

2種類の卓上カレンダー、デザインが違いますね。最も異なるのは日曜始まりと月曜始まりという点。これは困ります。

昨年のことでした、電話でスケジュールの調整を相手としていました。そのとき私が見ていたのは、偶々月曜始まりのカレンダーでした。しかしそのことに気がつかず、右から2番目だから「金曜日」だと思いました。そう、曜日は位置によって判断しますよね。打ち合わせの約束をしてから、カレンダーのレイアウトに気がついて再び電話をしてトラブルを回避しました。

カレンダーは日曜を左端、土曜日をいちばん右端にレイアウトする、ということをルールとして統一すべきだと思います。週末の土日を右側にレイアウトしたいという気持ちが理解できないわけではありません。その方が仕事のリズムと合っているかもしれません。少なくともどちらかに統一すべきでしょう。

それから、どちらも数字が小さくて読みにくいですね。カレンダーは数字が読みやすいことがデザインの基本的な条件だと思うのですが、小さい数字が意外に多いですね。手前に写っているカレンダーは2月ということが瞬間的には分からないですよね。「2」が隠し絵のように扱われています。これはNG!

デザイナーはカレンダーの「視認性が高いこと」という基本的な条件を無視しているとしか思えません。基本的な条件を犠牲にしても美しければ、「まぁいいか」となるのですが・・・。 

 

「余分なものを排除して、ひたすらシンプルに」カレンダーのデザインはそれが全て、私はそう思います。


 


ディタッチメント

2007-02-01 | A 読書日記



「ディタッチメント」(detachment)  先日とり上げた『「脳」整理法』茂木健一郎/ちくま新書に紹介されているが、耳慣れないことばだ。

単語を分解すると意味が見えてくる。 de tach ment くっついた状態を否定しているのだから「離れた状態」を意味するのだろうとなんとなく分かる。discoverを dis cover と分けるとカバーを取り除く、つまり発見するという意味だろうとなんとなく分かるように・・・。 

「ディタッチメント」はこの本の第6章「自分」を離れて世界を見つめるに出てくる。**たとえば自説について議論する際にも、ディタッチメントを持って、それが自分によって提出されたということを忘れたかのように、公平、かつ客観的に論ずるべきだ。(後略)** 

ディタッチメントな態度は私たちの実務にも必要であろう。例えば建築設計の社内コンペ、みんな自分がかわいいから、自分の案が一番いいと思う。当然だ。そこでディタッチメント! あたかも体外離脱したかのように意識を自分から離して上方へ、そして全ての案を公平に俯瞰する。こういう姿勢が必要なのだ。

「敵を知り己を知らば百戦危うからず」 この場合、自分(の案、能力)を贔屓目(ひいきめ)にみてはいけない。あくまでも公平に客観的にそして冷静に分析する必要があるのだ。

茂木さんはNHKの人気番組「プロフェッショナル」の司会で知られている脳科学者、新書を何冊も出している。いままで手にすることがあまりなかったが、この本によって、「脳は秩序を歓迎する」のではないか、だから秩序をビジュアルに示す「繰り返し」を私(たち)は美しいと感じるのではないか・・・と思いついたことは先日書いた。そしてこの「ディタッチメントな態度」の必要性も知った。

有益な本に出会った。