透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

アルコールな夜のブログ

2007-02-09 | A あれこれ

 アルコールな夜。
 
 しばらくブンガクから遠ざかってしまっていた。以前『雪国』を読んで、川端康成の好色さに驚いた。あの鳥のような鋭い眼で何を観察していたんだろう。もっと好色なブンガクをしようと『眠れる美女』新潮文庫を読んだ。

● 撮った写真の回転を忘れた、マ いっか。

67歳の江口じいさんは「生涯現役」というわけにはいかなかったらしいが、とにかくスケベ。そのじいさんが、宿屋ともいえない秘密の家の二階で、眠っている若い娘と同衾し顔の詳細や体を観察するという、ただそれだけの話。 こんな風にノーベル賞作家の作品について書いたら×かな。

解説で三島由紀夫はこの小説を傑作だと書いている。マ、当然だと思うけど。 **『眠れる美女』は、形式的完成美を保ちつつ、熟れすぎた果実の腐臭に似た芳香を放つデカダンス文学の逸品である。デカダン気取りの大正文学など遠く及ばぬ真の頽廃がこの作品には横溢している。(中略) その執拗綿密な、ネクロフィリー(死体愛好症)的肉体描写は、およそ言語による観念的淫蕩の極致といってよい。(中略) この作品は、これ以上はない閉塞状態をしつこく描くことによって、ついに没道徳的な虚無へ読者を連れだす。(後略)**

ブンガクって難しいな~。 作品は作家の手を離れたら、あとは読者がどう読もうと構わないわけだから、「好色爺さん、女体観察記」と評したっていいわけだ。 三島は「言語による観念的淫蕩の極致」と書いたが・・・。
  
川端ファンの皆さんスンマセン。たぶん高校生のころ、この小説を読んでますよね、傑作だと思いましたか? え、傑作、そうですか・・・、でもその感想ってあの「裸の王様」を見た大人と同じで、子供の正直な感想ではないんじゃありませんか?
アルコールなブログ、この辺でやめとこ。


偶然の一致

2007-02-09 | A 読書日記

『藤森照信の美術館三昧』TOTO出版  日本は美術館列島だと藤森さんは指摘している。確かに美術館の数は多いと思う。この本は全国に点在する多くの美術館のうち27館の探訪記をまとめたもの。以前書店で立ち読みをしたことがあったが、手元にはない。

この本を読んでいた同僚に「U1さんのブログと同じことが書いてありますよ」 と指摘されて、その箇所を確認した。

まず以前とり上げた「安曇野ちひろ美術館」 。  **切妻屋根の形が、後の山の形とピタリ一致していました。偶然かもしれないから、玄関の真正面に立って、眺めてみると、まちがいない。(中略)北アルプス連峰の足元に、山々を背にして建つ建物には、守らなくてはならない暗黙のルールがあるはずで、それをちゃんと自覚し、守っておられる。**   切妻屋根の勾配が後方の山の勾配と一致していることは私も以前とり上げた(下の写真)。このことは館長の松本さんも確か指摘していたと記憶している。



次は先日とり上げた「碌山美術館」 。  美術館南側の外観、碌山の残した言葉、ドアの取っ手、入り口ドア上部のハンガーレール、先日アップしたこれらの写真がこの本にも掲載されている。 本に載っている外部の真正面の写真は、私も撮ったがアップしなかった。藤森さんがこの美術館を訪ねたのは冬だったというから、季節も同じ。

  
● 本に掲載されている写真(左)と私が撮った写真(右)

本の文章をきちんと読んでいたわけでもないし、写真を覚えていたわけでもないのでこれらの一致は偶然だ。ここにとり上げられている美術館で私が訪ねたことがあるのは8館、これは少ない。「群馬県立館林美術館」 や「丸亀市猪熊弦一郎現代美術館」などは機会があれば是非訪ねてみたい。