透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

市民交流センター

2007-02-24 | A あれこれ

 塩尻市の「市民交流センター」のワークショップが開催されました。基本設計段階でのワークショップは今回が最後だそうです。プロポーザルのときからこのプロジェクトに注目しています。今回初めてワークショップに参加してきました。今まで毎月1回、計4回実施されて述べ130人の参加があったそうです。


● 全体模型(手前)と部分模型


● 全体模型 2階の様子


● 太陽のコートと呼ばれている吹き抜け空間 
  部分模型 縮尺1/50


●パワーポイントを使っての計画内容の説明


● 提言などを書いた付箋紙が貼られた平面図 

はじめに設計者の柳沢潤(コンテンポラリーズ一級建築士事務所)さんから設計の内容についての説明がされ、続いて家具の設計担当の小池ひろのさんから家具について基本的な説明がされました。小池さんは時々建築雑誌に登場する方で伊東さんの事務所に在籍していた時は「せんだいメディアテーク」の家具の設計を担当されたとの事です。

今回は3つのグループに分かれて1階、2階、3階の計画について検討し、ハード、ソフトの両面についていろいろな希望や提案を出し合いました。今までのワークショップの資料によるとかなりの提案が基本設計に反映されているようです。

これからの公共施設の設計にはワークショップという手法によって住民が参加することが当たり前になるような気がします。「みんなで考えるみんなの施設」ということですね。

その都度、変更内容を反映した模型や図面、資料をつくるという作業は設計者には大変な負担でしょう。しかし内容を参加者にきちんと理解してもらうためには欠かせない作業、設計者の頑張りどころでしょうね。

プロポーザルのプレゼンテーションも柳沢さんはなかなか明快で分かりやすかったですが、今回の説明も同様でした。

来年度1年かけて実施設計に取り組むとのことです。建築的な特徴は工場生産される壁柱による構造システムと4ヶ所のコートと呼ばれる吹き抜けの空間。そしてインキュベーションリーダーがサポートするというソフト面。今回ワークショップに参加したことで最終的にどんな建築が出来るのかますます楽しみになりました。

実施設計の段階にも内容を検討する機会を設けるようです。関心のある方、参加してみませんか。


繰り返しの美学、その多様性

2007-02-24 | B 繰り返しの美学

 

 昨年の4月に東京で行なわれた赤坂喜顕さんの講演(三協立山アルミ建築フォーラム)を収録した冊子をいただきました(右)。一昨年に行なわれた第一回目の講演も冊子になっています(左)。 講演記録を冊子にするのはサッシメーカーだから、なんてつまらんシャレを書いちゃったりして。

赤坂さんの講演を聴くために東京へ出かけた際、国立近代美術館で藤田嗣治 生誕120年の展覧会を観たのですが、あれからまもなく1年、早いものです。

建築における窓の意味やデザインの多様性について赤坂さんが竹中時代(現在は早大教授)に設計した作品やヨーロッパの初期近代建築を例示しながら講演をしていただきましたが、冊子を読んで改めて内容の濃い講演だったと思いました。



スライド(上の写真)を示して、ストックホルム庁舎の外壁の窓の全体の構成について赤坂さんは次のように解説しています。**上中下で垂直軸が通らず、外れているし、上の小さな窓の数も異なるなど、くずしが見事で、各層が別々のリズムでつくられている印象を受けます。(中略)心地良いいらだちというか、クラシック特有の硬さのない、柔らかさを感じます。(後略)** 

各階の窓の繰り返しがそれぞれ違うことによる、壁全体としての印象を説明しているわけですが、繰り返しもどのレベルに注目するかで、いろんな捉え方があるということが分かります。

「繰り返しの美学、その世界は広く、奥行きは深い」と先のブログに書いたことを繰り返しておきます。


繰り返しの美学

2007-02-24 | B 繰り返しの美学

● **1間ピッチに架けられた大屋根の登り梁が、リズミカルでいいねえ
低く抑えた玄関側下屋のバランスも、絶妙だねえ。** 偶々読んだ「安曇野建築日誌」(おびなたさんのブログ 07/02/05 http://obing.exblog.jp/ )
にこんな文書を見つけた。

「リズミカル」 よく使うことばだ。ではリズムの意味は・・・、「rhythm の訳語で 規則的な繰り返し意味」 ネットで検索して明快な説明を見つけた。 おびなたさんも繰り返しに美を感じているようだ。なんだか嬉しくなった。 ということで今回も繰り返しの美学について。



松本市のMウイング(設計は確か東京の久米設計)のエントランスホールの壁と天井のデザイン、「繰り返しの美学」なのだが、おそらく意図的にリズムを外したのだろう。「幅」を変えている。設計者はこの方が好ましい、美しいと考えたのであろう。

同一の建築構成要素をきっちりと規則的に繰り返す方が、より「繰り返しの美学度」が高いと考えている私だが、「意図的なリズム外し」もありだなと思った。

繰り返しの美学、その世界は広く、奥行きは深い。