本のカバーの色を『日本の傳統色』長崎盛輝(京都書院)で調べた。鶸(ひわ)色が最も近い色だった。
「関屋 空蝉と、逢坂での再会」 「関屋」は短く本文は5ページ。
■ 空蝉はかつて(2帖「帚木」)光君が強引に関係を結んだ人妻。その後、彼女はきっぱり拒否。こうなると恋慕の情を募らせる光君。次の3帖「空蝉」、光君が寝室に忍び込むと彼女は薄衣を脱ぎ捨てて逃げ去っていた・・・。それから12年かな、経ってふたりは逢坂の関で偶然再会というか、すれ違う。
行くと来(く)とせきとめがたき涙をや絶えぬ清水とひとは見るらむ(504頁) わたしの思いなんて光君には届かないだろうという空蝉の嘆き。
やがて老いを重ねた空蝉の夫(伊予丞)は死去。その後・・・、**(前略)河内守(紀伊守)だけが、昔からこの継母に色めいた気持ちを持っていてやさしく振る舞うのだった。**(507頁) 空蝉には継子のあさましい下心が見え見えで厭わしく、またわが身の運命が悲しいものに思われて出家する。藤壺が出家することになった経緯とよく似ている。空蝉は自己抑制が厳しくできる女性だと思う。
本帖の最後の一文は次の通り。空蝉に拒否されて恨めしく思う河内守、**「私を厭わしく思われるあまり、残りのお命もまだ先が長いでしょうに出家なさって、この先どのようにお暮しになるのでしょう」などと言うが、まったくいらぬおせっかいというもの。**(506頁)
わたしにとって今年は『源氏物語』の年。
1桐壺 2帚木 3空蝉 4夕顔 5若紫 6末摘花 7紅葉賀 8花宴 9葵 10賢木
11花散里 12須磨 13明石 14澪標 15蓬生 16関屋 17絵合 18松風 19薄雲 20朝顔
21少女 22玉鬘 23初音 24胡蝶 25蛍 26常夏 27篝火 28野分 29行幸 30藤袴
31真木柱 32梅枝 33藤裏葉 34若菜上 35若菜下 36柏木 37横笛 38鈴虫 39夕霧 40御法
41幻 42匂宮 43紅梅 44竹河 45橋姫 46椎本 47総角 48早蕨 49宿木 50東屋
51浮舟 52蜻蛉 53手習 54夢浮橋