透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「真実一路」山本有三

2020-08-28 | H ぼくはこんな本を読んできた

 山本有三に『波』という小説がある。ぼくはこの小説を中学3年のときに学校の図書館で借りて読んだということを覚えている。内容はすっかり忘れてしまったが、暗い内容だったような気がする。



今、自室の書棚に山本有三の作品では『真実一路』(新潮文庫1994年91刷)がある。

例によってカバー裏面の本作紹介文から引くが、その内容からこの作品も暗い内容であることが分かる。

**父、姉と三人の、一見平和で穏やかな環境に育った義夫少年は、厳格な父になじめず、死んだとされている母が生きていると思い始め、熱烈な思慕を抱くようになる。父は何も話さないが、母は自己に忠実に生きて愛人のもとへ去ったのであり、姉も父の子ではなかったのだった・・・。(後略)**

山本有三の代表作はよく知られた『路傍の石』だろうが、この作品もまたトーンが暗い。今読んでいる畠山健二の『本所おけら長屋』(PHP文庫)のような、落語のように面白い小説(時にほろりとさせられる)も好きだが、ぼくは暗い作品に共感、同調する心の持ち主だ。


 


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