映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

瞳の中の秘密 

2011-02-13 17:25:06 | 映画(洋画 2006年以降主演男性)
09年度米アカデミー賞外国語映画賞を受賞したサスペンスである。
2000年のブエノスアイレス。刑事裁判所を定年退職した主人公が、25年前に担当した殺人事件についての小説を書く。その原稿をもって元上司の女性検事補と再会し、当時の捜査を振り返りながら、殺人事件の裏側に潜む謎に迫るという話である。ストーリーは非常に上手にできている。
ただ、濃淡が少ない。もう少しうまく作れるのではないか?という気がする。


映画は、1974年と2000年のブエノスアイレスを往復する。
74年のアルゼンチンは軍事独裁政権が猛威を振るっていたころである。ブエノスアイレスで一件の強姦殺人事件が起こる。幸せな新婚生活を送っていた銀行員モラレスの妻で23歳の美しい女性教師が、自宅で暴行を受けて殺害された。刑事裁判所の捜査官ことリカルド・ダリンは容疑者の検挙に執念を燃やす。警察が安易に隣人を逮捕して、拷問して自白させる。誤認逮捕であった。
やがて、捜査線上に1人の男が容疑者として浮上する。
時は流れて2000年、刑事裁判所を定年退職した主人公は、25年前の殺人事件を題材に小説を書こうと決意し、久しぶりに彼の元女性の上司イレーネことソレダ・ビジャミルを訪れる。今は検事に昇格している。
原稿を読みながら当時の事件を思い出す。
容疑者の男は死んだ妻の幼なじみで古い写真に写っていた。主人公は部下で友人のパブロと共に、その男の居場所を捜索した。容疑者をつかまえるが、警察に釈放される。しかも、判事の指示を無視して強引な捜査を行ったことで主人公はとがめられる。その1年後、主人公は駅で偶然被害者の夫と再会。彼は毎日駅で容疑者が現れるのを待っていたのを見て驚く主人公であるが。。。。


ストーリー展開は実に見事で、脚本もいいと思う。ラスト30分を切ってからの意外な展開には目が離せなくなる。途中緩慢な部分もあったが、川の流れに流されるがごとく引き込まれていった。
でも何か物足りない。言葉が聞きなれないこともあるのかもしれない。薄味の味付けで、味の濃さがたりない料理のように自分は感じてしまった。作り方によっては、末梢神経にぐいぐい迫るようにつくれたのかもしれない。殺害の現場のシーンはドッキリするようなむごさである。でもそれ以外は薄目だ。音楽もラストにかけて以外は静かだ。正直別の監督につくらせてみたい映画である。

大観衆のサッカースタジアムで犯人を追うシーンが出てくる。10万人は収容できると思われるような大スタジアムでの凄いロケがある。黒澤明の「野良犬」で、超満員の後楽園球場の中、捜査員三船が犯人を追うシーンがある。まさにそれを連想した。このシーンにはさすがサッカーの本場と感じた。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする