映画とライフデザイン

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映画「建築学概論」

2013-11-16 20:18:36 | 映画(韓国映画)
映画「建築学概論」は今年2013年日本公開の韓国映画だ。
題名の響きに魅かれてみてみた。見てみると純愛物語でなかなかいい。

韓国ではかなりヒットしたらしい。それ自体は映画を見てみると、よくわかる。どちらかと言えば、どす黒く末梢神経を強く刺激する作品が韓国映画には多い。それに反して全体的に流れるムードが優しい。つい先日みた「陽だまりの彼女」と共通する部分がある純愛の響きだ。どちらかというと、男性が好むタイプの映画だと思う。

主人公スンミン(オム・テウン)はソウルの建築設計事務所に勤める建築士だ。ある日、事務所に一人の女性が訪問してくる。一瞬誰だか分らなかったが、大学の同窓ソヨン(ハン・ガイン)だった。彼女はチェジュ(済州)島にある自宅の設計をしてほしいと頼んできた。単なる事務所の一所員の自分にはできないと断るが、事務所の所長は受けろと言い、設計依頼を受けることになった。

スンミンは大学一年のことを回想する。
2人は同じ大学だが、学部は違う。一般教養の科目「建築学概論」は音楽学科のソヨン(スジ)も受講することができた。
「建築学概論」の講義では、教授が「自分が住むその街を知ることが重要」と教える。街を歩いて写真を撮りまくれというのだ。建築学科1年のスンミン(イ・ジェフン)は、授業で見かけた音楽科の女子学生ソヨン(スジ)と帰り道が一緒だった。ある時写真をとっている時に偶然出会い、同じ講義を受けているということで会話を交わすようになる。スンミンはソウル育ちでソヨンは済州島の出身だ。しかもスンミンは建築学科だ。ソヨンの方から積極的にレポートを一緒にやらないかと話を持ちかけられた。二人はレポートのために会うようになるが、奥手のスンミンはなかなか恋の道筋をつけることができない。。。

それから15年後に再会して依頼を受け、スンミンは現代的なデザインを提案する。ソヨンはあまりのれない。済州島に行って現地を確認し結局リフォーム工事にすることになる。ソヨンは打ち合わせをするうちに新たな温かい感情が芽生えてくる。しかし、スンミンには同僚の婚約者がいたのだが。。。

その昔、親しかった男と女が時を経て、再会するというパターンは「陽だまりの彼女」と一緒だ。しかも、忘れられない想い出が2人にはある。お互いにそういうハートフルな気持ちを持って会うようになる。「陽だまりの彼女」では2人は結ばれる。でも今回は女には亭主がいて、男には婚約者がいる設定だ。

この映画のポイントは現在の2人よりも大学一年のときに出会った2人の物語だ。
2人の俳優の選択が絶妙だ。特にソヨン役を演じたスジが抜群にいい。強めの化粧が目立つ韓国人美人女性の中では、あっさり系だ。普通の男が一番魅かれるタイプなのかもしれない。こんなかわいい女の子と知り合えたらいいなあと思いながら、韓国の若者たちは見ていただろうし、オヤジたちも自分がそうであったらよかったのになあと思ってみただろう。
スンミンも東山紀之系のしょうゆ顔だ。うぶなしぐさがいい。純愛という響きにあう俳優の起用だ。
この2人は最近見た映画ではベストカップルのような気がする。

現在と過去それぞれのカップルが中心の映画だが、2人に絡む俳優たちの使い方もうまい気がする。
特にスンミンの浪人の親友や母親の使い方は絶妙のうまさだ。浪人の親友に自分の恋を語る。この2人の会話がいかにも青春ぽい。男なら誰しもが経験した青春の1ページではなかろうか?この映画そんなに泣ける映画ではなかったが、スンミンと母親との交情の場面には自然と涙腺が緩くなってきた。それに女性はマザコンと言ってはいけない。基本的に母親は息子に優しいのだ。


ロケハンティングもうまいと感じた。ソウルの古家の選択もうまいし、15年前の2人を映しだすのに良いエリアを選択していると思う。済州島の想い出の場所もいいなあ。小学校が意外にいい感じに見えた。イ・ヨンジュ監督は建築学科出身とのこと。それ自体は映画を見ているとよくわかる。

済州島というと、日本では観光のイメージが強い。ここでリフォームする家は海の目の前で抜群のロケーションにある。海に面して全面開口のスライディングサッシを通じて、きれいに海辺の景色が見渡せる。それぞれの部屋の空間も広がりがある。でも台風の通り道にある済州島で、この家雨漏れしそうだなあ。既存の家との取りあいもうまくいきそうにないし、リビングの上バルコニーの雨仕舞は大丈夫かな?と感じさせる。オーバーフロー時に排水処理どうするのかな?これだけ空間を広げるのに構造大丈夫かな?地震来たらアウトだな。まあそんな心配までする必要ないけど。。

エンディングに向けての処理の仕方はなかなか難しいところだ。
余韻を残したのはよかったと思う。
コメント
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