映画「最後の追跡」は2016年のNetflix映画
「最後の追跡」は日本未公開でNetflixのみ配信である。大ファンのジェフブリッジスが主演というのに映画の存在すら知らなかった。コロナ騒ぎまでNetflix派でなかったことを悔いた。なんとアカデミー賞で4部門(作品、助演男優賞、編集、脚本)でノミネートされているというではないか。アメリカで公開されたとはいえ、一部の公開で実質Netflix映画である。米国の評論家たちの評価は極めて高い。
銀行強盗とそれを追うレンジャーという構図は伝統的題材である。ここでは、テキサスの田舎町を映し、都会に比較すると前近代的にゆったり時間が流れる。まさに古典的な西部劇的要素が強い。ハイテクな要素が少ない。え!何度もこんなに銀行強盗できてしまうの?とまで思ってしまうが、この地方の風土がトランプ大統領を生んだ素地なんだろう。クリス・パインが持つ迫力とベン・フォスターの破茶滅茶な姿は30年前だったらジェフ・ブリッジスが演じたであろうに。そんなことを思いつつ映像を追った。
テキサス西部の田舎町で、開店前のミッドランズ銀行に覆面をかぶった2人組の強盗が入る。周囲には人が少なく、あっという間に逃走し、別のミッドランズ銀行の支店でも同様に強盗に入って現金を強奪する。兄タナー(ベン・フォスター)と弟トビー(クリス・パイン)は母親の借金で実家につけられている銀行抵当を返済により外して、弟が別居している息子に財産を残すのが強盗の目的だ。銀行が抵当権を行使する期限は間近に迫っている。一方で地元レンジャーのマーカス(ジェフブリッジス)とアルベルトは捜査に着手する。
兄は刑務所から出所したばかりで、向こう見ずだ。弟が銀行を下調べして念入りに計画していたのに、弟が食事している時に1人で別の銀行に入り込み、慌ててその場を脱出しようとする。勝手な行動で弟は腹を立てるが、ゲットしたお金はオクラホマのカジノでチップに替える。
マーカスとアルベルトはある支店に来ると読んで銀行前で待機していたが、おそらくは別の支店に狙いをつけるはずだと移動する。そう思ったときに兄弟はポストという町の支店に強盗に入る。しかし、給料日で大勢の顧客が来ていた。今までのようにはいかず、銃を所持している顧客の抵抗を受けた。逃走車を何台もの自警団の車が執拗に追っていくのであるが。。。
小技が効いている脚本である。メキシコとアリゾナ州の国境ラインでの攻防を描いた「ボーダーライン」でも脚本を担当したテイラー・シェリダンはテキサス出身、地元を知り尽くしているのであろう。寂れた町の状況を映し出し、ストーリーと並行して突飛な人物を放つ。ウェイトレスもみんなかわっている。変人だらけで会話がおもしろい。人種差別用語もひんぱんにでてくる。それが映画のレベルを昇華している。
⒈ジェフブリッジス
退任寸前のレンジャーをジェフ・ブリッジスは演じる。相棒は先住民族の男だ。人種差別的発言連発でいつも相棒をからかっていて、性格はいいとはいえない。見ようによってはいやな奴だ。ここでの捜査はヤマカンもいいところ、まったく科学的ではない。追われた兄貴が必死の抵抗をするが、ふと背後から捕らえることを考える。ここだけは老練である。
念願のアカデミー賞主演男優賞に輝く飲んだくれミュージシャンを演じた「クレイジーハート」やコーエン兄弟の巧みな脚本で引き立つ「トゥルーグリット」と比較してもずいぶんと老けて落ち着いてしまったなあという感じだ。でももう少しがんばって!
⒉クリス・パイン
クレジットでは格でジェフ・ブリッジスがトップとなっているが、実質的にはクリス・パインが主演である。ここではかなり躍動的活躍をする。兄貴に町の暴走アンちゃんが絡んできて、それをコテンパンに倒す暴力表現が本気かつワイルドで、やられた役者大丈夫かと思ってしまう。
離婚して家庭破壊になっているんだけど、何としても息子には石油が出るとわかった自己所有の土地を残したい。その思いが強い。抵当権を行使されたらそれができない。母親に不利な条件の融資をして抵当を付けている銀行をあえて狙う。強盗に入る銀行の支店では、いずれも監視カメラの映像がその場に残らないのをわかっている。無鉄砲な兄貴と違って、銀行員にバラのお札のみ出せと言ったり、下調べもした上の慎重な計画を実行していく。でも、慣れないのでスキはできる。途中でウエイトレスに惚れられるシーンがある。このやりとりがお遊びで楽しい。
⒊前提条件に疑問?
いくら田舎のテキサスとはいえ、1950年代のアメリカを舞台にしている訳ではないから、もう少し科学的な捜査をしても良さそうだ。これが現実なんだろうか?被害に遭った銀行は、テキサス州内しか支店がなく、被害額もさほど大きくないのでFBIが出動しないという。
それにしても、被害に入られた銀行に防犯カメラがあるが、すぐさま本部に転送になりすぐ映像を確認できないとか、一つの銀行に強盗が入ったのに別の銀行にすぐさまその事実が通知されないとか、このあたりはそんなことあるの??という感じである。
「最後の追跡」は日本未公開でNetflixのみ配信である。大ファンのジェフブリッジスが主演というのに映画の存在すら知らなかった。コロナ騒ぎまでNetflix派でなかったことを悔いた。なんとアカデミー賞で4部門(作品、助演男優賞、編集、脚本)でノミネートされているというではないか。アメリカで公開されたとはいえ、一部の公開で実質Netflix映画である。米国の評論家たちの評価は極めて高い。
銀行強盗とそれを追うレンジャーという構図は伝統的題材である。ここでは、テキサスの田舎町を映し、都会に比較すると前近代的にゆったり時間が流れる。まさに古典的な西部劇的要素が強い。ハイテクな要素が少ない。え!何度もこんなに銀行強盗できてしまうの?とまで思ってしまうが、この地方の風土がトランプ大統領を生んだ素地なんだろう。クリス・パインが持つ迫力とベン・フォスターの破茶滅茶な姿は30年前だったらジェフ・ブリッジスが演じたであろうに。そんなことを思いつつ映像を追った。
テキサス西部の田舎町で、開店前のミッドランズ銀行に覆面をかぶった2人組の強盗が入る。周囲には人が少なく、あっという間に逃走し、別のミッドランズ銀行の支店でも同様に強盗に入って現金を強奪する。兄タナー(ベン・フォスター)と弟トビー(クリス・パイン)は母親の借金で実家につけられている銀行抵当を返済により外して、弟が別居している息子に財産を残すのが強盗の目的だ。銀行が抵当権を行使する期限は間近に迫っている。一方で地元レンジャーのマーカス(ジェフブリッジス)とアルベルトは捜査に着手する。
兄は刑務所から出所したばかりで、向こう見ずだ。弟が銀行を下調べして念入りに計画していたのに、弟が食事している時に1人で別の銀行に入り込み、慌ててその場を脱出しようとする。勝手な行動で弟は腹を立てるが、ゲットしたお金はオクラホマのカジノでチップに替える。
マーカスとアルベルトはある支店に来ると読んで銀行前で待機していたが、おそらくは別の支店に狙いをつけるはずだと移動する。そう思ったときに兄弟はポストという町の支店に強盗に入る。しかし、給料日で大勢の顧客が来ていた。今までのようにはいかず、銃を所持している顧客の抵抗を受けた。逃走車を何台もの自警団の車が執拗に追っていくのであるが。。。
小技が効いている脚本である。メキシコとアリゾナ州の国境ラインでの攻防を描いた「ボーダーライン」でも脚本を担当したテイラー・シェリダンはテキサス出身、地元を知り尽くしているのであろう。寂れた町の状況を映し出し、ストーリーと並行して突飛な人物を放つ。ウェイトレスもみんなかわっている。変人だらけで会話がおもしろい。人種差別用語もひんぱんにでてくる。それが映画のレベルを昇華している。
⒈ジェフブリッジス
退任寸前のレンジャーをジェフ・ブリッジスは演じる。相棒は先住民族の男だ。人種差別的発言連発でいつも相棒をからかっていて、性格はいいとはいえない。見ようによってはいやな奴だ。ここでの捜査はヤマカンもいいところ、まったく科学的ではない。追われた兄貴が必死の抵抗をするが、ふと背後から捕らえることを考える。ここだけは老練である。
念願のアカデミー賞主演男優賞に輝く飲んだくれミュージシャンを演じた「クレイジーハート」やコーエン兄弟の巧みな脚本で引き立つ「トゥルーグリット」と比較してもずいぶんと老けて落ち着いてしまったなあという感じだ。でももう少しがんばって!
⒉クリス・パイン
クレジットでは格でジェフ・ブリッジスがトップとなっているが、実質的にはクリス・パインが主演である。ここではかなり躍動的活躍をする。兄貴に町の暴走アンちゃんが絡んできて、それをコテンパンに倒す暴力表現が本気かつワイルドで、やられた役者大丈夫かと思ってしまう。
離婚して家庭破壊になっているんだけど、何としても息子には石油が出るとわかった自己所有の土地を残したい。その思いが強い。抵当権を行使されたらそれができない。母親に不利な条件の融資をして抵当を付けている銀行をあえて狙う。強盗に入る銀行の支店では、いずれも監視カメラの映像がその場に残らないのをわかっている。無鉄砲な兄貴と違って、銀行員にバラのお札のみ出せと言ったり、下調べもした上の慎重な計画を実行していく。でも、慣れないのでスキはできる。途中でウエイトレスに惚れられるシーンがある。このやりとりがお遊びで楽しい。
⒊前提条件に疑問?
いくら田舎のテキサスとはいえ、1950年代のアメリカを舞台にしている訳ではないから、もう少し科学的な捜査をしても良さそうだ。これが現実なんだろうか?被害に遭った銀行は、テキサス州内しか支店がなく、被害額もさほど大きくないのでFBIが出動しないという。
それにしても、被害に入られた銀行に防犯カメラがあるが、すぐさま本部に転送になりすぐ映像を確認できないとか、一つの銀行に強盗が入ったのに別の銀行にすぐさまその事実が通知されないとか、このあたりはそんなことあるの??という感じである。