映画「赤い闇 スターリンの冷たい大地で」を映画館で観てきました。
世界恐慌が全世界に猛威を振るっている1933年前後、社会主義国のソ連のみが不景気の影響を受けていないと言われていた。この映画では、英国人ジャーナリスト、ジョーンズがスターリン率いるソ連が繁栄している理由を探りに行ったにもかかわらず、民衆の生活が飢えに苦しんでいるのを目撃し唖然とする姿を描いている。
映画「太陽に灼かれて」などでスターリンの粛清は語られている。ここでは、英国人記者が実際のソ連の飢えに苦しむ姿をみて、それを記事にするべく悪戦苦闘する姿とスターリン体制に買収されたような米国人記者の対比が映画のテーマになっている。
この映画はできる限り大画面で見た方がいい。ジョーンズが向かったウクライナで映し出される雪が激しく降る画面が映像として見どころがある。
1933年、ヒトラーに取材した経験を持つ若き英国人記者ガレス・ジョーンズ(ジェームズ・ノートン)には、大いなる疑問があった。世界恐慌の嵐が吹き荒れるなか、なぜスターリンが統治するソビエト連邦だけが繁栄しているのか。その謎を解くために単身モスクワを訪れたジョーンズは、外国人記者を監視する当局の目をかいくぐり、すべての答えが隠されているウクライナ行きの汽車に乗り込む。やがて凍てつくウクライナの地を踏んだジョーンズが目の当たりにしたのは、想像を絶する悪夢のような光景だった……。(作品情報より引用)
⒈ソ連の偽りの繁栄とウクライナ
1929年10月に始まる米国株価大幅下落を受けて、世界恐慌が始まる。その中で、社会主義計画経済のソ連は1928年にスターリンが第一次5ヶ年計画を発表、重工業化を進めるとともに、集団農場(コルホーズ)による農業の集団化を図った。それにより世界恐慌とは無縁だった。というのが定説であった。でも、実際にはうまくいってなかった。現在の世界史教科書では「政府は集団化に抵抗する多数の農民を逮捕、投獄し、生産物の強制供出を実行した。そのため1932~1933年には農民に多くの餓死者が出たが、集団化はほぼ完了した。」(詳説世界史 山川出版)この映画に準ずる記載がされているが、その昔はこう習っていないかもしれない。
コルホーズを重点的に進めたのがウクライナである。ジョーンズはソ連の経済発展のカギはウクライナにありとの話を聞いて、列車に乗って向かう。ジョーンズの母親はウクライナで生まれていた。同行したソ連の高官をまいて一般車両に乗り込む。どんよりとした雰囲気だった。そこでりんごをかじると、乗客からじろっと見られる。食べ残したりんごが取り合いになるのだ。行先の駅では倒れている人がいる。雪の中、母親の育った家に向かうと、飢えに苦しむ人たちを大勢見かけるのである。ジョーンズはあぜんとする。
⒉ソ連当局に買収される米国人記者
モスクワに到着したジョーンズはニューヨークタイムズのモスクワ支局を訪れる。そこにはピュリツアー賞を受賞したウォルター・デュランティ(ピーター・サースガード)支局長と女性記者エイダ・ブルックス(ヴァネッサ・ガービー)がいた。デュランティはソ連の高官たちや他の記者たちと乱行パーティで遊び呆けている。
ジョーンズは飢えに苦しむウクライナの実情をマスコミに公表しようとするが、デュランティはそういった事実はないとニューヨークタイムズとして発信する。誰もが天下のニューヨークタイムズの発言を信用する。そして、1933年米国とソ連は国交を樹立する。その一方で故郷ウエールズに帰還したジョーンズは虎視眈々とチャンスを狙っていた。そして「市民ケーン」のモデルとして名高い新聞王ハーストと面談するチャンスを得るのだ。
ベルリンの壁が壊され、共産主義国のリーダーであったソ連が崩壊して共産主義というのが妄想となった。日本の左翼系知識人は真っ青である。それ以前からスターリンによる粛清が取りあげられているが、学生運動に狂ったアカ学生はソ連をたたえていた。町でビラを配っている共産党系BBAはこういうのを見てどう思うのか?
「ファシズム」と「共産主義」を研究対象としてきた人々が、当初の期待にまったく反して、この両体制の下における諸条件は、多くの側面において驚くほど似ている事実を次々と発見して、衝撃を受けている。(ハイエク「隷属への道」西山訳 P.28)
ハイエクはピーター・ドラッカーの言葉を引用する。「ファシズムは共産主義が幻想だとあきらかになった後にやってくる段階なのだ。そして、今、ヒットラー直前のドイツでと同様に、スターリン下のソ連において、それは幻想だとわかった。」(同 p.31)
世界恐慌が全世界に猛威を振るっている1933年前後、社会主義国のソ連のみが不景気の影響を受けていないと言われていた。この映画では、英国人ジャーナリスト、ジョーンズがスターリン率いるソ連が繁栄している理由を探りに行ったにもかかわらず、民衆の生活が飢えに苦しんでいるのを目撃し唖然とする姿を描いている。
映画「太陽に灼かれて」などでスターリンの粛清は語られている。ここでは、英国人記者が実際のソ連の飢えに苦しむ姿をみて、それを記事にするべく悪戦苦闘する姿とスターリン体制に買収されたような米国人記者の対比が映画のテーマになっている。
この映画はできる限り大画面で見た方がいい。ジョーンズが向かったウクライナで映し出される雪が激しく降る画面が映像として見どころがある。
1933年、ヒトラーに取材した経験を持つ若き英国人記者ガレス・ジョーンズ(ジェームズ・ノートン)には、大いなる疑問があった。世界恐慌の嵐が吹き荒れるなか、なぜスターリンが統治するソビエト連邦だけが繁栄しているのか。その謎を解くために単身モスクワを訪れたジョーンズは、外国人記者を監視する当局の目をかいくぐり、すべての答えが隠されているウクライナ行きの汽車に乗り込む。やがて凍てつくウクライナの地を踏んだジョーンズが目の当たりにしたのは、想像を絶する悪夢のような光景だった……。(作品情報より引用)
⒈ソ連の偽りの繁栄とウクライナ
1929年10月に始まる米国株価大幅下落を受けて、世界恐慌が始まる。その中で、社会主義計画経済のソ連は1928年にスターリンが第一次5ヶ年計画を発表、重工業化を進めるとともに、集団農場(コルホーズ)による農業の集団化を図った。それにより世界恐慌とは無縁だった。というのが定説であった。でも、実際にはうまくいってなかった。現在の世界史教科書では「政府は集団化に抵抗する多数の農民を逮捕、投獄し、生産物の強制供出を実行した。そのため1932~1933年には農民に多くの餓死者が出たが、集団化はほぼ完了した。」(詳説世界史 山川出版)この映画に準ずる記載がされているが、その昔はこう習っていないかもしれない。
コルホーズを重点的に進めたのがウクライナである。ジョーンズはソ連の経済発展のカギはウクライナにありとの話を聞いて、列車に乗って向かう。ジョーンズの母親はウクライナで生まれていた。同行したソ連の高官をまいて一般車両に乗り込む。どんよりとした雰囲気だった。そこでりんごをかじると、乗客からじろっと見られる。食べ残したりんごが取り合いになるのだ。行先の駅では倒れている人がいる。雪の中、母親の育った家に向かうと、飢えに苦しむ人たちを大勢見かけるのである。ジョーンズはあぜんとする。
⒉ソ連当局に買収される米国人記者
モスクワに到着したジョーンズはニューヨークタイムズのモスクワ支局を訪れる。そこにはピュリツアー賞を受賞したウォルター・デュランティ(ピーター・サースガード)支局長と女性記者エイダ・ブルックス(ヴァネッサ・ガービー)がいた。デュランティはソ連の高官たちや他の記者たちと乱行パーティで遊び呆けている。
ジョーンズは飢えに苦しむウクライナの実情をマスコミに公表しようとするが、デュランティはそういった事実はないとニューヨークタイムズとして発信する。誰もが天下のニューヨークタイムズの発言を信用する。そして、1933年米国とソ連は国交を樹立する。その一方で故郷ウエールズに帰還したジョーンズは虎視眈々とチャンスを狙っていた。そして「市民ケーン」のモデルとして名高い新聞王ハーストと面談するチャンスを得るのだ。
ベルリンの壁が壊され、共産主義国のリーダーであったソ連が崩壊して共産主義というのが妄想となった。日本の左翼系知識人は真っ青である。それ以前からスターリンによる粛清が取りあげられているが、学生運動に狂ったアカ学生はソ連をたたえていた。町でビラを配っている共産党系BBAはこういうのを見てどう思うのか?
「ファシズム」と「共産主義」を研究対象としてきた人々が、当初の期待にまったく反して、この両体制の下における諸条件は、多くの側面において驚くほど似ている事実を次々と発見して、衝撃を受けている。(ハイエク「隷属への道」西山訳 P.28)
ハイエクはピーター・ドラッカーの言葉を引用する。「ファシズムは共産主義が幻想だとあきらかになった後にやってくる段階なのだ。そして、今、ヒットラー直前のドイツでと同様に、スターリン下のソ連において、それは幻想だとわかった。」(同 p.31)