映画とライフデザイン

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フランス映画「ヨシワラ」早川雪洲&田中路子

2019-08-10 06:48:11 | 映画(フランス映画 )


フランス映画「ヨシワラ」を映画館で観てきました。

こんな映画があるなんて知りませんでした。。
1937年フランス公開の映画で、恵比寿GCで古いフランス映画特集の一本として上映。「ヨシワラ」とはもちろん今もソープ街として残る吉原遊郭のことである。早川雪洲と田中路子以外は、出演者はほぼフランス人だけだ。実家の没落でやむなく吉原に身売りせざるを得なかった女とロシア将校との哀しい愛の物語である。


1933年にドイツではヒトラーが政権を握り、1936年にはベルリンで国家の威信をかけたオリンピックが開催され絶頂期だ。翌1937年にはパリで万博が開催されている。ただ、労働者のストライキもあり、必ずしもうまくいっていないようだ。1933年に日本は国際連盟を脱退、1936年に日独防共協定が締結されている。フランスと日本の関係はいいようには思えない。日独合作で早川雪洲も出演する「新しき土」が1937年に公開されている。どういう背景で日本を舞台とするこの映画が製作されたのであろうか。

まず吉原についてフランス語で解説する画面が映る。貧しい家庭の出身者や家が没落して遊郭に売られた者たちがいるところだとする。
明治維新まもないころ、大名だった父親が高利貸しに引っ掛かり破産して切腹する。娘のコハナ(田中路子)は吉原に身売りせざるを得ない。コハナに思いを寄せる車夫のイサム(早川雪洲)は人力車で彼女を吉原まで運び、吉原大門をくぐり娼館に送り出す。コハナはもちろん慣れない。そのころ帝政ロシアの軍艦が寄港する。兵士たちは、吉原で一夜を過ごそうと大はしゃぎである。ロシア将校ポレノフ(ピエール・リチャード=ウィルム)は兵士たちの監督を命じられて同行する。そこでコハナとの運命の出会いをする。

このあと2人の恋愛に元使用人の早川雪洲がからむストーリーが続くのであるが、機密書類の保管をめぐってコハナに嫌疑がもたれるということはわかっても、ちぐはぐで詳細はよくわからない。エロチックできわどいシーンはない。

吉原の大門を開けると、別世界が広がる。日本家屋風の建物が連なっている。格子のある障子とかよく作れたなあ。漢字文字のそれらしい感じの看板もあり、とりあえず日本風のセットにはなっている。娼館のやり手ババアも娼婦もフランス人である。ちょんまげをしているフランス人使用人がいる。日本語のフレーズはしゃべる言葉に出てこない。音楽も欧州風で、オリエンタルなムードは一切ない。奇妙な感じである。


早川雪洲と田中路子いずれもフランス語を話す。早川雪洲はハリウッド俳優だと思ったが、器用に欧州の言葉もこなす。田中路子は細い眉毛が妖気じみている。ここではみんなはゲイシャと呼んでいる。将校にもたれかかる姿は色っぽいが、キスシーンはない。ギターの音色がする三味線を弾きながら、オペラ歌手らしい美声を聞かせる。外人の来訪にあわせて、娼館ではフランス人やり手ババアの指導で一斉にあいさつの練習をしている。アメリカ人には「ハウ・ドゥ・ドゥ」フランス人には「ボン・ソワール」とあいさつの練習をするのがご愛嬌で笑える。

ヨシワラ



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