映画「アナザー・ラウンド」を映画館で観てきました。
「アナザーラウンド」は2021年第93回アカデミー賞の国際長編映画賞を受賞したデンマーク映画である。過去のアカデミー賞でデンマーク映画は、1987年にグルメ映画の傑作「パベットの晩餐会」や翌年の「ペレ」、2011年にも「未来を生きる君たちへ」という受賞作がある。今年も「わたしの叔父さん」という愛情溢れた作品があり、デンマーク映画は気になる存在だ。
しかも、扱っている題材がアルコールと聞き、禁酒続きの自分もこれは観てみようと早速映画館に向かう。主演はデンマークが生んだ国際派俳優のマッツ・ミケルセン、トマス・ヴィンターベア監督との最強コンビというのも気になる。デンマークの原題は「druk」でなんかやばそう。英題の「アナザーラウンド」は町山智浩によると、「もう一杯」という意味だそうだ。
セリフは簡潔である。決して多くはない。悲劇的な場面もそれと匂わせる状況事実を映し出し、説明に頼らない。描写でストーリーを示す高等技術で映画としての質は高い。笑いも常に誘う。でも、巷で絶賛されているほどまでは良いとは自分には思えなかった。
デンマーク、高校の歴史教師のマーティン(マッツ・ミケルセン)は、生徒と保護者たちから授業の進行が支離滅裂で重要科目なのに困ると抗議を受ける。スランプ気味だったのだ。仕事を惰性でやり過ごしていて、妻アニカ(マリア・ボネヴィー)や2人の息子との家庭内の状況も良くなかった。
落ち込むマーティンは、高校の教員仲間に励まされる。そこでノルウェーの哲学者の「血中アルコール濃度を常に0.05%に保つと仕事も私生活もうまくいく」という仮説を知り、4人で実証してみようとするのだ。トイレで一杯引っかけて、授業のやり方をかえると、生徒にも歓迎されて、冷え切った家庭にも変化の兆しが出た。
そんな時、同僚との寄り合いで仲間の3人から血中濃度を上げるくらいもっと飲んでみようと誘われる。自分はやらないよと、その場を立ち去ろうとしたマーティンは一杯だけ試しに飲み始めたら、止まらなくなるのであるが。。。
⒈マッツ・ミケルセン
マッツ・ミケルセンは国際派俳優と持ち上げたが、二枚目俳優ではない。人相は決して良いとはいえない。007シリーズの「カジノロワイアル」での悪役ぶりで全世界に強い印象を残した。顔をみてあいつかと思う人は多いだろう。マッツ・ミケルセンとトマス・ヴィンターベア監督のコンビの前作「偽りなき者」は幼児の偽証言に翻弄される大人を描いた物語で目をふさぎたくなるようなきつい映画だった。ちょっとやるせない話だ。
飲むつもりはないのに、一杯飲んだだけで止まらないというのは自分と同じ。そういう男の「悲しい性(サガ)」を巧みに演じている。ここでは、主人公だけにスポット当てられるというよりも同僚の3人も同じように酒に狂っていく。みんな仲がやけにいい。高校の教師同士って科目を超えてこんなに仲良かったかなあ。
⒉酒に寛容なデンマーク社会
映画ポスターの写真でマッツミケルセンが豪快に飲んでいる後ろに写るのは、卒業した生徒たちである。それも高校のフェアウエル路上パーティだ。初めて知ったんだけど、デンマークでは飲酒は何歳からでもOKだそうだ。ただし、購入できるアルコールが16.5%未満が16歳以上、16.5%以上が18歳以上という制限があるだけのようだ。これもすごいね。
実は、東京オリンピックで世界最強のデンマークハンドボールチームの試合をずっと追いかけていた。信じられないくらい上手い。でも、決勝でフランスに負けた。大番狂わせで驚いた。選手村でヤケ酒飲んだんだろうなあ。
日本は逆にキツくなる一方で、高校生の飲酒に対してかなり強く制限しているだけでなく、20歳前の大学生も飲めない。確かに、以前から20未満禁だけど、もっと世の中も寛容だった。選挙権年齢は下げても、飲酒可能時期は下げない。個人的にはどうかと思う。
確かに、大学のOB会に行った時、晴れて母校の教授になった4期後輩が部長になり、20歳以下の現役部員に飲まさないでくださいと挨拶の際に自分の名前を出していた。そう、自分が社会人1年目の時、新入生の歓迎会に行って現教授にしこたま飲ませまくったのが今でも印象に残るようだ。高校の時もフェアウェル宴会を卒業式の日にやって、男女仲良くしこたま飲んだなあ。担任も知っている。ネットSNS社会イコール恐ろしい監視社会だけに今の若者は告げ口気にしてかわいそう。
⒊アルコール濃度0.05%ではおさまらない
「血中アルコール濃度を常に0.05%に保つと仕事も私生活もうまくいく」これはわかる気がする。昭和50年代に阪急で活躍した今井雄太郎投手は、浮上できなかった時にコーチにビールを一杯飲んでから行けと言われ好投した。それをきっかけに20勝投手になり、完全試合も達成した。こんな話ってビジネスの世界ではいくらでも転がっているかもしれない。
ただ、一杯飲んで良い授業ができるようになったなんて話はさすがにないだろう。常に一杯だけで済ませられれば良いが、なかなかそうはいかない。自分もそうだ。植木等先生の「スーダラ節」でも「ちょっと一杯のつもりで飲んで、いつの間にやらはしご酒」という歌詞がある。これこそ「アナザーラウンド」だよね。ここではかなりのエスカレートである。ドツボに落とされる。
⒋禁酒法日本
7月中旬から酒を飲んでいない。もともと家では正月や家族の誕生日などのイベント事以外は飲まない。飲まなければそれでも大丈夫。逆に飲むときはハシゴ酒。たまに、高級酒や高価なグラスをもらうことがあるが、困ってしまう。先日、市販で2万くらいするワインをもらった。しばらくとっておこうとしたら、飾っても仕方ないと家人が言い家のイベント事で飲みきった。γ-gtp は30を切ったままで肝機能はAだ。長期的悪化傾向だった肝臓機能も信じられない改善だ。
でも、これってやっぱりまずいよね。コロナでいつも通っていた店がかなり潰れた。今のデンマーク飲酒事情どうなっているんだろう。
「アナザーラウンド」は2021年第93回アカデミー賞の国際長編映画賞を受賞したデンマーク映画である。過去のアカデミー賞でデンマーク映画は、1987年にグルメ映画の傑作「パベットの晩餐会」や翌年の「ペレ」、2011年にも「未来を生きる君たちへ」という受賞作がある。今年も「わたしの叔父さん」という愛情溢れた作品があり、デンマーク映画は気になる存在だ。
しかも、扱っている題材がアルコールと聞き、禁酒続きの自分もこれは観てみようと早速映画館に向かう。主演はデンマークが生んだ国際派俳優のマッツ・ミケルセン、トマス・ヴィンターベア監督との最強コンビというのも気になる。デンマークの原題は「druk」でなんかやばそう。英題の「アナザーラウンド」は町山智浩によると、「もう一杯」という意味だそうだ。
セリフは簡潔である。決して多くはない。悲劇的な場面もそれと匂わせる状況事実を映し出し、説明に頼らない。描写でストーリーを示す高等技術で映画としての質は高い。笑いも常に誘う。でも、巷で絶賛されているほどまでは良いとは自分には思えなかった。
デンマーク、高校の歴史教師のマーティン(マッツ・ミケルセン)は、生徒と保護者たちから授業の進行が支離滅裂で重要科目なのに困ると抗議を受ける。スランプ気味だったのだ。仕事を惰性でやり過ごしていて、妻アニカ(マリア・ボネヴィー)や2人の息子との家庭内の状況も良くなかった。
落ち込むマーティンは、高校の教員仲間に励まされる。そこでノルウェーの哲学者の「血中アルコール濃度を常に0.05%に保つと仕事も私生活もうまくいく」という仮説を知り、4人で実証してみようとするのだ。トイレで一杯引っかけて、授業のやり方をかえると、生徒にも歓迎されて、冷え切った家庭にも変化の兆しが出た。
そんな時、同僚との寄り合いで仲間の3人から血中濃度を上げるくらいもっと飲んでみようと誘われる。自分はやらないよと、その場を立ち去ろうとしたマーティンは一杯だけ試しに飲み始めたら、止まらなくなるのであるが。。。
⒈マッツ・ミケルセン
マッツ・ミケルセンは国際派俳優と持ち上げたが、二枚目俳優ではない。人相は決して良いとはいえない。007シリーズの「カジノロワイアル」での悪役ぶりで全世界に強い印象を残した。顔をみてあいつかと思う人は多いだろう。マッツ・ミケルセンとトマス・ヴィンターベア監督のコンビの前作「偽りなき者」は幼児の偽証言に翻弄される大人を描いた物語で目をふさぎたくなるようなきつい映画だった。ちょっとやるせない話だ。
飲むつもりはないのに、一杯飲んだだけで止まらないというのは自分と同じ。そういう男の「悲しい性(サガ)」を巧みに演じている。ここでは、主人公だけにスポット当てられるというよりも同僚の3人も同じように酒に狂っていく。みんな仲がやけにいい。高校の教師同士って科目を超えてこんなに仲良かったかなあ。
⒉酒に寛容なデンマーク社会
映画ポスターの写真でマッツミケルセンが豪快に飲んでいる後ろに写るのは、卒業した生徒たちである。それも高校のフェアウエル路上パーティだ。初めて知ったんだけど、デンマークでは飲酒は何歳からでもOKだそうだ。ただし、購入できるアルコールが16.5%未満が16歳以上、16.5%以上が18歳以上という制限があるだけのようだ。これもすごいね。
実は、東京オリンピックで世界最強のデンマークハンドボールチームの試合をずっと追いかけていた。信じられないくらい上手い。でも、決勝でフランスに負けた。大番狂わせで驚いた。選手村でヤケ酒飲んだんだろうなあ。
日本は逆にキツくなる一方で、高校生の飲酒に対してかなり強く制限しているだけでなく、20歳前の大学生も飲めない。確かに、以前から20未満禁だけど、もっと世の中も寛容だった。選挙権年齢は下げても、飲酒可能時期は下げない。個人的にはどうかと思う。
確かに、大学のOB会に行った時、晴れて母校の教授になった4期後輩が部長になり、20歳以下の現役部員に飲まさないでくださいと挨拶の際に自分の名前を出していた。そう、自分が社会人1年目の時、新入生の歓迎会に行って現教授にしこたま飲ませまくったのが今でも印象に残るようだ。高校の時もフェアウェル宴会を卒業式の日にやって、男女仲良くしこたま飲んだなあ。担任も知っている。ネットSNS社会イコール恐ろしい監視社会だけに今の若者は告げ口気にしてかわいそう。
⒊アルコール濃度0.05%ではおさまらない
「血中アルコール濃度を常に0.05%に保つと仕事も私生活もうまくいく」これはわかる気がする。昭和50年代に阪急で活躍した今井雄太郎投手は、浮上できなかった時にコーチにビールを一杯飲んでから行けと言われ好投した。それをきっかけに20勝投手になり、完全試合も達成した。こんな話ってビジネスの世界ではいくらでも転がっているかもしれない。
ただ、一杯飲んで良い授業ができるようになったなんて話はさすがにないだろう。常に一杯だけで済ませられれば良いが、なかなかそうはいかない。自分もそうだ。植木等先生の「スーダラ節」でも「ちょっと一杯のつもりで飲んで、いつの間にやらはしご酒」という歌詞がある。これこそ「アナザーラウンド」だよね。ここではかなりのエスカレートである。ドツボに落とされる。
⒋禁酒法日本
7月中旬から酒を飲んでいない。もともと家では正月や家族の誕生日などのイベント事以外は飲まない。飲まなければそれでも大丈夫。逆に飲むときはハシゴ酒。たまに、高級酒や高価なグラスをもらうことがあるが、困ってしまう。先日、市販で2万くらいするワインをもらった。しばらくとっておこうとしたら、飾っても仕方ないと家人が言い家のイベント事で飲みきった。γ-gtp は30を切ったままで肝機能はAだ。長期的悪化傾向だった肝臓機能も信じられない改善だ。
でも、これってやっぱりまずいよね。コロナでいつも通っていた店がかなり潰れた。今のデンマーク飲酒事情どうなっているんだろう。