映画「私の男」は待ちに待った二階堂ふみ主演作品。早速映画館で見てきました。
二階堂ふみにとっては「ほとりの朔子」に続く主演作品。今回は桜庭一樹の直木賞作品を映画化した。流氷をバックにした北海道の冬景色のもとで、禁断の恋に落ちていく2人の姿を描く。原作の時系列を逆転した脚本、北海道の流氷を美しく映しだした撮影、ジーンと心に響く音楽、二階堂ふみと浅野忠信の演技いずれも高い水準の映画である。ネタばれありで語りたい。
ここでは二階堂ふみが七変化を見せる。
北海道の田舎で、どんくさい高校生を演じていたと思いきや、浅野忠信と強烈な濡れ場を演じる。東京に移った後、派遣の受付役で化粧をした顔は美形だ。高級レストランで父親と面と向き合い、足で挑発する色っぽい姿も印象に残る。
「ヒミズ」、「脳男」と一作ごとに凄味が増している。
あと素晴らしいのがジム・オルークの音楽である。映画全般にどんよりしたムードが走る中、静かに流れる音楽が映像にぴったりとなじんでいる。「春を背負って」で池辺の音楽が全く合っていないのと好対照である。
北海道に大地震が起き、奥尻島の島一帯が津波にさらわれた。その時10歳の女の子花が家族と離ればなれになり1人取り残される。その花を遠い親戚で1人暮らしている淳悟(浅野忠信)が引き取る。
数年後海上保安庁に勤める淳悟と高校生になった花(二階堂ふみ)の2人は紋別の町でひっそりと暮らしていた。淳悟には小町(河井青葉)という銀行に勤める美しい恋人がいた。小町は淳悟に別の女の気配を感じるが、それが一緒に暮らす花のことと気づく。高校生の花と淳悟がただならぬ関係になっていたのだ。
遠縁にあたる大塩(藤竜也)は花が引き取られるときから面倒を見てきた。2人の間によからぬ気配を感じて、花を親戚の所へ預けようと企んだ。それを拒否する花は大塩を流氷の海に誘い出す。大塩がのった氷は流され凍死してしまう。
やがて2人は東京に向かう。淳悟はタクシーの運転手をしながら、高校生の花と暮らしている。そこに北海道から刑事(モロ師岡)が訪ねてくるのであるが。。。
印象に残るシーンが数多い。ここでは3つ取り上げる。ネタばれ要注意
1.流氷の海を追いかける藤竜也と二階堂ふみ
海上保安庁の巡視船にのっている淳悟は10日程度遠出している。そのときに藤竜也演じる大塩が、2人のよからぬ関係を知りしつこく花に親戚の家へ移れと迫る。いやがる花は流氷の海に逃げる。ひたすら花はつらなる流氷の間を走り抜けていく。大塩が追い続ける。
やがて、大塩がうっかり離れた流氷の上にのってしまう。そのまま氷はオホーツクの沖合へ流されていく。
助けてくれと叫ぶ大塩
大塩は凍死した。淳伍と花は葬儀に出席するが、その後この町を離れる。
こんな流氷の冬景色をバックに撮った映画ってあるだろうか?藤竜也が氷に取り残されたシーンは、実際に彼をどうやって助けたのかな?とこっちまで心配になる。
先週の週刊文春に二階堂ふみと阿川佐和子の対談記事があった。
そこに藤竜也の二階堂評が掲載されていた。引用する。
「ああ、あの子はいいでしょう。顔だけで気持ちを自在に表現できる女優です。」と嬉しそうにきっぱりと絶賛されていました。
この緊迫感のあるシーンで2人の連帯感は高まっただろう。
藤竜也は「スープオペラ」以来だ。「時間ですよ」で影のある男を演じた時からの彼のファンで、パリで「愛のコリーダ」を見て彼のチ○こも見ている。日活の残党でいまだ頑張る藤竜也にはエールを送りたい。
2.抱き合う浅野忠信と二階堂ふみ
淳悟がしばらく遠出するのを寂しく思った花が抱いてくれと誘う。2人は濃厚に抱き合う。二階堂はブラジャー姿になる。胸は大きい。ぞくぞくするシーンだ。
やがて上から赤い液体が2人の身体に落ちてくる。これは血を意味するのか?幻惑させられるシーンになってくる。まるで、現実ではないように映し出される。その2人を窓の外から覗く男がいる。大塩老人(藤竜也)だ。赤に染まった2人の身体を映す映像が、普通の映像に代わる。
これはかなり過激だ。でも二階堂はバストをさらけ出さない。
まだまだ若い。いずれ気前よく見せてくる日を楽しみに待つしかない。
3.追ってきた刑事と浅野忠信の格闘
東京(川崎?)に移り住んだ淳悟のもとを刑事が訪れる。玄関に出た淳悟は刑事を中に上げる。刑事は花のものと思しきメガネを差し出す。淳伍は殴る。そして作りかけの味噌汁を刑事に浴びせる。包丁をもって刑事を切りつけ、血が吹き出し刑事が死ぬ。この格闘は緊迫感がある。
夕方になり、学校から帰った花が見つけ2人は唖然とたたずむ。
でも1つ突っ込みたい。
この死体どうしたんだろう。この処置については最後まで語られないままに映画が終わっている。
あえてそうしたのであろうか?
普通であれば、刑事が遠方まで出張するときは、警察に出張届を出してくるはずだ。しかも、当然どこへ行くかを知らせるだろう。刑事が戻ってこなければ、当然警察はそのことを調べるはずである。そのあと、時間が少し飛ぶが、2人は何もなかったかのように暮らしている。ちょっとこれ自体は不自然に感じる。
4.浅野忠信
二階堂のことばかり話しているが、浅野忠信も寡黙にもかかわらず、非常にいい演技をしている。「ヴィヨンの妻」のだらしない作家役がうまかったが、それと同じように堕落した男の役をやらされると天下一品なのかもしれない。
今回は浅野忠信がかなりねっとりしたラブシーンを河井青葉と演じている。このシーンってこんなに長くやる必要あるのかな?という素朴な疑問があるけど、美人が脱ぐのを見るのは悪くない。でも不思議だなあ。河井青葉は正統派美形だけど、二階堂ふみがいると彼女の方がよく見えてしまうんだよね。「ほとりの朔子」でも鶴田真由と杉野希妃の共演した2人の美人よりよく見えた。不思議だ。
5.二階堂ふみ
週刊文春のインタビュー記事によると
流氷の中に入る撮影をなんと4回もやったそうだ。服の下にセミドライスーツを着ていたけれど、水が入ってしまうので、人は寒さで死ぬんだなってことがわかったという。手先に今までない痛みが走ったようだ。
これは大変だ。でも二階堂ふみのプロ意識には本当に感心する。
次の作品が楽しみである。
二階堂ふみにとっては「ほとりの朔子」に続く主演作品。今回は桜庭一樹の直木賞作品を映画化した。流氷をバックにした北海道の冬景色のもとで、禁断の恋に落ちていく2人の姿を描く。原作の時系列を逆転した脚本、北海道の流氷を美しく映しだした撮影、ジーンと心に響く音楽、二階堂ふみと浅野忠信の演技いずれも高い水準の映画である。ネタばれありで語りたい。
ここでは二階堂ふみが七変化を見せる。
北海道の田舎で、どんくさい高校生を演じていたと思いきや、浅野忠信と強烈な濡れ場を演じる。東京に移った後、派遣の受付役で化粧をした顔は美形だ。高級レストランで父親と面と向き合い、足で挑発する色っぽい姿も印象に残る。
「ヒミズ」、「脳男」と一作ごとに凄味が増している。
あと素晴らしいのがジム・オルークの音楽である。映画全般にどんよりしたムードが走る中、静かに流れる音楽が映像にぴったりとなじんでいる。「春を背負って」で池辺の音楽が全く合っていないのと好対照である。
北海道に大地震が起き、奥尻島の島一帯が津波にさらわれた。その時10歳の女の子花が家族と離ればなれになり1人取り残される。その花を遠い親戚で1人暮らしている淳悟(浅野忠信)が引き取る。
数年後海上保安庁に勤める淳悟と高校生になった花(二階堂ふみ)の2人は紋別の町でひっそりと暮らしていた。淳悟には小町(河井青葉)という銀行に勤める美しい恋人がいた。小町は淳悟に別の女の気配を感じるが、それが一緒に暮らす花のことと気づく。高校生の花と淳悟がただならぬ関係になっていたのだ。
遠縁にあたる大塩(藤竜也)は花が引き取られるときから面倒を見てきた。2人の間によからぬ気配を感じて、花を親戚の所へ預けようと企んだ。それを拒否する花は大塩を流氷の海に誘い出す。大塩がのった氷は流され凍死してしまう。
やがて2人は東京に向かう。淳悟はタクシーの運転手をしながら、高校生の花と暮らしている。そこに北海道から刑事(モロ師岡)が訪ねてくるのであるが。。。
印象に残るシーンが数多い。ここでは3つ取り上げる。ネタばれ要注意
1.流氷の海を追いかける藤竜也と二階堂ふみ
海上保安庁の巡視船にのっている淳悟は10日程度遠出している。そのときに藤竜也演じる大塩が、2人のよからぬ関係を知りしつこく花に親戚の家へ移れと迫る。いやがる花は流氷の海に逃げる。ひたすら花はつらなる流氷の間を走り抜けていく。大塩が追い続ける。
やがて、大塩がうっかり離れた流氷の上にのってしまう。そのまま氷はオホーツクの沖合へ流されていく。
助けてくれと叫ぶ大塩
大塩は凍死した。淳伍と花は葬儀に出席するが、その後この町を離れる。
こんな流氷の冬景色をバックに撮った映画ってあるだろうか?藤竜也が氷に取り残されたシーンは、実際に彼をどうやって助けたのかな?とこっちまで心配になる。
先週の週刊文春に二階堂ふみと阿川佐和子の対談記事があった。
そこに藤竜也の二階堂評が掲載されていた。引用する。
「ああ、あの子はいいでしょう。顔だけで気持ちを自在に表現できる女優です。」と嬉しそうにきっぱりと絶賛されていました。
この緊迫感のあるシーンで2人の連帯感は高まっただろう。
藤竜也は「スープオペラ」以来だ。「時間ですよ」で影のある男を演じた時からの彼のファンで、パリで「愛のコリーダ」を見て彼のチ○こも見ている。日活の残党でいまだ頑張る藤竜也にはエールを送りたい。
2.抱き合う浅野忠信と二階堂ふみ
淳悟がしばらく遠出するのを寂しく思った花が抱いてくれと誘う。2人は濃厚に抱き合う。二階堂はブラジャー姿になる。胸は大きい。ぞくぞくするシーンだ。
やがて上から赤い液体が2人の身体に落ちてくる。これは血を意味するのか?幻惑させられるシーンになってくる。まるで、現実ではないように映し出される。その2人を窓の外から覗く男がいる。大塩老人(藤竜也)だ。赤に染まった2人の身体を映す映像が、普通の映像に代わる。
これはかなり過激だ。でも二階堂はバストをさらけ出さない。
まだまだ若い。いずれ気前よく見せてくる日を楽しみに待つしかない。
3.追ってきた刑事と浅野忠信の格闘
東京(川崎?)に移り住んだ淳悟のもとを刑事が訪れる。玄関に出た淳悟は刑事を中に上げる。刑事は花のものと思しきメガネを差し出す。淳伍は殴る。そして作りかけの味噌汁を刑事に浴びせる。包丁をもって刑事を切りつけ、血が吹き出し刑事が死ぬ。この格闘は緊迫感がある。
夕方になり、学校から帰った花が見つけ2人は唖然とたたずむ。
でも1つ突っ込みたい。
この死体どうしたんだろう。この処置については最後まで語られないままに映画が終わっている。
あえてそうしたのであろうか?
普通であれば、刑事が遠方まで出張するときは、警察に出張届を出してくるはずだ。しかも、当然どこへ行くかを知らせるだろう。刑事が戻ってこなければ、当然警察はそのことを調べるはずである。そのあと、時間が少し飛ぶが、2人は何もなかったかのように暮らしている。ちょっとこれ自体は不自然に感じる。
4.浅野忠信
二階堂のことばかり話しているが、浅野忠信も寡黙にもかかわらず、非常にいい演技をしている。「ヴィヨンの妻」のだらしない作家役がうまかったが、それと同じように堕落した男の役をやらされると天下一品なのかもしれない。
今回は浅野忠信がかなりねっとりしたラブシーンを河井青葉と演じている。このシーンってこんなに長くやる必要あるのかな?という素朴な疑問があるけど、美人が脱ぐのを見るのは悪くない。でも不思議だなあ。河井青葉は正統派美形だけど、二階堂ふみがいると彼女の方がよく見えてしまうんだよね。「ほとりの朔子」でも鶴田真由と杉野希妃の共演した2人の美人よりよく見えた。不思議だ。
5.二階堂ふみ
週刊文春のインタビュー記事によると
流氷の中に入る撮影をなんと4回もやったそうだ。服の下にセミドライスーツを着ていたけれど、水が入ってしまうので、人は寒さで死ぬんだなってことがわかったという。手先に今までない痛みが走ったようだ。
これは大変だ。でも二階堂ふみのプロ意識には本当に感心する。
次の作品が楽しみである。
ご指摘ありがとうございます。そうだったんですね。
この2人が本当の親子であることを匂わせるセリフもあったりして、2度3度見て、セリフをよく確認しないと真意がわからないのかもしれませんね。
またよろしくお願いします。
私の男の二階堂ふみ凄味がありましたね。
撮影当時はまだ高校生だったそうです・・・あのラブシーン・・・。
メガネを持ってきた警官は警察を辞めて東京まで来たと台詞がありましたよ。