映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

キムギドク死す

2020-12-13 07:58:02 | 映画(韓国映画)
韓国映画の奇才キムギドクが亡くなったと報道されている。

今年の映画界の訃報ではいちばんのショックである。朝目を覚めておったまげた。キムギドクラトビアで亡くなったと言うことであるが,詳しい事情はよくわからない。一部報道によると新型コロナウィルス感染とのことだ。なんでラトビアと思ってしまうが,現地に家を買ったとされている。


キムギドクを追いかけて10年以上になる。初めて観たのは「春夏秋冬そして春」である。その映像美に魅了された。それから遡って「悪い男」を観て、その異常な世界に唖然とした。そして追いかけた。

普通のお嬢様を売春窟の世界に落とし込める「悪い男」、留守宅に忍び込み自由に振る舞う「うつせみ」、美容整形をして自分をふった男の前に現れる「絶対の愛」、死刑囚に同情して慰問に訪れる女の異常愛「プレス」、援助交際をした少女とその親をクローズアップした「サマリア」、船の中で少女を育てるロリコン偏愛もの「」などはそのテーマの選択からしてすごい発想である。必ずしもハッピーエンドに至らず抜群の奇抜な発想に魅せられた。

そして「嘆きのピエタ」は数あるキムギドクの作品でも最高傑作といえる。高利貸しの借金取りの前に母親と名乗る女が現れての顛末の話だ。自身がかなりの貧困家庭で育ったという履歴もあるのか、韓国の下層社会を描くストーリーにリアル感を感じる。


比較的近年の「網に囚われた男」や製作脚本に関わった「レッドファミリー」は南北朝鮮の問題に切り込んできた。ただ、以前ほど新作が出ていなかったのは残念だった。女優に手を出したという問題もあり、国際舞台での高い評価と比較すると韓国国内では決して周囲の評価がいいわけでもなかった。これまで楽しまされてくれたことに心から冥福を祈りたい。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« Netflix映画「日曜日の憂鬱」... | トップ | 映画「ばるぼら」 稲垣吾郎&... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

映画(韓国映画)」カテゴリの最新記事