映画「フライド・グリーン・トマト」は1992年の作品
89年にジェシカ・タンディが「ドライビング・ミス・デイジー」で、90年にキャシー・ベイツが「ミザリー」でオスカー主演女優賞をそれぞれ受賞している。その直後の共演作品だ。いい映画だと聞いていたが、長い間見れていなかった。当時のキネマ旬報ベスト10にも入っている。大先輩の双葉十三郎氏がその年のベスト1に選出していた作品。DVD化されていなかったが、ツタヤの復刻版に入ってきた。
エヴリン(キャシー・ベイツ)は夫のエド(ゲイラード・サーティン)と2人暮らしだ。中年夫婦の仲は倦怠期にはいって、エヴリンは夫婦仲を取り戻そうと自己啓発セミナーに通ったりしていたが効果がない。チョコレートの食べすぎで太り気味だ。
ある日エヴリンは夫と叔母さんの様子を見に老人ホームをおとづれる。ボケ気味の叔母の面倒を夫が見る間に、ホームの住人ニニー・スレッドグッド(ジェシカ・タンディ)に話しかけられる。そこで彼女の昔話が始まるが非常に面白い。それをきっかけにエヴリンはニニーの話を聞きに頻繁にホームを訪れるようになる。
その物語は今から50年も前のアラバマ州。
第一次世界大戦が終わるくらいの頃だ。イジー・スレッドグッド(メアリー・スチュアート・マスターソン)は、やんちゃ大好きなボーイッシュな少女だ。兄が結婚するのにも、教会で神父に悪ふざけたりする。家族の言うことも聞かない。そんな彼女はすぐ上の兄バディを慕っていた。ハンサムなバディは妹のことをかわいがっていた。
兄には恋人がいた。ところが3人で遊んでいるときに、線路に飛んでいった帽子を兄がピックアップしようとしたとき前から蒸気機関車が走ってくる。兄はその時線路のレールに足を挟まれてしまった。機関車に惹かれてしまう。イジーは兄の事故死によって大きな衝撃を受けた。。そのイジーに近づき心を開いてくれたのはバディの恋人だったルース(メアリー・ルイーズ・パーカー)だった。2人は親友になった。
時がすぎルースは結婚する。いったん、2人の付き合いは中断した。
3年たった時イジーはルースの家を訪れた。顔にあざがあるではないか。事情を聞き、ようやく教えてくれたが夫の暴力のようだった。イジーは家人を連れてきて、身重のルースをむりやり連れ帰る。
2人は大衆食堂ホイッスル・ストップ・カフェを開店した。イジーとルースの人柄で、店は繁盛する。
そこへフランクが「子供に会わせろ」と押しかけてくる。だが村祭りの夜、フランクは車ごと姿を消し、イジーと黒人の使用人が殺人犯として裁判にかけられるが。。。
キャシーベイツ含めて4人がジャケットに映っている。全く違う時代の話が平行して語られるとは思っていなかった。アメリカの南部を映しだす映像は美しく、ユーモアを含んでいながら、適度な緊張感もあり緩急自在によくできている映画だと思う。90年代のアメリカ映画らしい独特の余韻を持つ映画だ。テイストは自分に合う。
アラバマというと、グレゴリーペックがオスカー主演男優賞を受賞した「アラバマ物語」だ。人種差別によるある黒人の冤罪が語られている。この映画も黒人の使用人が重要な役割を果たす。だからといって、人種差別に主眼が置かれているわけではない。
いくつかのシーンを通じて当時の南部の実情を少しづつ入り混ぜる。
映画の中盤で一つの謎が投げかけられる。軽いミステリーの色彩をつくる。
子供に会わせろとルースの元夫がくるのだが、彼が姿を消す。そこで主人公と黒人使用人が犯人扱いにされるのだ。ある意味「アラバマ物語」と似ている部分である。セリフを聞いていると、黒人に対する扱いのひどさに驚いてしまう。
3つほど印象に残るシーンがあった。
イジーがハチの巣から蜜の固まりを取り出すシーン。今だったら画像の加工でつくってしまうかもしれない。ハチがブンブンとイジーのまわりに飛んでくる。怖い!でも全然怖がらずに演じる。これは凄い。
イジーとルースが開店したばかりのお店でケンカをするシーン。最初水のかけあいだったのが、次から次へと食べ物をぶっつけあう。まわりもあきれ顔、何か楽しい。ケンカするほど仲がいいというわけか。
キャシーベイツがスーパーで駐車しようとする際に、車庫入れしようとしたら若い女性2人が運転する車がさっと入ってしまう。笑って立ち去る女2人。むかつくキャシー、なんと自分の車を彼女たちの車に次から次へとぶつける。あわてる2人、キャシーは「保険が支払うからいいでしょ」なんかおかしい。
こんなシーンがストーリーのところどころにちりばめられている。そういうユーモアとシリアスな部分の噛みあいが絶妙だ。
(参考作品)
89年にジェシカ・タンディが「ドライビング・ミス・デイジー」で、90年にキャシー・ベイツが「ミザリー」でオスカー主演女優賞をそれぞれ受賞している。その直後の共演作品だ。いい映画だと聞いていたが、長い間見れていなかった。当時のキネマ旬報ベスト10にも入っている。大先輩の双葉十三郎氏がその年のベスト1に選出していた作品。DVD化されていなかったが、ツタヤの復刻版に入ってきた。
エヴリン(キャシー・ベイツ)は夫のエド(ゲイラード・サーティン)と2人暮らしだ。中年夫婦の仲は倦怠期にはいって、エヴリンは夫婦仲を取り戻そうと自己啓発セミナーに通ったりしていたが効果がない。チョコレートの食べすぎで太り気味だ。
ある日エヴリンは夫と叔母さんの様子を見に老人ホームをおとづれる。ボケ気味の叔母の面倒を夫が見る間に、ホームの住人ニニー・スレッドグッド(ジェシカ・タンディ)に話しかけられる。そこで彼女の昔話が始まるが非常に面白い。それをきっかけにエヴリンはニニーの話を聞きに頻繁にホームを訪れるようになる。
その物語は今から50年も前のアラバマ州。
第一次世界大戦が終わるくらいの頃だ。イジー・スレッドグッド(メアリー・スチュアート・マスターソン)は、やんちゃ大好きなボーイッシュな少女だ。兄が結婚するのにも、教会で神父に悪ふざけたりする。家族の言うことも聞かない。そんな彼女はすぐ上の兄バディを慕っていた。ハンサムなバディは妹のことをかわいがっていた。
兄には恋人がいた。ところが3人で遊んでいるときに、線路に飛んでいった帽子を兄がピックアップしようとしたとき前から蒸気機関車が走ってくる。兄はその時線路のレールに足を挟まれてしまった。機関車に惹かれてしまう。イジーは兄の事故死によって大きな衝撃を受けた。。そのイジーに近づき心を開いてくれたのはバディの恋人だったルース(メアリー・ルイーズ・パーカー)だった。2人は親友になった。
時がすぎルースは結婚する。いったん、2人の付き合いは中断した。
3年たった時イジーはルースの家を訪れた。顔にあざがあるではないか。事情を聞き、ようやく教えてくれたが夫の暴力のようだった。イジーは家人を連れてきて、身重のルースをむりやり連れ帰る。
2人は大衆食堂ホイッスル・ストップ・カフェを開店した。イジーとルースの人柄で、店は繁盛する。
そこへフランクが「子供に会わせろ」と押しかけてくる。だが村祭りの夜、フランクは車ごと姿を消し、イジーと黒人の使用人が殺人犯として裁判にかけられるが。。。
キャシーベイツ含めて4人がジャケットに映っている。全く違う時代の話が平行して語られるとは思っていなかった。アメリカの南部を映しだす映像は美しく、ユーモアを含んでいながら、適度な緊張感もあり緩急自在によくできている映画だと思う。90年代のアメリカ映画らしい独特の余韻を持つ映画だ。テイストは自分に合う。
アラバマというと、グレゴリーペックがオスカー主演男優賞を受賞した「アラバマ物語」だ。人種差別によるある黒人の冤罪が語られている。この映画も黒人の使用人が重要な役割を果たす。だからといって、人種差別に主眼が置かれているわけではない。
いくつかのシーンを通じて当時の南部の実情を少しづつ入り混ぜる。
映画の中盤で一つの謎が投げかけられる。軽いミステリーの色彩をつくる。
子供に会わせろとルースの元夫がくるのだが、彼が姿を消す。そこで主人公と黒人使用人が犯人扱いにされるのだ。ある意味「アラバマ物語」と似ている部分である。セリフを聞いていると、黒人に対する扱いのひどさに驚いてしまう。
3つほど印象に残るシーンがあった。
イジーがハチの巣から蜜の固まりを取り出すシーン。今だったら画像の加工でつくってしまうかもしれない。ハチがブンブンとイジーのまわりに飛んでくる。怖い!でも全然怖がらずに演じる。これは凄い。
イジーとルースが開店したばかりのお店でケンカをするシーン。最初水のかけあいだったのが、次から次へと食べ物をぶっつけあう。まわりもあきれ顔、何か楽しい。ケンカするほど仲がいいというわけか。
キャシーベイツがスーパーで駐車しようとする際に、車庫入れしようとしたら若い女性2人が運転する車がさっと入ってしまう。笑って立ち去る女2人。むかつくキャシー、なんと自分の車を彼女たちの車に次から次へとぶつける。あわてる2人、キャシーは「保険が支払うからいいでしょ」なんかおかしい。
こんなシーンがストーリーのところどころにちりばめられている。そういうユーモアとシリアスな部分の噛みあいが絶妙だ。
(参考作品)
フライド・グリーン・トマト | |
女の友情 | |
ドライビングMissデイジー | |
ジェシカダンディのオスカー作品、運転手との友情 | |
ミザリー | |
キャリーベイツのオスカー作品:恐怖のストーカー | |