映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

ゲゲゲの女房

2011-07-02 20:16:13 | 映画(日本 2000年以降主演女性)
「ゲゲゲの女房」は漫画家水木しげるの妻にスポットをあてた映画作品だ。NHKのテレビ連続小説が予想以上にヒットして、映画化された。吹石一恵が好演し、水木しげる役の宮藤もいい味を見せる。ただ時代考証がめちゃくちゃで、映し出している時代をあまりよく表わしていないことに驚いた。それさえなければもっとよかったのに。。。


主人公布枝こと吹石一恵は出雲の出身だ。同じ山陰の境港出身の漫画家の水木しげるとお見合いをした。当時としては年齢が高めの29歳の彼女は10歳年上の水木しげるの話をすぐ決めてしまう。故郷の出雲から、東京の調布に嫁いできた。結婚前はそれなりに貸し本作家として稼ぎがあるということだった。ところが、家計は火の車。原稿料も値切られたり、家の一部を貸間にしたが家賃は滞納が続く。予想外の極貧の新婚生活に不満を募らせていた彼女だった。しかし、徐々に手伝うようになり、漫画のアシスタントも務めるようになる。そうしていくうちに流れも変わっていくのであるが。。。。

このブログでも何回か取り上げたが、日本経済新聞「私の履歴書」で一番印象深いのは水木しげるさんの話であった。出来の悪い少年時代の話、危うく死にそこなった軍隊の話、現地人と知り合いになった話、貸し本作家としての苦労など実におもしろい。そういう苦労を経てようやく妻をめとることができた。あのすさまじい人生の中で、結婚してからはうまくいっていたのかと思ったが、実はそうではなかった。貧困の中金策に駆けずり回る話が続いていく。でも起伏がなさすぎる気がする。淡々と流れるのはいいが、しまりがない。

いただけないのが時代考証だ。ひどすぎる。全くなっていない。
時代設定は昭和30年代後半から40年代にかけてなのに、50年代くらいにならないと見られない建物たとえば日照権対応の設計をしたマンションやワンマンバスがいる駅前風景が出てくる。あまりにもとんちんかんだ。制作者はその時代の映画や写真集を見て勉強してほしい。アメリカ映画の場合、車、街の風景、服装と美術についてはその時代に合わせて完ぺきに仕上げてくる。少しくらいずれているくらいなら許せるけどなあ。
主演二人の演技はよかったと思う。でも映画って演劇ではないのだから、もうちょっと背景その他にリアル感がないと困るよね。大好きな水木しげるさんの話だけにがっかりだ。

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