映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「デルス・ウザーラ」 黒澤明

2013-05-06 13:40:52 | 映画(日本 黒澤明)
映画「デルスウザーラ」は黒澤明監督が1975年旧ソ連に招かれ製作したソビエト映画だ。
1902年から数回にわたって地誌調査のために沿海州を探検したウラジミール・アルセーニエフの旅行記を基にしている。

上映された1975年、高校生の自分は有楽町の映画館で完全版「七人の侍」を見に行っている。試写には黒澤だけでなく三船敏郎、志村喬、千秋実をはじめその年亡くなった加東大介を除く六人の侍がそろったのだ。これは当時マスコミで話題になった。自分は初めてみて感動した。その時インターミッションで見ず知らずのオジサンに話しかけられた記憶がある。黒澤明論を説かれ、「自分も農家出身だけど農民は汚い」と言っていた。その年映画「デルスウザーラ」も公開されたが、気になりつつも結局行っていない。
その後見に行く機会がなかった。DVDレンタルもない。アマゾン中古価格は高価だ。ときおり記念上映がされることもあるが、スケジュールが合わない。縁がなかった。つい最近アマゾンで復刻版のDVDが発売されることを知った。購入しようとしたら売り切れだ。そんな時ツタヤ復刻版に入っていた。いつもながら本当に助かる。

1965年に1年半かかって「赤ひげ」をつくった後、翌年東宝専属を外れる。金がかかる完全主義の黒澤と縁を切ったのだ。同時に海外からの招聘にこたえる。しかし、それらはことごとくうまくいかなかった。「暴走機関車」「トラトラトラ」いずれも黒澤映画として日の目を見なかった。1970年の「どですかでん」は成功しなかった。自分もその映画はあまり好きじゃない。1971年大映倒産の年には自殺未遂をしている。最悪だ。そんなあとつくった映画である。世はまだ冷戦時代、旧ソ連は共産主義の強国であった。そんな旧ソ連から黒澤明は三顧の礼で迎えられた。

ロシアの広々とした風景をバックに、10年ほど不遇の続いた黒澤明がスケールの大きな映像を映し出していたことに感動した。映像コンテは黒澤らしく計算された美しさをもつ。

1902年アルセーニエフ(Y・サローミン)は地誌調査のために兵士6名を率いてウスリー地方にやってきた。秋のある夜アジア系少数民族ゴリド人のデルス(M・ムンズク)に会った。

隊員たちが熊と見まちがえたくらい、その動作は敏捷だった。デルスは、天然痘で妻子をなくした猟師で、家を持たず密林の中で暮らしている。自分の年齢はわからない。
翌日からデルスは一行の案内人として同行することになった。デルスの指示は的確で、森の中のちょっとした差異を見逃さない。最初はバカにしていた兵士たちも何も言えなくなるようになる。

アルセーニエフとデルスがハンカ湖に出かけた時のことである。

2人で調査にあたっていると気候は突如急変した。デルスは、アルセーニエフに一緒に草を刈り取るように言い、二人は厳寒に耐えながら草を刈り続けた。日が暮れ、猛吹雪が襲ってきた。アルセーニエフはあまりの寒さと疲労のために気を失った。気づくと吹雪がおさまりもとの静けさをとり戻していた。デルスが草で作った急造の野営小屋のおかげで凍死をまぬがれたのだ。2人の友情は徐々に強まっていった。
厳しい冬がやってきた。寒さの他に飢餓が彼らを苦しめた。この時もデルスの鋭い臭覚で焼き魚の匂いをかぎ取り、現地人の小屋で飢えをしのいだ。第一次の地誌調査の目的を達したアルセーニエフの一行はウラジオストックに帰ることになり、デルスは弾丸を少し貰うと、一行に別れを告げて密林に帰っていった。

1907年。再度ウスリー地方に探検したアルセーニエフはデルスと再会した。その頃ウスリーには、フンフーズとばれる匪賊が徘徊し、土着民の生活を破壊していた。フンフーズに襲われた土着民を助けたデルスはジャン・バオ(S・チャクモロフ)という討伐隊長にフンフーズ追跡を依頼した。
ある時自分たちの後を虎が追っていることを足跡を見て気づく。そして遭遇する。デルスは虎を撃った。必ず虎に復讐されるはずだとデルスは撃ったことを悔やんだ。デルスをアンバ(ウスリーの虎)の幻影が苦しめ極度に恐れさせた。その頃から、デルスは視力が急速におとろえ猟ができなくなった。もはや密林に住むことは許されない。デルスはアルセーニエフの誘いに応じ彼の家にすむことになった。しかし、密林以外で生活したことのないデルスにとっては、つらい生活だったが。。。。

この映画を見ながら、世界地図を開く。ウスリー、沿海州というと世界史の世界だ。1858年のアイグン条約でロシアと清の共同管理となり2年後ロシアは北京条約で奪い取る。18世紀くらいからロシアと清がそれぞれの領土拡大のために勢力争いをしていた。ピョートル1世と康熙帝が結んだネルチンスク条約はもっと極寒の地で結ばれたのかと思うと感慨深い。
ハンカ湖の位置を確認した。中国とロシアで分け合っている湖だ。ウラジオストックからも遠くはない。北海道の位置と比較して寒いのは間違いない。第2部で湖を覆っていた氷が溶ける映像が映し出される。豪快な映像だ。

この映画で一番印象的な映像はハンカ湖で嵐に遭遇する場面であろう。
デイヴィッドリーン監督の映画を連想させるロシアの雄大な光景は他の黒澤映画にはないものだ。デルスは足跡をみてこれは中国人があるいた跡だとか若者が歩いていると的確に当てる本能的な優れた才能を持っている。ハンカ湖で嵐に遭った際、自分たちの足跡が見れなくなったことですぐに引き返そうとデルスは忠告する。しかし、2人は道に迷ってしまう。コンパスどおりに行っても戻れない。銃を空に向かっても撃っても誰も反応しない。

すぐさま草を刈れという。小屋をつくるのかと連想したが、すさまじい体力がいる。それでも完成させて2人が助かる場面は爽快な印象を得た。ここでは吹き荒れる吹雪の中、懸命に生きようとする2人の執念のようなものが感じられる。そしてデルスの知恵が浮き彫りになる。実際に2人でクタクタになるまで草を刈ったそうだ。この映像は黒澤映画の長い歴史の中でも際立った名場面と言えそうだ。


「デルスウザーラ」はアカデミー賞外国映画賞に輝いている。
これは黒澤本人も予想していなかったようだ。黒澤明は授賞式には参列していない。でもこれを機に黒澤の運は上向く。「影武者」「乱」と続く。フランシスコッポラとジョージルーカスが応援して黒澤にスポンサーが現れたのである。この映画は彼にとって運を呼んだ映画だった。
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映画「終の信託」 草刈民代

2013-05-06 11:34:16 | 映画(日本 2011年以降主演男性)
映画「終の信託」は周防監督による2012年公開草刈民代主演のシリアスドラマ

尊厳死をテーマにした映画。
テーマが重い感じがして劇場行きを見送った。主人公の医師が患者と触れ合う部分がちょっと長すぎると思わせたが、見せ場がたくさんあって興味深く見れた。
検事役の大沢たかおを見ていて、こいつ憎たらしいなあと見ていた。
そう思わせること自体うまいのだろう。

まず主人公折井綾乃(草刈民代)が検察庁に出頭し、待合室で待つシーンが写される。検察官・塚原(大沢たかお)は部下にしばらく待たせるように指示し、なかなか取り調べが始まらない。
3年前の回想シーンに移る。
折井綾乃は43歳で天音中央病院の呼吸器内科部長である。同僚医師の高井(浅野忠信)と長い間不倫関係にあった。綾乃は彼が妻以外の若い女性といるのを見てしまう。彼を問い詰める。自分は綾乃と結婚するつもりはないと言われ落胆する。精神が不安定の中、当直時に睡眠薬を飲みすぎ倒れ大騒ぎとなる。

綾乃の担当患者に重度の喘息を患い入退院を繰り返していた江木秦三(役所広司)がいた。綾乃と江木は医師と患者の枠を超え心の内を語りあうようになった。そのことで落胆した綾乃の気は紛れた。
江木の病状は悪化する一方だ。自分の死期が迫っていることを自覚した江木は綾乃に懇願する。「信頼できるのは先生だけだ。最期のときは早く楽にしてほしい」と。

その後、江木は川で散歩している時に倒れる。救急車で病院へ運ばれた時は心肺停止状態であった。担当医の折井が懸命に救命処置をして一命はとりとめた。しかし、意識が戻る見込みはなかった。
江木からは最期の処置について言われていたが、家族と相談する必要があった。意識が戻る可能性が薄いことを家族に話して喉に通っているチューブを取り外すことになったが。。。

大きな見どころは3つあると思う。
1つはぜんそくの発作に苦しむ患者江木(役所広司)の姿を映す場面だ。本当に苦しそうだ。たぶんぜんそく患者が苦しむ姿を何かでみて演じたのであろう。リアルだ。

余談だが、自分は会社の同期がぜんそくで死ぬまでこの病気がこれほどの疾患だと思っていなかった。北野高京都大工出身の秀才だった。一緒に営業をやっていたが、資格をとると同時に技術に移った。ところが、営業時代の顧客が経営する会社に誘われ転職した。起業家を夢見たのであろう。転職先は中小企業で相当苦労したようだ。このころからぜんそく疾患が悪化する。結局辞めてIT系大企業で自分の専門を活かしてクライアントへ提案をする仕事になった。もうその時点では身体はガタガタだった。
死んだあと、彼のご母堂に生きている時の手帳を見せてもらった。会社にも家にもぜんそく疾患がひどくなっていることを言っていなかったのだ。その日の体調を毎日手帳に書いている。徐々に症状が悪くなっているのが書いてあり痛ましい。
最後は自宅で発作を起こした。風呂に長時間入って出てきたとき、彼は母上に何かを訴えた。母親は病気のことは何も知らない。吸引器を求めたのでろう。彼は窒息死した。32歳だった。
その場面が思い出された。

2つ目は意識がなくなった患者江木(役所広司)からのどのチューブを抜き去る場面だ。妻そして2人の子供のいる前で綾乃がチューブを抜く。そうすると、意識のなかった江木が大暴れするのである。息ができないからか、身体を大きく揺らす。チューブを抜いたら死ぬというわけではなかった。懸命に注射をする綾乃と看護師だったが、追加で注射してようやく静まった。そこが最期だった。
この演技も凄い。ここで注射を何回もしたのが、あとで検事に糾弾されることになる。


3つ目は検察官塚原(大沢たかお)が綾乃を取り調べで厳しく追及する場面だ。この場面も十分研究されてつくられたのがよくわかる。意識が亡くなってから綾乃がした行為を取り調べで追っていく。彼女が医学的な話をしても、事実だけを述べてくれというだけだ。大沢の手元にはメモはない。じっと綾乃を見つめて追及していく。誘導尋問というべきか?ジワリジワリ綾乃がした行為を追っていく。
ほとんどの観客は綾乃の味方であろう。検事が憎たらしく見える。被疑者への同情の余地はまったくない。ひたすら綾乃の殺人行為について追及していく。これには参った。凄腕の検事というのがどのように被疑者を追い詰めるのかをじっくりと見せていく。

役所の小さい時の逸話など前半戦は若干凡長な部分もあるが、上記3つの見せどころはうならされた。
他にも見せ場はある。草刈民代が不倫する場面であえて彼女を脱がすシーン。「シャルウィーダンス」の彼女には崇高なイメージがあった。元々お高く見える方である。それをあえて覆さないと周防監督は変化が持てないと思ったのであろうか?夫である監督は妻の草刈民代を何度も地に落とす。

普通であれば、家族と医師とだけの問題がここまで発展する背景に、彼女がエリート医師である故の外野のひがみもあると劇中で語られる場面もある。
検事の調書によると、彼女は東大医学部出身となっている。ふと思ったけど、平成13年当時に43歳とすると、自分より年上だ。今は桜蔭高校あたりのレベルが急激に上がって、理科三類にも女性が割と行くようになったけど、当時は5人もいないのではないか。そうすると、女性の東大医学部卒業生はもっと貴重な存在であり、この主人公と歩むキャリアが違うんじゃないかな?という気はした。

いずれにせよ、いい映画だと思う。
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映画「大魔術師Xのダブル・トリック 」 トニーレオン

2013-05-05 06:54:26 | 映画(アジア)
映画「大魔術師Xのダブル・トリック」はトニーレオン主演のコメディタッチの香港映画
トニーレオンが天才マジシャンを演じる。これは面白い!

この映画今年年初に公開されていることは全然知らなかった。
ブログのプロフィルにはずっと「花様年華」のトニーレオンとマギーチャンの写真を貼り付けている。
当然大ファンだ。彼の作品はずっと見ている。それなのに気がつかないとは、配給元も全然宣伝していなかったのであろうか?
恋のライバルとなる軍閥の主をラウ・チンワンが演じる。つい先ごろ大好きなジョニートー監督の新作「奪命金」でも喜劇役者ぶりを発揮していた。表情が豊かな顔も面白いが、振る舞いが滑稽で常に笑いを提供してくれる貴重な存在だ。この映画でも存分にその実力を発揮する。

民国時代1920年頃の北京、天橋。街では軍閥の雷大牛(ラウ・チンワン)が勢力とその覇権を轟かしていた。彼は世間では恐れられていたが、実生活では愛を受け入れてくれない第七夫人の柳蔭(ジョウ・シュン)に翻弄される日々を送っていた。
その頃、街では一人の天才的マジシャン張賢(トニー・レオン)が現れ、見事なマジックで人々を魅了していた。雷もその一人で、ある日張賢を屋敷へ招くがそれは張賢の計算づくの事であった。彼の目的は幽閉された師匠(チョン・プイ)との再会、そして柳蔭を奪い返す事であった。なぜなら彼女は張賢の元恋人だったのだ。

張賢は軍閥転覆を狙う革命団と手を組み、周到な計画を立てるが、その背後では勢力を争う軍閥たち、清朝復活を目論む残党、マジックの奥義“七聖法”を狙う者、そして謎の日本人組織が絡み出し、計画は思いがけぬ方向へと展開していく。果たして彼らの運命は!? 恋の行方は如何に? そして驚きのどんでん返しが!(作品情報より)

トニーレオンのマジックが実に華麗だ。
普通よく見るマジックだけでなく、さまざまなパフォーマンスも見せてくれる。
なかなか楽しい。

ラストコーション」「レッドクリフ」と大作が中心だったけど、ホームグラウンドの香港で笑える映画に出てくれたのはうれしい。本国では旧正月公開の作品だったようだ。個人的には彼の話し方の間の取りかたが好きだ。早すぎず、遅すぎずクールな会話をする。

時代背景からすると、1920年ころは中華民国が成立したにもかかわらず軍閥同士での争いが絶えなかった時代だ。清国滅亡の後、このころは清室優待条件に基づき「ラストエンペラー」溥儀はまだ紫禁城にいた。清朝復活を願う連中もいてもおかしくない。それに加えて、日本人も徐々に大陸を侵食しつつある。そういう争いが絶えない時代で設定したのはうまい。

この映画のテーマも男の競い合いだ。先日「ブラック&ホワイト」の欄でも指摘したが、その女がいいかどうかを別として争いだすときりがない。元々は柳蔭(ジョウ・シュン)は張賢(トニー・レオン)の女だ。欧州に行っていた元彼氏が2年の月日を隔てて人妻の前に戻ってくる。これってフィッツジェラルドの「グレート・ギャツビー」(映画版;華麗なるギャツビー)のギャツビーが第1次世界大戦を隔てて戻って、昔の女デイジーに会うのと似ている。そしてひっそりと作戦を練り、大胆に相手に向かって言って取り戻そうとするのも同じパターンだ。
「グレートギャツビー」と同様に女性はどっちをとろうかと思うと、昔の男もいいけど、今も悪くないことに気づく。女性は決断が苦手である。そういう心理をよくついている。

天才魔術師と軍閥の親分が決定的に争うかというとそうでもない。これが中国的なのかもしれない。この辺りをうまくついて抜群のコメディに仕上がった。
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映画「ライクサムワンインラブ」 高梨臨&加瀬亮

2013-05-04 05:35:51 | 映画(日本 2011年以降主演男性)
映画「ライクサムワンインラブ」は2012年公開、
監督はアッバス・キアロスタミで、全編日本国内を舞台として撮影された日本語による映画である。
全く予備知識なく見た。

いきなりカメラはバーにいる一人の女性(高梨臨)を映す。
カメラのアングルはずっと一人の女性とその友人を映す。しばらくの間映像が変わらない。彼女の携帯に電話がかかってくる。どうも彼氏のようだ。しつこく来いと言っているが、彼女は嫌がっている。そうしているうちに目の前に一人のオヤジ(でんでん)が席に寄ってくる。今日夜やってもらう仕事を伝えようとしている。なんだろう?

「冷たい熱帯魚」のでんでんが演じる男はまともな仕事ではなさそうだ。自分の祖母が上京しているからと、仕事を拒絶しているが、そうは簡単に許さない。結局はオヤジにタクシーに乗せられて1時間はなれた所へ行ってくれと言われ、いやいや向かう。

留守電を彼女が聞くと、祖母から何度もかかってきた留守電が入っている。そして留守電には祖母の伝言、クレジット会社からの催促の電話が入っている。祖母はずっと駅で待っていたようだ。彼女は留守電に返事をしないで指定された場所へ向かう。

そこにいたのは一人の老人だった。80歳を超え、現役を引退した元大学教授のタカシ(奥野匡)は、亡妻にも似た一人の若い女性明子を、デートクラブを通して家に呼んだのであった。
書棚には大量の本がある。インテリの書斎の様相だ。ダイニングテーブルには、ワインが準備されるが明子は手をつけない。会話をした後さっと寝てしまう。

翌朝、明子が通う大学まで車で送ったタカシの前に、彼女の婚約者だというノリアキ(加瀬亮)という青年が現れる。ノリアキはタカシを明子の祖父と勘違いするが。。。

余計な解説は流れない。長まわし中心で同じカメラアングルでの時間が長い。
出演者の会話と周りの雰囲気で一つの流れを推測させる。まずはバーの場面が映る。
そして手配師と思しきでんでんによりいやいや指示された場所に移る。
その途中の電話で彼女がデリヘル系の女性であることが見当つく。
移動の風景からすると新宿だ。でもそのあと銅像が映るが、あれ?こんな場所あったかな?と思わせる。
祖母からの電話何で出ないんだろう。朝から何度もかかっているのに出ないなんて非常識な女だなと思いながら、画面が移って行く。行った先が強面でなくおじいさんなので「アレ?」と思う。
部屋に入る前思いっきり口紅を真っ赤にする。


移動して着いた場所は翌朝の風景で横浜ということがわかる。
そこに彼女の大学があって、彼氏が勤める自動車工場も横浜だ。しかも、老人に彼女から電話があって、迎えに行く先が風景からすると六本木の麻布警察の横である。新宿ー横浜ー六本木、うまくつながらない。要は架空の場所としたかったのであろう。これはあまり深く考えなくてもいいかな。

テレビを見ると、70歳の加藤茶と25歳の奥さんが映っている。そういうカップルは珍しいが昔からちょくちょくいる。この場合は単に80代のおじいさんが20代の若い娘を呼んでいる。別に恋ではない。こういう少女趣味は何度も題材になっている。
高梨 臨はかわいい。口紅を真っ赤に塗る時だけ娼婦の匂いをだすけど、あとは普通の女の子だ。男性にはかなりもてるタイプ。最初のバーのシーンで、でんでんが出てくるまではこんな展開は全く予想できなかった。
明子は何もしないでそのまま寝てしまったけど、こんなこと許されるのかな?

比較的長まわしが続くので、演技的技量がいるような気がする。何度も稽古して撮り直したのではないか?そこをいかにもドキュメンタリータッチで映す。こういう映画の撮り方もあるのかな?という感じ。84歳かりそめの恋というのは言いすぎ。何かをこれで感じるような映画ではなかった。
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映画「リンカーン」 ダニエル・デイ=ルイス

2013-05-03 14:27:15 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「リンカーン」を劇場で見てきました。

いきなり南北戦争の戦闘場面が出てくる。これは単なる銃撃戦でない。それぞれの兵士が肉体を使った格闘をしている。もはや19世紀半ばで中世のような戦いをしているのか、まずそれに目をひく。

子供のころにリンカーンの伝記を読んだことがある。誰しもが読んだことだろう。彼の名前を聞くと、奴隷解放、南北戦争、暗殺の3つのキーワードがすぐさま連想される。リンカーンの伝記はその3つが基調なのだ。今回ダニエルがオスカーを受賞した事実以外先入観なく映画をみた。

ちょっとイメージが違った。
苦学して大統領になったその人生が語られるわけでない。奴隷が強制労働されている姿もない。
1864年大統領選挙に再選され、奴隷解放のため憲法改正しようと下院可決に向けて懸命に奮闘する姿だけを映す。それはそれでよかったと思う。彼の人生すべてに焦点を合わそうとするとどうしても内容が薄くなる。アメリカ史で学んだ固有名詞ゲティスバーグ、ジェファソンデイヴィスなど会話に出てきて、北軍グラント将軍、南軍リー将軍も出演するが存在感はない。冒頭以外は戦闘場面は少ない。ただひたすら憲法改正に執念を燃やす彼の姿を描くだけである。
いろんな批評を見ると、性格描写ができていないという人がいるが違うと思う。ダニエルデイルイスの演技を通じて、リンカーンの苦悩が我々にあらわにされた。彼のアクションで我々が知らなかった性格がよくわかる。リンカーンになりきっている。さすがプロ中のプロと思わせる映画である。


1865年1月、エイブラハム・リンカーン(ダニエル・デイ=ルイス)が大統領に再選されて、2カ月が経っていた。南北戦争は4年目に入り、大勢は大統領が率いる北軍に傾いていた。リンカーンはすぐさま戦争を終結させるつもりはなかった。奴隷制度に永遠の別れを告げるため、合衆国憲法修正第十三条を下院議会で批准する前に戦争を止めるわけにいかなかった。上院では可決できた後下院での通過が必要だった。
リンカーンは国務長官ウィリアム・スワード(デヴィッド・ストラザーン)を介して、下院の議会工作を進めるべく指示する。同じ共和党の保守派プレストン・ブレア(ハル・ホルブルック)を使って党の票をまとめても、成立させるためには20票足りなかった。リンカーンはあらゆる策を弄するように命じ、スワードはW.N.ビルボ(ジェームズ・スペイダー)をはじめとするロビイストを駆使して、敵対する民主党議員の切り崩しにかかる。

奴隷解放急進派のタデウス・スティーブンス(トミー・リー・ジョーンズ)は状況をじっと見守っている。

リンカーンは長男のロバート(ジョゼフ・ゴードン=レヴィット)とはぎくしゃくしていた。リンカーンの妻のメアリー・トッド(サリー・フィールズ)の強硬な反対を押し切って、ロバートは正義感で北軍に入隊しようとする。リンカーンは息子を戦争で亡くしている。父としては長男を戦場に行かせたくなかったがやむを得なかった。
大統領周辺による多数派工作が進む中、成立は微妙な状況だった。リンカーンは1月25日、下院議会に合衆国憲法修正第十三条に提出するが。。。

「ギャングオブニューヨーク」や「ゼアウィルビーブラッド」でのダニエルデイルイスは荒れ狂う野獣のようである。その演技を連想すると若干違う。このころの大統領は常にさまざまなことに悩まされていたのだ。終戦のタイミング、法案の成立、妻や息子との葛藤など。波状攻撃で死ぬ直前まで落ち付かなかった。大統領としての権限で一部激しく主張する場面もあるが、あとは冷静沈着である。リンカーンの性格が温和だったというのがよくわかる。そして、ダニエルデイルイスは徹底的にそれを研究していたと思われる。

あと抜群にうまかったのは妻役のサリー・フィールズだ。南部出身と言われる妻はある意味出しゃばり女だ。周辺の議員に絡むときに示す強い意志ばかりだけでなく、母として夫アブラハムが息子を戦場に送らないように懸命に訴える姿を演じる部分を通じて妻の性格も浮き彫りにされた。

民主党の反対派の論点はもし奴隷制を止めたら、400万人に及ぶ黒人奴隷が解放されてしまい、白人の雇用も圧迫されるのではないかということだ。なるほど、その影響はあるけど人道的には違うよね。
自由貿易、保護貿易をめぐる南北の対立の話は知っていたけど、北軍側でこんな権力闘争があるとは知らなかった。反対派を口説くのは職を与えることだった。民主党議員は選挙で敗れ、職を失う可能性すらあった。そこを突いた共和党の面々は彼らにポストを用意した。なるほどうまいやりかただ。勉強になった。

議案が通るか微妙な状況で、多数工作で揺れ動いた議員が次々に法案に賛成する。反対演説をした議員までが賛成に回る場面は爽快な気分になった。
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映画「特攻サンダーボルト作戦」 チャールズ ブロンソン

2013-05-03 06:33:30 | 映画(洋画 89年以前)
映画「特攻サンダーボルト作戦」は1977年の作品だ。
元々はテレビ映画だったという。出演者はチャールズブロンソンはじめ当時のトップ級だ。


正直この作品の存在は知らなかった。ツタヤの復刻版にあり、ブロンソンの顔を見て解説を見たら面白そうだ。しかも「ネットワーク」で強烈な演技を見せオスカーをとる前に亡くなったピーターフィンチも出ているではないか。
昨年「アルゴ」がオスカー作品賞をとったが、自分的には「ゼロダークサーティ」のほうが今でも上だと思っている。「ゼロダークサーティ」は外交の交流が薄いパキスタンに忍び込んでビンラディンを射殺する。米軍の特殊部隊が夜輸送の空輸機に軍の精鋭を乗せパキスタンに侵入させる。この映画はそれと共通点を持っている。この映画でもイスラエル軍は自国から出発してケニアからウガンダに密かに夜間侵入する。そしてテロに人質になっているユダヤ人を無理やり救出するのだ。

話自体スリリングだし、周到な準備の中作戦を履行している軌跡が語られる。
これは掘り出し物の映画だ。

1976年6月27日、テルアビブ発パリ行きのエール・フランス機が、経由のアテネ空港出発30分後テロリストにハイジャックされた。チェチェ系のゲリラと名乗るハイジャック犯たちは、世界各国で捕らわれているゲリラの釈放を要求する。乗客は245人の中にユダヤ人が100名近く含まれている。まず飛行機はリビアの空港に一時着陸する。その後アミン大統領が独裁政権をとるウガンダのエンテベ空港に着陸した。アミンはその当時反イスラエルの立場だ。エンテベでは空港ロビーが人質の宿舎となっていた。テロリストは全員のパスポートを回収する。パスポート上の国籍で判別されて、イスラエル籍以外の人質全員が解放された。テロリストはイスラエルを狙い撃ちにして交渉を優位にしようとしている。

イスラエルのラビン首相(ピーター・フィンチ)は、軍部が提案した人質救出作戦サンダーボルトの決行に踏み切る。ラビン首相は犯人グループの要求を受諾することも検討する。しかし、「テロには屈しない」という意志のもと、作戦を決行する。
ダン・ショムロン准将(チャールズ・ブロンソン)を司令官にイスラエル軍の精鋭部隊が集められた。その中には射撃の名手も多い。テロリストたちの要求のタイム・リミットは7月4日午前11時。タイムリミットが近づく中、精鋭部隊は入念に準備をして救出に向かうのであるが。。。


アルゴでは、イランのカナダ大使館に潜んでいるアメリカ大使館員をCIA職員がだましだまし脱出させる作戦であった。武装をしての脱出ではない。
今回の作戦では軍が主導になっての国境中央突破である。国交のない他国に忍び込んで、100人もの人質を脱出させるなんて話はすごいとしかいい様にない。
日本ではこの事実があまり語られていなかったのではないか?おそらくはオイルショック後、アラブ系石油産油国にかなり肩入れしたのでイスラエルを弁護するような話が出来なかったのであろう。しかも、日本では人命第一という方針のもと、福田赳夫首相が拘留されているテロリストを釈放するのだ。
当時日本ではチャールズブロンソンの人気は絶大なものがあった。そういった中、普通であれば公開されてもおかしくないこの映画の公開が10年も後になったのが残念だ。

「スターウオ―ズ」シリーズの最高傑作を「帝国の逆襲」という人は多い。自分もそう思う。
アーヴィン・カーシュナーが監督だ。彼がこの映画を撮っているというのも大きい。
脱出までの軌跡が緻密に描かれる。作戦履行もじっくりと実践演習して、50分台で空港を救出退出できるような作戦に仕立てる。その過程も丹念に描かれていく。同時に緊張感あふれる救出部隊の出発の場面やウガンダへの飛行機内における隊員のドキドキ感も臨場感をもって表現される。
どんな風に作戦を履行させるのか、映画を見ながら次はどうなるのか固唾をのむ。

3日午後11時救出部隊がエンテベ空港に着陸した。まずウガンダ軍の監視の兵2人に向かって麻酔銃を撃つ。アミン大統領が乗っていると連想させる黒塗り車を走らせゲリラにそれらしき動きを見せない。そこには射撃の名手を隠す。空港前にいる監視のゲリラを射撃する。脱出に向けての一歩だ。そしてロビーのゲリラ7人を撃ち殺す。そして追撃されないようにウガンダの戦闘機を次々爆破する。異変に気が付いたウガンダ軍が現地に向かう。早く脱出するしかない。到着した軍から懸命に防御する。
結局、人質全員を乗せて離陸するまで、わずか53分の救出作戦だった。残念ながら全員救出とはならなかったが、凄い作戦の履行に唖然とさせられた。実話と思うと凄すぎる。

苦悩にあふれるイスラエル首相を演じたピーターフィンチはこのあとすぐ死んでしまう。まるでこの作戦で神経すり減らしたかのように。この年「ネットワーク」の怪演でオスカー主演男優賞を死後受賞する。

司令官チャールス・ブロンソンが渋過ぎる。精鋭たちの士気を高揚させる。
荒野の7人」はずっと前、「さらば友よ」は68年、「マンダム」のCMは70年、「狼よさらば」は74年でそのあとだ。我々ブロンソン世代にはたまらない渋みのある演技だ。
でも一番見ていて楽しいのはアミン大統領のパフォーマンスだ。マスコミを意識して人質とは融和体制をとる。女性や子供、そしてユダヤ系を除く欧米人が順番に解放される。その際、俺のおかげで解放されたんだと笑う高笑いが印象的だ。演じる黒人俳優ヤフェット・コットーがうますぎる。「キングオブスコットランド」と比較してみてみるといい。

アルゴゼロダークサーティが好きという人には絶対のおすすめだ。
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映画「ジャッキー・コーガン」 ブラッド・ピット

2013-05-02 05:31:30 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「ジャッキー・コーガン」を劇場で見た。

ブラッドピット主演の殺人鬼というと、興味を覚えさせるのでみたけど、これほどつまらない映画も珍しいなあ。普通だとブログアップしないんだけど、みんな見に行ったらたぶんがっかりすると思うので、あえて取り上げる。

刑務所から出所したばかりの若者フランキーと犬泥棒をして生計を立てるイカレた男ラッセルは、獄中で知り合った男ジョニーから持ちかけられた強盗計画を実行に移し、大金を奪うことに成功する。

ターゲットとなったのは雇われ支配人マーキーが運営する犯罪組織の賭場だが、彼らには組織の追跡を逃れる勝算があった。

組織の連絡員、通称"ドライバー"(リチャードジェンキンス)は凄腕の殺し屋ジャッキー・コーガン(ブラッド・ピット)に事件の解決を依頼。マーキーの自演を疑っていた組織は彼を痛めつけて犯行を自供させるつもりだったが、ジャッキーは彼を殺すべきだと言ってゆずらない。そこにはジャッキーならではの哲学が存在した。

強盗を成功させ浮かれるフランキーとラッセル。しかしふとしたことから彼らの犯行が組織にバレてしまう。 依頼人の"ドライバー"にジャッキーは言う。「おれは標的を優しく、殺す。」
ついにマーキーの殺害を実行に移すジャッキー。
マーキーは自分に危険が迫っていることを、まだ知らない。
ジャッキーは強盗の犯人たちをジワジワと追い込んでゆく。
金に狂ったギャング、エージェントの背後の影、同業者たちの思惑と裏切りが複雑に絡み合った時、ジャッキーが辿り着いた結末とは・・・。
(作品情報から引用)

思わず作品情報引用したが、映画のストーリーを文面にしづらい。こんなことめったにない。
登場人物が常にらりっているような奴ばかりで、不愉快な感じにしか見えない。それに加えて、わけのわからないことばかりしゃべっている。そのセリフが不必要に長い。タランティーノの作品で似たような展開のものがあるが、それと比べてもまさに意味不明だ。長いセリフの間についウトウト。。。

ジャッキーがマーキーを殺害するシーンにはさすがにうなる部分も少しあるけど、それ以外は??
主人公ジャッキーに困難が何もない。普通であれば、ゴルゴ31でも絶体絶命のようなシーンがある。それで見るものをヤキモキさせるんだけど、要は簡単な仕事にしか見えない。終わる時これで終わるの?と思ってしまう映画あまりないのでは。
他の映画見ればよかったと反省した。


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映画「夜明けの街で」 岸谷吾朗&深田恭子

2013-05-01 21:50:17 | 映画(日本 2011年以降主演男性)
映画「夜明けの街で」は2012年公開の岸谷吾朗と深田恭子の恋愛映画だ。
東野圭吾の原作ということで軽いミステリーの要素をもつが、基本は不倫映画だ。

建設会社に勤める40歳過ぎの渡部和也(岸谷五朗)は、バッティングセンターで自分の会社に派遣社員として勤めている秋葉(深田恭子)とばったり遭遇する。親友の新谷(石黒賢)も一緒に3人でカラオケに行く。はしゃいだ後、送る途中で秋葉が渡部の背中に嘔吐した。翌日、彼女からメール連絡あり会うが、素直でない態度に渡部はキレる。でも2人はそれをきっかけに会うようになる。渡部は妻有美子(木村多江)と小さい一人娘に囲まれて、幸せな生活を送っていた。

湘南のデートの後、二人は秋葉の叔母妙子(萬田久子)が経営するバーで一緒に飲む。ただならぬ雰囲気を感じる。渡部は彼女を横浜の実家まで送る。凄い豪邸だった。そこで秋葉の父(中村雅俊)と遭遇する。挨拶をするが、親子の間は冷ややかだった。招かれるまま屋敷に上がり込む渡部に、秋葉はこの屋敷で殺人事件があったことをほのめかす。そして一線を越える2人。不倫と縁がなかった渡部だったが、秋葉との関係は終わることはなかった。疑う様子のない妻と娘に対して罪悪感を覚えつつも、逢引きの日々が続いていくのであったが。。。。

先日の「テイクディスワルツ」では、女性目線の不倫物語という話をした。
この作品は全く真逆である。
一人称ではないが、岸谷吾朗の視線で語られていく。中年にさしかかった男性が若い素敵な女性に誘われ戸惑う姿。わかっていながらも引き込まれていく姿。妻にいい加減ないい訳をする姿。離婚なんてするつもりもないのに、一歩進んだセリフを言ってしまう姿。この映画を見て、自分のやってきた悪事に重ねるオヤジたちは多いだろう。
しかも、深田恭子ちゃんは相変わらず可愛い。

この映画でもかかっていたサザンオールスターズの「LOVE AFFAIR 〜秘密のデート」の歌詞にある横浜のベイブリッジ付近の光景を見て、ちょうど15年くらい前に放送されていた椎名桔平、松嶋奈々子主演のテレビドラマ「SWEET SEASON」を思い出した。中華街で肉まんを一緒に楽しそうに食べているシーンや温泉不倫旅行へいくシーンが印象に残る。アレはアレで実に刺激的な番組だったが、美男美女のスマートな恋よりも不器用そうな岸谷吾朗が入っているだけで、ストーリーにより真実味が出てくる気がする。



いずれにせよ男のいい加減さがにじみ出ている映画である。
女性が見てもたぶんむかつくだけの映画だろう。奥さん役木村多江がいつもながらいい感じで、この映画を見た男たちは多少火遊びはやる気にならなくなるのではないかな??
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映画「ブラック&ホワイト」 リースウイザースプーン

2013-05-01 04:01:49 | 映画(洋画:2013年以降主演女性)

映画「ブラック&ホワイト」は2012年公開のスパイ映画だが、どちらかというとラブコメディの色彩が強い。オスカー女優リース・ウィザースプーンが行き遅れのキャリアレディを演じ、それを取り巻く2人の恋人からモテモテの役柄だ。

まずはCIAの凄腕エージェントであるFDR(クリスパイン)とタック(トム・ハーディ)の2人がロシアの黒幕相手にその腕前を示すシーンからスタートする。
彼らはコンビを組んで成果を上げてきた。ちょっとやりすぎだとしばらく謹慎とばかりに内勤になる。時間ができた2人は軽い婚活をする。ともに恋人ができたという2人が写真を見せると何と同一人物ではないか!!ローレン(リース・ウィザースプーン)という同じ女性を好きになってしまったことで、その関係に亀裂が入る。二人は職権を濫用し、重要な任務だと偽って精鋭チームまで結成し、お互いのプライベートの様子を無人偵察機やスパイ衛星で監視・盗聴したりする。ロシア人黒幕からの復讐を交わしながら2人ともローレンをものにしようとするのだが。。。

元カレを追って引っ越して来たにもかかわらず、リース・ウィザースプーンの相手には新しいかわいいフィアンセがいる。街でばったり出くわした元カレカップルに「新しい恋人に会いに行くところだ」と見栄を張るリース。でもそのまま行きつけのすし屋に入ったら、先ほどのカップルがやってくるではないか。一人で恥ずかしい思いをする。
あえてオスカー女優リースにどじな演技をさせるのである。
モテモテの役という設定となるが、実際には行き遅れの悲しいキャリアレディだ。彼女も若くはないので、そういう役柄設定する必要がある。しかし、それだけだと映画を見に来た世の独身女性には夢を与えない。そんな行き遅れ女性をモテモテにしてしまって、もしかしたら自分にもというシンデレラ願望を与える。そこがいいところだ。
だから1億5000万$もの興行収入があるのであろう。

リースの実年齢は37歳で彼らは両方とも少し年下だ。
「30半ばになるリースが若いイケメンにここまでもてるわけないだろう。」と思う人も多いかもしれないが、自分は割と良くあるパターンかと思う。恋をめぐっての争いは、ライバルが自分の良く知っている男であればあるほどエスカレートするものだ。自分もその経験があるし、周りも同様のケースをいくつも見てきている。争う相手が美人であるかどうかの問題ではないのだ。男性が持つ対抗意識がエスカレートすると、目の前が見えなくなるのだ。
顔を見せているわけではないが、トムハーディは「ダークナイトライジング」で不死身の悪役を演じた。「バットマン」のマスクを剥いで窮地に追い込む役柄である。一方のクリスパインも「アンストッパブル」でデンゼルワシントンと競演して強い印象を残した。いずれも前途有望というべき、若手人気俳優である。そういう2人からモテモテの役を演じてリースウィザースプーンも気分は悪くなかろう。

この映画はある意味究極の職権濫用映画ともいえる。
CIAエージェントの2人が組んでコテンパンにロシアの黒幕相手を6人殺してしまった。やりすぎで復讐が必ず来るよと2人が内勤に異動になるところからスタートだ。トムハーディは婚活で知り合う。もう1人クリスパインはDVD屋で知りあい会うようになる。でも2人は丸秘の裏情報を集めるのが仕事だ。ハイテクの探知機など、諜報活動はお手の物だ。しかも、偵察機や衛星まで稼動してそれぞれの恋愛状況を知ろうとする。これがもし本当にあったら、使うお金って億単位になってもおかしくない話である。ヤバイヤバイ。でもこれが映画の世界だ。

この映画で特筆すべきは、色彩設計が巧みなインテリアデザインであろう。すばらしいセンスを見せる。特に部屋におかれている小物のセンスがいい。リースが勤めるオフィスの黄色や赤が基調のヴィヴィッドな色彩、FDRの住むプールの底を眺められる居室など。。住居系のしつらえが抜群のセンスである。映画をストーリーだけで見るものではないというのを実感させる美しい映像だ。

お気楽に見れば良いんじゃないかな。
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