山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

茅ヶ岳に咲く花たちとオキナグサ保護作戦その後  令和1年5月6日

2019年05月08日 | 山に咲く花
 長いと思っていた10連休もあという間に最終日を迎えてしまった。県外に行く計画も立ててはいたが結局は山梨県内の近場を巡っただけで終わってしまった。連休最後に見に行くのは設置した保護柵の確認とその中に咲いているオキナグサがどうなっているかだ。林道が開いているので中腹から登り始められるのであまり急ぐ必要は無いのだが、前日の十二ヶ岳がかなり体に堪えたようで足は大丈夫なのだが体がだるくて重過ぎる。おそらく軽い脱水だろう。いつも以上にピッチを落として登る。


    樹林帯を横切りながら女岩側の登山道に入る。林床にはワダソウが点々と咲いていた。


    尾根道ではほとんど見かけなくなったワダソウだが樹林の中でしっかりと咲いていた。


    キケマン


    ムラサキケマン


    そしてユキヤブケマン。3種類のケマンソウが楽しめる茅ヶ岳。


    ニリンソウが見ごろ。


    苦手のハコベの仲間。茎が緑色で毛が生えておりどうやらミヤマハコベらしい。


    ヤマエンゴサク


    勢力を伸ばしつつある黄色いネコノメソウ属の花。


    コガネネコノメソウ。山梨県絶滅危惧ⅠB類とは思えない群生の仕方である。


    この一角は色の濃い個体が多い。


    アケボノスミレ(クロバナアケボノスミレ)


    白いエイザンスミレ


    ピンク色のエイザンスミレ


    やっと見つけたヒメスミレサイシンは踏まれたのか痛んでいた。


    シダは調べても全く分からず。胞子嚢の葉が外側に出ている。


    4時間もかかってやっと山頂に到着。連休最終日だというのに誰も居なかった。時々小雨が降った。


    しばらくメインテナンスしていないのでだいぶ痛んでしまっている山頂の標柱。次に来るときは道具を持って来よう。

 かなりのスローピッチで登って来たのでさほどの疲れも無く、山頂では休憩せずに保護柵を設置した場所まで下りて昼食にする。心配していた柵はしっかりと立っていたが1本だけグラついているポールがあったので修復した。


    しっかりと立っていた保護柵。今シーズンは十分に持ち堪えてくれそうだ。


    食害に遭わずしっかりと咲いてくれたオキナグサ。


    このあたりはポツポツだが・・・


    少し上のほうは葉がたくさん出ている。


    花数も昨年とほぼ同じくらい咲いてくれた。


    なんとか今年も保護に成功。


    茅ヶ岳のオキナグサ。

 柵の周辺には踏み跡がいくつかあり、この花を心配して見に来てくれている人たちが何人も居ることを知っている。励ましの言葉や手伝うと言ってくれる人たちにも何人も出会っている。それだけこの山を愛する人たちがたくさん居て、花たちを心配している人たちが居るということである。オキナグサ保護作戦は決して一人でやっているのではなく、多くの人たちが支えてくれて見守ってくれている作戦なのである。

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スミレとコイワザクラ咲く山へ 十二ヶ岳  令和1年5月5日

2019年05月08日 | 山に咲く花
 コイワザクラが咲き出したらしい。おそらくヒメスミレサイシンも咲いているだろう。花を見に行くのが最大の目的ではあるのだが、もうひとつ確かめておきたいことがある。それは、この山に咲くコイワザクラと思ってきた花は本当にコイワザクラなのか?ということである。コイワザクラとクモイコザクラはどこがどう違うのか?十二ヶ岳はコイワザクラなのに何故に同じ環境の三ツ峠はクモイコザクラなのか、ずっと疑問に思ってきた。形態的な分類なのでおそらくは決着が着かない議論であろうが、今年はこの2つの花を追いかけてみたいと思っている。

 まずは見てきたスミレを主に。


    フデリンドウがたくさん咲き出していた。


    タチツボスミレに混じって数株オトメスミレが咲いていた。


    登山道から少し入った日当たりの良い林の中にはヒゴスミレがポツポツと咲いていた。


    薄い赤紫の筋が入ったヒゴスミレ。純白も良いがこんなヒゴスミレも美しい。


    この季節にまだ会えるとは。ゲンジスミレ。


    登山道のど真中に咲いていたゲンジスミレ。


    アカネスミレ。今年はあまり見かけない。


    稜線に出るとエイザンスミレ。


    フモトスミレは少しだけ。


    この山の代名詞のようなスミレ、ヒメスミレサイシン。


    ヒメスミレサイシン


    フジマメザクラと雲のかかる富士山。毛無山から。

 様々なスミレを楽しみながらきわめてスローペースで登る。以前にもゲンジスミレは数株見かけたことがあったが、思っていたよりも数は多かった。また、ヒゴスミレが結構咲いていることは新たな発見だった。連休だというのに思っていたほど登山者は多く無かった。

 さて、問題のコイワザクラである。ポイントとなるのは葉の形と切れ込みの深さということになるのだろう。


    咲き始めたばかりのコイワザクラ


    しかし核心部はまだ蕾だった。


    写真で見ると大きく見えるが実際には小さな花。


    さて、この葉をどう見るか?

 インターネット上の記述を見るとクモイコザクラの葉は約3分の1裂して葉の先端が尖ると書かれている。この葉は3分の1裂まで深く無いが葉の先は尖っているように見える。他の葉を見てみると尖っているものもあればそうでないものもあり、葉の切れ込みが深いものもあれば浅いものもある。つまり、これだけでは区別できないのではないかと思う。クモイコザクラはそもそもコイワザクラの変種という扱いになっており、某図鑑の記載では秩父山系、八ヶ岳、南アルプスに分布すると書かれている。その記述からすると御坂山系はコイワザクラになるのだろうとずっと思ってきた。しかし、山梨県の植物に詳しいグループの見解では山梨県は全域がクモイコザクラだという意見もある。遺伝子学的な解析でも両者の区別は難しいという話も聞いたことがある。つまり、はっきりした区別は付けられないのではないかと考えるに至っている。他の場所のこの花を良く見てくる必要がありそうだが、当面は図鑑の記述による分布域からこの場所に咲いているのはコイワザクラとしておいて良いだろうと考える。

 さて、もうひとつ確かめておきたいことがあった。私の考えが正しければ、サクラソウがそうであるようにこの花には雄花と雌花があるはずである。


    サクラソウ科のこの花。雄花と雌花はあるのか?


    中央部に1本だけ柱が突出している花。これは雌しべで雌花になるだろう。


    一方こちらは中央の柱が見えず5本の突起が見えている。雄花と見て良いだろう。


    奥が深いサクラソウの仲間。

 サクラソウの遷移と保護について書かれた本を読んだ際にサクラソウには雄花と雌花があることを知り、一つの株はそのいずれかに分かれていることを知った。個体数が多い時には雄花と雌花があるが個体数が少なくなると両性花に変わって来るとも書かれていた。個体数が多い十二ヶ岳のこの花は状態が良く、雄花と雌花に分かれていると言って良いだろう。

 存分に花を見て回り、コイワザクラも楽しませてもらった十二ヶ岳。9時間かけての一人花見山行を満喫した。
    

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