山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

予定外の花メンバー集結 杓子山  平成25年5月26日

2013年05月27日 | 山梨百名山
 前日の25日、みちほさんからメールが入る。今日はなんと、山梨の山、蛾ヶ岳に登るそうで、明日は滝子山の予定だそうだ。一方、sanaeさんたちは丹沢の山に登っていて、距離的には山梨に近い位置にいた。私は富士山麓の花探しになるだろうと思っていたのだが、昨年花を確認できなかった杓子山のスズムシソウらしき葉がずっと気になっていた。その場所には他のランも咲くらしい。どうせ今シーズンいつかは行くのだろうから、ならば皆さんに連絡をとってみて・・・ということで、急遽26日の日曜日にいつもの花探し鈍足メンバーが終結することとなった。

 7時に山中湖花の都公園に集合と思ったのだが、この日は山中湖マラソンがあって1万人を超える人たちが山中湖に集まることを前日の夜に知った。そこで集合場所を登山口の鳥居地峠に変更してもらう。2組は山中湖近くの道の駅に車内泊なので待ち合わせ時間には問題無く行けるが、問題なのは私のほうだった。マラソンの受付け開始時間は朝6時、もしも渋滞が始まってしまうと、集合時間に遥かに遅れてしまうこともあり得る。早起きは苦手なのだが、この日の朝は4時半に目覚ましをかけて5時に甲府の自宅を出発した。しかし、河口湖町に入っても渋滞は全く無く、6時半前に鳥居地峠に到着した。みちほさんに電話するとsanaeさんたちも同じ場所で車内泊しており、15分ほどで2組が到着した。今日は高座山・杓子山・鹿留山・立ノ塚峠周回のややロングコースで、まず私の車を立ノ塚林道の入り口にデポしてくる。そして7時半に鳥居地峠を出発。登山道に入ると、林の中にはササバギンランがたくさん咲いていた。高座山の草地は緑がすがすがしく、オオバギボウシの若葉やアマドコロ、おどろくほど大きなチゴユリなどの花が咲いていた。花を見つけると写真、わからない花があると集まって議論。コースタイム通りに歩けるはずも無い。滑り落ちそうな急登の土斜面を登り、8時50分、高座山に到着。

    花が見たい花見隊、予定外の集結。


    林の中にはササバギンランがたくさん。まずは今日の前菜。


    高座山の草地と高座山。後続のグループには当然の如く追い抜かれ、またたく間に姿が見えなくなる。


    アマドコロと富士山


    驚くような大きさのチゴユリ。名前を大チゴユリに改めましょう。


    高座山の草地と富士山


    山頂直下の滑りやすい急登。


    富士山をバックに記念撮影。まだ山頂じゃないですよ~。

 杓子山に登る前にちょっと林の中に立ち寄らせてもらう。昨年スズムシソウらしき葉を見つけたところに入ってみるが、今年は葉っぱすら見つからない。その代わりに見つけたのがヤマシャクヤクの花。周辺を少し探したがやはり見つからず、踏み荒らすのも山に申し訳ないので止めて登山道に戻る。11時35分、杓子山山頂に到着、鈍足花見隊にしては速い!

    ヤマシャクヤク発見。清楚で心が洗われるように美しい花。前菜その2。まだメインの料理ではありませんよ~。


    この白いスミレは? おそらくエゾノタチツボスミレ。


    杓子山山頂。富士山は雲隠れしてしまった。


    キンポウゲと杓子山山頂

 杓子山山頂で昼食後、鹿留山(ししどめやま)を目指す。この先の鹿留山までの稜線はご機嫌なブナ、ミズナラなどの広葉樹林の森が広がる。「山梨百名山から見る風景」などというブログタイトルにはなっているが、実はこの稜線を歩くのは今回が初めてだ。稜線には、もう終わってしまっているだろうと思っていたキスミレがまだ咲き残っていた。

    心休まる新緑の広葉樹林帯


    大きなブナの新緑


    タチカメバソウ。初めて出会う花。


    キスミレ。まだ残っていた。


    キスミレ


    ブナの巨木を囲んで


    立派なブナの木


    途中にある富士山の展望岩。残念ながら雲隠れ。


    鹿留山山頂。みんなカメラ小僧。


    山頂に立つミズナラ(?)の大木

 午後1時50分、鹿留山山頂到着。予定通りの鈍足ハイピッチだ。休憩後立ノ塚峠に向かうがこの先の道は情報通りワイルドだった(望の富士山から引用)。スリップしそうな土の急斜面、そしてロープの付いた岩場・・・。鈍足ながら経験は豊富なので、順調にこの難所を通り抜け、午後3時45分、立ノ塚峠に到着する。

    スリップしそうな土の急斜面


    ロープのついた岩場。ワイルドだろ~。


    こちらにも白いスミレ(たぶんエゾノタチツボスミレ)


    もうひとつ白いスミレ。これはにょいっと出てきたニョイスミレ(意味わからん!)。


    立ノ塚峠。決して真っ直ぐ進まないように、標識の方向ををしっかり見て歩きましょう。

 あとは林道をゆっくりと歩いてデポした車のところまで行くだけだ。次週開催されるトレイルランニング競技のコースとなっているこの林道はきれいに整備されていて歩き易く。予定していた午後5時を少し過ぎた頃に車に到着した。

    林道をゆっくり歩いてデポした車のところへ。


 さて、メインディッシュはどこに行ったのか??予定していた場所では発見できなかったスズムシソウ、生育環境が似通っているので反対側にもあるのではと思っていたが、やはりあった。そしてヤマシャクヤクも。さらに、驚きの花を発見した。

    ラン科クモキリソウ属スズムシソウ。これが本日のメインディッシュ。


    その名の通り、まさにその花は鈴虫の翅。


    ヤマシャクヤク。みちほさんはこの花がお気に入り。


    驚きの花とはこれ。腐生植物サカネラン。


    数日前にこの類のランを図鑑で見ていたばかり。本当に出会えるとは超ラッキー!私にとってはこれがメインディッシュ。

 食後のデザートを忘れている。最後に、昨日訪れた富士山麓の森にちょっとだけ立ち寄った。そちらの記事は・・・「気楽に山歩き」「もっと花を訪ねて何度でも」をお楽しみください。

 素晴らしき杓子山界隈の森。2,000人もの参加者があるトレランの大会が次週開催されるが、この豊かな自然を壊してしまわないように配慮をお願いしたい。
     
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幻の花 コアツモリソウを追って 富士山麓  平成25年5月25日

2013年05月26日 | 番外編
 コアツモリソウなる小さなランの仲間が富士山麓に咲くことを複数の方のブログから知った。その中で、富士山麓の自然教室なるものの報告からある程度の自生地の予想がついた。しかし、そこは樹海の中、GPSを持っていない私には危険な場所であることは間違いない。もし迷ったら・・・ひたすら水平移動して登山道まで行くか、あるいは南下して林道に出るか・・・2時間もさまよえばいずれかに出られると予想される。ならば、この幻の花を探しに週末は樹海に踏み込もうと、富士山の地図を広げながら思案していた。

 そんな折、コアツモリソウがアップされたばかりの某ブログに無茶な書き込みをした。「すみませんが咲いている場所を教えてください」と、メールアドレスとともに書き込む・・・。普通ならばこんな無茶な書き込みに答えてくれるはずも無いのだが、金曜日の夜にメールを開いて驚いた。返信が帰ってきており、しかもかなり詳細に在り処を記載していただいた。さっそく翌日、教えていただいた場所に行ってみる。

 林道の入り口を間違えたが、細い林道をカーナビで進むと教えていただいた場所にたどり着いた。車を止めてそっと森に入る。なにせ、コアツモリソウは葉が小さいうえに花が葉の下側についているため、葉を見て判断しないと誤って踏んでしまう可能性がきわめて高い。森の中を探すが・・・あったのはササバギンランくらいだった。

    最初に入った森にあったササバギンラン

 どうやら場所を間違えたようだ。沢を対岸に渡って獣道に沿って反対側の森を探すと、それっぽい葉はあるが花が付いていない。これから花が出るのか、それとも別のものか、それとも単なる木の芽の双葉か・・・?わからないままに足元に細心の注意を払いながら進むと、明らかに尋常ならない葉が目に留まる。そして葉をめくって裏側を見ると・・・あった!コアツモリソウ!!あたりを見回せば同じような葉がたくさんある。その中には小指の大きさにも満たない小さな葉があり、大きな葉でもそのほとんどが花をつけていない。

    怪しい葉を発見したが花が付いていない。この正体は?? 写真を良く見直せば、右下の葉はおそらくコアツモリソウ。この時は全く気付かず。


    ランらしき光沢のある双葉を発見。裏を見れば蕾が付いていた。これこそ探していたコアツモリソウ。そして左脇のスギの葉に隠れている葉、小指にも満たないこの葉もコアツモリソウ。


    森の中にひっそり咲く小人、コアツモリソウ


    コアツモリソウの葉が群生しているが、花が付いているのはほんのわずか。なので、この葉が同定できなければ間違い無く踏み荒らしてしまう。決してむやみに踏み込んではいけない森だ。

 ふと脇を見れば、スズムシソウが数株咲いていた。昨年杓子山でそれらしき葉だけ確認したが、花を見るのは初めてだ。これにも感動した。

    スズムシソウ。本当に鈴虫の翅のような花。


    別の場所で見つけたスズムシソウ


    ワニグチソウ?図鑑では2個花が付くと書かれているがこれは1個しか無い。

 森を抜けると林道に出た。そしていただいたメールを確認して教えていただいた森にも入らせていただく。コアツモリソウの葉には目が慣れたので容易に発見できた。こちらでは開花したコアツモリソウを何株か見つけることができた。

    別の場所のコアツモリソウ


    開花しているコアツモリソウ


    失礼、ちょっとだけお顔を拝見。


 植生豊かな素晴らしい森に深く感動した。この自然を壊すこと無く、後世に引き継いで行けたらと思う。この場所を教えていただいたブロガーの方に心から感謝したい。
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あの花は咲くのか? 下見に出かける  平成25年5月24日

2013年05月26日 | 山梨百名山
 写真関係の方から、昨年某所に絶滅危惧種のランが咲くという情報を偶然いただき、昨年は見事なその花を見ることができた。果たしてそのランは今年咲いてくれるのか?植田さんとともに下見に出かける。(花の保護のため山名は伏せさせていただきます。)

    急登りの階段を登る


    道脇にはクワガタソウがたくさん咲く


    アマドコロ


    こちらは鹿の食害か? 上部がちぎれたアマドコロ


    ズミの花


    ミヤマザクラ

 さて、肝心のランは・・・周囲の葉に埋もれてなかなか見つからなかったが、昨年と同様に3本出ている。無事に咲いてくれることを祈る。


    まだ葉だけしか出ていないラン。周囲には鹿の足跡がたくさん、無事に咲いてくれることを祈る。
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可憐に咲く森の妖精ホテイラン 八ヶ岳南麓  平成25年5月23日

2013年05月23日 | 番外編
 スミレの季節がほぼ終わり、いよいよランの咲く季節になった。この季節は行きたいところがたくさんあるのだが、なかなか行けずに季節が終わってしまうことが多い。その中にあって、この八ヶ岳南麓秘密の場所のホテイランはここ数年恒例で出かけている。そろそろ咲いている頃だろう。

 午後2時半に入り口に到着すると、もう1台車がやって来た。三脚を持っているので話をすると、やはり目的はホテイラン。秘密の場所にはなっているが、山梨・長野以外の車もかなりやって来る。沢沿いを歩いてみると、そこにはサンリンソウやイカリソウ、ミヤマエンレイソウなどの花がたくさん咲いている。

    沢沿いに咲くサンリンソウの群落


    サンリンソウ。ニリンソウに花は似るが、3本花が出るのではなくて花茎から茎が出てその先に葉が出る。一方ニリンソウは花茎から直接葉が出るので区別できる。


    ミヤマエンレイソウ

 目的地の森に入り、足元の花だけでなく葉にも十分注意しながらそっと忍び足で歩くと・・・例年のようにコミヤマカタバミやミツバオウレン、タチツボスミレ、ミツバツチグリなどの大群落。そして今年も出会えた、森の妖精ホテイラン。

    コミヤマカタバミ群落


    ミツバオウレン


    今年初見のホテイラン


    ホテイラン 首をかしげて 何思う


    苔の中からひょっこり


    恥ずかしがり屋は葉の下から


    親子ホテイラン


    兄弟ホテイラン


    ご近所さん


    やさぐれ独身者


    花婿募集中


    親分子分

 ちょうど見頃の秘密の場所のホテイラン、昨年よりはたくさん見ることができた。この場所よりも標高の高い八ヶ岳南沢は、ここが見頃になってから約2週間後が見頃を迎える。6月第2週から3週ごろが良いのではないだろうか。
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アカヤシオツツジ咲く袈裟丸山(群馬県)  平成25年5月19日

2013年05月22日 | 番外編
 鳴神山から下山後、当日予約した高崎駅前のホテルに向かい高崎の夜を満喫した。印象としては、人口30万人を抱える町にしては飲食店街の人出が少ないように感じた。たまたま立ち寄った焼鳥屋は満席だったが、人通りはあまり多くない。甲府も盛っているとはいえないが、似たような感じだった。ホテル帰り際に立ち寄ったコーヒーショップは、オーナーが私と同じく千葉県の出身、しかも釣りが好きで、私が生まれ育った勝浦にもたびたび足を運んでいたそうだ。千葉の話や釣りの話ですっかり盛り上がり、時計を見ればもう深夜11時半。明朝4時出発の計画はもはやこの時点であきらめた。目が覚めたら出発ということにして、ホテルでは目覚ましをかけずに寝る。

 目が覚めたのは意外にも早い時間で、5時だった。天気予報では午後から雨だが、朝の空はそれほど曇ってはいなかった。コンビニに立ち寄って朝食を済ませ、塔の沢登山口に到着したのは7時15分ごろだった。メインの登山口は折場らしいが、折角なので寝釈迦像なるものを見てみたいのでこちらのルートを選ぶ。山頂(前袈裟丸山)を目指すが、天気と時間が無理ならばその手前の小丸山まで行くことにして、7時半に塔の沢を出発する。

    塔の沢登山口の駐車場。車がいっぱいかと思っていたが以外にも空いていた。


    林道終点。RV車ならここまで入れるが、歩いても10分ほど。


    登山道入り口

 沢沿いの道を進む。新緑が美しく、また沢筋の花崗岩の造形が美しく古代遺跡か天空の城ラピュタを思わせるような天然の岩が立っている。1時間20分ほど歩いてお目当ての寝釈迦像のところに到着する。

    古代遺跡を思わせるような天然の岩の造形


    新緑の美しい沢筋の道


    寝釈迦像のある場所


    寝釈迦像、足元側から。


    寝釈迦像、頭側から。


    寝釈迦像の解説。


    寝釈迦像はこの岩の上に横たわっている。

 もうひとつの造形物(こちらは自然の造形物)、相輪塔とはいったいどこにあるのだろうか?沢を渡った向こうに看板が立っているのでおそらくそちら側なのだろうが、相輪塔は帰り際に余裕があったら立ち寄ることにして先に進む。この先渡渉を何度か繰り返す。昭文社地図の解説書にはところどころ道が不明瞭と書かれているが、テープが付いているので迷うところは無い。1時間ほど歩いて避難小屋に到着した。建物は2棟あり、古いほうの中にはマットや毛布が干されていて、新しいほうは休憩所のようになっていた。快適に使えそうな小屋だった。

    避難小屋

 そこから10分ほどで賽ノ河原という広場に到着する。ここには休憩している登山者がたくさんおり、大半が折場登山口から登って来た人たちだった。さらに20人ほどの団体さんも到着し、ごったがえしている。折場登山口方向に進み、展望台を過ぎたところで良さそうなアカヤシオツツジが咲いていたので、そこで休憩する。

    賽ノ河原。平らな広場になっている。ちなみに、先ほどまでの沢筋は花崗岩だったが、ここで噴火岩(溶岩)に岩の質が変わる。


    展望台と袈裟丸山


    アカヤシオツツジと袈裟丸山(前袈裟丸山)
    
 賽ノ河原に戻り、ここは人が多いのでスルーして袈裟丸山方向に進む。なだらかな登りが続き、情報通りアカヤシオツツジはたくさんある。が、予想していたよりも花の付きが悪い。時期としてはちょうど満開なので、おそらくは今年ははずれ年なのだろう。良さそうな木を選んで写真を撮りながら小丸山まで行くと、そこも人がたくさん休憩していた。時間は11時半、ここで大休憩し、昼食をとる。

    アカヤシオツツジの森


    満開のアカヤシオ


    曇り空だと折角のピンク色が生えない。


    小丸山


    アカヤシオと袈裟丸山


    こちらは前袈裟丸山

 ここから前袈裟丸山まではコースタイムで1時間10分ほど、時間的にも行けない距離ではないが、その先の登山道を見ると花が咲いているようには見えない。また、雲行きも若干怪しくなってきたので、ここで折り返して下山することにした。山頂はまたの機会に。もし行くなら前袈裟の先の袈裟丸山頂まで行ってみたい。
 12時半に下山開始し、1時50分寝釈迦像のところに到着した。時間に余裕があるので相輪塔なるものを探すが、対岸に看板はあるものの本体がどこにあるのかわからない。看板の少し先まで踏み跡があるがその先は消えている。ならば・・・道無き斜面を登って上の稜線近くまで登ってみるがそれらしきものは見当たらない。あきらめて戻ると、ちょうど登りで一緒だった地元の方が下山してきたところで、在り処を聞くと、丁寧にその場所まで案内してくれた。踏み跡が消失したところをさらに進むとその先に奇妙な岩が立っていた。確かに凄い岩ではあるが・・・瑞牆山の大ヤスリ岩縮小版といったところだろうか。

    看板はあるが、本体はいずこ??山梨県外の山でも道無き斜面を登るとは想定外。


    地元の方に案内していただいてようやく出会えた相輪塔。


    下山途中で沢近くまで下りて見る相輪塔。側面から見ないとただの岩にしか見えない。

 相輪塔探しで40分ほど時間を費やした。あとはひたすら下山し、午後3時15分、塔の沢の駐車場に到着した。

 帰り際に渡良瀬渓谷鉄道の水沼駅にある温泉に立ち寄った。この温泉は駅のホームの中に温泉施設が入っているユニークな施設で、改札の無い(どこにあるかわからない)駅のプラットホームから温泉施設に入ることができる。ゆっくり汗を流して外に出てみれば、ぽつぽつと雨が降り出した。おそらくは前袈裟丸山まで行っていたらこの雨の中を歩くことになったのだろう。目的のアカヤシオは楽しんだことだし、これで良かったのだろうと思う。
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カッコソウ咲く鳴神山(群馬県)  平成25年5月18日

2013年05月21日 | 番外編
 植物図鑑で見るたびに見てみたかった花、カッコソウ。群馬県の鳴神山なる山にだけ咲くことは知っていたが、なかなか行く機会が無く、今年こそはなんとか見に行きたいと思っていた。花仲間のみちほさんのブログ「もっと花を訪ねて何度でも」を見てみると5月11日の時点でちょうど見頃を迎えていた。週末にはこれといった予定は入らなかったので、17日に群馬遠征を決める。

 18日、朝5時半に目が覚めたが、この時間に出発しても登山口の駐車場がいちばん混雑する時間に当たってしまうだろう。なので遅めの8時少し前に甲府を出発、高速を使わずに雁坂トンネルの一般道を行くことにする。途中でゆっくり食事休憩して、午後12時半に駒形登山口に到着した。駐車場を心配していたが、以外にもゲートの前が開いていたのだが、遠慮して少し戻って路上に車を止めた。10台ほど止まっていた車の半分ほどが地元群馬ナンバーだった。下山して来る人たちの姿がちらほらと見かけられたが、これから登って行く人の姿は見当たらない。ほぼ予定通りの午後1時に駒形登山口から出発する。林道の突き当たりには「鳴神山県環境保全地域」と書かれた大きな看板が立ち、カッコソウやナルカミスミレなどの貴重な植物が生育していることが書かれている。そして、「このすぐれた自然環境をこわすことなく、次の世代に伝えることができるよう大切に守りましょう」と記されていた。もっともである。

    鳴神山駒形登山口


    登山道を藤の花がおおう。


    沢筋の道を行く


    この山にはウラシマソウがたくさん生育する。


    こちらは山梨でも良く見かけるマムシグサ(ミミガタテンナンショウ?)

 登山道脇には咲き残ったタチツボスミレやマルバスミレがちらほら、エイザンスミレは大きな葉だけが残っていた。クワガタソウはちょうど見頃で、ピンクの可愛らしい花が目を楽しませてくれた。そしてお目当てのひとつであったヤマブキソウに出会うことができたが、こちらはもう盛期を過ぎて散り始めていた。

    可愛らしいクワガタソウ


    岩に付いていたイワタバコの葉


    ヤマブキソウ。初めて出会う花。


    ヤマブキソウはもう盛期を過ぎ、散り始めている。


    新緑の森


    ユキザサ

 1時間45分ほど歩いて鳴神神社に到着。山頂あたりで人の声が聞こえるが姿は見えない。昭文社の地図で場所を確認し、カッコソウの保護地を探すがこの地図には記載が無い。神社の建物周辺をひとまわりして、まずは山頂に行ってみることにする。

    鳴神神社


    神社の鳥居近くにはフイリフモトスミレの群落


    鳴神山山頂


    どこの山やら???山梨県外に出ると山の同定が全くできない。たぶん袈裟丸から皇海山の山塊と日光の山。

 山頂で昼食後、すぐ隣に見える仁田山岳に向かう。すると、そのコルのところにカッコソウ保護地の案内板が立っていた。神社から普通に登って来ると本来はこの場所に着くのだが、いつもの如く面白そうな右側の岩ルートを直接鳴神山頂に登ったのでここを通過しなかったのだ。咲き場所を確認し、仁田山岳を過ぎて再び鳴神神社に戻る。そして東側の登山道を少し下ると、スギ林の中に張られたロープの囲いの中にカッコソウが咲いていた。しかし・・・みちほさんやsanaeさんのブログで見てきたよりも遥かに数が少ない。

    鳴神山山頂と仁田山岳のコルにある案内板。


    仁田山岳山頂


    鳴神神社から東に少し下りたところにあるカッコソウ保護地


    カッコソウ。しかし、数が少ない。


    保護地に建てられた看板には桐生高校生物部と書かれている。ありがとうございます。

 どうやらたくさん咲いているのはこちら側では無くて、もう1か所の椚田峠側の保護地らしい。仁田山岳に登り返してそちらに向かう。途中には手入れの行き届いたスギの林が広がる。この山が地元の人たちから愛されて大切にされていることが伺える。椚田峠に到着すると、そこにはカッコソウ保護地を示す案内板が立っていた。峠にザックを置いてカメラと三脚、交換レンズだけ持ってそちらに行ってみると・・・

    手入れの行き届いたスギの林


    椚田峠。右側に行くとカッコソウ保護地。


    目を見張るカッコソウの群生。感動!!


    カッコソウ!


    カッコソウ!!


    カッコソウ!!!


    カッコソウ保護の看板

 目を見張るカッコソウの大群落。バイオの技術で増殖させたとはいえ、これほどの大群落になっているとは感動した。日が陰ってしまい写真の彩度は落ちてしまったが、遅い時間を狙ってきただけに誰もおらず、存分に撮影させていただいた。大満足して赤柴側ルートをひたすら下山し、5時半に駐車場到着した。

 カッコソウは鳴神山にだけ咲く貴重な花。これからもずっと咲き続けて欲しい。
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満開のコイワザクラ 淵坂峠・十二ヶ岳・節刀ヶ岳周回  平成25年5月12日

2013年05月14日 | 山梨百名山
 河口湖町大石の大石峠登山口を反対側の淵坂峠に登り、毛無山・十二ヶ岳・節刀ヶ岳と周回して戻るコースは、2年前の6月にテント1泊で天の川とミツバツツジを撮影して歩いたコースだ。もちろん日帰りでも歩けるコースだが、鈍足の私からするとちょっと大変なコースだ。もしも無理ならば途中の金山の手前から林道に下りる短絡ルートがあるのでそこから下山すれば良い。たまにはロングコース(といっても普通の人ならば少し長いくらいのコースだろうが)も歩かないと。このルートはアルペン気分の味わえる一ヶ岳から十二ヶ岳までの竜の背があり、歩いて面白いコースであり、またこの季節にはコイワザクラという綺麗な花が咲く時期でもある。

 大石峠登山口のところにある駐車スペースに行くと、車は1台も止まっていなかった。おそらくは十二ヶ岳に登る人たちはほとんどが尾根の向こうにある文化洞トンネルから毛無山経由で登っているのだろう。淵坂峠のルートは昭文社地図には載っておらず、あまり歩く人がいないマイナーコースだ。9時に出発し、沢を渡って登山道に入る。沢を渡ってすぐのところがちょっとわかりにくいが、左側にテープがつけられていてそちらに進むと、すぐに明瞭な道に出る。あとは山腹を巻くように道なりに進むと、尾根をひとつ回り込んだ先に淵坂峠があり、真っ直ぐ進むと河口湖町大石のバス停に至り、尾根に取り付くと毛無山に至る。道標があり、毛無山まで1時間40分、十二ヶ岳まで3時間と記されている。

    大石峠登山口の駐車スペース。向こうに見えるのがこれから歩く淵坂峠~毛無山~十二ヶ岳の尾根。


    駐車場の左奥から入る。かつては道標が立っていたが、倒れてしまっていた。


    すぐに沢を渡る。その先がわかりにくいが、左側にテープが付いている。


    淵坂峠の道標。ここまで30分少々。

 尾根に取り付くと、そこにも明瞭な道がついており、テープが点々とつけられている。最初は緩いがやがて急登りになる。1時間ほど登って一旦傾斜が緩くなるが、再び急登りになり、また緩くなって左側の眺望が開け、富士山が見えるようになってくると間もなく毛無山に到着する。1時間50分ほど時間がかかった。

    淵坂峠から毛無山への登り。点々とテープが付けられた明瞭な道が続く。


    登山道脇に咲いていたアカネスミレ


    咲き残っていたアケボノスミレ


    葉が細い白いスミレでヒゴスミレのように見えなくもないが・・・周辺に咲くのはエイザンばかりなので、たぶんエイザンスミレ。


    毛無山山頂。標高1500m。

 毛無山山頂には10人ほどの人たちが休憩していた。さらに4~5人登って来た人たちもおり、大賑わいとなった。小休憩して出発する。足元を見ながら歩くが目ぼしい花は咲いておらず、十ヶ岳の手前あたりで本日のお目当てだったコイワザクラが咲いていた。そこから先の岩場には至るところにコイワザクラが咲いており、特に十ヶ岳下のロープ場のところには群生していた。

    十ヶ岳下の岩場に咲いていたコイワザクラ


    満開のコイワザクラ


    十一ヶ岳への上りのロープ


    十一ヶ岳と向こうに見える十二ヶ岳。ここからがこのコースのハイライト、急下り、吊り橋、そして鎖の崖登り。

 十一ヶ岳から先はロープの急下り、吊り橋、そして鎖場の崖登りというこのコース最大の難所、かつ、いちばん面白いルートが続く。ロープ場を下って行くと、下部に本日のもうひとつのお目当て、ヒメスミレサイシンが咲いていた。さらにその下には満開のコイワザクラ群生。足場を確保して写真を撮る。咲き始めたコイワカガミにも出会えた。吊り橋を渡って今度はロープと鎖の崖登りが始まる。後続の団体さんが迫ってきていたので、ここは休まずに一気に登る。

    下りロープの手前にはコイワカガミの大群落あり、少しだけ咲き始めていた。


    長い下りロープ場。その下には吊り橋。


    ロープ場の脇に咲いていたヒメスミレサイシン。これも今日のお目当てのひとつ。


    さらにコイワザクラの群落


    吊り橋。揺れてちょっと怖い。


    十二ヶ岳への長い鎖の崖登り。


    十二ヶ岳山頂到着。

 午後1時少し前に十二ヶ岳山頂に到着、4時間ほど時間がかかった。山頂には先客3人ほどしかおらず、一人は出発するところだった。後続の団体さんがやって来るので、山頂での休憩は避けてその先の展望の良い岩場で休むことにする。ここで昼食となる。毛無山では見えていた富士山だったが、次第に雲が湧き始め、遂に山頂は見えなくなってしまった。この場所にはヒメスミレサイシンが咲いているのを2年前に確認していたのでここでゆっくり撮影する。

    山頂の先にある展望地から見る西湖と富士山


    ヒメスミレサイシン。今年は数が少ない、かつ、水が足りないのか元気が無い。


    ヒメスミレサイシン

 午後2時に十二ヶ岳を出発し、先に進む。この先はまたもやちょっとスリルのあるロープ場、そしてハシゴの登り、その先に展望の良い岩場がある。そこまで行ってまた小休止。その場所にはギンランが咲くので探すが、まだ葉が出たばかりだった。岩の裏には、ここにもヒメスミレサイシンが咲いていた。

    ロープ場の下り。向こうに見える山は釈迦ヶ岳。


    振り返って見るロープ場。10本近いロープがかかっている。


    展望岩場から見る十二ヶ岳と雲に巻かれた富士山。


    岩の裏にはヒメスミレサイシン。

 道を進むとコイワザクラがちらほらと咲いているが、十ヶ岳周辺に比べるとこちら側は少ない。金山とのコルのところに短絡ルートの下山道があるが、足の調子を見て大丈夫そうなので、そのまま節刀ヶ岳に進み、午後3時5分、節刀ヶ岳山頂に到着する。この頃には富士山はすっかり雲におおわれ、空全体が曇り空で暗くなり始めていた。10分ほど休憩して大石峠に向かって下山開始する。

    節刀ヶ岳山頂。空はすっかり曇り空、風も冷たく感じる。


    これから下る大石峠への尾根。長い。


    これからたくさん咲くであろうツルシロカネソウ(たぶん)。


    大石峠。本日歩いた毛無山・十二ヶ岳の尾根には雲がかかる。

 1時間少々で大石峠に到着。雲はさらに広がって毛無山・十二ヶ岳も雲の中に入ってしまう。今にも雨が降りそうな暗い空になってきた。あとはひたすら峠道を下山するのみだ。午後5時半、駐車場に到着。1周私の鈍足で8時間半の行程だった。

    大石峠登山口のところにある案内板。


    これには本日歩いたルートの地図も記されている。7時間くらいで回れるはずだが・・・。


    カシミール3Dからの行程図。距離9.8km、累積高低差998m。

 想定した通りの私にとってはちょっとハードなコースだったが、十分に余裕で歩けるコースである。山梨百名山2座を1日で周回でき、アルペン気分も味わえる面白いルートである。これから咲くミツバツツジのシーズン、そして秋の紅葉シーズンもおすすめである。
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壊滅的なオキナグサ 茅ヶ岳  平成25年5月6日

2013年05月08日 | 山梨百名山
 4月17日に訪れた茅ヶ岳は、オキナグサが咲き始めたところだったが、既に鹿の食害と思われる跡があった。その後、私の相棒の植田さんが2度茅ヶ岳に登っており、一輪も咲いていないと連絡を受けた。果たしてどうなっているのだろうか?やはり自分の目で確かめずにはいられない。瑞牆山山頂までテントを担いだ疲れが若干残っているが、林道を短絡して行ってみることにした。

 9時、大明神林道の駐車場から出発し、防火帯の尾根道を登る。斜面には前回の4月よりだいぶ緑色の草が増えている。スミレや花を見ながらゆっくりと登る。前回倒れていた桜の木は切られて登山道が通れるようになっていた。

    大明神林道の駐車場から出発。


    林道脇に咲くマムシグサ


    イカリソウ


    ノジスミレ


    倒れた桜は切られていた。


    切られずに残った所だけ花が咲いていた。

 前回咲き始めたばかりだったヒゴスミレのところに行くと、もう花はしぼんでしまっていた。周辺には葉が出ているが花の咲いた様子は無く、どうやら今年はあまり咲かなかったようだ。さらに探しながら登って行くと、足元に2輪咲いているのを見つけた。どうやらこの尾根には散在して咲いているようだ。

    ヒゴスミレの葉。向こうの紫色のスミレはアカネスミレ。


    花はもう終わってしまっていた。紫色のしおれた花はアケボノスミレ。


    ワダソウが固まって咲いていた。


    発見!ヒゴスミレ


    清楚な白花、ヒゴスミレ。


    日なたを好んで咲くフデリンドウ


    ニシキゴロモだと思っていたが、花弁の上2枚が極端に小さく、ツクバキンモンソウらしい。

 茅ヶ岳樹林帯の急登を登ってオキナグサの咲く斜面に立ち寄ってみてビックリ!本当に1輪も花が咲いていない。人の踏み跡があるが、花の咲く場所まで踏み込んでいるような形跡は無く、やはり鹿の仕業と考えるべきだろう。花を好んで食べているようだが、若葉を食べたような形跡もある。それにしても酷い状態だ。このような状況が3年も続けば絶滅してしまうのではないだろうか。手を打たないと大変なことになる。

    全く花が付いていない茅ヶ岳のオキナグサ。花のところがぷっつりと切れている。


    別の株。前回は蕾が付いていたが、何も無くなっている。

 11時半、山頂に登りつくとあふれんばかりの人でいっぱい。想定していたのでオキナグサの斜面の上で先に休憩と軽食を食べておいた。標柱が無事なのを確認して休まずに下山開始する。今度は女岩側に下りる。

    山頂は人がいっぱい。


    南アルプスの眺望


    霞んで見える富士山


    深田久弥慰霊碑。向こうに見えるのは金峰山。

 女岩側の斜面には白いスミレが咲いていた。葉が細いので一見ヒゴスミレのように見えたが、良く見れば花の中に薄ピンクの筋が入りガクは茶色、エイザンスミレだ。もう1種類白いスミレあり、こちらはマルバスミレだった。他に変わった花は無いか探したが、見つけたのは種になったヒナスミレくらいだった。

    葉が細い白いスミレ、一瞬ヒゴスミレかと思ったが、これはエイザンスミレ。


    エイザンスミレ


    エイザンスミレとマルバスミレ


    種になったヒナスミレ

 途中、崩落状況を確認するため立ち入り禁止になっている女岩に立ち寄った。確かに左側の岩盤がだいぶ崩落しており、まだ落ちそうな岩がいくつも見られる。水が流れる右側の方はあまり変わっているようには見えないが、こちらにも落ちそうな岩があった。水は流れているがずいぶん細くなった気がする。まだ当分は立ち入り禁止状態が続くだろう。

    立ち入り禁止になっている女岩。左側の崩落が激しい。


    水は流れているが細い。


    立ち入り禁止のロープ付近に咲いていたムラサキケマン


    その近くにキケマン。

 女岩から先の道には両側にニリンソウがたくさん咲いていた。何度も訪れている茅ヶ岳なのに、こんなにたくさんニリンソウが咲いていた印象が全く無く、また新たな発見をしたような気持ちで下山した。

    女岩付近に咲いていたニリンソウの群落


    登山道脇に咲くニリンソウ

 壊滅的な打撃を受けている茅ヶ岳のオキナグサ。ここに咲くオキナグサは他の場所のものに比べてひときわ大きくて立派だ。なんとか保護して行きたいが、勝手に鹿避け柵を設けるわけにも行かない。とりあえずは山梨県庁の観光資源課に標柱の件でお世話になっているので、相談してみたいと思う。
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エビネ咲く武田の杜  平成25年5月5日

2013年05月08日 | 番外編
 花に詳しく、花の保護を訴えているYJさんから情報をいただき、湯村山以外のところでもエビネが咲いていることを知った。4月下旬にYJさんが訪れているので、おそらくはまだ咲いているはずだ。瑞牆山から下山してきたばかりで眠く、帰りの途中に立ち寄ったコンビニ駐車場で1時間ほど爆睡した後、教えていただいた場所を訪れてみた。

 そこは武田の杜遊歩道から脇道(といっても明瞭な道は無い)に入った斜面だが、ピンポイントで教わったわけではないので籔をかき分けて右へ左へ・・・。そして見つけたのは・・・鹿の白骨化した死骸。エビネがありそうな環境にはあるのだが見つからない。

    ホタルカズラはこの時期が盛期らしく、開花した花の数が増えている。


    ウラシマソウ


    長い竿は成熟すると切れるらしい。他の株も全て竿無し。


    おーっ、エビネか!と思ったが良く見ればちょっと葉が違う。

 斜面をぐるり1周したが見つからず、今度は反対の斜面に撮り着くと・・・あきらめて帰ろうとした時、エビネを発見した。情報通り、ピンク色の花弁をしたエビネだ。

    発見!エビネ!!


    全部で10株弱。


    湯村山で見つけたものは花弁が白かったが、これはピンク色が混じっていて一層綺麗。

 発見まで1時間強籔をさまよったが、出会えて良かった、エビネ。自生しているものはきわめて少ないだけに大切に見守って行きたい。情報をいただいたYJ様、ありがとうございました。
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金峰山を流れる天の川 瑞牆山一夜(後編)  平成25年5月4-5日

2013年05月08日 | 山梨百名山
 5月4日の夕方瑞牆山山頂に到着し、狭いスペースにテント設営して寝場所を確保した。横になるのがやっとのスペースしか確保できないが、撮影のためにこういう環境で寝ることは慣れており、ほとんど問題ない。空は曇り空、時折小雪が舞う天候だった。果たして星は出てくれるのか?そして富士山は?睡眠導入剤マイスリー2錠を内服して午後7時半に寝る。

 深夜12時、予定通り目を覚ます。気温は-6℃、想定していた通りの気温だ。テントの外に出てみると星が輝いていた。南東から北東の空にかけて、天の川の橋が架かっている。若干霞んでいるようだが、星空の撮影には十分な条件だ。まずは腹ごしらえして撮影にとりかかる。

    金峰山に昇る天の川


    同上(やや広角で甲府盆地を一部含めて)

 金峰山はすっきりと見えたものの、富士山は残念ながら霞の中に沈んでいて写ってくれない。季節が5月だけに、これくらい星が見えていれば良いほうなのだろう。夕方は雲に隠れていた八ヶ岳も姿を現し、その上に北斗七星が昇っていた。

    瑞牆山山頂と天の川  (フラッシュに白いガーゼを重ね合わせて光量調整して撮影。)


    八ヶ岳に輝く北斗七星とうしかい座アルクトゥールス


    頭上を流れる天の川と夏の大三角形


    金峰山、甲府盆地の明り、そして天の川。 左上に輝くのはわし座のアルタイル。

 午前2時10分ごろ、東の空、金峰山の左裾から月が昇り始める。二十四夜の細い月なので、星の輝きにはあまり影響しない。富士山が写ってくれないかと何度もシャッターを切ったが、とうとう写ってくれず、見えだしたのは星の輝きが消えた夜明けになってからだった。

    東の空から月が昇る。ガーゼで光量調整したが、これは多過ぎ。


    甲府盆地の明りに立ち上がる天の川。富士山は左下にいるのだが・・・


    同上(横位置、広角で撮影)


    薄明の甲府盆地と天の川。白い筋は流星では無くて人工衛星。地上は夜明け前でも宇宙は夜が明けており、この時間には知らないうちに写り込んでしまう。

 輝いていた星々はやがて夜明けの青い空の色に消えて行き夜明けを迎える。きれいなEarth shadowが水平線に広がった。低空はやや霞んではいるが、八ヶ岳や南アルプスが見渡せ、そして富士山も見え始めた。

    夜明け前の南アルプス


    こちらは八ヶ岳


    Earth Shadowと八ヶ岳


    こちらは南アルプス。Earth Shadow とは水平線に映る地球の陰で、下の黒いところは夜明け前、上のピンクのところは夜が明けている。


    瑞牆山山頂の夜明け  左が南アルプス、右が八ヶ岳。


    朝日射す富士山と金峰山


    夜明けの富士

 6時までにはテント撤収しようと思っていたのだが、早朝5時半にもう山頂に登って来た若者3人がいた。未明3時半に富士見平テント場を出発したそうだ。日の出には若干遅れてしまったが、たいした根性だ。山頂での記念撮影を引き受けると、お礼においしいドリップコーヒーをご馳走してくれた。

    瑞牆山山頂の夜明け


    影瑞牆山

 テント撤収し、6時半に下山開始する。続々と登山者がやって来る。中には子供連れで軽装の人もいるが、アイゼンは持っているのだろうか?30人ほどすれ違い、8時過ぎ富士見平に到着した。小屋主さんに挨拶とお礼に立ち寄るとまたもや大歓迎してくれてコーヒーと手作りのパンをご馳走になった。撮った画像をカメラのモニターで見せて、富士見平小屋ホームページで使っていただくこと、そしていずれはプリントして富士見平小屋に持ってくることを約束した。

 富士山が現れず狙い通りの映像とはならなかったが、天の川は映ってくれたのでこの季節にしてはまずまずの写真が撮れたと思っている。何よりも多大なご協力をいただいた富士見平小屋の相川さんご夫妻、そしてレスキュー隊の皆様に感謝したい。
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金峰山を流れる天の川 瑞牆山一夜  平成25年5月4-5日

2013年05月07日 | 山梨百名山
 5月連休は勤務する病院の移転作業があったのだが、私の所属する部署はあっさりと作業が終わってしまい、例年以上に平和な連休が過ごせることとなった。4連休最終日だけは最終的なシステムチェックのため職場に行かなければならないが、それも午後か夕方で十分に間に合う。天候の良い中日2日間、どこかで星空を眺めたいと思っていた。南アルプスも視野に入ってはいたが、3年ほど前に出かけて天候不良のため撮影できなかった山がある。それが瑞牆山だ。この山頂から見る金峰山は南東に位置し、富士山は南南東の金峰山裾野に見える。この季節、未明に昇って来る夏の天の川は金峰山の空を横切るように流れ、ちょうど富士山の上でさそり座が尻尾を巻くという抜群の構図となる。この機会を逃すと、空が霞んで星が見られなくなってしまうかもしれない。

 瑞牆山なのでさほど急いで出発する必要も無く、10時過ぎに自宅を出発し、12時に増富の瑞牆山荘に到着した。駐車場は満車で路上にもずらりと車が止まっていたが、運良く出て行った車があって駐車場内に止めることができた。しかし、これだけの車が止まっているということは山上は人がいっぱいということだ。山頂泊はさすがに顰蹙(ひんしゅく)だろうと、ここに来て行くかどうか迷った。ひとまずは富士見平小屋まで行って小屋主の相川さんと相談することにして出発する。もし無理ならば富士見平テント泊で夜中に登ることにする。

    瑞牆山荘のところの駐車場は満車。道路にもずらりと車が並ぶ。


    林道脇の展望台から見上げる瑞牆山。混雑している登山道を避けて林道を歩く。


    秘密の花園にそっと入ってみると、咲いていたのはヒメイチゲ。カモメランは葉も出ていない。

 登山道は下山してくる人、これから登って行く人で行列のようになっており、このルートを避けてあまり歩く人のいない林道を行く。朝は晴天だったが、展望台から見上げる瑞牆山は、しだいに雲が増えてきて曇り空になってしまった。カモメランの自生する秘密の花園にそっと立ち寄ってみたがまだ葉も出ていなかった。1時間少々かかって富士見平に到着すると、今までに見たことが無いほどのたくさんのテントが張られていた。そしてレスキュー隊のテントとレスキュートレーニングする人たちの姿があった。

    富士見平のテント場。こんなにたくさん張られているのは初めて見た。

 真っ直ぐ富士見平小屋に行くと小屋主さんと奥様が小屋の中に居り、私が顔を見せると大歓迎してくれてコーヒーをご馳走してくれた。小屋の入口近くの良い位置に私が金峰山で撮影した夜景と雪の千代の吹上の写真が飾られていた。狙っている映像を瑞牆山山頂から撮影したいという旨を話すと、快く協力してくれ、スタッフの腕章を貸してくれた。(結局使わなかったが・・・足が遅いのでこれをつけてへばっていると格好悪いので。)山頂から人が居なくなるであろう午後5時を目標に、富士見小屋を午後2時半ごろ出発した。

    桃太郎岩(だったかな?)続々と下山してくる。腕に腕章をつけた人たちともすれ違い、事情を説明して登る。


    迫る大ヤスリ岩。(本物はこの岩の裏側にある。)


    山頂直下のアイスバーン。アイゼンを装着しないとかなり危険、ここで6本歯アイゼンを装着する。


    さらに続くアイスバーン。


    山頂到着。空はすっかり曇り空。

 山頂直下のロープ場とハシゴ場はツルツルのアイスバーンになっており、ここで6本歯アイゼンを装着した。小屋主さんの話では、アイゼン無しで登ったのは良いが下りられなくなった人が続出し、レスキュー隊がロープを張って下ろしたそうだ。中には強行突破を試みて転倒し、頭をぶつけて出血した人もいたと聞いた。この季節、瑞牆山に登るにはアイゼン必携である。
 ほぼ予定通り午後5時10分山頂に到着した。私の前を2人登って行く人がいたが、その2人が下山して来て山頂直下ですれ違ったので、これで山の上にいるのは私一人となった。岩ゴツゴツの山頂にはまともにテントを張れるだけのスペースは無いが、横になる程度のスペースならばなんとか確保できる。テントの4隅はうまく着地しないが、承知の上でテント設営して寝るスペースだけ確保する。空模様は悪く、空には雲がかかり金峰山山頂も時折雲に巻かれている。これで星は輝いてくれるのだろうか?

    雲の巻く金峰山山頂


    小雪の舞った瑞牆山山頂と見下ろす大ヤスリ岩


    夕陽が射す。向こうに立ち上る白い煙は?


    サイレンの音が聞こえる。どうやら火事らしい。夕暮れ過ぎまで煙は立ち上っていた。

 天気予報と天気図を見る限りでは深夜から空は晴れそうだ。山頂は2度小雪が舞ったが、西の空、八ヶ岳の方角は雲が晴れて時折夕陽が射し込んだ。きっと晴れる、そして凄い星空になる、そう信じてあたりが暗くなった午後7時半にテントの中で寝る。

    八ヶ岳に沈む夕陽と夕焼けの雲


    夕焼けの瑞牆山山頂と金峰山


    夕暮れの茅ヶ岳と甲府盆地の明り

 さて、目を覚ましたのは深夜12時。テントの外に出て空を見上げれば・・・(後編に続く)


    金峰山に昇る天の川。星が輝きました。後編をご期待ください。
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咲き始めた錦滝のユキワリソウ 日向山   平成25年5月3日

2013年05月06日 | 山梨百名山
 4月から来た新入職員が山に登りたいとのことで、単独で残雪の金峰山に行って来たそうだ。アイスバーンに苦しみ、かなり苦労して登ったらしい。そこで、簡単に登れて眺望に恵まれた山、ということで日向山に連れて行くことにした。桜の開花は10日ほど早かったが、ここのところ寒い日が続いており、その後咲く花の開花は遅れており、開花予測は難しくなってしまった。毎年のように見に出かけている錦滝のユキワリソウはどうなのだろうか?そちらも気になっており、機会があれば出かけようとちょうど思っていたところだった。

 午前8時半に登山口の矢立石に到着したが、予想通り駐車場は満車になっており、その先のゲート近くの路上に車を止める。錦滝に陽が射し込むのは午前中なので林道を進み、右回りに周回コースを歩く。天候が良く青空が広がり、残雪の甲斐駒ケ岳がひときわ鮮やかに白く輝いて見えた。

    矢立石から出発。本日のメンバーは4人。


    青空に立つ甲斐駒ケ岳


    マムシグサと甲斐駒ケ岳


    ミツバツツジほぼ満開


    尾白川錦滝

 1時間ほどで錦滝に到着。まだ咲いていないのではないかと思ったが、滝に近付いてみるとほころび始めたばかりのユキワリソウが咲いていた。まだ咲き始めたばかりのためか、花の紫色が例年よりも濃く感じる。

    錦滝の脇に咲くユキワリソウ


    同上(反対側から)。まだ蕾が多い。(望遠レンズを持って行かなかったのでこれでご勘弁を。)

 錦滝で30分ほど時間を費やし、ここから日向山の急登に入る。新人職員はバスケットの選手で、身長が高く足も速い。先に行ってもらうと、あっという間に姿が見えなくなってしまった。1時間ほど急斜面を登り、日向山の象徴と言うべき白砂の雁ヶ原に到着する。

    中腹のミツバツツジ


    急階段を登る。


    1時間ほど急登を登り、雁ヶ原に到着。


    日向山雁ヶ原。岩の上には祠があり、そこからは富士山が見える。


    向こうに見えるのは雨乞岳。


    雁ヶ原の風化花崗岩と八ヶ岳。


    雁ヶ原の白砂と甲斐駒ケ岳

 岩の上の祠に立ち寄った後、山頂の林の中で昼食となる。反対側のコースは整備されたハイキングコースなので、小学生やそれ以下の子供たちも家族連れでたくさん登って来ていた。午後1時から下山開始し、ゆっくり歩いて1時間少々で矢立石の駐車場に到着した。

    甲斐駒ケ岳をバックに記念撮影。

 ユキワリソウはまだ咲き始めたばかりで1~2週間後が見頃になりそうだ。だが、当たり年とは言えないようだ。生えている数も年々減少してきているように見える。
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フイリヒナスミレとエイザンスミレ、そしてまたあのスミレ発見。 黒富士と鬼頬山  平成25年4月29日

2013年05月02日 | 山梨百名山
 昨年9月下旬、平見城黒富士農園から曲岳に登った時にスギ林の中で見つけた斑入りのスミレと思われる葉。この正体を確かめるべく黒富士農園からのルートを歩いてみることにした。決めたのは自宅を出発して車を運転しながら突然思いついた。予定では茅ヶ岳のオキナグサをもう一度見に行くはずだったのだが、突然こっちに行きたくなった。もしヒナスミレだとすると、他のスミレよりも若干開花が早いので、ひょっとしたら少し遅いかもしれず、ここを逃すとまた来年になってしまう。

 黒富士農園駐車場に10時到着。以外にも車は少なく2台しか止まっていなかった。黒富士・曲岳・桝形山は登りやすくて眺望にも恵まれ、良い山だと思うのだがあまり人気が無いようだ。農場の花壇には花がたくさん咲いていた。その中を通って八丁峠に至る登山道に入る。足元にはムラサキケマンやタチツボスミレ、名前を知らない野草などがたくさん咲いている。メインの道をちょっと外れて川沿いを歩くとニリンソウの群落あり、そしてエイザンスミレがたくさん咲く。

    黒富士農園駐車場のところにある石碑。


    黒富士農園の花壇


    黄色いカタクリ?でも1本の茎から複数の花が咲いている。


    マルバスミレ


    ワチガイソウ


    こちらは花弁にへこみがあるワダソウ


    ニリンソウ。若干ピンク色がかっていて美しい。


    エイザンスミレ。日当たりの良い登山道脇にどっさり咲いていた。

 小川の流れる周辺にはニリンソウの群落、そしてスギ林の中に入るとお目当ての斑入りの葉がたくさん。しかし・・・花が付いていない。どうやら遅かったようだ。何輪か花を見つけたが既に傷んでしおれている。さらに登ってゆくとその上のスギ林の中にはまだ新鮮なスミレが残っていた。予想通りその花はフイリヒナスミレだった。落ちたスギの葉に守られた温床になっているのか、ここにはたくさんのヒナスミレがあり、全て斑入りだ。

    フイリヒナスミレ。下部は既に終わっていて、咲き残っているものもしおれかけていた。


    さらに登って行くと、新鮮な花がたくさん咲いていた。


    フイリヒナスミレ


    清楚なピンク色が美しいフイリヒナスミレの花。

 スギ林を通り抜けると広葉樹林帯になり、やがて八丁峠下の日当たりの良い草地に出る。その場所には絨毯を敷き詰めたようなニリンソウの葉と、その中に黄色いコガネネコノメ、白いニリンソウの花、そしてエイザンスミレが散りばめられて咲いていた。何ともたまらない山・花景色、しばし石の上に座ってこの風景を楽しむ。

    八丁峠下の草地に咲くエイザンスミレ、コガネネコノメ。緑の葉はニリンソウ。


    八丁峠


    カラマツ林の向こうに黒富士


    黒富士山頂。向こうに見えるのは金峰山。

 八丁峠を過ぎて黒富士に向かう。ここまでで出会った登山者は一人だけだった。黒富士山頂で下山し始めた人に一人会ったが、他には誰もおらず黒富士山頂を独り占めする。富士山は雲の中、八ヶ岳と南アルプスが春霞の中にようやく見える程度だった。昼食を軽くとって今度は鬼頬山(おにがわやま)に向かう。いったん下ってまた急な登り返しになる。その下りの斜面にはエイザンスミレがたくさん咲いていた。ここに咲くエイザンスミレは葉が細く、一見ヒゴスミレのように見えなくもないが、花を見ると真っ白ではなくやはりエイザンスミレだ。しかし、その中を注意深く探すと、一株だけヒゴスミレが混ざっていた。花は真っ白、葉が際立って細く、間違いなくヒゴスミレだ。周辺を探したがこの一株しか発見できなかった。

    一旦大きく下る。下に見えるのが鬼頬山。


    下り斜面にはエイザンスミレがたくさん咲く。


    一株だけ見つけたヒゴスミレ。葉の形が際立って細い。


    急登を登って鬼頬山山頂到着。

 鬼頬山山頂を通り過ぎ、その先の下りとなる手前で小休止する。そこから先はロープの張られた激急下りがしばらく続く。昨年冬の雪の降った翌日この斜面をノーアイゼンで登ったが、ロープにぶら下がるようにしてようやく登った記憶がある。下ってみると、やはりロープ無しではスリップしそうな急下りだ。下り切って緩やかな尾根になってからしばらく歩いてようやく林道の通る越道峠に出た。時間は午後3時35分、1時過ぎに黒富士を出発したので、2時間半もかかったことになるが、花を探し脇道に立ち寄り籔を歩いてという登山なので、こういうコースタイムになってしまう。林道をテクテクと歩いて4時5分、駐車場に到着した。

    この看板のところで休憩。この先が急下りとなる。


    見下ろす急下り。ロープが無ければスリップ必至。


    越道峠到着。向こうに見えるのは太刀岡山。

 昨年の秋に見た葉は予想通りフイリヒナスミレだった。私が知る中ではここが一番たくさん咲いている。またひとつ、春の楽しみの山が増えた。
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帯那町幸潤院から阿梨山・帯那山へ  平成25年4月27日

2013年05月01日 | 山梨無名山
 阿梨山(あなしやま)という山を知っている人は地元の人でもあまりいないと思う。私もこの山の名前を知ったのはつい1ヶ月ほど前のことだ。嶺朋クラブの例会の時に帯那山に登る面白いルートがあると薦められ、途中にこの山があることを知った。ほとんど歩く人がいない地味なルートだが、茅ヶ岳と湯村山の中間的な環境にあるこの山はひょっとしたら面白い花に出会えるかもしれない。

 強風が吹き荒れたこの日、岩尾根や細尾根ルートでは吹き飛ばされてしまいそうなので、樹林帯の中のコースを選択した。登山口の幸潤院というお寺に行くと、入口のところに「幸潤院付近ハイキングコース案内図」という看板が立てられていた。幸潤院の裏側にある墓地の中の道を進むと、看板など何も無いがなんとなく細い踏み跡が林の中に続いている。そこに踏み込んで見ると尾根伝いに続く林業軌道跡らしきえぐれた道がついていた。その道は歩きにくいので一段上の林の中を道に沿って歩いて行くと、やがて道は明瞭な登山道に変わる。ひたすら登って行くと、50分ほど歩いたところで帯那山に至る尾根に登り着き、そこにはさらに明瞭な道がついていた。

    幸潤院駐車場のところにあるハイキングコース案内図。しかし、ハイキングコースというには道が荒れていて看板も無い。


    登り口の幸潤院


    墓地のいちばん奥、ブルーシートのところから林に入る。


    道はあまり明瞭ではないが歩き易い。


    帯那山に至る尾根に出る。右側の道が登って来た幸潤院からの道。


    境界見出標の付いた明瞭な道が尾根に通っている。

 さほど急な登りはないが、この先はアップダウンが続く。そして送電線の立つピーク手前の斜面で足元に咲く白いスミレを発見。近付いてみれば、予想通り咲いていた、ヒゴスミレだった。3年間探して昨年あっけなく茅ヶ岳で遭遇したこのスミレ、生育環境がわかると意外と見つかるもので、その後大菩薩連山米背負い峠付近でも発見した。そして今回が3ヶ所目ということになる。この場所が今までで一番株が多く、10株近く、さらに葉だけ出ているものも多数見ることができた。しかし、強風に花が揺れまくり、全く写真を撮らせてくれない。

    発見!ヒゴスミレ。やはり茅ヶ岳中腹と似た環境にあるこの山には咲いていた。


    強風に揺れて写真を撮らせてくれない。


    斜面を登るとその上には送電線鉄塔があり、その先に鉄塔巡視路がある。

 陽の当たる明るい斜面に行くとスミレがちらほらと咲いていた。アケボノスミレはもちろんだが、痛んでいないアカネスミレにも出会うことができた。さらに道を進んでやや急な斜面を登り着くと、樹木に囲まれた静かなピーク、阿梨山に到着した。林の隙間から甲府盆地が見え、目指す帯那山の電波塔がまだ遠くに見える。

    アケボノスミレ。この季節は甲府市界隈の山にたくさん咲く。


    アカネスミレ。今年出会った中ではいちばんまともな株。


    阿梨山山頂。三角点(3等?)が立つ。


    木の幹に小さな看板がくくりつけられている。


    目指す帯那山はまだ遠くに見える。


    阿梨山から少し先の岩の上から富士山が見える。

 阿梨山から少し帯那山側に進んだところで展望の良い岩があり、そこで昼食をとる。ほとんど人が歩かないルートだけあって、連休だというのに誰にも出会わない。ゆっくり休んだ後道を進むと、一旦大きく下った後登りとなり、道が二手に分かれていた。左に行く道が広くて歩き易そうだが、方向が違う。右の道は境界見出標がつけられた急登の尾根道だ。ここは尾根を忠実に、急登コースを進む。1段登って傾斜が緩くなったと思ったらまた急傾斜の登り。それを登り切ると間もなく帯那山にかつてあった牧場の柵に出た。もう目の前に電波塔が見える。さらに進むと帯那山林道の終点に出た。

    途中で道が分かれており、急登の尾根を真っ直ぐ登る。


    さらに急登が続く。そして登り着いて出たところは・・・


    帯那山林道の終点に出る。目の前に電波塔が立つ。

 この場所は山の陰になるためか風があまり吹かない。林道を歩いて行けば電波塔の脇を過ぎて山頂まで行けるのだが、回り込むのが面倒なのでここは電波塔に向かって直登する。足元に気をつけながら歩いて行くと白いスミレが咲いていた。またしてもヒゴスミレに遭遇した。このコースはエイザンスミレが全く咲いておらず、どうやらヒゴスミレの山らしい。今度は綺麗に撮影できた。さらにまわりを見渡すと紫色のスミレがたくさん咲いている。近付いて見ればアカネスミレの群落だった。スミレを楽しみつつ、帯那山の電波塔に到着、時間は1時45分だった。10時から歩き始めたので3時間45分かかったことになるが、写真や脇道に浮気せずに歩けば3時間くらいの行程ではないだろうか。

    またしても遭遇、ヒゴスミレ。


    アカネスミレ。たくさん咲いていた。さらに下山途中の林道脇にもどっさり・・・。


    帯那山電波塔。ここが山頂ではないが・・・

 電波塔に登れればきっと甲府盆地を一望する凄い景色が見られるのだろうが、残念ながらこの塔は立ち入り禁止になっており、ここからはあまり景色は望めない。小休止して下山するが、登って来たルートでは無くて帯那町から帯那山に至る林道に下り、林道を歩いて戻ることにした。林道の途中から沢沿いに旧林道と思われる道があり、その道を下ると脚気石神社という立派な神社に出た。その神社には立派な能の舞台が設置されてあった。

    電波塔と林道の分岐点に登山道の看板あり。これを下る。


    お地蔵さんが立っており、ここで帯那町方面と積翠寺方面に道が分かれる。


    林道に出る。あとは林道を下れば帯那町に出られる。


    林道脇にはアカネスミレがこんなに咲くものかと思うほどたくさん咲いていた。


    たぶんゲンジスミレ。見つけたのはこの株だけ。


    旧林道と思われる沢沿いを下る道あり、これを下りる。


    脚気石神社に出る。


    能の舞台が設置されている立派な神社。

 昭和池や興因寺山、淡雪山などを左手に見ながら帯那町に到着した。しかし、帯那町の中で道がわからず(地図を持っていない)山裾を目指してそれらしき道を進むと全く違う道、また戻って別の道を歩きようやく幸潤院に到着した。時間は4時20分、6時間半ほどの行程となった。


    今回歩いたと思われるルート。(地図が古く林道が記載されていないので、下山ルートは正しくない)


    高低差。距離9.2km、累積標高差754m。

 おそらく咲いているだろうと思われたヒゴスミレは予想通り出会うことができた。エビネも林の中を覗きながら探したが、こちらはそれらしい葉も含めて見当たらなかった。あまり歩かれていない地味なルートだが、静かな山を好む山通の人にはたまらない魅惑のルートだと思う。
 



コメント (2)
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