平成20年2月16-17日 天候晴れ
毛無山山塊のダイヤモンド富士撮影には何度か訪れている。3年前は下部側から早朝から登ったが天候不良で不発、昨年は雨ヶ岳にテントを張り、タカデッキから狙ったが笹が深くていまひとつ、そして今年、毛無山三角点付近でダイヤモンド富士が見られる時期になったので、テント担いで行ってみることにした。
下部側の湯の奥林道から入るルートと静岡側の麓からのルートがあるが、湯の奥林道は私の車では不安なため麓から登る。(結果的にこちらのルートが正解だった。)コースタイムでは3時間ほどだが、雪道、急登、かつテント持ちなので、4~5時間はかかるだろう。麓の毛無山入り口駐車場(有料)を12時に歩き出す。天気は良好、毛無山の上には5~6機のパラグライダーが気持ち良さそうに舞っていた。川沿いの広い道を過ぎ、地蔵峠への分岐を過ぎたあたりから傾斜が強くなってくる。林の中は10~20cmほどの積雪があるが踏み跡がしっかりとつけられ、固まっていた。不動の滝展望台で一休み、まだ2合目だというのに既にバテ気味だ。その先もひたすら急登、5合目あたりからは完全に雪道となり、12本歯のアイゼンを装着(6本歯で十分だった)してひたすら登る。かなりきつい登りだ。そういえば、初めて秋に登ったこのルート、途中で太腿が攣って大変な思いをしたことがあった。下部側から登った時も日の出に間にあわなそうだったので急いで登り、下腿が攣った記憶がある。この山に登るのは結構大変だ。
4時間ほど登ってようやく9合目の富士山展望台に到着、この山から見る富士山は何も遮るものがなく。大きな富士山が見られる。この先は傾斜が緩くなり、間もなく山梨百名山の標柱が立つ山頂にたどり着く。目指す毛無山三角点はもうすぐだ。しかし、その先は踏み跡がやや薄くなり、ワカンやスノーシューの足跡らしく、私が踏み込むと簡単に膝のあたりまで埋まってしまって歩きにくくなる。三角点に行く途中に眺めの良い場所があり、そのあたりで日が傾き始め、眼下の朝霧高原に毛無山の影が落ち始めたので三脚を立てて日の入りを待つことにする。しだいに富士山に射す夕陽の面が小さくなり、やがて暗くなる様は何度見ても感動的だ。日没後のたそがれ時の赤紫色に染まる空も良い。
夕暮れ迫る 毛無山三角点の手前で。
富士残照
富士残照と茜雲
三脚を背負ったままそこから三角点までは10分とかからなかった。明日のダイヤモンド富士を撮影するためには雨ヶ岳側のほうが良いので向うに回り込もうと思ったのだが、その先はワカンの足跡1つのみ。少し歩いてみたが、雪が深くてとても歩けそうも無い。あきらめて三角点の上でテントを張る。もうすっかり日が暮れ、頭の上にはやや膨らみかけた明るい半月が昇っていた。その下にはオリオン座と冬の大三角形が輝く。富士の右裾野には富士宮から駿河湾の明りがきらきらと輝いている。この日も風が無く静かで穏やかな夜、山の上の宿泊客は私一人だった。夜景と富士と星空を堪能し、9時半にシュラフに潜り込む。
駿河湾の明かりと星空
シュラフに潜り込んだ時にはさほど寒いとは思わなかったのだが、2時間ほど過ぎた頃に背中が寒くて目が覚める。一旦シュラフから出てバーナーを焚いて暖をとり、また寝るが、2時間ほどするとまた寒くて我慢できない。そういえば、1ヶ月ほど前の大蔵高丸、先週の杓子山ともテントの中は今までに感じたことがないくらい寒かった。ふと敷いているエアマットを見ると、半分以下につぶれてぺっちゃんこになっているではないか。エアを入れなおして休むが、しばらくするとまたつぶれている。どうやらエア漏れらしい。どうりで寒いわけだ。といっても他に代用を持ってきているわけではないし、死ぬほどの寒さでもない(といっても朝は-15℃くらい)。時折バーナーを焚いて暖をとりながら、寝たり起きたりで朝を迎える。
黎明の富士
翌朝は空気の澄んだすっきりした朝となる。ダイヤモンド富士を見るには最高だ。早朝5時半、富士山の右上に明けの明星、金星と木星が輝いている。写真を撮って一旦テントに戻り、朝食と暖をとって6時45分に再び三脚を構えてダイヤモンドを待つ。7時を回った頃、予定通りに富士山頂の右寄りからダイヤが輝き始める。何枚か撮影してモニターを見ると、何やらものすごいゴーストが出ている。レンズを見ると・・・!なんと!フィルターにびっしりと白い氷の膜ができている。急いで拭き取ってまた写真を撮るがあっという間にまた凍りつく。食事の時にテントの中に持って行き、レンズが温まったのが失敗だった。しかし、そのおかげで今まであまり見たことのない面白い作品にはなった。
富士山頂輝く
毛無山のダイヤモンド富士2008 レンズに薄く氷が張る。
ダイヤのまわりに輝くダイヤ 拭き取ったレンズに残った氷が反射し、ちょっと変わったゴーストが輝いた。
テント撤収し、9時半に下山しようと思ったら、もう三角点まで登って来た人がいた。さらに下山中に約20人の人とすれ違った。人気の高さが伺えるが、登りにはかなりの体力を要する山である。また、今回は地蔵峠側(下部から来るルート)には全くトレースが無く、下部ルートから入ったならばかなりのラッセルを強いられることになったであろう。毛無山に35年前から登り続け、既に1,500回登った(凄い!!)というミスター毛無山に2日間出会い、毛無山界隈や富士山などの新情報をたくさん教えていただいた。下りも急傾斜なので結構大変だ。12本歯アイゼンの歯がしばしば露出している木の根や石にひっかかって何度も転倒しそうになるが、木の枝やロープにつかまりつつなんとか転ばずに下りる。昨日よりだいぶ雪が溶けていて5合目から下は土の斜面が露出しているところが多く、3合目あたりでアイゼンをはずし、膝がガクガクになった12時半、ようやく駐車場に到着した。
日高く昇りて テント撤収、下山。
毛無山は何度登っても大変な山だが、それに見合った素晴らしい富士の展望が期待できる山だ。
毛無山山塊のダイヤモンド富士撮影には何度か訪れている。3年前は下部側から早朝から登ったが天候不良で不発、昨年は雨ヶ岳にテントを張り、タカデッキから狙ったが笹が深くていまひとつ、そして今年、毛無山三角点付近でダイヤモンド富士が見られる時期になったので、テント担いで行ってみることにした。
下部側の湯の奥林道から入るルートと静岡側の麓からのルートがあるが、湯の奥林道は私の車では不安なため麓から登る。(結果的にこちらのルートが正解だった。)コースタイムでは3時間ほどだが、雪道、急登、かつテント持ちなので、4~5時間はかかるだろう。麓の毛無山入り口駐車場(有料)を12時に歩き出す。天気は良好、毛無山の上には5~6機のパラグライダーが気持ち良さそうに舞っていた。川沿いの広い道を過ぎ、地蔵峠への分岐を過ぎたあたりから傾斜が強くなってくる。林の中は10~20cmほどの積雪があるが踏み跡がしっかりとつけられ、固まっていた。不動の滝展望台で一休み、まだ2合目だというのに既にバテ気味だ。その先もひたすら急登、5合目あたりからは完全に雪道となり、12本歯のアイゼンを装着(6本歯で十分だった)してひたすら登る。かなりきつい登りだ。そういえば、初めて秋に登ったこのルート、途中で太腿が攣って大変な思いをしたことがあった。下部側から登った時も日の出に間にあわなそうだったので急いで登り、下腿が攣った記憶がある。この山に登るのは結構大変だ。
4時間ほど登ってようやく9合目の富士山展望台に到着、この山から見る富士山は何も遮るものがなく。大きな富士山が見られる。この先は傾斜が緩くなり、間もなく山梨百名山の標柱が立つ山頂にたどり着く。目指す毛無山三角点はもうすぐだ。しかし、その先は踏み跡がやや薄くなり、ワカンやスノーシューの足跡らしく、私が踏み込むと簡単に膝のあたりまで埋まってしまって歩きにくくなる。三角点に行く途中に眺めの良い場所があり、そのあたりで日が傾き始め、眼下の朝霧高原に毛無山の影が落ち始めたので三脚を立てて日の入りを待つことにする。しだいに富士山に射す夕陽の面が小さくなり、やがて暗くなる様は何度見ても感動的だ。日没後のたそがれ時の赤紫色に染まる空も良い。
夕暮れ迫る 毛無山三角点の手前で。
富士残照
富士残照と茜雲
三脚を背負ったままそこから三角点までは10分とかからなかった。明日のダイヤモンド富士を撮影するためには雨ヶ岳側のほうが良いので向うに回り込もうと思ったのだが、その先はワカンの足跡1つのみ。少し歩いてみたが、雪が深くてとても歩けそうも無い。あきらめて三角点の上でテントを張る。もうすっかり日が暮れ、頭の上にはやや膨らみかけた明るい半月が昇っていた。その下にはオリオン座と冬の大三角形が輝く。富士の右裾野には富士宮から駿河湾の明りがきらきらと輝いている。この日も風が無く静かで穏やかな夜、山の上の宿泊客は私一人だった。夜景と富士と星空を堪能し、9時半にシュラフに潜り込む。
駿河湾の明かりと星空
シュラフに潜り込んだ時にはさほど寒いとは思わなかったのだが、2時間ほど過ぎた頃に背中が寒くて目が覚める。一旦シュラフから出てバーナーを焚いて暖をとり、また寝るが、2時間ほどするとまた寒くて我慢できない。そういえば、1ヶ月ほど前の大蔵高丸、先週の杓子山ともテントの中は今までに感じたことがないくらい寒かった。ふと敷いているエアマットを見ると、半分以下につぶれてぺっちゃんこになっているではないか。エアを入れなおして休むが、しばらくするとまたつぶれている。どうやらエア漏れらしい。どうりで寒いわけだ。といっても他に代用を持ってきているわけではないし、死ぬほどの寒さでもない(といっても朝は-15℃くらい)。時折バーナーを焚いて暖をとりながら、寝たり起きたりで朝を迎える。
黎明の富士
翌朝は空気の澄んだすっきりした朝となる。ダイヤモンド富士を見るには最高だ。早朝5時半、富士山の右上に明けの明星、金星と木星が輝いている。写真を撮って一旦テントに戻り、朝食と暖をとって6時45分に再び三脚を構えてダイヤモンドを待つ。7時を回った頃、予定通りに富士山頂の右寄りからダイヤが輝き始める。何枚か撮影してモニターを見ると、何やらものすごいゴーストが出ている。レンズを見ると・・・!なんと!フィルターにびっしりと白い氷の膜ができている。急いで拭き取ってまた写真を撮るがあっという間にまた凍りつく。食事の時にテントの中に持って行き、レンズが温まったのが失敗だった。しかし、そのおかげで今まであまり見たことのない面白い作品にはなった。
富士山頂輝く
毛無山のダイヤモンド富士2008 レンズに薄く氷が張る。
ダイヤのまわりに輝くダイヤ 拭き取ったレンズに残った氷が反射し、ちょっと変わったゴーストが輝いた。
テント撤収し、9時半に下山しようと思ったら、もう三角点まで登って来た人がいた。さらに下山中に約20人の人とすれ違った。人気の高さが伺えるが、登りにはかなりの体力を要する山である。また、今回は地蔵峠側(下部から来るルート)には全くトレースが無く、下部ルートから入ったならばかなりのラッセルを強いられることになったであろう。毛無山に35年前から登り続け、既に1,500回登った(凄い!!)というミスター毛無山に2日間出会い、毛無山界隈や富士山などの新情報をたくさん教えていただいた。下りも急傾斜なので結構大変だ。12本歯アイゼンの歯がしばしば露出している木の根や石にひっかかって何度も転倒しそうになるが、木の枝やロープにつかまりつつなんとか転ばずに下りる。昨日よりだいぶ雪が溶けていて5合目から下は土の斜面が露出しているところが多く、3合目あたりでアイゼンをはずし、膝がガクガクになった12時半、ようやく駐車場に到着した。
日高く昇りて テント撤収、下山。
毛無山は何度登っても大変な山だが、それに見合った素晴らしい富士の展望が期待できる山だ。