平成20年7月26日-27日 天候曇りのち雷
この日は高校生の息子の夏合宿が始まるため、同級生2人を乗せて12時半に3人を宿泊予定地の清里に送り届けた。そこから佐久方面に北上し、左折して北八ヶ岳を横断し、蓼科山に向かった。地図で確認し、いちばん短時間で山頂に到着できそうな南西側の7合目鳥居から登ることにした。移動に結構時間がかかり、登り始めは午後3時になってしまう。天気予報で午後から大気の状態が不安定になると言っていたので、多少の雨は覚悟していたのだがまさかあんな雷につかまるとは思ってもいなかった。
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登山口の7合目鳥居
最初は緩い傾斜だがだんだんと傾斜は増す。道は広いが石がゴロゴロしていてスリップしやすく、やや歩きにくい。中腹の天狗の露岩あたりで雲行きが怪しくなってきたが、まだ雲間から陽が射していた。この先あたりで小雨がぱらつき出し、ザックカバーだけ着けて木陰で雨宿りしつつ登る。蓼科山荘(中腹の小屋)に到着したのは4時半、このあたりで雨足が強くなってきたので、小屋の軒下で雨宿りさせてもらい、カッパを着る。小屋のご主人が出てきて、今日は山頂で星空を撮影する予定だと話すと、やめろと止められると思っていたのとは裏腹に良い写真を撮ってくるように励まされた。実に理解のあるご主人だ。
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天狗の露岩。このあたりで雲行きが怪しくなってきたが、まだ雲間から陽が射していた。
5時頃に雨足が細くなったので山頂向けて出発。途中で親子連れとすれ違ったが、小学生低学年と思われる男の子に山頂直下は雨で滑りやすいから気をつけるようにと注意された。夕暮れが近かったので「お気をつけて」と言うと、その子に「こんな時間に登ってきて気をつけてというのはこっちのほうだよ」と逆に説教されてしまった。登ること20分ほど、山頂小屋まであとわずかというところで雨足が強くなり、遠くで鳴っていた雷鳴が近くでゴロゴロと鳴り出す。と思ったら、100mほどしか離れていない隣の山の山頂にビカビカッツというもの凄い稲妻が走る。間を入れずにバリバリッ、ドンという凄い音が響き渡る。雷雲につかまってしまった。通電する可能性のあるストックとカーボン三脚を積んだザックを置いてひとまず岩陰に隠れる。ふとあたりを見ると、5mほどのところに倒れたダケカンバを補助するための高さ5mほどの竹棒が立てられていた。これはまずい、足早に反対側のダケカンバ林の中に逃げ込み、しゃがみこんで雷雲が遠退くのをじっと待つ。雷、こっちに来るな!と祈るしかない。待つこと30分、光ってから2~3秒で轟いていた雷鳴が7~8秒の間隔となったところで、ザックとストックを拾って頂上小屋目指して大急ぎで登った。なんとか雷に打たれずに6時半、小屋に到着したが、生きた心地がしなかった。
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夕空を切り裂く稲妻 小屋から撮影。
小屋に到着すると小屋主さんが心配して出てきてくれた。事情を話し、この日は小屋に宿泊させてもらうことにした。相変わらず空は稲光が走り、凄い雷鳴が轟く。小屋についてひと安心、持っていったカップラーメンで夕食をとる。落ち着いたところで、さて、撮影会開始。星空撮影の予定が一転、稲妻撮影会となる。三脚を構えて馬鹿みたいにシャッターを切っている私を宿泊している人たちは奇異に観ているのではと思っていたが、意外とそうではなく、良い写真を撮ってくれと励ましてくれた人が多かった。それにしても、山の上から見る稲妻ショーは迫力満点だった。
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佐久の明かりと稲妻
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八ヶ岳の落雷
夜11時ごろようやく雷が止んだ。その頃にかわいい女性が一人起きてきて私につきあってくれた。山はまだ初心者で、友人と2人で来たという。先週登った南アルプス北岳のお花畑が凄いこと、その前の八ヶ岳横岳のウルップソウが満開で素晴らしかったこと、カメラの話、そして最近凝っている星空の話、こういう話をし始めると話が尽きない。ちょうど雨も上がって月が昇り始め、小屋の上に出た明るい木星も一緒にみることができた。1時間近くもつきあってくれ、私にとっては実に楽しいひと時だった。深夜12時半、あっという間に雲が沸き始め、小屋は深い霧に包まれてしまう。本日の撮影会はここまで。小屋主さんが特別に配慮してくれた1階の4人部屋に一人で寝かせていただいた。
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雷雲去りて月昇る
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小屋の上に出た木星と天の川
一旦3時半に外に出るが霧は晴れず、次に目が覚めたのは5時過ぎ、小屋の朝食を準備する音で起きる。外に出ると相変わらずの霧の中だが、頭の上で真っ青な青空が見え隠れし、雲は薄そうだ。待てば八ヶ岳や南・北アルプスとご対面できるかもしれない。ちょうど昨晩の女性とその連れの女性が2人で小屋のまわりを散策していたので、お願いして真ん中に入れてもらい記念撮影する。(鼻の下伸びっぱなし!)持っていったパンを食べて早々に朝食を済ませ、山頂に向かう。山頂は噴火の跡なのか臼状の窪地になっており、その中央に山頂の鳥居が立てられている。三角点の反対側には方位板が立てられていて、そこからの眺望はまたいちだんと素晴らしい。八ヶ岳や南アルプスはわずかに姿を見せたのみだったが、雲海の上の影蓼科山とブロッケン現象を見ることができた。
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小屋で知り合った女性二人組と記念撮影。2人とも超カワイカッタです。鼻の下伸びっぱなし。
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山頂の鳥居。向こうに見えるのが方位板。
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雲海の彼方の南アルプス
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一瞬の赤岳
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影蓼科山
小屋に戻るともうほとんどの人たちは下山したあとで、私が最後になる。いろいろと配慮していただいた小屋主さんにお礼を言い、午前7時、下山開始。下の小屋にもちょっと立ち寄り、昨日の雷に会ったことを話してから下りる。順調に下山し、約1時間半で7合目鳥居に到着した。
雷に会うとんだ山行となったが、この山の小屋主さんたちは実に良い人たちばかりだった。写真撮影にも理解があり、いろいろと配慮してくれたことが本当にうれしかった。次に行く時は空気が澄んだ満点の星空の時に訪れてみたい。小屋泊まり、おみやげを持って。
この日は高校生の息子の夏合宿が始まるため、同級生2人を乗せて12時半に3人を宿泊予定地の清里に送り届けた。そこから佐久方面に北上し、左折して北八ヶ岳を横断し、蓼科山に向かった。地図で確認し、いちばん短時間で山頂に到着できそうな南西側の7合目鳥居から登ることにした。移動に結構時間がかかり、登り始めは午後3時になってしまう。天気予報で午後から大気の状態が不安定になると言っていたので、多少の雨は覚悟していたのだがまさかあんな雷につかまるとは思ってもいなかった。
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登山口の7合目鳥居
最初は緩い傾斜だがだんだんと傾斜は増す。道は広いが石がゴロゴロしていてスリップしやすく、やや歩きにくい。中腹の天狗の露岩あたりで雲行きが怪しくなってきたが、まだ雲間から陽が射していた。この先あたりで小雨がぱらつき出し、ザックカバーだけ着けて木陰で雨宿りしつつ登る。蓼科山荘(中腹の小屋)に到着したのは4時半、このあたりで雨足が強くなってきたので、小屋の軒下で雨宿りさせてもらい、カッパを着る。小屋のご主人が出てきて、今日は山頂で星空を撮影する予定だと話すと、やめろと止められると思っていたのとは裏腹に良い写真を撮ってくるように励まされた。実に理解のあるご主人だ。
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天狗の露岩。このあたりで雲行きが怪しくなってきたが、まだ雲間から陽が射していた。
5時頃に雨足が細くなったので山頂向けて出発。途中で親子連れとすれ違ったが、小学生低学年と思われる男の子に山頂直下は雨で滑りやすいから気をつけるようにと注意された。夕暮れが近かったので「お気をつけて」と言うと、その子に「こんな時間に登ってきて気をつけてというのはこっちのほうだよ」と逆に説教されてしまった。登ること20分ほど、山頂小屋まであとわずかというところで雨足が強くなり、遠くで鳴っていた雷鳴が近くでゴロゴロと鳴り出す。と思ったら、100mほどしか離れていない隣の山の山頂にビカビカッツというもの凄い稲妻が走る。間を入れずにバリバリッ、ドンという凄い音が響き渡る。雷雲につかまってしまった。通電する可能性のあるストックとカーボン三脚を積んだザックを置いてひとまず岩陰に隠れる。ふとあたりを見ると、5mほどのところに倒れたダケカンバを補助するための高さ5mほどの竹棒が立てられていた。これはまずい、足早に反対側のダケカンバ林の中に逃げ込み、しゃがみこんで雷雲が遠退くのをじっと待つ。雷、こっちに来るな!と祈るしかない。待つこと30分、光ってから2~3秒で轟いていた雷鳴が7~8秒の間隔となったところで、ザックとストックを拾って頂上小屋目指して大急ぎで登った。なんとか雷に打たれずに6時半、小屋に到着したが、生きた心地がしなかった。
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夕空を切り裂く稲妻 小屋から撮影。
小屋に到着すると小屋主さんが心配して出てきてくれた。事情を話し、この日は小屋に宿泊させてもらうことにした。相変わらず空は稲光が走り、凄い雷鳴が轟く。小屋についてひと安心、持っていったカップラーメンで夕食をとる。落ち着いたところで、さて、撮影会開始。星空撮影の予定が一転、稲妻撮影会となる。三脚を構えて馬鹿みたいにシャッターを切っている私を宿泊している人たちは奇異に観ているのではと思っていたが、意外とそうではなく、良い写真を撮ってくれと励ましてくれた人が多かった。それにしても、山の上から見る稲妻ショーは迫力満点だった。
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佐久の明かりと稲妻
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八ヶ岳の落雷
夜11時ごろようやく雷が止んだ。その頃にかわいい女性が一人起きてきて私につきあってくれた。山はまだ初心者で、友人と2人で来たという。先週登った南アルプス北岳のお花畑が凄いこと、その前の八ヶ岳横岳のウルップソウが満開で素晴らしかったこと、カメラの話、そして最近凝っている星空の話、こういう話をし始めると話が尽きない。ちょうど雨も上がって月が昇り始め、小屋の上に出た明るい木星も一緒にみることができた。1時間近くもつきあってくれ、私にとっては実に楽しいひと時だった。深夜12時半、あっという間に雲が沸き始め、小屋は深い霧に包まれてしまう。本日の撮影会はここまで。小屋主さんが特別に配慮してくれた1階の4人部屋に一人で寝かせていただいた。
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雷雲去りて月昇る
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小屋の上に出た木星と天の川
一旦3時半に外に出るが霧は晴れず、次に目が覚めたのは5時過ぎ、小屋の朝食を準備する音で起きる。外に出ると相変わらずの霧の中だが、頭の上で真っ青な青空が見え隠れし、雲は薄そうだ。待てば八ヶ岳や南・北アルプスとご対面できるかもしれない。ちょうど昨晩の女性とその連れの女性が2人で小屋のまわりを散策していたので、お願いして真ん中に入れてもらい記念撮影する。(鼻の下伸びっぱなし!)持っていったパンを食べて早々に朝食を済ませ、山頂に向かう。山頂は噴火の跡なのか臼状の窪地になっており、その中央に山頂の鳥居が立てられている。三角点の反対側には方位板が立てられていて、そこからの眺望はまたいちだんと素晴らしい。八ヶ岳や南アルプスはわずかに姿を見せたのみだったが、雲海の上の影蓼科山とブロッケン現象を見ることができた。
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小屋で知り合った女性二人組と記念撮影。2人とも超カワイカッタです。鼻の下伸びっぱなし。
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山頂の鳥居。向こうに見えるのが方位板。
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雲海の彼方の南アルプス
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一瞬の赤岳
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影蓼科山
小屋に戻るともうほとんどの人たちは下山したあとで、私が最後になる。いろいろと配慮していただいた小屋主さんにお礼を言い、午前7時、下山開始。下の小屋にもちょっと立ち寄り、昨日の雷に会ったことを話してから下りる。順調に下山し、約1時間半で7合目鳥居に到着した。
雷に会うとんだ山行となったが、この山の小屋主さんたちは実に良い人たちばかりだった。写真撮影にも理解があり、いろいろと配慮してくれたことが本当にうれしかった。次に行く時は空気が澄んだ満点の星空の時に訪れてみたい。小屋泊まり、おみやげを持って。