山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

茅ケ岳標柱再建、協力者募集!

2010年07月29日 | 八ヶ岳・秩父山系
 標柱の損傷状況を確認に行ったところ、幸運にも切り取られた標柱上部を発見でき、接着剤の固まる時間等を考慮してあらかじめ標柱を接合してきました。あとは鎹(かすがい)という保持釘を打ち込むだけです。協力者を募集します。





 茅が岳山頂到着は9時ごろになると思われます。直接山頂に行かれる方はその頃にお願いします。また、山梨県外の方で宿泊所が無い方は、ご連絡いただければ私のアパート(ほとんど避難小屋ですが・・・)をご利用いただけますので、下記メール、あるいは携帯にご連絡ください。ふとんは無いので寝袋かタオルケット持参願います。

  arzt.yosshi-212@k2.dion.ne.jp
  090-2649-8966
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北岳、花調査(後編) ~北岳肩の小屋から山頂、ボーコン沢の頭を経て嶺朋ルートを下る~

2010年07月28日 | 南アルプス
 7月4日 天候曇り時々晴れ

 北岳の山頂にかかる天の川の撮影を狙っていたのだが、夜はずっと雨が降り続き、星も月も全く見えなかった。ぐっすりと眠って朝4時に目が覚める。外に出ると、小雨が降り、真っ白な霧が立ち込める視界の悪い朝だった。御来光など全く望めない。
 5時過ぎ、朝食になる。この日もさほど急ぐ必要も無く、2順目の食事をとってゆっくりと準備し、6時半過ぎに小屋を出発して山頂に向う。霧と小雨が混じる天候で、レンズがすぐに曇ってしまうため、ハンカチやタオル、さらには・・・靴下でレンズを覆い、濡れないようにしながら歩く。山頂直下のハクサンイチゲのお花畑はまだ5分から7分咲きといったところで、おそらくは来週から連休ごろが見頃になったことだろう。

    朝霧に濡れるハハコヨモギ(フラッシュ同調)


    霧に立つハクサンイチゲ


    7分咲きのハクサンイチゲお花畑


    朝霧に濡れるキタダケソウ(フラッシュ同調)

 山頂を通り過ぎてトラバース道に下りて行くと霧と小雨に濡れたキタダケソウが見え始めた。2年ぶりに見るキタダケソウに出会えてほっとする。トラバース道に下りて北岳山荘側に進むとキタダケソウのお花畑になっており、ちょうど満開のキタダケソウを見ることができた。しかし、以前来た時と何か違うのは・・・ハクサンイチゲの混ざっている量がだいぶ増えた気がする。正確に計測しているわけではないので何とも言えないが、前はキタダケソウの中にわずかにハクサンイチゲが混ざっていただけだったような気がするが、今回はどこを見てもハクサンイチゲが混入して咲いている。これも温暖化の影響なのか、キタダケソウよりも暖かい場所で生育できるハクサンイチゲが増えてくるのは当然の現象なのかもしれない。

    梅雨に濡れるキタダケソウ


    キタダケソウのお花畑  ハクサンイチゲがだいぶ混入している。


    別の場所。 やはり以前よりハクサンイチゲが多い気がするが・・・

 たっぷり見物した後、八本歯のコルに下りる。このルートを通って左俣雪渓を下る物好きは誰もいないかと思いきや、2~3人通った足跡が残っていた。八本歯のコルに行くと、シナノキンバイのお花畑が広がり、岩の間にはイワベンケイやミヤマシオガマが咲いていた。そして足元を見ると、黒い百合、ミヤマクロユリが咲いていた。

    八本歯のコルのシナノキンバイお花畑


    ミヤマクロユリ  足元に咲いていた。


    岩場に咲いていたミヤマシオガマ


    ツガザクラ

 ボーコン沢の頭に行くために、ハシゴを登ったところで吊り尾根のほうから7~8人のグループが下りてきた。何故にここを下りてくるのか?と不思議に思って話してみると、左俣雪渓を登る時に霧に巻かれてルートを見失い、吊り尾根の途中に登りついてしまったそうだ。よくぞあんな急登りの雪渓を無事に登りつけたものだと感心する。そう思っていたら、その後にも2組、全部で15人ほどの人たちと出会い、この日に朝一番で左俣雪渓を登った人たちは皆ルートを誤ったらしい。無事に登りつけてなによりだった。

    池山吊尾根の露出したハイマツの根と間ノ岳


    池山吊尾根から見る北岳バットレス  やっぱり北岳は凄い!


    吊尾根のナナカマドと間ノ岳、農鳥岳

 池山吊り尾根のボーコン沢の頭までのルートはところどころハイマツの中でルートのわかりにくい場所があった。この頃には雨が上がっていて青空が見えるようになっており、時折北岳バットレスが山頂近くまで姿を現すようになっていた。ボーコン沢の頭手前のピークがバットレスの眺望抜群で、ここで休憩して昼食をとる。時間は10時半、私がしつこく写真を撮っていたおかげで、すっかり遅くなってしまった。

    ボーコン沢の頭のケルン


    嶺朋ルート入口の看板と北岳


    嶺朋ルート上部はコイワカガミがたくさん咲く

 昼食後、ボーコン沢の頭に11時25分到着、ここの池山小屋への分岐を右に曲がらずに真直ぐ進むと嶺朋ルートのある広河原直下りの尾根に行ける。ルートの入り口には「広河原へ3時間」と書かれた嶺朋ルート入り口の看板が立てられている。眺望の良い尾根はここで終り、ここから少しばかりハイマツの薮をこぎ、樹林帯の中へと道は進む。ところどころ道なのかどうかわからないところもあるのだが、ルート上にはペンキサインがつけられていて、これを見落とさずに下れば迷うところはない。しかし、滑りやすい急斜面あり、また時として岩を飛び越すところあり、さらに中腹から下のツガ林は倒木が何ヶ所もあり、三脚をつけた私のザックは何度もひっかかって通過しにくいことがあった。決しておすすめできるルートとは言えない、というのが私の率直な感想である。

    上部の雪渓残る草付。鹿の食害か、生えているのはバイケイソウばかり。


    中腹部の岩稜帯。左手に御池小屋が見え、右下には南アルプス林道が見える。


    中腹の苔の生した樹林帯


    倒木のところにつけられたペンキサイン。通過に苦労した。

 ルート最下部のカニコウモリ大群落を抜けると下に遊歩道が見え始め、広河原園地の近くに抜け出た。時間は14時25分、雨の後で滑りやすく、ピッチが上がらなかったこともあるのだが、嶺朋ルート入り口の看板のところから2時間40分の行程だった。

    下部のカニコウモリ大群落


    広河原園地の近くの遊歩道に出る。

 2年ぶりのキタダケソウとの再会、しかし、変化しつつある北岳のお花畑。果たしていつまでこの景色を見ることができるのか、そんな不安の残るレインジャー花調査を兼ねた北岳山行となった。
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北岳、花調査(前編) ~御池小屋、右俣を経て肩の小屋へ~

2010年07月22日 | 南アルプス
北岳、花調査(前編) ~御池小屋、右俣を経て肩の小屋へ~

 平成22年7月3日 天候曇りのち雨
 今年度から参加している山岳レインジャー(主に花の生育調査)の業務として北岳の花調査の命を所属する山岳会嶺朋クラブが受けた。ちょうどキタダケソウ満開の頃だろうし、行きたかった場所だけに参加することにした。しかし、問題なのは天候。1週間前から天気予報を連日チェックしていたが、日を負うごとに降水確率が高くなり、前日の予報では50%。ということは、山の上ではまず雨ということだろう。あまり気はすすまないが、レインジャーの花調査の業務は日程の指定があり、この日を逃すともう日程がとれなくなってしまう。前日、同行する嶺朋クラブ会長、高崎さんに電話してみると、「行くしかないでしょう」との返事。若干の天候不良くらいならば、行くしかないのだ。

    広河原から見上げる北岳方面。空は曇り空、山頂は雲の中。左側が下山時に使う予定の嶺朋ルートがある尾根。(ボーコン沢の頭から広河原に直下りする道)

 5時半芦安駐車場出発のバスに乗り、広河原に入る。天候がいまひとつということがあって、キタダケソウ満開の季節というのにバスに乗る人は少なかった。夕食までに北岳肩の小屋に着けば良いので急ぐ必要も無く、新しく立て直した広河原プラザの中の写真を見学してから、ゆっくりペースで登り始める。野呂川にかかる橋を渡ったところに看板があり、大樺沢の御池小屋分岐から二俣までは通行禁止と書かれていた。いったい何があったのか?高崎さんと相談の上、ひとまず行けるところまで行ってみようということになった。御池小屋分岐から30分ほどはいつもと変わらない大樺沢の道だったが、左岸に渡る橋のところで道は一変、大規模な雪崩の後なのだろうか、木々がなぎ倒され、道が無くなっている。橋はなんとか架けられているので渡ったが、その先の道は全くどこを歩けば良いのかわからない。どうしようかと相談していると、後ろから工事関係者(山小屋の方か?)がやって来て、「看板見ただろう、ルールは守ってもらわないと困る」と、お叱りをうけてしまった。話を聞くと、50年ぶりくらいの大雪崩で道が完全に壊れ、下の橋は直したものの上の橋はこれから工事を行なうところで、とても渡れるような状態ではないという。上流まで上って岩伝いに渡れないこともないが、保障はできないとのことで、ここは引き返して御池小屋経由で右俣を登ることにした。

    通行禁止となっている御池小屋分岐から二俣に行く大樺沢の道。大雪崩で道が壊れ、上流の橋が流されてしまっている。

 1時間ほど時間をロスし、御池小屋には11時15分に到着。私たちよりも1本早いバスの人たちが多かったのか、たくさんの人たちが休憩していた。小屋の前にミヤマキンポウゲが少しだけ咲いていたが、かつてはお花畑だったはずの草付きは、今ではバイケイソウとゼンマイしか生えない荒地になってしまっている。おそらくは鹿の食害、草スベリや右俣のお花畑も年を負うごとに狭くなっている気がする。

    御池小屋とミヤマキンポウゲ


    御池小屋横のお花畑はバイケイソウとゼンマイばかり。


    二俣のところの植生保護柵。保護というよりも鹿の食害にあったところとあわないところでどう変わるかを研究するための柵といった感じ。


    二俣に一株だけ咲いていたヤマガラシ

 二俣まで行ったところで昼食休憩をとる。雪が多いには多いのだがびっくりするほど多いというわけではない。足元にはまだあまり花は咲いておらず、開花が遅れているようだ。右俣を登って中腹の草付きのところまで行く途中は、4年前に歩いた時にキンポウゲがだいぶ咲いていたように記憶しているが、今回はほんの少ししか見つけることができず、変わってマルバタケブキがたくさん生えていた。バイケイソウ、マルバタケブキ、トリカブト、そしてタカネコウリンカは鹿が食べないと言われており、鹿の食害の後はこのような草木ばかりが残ることになる。そして、ゼンマイ(たぶんイタドリゼンマイだと思うが)が残っているところをみると、これもおそらくは食べないのだろう。ダケカンバの林の中を、登山道を横切る獣道が真直ぐに右俣の雪渓方向に向って走っている。雪渓周辺の草付きの花をおそらくは好んで食べているのだろう。現在私たちがレインジャーとして行なっている業務は花の調査だが、その結果が出る頃にはもう北岳のお花畑は消滅してしまっているのではないか、そんな心配を抱いてしまうほどに深刻な状況になっている。もはや調査ではなく保護の段階、いや、それを超えて再生をどうするかを議論する段階まで進んでしまっているのではないだろうか。

    わずかに咲いていた(残っていた)二俣ルートのミヤマキンポウゲ


    中腹の草付に咲いていたショウジョウバカマ


    かつてはミヤマキンポウゲが咲いていたはずだが、今ではマルバタケブキ、トリカブト、バイケイソウ、そしてゼンマイばかり。

 草スベリと右俣ルートの合流地点(標高2,600m付近)のシナノキンバイのお花畑は、まだ花がほころび始めたばかりだが無事に残っていた。しかし、少しずつバイケイソウが増え始めているような気がする。

    草スベリと右俣ルート合流部あたりのシナノキンバイお花畑。まだほころび始めたばかり。


    ほころび始めたシナノキンバイ

 さらに登って稜線にたどり着くと、景色は一変する。この稜線はまだ鹿が越えていない場所で、食害を受けていないため、ハクサンイチゲやミヤマキンバイ、オヤマノエンドウ、イワウメ、そしてキバナシャクナゲなどのお花畑が一面に広がる。ちょうどハクサンイチゲは満開を迎えており、眼前に広がる景色に遅い足がさらに遅くなってしまう。小雨が降り出したが、カメラをタオルとビニール袋で覆いつつ、三脚を取り出して写真を撮りながら歩く。高崎さんには申し訳ないので、先に小屋に行ってもらうことにする。あいにくの雨であまり良い写真は撮れないのだが、しかし、この景色は何度見ても感動する。登ってきて良かった、そう思った。

    稜線西面に広がるキバナシャクナゲ群落


    イワウメ群落


    岩場に咲くチシマアマナ


    ハクサンイチゲと残雪の北岳


    北岳稜線のお花畑  やっぱり北岳は凄い!

 小雨降る中を三脚を担いだまま存分に花を楽しみながら歩き、北岳肩の小屋には5時を少し回った頃に到着。小屋ではもう1順目の夕食が始まっていた。(この季節に訪れる時は、毎回夕食時間に間に合ったことがない。)2順目の夕食をいただき、うれしいことに、小屋主の森本さんからビールを1本ご馳走になった。顔を覚えていただいたようで、ここのところ宿泊のたびにビールをご馳走になってしまっている。少しでも良いから何か山に恩返しができれば、と来るたびに思う。(後編に続く)
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またしてもやられた茅ヶ岳標柱

2010年07月13日 | 番外編
 平成22年7月11日の日曜日、突然アウトドアショップELK店長から私のところに電話があった。「今日の山日新聞見ましたか?」その記事がこれである。


 
 大事に管理してきた茅ヶ岳山頂に立てた我らが標柱が、無残にも鋸で切り取られてしまった。なんとも酷いことをするやつがいるものだ。おそらくは以前に標柱を抜いて谷に捨てた者、さらに標柱に傷をつけて文字を削り取った者、同一犯人と見るべきだろう。人気のある茅ヶ岳、おそらくは登山者が皆下山した後の夕暮れ時を狙って行われた犯行だろう。
 さっそく山梨県庁観光資源課を訪れ、課長の石原さんとお話をしてきた。そして必ず再建することを約束してきた。9月中旬から紅葉が始まる茅ヶ岳は、ハイシーズンを迎える。それまでになんとか再建したいと考えている。再度、協力者を集う。ブログ愛読者の皆様、そして山を愛する皆様、協力をお願いします。


 関連記事
またしても!茅ヶ岳標柱
http://blog.goo.ne.jp/yamanashi100yama/e/4e82f4b00a05d9d02f057534e30d587d

茅ヶ岳標柱修復  平成20年6月27日
http://blog.goo.ne.jp/yamanashi100yama/e/449baf0775ac341c4ba53fe4a01a99fc

削られた茅ヶ岳標柱
http://blog.goo.ne.jp/yamanashi100yama/e/0f9886d219344b9e46955d557dcb38a0

茅ヶ岳標柱再建  平成19年11月10日
http://blog.goo.ne.jp/yamanashi100yama/e/95414cc9fba492fa35b0672672746613

秋たけなわの茅ヶ岳
http://blog.goo.ne.jp/yamanashi100yama/e/330db9f8f1ed0689159cc9ae6a3b6ce3

抜き去られた茅ヶ岳標柱
http://blog.goo.ne.jp/yamanashi100yama/e/224e4f55e30e48dc3de31b488a395479
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アズマシャクナゲ咲く瑞牆山 平成22年6月19日

2010年07月10日 | 八ヶ岳・秩父山系
 平成22年6月19日  天候曇り

 5月下旬に瑞牆山界隈のシャクナゲ開花状況を偵察したが、この時は咲いていたのはまだ瑞牆山林道から下のほうだけで、花芽が少なく、今年はハズレ年のようだった。そして今回、ちょうど見頃であろう季節に、今度は瑞牆山山頂を目指した。当初は職場のメンバー5~6人で行くはずだったのだが、前日の天気予報で朝まで豪雨の予報が出ていたので、メンバーには山行中止の連絡を前日出してしまった。しかし・・・この季節の天気予報は全くあてにならないもので、朝7時に目を覚まして外を見れば、雨はすっかり上がっており、ところどころ青空が見えているではないか。これから天気が崩れる可能性はきわめて低く、折角の天気なのでここは単独で瑞牆山に行くことにする。

    クリンソウ


    瑞牆山林道の脇に咲くカモメラン

 8時、自宅出発。瑞牆山荘の駐車場を9時20分に出発する。いつものように登山道脇のクリンソウの花を眺めつつ、瑞牆山林道に行き着いたところで林道に沿って富士見平を目指して進む。目的はこの林道沿いに咲いているカモメランの花。5月下旬にはまだ咲いておらず、一輪も見つけられなかったが、おそらく今回はちょうど良い時期のはずだ。ところどころ赤いヤマツツジが咲いており、この花の時期とカモメランの時期はほぼ一致する。小さくて目立たない花なので、踏みつけないように足元に気をつけながらそっと林の中に踏み入ると・・・あった!それほどたくさんではないが、5株ほど咲いているのを確認できた。探せばおそらくもっとあるのだろうが、それによって生育地を荒らしてしまうのも問題なので、あまり深入りせず、確認しただけに留めた。

    瑞牆山林道から見る瑞牆山


    富士見平の片隅にひっそりと咲くカモメラン


    希少種カモメラン

 さらに林道を進み、もう1箇所の生育地を覗いてみると、こちらは昨年に比べてずいぶんと少なくなっているような気がする。下部のほうではほとんど葉すら発見できず、上部でようやく発見、こちらでは10株ほど見つけることができた。秘密の場所だが、花好きな人には有名な場所らしく、踏み跡がしっかりと残っていた。

    富士見平小屋前のレンゲツツジ

 富士見平に立ち寄って水を汲みつつ休憩する。駐車場に停まっていたバスのツアー客たちなのか、15人ほどの団体が下山して行くところだった。富士見平小屋前のレンゲツツジが7分咲きというところだった。空は曇り空で、富士山は残念ながら全く見える兆しはなかった。

    天鳥川から瑞牆山への登り口にある大岩

 小川山への分岐部あたりはシャクナゲの群生があるので、登山道からちょっと外れてシャクナゲを見に行ったが、このあたりの花はもう既に終わっていて、クシャクシャになった花がわずかについているだけだった。天鳥川に下り、そこから瑞牆山登山道に入ると、前日の雨のせいで登山道は小川のように水が流れていた。途中新しい道を作っている場所があり、ロープ伝いに迂回する場所があった。そのあたりから、まだ新しいシャクナゲの花がちらほらと見え始めた。予想通り、前年に比べると花が少ないような・・・気がする。中腹の辺りで5~6人のパーティーと抜きつ抜かれつしながら登っていったが、話しかけてみると全員地元、山梨大学の関係者、1人の女性は山梨大学山岳部の部員だった。山岳部の活動状況等、情報交換しながら歩いたが、白鳳会やアルパインクラブの方たちと合流して活動していることを知った。どうりでこの2つの山岳会は若いメンバーが多いわけだ。他の山岳会にもれず、我が嶺朋クラブはいつ消滅するやもわからない、中・高年山岳会になってしまっている。(それでもメンバーの皆々、私よりも遥かに足が速く、体力もある。)

    登山道中腹に咲いていたアズマシャクナゲ


    梅雨に濡れるアズマシャクナゲ

 昨年山頂下の岩場でクモイコザクラを数輪発見したので再三探したが、今年は見つけることができなかった。山頂に到着するが、雲が多くて眺望は望めず、一段下の岩峰に昨年訪れた時に満開のシャクナゲの木があったのを思い出し、そちらに移動してみる。しかし、今年はその木の花は既に散った後で、別の場所のシャクナゲが満開だった。山頂に行くほど色の濃いシャクナゲの花が楽しめる。この場所で昼食をとり、下山する。

    瑞牆山山頂は雲が湧いて眺望利かず


    山頂直下に咲いていたアズマシャクナゲ


    山頂隣の岩峰のところに咲いていた色の濃いアズマシャクナゲ

 山梨大学のメンバーたちより一足先に富士見平に到着し、下りてくるのを待つ。帰り際、相手がどういう人たちかわかっているので、希少種カモメランの咲き場所を教えてあげた。7月に山梨大学山岳部でこの山域のレインジャー(花の調査)が予定されているそうなので、おそらくこの花も調査対象に入っているであろう。一緒に駐車場まで下山し、16時40分、到着した。
 花はハズレ年ではあったが、今年も瑞牆山のアズマシャクナゲと稀少種カモメランを見ることができた。来年はもっとたくさん咲いて欲しいと願う。
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残雪の飯豊本山(後編)

2010年07月08日 | 日本百名山
残雪の飯豊本山(後編)

 車内で一泊し、早朝川入から飯豊本山目指して出発した。種蒔山でようやく飯豊本山が全容を見せるようになり、切合小屋に12時半に到着した。

    切合小屋の先の登山道に咲くショウジョウバカマ

 ここから再び雪渓の登りになる。種蒔山ほどの急で危険な登りでは無いが、結構長い雪渓だ。アイゼン無しでキックステップで登ったので余計に体力を消耗する。登りつくと今度は下りになり、草履塚という見晴らしの良い場所に到着し、飯豊大日岳がドンと大きく聳え立って見える。小休憩して進むと、このルートの名所、御秘所の岩場が眼下に見えるようになる。その尾根を登りつけば、いよいよ飯豊本山は間近となる。

    飯豊本山(中央のなだらかな隆起)と御秘所の岩場(草履塚から)


    姥権現の先の稜線に咲いていたミヤマキンバイと大日岳

 御秘所の手前に姥権現という岩の所に地蔵が祭られた場所がある。ハクサンイチゲがようやくちらほらとほころび始めたところだった。大群落を期待していたのだが、まだ時期的に早かったようだ。地図で見ると御秘所を過ぎたあたりにヒナウスユキソウが咲いているらしいので探してみたが、これも芽らしきものが生えていただけで花を見ることはできなかった。頑張って急な岩場を登りつくと、そこにテント場らしき平らな場所があり、石の積まれた展望台があった。水場を示す道標があったので、そちらに水を汲みに行くと・・・水場は完全に雪の下、場所すら確認できなかった。僅かに登って飯豊本山小屋に到着した。時間は午後3時40分、私の足にしてはまずまずの時間だ。

    飯豊本山小屋

 本山小屋に荷物を置いて、三脚とカメラとおやつだけ持って飯豊本山山頂に向かう。小屋から山頂までは15分から20分ほどで到着する。一度歩いてみたいと思っているダイクラ尾根が右手に長く延びている。山頂から大日岳を見ると、まだ雪がたくさん、そしてその右手に連なる北股岳、門内岳の稜線も雪がたっぷりだ。これではおそらく向こうの尾根筋も花は咲いていないだろう。

    飯豊本山山頂.午後4時到着.


    飯豊本山から見る大日岳.まだ雪がたっぷり.


    北股岳から門内岳の山々.残雪たっぷり,花はまだだろう.

 山頂でのんびりした後、小屋に戻る途中で、先ほど三国岳でお会いした地元の方とすれ違った。というよりは、山頂方向ではなくて御西岳へのトラバース道方向に進んで行った。何かと思えば、後に小屋でお話してわかったのだが、そちら側に池塔があって、そこで水が汲めるのだという。さすがに地元の方は詳しい。私は水を確保するために本山小屋に置いてあったスコップを借りて小屋の東側にある雪渓を掘って、深部にあるきれいな雪を取り出してそれを溶かして使用した。岩崎さんとおっしゃるその方は、大きなザックの中はほとんどがアルコール類ばかり(だったと思う)。この辺りの小屋の管理人さんたちは皆知り合いらしく、本山小屋に酒類を置いて行くために持ってきたという。私もあやかってお酒をいただいたのだが、これがまた今までに飲んだことのない変わった酒、蜂蜜を発酵して作った「みいど」という酒だった。ワインに近いような味にほんのりと蜂蜜の香りがする。岩崎さんは普段は農家をされているが、冬季は酒蔵に勤めているそうで、その酒蔵で作っている稀少なお酒だそうだ。売っている場所を聞くと、さっそく酒蔵の社長さんに電話して聞いてくれたのだが、結局は酒屋まで買いに行くことなく、下山後、岩崎さんのご自宅にお邪魔させていただき、稀少な「みいど」(商品名は美禄の森)2本を譲っていただき、さらに会津の地酒「蔵」あらばしりを一升瓶でいただいてしまった。甲府に帰った後、当院職員を誘って5人でこの2つの酒を賞味したが、どちらも物凄く美味かった。美禄の森は言うまでも無いのだが、蔵のあらばしりはコクのある甘系統の酒で、冷やして飲むと最高だ。(2人は途中で酔いつぶれてリタイア・・・)

    夕暮れの大日岳.飯豊本山小屋から

 いただいたお酒ですっかり酔っ払った私は、翌朝(といっても未明2時ごろ)に昇っている天の川と、月に照らされた山の景色を撮影するため、8時過ぎには早々に寝かせてもらった。この日小屋に泊まっていたのは私と岩崎さん、そしてもう1人、地元の方でスキーを担いで来られた方(名前は忘れてしまいました)の3人。この飯豊連邦が地元の人たちに大変愛されている山だということをつくづく感じた。山梨の山もこうであって欲しいと思った。
 未明1時半に目を覚まし、外に出てみると・・・霧が立ち込める真っ白な世界、星どころの騒ぎではなく、ヘッドライトだとほんの数メートルしか視界が利かない。しかし、空を見上げるとうっすらと月明かりが見え、さほど厚い霧ではなさそうだ。じっと待っていると、時折星が見え出す。そして遂に、西の方向に飯豊大日岳が姿を現した。空は曇り空、時折雲がピカピカと光を放ち、稲妻が走っているのがわかる。ちょうど月が昇って来た時間で、大日岳が月光で浮かび上がって見える。星空の設定で何枚か撮影し、その後15分間露光を設定して小屋に戻り、休憩していると、20分くらい立った頃だろうか、突然ザーッという雨とはちょっと違う音が小屋の屋根と窓を叩く。急いで外に出ると・・・なんと、6月だというのにあられに近い雪が降っていた。山は隠れてしまい、ここで夜の撮影は終りとなる。

    落雷一閃,月光照らす飯豊大日岳  右手の町に落雷が映っている.

 再びシュラフに潜って横になり、ちょっとウトウトして次は5時に起きた。外はみぞれ混じりの小雨、天気予報からして回復の可能性は低いので、さっさと帰り支度して5時半に小屋を出た。切合小屋まで下りると雨は上がっており、大日岳の下3分の2が姿を現してきた。朝食を取りつつそこで1時間ほど三脚を構えて待ったが、結局全容を見せることはなかった。

    朝の飯豊連峰は霧の中.


    ほころび始めたハクサンイチゲ  姥権現付近.

 三国岳でゆっくり休んでいると、岩崎さんともう1人の方が追いついてきて、そこから先は3人で一緒に下山した。(スキーヤーの方は地蔵山から別コースで滑って下りた。)12時40分、川入駐車場到着。下山後、岩崎さんと私は飯豊の湯に立ち寄って汗を流した後、前述の如く岩崎さんのご自宅にお邪魔させてもらった。写真はいまひとつだったが、この地域の方々の人柄の良さも存分に味わうことができ、最高の山旅ができた。飯豊連邦、すっかり気に入ってしまった。

    アカヤシオツツジ  さらば飯豊,また来ます.

(今回の山行は、私のブログにリンクしている「outdoorlife 山歩き」のsanaeさんのページ、および「三脚マンと弱力女の登山日記」のブログを参考にさせていただきました。)
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残雪の飯豊本山(前篇)

2010年07月04日 | 日本百名山
 平成22年6月4‐5日

 例年まともに夏休みがとれないので、今年は前倒しして6月に2日間休みをとった。木・金曜の休みをとり、水曜日の午後から4日半の休みとなる・・・はずだった。しかし、またしても例年の如く3人の緊急入院患者様を抱えることとなり、1泊2日しか日程はとれなくなってしまう。仕事柄止む無し。最終的には木曜日午後に登山口の福島県会津若松の川入に移動、車内泊して金曜日早朝から飯豊本山目指して出発することとなる。実質的な行動時間が8~9時間、休憩や写真撮影時間を入れると約11~12時間の長丁場となる。果たして、最近取り組んでいるトレーニングの成果は発揮されるのか?
 川入到着したのは日没少し過ぎた午後7時過ぎ。キャンプ場になっていて、トイレや炊事場がついている立派な施設だった。駐車している車が2台、車内にはいないので、おそらくは飯豊山に入山している人なのだろう。コンビニで買い込んだ弁当と地酒で夕食を済ませ、8時には早々に寝る。空は星が少しだけ見えるうっすら曇り空だ。天気予報では明日は天気持ちそうだが、果たしてどうなるのか?星空は出てくれるだろうか?

 6月4日 天候晴れ時々曇り
 早朝4時に目を覚まし、ヘッドライト無しで歩ける4時半に出発する。10分ほど林道を進むと大きな杉の木があり、そこから登山道に入る。少しばかりの急登が始まるが、予想していたよりも緩い。丹沢山系大室山に似た大きなブナの木が林立した林の中をひたすら登る。足元を見れば、ピンク色の可愛らしい花がちらちらと見え出す。イワウチワだ。山梨県では上野原の坪山くらいしか自生しているところを知らないが、この山にはごく普通に生えている。それに混じって、これまたこんなにたくさん生えるのかというくらいにショウジョウバカマが咲いている。

    飯豊山の川入側登山道入口となる御沢の大杉


    登山道下部の新緑のブナ林


    イワウチワの群生と地蔵山

 地蔵山が見える稜線に抜けたところで大きな雪渓に突入した。運が良いことに私を追い越していった単独登山者の人がおり、その人の足跡のおかげで方向を見失うことなく歩けた。雪渓を抜けると、今度はカタクリの大群落だ。山梨県のそれとは全く違う、赤紫色の濃い大きな花が咲いている。そしていよいよ、このルート最大の難所、剣が峰を経て三国山への登りとなる。岩の急登で両側がそげ落ちているが、危険な個所には鎖がとりつけられていた。しかし、強風時や雨で滑る時は要注意だろう。再三三脚を立てながら、存分に写真を撮影しながら歩いてきたが、ほぼ予定通りの10時、三国山の避難小屋に到着した。

    真っ白なダケカンバと残雪の飯豊連峰


    飯豊の空


    カタクリの花と三国岳

 三国山山頂にはこの季節になってもまだ山桜が咲いており、その向こうにようやく飯豊連峰最高峰の大日岳が見えるようになってきた。ここで軽食をとりつつ大休憩していると、同じコースをもう一人単独登山者が登ってきた。話し方からして地元の方、本日は飯豊本山小屋に泊まるというので、私がテントを張らなければ本日は同じ小屋泊まりということになる。(満天の星空になった時は写真撮影のためガタガタするので、同じ小屋の宿泊者に迷惑になってしまうため、テントを張ろうと持ってきた。)これから先のルートや見渡す山々について詳しかったので、情報を聞いて私が先に出発した。(後にこの方には山の上のみならず、下山してからも大変ご厄介になることとなる。)

    シラネアオイ


    アカヤシオツツジとこれから目指す三国岳


    三国岳避難小屋とこれから目指す飯豊本山方面


    三国岳山頂に咲いていたカタクリ


    三国岳の山桜と飯豊連峰最高峰大日岳


    稜線でほころび始めたアカヤシオツツジと大日岳

 雪渓と土の登山道が入り交じるようなルートとなり、ところどころひび割れて今にも崩れそうなクレバスの横を慎重に通過しつつ、飯豊本山を目指す。驚いたのは種蒔山への登りの斜面だ。とても登れそうもない雪の急斜面につきあたり、そこでぱったりと足跡が途絶えている。果たして先行した人はどこをどう登ったのか?足元を良く見ると、左側に雪で傾いた木々の枝が横たわっており、その枝につかまりながら雪渓の端を登ったようだ。そこしか登れそうなところは見あたらなかった。距離にして10mくらいだが、ここはちょっと苦労した。そして登り付くと・・・一気に展望が開け、残雪たっぷりの飯豊本山が全容を見せるようになる。雪渓の下には切合(きりあわせ)小屋が見える。雪渓の中を切合小屋目指して真っ直ぐに進み、小屋の手前の水場で再び大休憩する。時間は12時半、順調に来てはいるが、見上げる飯豊本山はまだ遠い。(1日目後編に続く)

    種蒔山から見上げる残雪の飯豊本山

 (『山梨百名山から見る風景』ファンの皆様、ブログ更新が大変遅れてしまっていて申し訳ありません。シャクナゲ咲く瑞牆山、さらには飯豊門内岳、キタダケソウ咲く北岳とこの後訪れているのですが雑務が多くなかなか書けない状況です。申し訳ありません。
コメント (4)
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