山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

夏の花咲く北岳(3日目)  令和5年7月19日 

2023年07月28日 | 高山に咲く花
 2泊3日でやって来た北岳は本日が下山の日となった。八本歯のコルからの下山も考えてはいたのだが、雪渓が不安定で落石の危険があり、最も安全に下山するには山頂を越えて下りたほうが無難であろう。朝食が朝4時半だったため、5時を過ぎた頃に北岳山荘を出発する。この日は天候が崩れてくるという予報で、朝から風が強く気温も低い。昨年の二の舞にならないように、しっかりと防寒して山頂を目指す。カメラは故障したままで復旧せず、本日もスマホの画像である。


    北岳山荘から見る日の出前の富士山


    雲海に浮かぶ富士山は絶景である。間もなく雲が湧いて富士山は見えなくなってしまった。


    北岳山頂を目指しながら朝日が昇って来た。


    雲が湧き出して富士山は隠れてしまった。


    帰り道でもまたキタダケナズナに出会った。風で揺れてしまう。


    アッと驚きの雷鳥が姿を現した。


    雌の雷鳥のようである。スマホでズームをかけて撮影すると画像が不鮮明である。


    結実したレンゲイワヤナギ


    オンタデと鳳凰山


    ヨツバシオガマ


    ちょっと変わった木を発見。


    これはクロツリバナではないかと思う。


    草すべりを白根御池に向かって下山。ハクサンフウロのお花畑。


    ヒメコゴメグサの群生


    ヒメコゴメグサ


    こちらでもオオハクサンサイコに出会った。


    しかし、スマホではフォーカスが合わずボケボケ。


    もうすぐ白根御池。ハンゴンソウがたくさん茂っている。

 白根御池小屋にお昼頃に到着した。ゆっくり昼食をとる。広河原のバスは午後2時だがちょっと間に合わなそうである。急がずゆっくりと下山し、3時前には広河原に到着した。その頃に雨が降り出し、乗り合いタクシーを待っている頃には本降りの雨になってきた。9人の乗客が集まったところでタクシーが出発し、無事に芦安バス停に到着した。

 1泊2日で行ける行程を2泊3日に刻んだことで今回はいつもよりも濃厚に植物探索が出来た。ホソバハナウド、キタダケナズナ、オオハクサンサイコ、そして念願だったチシマヒョウタンボクにも出会うことが出来て、探していたもので見つからなかったのはウメハタザオくらいではなかっただろうか。そういえばシロウマナズナらしきものも見つけたのだがスマホではうまく撮れていなかった。残念。天候に恵まれ事故も無く、仲間とガイドさんにも恵まれて、今回は最高の北岳花散策になったと思う。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

夏の花咲く北岳(2日目その3)  ~小太郎山分岐付近から北岳山荘~  令和5年7月18日 

2023年07月26日 | 高山に咲く花
 かなりゆっくりのペースで白根御池から北岳山頂を目指して登って来たが、それでもやはり北岳の登りはきつい。いつもならば1泊2日のところを2泊にしたがそんなに簡単には登らせてくれず、息絶え絶えである。しかも両俣小屋分岐を目前にして愛用していたカメラが故障してしまい使えなくなってしまった。あとはスマホで撮るしか無く、これでだいぶテンションが下がってしまった。まだ見たい植物がたくさんあるのだが、ここからは全てスマホで撮影した画像である。


    タカネマンテマは咲き始めで先端部の花弁がまだ開いていなかった。使い慣れないスマホはフォーカスがいまいち。


    ミヤマクワガタ(アカイシミヤマクワガタ)はまだ蕾のものが多かった。


    昨年もカメラが故障してきっちり撮影出来なかったクロボスゲは今年もスマホ撮影になってしまった。


    後ろの小穂にフォーカスが合ってしまったがそれなりに接写出来たクロボスゲ。綺麗なスゲだと思う。


    花の咲いている小穂も可愛らしい。


    こちらは普通に生えているミヤマアシボソスゲ。後ろに富士山が写るはずだったが雲が広がってしまった。


    あまり生き生きとはしていないが、これはヒモカズラであろう。


    シコタンソウの群生


    ミヤマゼンコだと思う。この仲間は判別が難しい。


    ウラジロキンバイの群生


    満開のキタダケキンポウゲ。それなりにうまく撮影出来た。


    シロウマナズナを探していたのだが・・・これはミヤマハタザオであろう。


    花仲間が見つけてくれたこのナズナ


    茎に毛がたくさん生えている。実(短角果)は長楕円形で先が尖り平べったい。これはキタダケナズナであろう。


    花の萼の部分に毛が密生しているのだが、残念、使い慣れないスマホではきっちり撮れない。


    ハゴロモソウはトラバース道の中で比較的良く見られる。


    元気で大きなタカネシダ


    こちらはキタダケデンダだが撮影いまいち。


    遠い位置にあるキタダケデンダはさすがにうまく撮れない。


    これはミヤマアカバナだと思ったのだが・・・


    図鑑で調べてみるとこれは花柄が長く、アシボソアカバナのようである。


    もう花は終わってしまっているだろうと思っていたクロミノウグイスカグラ


    幸運なことに1輪だけ咲き残っていた。


    そして探していたこの赤いほうのヒョウタンボクにも出会うことが出来た。


    チシマヒョウタンボク。おそらく山梨県では北岳にしか生育していないと思う。


    感動の出合い。スマホ撮影だが力が入った。


    テガタチドリと北岳


    ミヤマゼンコと北岳

 他にもたくさんの花たちと出会い、たくさん撮影したがほとんどがフォーカスの合っていないいまいちの写真となってしまった。特に小さな花はフォーカスを合わせるのが難しく、ズームをかけると画質が低下してしまうことも分かった。しかし、きっちりと撮れることもあるので、使い慣れればもっと綺麗に撮れるようになるのではないかと期待している。気合の入ったチシマヒョウタンボクは綺麗に撮れていて一安心である。

 夜は富士山側に現れる天の川や北岳近くを飛ぶ国際宇宙ステーションの撮影を予定していたのだが、カメラが故障してしまい撮れなくなってしまった。しかしその分、小屋でゆっくりしてぐっすりと眠ることが出来た。明日は山頂を越えて下山である。少し天気が崩れそうなので昨年の二の舞にならないように、慎重に下山したいと思う。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

夏の花咲く北岳(2日目その2)  ~小太郎山分岐付近から両俣小屋分岐付近~  令和5年7月18日 

2023年07月25日 | 高山に咲く花
 小太郎尾根分岐付近で写真を撮影していると昨年お世話になった北岳パトロール隊の人たちが登って来た。昨年の遭難騒ぎで多大な迷惑をかけてしまったが、今年もやって来たことには歓迎してくれているようである。大樺沢左俣の崩落情報や遭難情報などをいただきながら後を追うように我々も出発する。コースタイムよりだいぶ遅いが我々が計画した北岳肩の小屋11時到着時間からは若干遅れている程度である。


    チングルマが咲き残っていた。向こうには池山吊尾根越しに富士山が姿を見せている。


    北岳肩の小屋まであと少し。


    高山植物が咲く快適な稜線。イワツメクサの向こうには仙丈ケ岳。


    イワツメクサのブーケ


    ミヤマダイコンソウと仙丈ケ岳


    たくさん咲いているハハコヨモギ。向こうに見えるのは中央アルプス。


    ミヤマコウボウはたくさん生育している。


    ムカゴトラノオ


    コスギラン。個体数はあまり変わっていないようだ。


    茎に毛が無くキタダケトラノオだと思うのだが・・・


    天候が良いためか小穂が開いていてカニツリでは無いように見えてしまう。


    こちらはミヤマイチゴツナギ、ないしはキタダケイチゴツナギではないかと思っているが、もう少し調べないと分からない。


    北岳肩の小屋に到着。新築されて3階建てになった。昼食をとって大休憩する。

 昨年の遭難救助の際にたいへんお世話になった小屋番さんに挨拶に行く。昨年のお礼を伝えるとここでも歓迎を受けてコーヒーをご馳走になってしまった。昼食をとって大休憩する。


    肩の小屋のお花畑に咲いていたタンポポ、おそらくヤツガタケタンポポだと思う。


    ミヤマシオガマが満開


    チョウノスケソウがまだ咲き残っていた。


    チョウノスケソウの花


    コモチミヤマイチゴツナギは普通に見かける。これを撮っている時にカメラにトラブルが・・・!!

 タカネマンテマが咲く両俣小屋分岐を目前にして、突然カメラのシャッターが閉じたまま開かなくなってしまう。シャッターユニットのトラブルである。数年前にも雨で濡れて同じトラブルを起こしているカメラである。電池を入れ替えたり電源スイッチのオン・オフを繰り返したりカメラを叩いてみたりといろいろやったが復旧しそうもない。止む無し、ここから先はスマホで撮影することにする。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

夏の花咲く北岳(2日目その1)  ~白根御池から小太郎山分岐付近~  令和5年7月18日 

2023年07月25日 | 高山に咲く花
 白根御池小屋では快適に眠ることが出来た。朝食は朝5時だったのだが、足が遅いことを考慮して朝食は弁当にしてもらい、明るくなった朝5時に小屋を出発する。ちょうど北岳に朝日が差し込み赤く染まっていた。


    朝食は弁当にしてもらい早々に済ませて朝5時に白根御池小屋を出発。北岳に朝日が差し込んでいる。


    白根御池に映る雲。天気は良好、風も少ない。


    途中から見上げる北岳。真っ青な空に北岳が映える。


    少し雲が広がってきた頃にはうっすらと環天頂アークらしきものを見ることが出来た。


    シナノオトギリであろう。


    タカネシュロソウは咲き始め。


    タテヤマキンバイも咲き始めたばかりのようだ。


    オオバショリマの大群落。このシダも最近食害に遭うようになってきている。


    色の濃いハクサンチドリ


    黄緑色のランの花を探す。これはホザキヤドリギだが高度が高くなるほど小型になるようである。


    ミヤマチドリであろう。


    唇弁が細長くて先端が分かれず、距がきわめて短い。


    これが探していたタカネアオチドリ


    鈴生りに花が付き、唇弁の先端部が3裂する。1株しか見つからなかった。


    これはたぶんハナウドではないかと思う。


    葉の幅が広めで深くは切れ込んでいない。


    そしてこれが葉の幅が狭いほうのハナウド


    運が良ければ見られるかも知れないと思っていたホソバハナウド。


    花の直下の葉は細く根元近くまで深く切れ込む。


    少し下側にある葉も細くて切れ込みが深い。


    こちらはおそらくミヤマシシウド。


    サンカヨウの葉と実。ナナカマドの根元を好んで生育している。あるいは食害で残ったものがこういう場所にあるのかも知れない。


    至近距離で見たサンカヨウの葉と実。実が青くなるのはまだ先のようである。


    タカネヤハズハハコとその後ろはヨツバシオガマ


    シナノヒメクワガタはしばしば見かけるが少し減ったような印象を受ける。


    これはミヤマアワガエリの花


    このように花が咲いているのを見るのは初めてである。


    この場所はかつてはシナノキンバイがたくさん咲く黄色いお花畑が広がっていたが、ミヤマシシウドとミヤマバイケイソウがだいぶ増えている。

 花と景色を存分に楽しみながら、また分からない花が出てくると仲間とあれこれ話し合いながら小太郎尾根分岐のところまで登って来た。森林限界を超え、ここからは高山植物や見たかったイネ科、カヤツリグサ科の植物がたくさん見られる尾根道である。存分に楽しみながら歩きたいと思う。

    
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

夏の花咲く北岳へ(1日目) ~広河原から白根御池~  令和5年7月17日

2023年07月24日 | 高山に咲く花
 昨年は重いテントを担いで池山吊尾根を登って2泊目に北岳山荘テント泊をしたのだが、その晩から大荒れの天候となり仲間の一人が3日目の移動途中で低体温症を起こしてしまい、山小屋の方に助けてもらうという遭難騒ぎを起こしてしまった。その時の反省をふまえて、今回はテント泊では無く白根御池に1泊し、翌日は北岳山荘に宿泊という2泊3日のプランを立てた。メンバーは昨年と同じ3人組(通称遭難隊)に加えて知人の美人ガイドさんを迎えて4人で行くことにした。天気予報では3日とも天候は良好である。下界は3日間とも猛暑日であろうが北岳では快適に過ごせるのではないだろうか?見たい花がたくさんあるが昨年は天候が荒れて探しに行けなかった花もある。今年こそは安全にリベンジしたい。


    広河原バス停脇に生えているカラコギカエデ。結実してプロペラ型の実がたくさん付いている。


    これはハナウドであろう。これと違うハナウドに運が良ければ出会えるかも知れない。


    ハナウドの花。注目すべきは葉の幅と形。もっと葉の細いものが北岳のどこかにあるはずだ。


    背の高いホザキイチヨウラン。風で揺れる。


    タカネフタバランはまだ蕾だった。


    コフタバランはあまり多くは無い。


    コイチヨウランもあまり多くは無い。


    これはコキンレイカ(ハクサンオミナエシ)であろう。


    キヌタソウであろう。


    細かいところまでは確認していないが、おそらくエゾノヨツバムグラであろう。


    茎に毛が生えていないようである。


    ミヤマハナシノブが咲いていた。美しい花に疲れが癒される。


    滝の脇に咲いていたヒロハコンロンソウ


    かつて大樺沢沿いで見かけたことがあるが、これを見るのは10年ぶりくらいになるのではないだろうか。


    北岳にだけ生育する花、オオハクサンサイコ。


    ホタルサイコにそっくりである。小総苞片に3~7本の脈があるところが違うらしいがそのような目では観察して来なかった。失敗。


    白根御池

 コースタイムの約2倍をかけて白根御池に到着した。時刻は予定通りの午後3時である。食事は5時ごろなので御池の周辺を散策してみる。


    小屋の脇に生えていたコマガタケスグリ。初めて見る植物である。


    結実したコマガタケスグリ。北岳には結構生育していることが後に分かった。


    これも小屋の脇に生えていたエゾシオガマ。食害を受けているのかあまり見かけなくなっている。


    御池の縁に生えていたミノボロスゲ。テント場では絨毯のようにたくさん生えている。


    ヌカボシソウは普通に生えている。


    こちらは少し珍しい絶滅危惧種のヒメカワズスゲ。湿ったところを好み、御池周辺にはたくさん生えている。


    特徴的なヒメカワズスゲの実

 5時に夕食をいただくが、出していただいた炒めた肉が疲れた体に染み渡るほどにとても美味しかった。消灯は8時だが、薄暗くなった頃にヘッドライトを点けて御池の縁に行きカメラを構える。夜10時ごろに北岳に天の川が立ち昇って来るはずである。星用レンズをセットしてタイマーリモートコントローラーを使い、夜の9時ごろからシャッターを切り始めるようにセットして小屋に戻って寝る。


    夕方7時半ごろに星撮り用のレンズを付けてカメラをセット。タイマーリモートコントローラーで9時ごろからシャッターを切り始めるようにセットする。


    9時半、北岳に立ち昇ってきた天の川


    もう少し遅い時間まで撮影して良かったのだろうが、ここで電池切れとなってカメラが止まっていた。

 テントの明かりが一緒に写るはずだったのだが、さすがに10時ではもう皆寝ていたようである。それでも、さすがに標高の高いところだけあって素晴らしい天の川が写ってくれた。明日がメインの花探しとなる1日である。メンバーは花に詳しい人たちばかりだし、きっと素晴らしい花山行が出来ることだろう。(2日目に続く)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

北岳(4日目) 山頂を経由して無事下山  令和4年7月20日

2022年07月27日 | 高山に咲く花
 前日暴風雨の中で遭難し、ビバークしていたところを山岳救助隊(北岳山荘に勤務する人たち)に救助され、北岳山荘に戻った同行者と私であったが、北岳山荘ではこんな我々に神対応してくれた。冷え切った体をストーブで温め、濡れた服を乾かし、さらには美味しい食事まで提供していただき、おかげでぐっすりと眠ることが出来た。低体温症をおこした同行者もすっかり元気を取り戻した。小屋での着替えを想定して同行者のザックから着替えの服を私のザックに移しておいたことも幸いした。しかし、高級なカメラが入っていた同行者のザックは突風に煽られて谷まで吹き飛ばされてしまった。雨に濡れた私のカメラも故障してしまい、電源が入らなくなってしまった。そのため、今回の画像は全てスマホで撮影したもので、ピンボケ画像多発である。


    お世話になった北岳山荘の避難小屋。北岳山荘での神対応にはいくら感謝しても足りない。

 日の出の頃に起きて外に出てみると雨が上がり富士山が見えてきていた。まだ風は強いが歩くには問題無い天候である。同行者もすっかり体調を回復して普通に歩けそうである。昨日ザックが風で飛ばされてしまったことが不幸中の幸いで、本日は持って行く荷物が服と水以外にほとんど無くなり、身を軽くして歩くことが出来る。朝7時にお世話になった北岳山荘を出発して北岳山頂を目指す。


    北岳山荘と富士山


    目指す北岳。さほど遠くは見えないのだが、昨日はたどり着けなかった。


    前日暴風雨の中で見たタカネマンテマを再写する。


    ハハコヨモギと仙丈ケ岳


    振り返って見る間ノ岳と北岳山荘


    ウラジロキンバイの群落


    ミドリハクサンイチゲ


    たくさん花を咲かせていたムカゴユキノシタ


    こんなに群生しているものもあった。


    イワツメクサとキタダケキンポウゲ。もう少し遠い位置に10本くらい固まって咲いていたのだがスマホでは撮影出来なかった。


    ミヤマイチゴツナギだと思うが、キタダケイチゴツナギかも知れない。


    ミヤマアシボソスゲは普通に生えている。


    ミヤマアシボソスゲと富士山


    結構たくさん生育していることが分かったコモチミヤマイチゴツナギ。


    小穂の先端からムカゴを出して賑やかな感じがするコモチミヤマイチゴツナギ。


    たぶんこれはクロボスゲ。ミヤマアシボソスゲに似ているが鱗片の幅が広く芒が無く、雄小穂が分かれていない。小さいほうはクモマスズメノヒエ。


    北岳山頂まで登り着いた。私も同行者もあまり疲れは無い。


    ミヤマシオガマが咲く斜面


    タカネマンテマはまだ蕾だった。


    改装中の北岳肩の小屋。工事とコロナの影響で今年は宿泊人数が制限されている。

 4時間ほどかけて北岳肩の小屋に到着した。ここで大休憩し、食事にカップラーメンを食べる。ついでに前日宿泊出来なかったキャンセル料も清算して行く。お世話になった北岳山荘にも無事肩の小屋に到着したことを連絡した。あとはひたすら下るだけだが、ルートは長く気を抜くことは出来ない。低体温症を起こした同行者はしっかりと歩いているが、あまり食欲は出ないようである。重い荷物を背負った自分自身の足と体力も心配である。


    肩の小屋の前に生えていたリシリカニツリ


    岩の間に生えていたキタダケカニツリ(だと思う)。


    茎に毛が生えていないのを確認したが、スマホ撮影ではピントが合わない。


    クモマスズメノヒエはたくさん生えている。


    タテヤマキンバイの花が咲いていた。


    タテヤマキンバイの花


    コスギラン


    コスギランと仙丈ケ岳だが、フォーカスが手前のコスギランに合わず。


    ハクサンチドリの群生


    サンカヨウの葉。花は結実していた。


    草すべり分岐で休憩する同行者2人。手前に生えているのはミヤマハルガヤ。


    草地の中に生えていたタカネアオチドリ。見つかったのはこの1株のみ。


    白根御池に到着した。


    池のほとりや草むらに生えていたヒメカワズスゲは昨年よりだいぶ減っていて、ミノボロスゲに置き換わっていた。


    結実したヒメカワズスゲ

 なんとか白根御池に到着した。私はかなりヘロヘロで、水をたっぷりと飲んで御池小屋でコーヒーをいただいて大休憩する。大樺沢のルートは今年は通行止めとなっており、橋が架かっていないので通ることは出来ない。尾根を下りるコースを使うのだが、私はすっかり足が疲れてしまい、ピッチが全く上がらなくなる。テント泊の荷物を背負って長距離を歩くには体力と脚力が足りないようである。


    キタノミヤマシダと思われる。ミヤマシダよりも羽片の切れ込みが深く、裂片の先端が尖る。


    ウサギシダ。全体的に正三角形に近い形をしている。

 疲れ切ってやっと広河原に到着した。白根御池小屋でお会いした山岳救助隊のメンバーが心配して私たちの下山を待っていてくれた。何から何までお世話になりっぱなしである。大きなトラブルがあったが、なんとか3人とも無事に下山することが出来た。山岳救助隊や北岳山荘の皆さんのおかげである。山岳救助隊の凄さとありがたさをつくづく思い知った山行となった。

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

夏の北岳へ(2日目後編) 令和3年8月29日

2021年09月03日 | 高山に咲く花
 早朝5時半に北岳肩の小屋を出発し、花を見ながら9時に北岳山荘に到着した。休憩して水をいただいて、これからが本日の本番、トラバース道に向かう。目的のサンプクリンドウやアカイシリンドウが咲いているはずである。それと6月下旬に訪問した際はまだ葉を展開していなかったヤツガタケシノブやイワウサギシダも見ごろになっているはずである。


    雲に浮かんでいる富士山


    この季節の北岳トラバース道を代表する花、キタダケトリカブト。


    キタダケトリカブト。葉の切れ込みが深い。


    花柄に生えている毛は屈毛である。もしも直毛だったら、それはホソバトリカブトであろう。


    お目当てのサンプクリンドウが咲いている。


    サンプクリンドウ


    天候に恵まれて花は全開である。


    咲いているのを見るのは初めてである。


    アカイシリンドウ


    アカイシリンドウの花


    岩の隙間を覗き込んでシダを探す。やっと見つかったヤツガタケシノブ。この株しか見つからなかった。


    トガクシデンダ。小型のものばかりだった。ナヨシダとの区別がまだいまひとつである。


    タカネシダ。個体数は少なく、減っているように見える。


    イワウサギシダ。確認できたのはこの1ヶ所のみ。


    石灰岩の隙間から生えるキタダケデンダ。


    キタダケデンダは、発見以来あまり変わっていないように見える。


    たぶんヒゲハリスゲ。種が丸く無く扁平である。


    クロミノウグイスカグラ。右上に茂っているのはクロマメノキ。


    見たかったのはこの黒紫色の実。もう少し大きい実が成るのかと思っていたがギンナンの実くらいの大きさだった。

 見たかったサンプクリンドウとアカイシリンドウは想定していた以上にたくさん咲いていた。しかし、もう1種類のリンドウの仲間、ヒメセンブリはまだ時期が早かったようで1株も見つからなかった。ここでもまたメンバーから大幅に遅れをとってしまう。八本歯のコルを12時に下山開始すれば最終バスには余裕で間に合うはずであるが、ほぼ予定通りの時間に通過となった。


    赤い実が成っていたオオヒョウタンボク


    オオヒョウタンボクの実


    少し枯れ始めたカラフトメンマと鳳凰山


    ソーラスは小羽片の葉軸と辺縁の中間あたりに付着する。


    草を食べ尽くしてよほど食べ物が無いのか、食害に遭ったカラフトメンマ。

 稜線上は涼しい風が吹いていたが大樺沢に下りてくると風が無く蒸し暑い。汗だくになって途中で水が尽きてしまい、沢の水を2度汲んで飲んだ。上流側の沢の水は雪解け水が入っているのか、冷たくてとてもおいしかった。最終バス出発の30分前に広河原バス停に到着した。メンバーの足を引っ張ってしまい申し訳なかったが、たくさんの花やシダや植物に出会えた充実した山行となった。星空も素晴らしかった。しいて言うならば、イネ科やカヤツリグサ科の植物はこの時期だと既に遅く、8月初旬がベストシーズンなのではないかと思う。来年また訪問できるならば、キタダケカニツリとリシリカニツリをしっかりと見分けてみたいと思う。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

夏の北岳へ(2日目前編) 令和3年8月29日

2021年09月03日 | 高山に咲く花
 前夜は筋肉痛のための痛み止めと、睡眠薬を飲んで寝た効果が出てぐっすりと眠れた。そしてほぼ予定通りの未明3時半に目が覚めた。寝具を片付け、出発の準備をして4時に小屋の外に出る。


    薄明の空に昇って来たオリオン座と冬の大三角形


    仙丈ケ岳と夏の天の川


    仙丈ケ岳の上に天の川が立ち昇っているが、半月くらいの明るい月が照らすため星はあまり写ってくれない。


    富士山の上に昇るオリオン座と冬の大三角形


    日の出を山頂で迎えるために既に出発している人たちがたくさん。


    テント場と夜明けの富士山


    朝の空のグラデーション


    夜明けの富士山

 朝食は5時からでちょうど日の出の時間と重なってしまうため、日の出目前にしてカメラを撤収し朝食のために順番をとって並ぶ。本日は山頂を越えて北岳山荘まで行き、折り返してトラバース道を通過し八本歯のコルから左又を下るコースを辿る。行程が長いうえに見る花がたくさんあるので、5時半に集合して出発である。


    日の出を少し過ぎた頃に出発する。


    タカネマンテマはもう終わっている。


    今年は当たり年だったようで、たくさんタカネマンテマに出会った。


    筒状の萼が割れて種が見えていた。


    風で揺れてなかなか撮らせてくれないが、コモチミヤマイチゴツナギではないかと思う。


    北岳山頂付近に咲いていたタカネビランジの白花


    もう終盤のミヤマアシボソスゲ


    ミヤマアワガエリはあちらこちらにたくさん生えていた。


    コメススキ


    出会うのは難しいだろうと思っていたこのコメススキも見ることが出来た。


    ヒゲナガコメススキ。風に揺れてなかなか撮らせてくれない。


    岩の隙間から生えているナヨシダ


    終盤のハハコヨモギ


    葉が白っぽいキタダケヨモギ。こちらももう終わりかけである。


    タカネシオガマはミヤマシオガマに比べると地味に見える。


    シコタンハコベが満開


    雲の彼方の富士山


    雲が湧く間ノ岳


    振り返って見る北岳


    キンロバイと中白根山

 足が遅いうえに三脚を出して写真を撮るので、どうしても他のメンバーから遅れてしまう。だいぶ遅れてしまったが北岳山荘に9時ごろ到着した。ほぼ予定通りの時間である。天候に恵まれてたくさんの植物に出会うことが出来た。しかし、風が強くてなかなか撮れない花も多く、特にカヤツリグサ科やイネ科の柄の長い植物はほとんどがブレブレの画像になってしまった。

 さて、ここから先のトラバース道に咲く花とシダ類が本日のメインイベントである。北岳山荘はコロナ対策で閉鎖中であるが知り合いの小屋番は常駐している。水をいただいて先に進む。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

夏の北岳へ(1日目後編) 令和3年8月28日

2021年09月02日 | 高山に咲く花
 朝1番のバスで広河原にやって来たが、北岳稜線に抜け出たのはもう午後の3時になってしまった。素直に歩けば午後4時には宿泊地の北岳肩の小屋に到着出来そうであるが、森林限界を超えた北岳稜線の草地や岩の隙間には知らない草がたくさん生えている。特にイネ科の植物はさっぱり分からないものばかりで、キッチリと写真を撮っておいて下山してから調べたい。到着が遅くなってしまって小屋番の人たちには申し訳ないが、もう少し稜線の植物を楽しませてもらう。


    北岳稜線から見る甲斐駒ケ岳と仙丈ケ岳。今日は1日天気が良い。


    先端部に雄小穂、その下に数個の雌小穂がある。雌小穂がほっそりとしており、これはイワスゲであろう。稜線上で最も普通に見かけるスゲ。


    こっちは何?イワノガリヤスに似るが小穂が密に付いており、ミヤマノガリヤスではないかと思われる。


    これはカニツリグサの仲間であろうが、何カニツリ?


    穂の柄を見ると毛が生えていない。キタダケカニツリと思われるが枯れかけているので確信は無い。


    まだ柄の緑色のものがあった。


    やはり毛が生えていない。


    おそらくキタダケカニツリであろう。


    北岳肩の小屋の前に生えていたスゲ。先端が雄小穂でその下に数個の雌小穂が付く。


    雌小穂がイワスゲに比べて太く、鱗片の芒(ノギ)が目立つ。これはミヤマアシボソスゲであろう。


    肩の小屋のベンチ前に生えていたカニツリグサの仲間。


    枯れかけているが柄には毛が生えている。これはリシリカニツリと思われる。


    草地の中に生えていたものはまだ柄が青かった。


    これにも毛が生えており、リシリカニツリと思われる。


    ミヤマアワガエリ


    群生していたウメバチソウ


    イワギキョウもたくさん咲いていた。

 5時少し前に北岳肩の小屋に到着した。先に到着した山仲間が私の到着が遅れることを小屋主さんに告げておいてくれたようで、すんなりと受付を済ませることが出来た。幸いにして夕食時間は5時40分だったので、少し休憩時間をとってから夕食となった。

 夕食を済ませて寝床の準備をしてから星空を見に行ってみる。8月中旬に地球に最接近した木星とその近くに土星が並んで輝いているはずである。西の空には明るい金星と水星が接近しているであろう。今宵は絶好の星観察日和であるが、明日のことを考えるとあまり夜更かしは出来ず、消灯時間の8時までと時間を決めて星空を眺めることにする。


    富士山の上に輝く明るい木星とその右上に輝く土星


    西の空に沈んで行く金星とその右に輝く水星


    北岳山頂に立ち昇る天の川


    天の川と木星・土星


    立ち昇る天の川。北岳には雲が巻いてきた。


    あっという間に空は雲におおわれた。時刻は7時45分、本日はここまで。

 高山性のイネ科植物は図鑑や資料が乏しく、山渓の「日本の高山植物」と「レッドデータプランツ」以外は持ち合わせていない。そのため判別が間違っているものが多いと思うがそのつもりでご覧いただきたいと思う。たくさん見て目が慣れてくれば、もっと正確に判別できるようになるかも知れないが、いつになることやら。明日の天気も晴れそうである。どんな景色と植物に出会えるのか、楽しみである。筋肉痛を少し起こしているので、痛み止めのロキソニンを内服して寝る。(2日目前編に続く)

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

夏の北岳へ(1日目前編) 令和3年8月28日

2021年09月01日 | 高山に咲く花
 まだ暑い日が続いているが、8月下旬の北岳はもう秋の風が吹き始めている頃だと思う。ずっと長雨が続いていて天候に心配があったが、直前に天気予報が変わり訪問する8月28日、29日の2日間は晴れとなった。おそらく、夏の終わりに咲くリンドウの仲間が咲いている頃ではないだろうか?6月下旬の開山日に登った時に見たカヤツリグサ科やイネ科の植物がどうなっているのかも気になる。そしてもうひとつ、トリカブトの仲間の違いと分布もある程度調べてみたいと思っている。体力的な不安があるが、それ以上に期待を抱きつつ、北岳に登ってみる。


    天気に恵まれて青空の中に北岳が聳え立っている。


    エゾサカネランは結実して実が付いていた。


    初めて見る北岳のトラキチラン。見つかったのは1株のみで、既に痛み始めていた。


    御池小屋近くで見たトリカブト。


    花茎を見てみると屈毛である。これはキタザワブシであろう。


    御池小屋周辺のハンゴンソウ群落。


    かつてはセンジョウアザミが群生していた場所であるが、鹿の食害を受けてハンゴンソウに置き換わってしまった。


    草すべりを登る。見下ろす白根御池とその向こうには鳳凰山。


    センジョウアザミで戯れるウラギンヒョウモン


    エゾシオガマが咲いていたが、食害の影響か、数が少ないうえに背の低いものばかり。


    白根御池から上の草地では普通に見かけるオオバショリマ


    ソーラスは小羽片のやや辺縁寄りに並ぶ。


    草すべりの中に生えているトリカブト。


    花茎を調べてみるとほとんどが屈毛で、キタザワブシと思われる。


    しかし、時々違うものが混じっている。


    このトリカブトは花茎が直毛である。おそらくこれがホソバトリカブトであろう。


    葉を見てみると切れ込みが少し深いように見えなくもないが、葉だけで区別するのは難しそうである。


    ミヤマハルガヤはもう枯れかけていた。


    イワノガリヤスは普通に生えている。


    草地を彩るタカネナデシコ


    サンカヨウの青い実を見たかったがまだ成熟していなかった。


    イブキトラノオの群生


    イブキトラノオ


    稜線に生えるコスギラン


    数が少しずつ増えているように見える。


    仙丈ケ岳と甲斐駒ケ岳

 一緒に登った仲間たちから遥かに遅れてやっと北岳の稜線に登り着いた。もう少しで宿泊予定地の北岳肩の小屋である。足がガクガクで登るたびに衰えを感じる北岳である。しかし、この稜線上は分けの分からないカヤツリグサ科やイネ科の植物がたくさん生育していて、すっかり足が止まってしまった。(1日目後編に続く)


    たぶんキタダケカニツリ

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

編笠山・権現岳の花散策(後編) 令和3年8月7日

2021年08月13日 | 高山に咲く花
 6時ごろに八ケ岳観音平を出発し、花散策しながら編笠山を越えて青年小屋に到着したのは11時になった。空模様が怪しくなってきて、これから向かう権現岳は完全に雲の中に入ってしまい姿が見えなくなってしまった。途中で雨に降られるかもしれないが、行けるところまで行ってみることにする。


    途中の林の中にもミヤマフタバランが生えていた。


    チシマギキョウはもう終盤だった。


    会いたかったリンネソウは満開。


    山梨県ではあまり見ることが無いリンネソウ。この場所は比較的多く群生している。


    タカネナデシコ


    シコタンハコベは数ヶ所に分かれて生育している。


    シコタンハコベ。一斉に花は咲かず、数個ずつ咲いて行く。


    きっとあると思っていたリシリカニツリが現れた。


    茎には軟毛が密生している。


    想定していた以上にたくさん生育していたリシリカニツリ


    花が開くとこのようになるようだ。


    イワスゲ。これは普通に見かける。北岳にもたくさん生育している。


    見たことが無いスゲに出会う。これはすげ~スゲかと思ったのだが・・・。


    八ヶ岳では比較的多く見かけるミヤマアシボソスゲというスゲだった。鱗片の芒(のぎ)が長いのが特徴である。


    もう枯れかけているがこれはあまり見かけないスゲ。


    探していたヒゲハリスゲでおそらく間違いないと思う。


    咲き残りのムシトリスミレ


    タイツリオウギと思われる。


    タカネヒゴタイ 下に見える編笠山は雲の中。


    権現岳砂礫地のお花畑


    コマクサが咲いていた。


    途中で小雨が降ったがすぐに止んだ。なんとか権現小屋に到着した。

 権現岳砂礫地のお花畑が素晴らしく、初めて出会うミヤマアシボソスゲやほとんど見たことが無いヒゲハリスゲ、リシリカニツリ、さらにこの場所では初めて見かけるムシトリスミレなど様々な植物との出会いがあり、すっかり時間を費やしてしまい権現岳小屋に到着したのは午後2時になってしまった。真っ白な霧におおわれて景色は見えないが天候はなんとか持ちそうである。少々時間がかかるが、三ツ頭、木戸口公園を経由して周回ルートを下山することにした。


    ミヤマウシノケグサ。普通に生えている。


    ヒメシャジンとミヤマウシノケグサ。以前に撮影した画像でヒゲハリスゲだと思っていたのはミヤマウシノケグサだったようだ。


    オニクはもう枯れかけていた。


    ムシトリスミレは結実しかけていた。


    満開だったタカネシュロソウ


    三ツ頭山頂


    草地の中に生えていたヤマサギソウ


    今年は見られないかと思っていたミヤマモジズリを花仲間が発見してくれた。

 下山の行程は長く、その大半が笹薮で目ぼしい花は見当たらず。ひたすら歩くといった感じだった。観音平に到着したのは薄暗くなりかけた6時過ぎだった。天候が持ってくれたのが何よりの幸いだった。久しぶりに歩く長い行程で、当然の如く翌日は足が痛くなったが、それにも増して今回の花散策は新しい発見が多々あり、とても有意義な山行となった。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

初夏の北岳を訪れる(2日目後編) 令和3年6月26日

2021年07月03日 | 高山に咲く花
 北岳山荘を折り返してトラバース道に向かう。キタダケソウが楽しみであるが石灰岩が混じるこの登山道沿いには花だけでなく変わったシダも多く生育している。ペースが遅れてしまい他のメンバーには申し訳ないのだがじっくりと観察しながら歩いてみる。


    ミネズオウ


    山梨にはベニバナは無いと思っていたのだが、うっすらピンク色の個体があった。


    岩間に生えるミヤマムラサキ


    まだ葉を展開したばかりのヤツガタケシノブ。葉が細くて別物のように見える。


    別の場所でも発見。


    石灰岩地を好むイワウサギシダはまだ葉を展開していなかった。


    キタダケソウ。盛期は過ぎているがまだ十分に見られる。


    間ノ岳が後ろに見える場所だが、この時間にはもう雲に巻かれてしまった。キタダケソウの中に3~4割くらいハクサンイチゲが混じっている。


    ミヤマクロユリはまだ咲き始めたばかり。


    ミヤマアワガエリ。群生しているかと思ったがぽつぽつと生育している程度だった。


    分からないのがこのナズナの仲間。茎や葉にほとんど毛が無いが茎の根元の部分だけ毛が生えている。根生葉が見えないがミヤマハタザオだろうか?


    葉はやや広めで浅い鋸歯がある。茎には毛が多い。根生葉が見えないがこれはウメハタザオと思われる。


    入山するたびに探していたこの花だが自力で発見出来ず、案内していただきようやく見ることが出来た。


    運良く花が咲いていた。これはクロミノウグイスカグラ。

 ゆったりペースで歩かせていただきお昼頃に八本歯のコルに到着した。ここから何本もあるハシゴ下りとさらに雪渓を下りることになる。準備していたチェーンスパイクを車の中に置き忘れてきてしまい一抹の不安があったが、ベテランの仲間がアイゼンを貸してくれて無事雪渓を下ることが出来た。


    雪は少ないと言われつつも結構長い雪渓を下る。メンバーにちょっとしたトラブルもあった。


    青々としているカラフトメンマ


    カラフトメンマと雲に巻かれた鳳凰山


    こちらにもシロウマオウギが生育していた。


    咲き始めたばかりのミヤマハナシノブ


    ミヤママンネングサはまだ蕾


    橋を渡る。崩落していてガラガラである。


    オオメシダ。下にあるのはイッポンワラビ。


    ミヤマシダの群生。形も大きい。


    もう終わりかけているテンナンショウ属。葉は2軸、仏炎苞の高さは葉と同じくらいだが、これはユモトマムシグサとするべきだろうか?

 仏炎苞が赤紫色のテンナンショウ属を以前に大樺沢で見ているので探しながら歩いたが、咲いていた場所に葉はあったものの花には出会えなかった。時期が早いのか、あるいは今年は咲かないのかも知れない。バスに乗り遅れるのではないかと途中は少しピッチを上げたが、最終の4時40分には十分に間に合うところまで下りてあとはゆっくりと歩いて広河原に到着した。着いて一休みした途端に雨が降り出してきた。分からない植物が多々あったが、初めて出会う植物もたくさん見ることが出来た。天候もなんとか持ってくれて実りある北岳山行だったと思う。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

初夏の北岳を訪れる(2日目前編) 令和3年6月26日

2021年07月03日 | 高山に咲く花
 日の出の時に立ち昇ったサンピラーを堪能した後に朝5時に朝食となる。急いで荷物をザックに詰め込み、5時半に北岳山頂を目指して出発である。先週の鳳凰山の際は2日目に筋肉痛で悩まされたが今回はさらにゆっくりと歩いたこともあって全く痛みは無い。夜もぐっすりと寝ることが出来て体調は良好である。山頂を越えて北岳山荘まで行き、折り返してトラバース道、八本歯のコルを経て左又雪渓を下山する予定である。キタダケソウは既に2週間前に満開を迎えていると聞いており、少し時期が遅いかも知れないがまだ十分に見られるはずである。


    青空が広がった朝。台風が接近してきているはずだが風もあまり強く無い。


    見下ろす北岳肩の小屋と仙丈ケ岳・甲斐駒ケ岳


    レンゲイワヤナギの群生。といっても低木で根元に木の枝があるはずで、さほど株数が多いわけでは無い。


    レンゲイワヤナギの花


    ハクサンイチゲ


    クモマナズナ


    岩の間に生えたアオチャセンシダ。常緑のシダだが越冬したばかりの茶色い葉が多い。


    山頂手前から見る間ノ岳の稜線


    北岳山頂から見る北岳南峰と仙丈ケ岳

 植物を観察しながら1時間半かけて山頂に到着した。ナヨシダやトガクシデンダはまだ小さくて同定が出来なかったが、珍しいシダや花に出会うことが出来た。休憩した後に北岳山荘に向かって下りる。


    7時を過ぎた頃には雲が湧き上って来た。


    キタダケそうも混じっているがこの場所はハクサンイチゲが多い。


    咲き始めのチョウノスケソウ


    ミドリハクサンイチゲ


    クモマナズナ。この後に見る似たようなアブラナ科の植物に悩まされることになる。


    チシマアマナと仙丈ケ岳


    シロウマオウギ


    萼に黒い毛が生える。


    ヒメカンスゲに似ているが雌小穂の鱗片が濃い茶色。たぶん別物であろうが不明。


    葉がハリスゲのように細い。おそらくヒゲハリスゲと思われるが、果期に実を見てみないと確定できない。


    北岳山荘手前から振り返って見る北岳。格好良い。

 北岳山荘では今期から自然保護グループのメンバーのひとりが小屋番をやっており、挨拶していろいろと情報交換をしながら休憩させていただいた。気を遣わずに泊まれるようになったのは良いが、南アルプスの山小屋予約システムを使って宿泊予約をしなければならず、ネット予約が苦手な私にとってはなかなか予約が取りずらいのが難点である。折り返してトラバース道を通り八本歯のコルに向かう。(2日目後編に続く)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

初夏の北岳を訪れる(1日目後編) 令和3年6月25日

2021年07月02日 | 高山に咲く花
 白根御池をお昼頃に出発する。空はどんより曇り空で時折霧の中に突入して真っ白になる。途中で小雨に見舞われたためカッパを着ての登山となるが、幸いにして大降りにはならず、心配していた雷も鳴らなかった。イネ科、カヤツリグサ科の植物はまだ蕾で花期に至っていないものが多く、予想はしていたが分からないものばかりである。


    見下ろす白根御池。かつてはセンジョウアザミがたくさん茂っていたが鹿の食害でハンゴンソウだらけになってしまった。


    草すべりはマルバタケブキが目立つ。


    斜面に生育するサンリンソウの群落


    ミヤマキンポウゲ。背の低いものばかり。


    こんな高地にもシロイトスゲが生えるようだ。


    カンスゲの仲間であろうが何だか分からないスゲ。


    ヒメカンスゲ?ちょっと違う気がする。


    高所に生育していたハルガヤの仲間。花を分解してみないと確定できないが、この場所ならばミヤマハルガヤと思われる。


    まだ花が咲いていない。構造的には頂部が雄小穂でその下に雌小穂があるように見える。鱗片が細くこれはミヤマアシボソスゲか?


    これは別物で、稜線に抜け出るとたくさん生えている。


    頂部が雄小穂、その下に雌小穂がある。鱗片の幅はあまり広く無く、これはタカネナルコだろうか?


    鳳凰山では数が少なかったが北岳の稜線では普通に見かけるこのイネ科の植物。


    これはミヤマコウボウであろう。


    あまり見かけなくなったこの花も元気に咲いていた。


    サンカヨウ。今年はあまり食害に遭っていないようである。


    コスギラン。シダの仲間。


    個体数は少し増えているように見受けられる。

 雷を心配していたが時折日差しも差し込み、心配は無さそうである。まだあまり花は咲いていないだろうと思っていたのだが想定外に様々な花が咲いていた。仲間はもう山小屋に到着している頃だろうが、折角花が咲いているので存分に写真を撮りながら稜線の景色を楽しませてもらうことにする。


    ハクサンイチゲとミヤマキンバイのお花畑


    オヤマノエンドウ。後ろは雲に巻かれた仙丈ケ岳。


    チシマノアマナ


    キバナシャクナゲ。ピンク色の花も混じっていたが、痛み始めて色付いたものかも知れない。


    イワウメのお花畑

 心配したメンバーの一人が途中まで迎えに来てくれた。北岳肩の小屋にはメンバーから1時間半遅れて午後4時半に到着した。夕食は5時からだそうで、荷物を片付ける前に夕食となった。夕食に焼き肉が出たのには驚いた。日没の頃には再び雲が増えてしまい、景色は悪くなってしまったが、仙丈ケ岳の上に夕焼けの空も少し広がってくれた。この日は6月の満月ストロベリームーンが昇って来るはずだったが残念ながら見えそうも無く諦める。明朝の天気に期待して午後8時には寝ることにする。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

初夏の北岳を訪れる(1日目前編) 令和3年6月25日

2021年07月02日 | 高山に咲く花
 この日は南アルプス林道バスが動き出す初日で、北岳等、南アルプスの開山日だった。しばらくお目にかかっていないキタダケソウを見たいこともあるのだが、山上に生育するイネ科やカヤツリグサ科の植物も気になっている。メンバー8人で肩の小屋宿泊予約していただき、入山する。


    広河原から見上げる北岳。曇り空だが天気予報は午後から雨。夕立にならなければ降らなそうだ。


    意外なところにこんなシダが元気に生えていた。ウサギシダ。


    これは初めて見るセリ科の植物。


    まだ花が咲いていないが、花の直下の葉に柄が無くおそらくはヤマナシウマノミツバと思われる。


    タカネフタバランはまだ蕾


    ヒメムヨウラン


    イチヨウランはあまり見かけない。


    咲き始めたばかりのキソチドリ


    コフタバランもまだ蕾


    しばらくぶりに出会ったこの花、エゾサカネラン。もう消滅してしまったかと思っていたが数株咲いていた。


    北岳の沢沿いに咲くこの花はずっとコンロンソウだと思っていたが、これはヒロハコンロンソウだった。


    ミヤマシダに似ているが葉が柔らかくて小羽片の切れ込みがより細かい。


    長楕円形ないし三日月型のソーラス。これはキタノミヤマシダと思われる。


    初めて見るオオヒョウタンボク。葉が柔らかく一部が鹿の食害に遭っていた。


    幸運にも花が咲いていた。


    結構辛い白根御池小屋への尾根道。

 メンバーにだいぶ遅れをとりながらなんとか白根御池小屋へのトラバース道に登り付く。メンバーの一人が変わったカヤツリグサ科の植物を発見して待っていてくれた。それを見てビックリ、探していたヒメカワズスゲだった。さらに御池小屋に到着してみると、小屋の前にある草地には驚くほどたくさん生育していた。


    鳳凰山南御室小屋のテント場にたくさん生えていたこのスゲの正体が分かった。これはミノボロスゲ。


    探していたヒメカワズスゲ


    御池小屋の草地にはたくさん生えていた。このスゲを見に来る人はほとんど居ないであろう。ただの雑草にしか見えない。


    池のほとりに生えたヒメカワズスゲ。


    花期の小穂。先のほうに雌花がありその下に雄花がある雌雄小穂。


    果期の穂。柄が無く2~6個の小穂を付ける。

 ヒメカワズスゲは山梨県では北岳周辺にしか生育していない貴重な植物である。図鑑やレッドデータブックに記された生育環境や場所から判断して白根御池周辺にあるのではないかと思っていたのだが、これほどたくさん生育しているとは思ってもいなかった。まずはひとつ目の目的をクリアである。昼食をとって大休憩し、メンバーに一足遅れて御池小屋を出発する。もうメンバーに追いつくことは無いであろう。ここから先が本番である。明日のことを考えて足に疲れを残さないように、自身のペースでゆっくりと登らせてもらう。(1日目後編に続く)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする