山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

八丁峠から黒富士、升形山、そして隠れ家撥岩へ  平成20年10月19日

2008年10月28日 | 八ヶ岳・秩父山系
 平成20年10月19日 天候晴れ

 茅ヶ岳や黒富士周辺の山々はようやく紅葉シーズンを迎えた。昨年何度も足を運んでいるこの山域だが、ほとんどが紅葉の過ぎた晩秋の季節。今年こそは紅葉の見頃時に訪れてみたいと思っていた。今回は節刀ヶ岳でばったり会った富士山大好きなあの方と一緒に出かけた。
 数ヶ月前に腰を痛めたあの方は、長距離の歩行に若干不安があるので今回はマウントピア黒平からのルート(地図にはないが整備された道がある)は避け、最短距離の八丁峠からのルートを行く。早朝の電車を乗り継いでN君、7時15分ごろに甲府駅到着。車で出迎えてそのまま八丁峠に移動。八丁峠からのルートは知る人ぞ知る黒富士、曲岳への最短ルートだ。車が無いと行けないが、ここから黒富士までは1時間とかからずに行ける。曲岳も同様である。紅葉シーズンなので来客も多いかと思いきや、以外にも駐車場に停まっている車は1台もなかった。

    黒富士展望台(岩)から茅ヶ岳、曲岳、そして遠く甲斐駒ケ岳を望む


    本日目指す撥岩を望む。撥岩周辺は紅葉が見頃だが、カラマツの紅葉にはまだ早い。遠くに見えるゴツゴツした山はミズガキ山。

 8時20分、駐車場を出発し、途中であの方のカメラトラブル(充電式電池が歩行中に落下してしまう)があったが、順調に歩き、9時15分、黒富士展望台に到着。茅ヶ岳越しの南アルプス、さらに八ヶ岳、瑞牆山、金峰山の眺望がすばらしい。紅葉にはまだ若干早く、10月下旬から11月中旬ごろが良さそうだ。本日予定している撥岩も谷を隔てた向こう側に見えている。

    黒富士展望台の岩の上に登り、金峰山方面を激写するあの方。


    正体は「望の富士山」の望君でした。お互いのシンボルともいうべき、タオルとバンダナを着けて記念撮影。

 存分に写真を撮って黒富士山頂に行く。ここは周辺の木々が邪魔になって展望はいまひとつ。だが、その先に富士山を見るには良い場所があるのを以前登った時に偶然発見した。そちらに移動してみると、以前より松の木が成長したのか、眺望が悪くなったような気がする。富士山は霞んではいるが雲の上に浮かんでいた。黒富士山頂に戻り、存分に休憩&雑談後、升形山に移動する。八丁峠からの急登りは、草むらをかき分けた踏み跡があるものの、以前に比べるとずいぶん不明瞭になっていた。途中で踏み跡がわからなくなってしまうが、山頂は目の前にあり、進路を左手(西側)にとるとしっかりした登山道があった。黒平ルートへの分岐を示すテープが山腹を巻くように付けられているのが目に入る。10時半、升形山山頂到着。

    升形山から見る黒富士。遠く富士山が霞んで見える。


    升形山から撥岩・金峰山を望む。撥岩までは尾根伝いにすぐだが、途中から道が無い。

 今度は隣に見えるゴツゴツと岩の露出した場所、撥岩に向う。ここから先は昭文社の地図には載っていない道だが、マウントピア黒平の管理人さんがコースを管理しており、不明瞭な場所もあるのだが、きちんとテープや木にペンキサインがつけられている。升形山から巻き道があるが、ここは尾根を直接北東側に下る道(といっても明瞭な道は無い)を行く。笹平(ささっぴら)というクマザサの生えた広場を越えて黒富士峠に到着。西面が開けて八ヶ岳の眺望が良い。南面はカラマツの切れ目から黒富士が格好良く尖って見え、その左手に富士山が並んで見えるのだが、カラマツの枝が邪魔になって富士と黒富士を並べて写真に撮るのは難しい。ここから獣道のような細い踏み跡を辿り、左側にあるピークの山腹を巻いて笹原をかき分けて進むと、笹原が途切れ、小ピークのコルに出る。これを右手に尾根に沿って進むと撥岩に行ける。林業作業用の踏み跡がついてはいるが、基本的に薮道である。

    撥岩から見る黒富士と富士。人が来ない場所なのでひっそり静かに山を楽しめる。私の隠れ家。

 撥岩はいくつか展望の良い岩の上に乗ることができるが、今回行ったのはいちばん上にある岩の上だ。尾根上のうっとうしい枯れ木の枝を折りながら、ほぼ予定通りの12時に到着した。ここから見る黒平の谷の風景は絶景、黒富士と富士が並ぶ景色もすばらしい。人が来ないだけに、私のお気に入りの隠れ家とも言うべき場所だ。望君と一緒にカップラーメンを食べ、ゆっくり楽しんで下山。帰りは黒平峠からまた薮道を林道に直接下りて、林道を歩いて駐車場に戻った。

    観音峠林道周辺の紅葉。もうすぐ最盛期を迎える。

 昨年も全く同じコースを歩いたが、何度歩いても飽きないこの山域。特に撥岩は人が来ないだけに、絶景を独占して静かな時を過ごすことができる。
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雲間に昇る南極老人星カノープス、北穂高岳  平成20年10月12-13日

2008年10月18日 | 番外編
 平成20年10月12-13日 天候晴れ

 月光と紅葉の涸沢を満喫した後、テントを撤収し、北穂高岳に向う。日本百名山を目指すならば奥穂高岳なのだろうが、どうしても見ておきたい景色があった。それが奥穂高岳と前穂高岳の間に昇って来ると予想される南極老人星カノープス。この星は、中国では一目見るだけで長生きができると言われており、南極に近い位置に輝くことから「南極老人星」と呼ばれている。唐松岳でも見えていたのだが、それは写真をプリントして初めて気付いたもので、実際に自分の目で確認して見ていたわけではない。なんとか自分の目で見てみたいのだが、南の低空に水平線からわずか2度くらいしか昇ってこないので雲や霞が出れば見ることはできない。天気予報は晴れだか、果たしていかに。

    ナナカマドの紅葉と奥穂高岳


    北穂高岳中腹から見る涸沢ヒュッテとテント場

 涸沢のトイレが大混雑で30分ほど時間を費やし、8時半に涸沢小屋の前あたりを通過した。コースタイムでは3時間だが、昨日の筋性疲労が残っていて、大腿部の前面が足を上げる時に若干の筋肉痛がする。夕方までに到着すれば良いわけだから急ぐ旅でもなし、紅葉の写真を存分に撮りながら、超スローペースで明日に疲れを残さないように登る。後ろから来た人にはことごとく先に行ってもらい、常に集団のいちばん後について登るが、それでも中腹の鎖場周辺は渋滞していて、しばらく待ってから登ることになる。テント場に到着したのは午後1時過ぎ、4時間半もかかって到着した。おかげでほとんど疲れはないが、このテント場から北穂高岳山荘までは結構な距離があり、20~30分ほどはかかりそうだ。テントを先に張り、テント場の受付と水をもらいに小屋まで行くと、もう時間は3時になってしまった。

    大キレットと槍ヶ岳  北穂高岳山頂から。

 小屋の前のテラスは観覧している人たちがたくさんおり、その中に混じって一休み。売店で缶ジュースとパンとチョコレートを買って食べる。本日の宿泊率はふとん4枚に7人ほどとの事で、連休にしては空いているほうなのだろう。小屋のすぐ上にある北穂高岳山頂(北峰)に行くと、10人ほどの人たちが景色を眺めたり記念写真を撮ったりしていた。槍ヶ岳側の谷を覗くと、そこは大キレットの左右が削げ落ちた痩せ尾根が南岳に向って延びている。尾根を歩いている数名の人の姿も見える。かなり恐そうな道、私は見ただけでパスだ。歩くならもう少し技術を上げ、テントなしの軽量で歩きたい。

    残照の前穂高岳


    北穂高岳南峰と秋の空

テント場に戻った頃、ちょうど西の空に陽が傾き、前穂高の竜の背の尾根を照らしていた。雲が増え始めたが富士山がまだ見えていた。西の方角には北穂高岳南峰が聳え、その上には空いっぱいに広がったうろこ雲。秋らしい空が広がる。日没後の焼ける空も見たかったのだが、その前に夕食。急いだつもりだったのだが、食べ終わった頃にはもうすっかり日が暮れ、空一面に灰色の雲が広がってしまっていた。さて、明日の朝は星が出てくれるのだろうか。やや心配しながら、夕方6時には早々に眠りにつく。

    月光の前穂高岳とおおいぬ座シリウス  遠く富士山が浮かぶ。

 目が覚めたのは未明1時半。空には一部薄雲が広がってはいるが、星はたくさん見えている。西に沈みかけた月が雲間から出たり隠れたりしている。月光を浴びた前穂高の尾根が怪しく光り、撮影してみるとその向うには富士山の姿も映っている。水平線近くに黒い雲が広がり、狙いの星が出てくれるかどうかかなり心配だ。もう一つ心配事があり、またしても1本目の電池が無くなり、2本目を入れると、今度は確実に充電してきたのに既に残量わずかの表示が出る。もう1本も使い始めてすぐに点滅状態になってしまう。唐松岳の時と同様、電池が足りなくなりそうだ。これは充電し忘れではなくてバッテリー自体の問題であったことが判明。撮れるところまで撮ることにして、不良バッテリー2個を持って北穂高岳山頂に向う。

    シリウスと雲間に昇る南極老人星カノープス


    奥穂高岳の上に昇るオリオン座  奥穂高岳の左側にカノープスが輝く。

 未明3時半、山頂にはまだ誰も人がいない。三脚を立てて沈む月や奥穂、前穂を撮影してみる。カノープスはまだ映っておらず、低空の黒い雲がかなり邪魔だ。4時15分ごろ、その黒い雲の隙間にうっすらとオレンジ色の輝きが見え始めた。もしや!撮影してみるとまさにそれが狙っていたカノープスだった。雲の間に見え隠れし、なかなかすっきりとは写ってくれないが、数枚写真に収めることができた。ただ、電池残量不足でライブビュー機能が十分に使えず、若干ピントが甘かったのが心残りだ。4時半を過ぎた頃からちらほらと人が現れはじめ、日の出前の5時半には三脚やカメラを持った人たちが続々と登場。その頃には私は三脚をたたんでテント場に戻り始めたので、他の人たちはこの人は何を撮りに来たのかとちょっと不思議そうに見ていた。

    薄明の雲間に輝くカノープス


    朝の涸沢カールと奥穂高岳・前穂高岳


    朝日を浴びる奥穂高岳

 見たかったのは上から見る涸沢カールの朝焼けだったのだが、この日の朝日は薄雲を被り、前日涸沢から見たほどには焼けてくれなかった。さて、バスの混雑が予想されるので、早々にテント撤収して下山だ。疲れはあまりなかったのだが、前々日上高地の林道を歩いている時に少し捻挫した右足首が北穂高の中腹あたりで痛み出してきた。歩けないほどではないのだが、石を踏みつけるとズキンと痛む。とにかくあとは下るだけなので、横尾まで下りたところで靴紐を緩めてひたすら上高地バスターミナルを目指して歩く。2時15分、無事にバスターミナルに到着した。それにしても人が多いこと。カッパ橋はもう人が乗れないのではと思うほどたくさんの人が行き来しており、バスターミナルも長蛇の列。それでも30分少々の待ち時間でバスに乗ることができ、3時半、沢渡の駐車場に到着。

    さらば、涸沢。すばらしい風景をありがとう。

初めての涸沢、話によると今年の紅葉は色付きがいまひとつだったらしいが、それでも素晴らしい景色に出会えた。狙っていたカノープスを見ることができたのも良かった。充実した3日間を過ごせた。
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月光が奏でる涸沢  平成20年10月11-12日

2008年10月18日 | 番外編
 平成20年10月11-12日  天候雨のち晴れ

 予定では鳳凰山だったのだが・・・。うたた寝して目が覚めたのは深夜1時半。天気予報を見ると山梨県は雨の心配は少ないが、長野県は降水確率50%。しかし、どちらも夕方からは晴れそうだ。その後の連休2日間はいずれも好天の予報だ。横になって寝なおそうと思ったのだが、寝付けそうも無く、それならばということで行き先を変更、涸沢の紅葉を見に行くことにした。大混雑が予想されるのでテント泊りで出発。
 まだ薄暗い5時に沢渡に到着したが、既にバスが動き始めているらしく、バス停で並んでいるお客さんが目に入る。駐車場に車を停めた頃に、ちょうど雨足が強くなり、バスに乗る前からカッパを着てバス停で待つ。5時半のバスに乗ることができ、上高地は6時を少し過ぎた頃から歩き始めた。最初は長い林道歩き、しかも雨。予想はしていたのだが、思ったよりも降り方が強い。夕方から晴れるという天気予報を信じて、ひたすら歩く。

    横尾大橋。朝9時、たくさんの人でごったがえす。

 3時間ほど歩いて横尾に到着したのは、朝の9時。既にたくさんの人でごったがえしていた。槍ヶ岳方面に行く人は少なく、ほとんどの人が涸沢を目指して進んで行く。その頃からようやく雨が止み、時折すがすがしい青空と太陽が雲間から覗くようになる。横尾大橋を渡り、横尾谷に入ると正面に屏風岩が見えるようになる。こんなところを登る人がいるのかと思うような垂直壁だ。屏風岩に向かうヘルメットを装着した3人連れの姿が見える。岩の下部は紅葉の真っ盛り、岩の間から生えているナナカマドやダケカンバも鮮やかに紅葉している。これから行く涸沢の紅葉が楽しみだ。

    横尾谷から見上げる屏風岩

 沢を渡る吊り橋を過ぎたあたりから傾斜が急になりはじめる。相変わらずの人の行列で、自分のペースでゆっくりと歩きたいにも、長蛇の列になっていてそれに付いてゆくしかない。20kgを越える荷物を背負う私には結構な早いペースだったので、この登りですっかり足がつかれてしまう。目指す涸沢まであと1時間あたりのところから道がやや広くなり、軽食をとってゆっくり休み、スローペースで歩く。1時半、涸沢到着。

    光射す屏風の頭  涸沢まであと少し。

 テント場はまだ半分強埋まった程度で、テントを張る場所は十分にあった。途中で会った人から聞いた話だと、山小屋宿泊率は昨日が200%、本日はなんと400%、畳1畳に4人寝ることになるそうだ。横になっても寝返りさえ打てない状態だろう。テント泊で正解だった。先にテント設営し、テント場受付に行くと、既に30人以上の長い列ができていた。受付を済ませて涸沢ヒュッテ周辺をブラブラ散策し、テントに戻る。紅葉の写真撮影も良いのだが、まだ空に雲がかかり、紅葉は真っ盛りなものの鮮やかさはいまひとつ。明日の朝に期待し、食事をとってさっさと寝ることにする。本日は日が暮れて天候が回復してから、月光の涸沢に期待だ。

    月光のテント場と北穂高岳


    プレアデス昇る

 目が覚めたのは日が暮れた7時半。月が昇り、テントの中でも物が見えるほどに明るい。外に出ると、空いていたテント場ももう満杯状態、月光に映えて色とりどりのテントが怪しく光る。三脚とカメラを担いで涸沢ヒュッテの展望台に移動する。同じように月光の涸沢の写真撮影をしている人が数名いた。山影がくっきりと見える程度の月明かりだとIso感度800に上げてもノイズはさほど出ないことは数回の月光撮影でわかっているので、絞り開放2.8、Iso 800、30秒で撮影すると、モニター上はかなりきれいに写っている。出来上がりが楽しみだ。2時間ほど撮影を楽しみ、再びテントに戻って寝る。

    月光奏でる涸沢の夜


    涸沢岳の上に羽ばたく白鳥座

 次に目が覚めたのは午前4時。明るい月が、奥穂高岳の上に沈みかけていた。南側の前穂高の尾根上にはオリオン座と冬の大三角形が登っている。再び展望台に行き、カメラをセット、ちょうど北穂高の上にカシオペア座が沈んでゆくところだった。

    北穂高岳の上に輝くカシオペア座


    前穂高岳の尾根に昇る冬の大三角形とオリオン座


    夜明け前の涸沢

 しだいに赤らみ始めた空、そして動き出した人々。夜明けとともにあたりがざわめき始める。もう奥穂高岳や北穂高岳にヘッドライトを点けて登って行く人たちの姿も見える。そして夜明け。奥穂高岳から涸沢岳、奥穂高の稜線、そして涸沢のカールが見事に赤く染まってゆく。そう簡単に見られる風景ではないのだろうが、初めて訪れた涸沢でこの景色が見られたのはラッキーだ。

    朝焼けの稜線


    焼ける涸沢岳とカール

 朝焼けのひとときが過ぎた後、周囲をひとまわりしてテントに戻る。大きなカメラを持った人たちは展望台ではなくて、登山指導所の裏側あたりに集結していた。どうやらそのあたりが撮影に適しているらしい。次回はこのあたりでカメラを構えることにしよう。さて、朝食をパンで軽く済ませ、本日は北穂高岳にテントを担ぎ上げる。(北穂高岳に続く)
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痛恨の・・・!? 唐松岳  平成20年10月1日‐2日(2日目)

2008年10月07日 | 番外編
 10月2日(2日目) 天候晴れのち曇り

  唐松岳の夜は空一面に星が広がる凄い夜だった。3時間ほどウトウトしただけで、深夜12時前から山の上をウロウロし、そのまま朝を迎えることになる。東にはきれいな雲海が広がり、浅間山、八ヶ岳、南アルプスをはじめ、遠く富士山を望むこともできた。

    雲海遥か  唐松岳の夜明け


    黎明の唐松岳と帰らずの嶮

 日の出の頃には唐松岳山頂はたくさんの人が詰めかけているのが見える。その頃に私は展望台に移動し、朝焼けに焼ける空や唐松岳、五竜岳などを撮影していた。夜明け前に1本目の電池が無くなり交換したばかりなのだが、夜明けを撮影していると交換した電池があっという間に点滅しはじめた。充電が不十分だったらしい。もう1本あるのでなんとかなると思いつつ、そちらの電池に交換すると、それは交換した直後から残量わずかの表示、数枚撮っただけで点滅しはじめた。充電し忘れたのか、それともしばらく使っていなかったので放電してしまったのか?いずれにしても夜間撮影するにはライブビュー機能とノイズリダクション機能を使い、多量に電池を消耗するので、何枚撮れるかわからない状態だ。予定した五竜岳どころか、本日昼間の撮影すらままならない。痛恨の電池切れ、止む無し、五竜岳はあきらめて本日八方尾根を下山することにした。

    雲海に陽昇る


    朝の五竜岳

 朝の斜光線のうちにビューポイントに移動したかったので、ソイジョイで軽く朝食を済ませ、早々に準備して6時半に下山しはじめる。唐松山荘から15分ほど下ったところで5~6羽の雷鳥の群れに出くわした。たぶん親子の雷鳥なのだろう。私の姿を見ると、早々にハイマツの中に逃げ込んでしまった。天気が良く、きれいな雲海と紅葉がきれいだったので、三脚をあちらこちらで立てながら歩き、五竜岳と鹿島槍ヶ岳の双耳峰が見える丸山ケルンに8時到着。ここで三脚を立てっぱなしにして朝食をとる。気温の上昇とともにしだいに雲海が上がり始め白馬三山の谷間に忍び寄ってきた。

    白馬三山


    丸山ケルンから見る五竜岳と鹿島槍ヶ岳


    雲海迫る白馬三山

 その先1時間ほどは歓喜の景色が広がる。暴れだした雲海が山肌に巻きつき、紅葉と雲海の素晴らしい景色を見ることができた。心配していた電池は、衣服でこすりながら使用していたが、丸山ケルン下のビューポイントで2本目が完全に空になり、残るは1本のみ。点滅状態だが、撮れるだけ撮ることにする。三脚を担ぎながら歩き、八方尾根の秋を満喫した。

    紅葉と雲海、秋の八方尾根


    雲上の五竜岳と鹿島槍ヶ岳


    垣間見る白馬鑓ヶ岳

 10時半を過ぎた頃にはもうすっかり雲海が登り、尾根はガスにつつまれて眺望はほとんど利かなくなってしまった。11時、八方池到着。唐松山荘はトップで出発したのに、もう大勢の人たちに追い抜かれて後のほうのグループに入ってしまった。良い景色が楽しめたのでそれもまた良し。八方池はたくさんのハイカーたちが訪れていたが、この時間にはもうすっかり雲に巻かれ、白馬三山も鹿島槍・五竜も見えない状態だった。ゆっくり歩いてリフト駅に到着。1本目のリフトを下りたところで再び白馬三山が姿を現し、池に映る数枚を撮影して八方尾根に別れを告げる。電池もなんとか持ってくれた。

    雲上の白馬三山


    紅葉と逆さ杓子岳

 思えば、この日は八方尾根を下りたことが正解だったのかもしれない。五竜岳に向っていたら、おそらくこの雲海と五竜・鹿島槍や白馬三山の景色は見られなかっただろう。ちょうど五竜に向う尾根道を歩いている頃に雲海が昇ってきてしまうからだ。電池切れのおかげで良い景色が見られた。怪我の功名か!?
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痛恨の・・・!? 唐松岳  平成20年10月1日‐2日

2008年10月07日 | 番外編
 10月1日(1日目) 天候曇り
 遅い夏休みをとって、1日(水)から5日(日)までの5連休となった。どこの山にゆくか、いろいろと策案していたのだが、4日に家庭の用事が入ってしまい、最終的に2泊3日の山行(予定)となる。さて、どこに行くか?紅葉の枯沢か、常念から槍ヶ岳に沈む夏の大三角形か、それとも五竜・鹿島槍か?天気予報をみると、南に前線があり、北に行くほど天気が良い。写真仲間の下山氏のすすめもあって、今回は唐松岳から五竜岳を歩くことにした。通常なら1泊でも可能なルートなのだが、星空を存分に楽しみたいので1泊目八方尾根から唐松山荘、2泊目五竜山荘から遠見尾根下山というゆとりの山行予定を立てた。
 さて、子供たちを学校に送り届けてから出発したので、9時甲府出発となる。高速を豊科で下り、松川の道の駅に到着したのはもう11時だった。唐松まで行けるのか?ちょっと不安がよぎる。もう少し近場の蝶ヶ岳ならば十分に到着できるか?と気が変わり、一旦はそちらに向ったものの、穂高側の空を見るとどんよりと暗い雲がおおっている。これではダメ。やはりもっと北に行かねば。進路を元に戻し、予定通り八方に向かう。
 12時半に八方ゴンドラリフト駐車場に到着。ここで2泊分の駐車料金を支払い、ゴンドラリフトを乗り継いで八方尾根まで行く。午後1時を過ぎた頃から歩き出したので、5時ごろには唐松山荘に到着できるはず。うれしいことに、もう一組、同じ時間に唐松山荘まで行くという若い男女がおり、抜きつ抜かれつしながら、ほぼ同じようなペースで登る。

    雲湧き上がる白馬三山  リフト終点あたりから。


    八方池と帰らずの嶮

 八方池にちょうど1時間で到着。時折雲間から白馬三山が顔を出すが、すっきりとは姿を見せてくれない。さらに登って丸山ケルン3時35分、だいぶ雲が広がってきた。その先に見えるピークを左に巻くように道が続いており、落石が起きそうな鎖とロープの張ってある道を歩いて行くと、あっさり唐松山荘に到着。4時40分ごろだった。この日の宿泊客は70人ほど。小屋の規模からすると、かなり空いているほうだろう。食事開始が予定時間より30分ほど遅れ、6時半夕食となったのだが、それには理由があった。この日は改装したばかりの新しい食堂を初めてお披露目した、記念すべき日だったのだ。ガスコンロの調子が悪く、それで準備に手間取ったらしい。床がピカピカのきれいな食堂だった。
 食事を終えて外に出ると、頭の真上には夏の大三角形がきれいに見えていた。周辺の山には雲がかかっていたが、30分ほどすると雲が飛び、ひときわ明るい木星とその右側の天の川が見えるようになってきた。さっそく三脚とカメラを持って唐松岳近くまで行ってセットしたが、天の川が見えたのは一瞬だけ。構えた頃には時既に遅く、雲の中に吸い込まれてしまった。8時半、一旦小屋に戻って寝る。

    雲海の上に昇るオリオン座


    北天の空と白馬岳

 3時間ほどぐっすり眠り、11時半、ふと目が覚める。窓から外を見ると山影がくっきりと見えており、雲は無くなっている。眠い目をこすりながら外に出ると、凄い星空が広がっていた。頭の上を天の川の白い帯がくっきりと流れて見え、西に傾いた白鳥座が大きく羽ばたいている。これは寝ている場合ではない。セーター、フリース、ダウン、カッパと持っていった防寒着を全て身に纏い、撮影に向う。三脚とカメラを持って展望台と唐松岳の稜線を行ったり来たり、一晩中星空とつきあうことになる。

    唐松山荘の上に昇った冬の大三角形とオリオン座


    唐松岳に沈む夏の大三角形

 11時過ぎ、東の空の雲海上にオリオン座が昇ってきた。それに続いて冬の大三角形。西を見ると、ちょうど唐松岳の三角錐の上に夏の大三角形が沈んで行くところだった。北には白馬三山の上に北極星、その右に昇り始めた北斗七星、左には傾き始めたカシオペア座が位置する。時折気まぐれな流れ星がサーッと流れてゆくが、これを捉えるのは難しい。唐松岳山荘の明かりは一晩中点けられたままで、小屋の前を照らす街灯がひときわ明るく、隣の山までくっきりと照らし出していた。静まりかえった山の上でひとり静かに星を見上げるおじさん。これはロマンなのか、ただのバカなのか?

    山頂の幽霊  ポジションにつく直前にフラッシュが光り、そのまま30秒固まっていたが、奇怪な写真となる。


    五竜岳の上に昇ったオリオン座。画角ギリギリで捉えることができた。五竜岳の左側、低空に赤い星、カノープスが昇ってきている。

 朝が近付き、水平線がうっすらと明るくなってきた頃、オリオン座は南に高く位置するようになる。五竜岳と組み合わせて撮影したかったのだが、17mmのレンズでは画角ぎりぎりでようやく入る程度で、窮屈な写真となってしまった。撮影している時にはわからなかったのだが、プリントしてはじめて、五竜岳の左肩、南の低空に赤い星、幸福を呼ぶカノープスという星が写っているのに気付く。私自信、初めて撮影できた星だ。3本持って行った電池の1本目が無くなり、2本目に入れ換えて撮影を続ける。夜明け前には唐松岳山頂で御来光を迎える人たちがヘッドライト点灯し続々と登って来た。その頃に私は混雑する唐松岳山頂を避け、隣の展望台に移動していた。(2日目に続く)

    シリウスとカノープス  左上が冬の空でひときわ明るいおおいぬ座のシリウス、右下超低空の赤い星がカノープス。


    薄明の五竜岳  左側にカノープスが輝く。
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色づき始めた千畳敷カール、木曽駒ヶ岳

2008年10月04日 | 日本百名山
 平成20年9月28日 天候晴れのち曇り

 
 そろそろ山の上では紅葉の季節を迎えていることだろう。6月の美ヶ原以来、久しぶりに妻と2人で千畳敷カールから木曽駒ヶ岳を訪れてみた。
朝一番のバスとロープウェイに乗ろうと、4時起きと言っていたのだが、前日床についたのは深夜1時近く。4時などに起きられるわけもなく、目を覚ますとあたりが薄明るくなってきた5時半。準備して出発したのは6時過ぎになってしまったが、高速を飛ばして7時半にはバス乗り場に到着した。混雑を予想していたのだが、バスを待っていたお客さんは30人ほどで、あっさりバスもロープウェイも乗ることができた。

    千畳敷ロープウェイ駅から見上げる宝剣岳

 8時半千畳敷に到着。眼下には静かな雲海が広がり、ずらりと並ぶ南アルプス山脈の中央に富士山の姿を見ることができた。ここはロープウェイを使って簡単に来られるので、大きな三脚とカメラを担いだ人たちがたくさんいた。(私もその1人。)カールは紅葉が始まってはいるが、まだ盛期というまでにはなっておらず、2週間後あたりが見頃を迎えるのではないだろうか。

    色づく千畳敷カール  見頃は10月中旬ごろだろう。


    カールから見上げる宝剣岳

 三脚を立ててあちらこちらで写真を撮っていると、待ちきれない妻は遥か先を登り始めていた。時間を負うごとに増えてくるお客さん、中には普通の運動靴やサンダルでカールを散策している人たちも見かけられた。この千畳敷カールはそれほど簡単に訪れることができる場所なのだ。

    極楽平から見る南アルプスと富士山  天気予報では曇りだったが、予想外の眺望。


    伊那前岳と富士山

 ゆっくり歩いてカールを登り、宝剣山荘に到着したのは11時ごろ。中でホットミルクを飲み、持って行ったおにぎりを食べて軽い昼食を済ませる。良く滑落事故を耳にする宝剣岳が目の前にあり、下から見る分には最上部の急な岩場以外は簡単に登れそうに見えるが、こちらの山頂にはあまり興味がないので今回はパス。

    空木岳方面の眺望。12時頃から雲が動き出す。木曾駒ケ岳山頂から。


    山頂あたりを活発に飛び回っていたホシガラス。足には大好物のハイマツの実を持っている。

 木曽駒ヶ岳を目指す。といっても、ここからは中岳という小ピークを越えて登り返せば、30分ほどで山頂に到着できる。休憩を交えつつ、40分ほど時間をかけて、12時25分山頂到着した。この頃にガスが湧き始め、見えていた富士山や御嶽山はしだいに見えなくなってきた。雨は降りそうになかったので、のんびりして下山。千畳敷ロープウェイ駅に2時半到着し、山菜ソバを食べて帰る。帰りのロープウェイもほとんど待たずに乗ることができ、天気予報で曇りの予報だったことが幸いしたのか、予想外にスムーズに行くことができた千畳敷ハイキングだった。

    木曾駒ケ岳山頂。後ろに見えるのは八ヶ岳。


    山頂の神社。お守りを買って帰る。
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またしても!茅ヶ岳標柱

2008年10月04日 | 番外編
 平成20年9月24日 天候くもり

 またしても削られた茅ヶ岳標柱の文字。9月初旬、複数の方から写真付きメールをいただいた。今度は茅の文字だけかなり深く損傷されている模様だ。

    こばとしさんから送られてきた画像


    末木さんから送られてきた画像。かなりひどく削られている。

 こらから紅葉シーズンを迎え、たくさんの登山客が訪れる茅ヶ岳。その前になんとか修復しておきたい。前日の七面山の筋肉痛が若干残る中、午後の空き時間に標柱修復に向かう。

    茅ヶ岳の林とトリカブト。何度歩いてもそのたびに違う景色を見せてくれる茅ヶ岳。ゆっくり歩きたいものだが、最近登るのは標柱再建や修復の時ばかり。

 午後3時半、山頂到着。なるほど、茅の文字だけかなり深く削られていて、文字の溝が無くなってしまっている。このままだとここから水が入り込んで標柱か朽ちてしまいかねない。さっそく修復にとりかかる。コインと紙やすりで削られた部分を少し削って、黒ペンキで文字修復。10分ほど乾かしてから今度はニスを塗り、完成。以前の文字ほど見栄えはしませんが、ひとまずこれでご勘弁を。

    修復開始。まず黒ペンキで文字修復。草冠のあたりから塗り始めたところ。


    修復完了。30分ほどの作業でした。


    修復後の茅の文字。こんなもんで勘弁してください。

 削られ方が前回のものと似ていることから、同一犯の仕業なのだろうか?少数の気に入らない人による犯行だと信じたいが、残念でならない。
 もうひとつのお目当て、尾根道沿いのザレ場に咲いているビランジ。花期はすでに過ぎていたが、なんとか見ることができた。この花を見るのも茅ヶ岳に来た時の楽しみのひとつ。

    茅ヶ岳のビランジ

(自宅のパソコンからの転送だと画像が一部乱れてしまいます。ご容赦ください。)
コメント (5)
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