山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

『月と星の奏でる夜の風景』写真展を開催します

2009年05月21日 | 番外編
 夜の山と星を撮り歩くようになって間もなく2年が経過します.といっても,本格的に撮ったのはここ1年くらいでしょうか.ようやく写真展を開催できるくらいの作品が集まりました.今回出品するのは,全て夜の風景です.約20点出展予定ですが,そのうちの7点をブログ上で公開します.私のブログファンの方は見たことのある作品ばかりで申し訳ありませんが,お付き合いください.


    月光墨絵富士 平成20年1月25日 大蔵高丸で撮影
 冬期は林道が閉鎖されているので,夏場は簡単に行ける大蔵高丸も冬は時間がかかります.午後3時過ぎに歩きはじめて山頂到着は8時過ぎ.月光に照らされた富士山がぼんやりと浮かんで見えます.長時間露光で撮影してみると,手前の雪の白い部分と富士山の白い雪がくっきりと浮かび上がり,墨絵のような写真になりました.寒かったです.


    高峰の星空  平成20年5月3日 小仙丈ヶ岳で撮影
 富士山と北岳,すなわち日本第一と第二の高峰が並んで見える仙丈ヶ岳からの眺望は私の大好きな風景のひとつです.ズルズルの雪に悪戦苦闘して小仙丈ヶ岳に到着したのはこれまた午後8時過ぎ.薄い霧が流れる天候でしたが,夜が深くなるにつれて霧が飛び,満点の星空となりました.徹夜で撮影に夢中になった至福の山上での一夜でした.富士山の上に輝く明るい星は木星.


    天の川流れる八ヶ岳の空  平成20年6月7日 八ヶ岳横岳で撮影
 なかなか空が晴れない6月の天気ですが,この日は夜から天気が回復するとの予報です.午後から出発し,行者小屋の横を午後7時過ぎに通過,撮影予定地の横岳中腹には9時過ぎに到着しました.途中は完全に雲の中で真っ白な世界でしたが,10時過ぎから雲が晴れてすっきりした星空が見えてきました.さそり座の尻尾のあたりにひときわ明るい天の川が流れます.明け方近くに赤岳山頂に輝いた木星と天の川を捕えてみました.


    唐松岳と夏の大三角形  平成20年10月2日 唐松岳で撮影
 雲の多い日中でしたが,夕暮れとともに雲が晴れはじめ,深夜には満点の星が輝く夜になりました.唐松山荘の宿泊客は約50人ほど,皆さん眠りについている頃に一人で山の上を行ったり来たり.とても寝ていられるような夜ではありませんでした.これは唐松山荘上の展望台あたりから,唐松岳に沈んで行く夏の大三角形を撮影したものです.反対側には冬の大三角形が昇ってきていました.


    月光奏でる涸沢の夜  平成20年10月11日 涸沢で撮影
 1年のうちで最も混雑するであろう,10月連休の涸沢を訪れてみました.満月過ぎの明るい月が昇ってきた午後8時過ぎ,涸沢ヒュッテの展望台に行ってみると,カラフルなテントが一面に張られたテント場はまるで花が咲いたようでした.他にも数人写真を撮っている人たちがいました.が,注目して欲しいのは空の星が流れていないこと.ほとんどの人はレンズを絞り込んで長時間露出で撮影すると思いますが,この作品はデジタルカメラとレンズの特性を最大限に生かして,絞り開放F2.8,露出30秒で撮影したものです.ピントをきっちりと合わせれば,F2.8でも十分に良く写ります.


    薄明の雲間に昇るカノープス  平成20年10月13日 北穂高岳で撮影
 涸沢の翌日は北穂高岳でテントを張りました.普通は日本百名山の奥穂高岳に登るところなのでしょうが,目的はひとつの星を見るため,それがこのカノープスです.中国では南極老人性と呼ばれていて,北半球では南の超低空にしか昇らないため,一目見ただけで長生きできるという云われのある星です.未明にテント場から北穂高岳山頂に移動し,目を凝らして南の低空を見ていると・・・あった!雲の間に見える赤っぽい星,写真を撮って確認するとカノープスです.カシミールで画角から予想したとおり,北穂高岳から見えることが実証できました.ただ,ピントがいまひとつ合っていなかったのが残念な作品.


    白峰に傾く冬の大三角形  平成20年12月21日 鳳凰山で撮影
 何度も訪れている冬の鳳凰山ですが,なかなかうまく撮れない白根三山に沈んで行く冬の大三角形.この時は月光をライティングに利用して山を浮かび上がらせつつ星を撮影するという方法を使って撮影してみました.月は下弦を1日過ぎた月,やや明るすぎる感もありましたが,空がすっきりと澄んでくれたおかげで山と星を写し込むことができました.平成20年に撮影した中で最高の1枚と思っています.
 
 写真展開催日時は以下の通りです.お近くにお越しの際は是非お立ち寄りください.
    場所:アウトドアショップエルク 2階展示場
       山梨県甲府市徳行4-13-9
       TEL:055-222-1991

    期日:平成21年6月1日(月)~6月28日(日) 但し,火曜日は休店日です.
       
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ホテイラン咲く八ヶ岳南麓 平成21年5月18日 

2009年05月21日 | 番外編
 平成21年5月18日 天候晴れ

 今年も見に行ってきました.八ヶ岳南麓,秘密の場所のこの花,稀少種のホテイラン.昨年よりも雪が少なく気温の温かい今年,恐らくは1~2週間早く花期を迎えることが予想されたため,昨年よりは早めに訪れてみました.出発時間が遅かった(というか,茅ヶ岳に標柱整備に行こうとしたら,登山口でヘッドライトの電池切れに気づき断念.行き先を急きょ変更したので遅くなってしまった)ので,現地に到着したのは午後4時半でした.秘密の場所とはいえ,知る人ぞ知る場所で,昨年は4~5人の人が花を楽しんでいるのに出会いました.今年は・・・まだ誰もいませんでした.踏み跡も少なく,たぶん来週あたりから訪れる人が増えてくるのではないでしょうか.

    今年も出会えました・


    可憐なこの花


    ホテイラン

 まず,歩きながら感じた違和感がひとつ.昨年はたくさん乱舞していたヒメギフチョウが全く飛んでいません.単に時間が遅かったからか,それとももう時期が遅いのか?ちょっと出会えないのは残念でした.林の中を,株を探しながら,かつ間違って踏みつけないように慎重に歩きます.あった!まず一株目,これは少し時期を過ぎて花がクシャッとつぶれかけていました.さらに慎重に歩いてゆくと,一株,二株,三株・・・あるある!昨年よりも訪れた時期が良かったのか,それとも今年は当たり年なのか,自分の立っている場所から7~8株咲いているのが見渡せます.今年も会えて良かった.絶滅危惧種ホテイラン.そしてまた来年も会いましょう.

    時期が良かったのか


    ツーショットの花にも出会えました.


    バイカオウレンの群落もあります・

 この場所から1~2週間遅れて美濃戸口の先,南沢登山道沿いのホテイランが見頃になります.おそらくは5月下旬から6月初旬ごろではないでしょうか.その頃には横岳のツクモグサも咲き始めます.残念ながら今年は日程的に行けなそうです.
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あのスミレはあるのか?花の日本百名山、二十六夜山

2009年05月17日 | 丹沢・道志山系
 平成21年5月10日天候晴れ

 花の日本百名山のひとつ、道士の二十六夜山。本の中ではエイザンスミレが紹介されているが、本文の中には「足元に白い花のヒゴスミレ、エイザンスミレ・・・」と、まだ見たことの無いヒゴスミレの名前が登場している。昨年もこのヒゴスミレを見たくて二十六夜山に登ったが、良く内容を確かめずに出かけたために登ったのは隣の秋山村にある二十六夜山に行ってしまった。ヒゴどころかエイザンスミレも見つからなかったが、フモトスミレやヒカゲスミレ、ナガハノスミレサイシンなどに出会うことができた。本を読み返してみると、スミレがあるのは今倉山から二十六夜山への稜線上らしい。今年こそは・・・と願いつつ、道坂トンネルの登山道入り口を目指す。
 8時半に到着すると既に3~4台の車が止まっていた。ここは今倉山だけでなく、御正体山への登山口にもなっている。昨日の黒富士裏ルートを歩いた疲れが足に残っていて、なんとなく足全体がだるいので、いつもにも増してスローペース、道の両脇のスミレを探しながら歩く。今倉山までのルートではほとんどがタチツボスミレ、少数の紫色の濃いニオイタチツボスミレも混ざっていた。エイザンスミレは葉のみ散見されるが、もう既に時期が遅く、花が散ってしまった後だ。訪れるのが遅かったし、それに加えて数日前の雨でスミレの花はクシャッとつぶれてしまっているものが多い。

    タチツボスミレ ほとんどこのスミレばかり。


    こちらは紫色の濃いニオイタチツボスミレ


    今倉山山頂直下の新緑と御正体山の上に立つ富士山

 2時間弱かけて今倉山山頂に到着。途中でトレイルランニングをしている若者たちと何人もすれ違った。近日レースでもあるのだろうか?確かにこのルートは道が良くて走りやすい。山頂は3~4人の人が休憩していたが、ここは休まずにそのまま通過、ここから二十六夜山までの稜線は、いくつかのコブを越えながら、全体的に下りとなっている。ピークをひとつ超えた先に展望の良い岩場があり、御正体山と杓子山の間に富士山が見える。さらに進むと、急下りとなって鞍部で沢コースとの分岐に出る。このあたりでようやく残っていたエイザンスミレに出会うことができた。そのほかにアケボノスミレ、ナガハノスミレサイシンなど。しかし、ヒゴスミレらしき花や葉は見つけることができなかった。

    今倉山山頂の大きなブナの木


    山頂先の岩場からの眺望


    残っていたエイザンスミレ。花期はもう過ぎていた。


    ナガハノスミレサイシン

 さらにコブを越えて進むと、赤岩という展望抜群のピークにたどり着く。岩の上に登ると、どっしりした御正体の山容と、三角錐を描く杓子山の間に大きく富士山が聳え立つ。このルートで最も眺望の良い場所だろう。

    赤岩


    赤岩の上からの眺望。御正体山と杓子山の間に大きく富士山が聳える。このルートで最も眺望の良い場所だろう。


    稜線上には道志山系らしいブナの巨木がたくさん立ち並ぶ。

 さらに進んでゆくと、右手の下にアスファルトの道路が見えてくる。二十六夜山のすぐ脇を通る林道だ。間もなく道は林道に降り立ち、道標に従って二十六夜山に向かう。林道からひと登りして20分ほどで二十六夜山山頂に到着する。花の百名山では、山頂は林の中でわずかに展望が開けるだけだと紹介されているが、現在は南側から南西側が大きく切り開かれていて富士山が良くみえるようになっている。その先には廿六夜と刻まれた石塔が立っている。

    眼前に迫る二十六夜山


    二十六夜山山頂


    山頂の先に立つ石塔

 食事にしようと思ったのだが、途中でペットボトルのドリンクを1本車に置き忘れてきたことに気づき、昼食用の水を変わりに飲んでしまった。さらに、おやつに買ったどらやきも車の中。あるのはパン1個とソイジョイだけだ。とりあえずそれで食事を済ませて山頂を後にする。林道を1時間ほど歩くとゲートに到着し、ゲートから10分ほど歩くとトンネル横の駐車場に到着する。午後2時半、到着。残念ながら今年もヒゴスミレを見つけることはできなかった。
 ヒゴスミレの目撃情報を探していたところ、ちょうど私の所属する山岳会メンバーが登った某山(あまり人に知られていない山)にたくさんあったと聞いた。今年は花期がおわってしまったが、来年はあのスミレに出会えるかもしれない。
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ニリンソウ咲く黒平から黒富士ルート  平成21年5月9日

2009年05月15日 | 八ヶ岳・秩父山系
 平成21年5月9日 天候晴れ

 今回で3度目となるマウントピア黒平から黒富士峠を経て升形山、黒富士に至るルート。地図に載っていない裏ルートだが、整備は行き届いていて、歩く人が少ない静かな山歩きを楽しめるルートだ。今回は昨年9月に八丁峠側(最短ルート)から黒富士・升形山・撥岩に同行したのぞむ君と、薮歩きの達人カズ君をお誘いして3人で出かけた。あまり知られていないこのルートだが、マウントピア黒平の管理人、藤原さんが熱心にルート整備をされており、是非皆様にもこのルートを歩いてみていただきたいと思い、人気ブロガー2名を同行しての山行である。

    登山道入り口のマウントピア黒平

 朝7時20分にのぞむ君に電話するともう甲府駅の信玄公銅像前で待っているという。急いで車で甲府駅に迎えに行き、2人と合流し、マウントピア黒平に向かう。8時過ぎ、マウントピア前の駐車場に到着すると、間もなくもう1台の車がやって来た。マウントピア黒平の管理人、藤原さんだった。2年前の冬にこのルートを歩いた時、帰り際に声をかけていただき、お茶とほろふき大根をご馳走になったことがある。いずれは挨拶に行かねばと思いつつ、もう1年以上過ぎてしまった。私の名前まで覚えていてくれて恐縮してしまった。迷う道ではないのだが、ルート確認のため現在地とルートを地図で教えていただき、さて、出発だ。時間は8時35分。

    川沿いの道を行く.前日の雨で水量が多い.


    ルート分岐部.初めて歩いた時にここを間違えたおかげ(?)で隠れ家撥岩にたどり着くことができた.もう一度行けと言われても行けるかどうか???

 バンガローのところで山裾を行く道と川沿いを行く道に分かれるが、ここは看板どおりに川沿いの道を行く。道沿いにはニリンソウがたくさん咲いていた。20分ほどで山沿いの道と合流し、休憩を交えつつ、道端の花を楽しみつつ、ゆっくりしたペースで歩く。同行したカズ君の花の詳しさ、そして目の良さには驚いた。雑草にしか見えない小さな花まで良く知っている。いろいろ名前を聞いたが、すっかり忘れてしまった。(カズ君のホームページ『悠々趣味』をご参照ください。)右に左に何度か徒渉を繰り返し、沢の流れが途切れる水場に1時間半ほどで到着した。以前はここから左側のガレた沢沿いを歩く道になっていたが、ルートが変更されていて右側の山裾に新しい道がつけられていた。以前より遥かに歩きやすくなっており、コース管理されている藤原さんたちの熱意が感じられる。

    何度か渡渉するがほとんど靴は濡らさずに渡れる.


    登山道沿いに咲いていたニリンソウの群落.踏むのが申し訳ない.

 踏むのが申し訳ないようなニリンソウの咲く登山道を行くと、やがてカラマツの林立する静けさの漂う森、鹿の広場に到着する。時間は11時15分、途中の花や紫色の濃いエイザンスミレなどを楽しみながら歩いてきたので、だいぶ時間がかかってしまったが、それもまた良し。歩く人が少なく荒れていないコースなので、ゆっくりと味わいながら歩くのが良い。

    ニリンソウ


    紫色の濃いエイザンスミレ


    鹿の広場.下草の緑とカラマツの新緑が美しい静かな森.

 鹿の広場につけられたテープに導かれながら登って行くと、やがて膝下の笹原に入り、間もなく黒富士峠に到着する。八ヶ岳側の展望が一気に開ける。右手には濃い紫色のミツにこの峠から見る黒富士は、まさに富士山のように整然とした三角錐を描いて見える。左に進んで升形山を目指す。曲岳まで行きたかったが、時間的に厳しそうなので本日は升形山までにして、山頂で昼食をとって戻ることにした。黒富士峠から升形山のルートは巻き道もあるのだが、今回は直登。山頂手前の岩ももちろん簡単に巻けるのだが、そこも直登して山頂に到着した。升形山は山梨百名山には入っていないのだが。360度の眺望が得られる、このあたりでは一番景色の良い場所だと思う。

    黒富士峠の新緑と八ヶ岳


    満開のミツバツツジ


    黒富士と並ぶ富士山.カラマツの枝が若干邪魔になるのが残念.

    ブナの大木の横を通り抜けて升形山に直登.先に見える岩を乗り越える.


    升形山山頂にて.左からのぞむ君,カズ君,ヨッシー

 昼食をとって眺望を十分に楽しんだ後、今度は巻き道を歩いてルートを戻る。黒富士峠を越えて定番の撥岩に向かう。最近少し歩いている人がいるのか、道はだいぶわかりやすくなってきているように感じた。黒平の谷を眼下に見ながら、富士山と黒富士が並んで見える撥岩からの眺望は抜群だ。場所は狭く、残念ながら人は3~4人しか入ることができない。眺望を楽しんだ後、少し黒平峠側に戻ったところのピークから左に延びる尾根を下る。おそらくは獣道なのだろうが、尾根の上にはなんとなく道らしきものがついている。しかし、そこについている足跡は人間のものではなくて鹿の足跡だ。尾根をはずさないように急斜面をひたすら下ってゆくと、約30分ほどであっけなく山裾につけられている登山道に抜けてしまった。もう少し道なき道歩きを楽しみたかったのだが、予想外に短かった。登山道を戻り、マウントピア黒平に到着したのは4時半ごろだった。予想通り、本日このルートを歩いたのは私たち3人だけ、誰にも会わなかった。

    撥岩の上から見る黒富士と富士山


    金峰山

 地図に載っていないルートなので人が入らないのはもっともだが、歩いてみると静かでしっくりしたルートである。コースはマウントピア黒平の管理人さんがしっかりと整備してくれている。順調に歩けば黒富士まで片道3~4時間、往復6~7時間くらい、危険箇所は全く無い。是非歩いてみて欲しい、おすすめのコースだ。
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山菜宴会,奥沢谷広河原  平成21年5月3-4日

2009年05月12日 | 番外編
 平成21年5月3-4日 天候曇り

 後半は雨となった今年の5月連休,皆様はいかが過ごされたでしょうか?我々嶺朋クラブは,2泊3日で伝付峠から南下し,笊ヶ岳に登る予定だった.しかし,天気予報では5月3日夜から天候が崩れるらしく,4日と5日の降水確率は50-60%.この時点で笊ヶ岳山頂からの眺望はあまり期待できず,私自身はすっかり登る気が消失してしまっていた.
 5月3日朝5時,予定通りに増穂町役場に集合,今回は山梨百名山残り4座の植田さんもお誘いして,総勢8人での山行となった.3分ほど遅れて到着すると,リーダーたち幹部が集まって相談していた.天気が崩れそうなので伝付峠からの南下はなさそうだ.近日予定している黒河内岳(笹山)直登ルートの下見に行くか,それとも雨畑の笊ヶ岳登山口,奥沢谷にテントを張るかという話になっており,最終的に奥沢谷に行くことになった.笊ヶ岳登頂は今回は中止である.となると,今夜は河原で宴会だ.ウイスキー1本と自分の缶ビール1本だけ持って行くつもりだったのだが,ザックの荷物を詰めなおし,車に積んであった缶ビール6本とウイスキーをボトルのまま2本,さらにスポーツドリンクと,水関係だけで約5リットルをザックに詰め込んで雨畑の老平を出発した.

    新緑の奥沢谷にかかる吊り橋を渡る.


    道沿いに咲いていたヤマシャクヤク.

 新緑の奥沢谷の流れを楽しみながら,かつ山菜を摘みながら道を進む.(といっても私は山菜はタラの芽くらいしかわからないので,言われたとおりに摘むだけ.)途中には山芍薬の可憐な花も咲いていた.約1時間半でテント予定地の広河原に到着した.時間はまだ11時前だ.テントを設営して一休みした後,登山道を登って山菜採りに出かける.祠のある山の神を過ぎてその上の造林小屋跡ワイヤーの散乱しているあたりまで2時間近く登った.そこまで登っても標高はまだ1500mくらい,布引山の半分くらいまでしか登っていないことになる.やはり笊ヶ岳に登るのは大変だ.タラの芽は数本しか見つけられなかったが,コシアブラの芽はだいぶ摘むことができた.それにユキザサ,ヨモギなどなど,8人で食べるには十分の量を摘んだ.2時半ごろに広河原に戻り,さっそく天ぷらの準備を始める.

    広河原に張ったテント(右手奥の一張は別のパーティーのもの.本日笊ヶ岳アタックしており,6時半に下山してきた.)


    新緑の広河原

 3時過ぎ,早くも宴会モードに突入.河原の水場で冷やした冷たいビールが喉にしみる.定番のタラの芽は言うまでもないが,初めて食べるコシアブラは独特の香りがあってこれまた絶品.ユキザサは天ぷらとマヨネーズあえの両方でいただいたが,あっさりしていておいしかった.忘年会さながらの大騒ぎを日が暮れる7時近くまでやって,テントに戻る.前日寝付けずに数時間しか寝ていなかった私は,酔いもまわっていてシュラフにもぐり込むや否や眠ってしまった.

    河原で宴会.既にできあがってます.(寝不足の植田さんは先にテントで寝てます.)

 10時過ぎ,一旦目が覚めると月明かりがテントを透かして見えた.どうやら予報ほど天気は崩れなそうだ.そしてまた眠りにつき,翌朝起きたのは5時半.もうすっかり明るくなっていた.テントの外に出て空を見上げると薄曇り,すぐに雨が降りそうな天候ではない.その気になれば登れないこともなかったのだろうが,無理して登る意味もない.お誘いして登頂できなかった植田さんには申し訳なかったが,今年は8月か10月に登る予定をしているので,再度トライしてほしい.

    山菜を摘みながら下山.

 テント撤収し,8時過ぎに下山開始.途中の一軒家で大休憩し,石に詳しい小林さんが同行していたので,ここで南アルプスの地層の話を聞く.北岳とその向かいの鳳凰山・甲斐駒ケ岳では全く岩石の構成が違う南アルプス.北岳は堆積岩が海底から盛り上がってできた黒い岩だが,鳳凰・甲斐駒はマグマが地底でゆっくりと固まってできた花崗岩から構成されている.歴史的には堆積岩の地層の中に花崗岩が割り込んで盛り上がったものらしく,同じ南アルプスでも北岳のほうが古いものなのだそうだ.少しだけ賢くなって帰路に着いた今回の山行だった.
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甲斐駒ヶ岳の展望台、駒薙  平成21年4月29日

2009年05月08日 | 南アルプス
 平成21年4月29日 天候晴れ

春らしい暖かな陽射しとなったこの日、以前から行きたいと思いつつもなかなか行けなかった鞍掛山と、さらにその向こうの大岩山手前、駒薙という場所に行ってみることにした。山梨百名山には入っていない山なのでご存じ無い方が多いかも知れないが、この場所は日向山からさらに西側に延びる尾根にある山で、昭文社の地図では点線になっているルートだ。道標も何もないが、踏み跡とテープはついているらしい。
 朝6時前に自宅出発したが、日向山登山口から歩き始めたのは7時になってしまった。通常は日向山山頂を越えてその向こうの尾根伝いに行くのだが、以前に錦滝側の途中にテープと細い踏み跡らしきものがあるのを確認しておいたので、時間短縮のため今回は錦滝側からルートを直登することにした。もうひとつ、錦滝に日が射し込むのは午前中なので、滝とそこに自生するユキワリソウを見て行くという目的もある。40分ほど歩いて錦滝到着、良い具合に春の陽射しが差し込んでいる。ユキワリソウは咲いてはいるがまだ満開ではなく、滝の右側にちらほらと咲いていた。2年前に見た時よりもさらに数が減っているような印象を受ける。単に今年がはずれ年なだけならば良いのだが、絶滅しないことを祈るばかりだ。

    尾白川錦滝


    錦滝の崖に咲くユキワリソウ

 ここから先は急斜面となり、かなり急傾斜の階段やロープ場もある。以前は崩落している場所があってかなり歩きにくかった印象があるが、ルートが若干変わったのか、それとも整備したのか今回はさほど歩きにくさは感じなかった。雁ヶ原まであと20分くらいのところで左手の尾根に取り付く細い踏み跡とぼろ切れのようなテープが巻かれている。そこを登って尾根まで行くと、そこには明瞭な道がついていて、雁ヶ原から延びる尾根を左にトラバースするようにして細い道がつながっている。15分ほど行くとコルの部分で雁ヶ原から来る尾根道に合流し、向こうには白州の盟主、雨乞岳のどっしりした山容とその直下の水晶薙が見えるようになる。

    雁ヶ原側からの尾根道との合流点.向こうに見える山は雨乞岳.

 さて、ここから先が本番だ。鞍掛山手前にあるピークまではかなりの急登となる。低い笹原の中で何本かに踏み跡が分かれ、わかりにくい場所もあるのだが、あたりを良く見回すと赤テープがついているので、さほど迷うこともなく歩くことはできる。これといって危険な個所もない。中腹で振り返ると眼下に日向山の雁ヶ原が白く見える。樹林帯の切れ間から鳳凰山が見える場所があるが、林を抜けて左側がガレた場所まで抜けると、一気に甲斐駒ヶ岳の堂々とした山容が見えてくる。谷から鋭くそそり立つその勇姿はこの山域ならではの景色だ。ここを過ぎて再びツガの林に入ると、間もなく鞍掛山山頂に到着する。看板も何も立てられていない林の中の平坦な山頂だ。テープがつけられていて、左手を見ると明瞭な踏み跡があり、鞍掛山展望台に行くルート、そのまま右寄りに進むと、本日目指す駒薙から大岩山への道となる。

    中腹から振り返って見る日向山と雁ヶ原


    鞍掛山手前から見上げる甲斐駒ケ岳.左手の林のピークが鞍掛山展望台・


    鞍掛山山頂.看板も何も無い.展望台側と大岩山側の二方向に道が分かれ,それぞれテープがつけられている.

 時間は11時を回っている。鞍掛山展望台も立ち寄りたかったのだが、この先のルートがどうなっているのかわからないので、ここは真っ直ぐに駒薙側に進む。いったん下ると、途中に山梨の森百選に選ばれている美しい天然のカラマツ林がある。登り返すと、尾根の途中から雪が多くなり、アイスバーンの上に5cmほど積もっている。アイゼンは持ってきていなかったが、傾斜が緩かったのが幸いしてところどころ木につかまりながらではあるが歩くことはできた。

    鞍掛山のカラマツ原生林.山梨の森百選のひとつ.


    雪の残る尾根道


    林の切れ間から見る甲斐駒ケ岳

 12時半、目指す大岩山手前のピークにたどり着いた。このあたりは10cmほどの積雪あり、もちろん新しい踏み跡はない。駒薙とはいったいどこなのだろうか?山頂は樹林帯の中で、切れ間からなんとか甲斐駒ヶ岳が見えるだけだ。大岩山側の斜面を、ツガ林をかき分けて探るが展望の効く場所は見つからない。山頂周辺も同様だ。ややあきらめかけてルートを戻ろうとしたところ、鞍掛山側の西側斜面に明るく透けているような場所が目に付いた。踏み跡も何もないが、そちら側にルートをはずれて行ってみると・・・あった!白砂の広がる展望地、駒薙だ。まさに絶景地、甲斐駒ヶ岳と鳳凰山が並んでそびえ立って見える。さらにその左には、本日は霞んで見えないが、富士山の姿も見えるはずだ。切り立つ深い谷、そして残雪の裏甲斐駒ヶ岳、これぞまさに求めていた景色だ。

    駒薙と大岩山,その向こうのゴツゴツした山並は鋸岳.


    陽春の甲斐駒ケ岳と鳳凰山


    そそり立つ甲斐駒ケ岳

 のんびりしたかったが、ルートは長い。午後2時までには下山開始しなければ夕暮れにつかまってしまう。できれば日向山にも立ち寄って行きたい。1時50分下山開始、ひたすら戻るが、急斜面の笹原の中で案の定道に迷った。踏み跡を真っ直ぐに進んで行くと、その先は踏み跡が無くなり、急斜面の谷になっていた。振り返ると、50mほど戻ったところに赤テープがついている。そこまで戻ってあたりを見回すと、道は左に曲がっていてその先にまた赤テープ、そこまで行くと明瞭な道が再び現れた。やはりこの道は夜中に歩くには難しそうだ。コルの分岐点まで約2時間で到着することができた。日向山で数人の人が話をしている声が聞こえる。道を真っ直ぐ進み、日向山に向かうが、登ってきた巻き道よりも雁ヶ原からの尾根道の方がはるかに細尾根の悪路で歩きにくかった。

    日向山雁ヶ原

 午後4時、雁ヶ原到着。確か富士山が見える場所が1カ所あると聞いていたので、それと思わしき雁ヶ原の岩の上に登ってみた。そこには祠が立ててあり、振り返ると鳳凰山の遙か左下に霞んだ富士山の姿が見えた。山頂に移動すると、以前に立てられていた日向山の古びた看板は朽ちてしまったのか、もう無くなっていた。ここからの八ヶ岳の展望は素晴らしい。日向山らしい風化花崗岩の白砂を前景に入れて写真を撮る。

    日向山の白砂と八ヶ岳


    日向山山頂と甲斐駒ケ岳

 さて、日もだいぶ西に傾いた。下山だ。林道まで下りれば日が暮れても問題なく歩けるので、錦滝側の急斜面を下りることにする。山頂から約40分で錦滝に到着、テクテクと林道を歩き、ちょうど午後6時に車に到着した。良い場所を見つけることができて、満足な山行となったが、今回はあくまでも下見だ。狙っているのは朝日の射し込む雪のついた甲斐駒ヶ岳、それと・・・次回この山を訪れた時のお楽しみに。
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