山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

星空に魅せられて

2009年06月25日 | 番外編
    星空に魅せられて  (病院新聞『山病だより』7月号投稿原稿です.)

 登山を始めたばかりの頃の4年前の夏、知人の誘いで南アルプス鳳凰山に登ったことがあった。初心者だったのにコース的には過酷な青木鉱泉からの道を登ったため、途中で完全にばててしまい、おまけに途中で飲み水が尽きるというとんでもない登山だった。初めての山小屋で寝付けなかったので、深夜に1人で小屋の外に出て空を眺めてみると、そこにはダイヤモンドを散りばめたような凄い星空が広がっていた。キラキラと輝くたくさんの星々、そして白い帯のように流れる天の川。標高2700mの高地の空は澄み切っていて間近に星を眺めることができたのだ。だが、その頃はこの星空をカメラで撮影する技術など、とうてい持ち合わせてはいなかった。

    南アルプスの朝  初めての山小屋泊りだった鳳凰山薬師岳で迎えた朝の景色に感動.

 それから2年後の5月連休、再び鳳凰山を訪れた時のこと。登山の途中で九州からはるばる来られた堀川さんという方と知り合った。この方は星空の撮影にはかなり詳しく、後にメールや葉書で星空の写真を送っていただいたのだが、それは驚くような星が輝く写真の数々だった。鳳凰山で眺めた星空を思い出し、自分でもそういう風景を撮ってみたいと思うようになった。撮影の仕方など詳細に聞き、何度も試したが、全く人に見せられるようなものは撮れなかった。ひとつはピント合わせの難しさ、ファインダーから覗き見る星空は暗くて、とてもピントなど合わせられるものではない。もうひとつはカメラのノイズ低減機能がいまひとつだったことがある。

    堀川さん(右)と山本さん(左).星空撮影のきっかけとなった出会い.鳳凰山地蔵岳にて.


    残月と茜色の白根三山  地蔵岳で迎えた朝の風景.

 そんな中で、偶然1枚だけうまく撮れた写真があった。笊ヶ岳山頂から撮影した月と金星が富士山の上で接近している「聖夜」と名付けた1枚である。今にしてみれば、絞りもシャッタースピードもいまひとつなのだが、ピントが上手くあったため、予想外の美しい写真になった。この1枚をきっかけに、星空の撮影に本格的にのめり込むようになる。カメラを1ランク上のものに変え、ライブビュー機能という星空撮影にはこのうえなく便利な機能を利用してピントがうまく合わせられるようになった。そしてもう1人、重要な人物との出会いがあった。オーロラと星空の撮影においては日本屈指の写真家、牛山俊男さんとの出会いだ。かほり屋というレストランで毎月スライドショーと講演会をされており、会の終了後にレンズやカメラの性能、Iso感度、シャッタースピードなど様々な点で御教示いただき、撮影技術は飛躍的に上達した。

    聖夜  笊ヶ岳山頂から捉えた月と金星


    笊ヶ岳山頂の朝

 山梨百名山を1年半で踏破したことが大きな助けになって、一度歩いているコースは危険な岩場や鎖場が無ければ夜間でも歩けるようになっていた。そこで、2年くらい前から午後出発、山頂に夜到着するという常識外れの登山を行いつつ、星空の撮影に熱中した。オリオン座とさそり座くらいしか知らなかった星座のことも勉強して、様々な星座と星、そして季節によって何時ごろにどの方角に星座が昇っているかもわかるようになってきた。満天の星空の下、1人で空を見上げながら過ごす夜は、宇宙と自然の中に溶け込んだような気持ちに浸れる至福のひと時である。霧におおわれて何も見えなかった夜もあれば、-20℃の寒気で軽い凍傷になったこともあった。徹夜で撮影に没頭して、ヘトヘトで下山してきたこともあった。それでもなお、山の上から見る星空は私の心を引き付けて止まない。

    北岳に南中する冬の大三角形  平成20年12月 栗沢山にて


    めぐり逢う月と星たち  平成20年12月 杓子山にて


    妖艶の森,丹沢ブナ林  平成21年3月 丹沢菰釣山にて

 そうして撮影した山と星と月の写真は、ようやく人に見せられるくらいのレベルに達し、作品も約30点に至った。昨年9月の甲府市医師会文化祭に3点出展させていただき、さらに今年6月1日から28日まで甲府市徳行のアウトドアショップエルクの展示場をお借りして、23点の作品を展示した写真展を行なった。大盛況、とは言わないが、そこそこの来場者を迎えることができた。とはいっても、まだまだ未熟、素晴らしい星空に出会っても思うように写ってくれないのが夜の風景である。上手く写らないからさらに工夫して技術を磨くのが写真撮影の楽しさでもある。ただいま山と星空に夢中。

 好評の『月と星の奏でる夜の風景』写真展は28日(日曜日)で終了とさせていただきます.山梨日日新聞に掲載していただいたこともあり,たくさんの方々にお越しいただき感謝の限りです.お花をいただいた皆様,ありがとうございました.
コメント (7)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

難峰(?)、鶏冠山再び  平成21年6月14日

2009年06月25日 | 八ヶ岳・秩父山系
 平成21年6月14日 天候曇り
 
 これで3度目となる鶏冠山。この季節に登るのは、ひとつは日が長くて道迷いした時にリカバーできること、もう一つはアズマシャクナゲが咲いている季節だからだ。山梨百名山残り4座となった植田さんと、もう1人、写真展の最中にエルクで知り合った八巻さんと3人で難峰鶏冠山を目指す。
 4時半甲府出発し、西沢渓谷駐車場を5時45分に出発した。空模様は青空が見えているが、西沢渓谷吊り橋から鶏冠山を見上げると、山頂あたりには真っ白な雲がかかっている。おそらく上は霧の中なのだろう。東沢を3回渡渉して登り口の鶏冠谷出合に向かう。水は冷たいが水量は少なく、いちばん水量の多そうな場所を横切っても膝下だ。6時35分、出合到着。

    西沢渓谷吊り橋から見上げる鶏冠山


    鶏冠谷出合の看板  昨年は木の上の幹に着けられていたと思ったが,今年は下のほうについていた.

 ここで徒渉に使った靴を紐に吊るして干し、登山靴に履き替えていよいよ登りはじめだ。登山道の半分はごく普通の山道、ひたすら登るのみだが、一昨日と昨日の瑞牆山の疲れが残っているのか、足が重く感じて一向にピッチが上がらない。シャクナゲの尾根を登って行くが、登るたびに感じるのは道が良くなっていること、それと同時にシャクナゲの木が減っていることだ。3年前にエルクのツアーで登った時は、中腹のシャクナゲ林は両側から覆いかぶさるようにドームになっていたのだが、今ではすっかり明るい林になってしまっている。

    シャクナゲの道 花はもう終わっている.かつては上から覆いかぶさるようにドームになっていたシャクナゲの道は今はずいぶん木が少なくなって明るい林になってしまっている.

 左側の尾根に登りつき、そこで右に曲がって進むと、岩峰に突き当たる。看板が付けられていて、左に巻いて進むのだが、昨年山口さんと歩いた時はこの先が地すべりを起こしたばかりだったようで、倒れた木の上を枝や根っこにつかまりながら乗り越えて進んだが、驚いたことにすっかり整備されていて苦労して登った急斜面にはロープがつけられていた。登りやすいのは良いのだが、難峰鶏冠山がここまで整備されてしまったのか、と残念な気がした。
 登りつくと、チンネのコルと呼ばれている休憩に適した場所に到着する。時間は9時半、出合から3時間くらいかかっているので、やはりピッチは遅い。順調に行けばお昼前には山頂に到着できる。ここの左手の岩にはクモイコザクラが咲いていた記憶があるので探してみたが、今年は一輪も見つからなかった。ピンクの花がついてはいたが、全てイワカガミだった。

    第一岩峰の上から見る鶏冠山.雲が巻き,わずかに姿を現したのみ.

 この先、急な斜面を登ると、一旦ツガ林の樹林帯に入り、そこを抜けるとルートのややわかりにくいシャクナゲ林に突入。テープがつけられてはいるが、急角度で曲がっている場所があり、見落として真直ぐ進むとその先は道が無くなっている。3度目なので迷うことなく第一岩峰の上に飛び出た。いつものように鶏冠山の写真をここで撮影するのだが、この日の山頂は雲に巻かれてなかなか姿を現さない。20分ほど待ったが、微かに姿を見せただけだった。
 その先の1つ目の岩登りだが、ここにもロープがつけられていて難なく登ることができた。そして2つ目の岩。背丈よりも高い垂直壁に無常に黄色い矢印がつけられていて、そこを登れというサインだ。昨年は簡単に登れたこの岩峰、ところが今年は2度3度と取り付くが、足がうまくかからずに、全く登れる気がしない。昨年はいったい何だったのか?岩の状態を見ても特に変わった様子はないが、今年はダメだ。悪戦苦闘しているとその横からリーチの長い植田さんがあっさりと岩の上に登りつく。下からザイルを投げて岩峰に残置してあったスリングにザイルを固定してもらい、そのザイルに頼って岩を越えた。(登れなかったことに若干ショックを覚える。)第3岩峰は看板通りに巻き道を行き山頂には11時半に到着した。

    山頂で記念撮影.植田さんの3本指は残り3座という意味.


    山頂に咲いていたミツバツツジ.うっすらと見える向うの山は石塔尾根.

 この日は雲に巻かれて眺望には全く恵まれなかった。昼食をとり、恒例の記念撮影。これで植田さんは残り3座となったが、その中には5月連休で登れなかった笊ヶ岳と、ロングコースの笹山(黒河内岳)が残っている。ただし、笹山は最近奈良田から直登するダイレクト尾根が切り開かれ、1泊で(健脚者ならば日帰りで)行けるようになった。年内制覇にリーチである。

    山頂付近のアズマシャクナゲ.もう花期は過ぎている.


    第三岩峰巻き道にあったイワカガミ.こんな大きな株は珍しい.


    ギンリョウソウ  登山道下部にたくさん咲いて(?)いた・

 あとはひたすら下るのみ。12時から下山開始し、鶏冠谷出合に14時45分に到着した。鶏冠山は入山者がずいぶん増えたようで、コースが整備されたのは良いことなのか悪いことなのか?私の意見としてはこの山はロープなど付けず、できるだけコース整備せずに難峰のままでいて欲しいと思う。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

シャクナゲ咲く瑞牆山一夜  平成21年6月13‐14日

2009年06月19日 | 八ヶ岳・秩父山系
 平成21年6月13‐14日  天候晴れ時々曇り

 4月下旬以降、ほとんど星の輝く空にならない天候、しかも週末になると天気が悪い。かつ、6月というのに30℃近くまで気温が上昇し、雷が鳴るというこの異常な天候。望みは薄いのだが、なんとか雨は降らずに済みそうなので、久々にツエルト持って山頂泊まり、瑞牆山に出かけてみた。アズマシャクナゲも期待できるだろう。
 午後から出発し、瑞牆山荘駐車場に午後2時到着、準備して2時20分に出発した。登山道に入って10分くらいのところで、左手の窪地に赤い花の群落が目に付いた。踏み跡を辿って降りてみると、真赤なクリンソウの群落だった。数年前に富士見平小屋あたりに数輪咲いているのを見たが、こんな群落があるのには気がつかなかった。ちょうど見頃だった。

    新緑の森を行く


    クリンソウ群落


    天鳥川手前のシャクナゲと瑞牆山

 上の林道を横切り、ちょっと寄り道したが富士見平に1時間ほどで到着。小屋前のレンゲツツジは5~7分咲きといったところ。夕食と朝食分の水を1.5リットルほど汲んで瑞牆山山頂へ向かう。金曜日の午後だが、登山客はたくさんおり、続々と下山してくる。天鳥川を過ぎたあたりですれ違う人たちは皆、これから登るのか?という表情をしているので、本日山頂泊まりであることを告げながら登る。4時半ごろ、中腹で最後の若いカップルとすれ違った後は、もう山の中は誰もいない。登山道を右へ左へ、小道があるとちょっと立ち寄ってその先を探りながら歩く。山頂直下、不動の滝側のルートを分ける直前に左側に行けそうな道(らしきもに)があったので、そこを進んでみると、左側の岩峰をぐるりと半周巻いて山頂隣の岩峰直下に飛び出た。そこにはテントが3張くらい張れる平らで眺望抜群の場所があり、周囲には満開のシャクナゲが咲いていた。雲が晴れ始め、富士山が見えるようになってきた。このまま夜11時まで空が晴れてくれれば・・・金峰山と富士山の間で尻尾を巻くさそり座が見られるはず。瑞牆山山頂の岩肌と金峰山を少しだけ赤く染めながら、夕陽は八ヶ岳の向うに沈んでいった。

    大ヤスリ岩


    夕陽の瑞牆山と金峰山


    金峰山と富士山  この間に夜10時ごろさそり座が尻尾を巻くはず.


    夕暮れ時は雲が飛んで富士山も見え始めた・

 さて、山頂に移動してツエルトを張り、しだいに暮れて星が輝き出す空を仰ぎながら、山頂方位板のところで夕食をとる。この頃は風が無くて穏やかな山頂だったが、8時を過ぎた頃からしだいに雲が増えてきた。さそり座が昇ってきてはいるが、天の川は全く確認できない。9時過ぎ、写真を撮ってみると、既に富士山は雲の中に隠れてしまっていて、裾野がわずかに確認できるのみだった。10時半まで空を見上げていたが、全く雲が晴れる気配なく、さらに風がしだいに強くなってきた。これは星空撮影はもう無理と判断し、ツエルトに入り込んで寝ることにした。

    八ヶ岳に沈む夕陽


    霞む空と雲隠れした富士山


    富士山は裾野がようやく確認できるのみ・残念.


    山頂の標識と春の大三角形(といっても星の写り方は悪いです)

 ところが、夜が深まるにつれてますます風が強さを増し、ツエルトは風でバサバサと揺れ始める。その揺れたツエルトが頬や頭に当たってとても寝付けるものではない。シュラフカバーを頭の上まで被って横になったが、少しウトウトしただけでそのまま朝を迎えることになる。(もう夏の陽気なので持って行ったのはウォームアップシーツという薄いシーツとシュラフカバーのみ、シュラフは持って行かず。)

    小川山の横から昇る朝日


    アズマシャクナゲと山頂隣の岩峰  山頂への別ルート発見.

 朝4時にはもう空は明るくなる。4時半ツエルトから出て景色を見るが、雲と霞の多い天候で富士山や南アルプス、八ヶ岳は見えず、金峰山や小川山も霞んでいる。パンで軽い朝食をとり、ツエルト撤収、6時前には下山開始するが、その頃にもう山頂まで登って来た若者がいた。朝4時前に駐車場出発したらしいが、それにしても早い。先に私が下山開始したが、下山しながら花の調査や現在使われていない大ヤスリ岩根元を通るルート(カンマンボロン岩から登るとここに到着するらしいが、まだ歩いたことがない)を調査している間に追い抜かれたようだ。下山して行くと、続々と登山客にすれ違う。そのたびに「もう登って来たんですか?」と聞かれる。カモメランの在処の情報を得ていたので、花の咲いている周辺からさらにずっとその下まで調査し、駐車場に到着したのは10時ごろだった。既に駐車場は満車で路上に止めてある車も多数見かけられた。
 もう梅雨入りになってしまい、ますます晴れた夜空を見ることは難しくなってしまった。このまま秋まで星空は見られずに終わってしまうのでは?と心配になる今日この頃である。
コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

瑞牆山に咲く花たち  平成21年6月12-13日

2009年06月18日 | 八ヶ岳・秩父山系
 平成21年6月12-13日 天候晴れ時々曇り

 瑞牆山山頂にツエルトを張り、星空の撮影を試みたが、夕方は見えていた富士山が8時過ぎには姿を消してしまい、撮影は見事に失敗した。しかし、今回の目的は星空だけではない。もうひとつ、花の調査という目的があった。一応は所属する山岳会の仕事なのではあるのだが、調査依頼書を見ていないので果たして役に立つのかどうか???絶滅危惧種を中心とした稀少植物の定点調査が主眼らしいので、新たに情報を得たカモメランの調査もしてきた。また、現在は使用されていない大ヤスリ岩の根元近くを通過する道(現在はロープが張られて入らないようにされている。4年前に登ったときはそちらの道を歩いた。)も歩いてみた。


 クリンソウ
 瑞牆山荘から歩き始めて十数分のところで、登山道の左側に沼地のように窪んだところがある。そこには真っ赤な花を付けた植物群落が目に付く。クリンソウだ。花の時期には真っ赤な目立つ花がたくさん咲いているので、直ぐに気がつく。踏み跡もついている。


 コミヤマカタバミ
 この季節にはあちらこちらの中・低山でも比較的見かけられる花である。富士見平小屋を過ぎた樹林帯の中から天鳥川あたりにかけて、苔の中からたくさん顔を出して咲いている。



 キバナノコマノツメ
 スミレの仲間で唯一スミレの名がつかないスミレである。ツガ林を抜けて明るくなってきた岩の隙間にたくさん花をつけている。



 イワカガミ
 ピンク色の可愛らしいこの花を見つけると思わず微笑みたくなる。中腹から上の大岩がゴツゴツとしはじめたあたりから、登山道脇にちらほらと見えるようになってくる。ちょうど咲き始めた頃の新鮮な花を楽しむことができた。ロープが張られて現在は使用されていない旧道側にはたくさん咲いていた。 


    山頂隣の岩峰に咲いていたアズマシャクナゲ

    山頂直下のアズマシャクナゲ.ちょうど見ごろ.
 アズマシャクナゲ
 この季節にピンク色の可憐な花を咲かせる。この花を見るために瑞牆山を訪れる人も多く、この季節は瑞牆山が大賑わいする季節でもある。例年より2週間近く開花が早く、既に天鳥川あたりから中腹までは花が終わりかけていた。山頂あたりはちょうど見頃だった。山頂直下の不動滝分岐手前に左に行く細い道があり、そこを進んでみると山頂隣の岩峰に出ることができた。眺望良好、道脇に見事なシャクナゲの花が咲いていた。


    登山道脇で見つけた2輪

    横の岩に咲いていた花をズームレンズで撮影
 クモイコザクラ
 奥秩父と南アルプスの特産種。山頂間近の登山道脇をウロウロと花を探していたら、左手の大きな岩の下に2輪咲いているのを見つけた。さらにその上の岩肌を見ると、ピンクの花が数輪付いている。ズームレンズで捉えると、やはりクモイコザクラだった。葉らしきものは見かけるが、花は少ない。


 ミヤマハンショウヅル
 4年前に登った時に山頂の樹林帯との境目にあるのを見つけた。その株はまだ残っていて花をつけていた。さらに山頂東側の岩の隙間を見ると、ツルというよりも草のように葉を延ばし、数株が花を付けていた。



 カモメラン
 エルクで写真展を行っている際に情報を提供してくださった方がおり、確認に行ってみた。場所は教えられないが,知っている人も多いらしく、新しい踏み跡があった。約7株ほど確認でき,さらに小川の流れに沿って下のほうまで探索してみたところ、かなり下ったところで7株ほど見つけることができた。盛期は過ぎているようだった.


 サンリンソウ
 小川に沿って道無き道を歩いて行くと、周囲一面にに白い可愛らしい花が群生していた。ニリンソウ?あるいはヒメイチゲかと思ったが、茎葉に柄があること、小葉が裂けていることからサンリンソウと判別した。
 その他に目についたのはシロバナノヘビイチゴ,マイヅルソウ(まだ花は咲いていない),ミヤマキンポウゲ,ヤマツツジ,レンゲツツジなどなど.シャクナゲが咲いて山が賑わう時期であり,下山時は大勢の人たちとすれ違った.駐車場は満杯で路上に止めてある車が多数見かけられた.
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

シラネアオイ咲く日光白根山  平成21年6月6日

2009年06月12日 | 番外編
 平成21年6月6日 天候曇り、小雨

 昨年秋の木曽駒ヶ岳以来、約半年ぶりに妻と2人で出かけることになった。行き先はミズバショウ咲く尾瀬。早朝4時には出発の予定だったのだが・・・前日寝たのは2人とも午前1時過ぎ、そんな時間に目を覚ますわけも無く、起きてみれば朝6時半だった。圏央道が早いが、おそらくは関越道で渋滞に巻き込まれるだろう。中央道を長坂インターで下りて、佐久周りで関越に入ることにした。カーナビをセットして7時に出発、しかし何故か2度も道を間違えて、沼田インターに着いたのは既に12時。鳩待峠から山の鼻往復3時間とすると、鳩待峠出発のリミットは1時半までだろう。時間節約のつもりで戸倉スキー場の駐車場まで行ってタクシーをつかまえるつもりだったのだが、そこで待っているタクシーは無く、バスも当分来ない。手前の第一駐車場ならばタクシーがあるらしいが、戻って準備してタクシーに乗ってだと、鳩待峠は2時になってしまう。天候も不順で時々小雨が降る空模様だったので、尾瀬はあきらめて日光方面、金精峠に行ってみることにした。
 来た道を戻って日光方面に進んで行くと、白根温泉があり、そこから曲がりくねった坂を登って行くと大きなスキー場とゴンドラリフトが目に付いた。駐車場に車を止めて見ると、日光白根山スキー場だった。このあたりの山はまだ全く登る予定が無く、地図を持っていないこともあって、こんなところにあるとは全く知らなかった。小雨(霧雨)が降る天候だが、ゴンドラリフトに乗って上まで行ってみることにした。リフト乗り口でシラネアオイがあるかどうか尋ねると、頂上駅のすぐ前が満開らしい。

    


 リフト山頂駅を降りると、駅周辺は広い公園のようになっていて、シラネアオイがたくさん植えられていた。確かに満開、なのだが、このような植えられたものとは想像していなかった。たくさん咲いていて見事なのだが・・・ちょっと興ざめ。ツガザクラも植えられていた。ここから日光白根山までは登り約3時間の行程だが、その他にも遊歩道が整備されていてコースがいくつもある。随所に案内板と森を紹介する掲示板が立てられていて、楽しく散策することができる。いちばん短い45分のコースを妻と2人でゆっくりと散策した。シラビソ原生林の中の緩いコースで、途中にはまだ少し雪が残っていた。見晴らしの良い展望台があり、そこからは日光白根山や皇海山、武尊山などが見えるはずなのだが、この日は全く何も見えなかった。



 ゴンドラリフト駅に戻って高台に行ってみると、天空の湯という足湯が流れていた。解説を見ると温泉ではなくて鉱泉の沸かし湯らしい。4~5人の登山客が気持ち良さそうに足湯につかっていた。ちょっと物足りない気もしたのだが、5時に老神温泉の宿を予約してあるので、ゴンドラリフトを降りて、金精峠まで車で行ってUターンし、温泉宿に向かった。






 このあたりは日光白根山、武尊山、皇海山、至仏山、燧ケ岳、赤城山など、日本百名山がたくさんある場所。しかし、山梨県から往復で10時間近くかかってしまうので、日帰りで行くには効率が悪い。できれば固めて2~3山ずつ、と思うのだが、なかなか日程調整と天候が合わないのが残念だ。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

富士山の展望台、釈迦ヶ岳  平成21年5月24日

2009年06月09日 | 御坂・毛無・天子山系
 平成21年5月24日 天候晴れ

 このブログを見てくださっている方の中には夜空の写真を楽しみにしている方も多いことだろう。4月中旬以降、ほとんど星空の見えるような空気の澄んだ日が無く、ついに5月は1枚も星空を撮影することなく終わってしまった。今回訪れたのは釈迦ヶ岳。ここから見る富士山はほぼ南側に位置し、黒岳から節刀ヶ岳に連なる尾根が河口湖の明りを遮ってくれるため、この季節の天の川とさそり座を観察するには絶好の場所だ。林道を車で登って最短ルートを行けば1時間半ほどで山頂に到着できるという手軽さもあり、天候さえ良ければ平日でも登るつもりで狙っていたのだが、5月はとうとうその機会が訪れなかった。本日も晴れながら雲と霞が多く、星空は全く期待できない。今回はまだ歩いたことの無い裏側の檜峰神社からの道を歩いてみた。

    檜峰神社


    檜峰神社の大杉(ヒノキではなくスギです.)

 御坂から檜峰神社の林道に入ると、いつもは閉じているはずの動物避けの柵が本日は開きっぱなしになっていた。檜峰神社に到着すると既に4~5台の車が停まっており、時間が10時ごろだったこともあってもう下山してきた人もいた。ここはキャンプ場にもなっていて、おいしい水が流れている。神社周辺をひとまわり散策して本日は檜峰神社からではなく、そこから10分ほど下にある釈迦ヶ岳登山道を登ることにした。

    釈迦ヶ岳登山口


    稜線に抜ける

 入り口には登山道を示す道標が立てられていて、4~5台は止められる駐車スペースがある。林道のような大きな道を5分ほど登ると、釈迦ヶ岳の案内板があり、右手の林の中に進んで登山道に入る。道は至って明瞭、途中に石のごろごろしたやや歩きにくい場所もあるが、歩行にはほとんど支障なし。さらに進むと傾斜がきつくなり、そのあたりはトラロープが張られていて道に迷わないように配慮されている。登山口から1時間ほどで釈迦ヶ岳の稜線に到着した。稜線に交わったところに看板があって、そこには、「こちらのルートは急傾斜なので初心者は15分ほど先の登山道を下りるように」というような趣旨の案内が書かれていた。確かに急傾斜だが、時間的にはこちらのほうが遥かに早そうだ。

    途中の岩場から見上げる釈迦ヶ岳


    ロープのつけられた岩場

 尾根を左に進んで釈迦ヶ岳山頂に向かう。途中に太いロープが取り付けられた岩場があるが、雨で滑らなければロープに頼らずに登れる。このあたりの岩場の上は眺望の良い場所がたくさんあって、南側の富士山だけでなく、北側の甲府盆地から八ヶ岳方面、さらに西側の南アルプスの眺望がすばらしい。間近に迫る釈迦ヶ岳の新緑と岩肌も良い。ヤマツツジは咲き始めたところだったが、ミツバツツジはもう終焉を迎えていて、花が散ってしまっている木が多かった。あちらこちらの岩の上に登って眺望を楽しみながら12時ごろに山頂到着した。

    ミツバツツジと富士山  ミツバツツジは大部分散ってしまっていた.

 既に15人ほどの人たちが山頂で休憩していた。今回で3回目となる釈迦ヶ岳だが、ずいぶんと違和感を持つ。かつて北側(甲府盆地側)は木が立っていて見えなかったはずなのだが、全て切り倒されていて展望が得られるようになっていた。切り口がまだ新しく、切り倒された木々がまだ横たわっているところを見るとおそらく今年になってから切られたものだろう。展望が良いのは悪いことではないが、しかし自然を楽しみに来ているのに山頂の木々を切り倒してしまうのはいかがなものか?私はできるだけ自然のままにしておいてもらったほうが好きだ。ちょっとがっかりさせられた釈迦ヶ岳山頂だった。

    釈迦ヶ岳山頂の夫婦地蔵  富士山は雲隠れ,ヤマツツジは咲き始め.


    隣のピークから見上げる釈迦ヶ岳と新緑

 登りついた時には富士山が見えていたのだが、山頂で休んでいる人たちと情報交換していると、気がつけば富士山は雲の中に姿を消していた。1時間以上も山頂で休み、一応写真を撮って下山開始。今度は看板に従って初心者に勧めるルートを歩いてみた。看板には15分と書かれてはいるが、コブを1つか2つ越えるので下山の分岐点までずいぶん長く感じた。こちらの道も急勾配ではあるが、道はジグザグにつけられていて石のゴロゴロしている場所はない。ただ、やはりルートが長くて時間がかかる。だが、その分登りに使うのならば楽なルートだろう。
 今回はルートの調査と軽いトレーニング目的で訪れた釈迦ヶ岳だったが、いつかはこの山頂から富士山の上に流れる夏の天の川をお見せしたいと思っている。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『月光星の奏でる夜の風景』写真展,いよいよ始まりました

2009年06月01日 | 番外編
 平成21年6月1日よりアウトドアショップエルク2階展示場で写真展が始まりました.昨日閉店間際に全23点を展示してきました.
 今回最も苦労したのは写真の解説図.星空を見ても何の星が写っているのかわからないと楽しみが半減してしまいます.photoshopで画像を細工して,星空と山の解説図を加えてみました.


    星空を見上げる地蔵仏たち  平成20年9月7日 鳳凰山地蔵岳


    星空を見上げる地蔵仏たち 解説図

 週末になると天候が不順となり、3週間ぶりの入山となりました。1泊2日の山行予定ですが、天気予報では1日目70%、2日目30%の降水確率でした。午前10時45分ごろ、御座石鉱泉から登り始め、遠雷が鳴ったもののなんとか雨に降られずに鳳凰小屋に到着。予報が変わり、その日の晩に天候が回復して思いもよらぬ星空に出会うことができました。小屋を未明12時半に出発、地蔵岳に到着した午前2時ごろにはもうオリオン座が東の空から昇ってきていました。賽の河原では昇るオリオン座と冬の大三角形を見上げて楽しんでいるかのように、地蔵仏たちが佇んでいました。


    月光の前穂高岳とシリウス  平成20年10月13日 北穂高岳


    月光の前穂高岳とシリウス 解説図

 涸沢から北穂高岳までは通常ならば3時間程度で行ける行程ですが、前日の疲れと寝不足、さらにカメラ機材とテント等の重い荷物を背負っての登山だったため、4時間半の時間を費やしてようやく北穂高岳テント場に到着しました。一眠りして十二夜の月が西に傾く未明2時に起床してテントの外に出てみると、オリオン座が高く昇り、それにつられてて冬の空でひときわ明るいおおいぬ座シリウスが昇っていました。月光を浴びる前穂高岳の竜の背が怪しく光り、雲海の彼方には富士山が浮かびます。秋の夜の山の上から見る至福の風景でした。


    駿河湾の明り  平成20年2月16日 毛無山


    駿河湾の明り 解説図

 極寒の2月、毛無山にテントを張り、一夜を過ごしました。狙っていたのは翌朝のダイヤモンド富士です。この年は雪が多く、山頂の稜線は50cm以上の積雪。山梨百名山の標柱が立つピークから先はあまり歩かれておらず、膝上までの雪を踏んでその先にテントを張りました。十三夜くらいの明るい月が空にあり、富士山が白く浮かび上がって見えます。通常ならば星はほとんど写ってくれない状況なのでしょうが、この日は空気が澄んでいたこと、そして、富士山にかかった雲が駿河湾の明かりを遮ってくれたことで、空に輝く星も写し込むことができました。肝心のダイヤモンド富士は・・・レンズが凍りつき、失敗。


    流星一閃  平成20年12月12日 飯盛山


    流星一閃 解説図

 清里と野辺山の境にある飯盛山は、簡単に登れる割には眺望が良く、特に八ヶ岳の眺望は抜群の山です。この日は夕方昇ってくる満月をライティングに利用して、八ヶ岳とそこに沈んで行く夏の大三角形を撮影しようと出かけました。ところが、あまりにも明る過ぎた月のため、星はうっすらとしか写ってくれません。南アルプス側を見ると、明るい金星と木星が接近し、西の空に傾いているところでした。この2つの明るい星ならば十分に写ってくれます。頻繁に行き交う飛行機の明かりをできるだけ避けつつシャッターを切っていると、金星の上を流星が横切って行きました。狙っていたわけではなく、偶然撮影できた1枚です。

 このように,景色と星の解説図をつけることで,一層お楽しみいただけるかと思います.「酷評ノート」という落書き帳が置いてありますので,ご批判,ご意見,ご感想など,何でも書き込んでいただけると幸いです.お近くにお越しの際は是非お立ち寄りください.   平成21年6月1日 吉野

コメント (11)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする