山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

大岩山から甲斐駒ケ岳へ、日向八丁尾根  平成21年9月20-22日

2009年09月29日 | 南アルプス
 日向八丁尾根(2日目)
 
 9月23日 天候晴れ
 前夜は大岩山の手前、駒薙の林の中にテントを張り、10時まで宴会をしてテントに入った。いつもならちょうど良い酔い加減ですぐに眠ってしまうところなのだが、翌日歩くルートの期待と不安のためか、なかなか寝付けずに夜が更けてゆく。未明3時半、今頃は甲府盆地の上に冬の大三角形が昇ってきている時間だろうが、とにかく眠らなければ、しかし写真も撮りたい・・・そういう葛藤の中で、シュラフにくるまって悶えていた。

    薄明に並ぶ三山  右から甲斐駒ケ岳、鳳凰山、富士山。空に輝くいちばん明るい星はおおいぬ座のシリウス。


    鳳凰山と富士山  今日もよい天気だ。

 朝4時半、結局眠れそうもなかったのでシュラフを片付け、駒薙にカメラを持って出かける。東の空はもう朝焼けが始まっていて、オリオン座と冬の大三角形は遥か頭上高く昇ってしまっていた。時、既に遅しだ。星空の撮影と山歩きを両立させるのはやはり容易なことではない。それにしても甲府盆地の明りは眩しいほどに明るい。風も無く穏やかな朝、水平線を赤く染めてしだいに明け行く空、何度見ても山の上の朝は美しい。6時近くまで駒薙で夜明けの風景を眺め、テントに戻る。

    朝焼けの甲斐駒ケ岳


    本日歩く日向八丁尾根。いちばん右が大岩山、左の尖っているのが烏帽子岳、尾根の向こうのギザギザしているのが鋸岳。

 小池さんと深沢さんはもう朝食を終え、テント撤収しているところだった。私もパンを食べて急いで自分のテントを撤収する。6時20分、いよいよハイライト、日向八丁尾根に向けて出発だ。一旦急斜面をコルに下りて登り返すと、40分ほどで林の中に南面(甲斐駒ケ岳側)の眺望がわずかに得られる大岩山に到着した。

    大岩山山頂


    いよいよ大岩山からの下降が始まる。降りたらもう戻って来られない。行くしかない。

 問題はその先だ。大岩山の先にある小ピークまではほぼ明瞭な道があるが、その先の切り立った斜面に道らしきものはない。いよいよ大岩山からの急下降が始まる。右手(北側)に回り込んだほうが斜面が緩くて降り易いと聞いていたので、先端から少し戻ったところで下降を始める。木は生えてはいるがほとんど崖のような急斜面だ。ザイルを木の根元にひっかけながら慎重に下る。4~5回ザイルを出し、最後の急斜面はさらに傾斜が強く、垂直懸垂下降に近い形になるため、先にザックをザイルで下ろし、空身でザイルにぶら下がりながら下りた。斜面を水平にトラバースし、日向八丁尾根の基部に到着、大岩山からの下降に1時間10分かかった。

    日向八丁尾根の取り付きから大岩山の斜面を振り返る。露出した岩の向こう側を下降したが、手前側は傾斜がきつくて厳しそうだった。向こう側で正解だったと思う。

 一休みして日向八丁尾根に取り付く。以外にも尾根には明瞭な道がついていた。ところどころテープも絡み付いている。ところどころ道は途絶え、シャクナゲやツガの若木のヤブコギを強いられるところもあるのだが、予想外に良い道だった。しかし・・・烏帽子岳まで標高差であと300mほどのあたりでハイマツが現れ始めた。道はハイマツの下に隠れてしまっているようで、背丈以上もあるハイマツを踏み分けながら進むようになる。体力を消耗し、ヘトヘトになってハイマツを越えると一旦は普通の登山道になった。しかしそれも長くは続かず、烏帽子岳手前のコブで再びヤブコギとなる。しかも今度はかなりの急斜面だ。体力も技術も劣る私は、2人よりも遥かに遅れて薮をかき分けて進む。30mほど先で「おーい」と呼ぶ声が聞こえるので、そこを目指して突き進むしかない。急斜面の途中に古い針金が2本通っている場所があり、おそらく林業作業か何かの古い道がここにあったのだろう。今はただのヤブコギ道になってしまっている。やがて展望の良い岩の上にたどり着いた。

    背丈よりも高いハイマツの薮が出現。烏帽子岳は向こうに見えるコブの先だ。


    鋸岳が目の前に迫る


    眺望の良い岩の上に飛び出す。眼下には甲斐駒ケ岳から延びる深い谷が見える。

 水平よりやや低い高さに暴れ出した雲海が広がり、彼方に八ヶ岳や奥秩父山塊が時折姿を現す。足元には深く切れ込んだ谷が見える。ずいぶんと来たものだ、と思うのはまだ早い。烏帽子岳はもう一つ上のコブを越えないと見えてこない。巻き道があると聞いていたので、水平方向に進み道を探すがそれらしいものは見つからない。結局隣の小尾根から烏帽子岳の北側斜面を直登することになってしまう。ここは背丈を越えるツガの若木がびっしりと生えていて、足元も良く見えないようなヤブコギになる。しかも見上げるような急斜面だ。左に登ろうとしたらツガの大木が横たわり越えられず、右に回りこんで越える。ほとんど体力は尽き果てた、しかし烏帽子岳の山頂はまだ見上げる遥か彼方だ。遂にここで力尽きるのか!?そんな気さえした大変な登りだった。

    烏帽子岳の巻き道・・・? ではなくてただの獣道だった。


    着いた!! 烏帽子岳山頂だ。尾根の上には明瞭な道がついていた。

 ツガのヤブコギが終わるあたりで小池さんと深沢さんが待っていてくれた。足を引っ張ってしまって申し訳ない。しかし、こっちも必死なのだ。呼吸が整うまで15分ほど休ませてもらって、再び出発、足がだいぶ疲れたが、なんとか踏ん張れそうだ。そしてようやく烏帽子岳に到着、時間は13時10分だった。日向八丁尾根の取り付きが8時半だったから、4時間40分かかって尾根を抜け出たことになる。烏帽子の尾根上には真直ぐに続く道がついており、おそらくは巻き道を探らずに尾根を直登していればこの道に出たのかもしれない。とにかくヘトヘトだ。深沢さんが差し出してくれた黒砂糖を舐める元気もないほどに息が上がってしまった。眼前に格好良い三角錐を描く甲斐駒ケ岳の絶景があるのに、三脚を立てる力が出ない。

    甲斐駒ケ岳をバックに3人で記念撮影

 10分ほど休んでようやく動けるようになってきた。改めて見上げる甲斐駒ケ岳の姿が凄い。肩のところを滝のように雲が流れ落ちて行く。三脚を立てて3人で記念撮影し、またへたりこんで座る。折角の景色だったのに休んでいるうちに甲斐駒ケ岳は雲におおわれてしまった。水分と軽食を補給して三つ頭に向って出発する。もう目の前に三つ頭が見える。ここから先は踏み跡のしっかりした道だ。いったん下ってまた緩く登り返すが、登り始めのところで登山道を横断する細い踏み跡があった。おそらくこれが見つけられなかった烏帽子岳の巻き道だったのだろう。いずれにせよ、なんとか登りつくことができた。

    六合石室  修理されてきれいな小屋になっている。


    甲斐駒ケ岳と木星  思いもよらぬ星空が出迎えてくれた。

 三つ頭を越えて、小コブをいくつか越えて6合石室に15時15分に到着した。石室はボロボロの岩小屋と思っていたのだが、修理されたようで新しい屋根がついていた。中に入ると3~4人用のテントが一張と、横たわって寝ている若者が1人いた。10人は軽く寝れそうな立派な小屋だった。ここで寝ることもできたのだが、山の中に来たのだから山が見えるところで寝たい。今は曇っているが、ひょっとしたら星空も見られるかもしれない。私は即座にテント泊りを決めて、道を戻って白砂の広場に行き、ザックを降ろして水を汲みに行く。水場は白砂のところから仙丈ケ岳側の斜面を10分ほど降りたところにある。この道は現在通行禁止になっている赤河原への道らしい。水を汲んだ後の登り返しがきつく、途中2回休んで白砂のテント場に戻ると、小池さんと深沢さんがテントを張っているところだった。小屋の中は酒を飲んで宴会するような雰囲気ではなかったようで、こちらに移動してきたのだ。小池さんたちのテントの中で本日無事に日向八丁尾根を通過できたことを祝ってビールで乾杯する。私がここまで来られたのはまさに2人のおかげである。感謝でいっぱいだ。夕食をとりながら、ビール3分の1とウィスキー1杯飲んだあたりで、昨日の寝不足と本日の疲れが一気に出てきたようで睡魔が襲ってきた。午後6時、あたりが薄暗くなってきたところで本日は早々に自分のテントに戻って寝させてもらうことにした。

    仙丈ケ岳と天の川  流星が天の川の中を流れる。


    テントと星空  空に輝くのはアルクトゥールス、山は鋸岳。


    空架ける天の川  久しぶりに見るきれいな天の川だ。

 新しい下着に着替えて寝る準備をしていると、外で小池さんが「月が出ているぞー」と呼んでいる。夕方6時半、曇っていた空はうそのように晴れ上がり、仙丈ケ岳の左裾に三日月が沈んで行くところだった。甲斐駒ケ岳の上には木星も輝き始めている。思いもよらぬご褒美が山の上で待っていた。静かに暮れ行く空、そしてしだいに光り輝いてゆく星々、久しぶりに見る済んだ星空を感動しながら見上げる。夜7時になると天の川がはっきりと見え出した。そして昨日見逃したさそり座が横たわり、仙丈ケ岳の上に沈んで行く。頭の上には夏の大三角形が輝き、それを貫くように天の川が流れ、さらに北の空にはカシオペア座、さらに北極星を挟んで北斗七星が輝いている。一晩中見ていても飽きない空なのだが、さすがに疲れたので、さそり座が沈む8時まで空を眺め、テントに戻って寝た。
明日は甲斐駒ケ岳に登り、黒戸尾根を歩いて竹宇駒ケ岳神社の駐車場に戻るだけだ。長いルートだが時間は十分にある。横になったと思ったらあっという間に眠りについてしまった。
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大岩山から甲斐駒ケ岳へ 日向八丁尾根1日目  平成21年9月20日

2009年09月28日 | 南アルプス
 平成21年9月20日 天候晴れ

大岩山から甲斐駒ケ岳へ、日向八丁尾根 1日目  平成21年9月20日 天候晴れ

 9月のシルバーウィーク、皆様はいかが過ごされたでしょうか?私は当初荒川三山を予定していたのですが、所属する山岳会嶺朋クラブで、滅多に歩くことのない日向八丁尾根というところをを歩くというので同行させてもらいました。この尾根は日向山から鞍掛山の横を過ぎて大岩山に登り、そこから急下降して甲斐駒ケ岳の鋸岳側尾根にある三つ頭という山に抜ける尾根です。最近は歩く人が増えてきてはいるようですが、基本的にはルートのない薮尾根です。この機会を逃すともう二度と歩く機会が無さそうなので、メンバーの足を引っ張ってしまうのが目に見えていたのですが参加させてもらいました。

 1日目 天候晴れ
 7時45分に甲斐駒ケ岳黒戸尾根の登り口、竹宇駒ケ岳神社駐車場集合だったが、想定外に時間がかかり10分遅れて到着した。私を含めて4人で行く予定だったが、1人は都合により行けなくなり、小池、深沢、吉野の3人のメンバーで行くことになる。小池さんの車に乗り込んで日向山登山口の矢立石に移動し、8時半、錦滝に向って林道を歩き始める。小池さんはキノコ博士(自称)で、途中にヌメリスギタケモドキというキノコが生えており、採りながら行く。錦滝から日向山に登る道は急登で、急傾斜の階段やロープ設置箇所がある。雁ヶ原の手前で鞍掛山方面に行くトラバース道(取り付き口がわかりにくい)があり、そのあたりで今度はブナハリタケというキノコを採る。これで晩飯のキノコ食材は十分、マツタケが見つけられれば最高なのだが・・・。

    錦滝の横から登る


    トラバース道。細い踏み跡が続く。

 トラバース道と日向山からの尾根が交わる先は傾斜がきつくなってくる。4月にもこの道を歩いているが、昭文社地図では点線のルートになっているものの、道はしっかりとしていてテープもつけられている。ペースの遅い私は2人に先に行ってもらい、2人は鞍掛山に立ち寄ってくるというので分岐の駒岩で待ち合わせということにした。この日は快晴に近い良い天気で、登りながら振り返って見る日向山雁ヶ原が真白に光って見える。さらにその左手に八ヶ岳がくっきりと見える。三脚を立てて写真を撮りながら、ゆっくりと登る。

    日向山雁ヶ原を下に見て鞍掛山方向に登る。左に見えるのは八ヶ岳。


    途中の美しいツガ林

 急登を登りつくとそこには美しいツガの原生林が広がっている。さらに進むと、一旦シャクナゲ混じりの薮っぽい道になるが、林が切れると鞍掛山の上に聳え立つ甲斐駒ケ岳が見えてくる。その左手には鳳凰山、さらに左に富士山の姿が見え始める。あまり人が入らない山域と思いきや、最近は人気が出てきたようで7~8人の登山者とすれ違った。そのうちの1人は大岩山までピストンしてきた人だった。
13時10分、駒岩に到着。先行した2人はザックを置いて鞍掛山に出発した後だった。マツタケでも無いかと林の中をウロウロしながら待つこと45分、2人が戻ってきた。かなりの急傾斜を登るらしいが、展望台まで片道40分のところを30分弱で行き、往復1時間かからずに戻ってきた。さすがに息が切れていた。

    駒薙から見る甲斐駒ケ岳、鳳凰山、富士山。三山が並ぶこの景色は見事。

 休憩して息が整ったところで大岩山に向かって出発する。駒岩から少し下り、再び登り返して千段刈というなだらかな尾根を行く。木々におおわれていて眺望はいまひとつだが、時折木々の切れ間から見える甲斐駒ケ岳の姿は、深い谷から立ち上がる秀逸な姿を見せてくれる。15時40分、大岩山の手前、駒薙に到着する。駒薙は登山道から外れているので、場所を知らないと立ち寄りにくい。2人を案内して駒薙の眺望を楽しむ。甲斐駒ケ岳、鳳凰山、そして富士山の3山が並ぶその景色はおそらくここでしか見ることができない絶景だろう。予定では大岩山山頂で幕営だったのだが、木々におおわれた大岩山は展望が悪く、写真撮影の目的でわがままを言わせてもらい、本日は駒薙の林の中でテント泊となった。
ビールで乾杯、採ったヌメリスギタケモドキでキノコソバをつくる。シャリッとした歯ごたえ、山のキノコの臭いがプーンとする。ブナハリタケはレトルトカレーのスープにしたが、こちらは臭いが強すぎてカレーの味が負けてしまっていた。しかし、良く煮込んでから食べるとカレーのスープにキノコの香りが広がり、おいしくいただくことができた。ビール、日本酒、ウィスキー、いつもの山の中での宴会が続く。

    甲斐駒ケ岳と天の川、そして木星


    甲府盆地の夜景と鳳凰山・富士山

 夜8時頃、甲斐駒ケ岳の上に天の川が登ってきているはずなので、駒薙にカメラを持ってふらりと出かける。ところが、酔っ払っていて方向感覚がいまひとつ、駒薙方向に向ったつもりがその先は樹林帯の急下り、小池さんが「そっちじゃねーぞ」と怒鳴っている。方向を変えて歩いて行くと・・・テントに戻ってしまった。出直してようやく駒薙に到着、見上げる星空は久しぶりに見る満天の星空だ。頭の上に輝く夏の大三角形とそれを貫く天の川が白い帯となって空を流れている。甲斐駒ケ岳の上にはひときわ明るい木星が輝く。しかし思ったより早く星が昇っていて、さそり座はもう南西の空に沈み、天の川の中心部(いちばん明るい部分)は鋸岳の上に沈み始めてしまっていた。時間は8時半、ここから甲斐駒ケ岳とさそり座、天の川中心部を狙うには4月から6月がベストとなるだろう。来年に期待。
 宴会は10時まで続き、明日のことを考えてお開きとなった。さて、距離だけ見るとさほどたいしたことはなさそうに見える日向八丁尾根だが、果たしてどんなものなのか。3人とも未体験ゾーンである。期待と恐怖が入り混じりながら眠りに着く。
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シルバーウィーク足慣らし 大栃山と神座山  平成21年9月19日

2009年09月28日 | 御坂・毛無・天子山系
 平成21年9月19日 天候曇り

 先日の経ヶ岳を歩いた際に2年間履いていた靴が故障し、靴底の張り替えと併せて見積もりを取ってもらった結果、新しく購入するのに近いくらいの料金がかかってしまうことがわかった。もう一足の靴も靴底がすり減っていて危ない山に入れるような状態ではない。新規購入には財布の中が寂しい・・・。残っている靴がもう一足、息子が3年前に買った靴が数回しか履かずに放置されている。サイズは合うのだが、横幅がややきつく感じるのと、靴底の踏み心地が悪い。そこで、靴底を故障した靴のものと交換して踏みならしに出かけた。

    登り口の檜峰神社。現在工事中。

 御坂山塊のどこかを考えていたが、最終的に行き先を決めたのは車に乗ってからだ。本日は天気予報で秋晴れのはずだったのだが、空はどんより曇り空で、富士山はあまり期待できない。展望よりもまだ歩いていないコースを歩きたいと思い、檜峰神社の上、鳶巣(トビス)峠から神座山を経てその先の釈迦ヶ岳に行く途中から檜峰神社に下りるコースを、途中大栃山に立ち寄って歩いてみることにした。

    鳶巣(トビス)峠。右に行けば大栃山、左に行けば神座山。


    大栃山山頂。木々が伸び、葉の生い茂るこの季節は眺望が悪い。

 檜峰神社に車を止めてトビス峠まで神社の横を通って20分ほどで到着する。トビス峠は十字路になっていて、右に行けば大栃山、左に行けば神座山だ。看板にはどちらの山も1時間10分と書かれているが、実際にはそれほどかからず、ゆっくり歩いて1時間とかからずに到着できる。3年ぶりの大栃山山頂はずいぶんと木が伸びて眺望が無くなっていた。山頂のすぐ手前から富士山の写真を撮った記憶があるのだが、今は木々におおわれて山頂をわずかに望むことしかできなくなっていた。

    神座山への広葉樹林帯の登り


    神座山山頂

 小休止してトビス峠を経て反対側の神座山に登る。富士山の展望はこちらの山のほうが優れているが、それよりも端正な三角錐を描く釈迦ヶ岳の姿が目を引く。紅葉が始まってはいるが、まだほんのわずかだ。

    神座山から見る釈迦ヶ岳の三角錐。右奥は御坂山塊最高峰、黒岳。


    神座山から見る富士山


    神座山に生えていたヤハズハハコ

昼食をとって大休憩し、釈迦ヶ岳側に進む。小コブを2~3個越えたあたりで今年5月に釈迦ヶ岳を周遊した時の下山道に着き、その道を檜峰神社に下りた。心配していた靴の履き心地だが、登りでは全く問題なし、しかし下りの時に指先に体重がかかってしまうようで、指先と足先の甲が若干痛くなる。しかしなんとか使えそうだ。明日からいよいよテント2泊で、登山道無き未体験ゾーンを歩く。本日は準備体操だ。
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登る前からトラブル発生、経ヶ岳  平成21年9月13日

2009年09月17日 | 圏外編
 平成21年9月13日 天候晴れ時々曇り

 1泊2日でどこかの日本百名山を予定していたのだが、12日(土)は全国的に雨模様だ。13日、日帰りで行けそうな山へと良さそうなところを探していたところ、ちょうど嶺朋クラブの会報が郵送されてきて(前回・前々回の例会は当直と重なり出席できず)見ると日本二百名山の経ヶ岳が予定されている。標高2296mのさほど高い山ではないが、登り始めの標高が890mなので、標高差1400m、コースタイムで登り約5時間、下り3時間半のロングコースとなる。参加メンバーを見ると・・・とても私がついて行けそうなメンバーではない。ならば先に出発して・・・と思ったのだが、それがトラブルの始まり...。
 集合時間が書いていなかったのだが、おそらくいつものように韮崎市役所4時だろう。となると登り始めは朝6時ごろになる。地図で見るとコースの8合目に眺望の良い場所があるので、そこに7時か8時に到着して朝の風景を撮影しようとすると、逆算して4時ごろに出発すれば良いはず。そこからゆっくりと移動すれば、おそらくは山頂で会のメンバーが追いついてくるはずた。甲府を未明2時前に出発し、登山口の仲仙寺付近に3時半に到着した。地図を見ると4合目付近に延びる林道が続いている。これを行けばもっと早く到着できるか?と色気を出して林道を車で行ってみることにした。権兵衛峠に行く道(途中で崩落しているらしい)を左に分けて、右に行く砂利道の林道を進む。下部は比較的良い道だったが、上に行くに従って草ボウボウの荒れた林道になる。途中で何かを踏んだらしく、後輪がズルッと横すべりした場所があったが、気にせずにどんどん登って行くと、さらに草はボンネットほどの高さになり、遂に通行止めの看板に行き着く。車を止めるに十分なスペースが無く、あきらめて車を回して林道を下り始めた。しかし、何かおかしい。左の後輪がやけにガタガタと振動し、カーブで車体が大きく傾く。草むらの林道が終わった辺りで車を降りてタイヤを見ると・・・見事にパンクしている。ギャジを出してタイヤ交換を試みるが、湿った林道ではギャジが沈んで傾いてしまい、車体が持ち上がらない。今度は雑誌を下に敷いて再度試みるも、やはりダメ。これはもうアスファルトの道まで下りるか、JAFを呼ぶしかない。
 なんとか騙しながら運転し、アスファルトの道まで下りてタイヤを交換した。タイヤは側面が5cmほど裂けていて、ペチャンコの状態、もう使い物にならないだろう。時間はもう5時を回り、あたりは明るくなり始めていた。心が折れて、7割は帰る方向に心が傾いた・・・。が、おそらく今回登らないと二度と登る機会が無くなってしまうであろう経ヶ岳。仲仙寺の駐車場まで車を移動してあたりをブラブラして考えた後、登る決心をする。5時40分、予定より1時間半以上も遅れて出発だ。

    登り口の仲仙寺

 駐車場の横にお寺の地図とコースが書かれた看板があり、真直ぐ上に登って行くと案内板が立てられていて、本堂(おそらく)の右手の道から登山道に入る。少し行くと林道のような大きな道に出くわし、上に向って歩いて行くとそのまま登山道に入る。道は明瞭で、緩い登りや水平な道が4合目あたりまで続く。4合目を越えたあたりから笹におおわれた道になり、場所によっては腰まである笹をかき分けながら進む。前日の雨と朝露で笹が濡れていたため、ズボンの膝から下と靴がだいぶ濡れてしまった。

    4合目.各所に看板が設置されている.中には地元の中学校の看板もある.


    笹原の中を(下を)登山道が通る.


    5合目.カラマツの下の笹原に朝日が射し込む

 5合目で靴を脱いで靴下の水を絞っていると、2人の登山者が追い越していった。それに続いて聞き覚えのある女性の声が聞こえ出す。嶺朋クラブのメンバー3人が追いついてきた。ここから先は会のメンバーと同行する。相変わらず笹の道が続き、傾斜もきつくなってくる。先頭を快調に飛ばす秋山さんに先導されて展望地の8合目に9時20分到着した。本日は秋晴れになるはずだったのだが、振り返って見る南アルプスも、右手の木曽駒ケ岳方面も、左の八ヶ岳も山頂はみな雲におおわれている。しかも入道雲、秋空ではなくて夏の空だ。9合目はまた笹の中の急登り、笹の背丈も高く、腰から肩まで隠れる場所もある。9合目を越えると緩いピークをいくつか越えて最後のややきつい登りを登ってようやく山頂に到着する。時間は10時25分、ちょうど5時間くらいだ。(会のメンバーは私より20分ほど遅れて出発している。)

    8合目の展望の良いピークから南アルプスを望む


    木曾駒ケ岳方面.山頂に雲がかかる.


    8合目から9合目への笹の急登


    経ヶ岳山頂.左から秋山さん,水野さん,池田さん,ヨッシー.

 経ヶ岳山頂は如来像と石碑が立つ静かな山頂だった。南面が一部切り開かれてはいるが、この日は雲が巻きつき眺望は得られず、しかも結構寒い。自分の温度計を見ると気温は9℃だったが、秋山さんの温度計では5℃だった。寒いのでさっさと食事して、11時前には下山開始する。8合目まで下りると青空が見え、体感温度もぐっと暖かく(暑く)なる。振り返って見る経ヶ岳山頂は相変わらず黒味がかった雲におおわれている。長い行程をひたすら下山するが、下りは道が滑りやすく、2~3度スリップして尻餅をついた。足が疲れていたこともあるのだが、2年間履いている登山靴の底がすり減って丸くなっていた。途中できのこに詳しい水野さんに教えてもらいながら、少々きのこを採りながら下山し、順調に3時間、午後2時に仲仙寺到着した。

    9合目から見る南アルプス方面.右下の小ピークが8合目.下山時にはまだ雲がかかっていたが,仲仙寺に下山した頃には雲が晴れてすっきりと見えるようになっていた.

 さほど素晴らしい眺望が得られるわけでもなく、ロングコースの経ヶ岳。日本二百名山ではあるが、地味な山という印象だった。経験豊富な嶺朋クラブの人たちは足も速い。三脚とカメラを置いてゆけばなんとかついて行けるかもしれないが、そんな気が全くない私が一緒に歩くには、日頃のトレーニングと体重を減らす(目標5kg=カメラ機材の重さ)しかない。
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甲府市の広報誌「かわせみ」 平成21年9月12日

2009年09月12日 | 番外編
 職場の健診センターに「月と星の奏でる夜の風景」写真展の写真プラス今までに撮り歩いた山の風景写真を展示していたところ,新聞関係者の方の目に触れたらしく,取材に来て下さいました.本日の甲府市広報誌「かわせみ」の1面に登場させていただきました・





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東北遠征2 雲の上の会津磐梯山  平成21年8月30日

2009年09月04日 | 日本百名山
 平成21年8月30日 天候曇り

 前日西吾妻山から下山後、川上温泉の露天風呂で汗を流し、夕食を済ませ、会津磐梯山で最も人気のある(というか、楽に山頂に行ける)八方台登山口に移動する。到着したのは午後6時半ごろで、そろそろあたりが暗くなってきた頃だった。車が1台止まっていたが中に人はおらず、上の小屋に宿泊しているらしい。明日は早朝出発、できれば日の出を山頂で迎えたい。約2時間の行程なので、出発時間を午前3時半に設定し、7時半にはシュラフをかぶって車の中で寝る。
 携帯電話をうっかり自宅に置き忘れてきてしまって、目覚ましがセットできなかったが、2時半にぱっと目が覚めた。車の外に出ると、新たに2台車が止まっており、私と同じようなことをやっている人がいるようだ。空を見上げると曇り空だが、その隙間から時々星空が透けて見える。どうやら雲は薄いようだ。予定通りに午前3時半、八方台駐車場を出発する。

    中の湯から見上げる夜の会津磐梯山.右の三角錐が磐梯山.


    お花畑と弘法清水分岐あたりから見上げる会津磐梯山

 林道のような広い道を30分ほど歩くと硫黄臭のする中の湯温泉跡地に到着する。池らしきものの先に何か建物が建っているようだが、真っ暗で何も見えない。遥か先に何か尖った山影がうっすらと見えるが、あれが磐梯山山頂なのだろうか?中の湯の先は木道と木のステップがついた歩きやすい道が続く。傾斜がややきつくなったかと思うと、今度は水平に巻くような道になり、夜間真っ暗な中を歩いていると大きなピークの山腹をぐるりと半周くらい回るような錯覚を覚える。そしてまた登りになり、4合目弘法清水直下のお花畑に5時30分に到着した。そろそろ日の出の時間でもうすっかり明るくなっているが、空は雲におおわれて、東の空が少しだけピンク色に染まるだけで日の出は拝めそうにない。山頂での日の出はあきらめる。

    4合目岡部小屋と弘法清水  (帰り際に撮影)


    山頂直下から吾妻連峰を望む

 弘法清水の看板に従って進んでゆくと、岡部小屋という4合目の小屋があり、小屋の前に弘法清水が流れ出ていた。小屋の方にあいさつして、そのまま山頂に向う。ここから先は急登となるが、木の階段が整備されている。中腹からは眼下一面に雲海が広がっており、曇り空ながら昨日登った吾妻山も見ることができた。山頂に6時半、本日一番乗りで到着した。向こう側の猪苗代湖は完全に雲の下、桧原湖も雲におおわれている。向いの櫛ヶ峰は頭の上だけ出してその下を雲が流れて行く、雲の上の世界に飛び出した。思いもよらぬ景色に出会うことができ、1時間近く山頂に居座ってしまう。

    雲海寸光  雲の隙間から一瞬だけ雲海に陽が射し込む.頭を出しているのは櫛ヶ峰.


    この雲の下には大きな猪苗代湖が隠れている.


    雲が飛ぶと,隣の櫛ヶ峰はこんな風景.

 帰りは岡部小屋から右に回ってお花畑を歩いてみると、植生保護のためロープや木の境界が設置され、アキノキリンソウやヤマハハコなどが一面に咲いていた。三脚を立ててあちらこちらで写真を撮り、ここでも30分以上時間を費やしてしまう。下山し始めたのは8時半になってしまった。

    ミヤマアキノキリンソウのお花畑と会津磐梯山


    中の湯跡地.池に溜っているのはお湯・・・ではなくて水でした.熱いお湯が沸き出している場所もあります.

 中腹あたりから続々と登山者がやってくる。中には知的障害者のグループもいた。中の湯の手前で下山中の地元のご老人と一緒になる。いろいろと話を聞きながら下山するが、現在は廃業している中の湯はかつてたくさんの人で賑っていたそうだ。確かに、建物を見ると大きな建物が3棟ほど建っている。道は現在の八方台からの道ではなくて、裏磐梯スキー場のほうから延びていたらしい。現在そちらの道は崩落してしまって通行不能になっている。道が良くなりすぎて日帰りで簡単に行けるようになってしまったので廃業してしまったのか、詳細は不明だが、良い温泉場が使われずに放置されてしまっているのはもったいない気がする。
 9時までには下山して甲府に出発の予定だったのだが、結局八方台の登山口に到着したのは、9時45分になってしまった。高速道路をひた走り、渋滞に巻き込まれることもなく、甲府には午後4時、予定通りに到着できた。片道6時間の車の運転はちょっと辛い。
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東北遠征1 デコ平から西吾妻山へ  平成21年8月29日

2009年09月03日 | 日本百名山
 平成21年8月29日 天候曇り時々雨

 天気予報では前線が南下して関東・甲信越地域は週末雨の予報だ。北に行くほど天気は良さそうなのだが、30日(日)の選挙と回診を考えると午後5時までには甲府に戻りたい。となると、行けそうなのは会津あたりか、高速で行ける蔵王あたりまでだ。28日(金)は夜9時に早々に寝て、未明1時起床、さっそく出発する。
 中央道から圏央道を走り、いったん高速を降りて一般道を通り、加賀インターで東北自動車道に乗りなおして北を目指す。栃木県に入ったところで睡魔に襲われ、サービスエリアに逃げ込んでちょっと車の椅子を倒して横になると・・・気がつけばもう2時間近く時間が過ぎ、あたりは明るくなっていた。時間は5時半、もう陽が昇る。思ったよりも空は晴れている。福島あたりでも天気は持ってくれそうだったので、本日の行き先は西吾妻山に決定。登り口がいくつかあるので、地図を確認し、まずグランデコロープウェイ駅に行き、運行時間が良ければロープウェイを使うことにする。8時に到着すると何人かの人が準備をしていた。案内の看板を見ると本日は8時半から5時まで運行している。ちょうど良い。出発の準備をしていると放送があり、8時20分にはもうゴンドラリフトが動き出した。片道1000円だが、往復で購入すると1500円だ。天気はどんより曇り空に変わり、ロープウェイに乗るとすぐに雲の中に突入、視界がきわめて悪い。天気が持ってくれれば良いのだが、ちょっと心配だ。

    まるで雲の中に入って行くような感じ。グランデコゴンドラリフトから。


    デコ平のヨツバヒヨドリで吸蜜するアサギマダラ。向こうに見えるのはリフト山頂駅。

 15分ほどで標高1480mの山頂駅に到着する。ゴンドラリフトの中にあった解説本によると、7月下旬から8月にかけてこのデコ平周辺にはアサギマダラという蝶が集結し、ヨツバヒヨドリで吸蜜している姿が見られるという。アサギマダラは長距離を移動する蝶で、ここでマークされた蝶が2100kmも離れた与那国島で確認されたという。何故そんな長距離を移動するのかはわかっていない。山頂駅を降りて右に進むと登山道入り口がある。登山道に入るとすぐにヨツバヒヨドリの大群落があり道はその中を這うように登って行く。解説書で見たとおり、アサギマダラが乱舞しているが、なかなか良い場所にとまってくれない。吸蜜風景を撮るためにお花畑の中を行ったり来たり・・・2組のペアに追い抜かれる。

    草モミジの紅葉と西東山  西大巓直下から。


    西大巓山頂。向こうに見える西吾妻山は雲に巻かれる。このあと雨が降り出す。


    オヤマリンドウと山頂付近のお花畑。このあたりは池塔が点在する。


    ウメバチソウ(白い花)とウサギギク?(黄色い花)

 ヨツバヒヨドリの群落を過ぎると今度はツガの林に入る。やや薄暗い林だが、登って行くにつれて木が低くなり、ダケカンバの混じる明るい林になる。一旦平らになってその先は見上げるような急登が待っており、登りつけば西大巓・・・と思いきや甘かった。西大巓のピークはその先だった。直下には西吾妻山を眺望する抜群の場所があり、イワイチョウとバイケイソウの紅葉が見られた。

    吾妻神社


    天狗岩側から見る西吾妻山

 時間は11時、山頂駅から西大巓までに費やした時間は2時間弱だ。小休止後、西吾妻山を目指す。この辺りから西吾妻山山頂にかけてお花畑が広がっており、ウメバチソウやオヤマリンドウなどがたくさん咲いていた。一旦コルに下るが、道は稜線よりもかなり下につけられており、結構下る。途中で雨が降り出し、カッパを着てカメラは一旦ザックの中にしまう。笹原の中の道を登りつくと、木道がついており、ほどなく西吾妻小屋の横に到着する。山頂はここで右に曲がれば良かったのだが、立派な西吾妻小屋に気をとられてそちらの方向ばかり見て歩いていたところ、知らないうちに分岐点を過ぎてしまった。そのまま進んでゆくと山頂からどんどん遠ざかって行き、その先に石を積んだ祠らしきものが見えてきた。行ってみるとそこは吾妻神社だった。休憩中の人に道を聞くと、その先から山頂に行く道があるとのことで、戻るようにして山頂に進む。(梵天岩はもう少し先にある。今回は立ち寄らず。)山頂直下は植生保護のため木道が設置され、地面には藁のむしろが敷かれていた。大切に管理されている様子が伺える。

    西吾妻山直下のお花畑と木道。天狗岩側を振り返る。


    吾妻連峰最高峰、西吾妻山山頂。樹林の中の静かなピーク。

 山頂には12時半に到着した。吾妻連邦最高峰は林の中の地味なピークだった。展望は悪いがここで昼食(本日は松屋の牛丼を持ってきた)をとって休憩する。下ってゆくと木道があり、西吾妻小屋の分岐につながっていた。ついでに小屋を拝見してきたが、2階建ての立派な小屋で50人は宿泊できそうだ。水場はないがトイレがついている。寝具を持ってゆけば快適に眠れそうだ。
 来た道をたどって下山、明日のことを考えて下りもゆっくりと行く。13時小屋を出発し、デコ平山頂駅には15時15分に到着した。相変わらず、ヨツバヒヨドリの周りにはアサギマダラが乱舞していた。

    デコ平のヨツバヒヨドリ群落  小野川湖が右下に見える。

 さて、下山後は川上温泉の露天風呂につかり、体をもみほぐす。熱いお湯が苦手の私にとっては温くてちょうど良い湯だった。明日は会津磐梯山を予定しているが、ちょうど磐梯山に登って来たという人たちとお風呂で一緒になったので状況を聞くと、登りやすい人気の山で、団体客や学校の集団登山などでお昼ごろの山頂は人がいっぱいだったという。混雑を避けて明日は早朝日の出前に登ることにする。おかみさんにラーメン屋を紹介してもらい、喜多方ラーメンを食べた後、会津磐梯山八方台口に向う。この日はシュラフをかぶって車内泊だ。
コメント (4)
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巡礼の山、御嶽山  平成21年8月23日

2009年09月02日 | 日本百名山
 平成21年8月23日 天候晴れ

 7月に所属する山岳会嶺朋クラブで御岳登山があったのだが、時間的都合で参加できず、今回単独で行くことにした。主な登山口が5か所ほどある御嶽山だが、今回選んだのはその中でも最も早く切り開かれた巡礼の道(開かれたのは1,785年)、御嶽ロープウェイを利用しての黒沢口からの道を選んだ。
 朝4時前に甲府出発し、中央道を伊那インターで降り、権兵衛トンネルを通って御岳ロープウェイ鹿ノ瀬駅に7時40分到着した。既にロープウェイを待っている人が10数人ほどいた。本日は8時から運行を始め、最終が17時(通常は9時から16時まで)、普通に行けばゆったりと山頂往復できる時間だ。8時にロープウェイに乗り、7合目の飯森高原駅の展望台に真っ先に行き、ここからだけ見られるという幻の大滝をまず眺める。解説を見ると、この規模の大きな滝では日本最高所のものらしい。

    ロープウェイ鹿ノ瀬駅の花壇から見上げる御嶽山。咲いているのは蕎麦の花。


    御嶽山幻の大滝。この規模の滝では日本最高所の滝。


    植物園の隅にある御嶽社。この裏に道が続いており、そちらに行ったのがそもそもの間違い。

 飯森高原駅の周辺は植物園になっており、紫色の濃いタカネマツムシソウが咲いていた。そのほかの植物園に植えてある花の名前を見てビックリ!テカリキリンソウ?さらにハヤチネウスユキソウまであった。これは盗掘じゃないのか!?と少しばかり腹がムカつく。その先に御嶽社という神社があり、その裏側に道が続いていたので、てっきりそれが登山道だと思って登って行くと・・・ロープの張られた整備された道、しかし途中で二手に分かれていて何かおかしい。もう一つおかしいのは誰も歩いていないし、声も聞えない。なにか変・・・と思いつつ20分ほど登ると、二手に分かれた道が合流してその先は・・・ロープが張られていて行き止まりになっていた。どうやら神社の裏の遊歩道らしい。30分ほど時間をロスしてしまい、登山道入り口の7合目行場山荘を9時15分に通過した。

    御嶽ロープウェイ利用の場合、登山道の入り口とも言える7合目行者山荘。


    8合目女人堂までは巡礼の道らしい木の階段道が続く。


    樹林帯を抜け、女人堂が見えるようになってくる。このあたりから眺望が良くなる。



    歴史ある信仰の山らしい様々な建造物が立っている。

 この先8合目女人堂までは巡礼の道らしい木の階段の道が続く。子供連れの人たちや、巡礼の白装束を纏った人たちなど、たくさんの人たちが登ったり、下りてきたりする。1時間ほどで8合目女人堂に到着、ここで一気に視界が開け、目指す御嶽山山頂や、北側の乗鞍岳・北アルプス、東から南側には八ヶ岳から南アルプス、そして中央アルプスの峰々がずらりと見えるようになる。曇り空ながら、遠くまで見渡すことができた。このあたりには西国開基、刀利天王像、御嶽全山総霊神之碑といった霊山らしい建造物がいくつも立っている。登山道は石のゴツゴツした道に変わるが、踏み固められていて浮石などは少ない。黒岩という溶岩の大岩を過ぎたあたりから傾斜がきつくなり、石室山荘の横を通り過ぎて11時40分ごろに覚明堂に到着した。

    石室山荘直下のオンタデ群落。この花は最初に御嶽山で見つけられたためこの名がある。


    山の斜面を見下げるとハイマツの根が白く露出している。気象の厳しさがうかがえる。

 20分ほど休憩して軽食をとり、山頂に向う。二の池分岐の福仙大菩薩像あたりから山頂を見上げると、昼食時ということもあってたくさんの人でごったがえしているように見える。そこで山頂手前にある鳥居の立つ小ピークに立ち寄り、そこで写真を撮ることにした。こちらはロープの張られた登山道からちょっと外れるので立ち寄る人も無く、人を気にせずに三脚を立てることができる。空は晴れ始め、青空が見え始めた。中央アルプスのその向うに並ぶ南アルプス、さらにその向うに富士山まで見渡すことができた。のんびりしすぎて、時間は午後1時近くになってしまった。

    二の池分岐、福仙大菩薩像から見上げる御嶽山山頂(左側の建物が立つピーク)。


    山頂手前の鳥居が立つ小ピークから見る中央アルプス方面の眺望。南アルプス塩見岳の横に富士山が立っているのが見える。


    一の池と秋の空。3000mの山の上はもう肌寒い。


    二の池と乗鞍岳。その向こうには左に笠ヶ岳、右に槍・穂高が見える。

 山頂直下の立派な階段を登ると、山頂は予想通りたくさんの人たちが記念撮影をしたり、昼食をとったりしていた。ここは記念撮影だけさせてもらってさっさと退却し、二の池に下りる。ここで時間は1時半、三の池を回るとなると、トラバース道を使ったとして三の池からロープウェイ駅までは少なくとも2時間は見ておかないといけない。地図で確認すると、二の池から三の池までは約1時間、休憩時間を入れると、5時ギリギリといったところだろうか。急げばなんとか・・・と三の池を回ることにしたのだが、ここでまた道を間違えて真直ぐに二の池新館方向に行けば良いものを御嶽お鉢巡りコースに入ってしまったため、10分ほど時間をロスしてしまう。

    この立派な階段を上ると御嶽山山頂。


    御嶽山山頂。たくさんの人がくつろいでいた。


    ちょっとだけ記念撮影させてもらう。


    二の池のほとりから見る御嶽山頂上。

 サイノ河原は広々としたお花畑で、花期は過ぎていたがチングルマの綿毛がたくさん生えていた。サイノ河原避難小屋から見下ろす三の池はかなり下にあるように見える。実際に歩いてみると、やはりかなりの急傾斜で、四の池への分岐から下は大きな岩のゴロゴロした道だった。2時35分三の池のほとりに到着し、ここで遅い昼食を急いで食べる。

    サイノ河原。チングルマの実がたくさん生えている。花の時期にはお花畑が広がっているのだろう。


    サイノ河原避難小屋から見下げる三の池。御嶽山最大の池。ずいぶん下に見える。


    三の池。信者さんたちがお経を唱えた終わった直後に到着。

 サイノ河原避難小屋の看板情報によると、この先のトラバース道はまだ雪渓が残っているらしい。踏み跡を見ると、足跡がしっかりと残っているので何人も通過していったことは間違いない。2時45分、出発。石がゴツゴツしていて決して歩きやすい道ではない。途中急下りのはしご状の階段あり、そこは工事の人が修復作業中だった。通過には全く問題なく、石がゴロゴロした沢を過ぎると次は雪渓のある谷、しかししっかり踏み固められていて通過には全く問題なかった。雪渓を過ぎると今度は登りだ。急傾斜ではないが、結構登る。そしていくつかの尾根を越えてよやく7合目女人堂が見えてきた。と思ったらまた谷と尾根を回り込み、見えているのになかなか到着しない。3時50分、ようやく女人堂に到着した。

    トラバース道のガレた沢を越える。


    続いて雪渓のある谷。通過には支障なし。


    歩いてきた道を振り返る。山腹を這うように道が続いている。

 ほとんど休憩無しで歩いてきたので、ここで5分ほど休憩し、水を補給する。1時間あれば、ロープウェイ駅には十分到着できるだろう。登りがゆっくりだったので、足の疲れはあまりなかったので、この先は久しぶりに少し足早に(軽く走るくらいに)飛ばしてみた。15人ほど追い抜いただろうか、登り1時間かかった七合目行場山荘まで20分で下り、4時半にはロープウェイ駅に到着した。ちょっとばかり膝に来た。
 ロープウェイ鹿の瀬駅に降りて車に向おうとしたところ、60才過ぎと思われる男性に声をかけられた。バスで木曽福島駅まで行くはずだったのだが、乗り遅れたらしい。休日のロープウェイは5時まで動いているが、バスは平日と同じ運行で4時20分が最終なのだ。この方は腎不全で人工透析を受けており、明日透析に行かないと生命的に危険なことにもなりかねない。東京在住とのことで、方向が同じなので甲府まで送ってゆくことにした。この方は山歴40年以上の大ベテラン、バリアンスルートのこともよくご存知で、槍ヶ岳北釜尾根のほか、二王子岳から飯豊山までのルート(道は無いはず!)も歩いたことのある凄い人だった。透析しながらも毎週のように山歩きをしている山大好き人間で、たいへん参考になり、また励みにもなった。おかげで帰り道は白馬岳で知り合ったアッキーさん夫妻の時と同様、睡魔に襲われず楽しく帰ってくることができた。
コメント (2)
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