山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

花の日本百名山 二十六夜山を訪れる  平成27年4月26日

2015年05月01日 | 丹沢・道志山系
 エイザンスミレがたくさん咲く山として知られる花の日本百名山、二十六夜山を花見隊メンバーとともに急遽訪れることとなった。ここはエイザンスミレの他にヒナスミレやヒカゲスミレも多く咲き、ネットで検索していたら交雑種らしきスミレの画像が写っているものを見かけた。今年はスミレのハズレ年なので、見つかる可能性はかなり低いと見ているが、この日を外すと時期的に今年はもう遅くなってしまい、来年に持ち越しになってしまう。人数が多いほうが発見する機会は多くなり、かつ北側の戸沢集落からのルートはまだ歩いていないコースでもあり、ルート探索の意味も含めて今回の出動となった。

 今倉山からの縦走で反対側から一度だけ二十六夜山は訪れているが、戸沢側から歩くのは初めてであり、駐車場がどこにあるのかも全く知らない。芭蕉月待ちの湯という市営の温泉があるので、おそらくはそのあたりに車が止められるだろうという予想で行ってみると、予想通り月待ちの湯のところには大きな駐車場があった。登山口までは少し林道を歩かなければならないが、ここを起点に出発する。


    戸沢集落から見上げる二十六夜山。真ん中の奥がおそらく山頂。


    林道脇に咲いていたクサノオウ。タチツボスミレやニョイスミレ、アカネスミレなども道端に咲いていた。


    登山道入り口。花を見ながらゆっくり歩き、ここまで約30分。登山口の奥に3~4台駐車可能なスペースがあった。


    登山口付近に咲いていたマルバスミレ。


    マルバスミレ


    ヒカゲスミレ。葉はあるが既に終焉を迎えており、花は咲き残りが少しだけ。


    ミツバコンロンソウ。結構たくさんあった。


    ヨゴレネコノメソウ(だと思う)


    エイザンスミレ。デカい!


    葉はたくさんあるが、既に終わっている。高尾のスミレが終わってからこちらが咲くと予想していたが、どうやら同じ時期のようだ。


    ヒナスミレも同じ場所にたくさんあるが、こちらも既に終わっている。出遅れたようだ。

 中腹で水場を経由するルートと沢を直登するルートの2本に道が分かれていた。少し遠周りにはなるが水場を経由するルートを進む。かっちゃ岩という大岩を過ぎ、その先に豊富な水が流れ出す水場があり、ここで休憩する。その先の斜面はロープが張られた急斜面だ。


    祠のところでルートは2つに分かれる。水場を経由して登る。


    大きな桂の木。えっ、カツラ?(モデルはみちほさん旦那さん。)


    かっちゃ岩。かっちゃ坊という修行僧の跡地らしい。


    仙人水で水を飲む我らが千里眼仙人様。


    豊富な水が流れ出る脇にはツルネコノメソウがたくさん。


    ロープの張られた急登を登る。

 急登を尾根まで登ると平らな休憩に適した場所がありここで時間は11時半を過ぎた。標高は約1,000m、山頂まではまだ標高差で300mほどあり、ここで昼食となる。もし探し物に出会えるとすれば沢沿いのあたりと考えていたので、ここまで登って来るともう見つかる確率はきわめて低い。もっと簡単に登れる山と思っていたのだが、予想していたよりもこちら側のルートは手強いことがここまで登って来てわかった。ここでみちほさんとsanaeさんたちは引き返すこととなり、うーさんと私だけ予定通り山頂に行くことになったのだが・・・。


    昼食をとり、山頂に向けて出発。やや急登を登る。


    アケボノスミレ


    山頂に近付くとナガバノスミレサイシンがちょうど見頃。


    ナガバノスミレサイシン


    結構咲いてました。


    山頂直下の二十六夜講跡地。


    山頂に立つ二十六夜の石碑


    二十六夜山山頂。


    鹿留・杓子山塊に並んでうっすらと富士山。


    エイザンスミレと山頂。


    山頂裏に咲いていたヒナスミレ。


    小さくて可愛らしいヒナスミレ。
    
 山頂裏側でヒナスミレを撮影していると、上でうーさんが何か騒いでいる。熊でも出たかと思えば、出て来たのはトシちゃんだった。それに続いてsanaeさんも登場。あそこまで来たのだから山頂を踏まずには帰れないということで、みちほさんと別れて引き返してきたそうだ。まさかの再ご対面にビックリ! 休憩後、遠周りにはなるが下山は引ノ田に下りる尾根ルートを下山する。


    引ノ田ルート。結構急下りです。


    道はしっかりしているがあまり歩かれている様子は無い。落葉のラッセル。


    sanaeさんがこんな葉っぱを発見。エビちゃん。株は小さく、きちんと咲いてくれれば良いのだが。


    沢に出るが、このあたりは道がいまひとつ不明瞭で荒れている。


    林道に出る。

 林道に出たところで、左に進んで大きな通りを進むか、それとも右のジグザグ曲がりの林道を歩くか迷った。距離はいずれも同じくらいだが、大きな通りに出るとうまくすればバスが来るかもしれないというメリットがある。しかし、林道を進めば他の花にもめぐり会えるかもしれない。ここはストックに身を委ね、放り投げてストックの先が向いた方向に進むことにする。そして選んだのが林道歩き。しかしこの林道、実際に歩いてみると、下るのでは無くて結構登っているではないか。


    スミレ咲く林道を行く。長いダラダラ登り。登ったと思えばまた下りてまた登って・・・結構疲れました。


    ヒカゲスミレの葉。花はもう終わっていた。


    大きな白花のスミレ。タチツボの1.5倍くらいデカい。


    距に薄紫が残っており花柄は無毛、これはオトメスミレではないだろうか?

 花を楽しみながら途中で道に座って休憩をとりながらテクテクと林道を歩き、1時間少々かかって午後5時40分芭蕉月待ちの湯の駐車場に到着した。標高差800mほどの山だが、林道歩きを入れると1000m近くなったかも知れない。結構なガッツリ登山となった。

 芭蕉月待ちの湯で汗を流し、蕎麦を食べる。おいしい蕎麦ではあったが、サービスがちょっと・・・という感がある。メニューに「割り箸10円」が別にあり、てっきり箸は別売かと思って購入してしまったが、注文品には箸が付いてくるのは出てきてから知った。テーブルには七味が置いておらず、カウンターのところでしか使えないという不便さがある。

 途中で下山したみちほさんが下山中に探し物らしき葉を見つけた。花期を既に過ぎており、花が付いていないので本物かどうかはわからないが、また来年以降確かめに来る必要がありそうだ。しかし、山頂まで行くかどうかは・・・その日の状況で判断することにしよう。
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丹沢の夕暮れと三日月 菰釣山 

2010年09月15日 | 丹沢・道志山系
 平成22年9月11日

 この日は夕暮れ時に金星と三日月が西の空で接近する日だ。富士か、南アルプスか?だいたいの画角はパソコンで見てあったが、最終的にはお昼ごろのライブカメラを見て、山中湖側の富士山は中腹から上に雲がかかっていたので止め、金ヶ岳山頂にテント泊で南アルプスに沈む三日月と金星、さらに未明に八ヶ岳に沈む夏の大三角形を撮影することに決め、明野の金ヶ岳登山口に向った。夕方6時までに山頂に到着すれば良いのでかなりゆっくりのスタートとなる。午後1時半、明野の東大宇宙線研究所手前あたりから富士山を見ると・・・先ほどのライブカメラとは全く違い、雲が飛び山頂がすっきりと姿を現しているではないか。車を止めてしばし考え、ここまで来て行き先変更、道志の奥にある菰釣山に行くことにする。これこそ地元の利、山の様子を見て行き先を変更できる。

    菰釣山登山口。水場がある。


    菰釣山避難小屋。水場・トイレは無いが、きれいで立派な小屋。

 とはいえ、もう時間は午後2時近い。道志の登山口までは1時間半はかかるだろうから、登り始めは4時近くになってしまう。山頂までは1時間半くらいだから夕暮れにはなんとか間に合う時間だ。韮崎から高速に乗り、都留で下りて峠を越えて道志へ、そして林道をつきあたりまで行くが、この林道はかなりの悪路。なんとか予定通り3時半に到着した。林道付きあたりには4人ほどの中高年グループがテントを張っていた。山から下りてきて水の汲めるこの場所で一夜を明かすようだ。挨拶して今晩下山してくることを告げて山頂に向う。通行止めになっている林道を15分ほど歩くと水場のある登山道入り口に到着する。夜に下山予定なのでたいした水もいらないのだが、念のため1リットル汲んで行く。時間は午後4時、ここから菰釣山まで1時間25分と書かれている。5時半到着として、日没の少し前ごろ、ちょうど良い時間だ。少しばかり早歩きで登ったが、案の定急斜面にかかったところで失速、計3度の休憩を交えて山頂には5時20分に到着した。

    中腹には雲がかかり、富士山見えるのだろうか?と心配になる。


    菰釣山山頂。日没前になんとか到着できた。富士山も見えている。


    真っ赤に焼けた夕焼け空、思いもよらぬ景色になった。


    夕焼けの空

 もうすぐ西に日が沈むところだった。富士山は見えているが、まずいことに空は曇り空で月や星が見えるような空ではない。あまり焼けてもいないし、今日はこのまま面白くない景色で終わってしまうのでは・・?と、この時は思った。しかし・・・山頂でパンを食べながら休憩していると、空がしだいに焼けてゆく。富士山頂の残照が消えて数分後、空を被う雲が真っ赤に焼けた。ほんの10分くらいの時間だったが、久しぶりに見る凄い夕焼け空にめぐり会えた。こちらに来て正解だった。

    雲間に見え始めた月


    雲間に輝く三日月


    雲間に輝く三日月と金星


    雲に覆われてしまうが、うっすらと月が写る。

 夕焼け空が次第に暗い夕闇に変わって行く。今日の月は細い三日月、だが、光量は十分にあるはずだ。丁度良い具合に雲の切れ間が富士山頂側に移動してきたので、絶対に出る、と信じながらシャッターを切り続けていると、まず細い雲の切れ間に金星が見えた。その数分後、待っていた月が雲間から姿を現した。薄雲があったために鮮明な三日月とはならなかったが、ほんのり残る夕焼け雲の間にはっきりと三日月を捉えることができた。月を見ることができたのはほんの1分ほど、あとは暗い雲の中に月は隠れてしまった。7時20分まで粘って、月が完全に沈んだところで本日は終了。

    丹沢の夕暮れ富士  バルブ撮影、夏の暑さを現すため赤系統の色を強調。


    丹沢の夕暮れ富士  バルブ撮影、フィルムカメラのような緑色を強調。飛行機、邪魔です。

 ヘッドライトを点けて木の根っこにつまずかないように気をつけながら下山する。避難小屋の中を覗いてみたが、本日の宿泊者はいなかった。途中3カ所ほど道が若干こわれているところがあり、ここで道を見失わないように気をつけるが、難なく1時間ほどで下山できた。テント泊のパーティーがまだ宴会中で、今日は凄い景色だったとちょっと自慢げに話して家路に向かう。
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妖精の住む森、大室山ブナ林  平成22年2月6‐7日

2010年02月15日 | 丹沢・道志山系
 平成22年2月6‐7日
 
 去る2月11日(建国記念の日)、私の職場で『月と星と山の奏でる音楽会』なるスライド上映会兼音楽会を開催した。昨年12月23日に次いで2回目となるこの会は、自家性スピーカーを持つAVオタクDr.Hと、音楽曲、特にピアノ曲に関してはものすごく詳しい音楽オタクDr.I、そして山&写真オタクの私がタッグを組んで、職場の4階会議室を借りて行なった2時間の会である。前回はあまり宣伝しなかったため少ししか人が集まらなかったが、今回は宣伝効果があって50人ほどの来場者を集めることができた。その時に選んだ曲のひとつが「となりのトトロ」、ジブリの曲である。この曲に合わせるイメージとして、「妖精の住む森、丹沢ブナ林」を想定していたが、足しておきたい画像があった。それが今回撮影に行ったブナ林の空に輝く星、そして雪のブナ林を照らす月の画像である。

    途中のあずまや  雪はくるぶしほど.

 夏場はそれほど大変ではない大室山の登山だが、冬になると雪がある。しかもこの日は数日前に雪が降り、冬型の気圧配置で、強風が吹き荒れる日だった。空は雲が多くて好天とは言えないが、明日は晴れの予報だ。どこから登るかいろいろ考えたが、甲府から最もアプローチが近く、手前の加入道山に避難小屋がある道志の湯からのルートを選んだ。以前にも歩いており、様子がわかっていることもある。他力本願、雪道のトレースを期待して、道志の湯から歩き始めたのは12時50分とかなり遅い時間だった。予想通り、雪の中にしっかりとしたトレースあり、白石峠分岐の直下でやや足をとられる積雪はあったものの、順調に3時半、稜線の白石峠分岐に到着した。ここから加入道山まではほんの15分か20分ほどだが、ここからトレースがだいぶ細くなってきた。加入道山山頂は膝まで埋まる雪ズポズポの状態、そして誰もいないだろうと思って避難小屋の扉を思い切り開けると・・・あっとびっくり、まだ4時前なのにヘッドライトを点けた人が扉のすぐ向うで食事をしているところだった。それもそのはず、この小屋は窓がなくて扉を閉めると中は真っ暗な状態になるのだ。さらに奥にツエルトが張られていて、計3人の人が休んでいた。本日ここに宿泊する人たちだ。この先は誰も行っていないらしい。悪天候ならばここに宿泊することを想定していたのだが、夜中に出たり入ったりしていると他の人たちに迷惑になってしまう。一人で先に進むことにした。

    眼前に迫る大室山(左)と雪の丹沢の山山  加入道山から.

 加入道山から先は全くトレースがない。ちょっとした吹き溜まりでは腿まではまってしまう深い雪だ。夏道なら15分で到着する前大室山まで40分もかかり、ここで4時50分、日没になってしまう。ここから大室山山頂までは夏道で1時間、とすると、この雪をかき分けて進むと約2時間かかる。到着はすっかり暗くなった7時になってしまうだろう。体力はまだ残ってはいたが、ここは無理せずに前大室山の雪上でテント泊にした。このあたりにも大きなブナの木がたくさん生えている。

    丹沢の夕暮れ  富士山の右に日が沈む.前大室山から.

 強風に煽られるので、風を避けるようにして大きなブナの根元に、ブナの木に抱かれるようにしてテントを張る。おかげで風からはだいぶ守られて夜を過ごすことができた。日没を見届けた後、テントの中で夕食をとり、早々にシュラフ2枚を被って寝る。この夏用シュラフと3シーズン用シュラフを重ねて寝るシステムは、前回金ヶ岳山頂で試したがかなり暖かい。この日の夜の気温は-15℃くらいだったが、シュラフカバー無し(置き忘れてきた)でも快適に寝ることができた。

    森の上に昇るオリオン座  風で木の枝が揺れ,ぶれて見える.


    ブナの林の向うに見える東京都の灯り

 睡眠薬を前回のテント泊で飲み切り、この日はなかなか寝付けないまま夜が更け、未明2時となる。もう冬の大三角形が西に沈んで行く時間だ。テントから置き出して空を見ると、オリオン座はもう西の空に沈むところだった。風で木の枝が揺れ、良い位置に冬の大三角形がおさまらない。それと、何故かこの日は15mm fisheyeレンズのピントが合わない。悪戦苦闘しているうちに冬の第三角形は沈んでしまい、続いて赤くて明るい火星が西の空に傾いてゆく。そして午前3時、いよいよ月が昇り始める。下弦を1日過ぎた月だがかなり明るくて白く優しく輝く月だ。森の雪原に木々の長い陰が棚引く。風が無ければ、木々の枝がブレずに優しい月影の写真になったであろうが、残念ながらこの日は15~30秒の露光時間では枝がブレたボケたような写真になってしまった。寒いのでテントの中とカメラの立ててある場所を行ったり来たりしながら、そのまま夜が明けてしまう。

    星の降る森  木を横切るオレンジ色の星が火星.左下に見えるのは富士山.


    ブナの森に昇る月


    月光照らすブナの森  優しい月が森を照らし,木々の影が雪原に棚引く.


    月光照らす森  大きなブナの木に抱かれるようにして張ったテント.


    星空に向かって  左の木の中に北斗七星のヒシャクの部分が隠れる.並ぶ木の中央下に光るのが北極星.星に向かって触手を伸ばすブナの木のイメージ.

 夜明け前に早めの食事をとり、足元が見えるようになった6時半から大室山を目指す。前日と同様の辛い1人ラッセルが続く。1時間半ほど進んで大室山山頂直下の富士山の眺望抜群の場所に到着したところで大休憩、存分に富士山を撮影する。休んでいると昨日の避難小屋泊まりの人1人が登って来た。本日は犬越路のほうに縦走するらしい。山頂まで着いて行こうかとも思ったのだが、この場所からの眺望で満足し、山頂は踏まずに下山した。

    林の向うの夜明け富士


    大室山から見る冬富士  丹沢山系からは夕暮れの富士が良いが,朝の富士もまた良い.

 前日避難小屋に宿泊した残り2人はそのまま下山したらしく、11時に加入道山避難小屋を覗いた時には別の若者2人組が休憩していた。順調に下山し、12時15分、無事駐車場に到着。眠い目と体を起こすために道志の湯に立ち寄ったが、眠気は全く醒めず、(毎度のことながら)疲れきった体で甲府に戻った。

    林の向うの朝富士  かつてはこういう木が邪魔でしょうがなかったが,最近はこういう木の入った景色もありかなと思うようになってきた.

 上映会での「となりのトトロ」に今回の映像を何枚か使用し、決して満足できる映像ではなかったが、『妖精の住む森』のイメージは十分に伝わったのではないだろうか。かつては山の上の眺望と星、月の組み合わせでひたすら撮影してきたが、今回のようにこの曲に合わせてこういうイメージで、という撮影も意識的に行なえるようになってきた。また撮影の幅と、写真の面白さが増してきたと感じる。
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西に傾くオリオン座と富士山、今倉山~赤岩  平成22年1月23日

2010年01月27日 | 丹沢・道志山系
 平成22年1月23日

 この日は冬の恒例、金峰山へテント担いで行く予定だった。長男を学校に送り届けて、甲府を8時半ごろに出発。瑞牆山荘の歩き始めが10時ごろになってしまうだろうが、山頂泊りなので時間的には問題ない。しかし、何となく気がすすまない。山頂から南アルプスに傾いてゆく冬の大三角形は、月が沈んだ後の絶好の条件で撮れる。しかしもう一つ、昨年4月に撮影できなかった五丈岩に傾くさそり座はまだ時期が早い。そして天気予報は・・・山梨県北部山沿いは気圧の谷の影響で雪になりそうだ。しかし、樹氷や岩氷になってくれれば願ってもない景色に出会えるかもしれない。しかし・・・何となく気がすすまない。いろいろ考えながら明野のハイジの村あたりを通過した時に、ふと気付く。またしても・・・忘れ物!! オーバージャケットが積んでいない。さすがに氷点下10度を下回るであろう2,600mの高地でフリース、ダウン、カッパだけでは体が持たない。やっぱり今日は金峰山には呼ばれていないようだ。甲府に戻り、明日下山後に予定していた仕事を午前中に片付けて自宅に戻り、まだ交換していなかったタイヤをスタッドレスに付け替えた。そしてオーバージャケットを車に積み込み、向った先は・・・道志山系今倉山だ。

    3度目の今倉山山頂

 ここは1時間半くらいで山頂まで登れるハイキングコースといっても良いレベルの山だが、御正体山と鹿留・杓子山の間に富士山が見える絶景地である。未明にその右側に冬の大三角形が沈んで行く。しし座流星群の日にこの山塊で撮影したかったのだが、平日だったので実現できなかった。今倉山のひとつ先のピークが好ポジションだが、左右の木がちょっと邪魔になる。さらにその先、松山(赤岩)というピークは邪魔するものがなく、この山塊で最高の眺望が得られる。昨年6月に歩き、なんとかテントが一張りできることも確認済みだ。

    この日の富士山は雲におおわれて姿を現さず.


    本日の宿泊地,松山(赤岩)

 午後2時10分、道坂トンネルの駐車場から歩き始め、順調に1時間半で今倉山山頂に到着。富士山は雲におおわれて全く姿を見せない。さらに進んで御座入山のピークを越え、テント予定地の赤岩に午後4時20分到着した。テントを張る前にあたりのブナ林を見て回り、星空を入れて撮れそうな良い木がないか見て回る。夕方から天気が崩れ、場所によって雪の予報だったので、翌朝の樹氷を期待していると、5時過ぎ、東側の谷から真白な霧が山一面をおおうように湧き上がってきた。まだ時間は早いが、10時過ぎに西の空に沈んで行く上弦の月に備えてさっさと食事を済ませて6時過ぎには眠りに着いた。

    上弦の月が西に傾く,22時半,起床.(というか,寝てないような・・・) 赤い明りは八ヶ岳のスキー場の明かり.左は富士見パノラマスキー場(たぶん.)


    星のささやく森  月光に照らされた幹と枝,その向こうにオリオン座と冬の大三角形が輝く.

 22時30分、寝たのか寝てないのかよくわからないうちに起床して外に出ると、沸き上がった雲はすっかり晴れて澄んだ星空が広がっていた。残念ながら樹氷の景色とはならなかった。西の空には上弦の月が沈んで行くところだった。オリオン座はもうすぐ南中しそうだ。カノープスを探したが、南の低空は相模湾にあたり、薄霧で星は見えなかった。三脚を担いで夕方見ておいたブナ林の中を撮影場所を探してさまよい歩く。月光の当たる幹と枝を写し込んで、空で囁くオリオン座と冬の大三角形を撮ることができた。

    富士の上に昇る冬の大三角形とオリオン座


    オリオン座と冬の大三角形  15mm diagonal fisheye(Sigma)


    星降る富士山 30分露光

 赤岩に戻り、今度は富士山の上に昇ったオリオン座と冬の大三角形を撮影する。画角は予想通りの良い位置で収めることができる。未明2時半まで撮影に没頭、といっても今回は秘密兵器のタイマー付きレリーズを持って行ったので、1分半おきに30秒でシャッターを切るように設定し、あとはカメラ任せでテントの中でお茶を飲み、暖をとりながら休む。オリオン座が沈む頃には30分の長時間露光にセットして、次は5時半ごろに南東の空に昇って来るさそり座撮影に備え、目覚まし時計をかけてまた寝る。

    相模湾に昇るさそり座


    夜明けの今倉山  空が鮮やかなオレンジに焼ける.

 やっと寝付いたかと思った頃に目覚まし時計が鳴った。眠かったのでそのまま寝ていようかとも思ったのだが、次に来る機会はいつになるかわからないので、根性で起き出して南東の空に目をやると、薄明るくなった水平線の上にさそり座が尻尾を巻いて昇っていた。その下には相模湾の明りが見える。しかし・・・予想通り、さそり座を撮影するにはまだ時期が早い。そもそもさそり座は夏の星座なのだが、もうこの時期に見え始めているのだ。澄んだ空気の中で撮影するには、2月下旬から3月がベストなのではないだろうか。おそらく、金峰山でもさそり座はうまく写せなかったであろう。

    富士山頂を薄ピンク色に染めて朝日が射し込む.


    朝焼けに染まる富士

 やがて今倉山の向うの空がオレンジ色に色付いてくる。そして、久しぶりに見るピンク色に色付く富士山。PLフィルターをかけて白とびしないようにマイナス補正して撮影したのだがそれでもなお山頂の雪の斜面は飛んでしまった。
すっかり日が昇った7時半、朝食をとる。そしてテント撤収、急ぐ必要もないのだが、寝不足で眠いので速攻で下山した。下山ルートは今倉山コルから沢ルートを下った。この道を通るのは2度目だが、初心者の頃に通った時は沢の横を通るルートを見落とし、沢筋を下りて結構苦労した記憶がある。今回は道を外さず順調に下山し、50分で林道に出た。

    山頂に張ったテントに朝日が射す.斜めになってしまうがなんとか一張できる.


    抜群の眺望の赤岩.日が昇ったところで,さて,下山.

 樹氷にはならなかったが、久しぶりの澄んだ星空、そしてピンク色に染まる富士山を見ることができ、低山ながら満足な山上の一夜を過ごすことができた。毎度の事ながら、今回も眠い。
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あのスミレはあるのか?花の日本百名山、二十六夜山

2009年05月17日 | 丹沢・道志山系
 平成21年5月10日天候晴れ

 花の日本百名山のひとつ、道士の二十六夜山。本の中ではエイザンスミレが紹介されているが、本文の中には「足元に白い花のヒゴスミレ、エイザンスミレ・・・」と、まだ見たことの無いヒゴスミレの名前が登場している。昨年もこのヒゴスミレを見たくて二十六夜山に登ったが、良く内容を確かめずに出かけたために登ったのは隣の秋山村にある二十六夜山に行ってしまった。ヒゴどころかエイザンスミレも見つからなかったが、フモトスミレやヒカゲスミレ、ナガハノスミレサイシンなどに出会うことができた。本を読み返してみると、スミレがあるのは今倉山から二十六夜山への稜線上らしい。今年こそは・・・と願いつつ、道坂トンネルの登山道入り口を目指す。
 8時半に到着すると既に3~4台の車が止まっていた。ここは今倉山だけでなく、御正体山への登山口にもなっている。昨日の黒富士裏ルートを歩いた疲れが足に残っていて、なんとなく足全体がだるいので、いつもにも増してスローペース、道の両脇のスミレを探しながら歩く。今倉山までのルートではほとんどがタチツボスミレ、少数の紫色の濃いニオイタチツボスミレも混ざっていた。エイザンスミレは葉のみ散見されるが、もう既に時期が遅く、花が散ってしまった後だ。訪れるのが遅かったし、それに加えて数日前の雨でスミレの花はクシャッとつぶれてしまっているものが多い。

    タチツボスミレ ほとんどこのスミレばかり。


    こちらは紫色の濃いニオイタチツボスミレ


    今倉山山頂直下の新緑と御正体山の上に立つ富士山

 2時間弱かけて今倉山山頂に到着。途中でトレイルランニングをしている若者たちと何人もすれ違った。近日レースでもあるのだろうか?確かにこのルートは道が良くて走りやすい。山頂は3~4人の人が休憩していたが、ここは休まずにそのまま通過、ここから二十六夜山までの稜線は、いくつかのコブを越えながら、全体的に下りとなっている。ピークをひとつ超えた先に展望の良い岩場があり、御正体山と杓子山の間に富士山が見える。さらに進むと、急下りとなって鞍部で沢コースとの分岐に出る。このあたりでようやく残っていたエイザンスミレに出会うことができた。そのほかにアケボノスミレ、ナガハノスミレサイシンなど。しかし、ヒゴスミレらしき花や葉は見つけることができなかった。

    今倉山山頂の大きなブナの木


    山頂先の岩場からの眺望


    残っていたエイザンスミレ。花期はもう過ぎていた。


    ナガハノスミレサイシン

 さらにコブを越えて進むと、赤岩という展望抜群のピークにたどり着く。岩の上に登ると、どっしりした御正体の山容と、三角錐を描く杓子山の間に大きく富士山が聳え立つ。このルートで最も眺望の良い場所だろう。

    赤岩


    赤岩の上からの眺望。御正体山と杓子山の間に大きく富士山が聳える。このルートで最も眺望の良い場所だろう。


    稜線上には道志山系らしいブナの巨木がたくさん立ち並ぶ。

 さらに進んでゆくと、右手の下にアスファルトの道路が見えてくる。二十六夜山のすぐ脇を通る林道だ。間もなく道は林道に降り立ち、道標に従って二十六夜山に向かう。林道からひと登りして20分ほどで二十六夜山山頂に到着する。花の百名山では、山頂は林の中でわずかに展望が開けるだけだと紹介されているが、現在は南側から南西側が大きく切り開かれていて富士山が良くみえるようになっている。その先には廿六夜と刻まれた石塔が立っている。

    眼前に迫る二十六夜山


    二十六夜山山頂


    山頂の先に立つ石塔

 食事にしようと思ったのだが、途中でペットボトルのドリンクを1本車に置き忘れてきたことに気づき、昼食用の水を変わりに飲んでしまった。さらに、おやつに買ったどらやきも車の中。あるのはパン1個とソイジョイだけだ。とりあえずそれで食事を済ませて山頂を後にする。林道を1時間ほど歩くとゲートに到着し、ゲートから10分ほど歩くとトンネル横の駐車場に到着する。午後2時半、到着。残念ながら今年もヒゴスミレを見つけることはできなかった。
 ヒゴスミレの目撃情報を探していたところ、ちょうど私の所属する山岳会メンバーが登った某山(あまり人に知られていない山)にたくさんあったと聞いた。今年は花期がおわってしまったが、来年はあのスミレに出会えるかもしれない。
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静寂な一夜,丹沢菰釣山  平成21年4月10-11日

2009年04月17日 | 丹沢・道志山系
 丹沢菰釣山  平成21年4月10-11日 天候晴れ

 前日の毛無山に登った筋肉痛を引きずりながら,車で向った先は道志道の駅.2年ほど前の冬にこの奥の林道から菰釣山登山口に向かったところ,途中雪とアイスバーンに阻まれて進めず,狭い林道で無理矢理車を回して戻ってきたことがある.その時乗っていた愛車マークⅡのナンバープレートがその時に曲がってしまい,廃車になるまでそのままだった.今回はリベンジ,とまでは言わないが,あの先の林道がどうなっているのかずっと気になっていた.それともうひとつ,菰釣山から早朝富士山頂に沈む月を見ることができる.道志道の駅で小休憩後,林道を進んで突き当りまで行ってみる.かなりの悪路でところどころ道の端に落石のあるところもあったが,現在乗っているラッシュではそれほど難なく林道奥まで行くことができた.
 終点は鎖が張られていて,左手に橋を渡って菰釣山方面に行く林道が伸びていた.もちろん,案内の看板もある.ザックにテントと荷物を詰め込んでゆくが,シュラフを持ってくるのを忘れてしまった.春めいて昼間の気温は20度を軽く超えているとはいえ,山の上の夜の気温は0度から5度くらいまでは冷え込むだろう.一旦はあきらめて,車を回して林道を帰り始めたのだが,そういえば先日ホームセンターで試しに購入してみたビバークシートがあったのを思い出した.シュラフカバーはないが,袋状になった緊急避難シートもある.この2枚があれば,0度までならば問題なく過ごせるはず.車を回して再び林道終点に戻り,再度荷物を詰めて出発.時間はもう午後4時になってしまった.

    菰釣山登山道入り口.林道沿いにあり,水場がある.


    ブナ沢.川を数回渡り返す.

 林道を10分ほど進んでゆくと,橋を渡ったところで菰釣山方面を示す看板とその先に登山口の看板と階段,その横には水場がある.階段を登り,斜面を進んで行くと道はブナ沢の河原に下り,川を右に左に数回渡り返していよいよ尾根に取りつくやや急な登りとなる.しかし,道はジグザグにとりつけられていてあまりきつさは感じない.歩きはじめて約50分で稜線にたどり着き,そこから10分ほどで菰釣山避難小屋に到着した.結構きれいで立派な避難小屋だった.中は布団はないものの,寝るにはきわめて快適な部屋,誰もいないだろうと思っていたのだが,神奈川県側から来られたお客さんが一人食事をしているところだった.挨拶して,本日自分は山頂にテント泊りすることを告げ,出発.ここからは丹沢らしいブナの林の中を緩い登りが続き,約30分で山頂に到着,時間は5時40分ごろだった.西に日が沈みかけており,目の前には裾を長く引く端正な富士山が聳えていた.

    菰釣山避難小屋


    菰釣山山頂.大きなブナの木に囲まれ,富士山側の眺望が開けている.

 山頂のベンチの横に早々にテントを張る.山頂は低木の枝が撮影にはやや邪魔になるので,すぐ隣に見えるピークまで行ってみたが,山頂から30mほど下りた斜面がいちばん眺望が効いた.三脚とカメラを持ってその場所に移動して,夕暮れの空が赤く染まる富士山をじっと眺める.風もなく,春霞の上に佇む夕暮れの富士山にすっかり見入ってしまった.夕陽を背にして富士山が立つ丹沢の夕暮れは,御坂山塊とはまた一味違った味わいがある.すっかり暗くなるまで富士の夕景に見とれ,テントに戻る.

    日没


    春霞に立つ夕景富士

 夕食をとり,テントの入り口を開けて星空を見上げながら横になっていると,東の空から十六夜の明るい月が昇ってきた.テントの外に出ると,大きなブナの木の枝の間から金色の光を放ちながら円い月が昇ってきていた.血管のように伸びるブナの枝とからみ合い,なんとも妖艶な雰囲気をかもし出している.

    妖艶の森,丹沢ブナ林


    富士山に傾く冬の大三角形. 月が明るすぎて星が写りません.


    おおいぬ座シリウスの光跡. 富士山頂に向かって一直線.木の中に隠れている光跡はオリオン座のベテルギウス.


    山中湖の灯と月光の富士  山頂に光るのはおおいぬ座のシリウス.

 西の空を見ると,富士山の右手にオリオン座が沈みかけていたが,月が明るすぎて写真ではわずかにしか写ってくれない.ちょうど富士山頂におおいぬ座のシリウスが沈んでいったので,そこまでで本日の撮影は終了,テントに戻って一旦寝ることにする.気温は5度くらいだろうか.風がほとんど無いのであまり寒くは感じないが,それでもセーターとダウンジャケットは欠かせない.ビバークシートと袋状緊急避難シートを重ねて中にもぐり込み,その夜は全く寒さを感じることなく快適に過ごすことができた.

    富士山に傾く十六夜の月


    富士山に沈む月,丹沢菰釣山

 さて,翌朝は4時に起床,明るい月が富士山に傾きかけていた. 待つこと1時間,5時5分,いよいよ月が富士山に沈んで行く.今回は左側の角に沈んでいったが,日の出の約10分前だったので月の紋様を消さずに富士山を写し込むことができた.日の出の後の薄ピンク色に染まった富士山も良かった.

    菰釣山の朝富士

 早々にテント撤収して6時半には下山を開始,約1時間で車を止めた場所に到着した.下山の時は河原沿いに道があるのを発見し,登山道入り口の手前の橋のところに出ることがわかった.丹沢山系の富士山,特に夕暮れは格別な味わいがある.
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棚ノ入山から二十六夜山へ、スミレを探して歩く

2008年05月02日 | 丹沢・道志山系
 平成20年4月29日 天候晴れ

 田中澄江の著書、「新・日本花の百名山」の紹介記事を昨年の山渓雑誌で見たところ、その中に二十六夜山・山梨県・ヒゴスミレという記載があるのが目にとまった。ヒゴスミレはエイザンスミレの近似種で、やや高山にあるといわれており、私はまだ見たことがない。標高1000mにも満たない二十六夜山(ちなみに都留にも同じ名前の山がある)に、果たしてそんなスミレがあるのだろうか、あったとしても果たして探し当てることができるかどうか?以前に登ったアオゲラの森キャンプ場からのコースでは物足りないので、今回は無生野からタンノイリ沢沿いの林道を歩き棚ノ入山に至るコース、昭文社の地図では点線になっているルートを歩いてみることにした。
 
    タンノイリ沢。人家の横を通る。

 9時に自宅出発し、秋山村の浜沢に車を止める。歩き始めは10時20分、車道を20分ほど歩いて無生野からタンノイリ沢林道に入る。人家のあるあたりは舗装されているが、人家が切れたあたりから砂利道となる。良い道で、普通乗用車での通行にも問題なさそうだ。林道を30分ほど歩くと左に東俣林道を分け、林道終点に到着する。ここから川の右岸沿いの細い道となり、10分ほど歩くと左手に丸太を束ねて造った橋がかかっており、左岸には赤鞍ヶ岳の小さな看板が掲げられている。橋の右側は崩落していて歩きにくいので、沢の中を歩いて対岸に渡るが、水量は少なく全く足を濡らさずに徒渉できた。ここから先は傾斜がきつくなるが、道は明瞭だった。ほどなく、尾根道と沢沿いの道の分岐らしき場所があり、私は沢沿いのコースに進んだがこれが間違いだったらしい。途中までは細い道があったが、滝の横を通過したあたりから道が不明瞭となり、ついには無くなってしまう。あるのは獣道のみ、戻っても20分とかからないだろうが、谷の右側にヒノキの植樹帯があり、急登ながら木の幹と根っこにつかまりながら登れそうだったので、そこを尾根まで直登する。標高差で50m以上は登っただろうか、辿り着いた尾根には・・・登山道と言えるような明瞭な道はなし。しかし、何となく細い道らしきものがあり、細木の枝をかき分けながら上に向かって進むと、スギ・ヒノキの樹林帯となり、しだいに林業作業跡らしきはっきりした踏み跡が見えてきた。そしてその先の尾根まで行くと、そこには明らかな登山道があった。こんな広くて立派な道をどうやったら間違えるのか?と首をかしげるような道。ここから急登りを30分ほど登ると棚ノ入山に出た。登りながらお目当てのスミレを探しながら歩くが、それらしいスミレはなし。ただ、ナガバノスミレサイシンという初めて見るスミレは林の中でたくさん出会うことができた。
 
    林道の脇に咲いていたケマルバスミレ。葉に細かい毛が生えている。

 
    アカネスミレ(?) ニオイタチツボスミレかもしれないが、葉の形はアカネ。

 
    沢にかかる丸太橋と対岸の赤鞍ヶ岳看板

 
    タンノイリ沢上流の滝。このあたりで道は消失してしまう。

 棚ノ入山の南側(道志側)斜面はきれいに伐採されており、向かいの赤鞍ヶ岳の山々が間近に見える。日当たりの良い斜面には一面にタチツボスミレの大群落が見られた。例のスミレの姿は無く、近似種のエイザンスミレすら見当たらない。小休憩後、二十六夜山を目指す。急下りとなり、二十六夜山が見えてくるが、ずいぶん遠くにあるように感じる。1時間ほど歩いたあたりで三叉路に出たが、ここの看板がわかりにくく、二十六夜山と書いてある方向に真直ぐに進むとどんどん山から離れて下っていってしまう。戻って左側(秋山村側)に行く道を進むと、ほどなく二十六夜山の看板があった。その道を進むと、三日月峠の立派な道標があり、そのまま真直ぐ二十六夜山に向かって進むと、小ピークを巻いて稜線に抜け、ほどなく二十六夜塔に到着した。このあたりにもヒゴスミレは見当たらず、ピンク色の鮮やかなアケボノスミレがあちらこちらに咲いていた。二十六夜山山頂に行き、遅い食事をとる。時間は午後2時30分。
 
    棚ノ入山のタチツボスミレ群落。南側斜面は伐採され、大群落がある。

 
    ナガバノスミレサイシン。この花は林の中を好んで咲く。

 
    濃いピンク色が鮮やかなアケボノスミレ。武田の杜西側編でも登場。

 
    フモトスミレ。小さくて可愛らしい花。

 
    二十六夜山のシンボル、二十六夜塔。

 
    二十六夜山山頂。林の中の静かな山頂。

 あとはアオゲラの森キャンプ場に向かって下るのみ、どうも目当てのスミレは空振りになりそうだ。地面のスミレを探しながら歩くと、またもや見たことのない白花の可愛らしいスミレ発見、これはフモトスミレだった。他にもチゴユリやヒトリシズカなどの春の花がたくさん咲いていた。約1時間でキャンプ場到着、ここにもタチツボスミレの群落があった。そしてキャンプ場下の道沿いにはフデリンドウも咲いていた。さらに見慣れない白いスミレが数株、ヒカゲスミレと思われる。16時15分、車に到着、道なき道を歩いたので、足がだいぶ疲れた。出会った人は棚ノ入山で中年夫婦1組のみ。ヒゴスミレは見つからなかったものの、他の花にたくさん出会えた、ちょっと危ない山歩きだった。
 
    ヒカゲスミレ。アオゲラの森キャンプ場の下に咲いていた。


  今回の行程図。無生野から棚ノ入山は昭文社地図では点線になっているが、ルートはある。私のように道を間違えないように注意!
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雪の杓子山一夜 平成20年2月8-9日

2008年02月18日 | 丹沢・道志山系
平成20年2月8-9日 天候晴れ~曇り

 今年の冬は雪の大月市秀麗富岳十二景を撮影しようと思っており、当初は扇山と百蔵山を考えていた。9日の午後から雪になるとの予報なので、8日の午後から大月に向う。大月市に入ってから百蔵山を見るとほとんど雪がついていない、扇山も…いまひとつ。予定変更、杓子山に登ってみよう。
 甲府を出発したのが午後1時を過ぎていたので登山口の不動の湯下にある駐車場に到着したのは午後3時半、さらに着替えて準備して、登りはじめは午後4時を過ぎてしまう。夏場は林道を上のゲートまで車で行けるが、この季節は雪のためとても車で走れる状況ではなく、林道を約2時間歩かなくてはならない。日が暮れてしまうのは当然だが、テント泊りなので山頂まで行けなければ途中で寝ることにする。駐車場から10分ほど歩くと不動の湯の建物が見えてくるが、予想通り、そこから先の林道は雪がたくさん、15~30cmほど積もっている。幸いなことに新しいトレースがついており、それに沿ってひたすら林道を歩く。ゲート通過は5時、このあたりで日が暮れる。さらに、ハングライダーの発着所がある大権道峠(おおだすとうげ)到着は6時、ここですっかり暗くなり、ヘッドライトを点灯する。そのままトレースを追って歩いて行くと、登山道への入り口のところで無くなってしまう。どうやら登山者ではなく、工事関係かハングライダーの人のトレースらしい。そこから先は闇の中を道を探しながら登るのだが、下半分は迷いようのない広い尾根道、上半分はジグザグにつけられたしっかりとした登山道で、ところどころに道標の看板も取り付けられており、全く迷うことなく山頂に到着、時間は7時40分だった。山頂の積雪は30cmほど、膝下だ。大きな富士山とその裾野に広がる忍野と山中の明り、そして右手の富士吉田の夜景が眩しいほどに光り輝く。素晴らしい眺望、ただ、星の撮影をするにはあまりにも明るすぎる、そんな風景だ。

    日没迫る  不動の湯林道ゲート付近。


    杓子山山頂からの夜景  忍野と山中の夜景が広がる。
 
 雪を踏み均してテントを張る。風も無く静かで穏やかな夜だが、念のため2本だけ張り紐を固定する。気温は-10度以下だろうか、結構寒い。外に出て空を見上げると、オリオン座が高く昇り、冬の大三角形はちょうど逆三角形の位置になっていた。星空を撮影するのに難しいのはピント合わせだが、良い方法を聞いてきた。それはライブビューを活用すること。Eos40Dはライブビューモードとさらに拡大してモニター表示できる機能が搭載されているため、ライブビューで拡大して見ながら星にピントを正確に合わせることができる。今回初めてその方法で撮影を試みたが、確かにきっちりとピントが合っているように見える。が、やはり夜景といっしょに星空を撮るにはやや無理がありそうだ。
    
      杓子山の上に昇ったオリオンと冬の逆大三角形

 9時過ぎに一旦テントに戻り、一休みする。うとうととしてはっと気付くと時間は12時半だった。空はどうなっているのか?外に出ると、冬の大三角形は既に富士の山頂を越え、西の空に傾きかけていた。思った以上に星座の動きは早いものだ。1時半まで写真を撮ってまた寝る。(もう少し撮影したかったが、ライブビューモードと長時間露出撮影をするとあっという間に電池が無くなってしまう。明日の分を残して止める。)

    西に傾く冬の大三角形


    星空と夜景

 朝は5時45分起床、外を見ると富士山は見えているものの、空には薄雲がかかり、朝焼けや、朝日に焼ける富士山はとても期待できそうもない。朝食を軽くとり、6時過ぎ、カメラを持ってテントの外に出る。狙った景色にはならなかったが、しかしここから見る富士山は雄大だ。三つ峠の富士山が有名だが、ここの富士山も全く劣らない。人が少ないところが私好みといって良いかもしれない。まだ忍野の明りが残っている頃の富士山を撮影した後はあっという間に雲が広がり、姿を消してしまった。

    朝の杓子山山頂


    雲間の富士


    笠雲

 テント撤収、9時過ぎ下山開始。下りはちょっと恐いので6本歯アイゼンを装着して下る。林道のゲートあたりで一瞬だけ笠雲をかぶった富士山が姿を現し、別れを惜しんでくれた。駐車場11時40分到着、結局2日間登山者には一人も会わなかった。

参考(にならない)タイム
不動の湯下駐車場16:20-林道ゲート17:00-大権道(おおだす)峠18:00-杓子山19:40
下山 杓子山9:10-大権道峠9:35-駐車場11:40
コメント (2)
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