山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

豪雪の山梨県、雪化粧の甲府盆地を望む 湯村山から八王子山  平成26年2月9日

2014年02月12日 | 山梨百名山
 20年ぶりとなる平成26年2月8日の大雪は、夕方一旦止んだものの再び降り出し、未明まで降り続いた。甲府市内で45cm、河口湖では60cm以上の豪雪となった。明けた2月9日は風も穏やかで温かな日差しが降り注いだ。庭や幹線道路に出るまでの道を雪かきしなければとてもではないが安全に車を走らせることはできない。午前中は10時過ぎまで雪かきに追われる。

 御坂山塊が雪景色を楽しむには良いかもしれないが、とてもではないが登山口まで車が入れないし、時間ももう遅くなってしまった。いちばん近い場所で甲府盆地と富士山が望める場所といったら、八王子山(千代田湖の湖畔にある山)だろう。曲がりくねった傾斜のきつい千代田湖への道はとても車で昇れる気はしないので、麓の緑ヶ丘運動公園から歩くことにする。

 運動公園の駐車場は除雪作業の真っ最中だったが、雪の少ないところに車を止めさせてもらう。出発は11時40分になる。日差しが暖かく、雪はどんどん融け始めていて歩道は半水たまり状態になっていた。


    緑ヶ丘運動公園の駐車場とこれから歩く湯村山~八王子山の尾根。


    一段上にあるゲートボール場。30~40cmほどの積雪。


    既にトレースはしっかりとついている。雪が融け出してズルズル状態。

 遊歩道にはもうしっかりとしたトレースがあるが、足跡を見るとほとんどが長靴の足跡だ。融け出したズルズルの雪道には長靴のほうが有利かもしれない。このままトレースを追えば湯村山にたどり着くが、それでは面白くない。折角の雪だし、ここは遊歩道を離れて湯村山山頂に直登する鉄塔コースを、雪を踏みながら登ることにする。コースを外れて雪の斜面を登って行くと、5分くらい登ったところで反対側の斜面から登って来たトレースに合流してしまう。こちらは登山靴の靴跡。大きな足跡の中に小さな足跡が付いているところをみると、男女2人組だろう。このトレースはその上を走る遊歩道に合流していたので、その先はトレースの無い斜面を歩き易いところを探して登るが、ところどころ黄色いペンキサインがついており、適当に登ったつもりでもどうやら登山道に沿って歩いているようだ。40分ほど歩いて湯村山山頂に到着する。


    遊歩道を外れて雪の斜面を登るが、間もなく反対側からの登山者のトレースに合流した。


    林の隙間から見る白い甲府盆地


    鉄塔の下をくぐる。


    上部は岩のゴロゴロした斜面。右上に見える石垣が遊歩道で、先行したトレースはここで遊歩道に合流していた。


    遊歩道を歩かずそのまま湯村山まで直登する。雪は脛のあたりまでで、楽しむには快適な積雪量。もうすぐ山頂。


    休憩所の立つ湯村山山頂。

 朝は見えなかった富士山だったが次第に雲が晴れて姿を現した。雪化粧した甲府盆地の向こうに富士山が立つ。できれば雪の着いた木を前景にしたかったが、気温が上がりこの時間にはもうほとんど樹氷の姿は無くなっていた。


    湯村山から見る雪化粧の甲府盆地と富士山


    同上

 トレースの無い山頂裏側のルートを回って遊歩道と合流し、今度は八王子山を目指す。こちらにもしっかりとしたトレースがあるが、遊歩道の階段を避けるように階段脇にトレースがついており、ここは階段道のど真ん中を・・・ということでトレースを使わずに雪を踏んで階段の真ん中を歩く。途中でスコップを担いで下りてきた人とすれ違った。先に進むと、下りの急階段のところはつまずかないようにきれいに除雪されていた。


    トレースのある遊歩道に合流。


    トレースは階段の右側についていたが、これを使わずに階段のど真ん中を歩く。


    振り返って見る湯村山


    ここは踏まれた昇りの階段道


    林越しに見る白い甲府盆地


    こちらは急下りの階段道。きれいに除雪されていた。


    途中の休憩所。右側に見えるのが目指す八王子山。


    雪の斜面と八王子山


    甲府市内の低山でもこんな雪景色が見られる日もある。


    八王子山への昇り。日当たりの良いこの斜面は雪が融けて水が流れ落ちる。


    八王子山と休憩所。もう雪は大部分落ちてしまっている。

 なかなか出会うことの無い湯村山界隈の雪を存分に楽しみながら、登山道を外れて右に左に散策しながら歩いたため、普通ならば湯村山から1時間少々で到着する八王子山まで2時間もかかり、展望地に到着した。この場所は春に訪れると山桜が尾根を彩り、その向こうの甲府盆地越しに富士山を望むことが出来る絶景地だ。夜景も素晴らしい。気温が上がって霞が出てしまったが、白く雪化粧した甲府盆地の向こうに富士山が全容を現していた。


    休憩所から見る雪化粧の甲府盆地と南アルプス


    雪化粧の湯村山と甲府盆地


    いつか見たいと思っていた白い甲府盆地と富士山


    八王子山山頂に立つ神社。


    裏側の千代田湖と茅ヶ岳山塊。千代田湖から登るとここまで20分とかからない。

 山頂の向こう側にもう1ヶ所素晴らしい展望台がある。そちら側に行ってみるが、急傾斜の道は雪が緩くてスリップし易い。トレースはしっかりとあったが、こちら側はやや雪が深く歩きにくい。展望地は策を越えた向こう側、岩から落ちたら命の保証は無いので、足場をしっかりと踏み固めて岩の上に登る。ちょうど甲府駅前のビルが立ち並ぶ向こう側に富士山が立つこの展望台からの景色は、この界隈で写真撮影には最も適した場所だと思っている。


    展望地に到着。右手の岩の上が眺望に優れているが、反対側は崖になっていて落ちたらひとたまりもない。


    岩の上から見る雪化粧の甲府盆地越しの富士山。なかなかこれほどの積雪になることが無く、ようやく出会えた景色。


 帰りは車道をひたひたと歩いて駐車場に戻ったが、こちらの道は除雪されてはいるものの日蔭では路面が凍っていてかなり危険な状態だった。タイヤの滑り止めを装着している車が3台に1台くらい見られたが、それでも明朝はかなり危険な思いをすることだろう。私の住む積翠寺町も坂道を登るため、この日はタイヤ館に寄って滑り止めを購入し、装着して帰宅した。

 めったに無い大雪だけに、雪かきなどで大変な苦労をした人がたくさんいるかと思うが、こんな時だからこそ楽しめる山歩きと景色がある。
コメント (4)
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樹氷輝く三ツ峠  平成26年2月5日

2014年02月05日 | 山梨百名山
 以前から狙っていた三ツ峠の樹氷の景色だが、週末に良い日が当たることはきわめて稀で、登っても樹氷の景色は見られても富士山が出なかったり、既に時が遅かったりと、ツツジの季節も含めて全く相性の悪い山だった。しかし、今回は・・・!

 前日の午後から降り出した雨は夕方には止んだ。甲府市内から見上げる北側の帯那山は上部が見事に雪化粧した。御坂山塊はまだ雲が巻いていた。明日は天候回復の予報、しかも冬型の気圧配置で気温が低く、樹氷や霧氷の景色を見るには絶好の条件が揃った。久しぶりに前日から気分が高揚する。9時半には寝て、未明2時40分に起床して三ツ峠を目指す。

 いちばん心配だったのが林道だが、幸いなことに新雪でわだちがしっかりと着いていて、アイスバーンにはなっていなかった。さらにゲートが閉鎖されておらず、登山口の駐車場まで入ることができた。が、まだ4時半だというのに駐車場は既に満車状態で、少し戻った路肩に車を止めるが、雪で脱出不能になるのを警戒して何度も車を前後に走らせてしっかりとタイヤ回りを固めた。出発は4時50分ごろになってしまう。あわよくば天の川の撮影もと思っていたが全く間に合いそうも無い。軽アイゼン装着して黙々と山頂を目指すが、星の輝いている時間に登り着くことはとうてい出来ず、日の出20分ほど前の6時半、なんとか富士山が撮影できる場所まで到着した。

 富士山は霞んでいるのではないかと心配したが、鮮やかな朝富士が立っていた。そして尾根を見て唖然とした。登山道から見上げる森の木にはあまり雪が着いていなかったが、想定していた以上に真っ白な樹氷の景色になっていた。雪が積もっただけでは無くて霧氷も着いているようだ。山頂へは向かわず右手の展望台に行くと、既に先客のカメラマン1人が撮影の準備をしていた。横に入れてもらって撮影させてもらう。


    午前5時45分ごろの見上げる空。夜明けの明りに星の輝きが消えて行く。右に見える塔が御巣鷹山。


    展望地に到着。すっきりとした富士山、そして目を見張る樹氷の尾根。


    樹氷と夜明け前の富士山


    間もなく富士山に朝日が当たり始め、ピンク色に染まる。


    朝日に染まる富士山


    樹氷の木々にも陽が射し始める。


    朝日射す樹氷と富士山

 隣にいたカメラマンの方は何度も三ツ峠に撮影に来られているベテランの方で、もう少し先に良い展望地があるというので案内していただき、そちらに移動する。既に先客のカメラマンが2人三脚を構えており、もうそろそろ撮影を終えるところだった。その場所はまだ本格的な登山を始める前に三つ峠に登った時に一度だけ来たことがある展望地で、ロッククライミングの練習場となっている場所だった。こんな場所があったことなど、すっかり頭の中から消えていた。

    展望地から見る樹氷の尾根と富士山


    樹氷と富士山。なかなか見られなかった景色に感動する。


    輝く樹氷と富士山


    三つ峠山頂と樹氷の景色

 存分に撮影させていただき、三脚を担いだまま山頂目指して移動する。時間は7時半となり、未明から朝の景色を撮影にやって来たカメラマンたちはもう大部分下山していった。積雪は20cmほどだろうか、吹き溜まりでは膝あたりまでずっぽりとハマる。どちらの方向を見てもこの日の三つ峠の景色は素晴らしく、あちらこちらを歩きまわって写真を撮りまくった。黒岳から連なる御坂山塊の雪景色が素晴らしく、この日の御坂の山はどこに登ってもきっと素晴らしい景色にめぐり逢えたことだろう。

    裸山と御巣鷹山


    裸山から見る樹氷と富士山。右手の山小屋は三つ峠山荘。


    樹氷輝く三つ峠


    霧氷の木


    樹氷と朝日


    樹氷と富士 山頂ふもとから。


    樹氷の尾根と富士山 中腹から。三つ峠の定番の風景。


    三つ峠山頂。風が強くかなり寒い。涙がまつ毛に凍りついた。


    山頂から見る富士山


    雪化粧の美しい御坂山系と南アルプス。中央のこんもりした山が最高峰黒岳。

 御巣鷹山も行こうと思っていたのだが、腹の具合が悪くここまでで下山することにした。公衆トイレは冬季閉鎖になっており使用できなかった。早朝は賑わっていた三つ峠はこの時間になると登山客がまばらにやって来るだけでむしろ静かだった。9時下山開始、40分で駐車場に到着。先週同様、この日も当直業務が待っている。

    先客がいて入れなかった三つ峠山荘下の展望地。


    新たな登山者がぽつりぽつりとやって来る。三脚担いだカメラマンの姿はもう無い。


 何度も登っている三つ峠だが、なかなか良い写真が撮れずダメダメダメのダメ三っつ峠だったが、ようやくリベンジすることができた。他の山でもこれほど素晴らしい樹氷の景色に出会ったことは数回しか無い。次はツツジの季節に良い景色が見られたらと思う。

コメント (12)
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