平成22年1月23日
この日は冬の恒例、金峰山へテント担いで行く予定だった。長男を学校に送り届けて、甲府を8時半ごろに出発。瑞牆山荘の歩き始めが10時ごろになってしまうだろうが、山頂泊りなので時間的には問題ない。しかし、何となく気がすすまない。山頂から南アルプスに傾いてゆく冬の大三角形は、月が沈んだ後の絶好の条件で撮れる。しかしもう一つ、昨年4月に撮影できなかった五丈岩に傾くさそり座はまだ時期が早い。そして天気予報は・・・山梨県北部山沿いは気圧の谷の影響で雪になりそうだ。しかし、樹氷や岩氷になってくれれば願ってもない景色に出会えるかもしれない。しかし・・・何となく気がすすまない。いろいろ考えながら明野のハイジの村あたりを通過した時に、ふと気付く。またしても・・・忘れ物!! オーバージャケットが積んでいない。さすがに氷点下10度を下回るであろう2,600mの高地でフリース、ダウン、カッパだけでは体が持たない。やっぱり今日は金峰山には呼ばれていないようだ。甲府に戻り、明日下山後に予定していた仕事を午前中に片付けて自宅に戻り、まだ交換していなかったタイヤをスタッドレスに付け替えた。そしてオーバージャケットを車に積み込み、向った先は・・・道志山系今倉山だ。
3度目の今倉山山頂
ここは1時間半くらいで山頂まで登れるハイキングコースといっても良いレベルの山だが、御正体山と鹿留・杓子山の間に富士山が見える絶景地である。未明にその右側に冬の大三角形が沈んで行く。しし座流星群の日にこの山塊で撮影したかったのだが、平日だったので実現できなかった。今倉山のひとつ先のピークが好ポジションだが、左右の木がちょっと邪魔になる。さらにその先、松山(赤岩)というピークは邪魔するものがなく、この山塊で最高の眺望が得られる。昨年6月に歩き、なんとかテントが一張りできることも確認済みだ。
この日の富士山は雲におおわれて姿を現さず.
本日の宿泊地,松山(赤岩)
午後2時10分、道坂トンネルの駐車場から歩き始め、順調に1時間半で今倉山山頂に到着。富士山は雲におおわれて全く姿を見せない。さらに進んで御座入山のピークを越え、テント予定地の赤岩に午後4時20分到着した。テントを張る前にあたりのブナ林を見て回り、星空を入れて撮れそうな良い木がないか見て回る。夕方から天気が崩れ、場所によって雪の予報だったので、翌朝の樹氷を期待していると、5時過ぎ、東側の谷から真白な霧が山一面をおおうように湧き上がってきた。まだ時間は早いが、10時過ぎに西の空に沈んで行く上弦の月に備えてさっさと食事を済ませて6時過ぎには眠りに着いた。
上弦の月が西に傾く,22時半,起床.(というか,寝てないような・・・) 赤い明りは八ヶ岳のスキー場の明かり.左は富士見パノラマスキー場(たぶん.)
星のささやく森 月光に照らされた幹と枝,その向こうにオリオン座と冬の大三角形が輝く.
22時30分、寝たのか寝てないのかよくわからないうちに起床して外に出ると、沸き上がった雲はすっかり晴れて澄んだ星空が広がっていた。残念ながら樹氷の景色とはならなかった。西の空には上弦の月が沈んで行くところだった。オリオン座はもうすぐ南中しそうだ。カノープスを探したが、南の低空は相模湾にあたり、薄霧で星は見えなかった。三脚を担いで夕方見ておいたブナ林の中を撮影場所を探してさまよい歩く。月光の当たる幹と枝を写し込んで、空で囁くオリオン座と冬の大三角形を撮ることができた。
富士の上に昇る冬の大三角形とオリオン座
オリオン座と冬の大三角形 15mm diagonal fisheye(Sigma)
星降る富士山 30分露光
赤岩に戻り、今度は富士山の上に昇ったオリオン座と冬の大三角形を撮影する。画角は予想通りの良い位置で収めることができる。未明2時半まで撮影に没頭、といっても今回は秘密兵器のタイマー付きレリーズを持って行ったので、1分半おきに30秒でシャッターを切るように設定し、あとはカメラ任せでテントの中でお茶を飲み、暖をとりながら休む。オリオン座が沈む頃には30分の長時間露光にセットして、次は5時半ごろに南東の空に昇って来るさそり座撮影に備え、目覚まし時計をかけてまた寝る。
相模湾に昇るさそり座
夜明けの今倉山 空が鮮やかなオレンジに焼ける.
やっと寝付いたかと思った頃に目覚まし時計が鳴った。眠かったのでそのまま寝ていようかとも思ったのだが、次に来る機会はいつになるかわからないので、根性で起き出して南東の空に目をやると、薄明るくなった水平線の上にさそり座が尻尾を巻いて昇っていた。その下には相模湾の明りが見える。しかし・・・予想通り、さそり座を撮影するにはまだ時期が早い。そもそもさそり座は夏の星座なのだが、もうこの時期に見え始めているのだ。澄んだ空気の中で撮影するには、2月下旬から3月がベストなのではないだろうか。おそらく、金峰山でもさそり座はうまく写せなかったであろう。
富士山頂を薄ピンク色に染めて朝日が射し込む.
朝焼けに染まる富士
やがて今倉山の向うの空がオレンジ色に色付いてくる。そして、久しぶりに見るピンク色に色付く富士山。PLフィルターをかけて白とびしないようにマイナス補正して撮影したのだがそれでもなお山頂の雪の斜面は飛んでしまった。
すっかり日が昇った7時半、朝食をとる。そしてテント撤収、急ぐ必要もないのだが、寝不足で眠いので速攻で下山した。下山ルートは今倉山コルから沢ルートを下った。この道を通るのは2度目だが、初心者の頃に通った時は沢の横を通るルートを見落とし、沢筋を下りて結構苦労した記憶がある。今回は道を外さず順調に下山し、50分で林道に出た。
山頂に張ったテントに朝日が射す.斜めになってしまうがなんとか一張できる.
抜群の眺望の赤岩.日が昇ったところで,さて,下山.
樹氷にはならなかったが、久しぶりの澄んだ星空、そしてピンク色に染まる富士山を見ることができ、低山ながら満足な山上の一夜を過ごすことができた。毎度の事ながら、今回も眠い。
この日は冬の恒例、金峰山へテント担いで行く予定だった。長男を学校に送り届けて、甲府を8時半ごろに出発。瑞牆山荘の歩き始めが10時ごろになってしまうだろうが、山頂泊りなので時間的には問題ない。しかし、何となく気がすすまない。山頂から南アルプスに傾いてゆく冬の大三角形は、月が沈んだ後の絶好の条件で撮れる。しかしもう一つ、昨年4月に撮影できなかった五丈岩に傾くさそり座はまだ時期が早い。そして天気予報は・・・山梨県北部山沿いは気圧の谷の影響で雪になりそうだ。しかし、樹氷や岩氷になってくれれば願ってもない景色に出会えるかもしれない。しかし・・・何となく気がすすまない。いろいろ考えながら明野のハイジの村あたりを通過した時に、ふと気付く。またしても・・・忘れ物!! オーバージャケットが積んでいない。さすがに氷点下10度を下回るであろう2,600mの高地でフリース、ダウン、カッパだけでは体が持たない。やっぱり今日は金峰山には呼ばれていないようだ。甲府に戻り、明日下山後に予定していた仕事を午前中に片付けて自宅に戻り、まだ交換していなかったタイヤをスタッドレスに付け替えた。そしてオーバージャケットを車に積み込み、向った先は・・・道志山系今倉山だ。
3度目の今倉山山頂
ここは1時間半くらいで山頂まで登れるハイキングコースといっても良いレベルの山だが、御正体山と鹿留・杓子山の間に富士山が見える絶景地である。未明にその右側に冬の大三角形が沈んで行く。しし座流星群の日にこの山塊で撮影したかったのだが、平日だったので実現できなかった。今倉山のひとつ先のピークが好ポジションだが、左右の木がちょっと邪魔になる。さらにその先、松山(赤岩)というピークは邪魔するものがなく、この山塊で最高の眺望が得られる。昨年6月に歩き、なんとかテントが一張りできることも確認済みだ。
この日の富士山は雲におおわれて姿を現さず.
本日の宿泊地,松山(赤岩)
午後2時10分、道坂トンネルの駐車場から歩き始め、順調に1時間半で今倉山山頂に到着。富士山は雲におおわれて全く姿を見せない。さらに進んで御座入山のピークを越え、テント予定地の赤岩に午後4時20分到着した。テントを張る前にあたりのブナ林を見て回り、星空を入れて撮れそうな良い木がないか見て回る。夕方から天気が崩れ、場所によって雪の予報だったので、翌朝の樹氷を期待していると、5時過ぎ、東側の谷から真白な霧が山一面をおおうように湧き上がってきた。まだ時間は早いが、10時過ぎに西の空に沈んで行く上弦の月に備えてさっさと食事を済ませて6時過ぎには眠りに着いた。
上弦の月が西に傾く,22時半,起床.(というか,寝てないような・・・) 赤い明りは八ヶ岳のスキー場の明かり.左は富士見パノラマスキー場(たぶん.)
星のささやく森 月光に照らされた幹と枝,その向こうにオリオン座と冬の大三角形が輝く.
22時30分、寝たのか寝てないのかよくわからないうちに起床して外に出ると、沸き上がった雲はすっかり晴れて澄んだ星空が広がっていた。残念ながら樹氷の景色とはならなかった。西の空には上弦の月が沈んで行くところだった。オリオン座はもうすぐ南中しそうだ。カノープスを探したが、南の低空は相模湾にあたり、薄霧で星は見えなかった。三脚を担いで夕方見ておいたブナ林の中を撮影場所を探してさまよい歩く。月光の当たる幹と枝を写し込んで、空で囁くオリオン座と冬の大三角形を撮ることができた。
富士の上に昇る冬の大三角形とオリオン座
オリオン座と冬の大三角形 15mm diagonal fisheye(Sigma)
星降る富士山 30分露光
赤岩に戻り、今度は富士山の上に昇ったオリオン座と冬の大三角形を撮影する。画角は予想通りの良い位置で収めることができる。未明2時半まで撮影に没頭、といっても今回は秘密兵器のタイマー付きレリーズを持って行ったので、1分半おきに30秒でシャッターを切るように設定し、あとはカメラ任せでテントの中でお茶を飲み、暖をとりながら休む。オリオン座が沈む頃には30分の長時間露光にセットして、次は5時半ごろに南東の空に昇って来るさそり座撮影に備え、目覚まし時計をかけてまた寝る。
相模湾に昇るさそり座
夜明けの今倉山 空が鮮やかなオレンジに焼ける.
やっと寝付いたかと思った頃に目覚まし時計が鳴った。眠かったのでそのまま寝ていようかとも思ったのだが、次に来る機会はいつになるかわからないので、根性で起き出して南東の空に目をやると、薄明るくなった水平線の上にさそり座が尻尾を巻いて昇っていた。その下には相模湾の明りが見える。しかし・・・予想通り、さそり座を撮影するにはまだ時期が早い。そもそもさそり座は夏の星座なのだが、もうこの時期に見え始めているのだ。澄んだ空気の中で撮影するには、2月下旬から3月がベストなのではないだろうか。おそらく、金峰山でもさそり座はうまく写せなかったであろう。
富士山頂を薄ピンク色に染めて朝日が射し込む.
朝焼けに染まる富士
やがて今倉山の向うの空がオレンジ色に色付いてくる。そして、久しぶりに見るピンク色に色付く富士山。PLフィルターをかけて白とびしないようにマイナス補正して撮影したのだがそれでもなお山頂の雪の斜面は飛んでしまった。
すっかり日が昇った7時半、朝食をとる。そしてテント撤収、急ぐ必要もないのだが、寝不足で眠いので速攻で下山した。下山ルートは今倉山コルから沢ルートを下った。この道を通るのは2度目だが、初心者の頃に通った時は沢の横を通るルートを見落とし、沢筋を下りて結構苦労した記憶がある。今回は道を外さず順調に下山し、50分で林道に出た。
山頂に張ったテントに朝日が射す.斜めになってしまうがなんとか一張できる.
抜群の眺望の赤岩.日が昇ったところで,さて,下山.
樹氷にはならなかったが、久しぶりの澄んだ星空、そしてピンク色に染まる富士山を見ることができ、低山ながら満足な山上の一夜を過ごすことができた。毎度の事ながら、今回も眠い。