山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

小太郎山(平成19年10月20-21日) 2日目

2007年10月23日 | 南アルプス
 10月21日 天候晴れ
 朝4時半に目が覚める。日の出にはまだ1時間少々あるのでそのまま毛布を被って寝ていたが、もったいないので5時に起き出して三脚を持って外に出る。既に2~3人三脚を構えて日の出を待っている。私が狙うのは朝焼けに染まる雪の北岳斜面を入れた富士山。他の人たちが富士山と日の出に焦点を合わせている中、私一人だけ右側の北岳にカメラを向けている。5時55分、日の出を迎える。鮮やかな日の出だったが、思ったほど斜面は焼けずちょっとがっかり。6時過ぎに小屋の中に戻ると、すでに朝食が終わっていてあとかたもなく片付けられた後だった。朝食食べそびれたので、持ってきたパンを食べて済ませる。

       
          北岳の朝焼けと富士

 昨日一緒に登って来た美女3人組はアイゼンを持って来なかったらしく、雪の斜面を山頂まで登るのは危険なため、私たち3人組の軽アイゼンを貸してあげることにした。そのうちの1人は雪の斜面はどうにも苦手らしく、私たちと一緒に小太郎山に行くこととなった。広河原1時25分のバスで待ち合せにしたが、小太郎山は道がわかりにくいのでひょっとしたら間に合わないかもしれない。6時30分、小太郎に向けておっさん3人+美女1人で出発。ところどころ雪で通過しにくいところはあるものの、難なく小太郎尾根分岐に到着。


     朝の仙丈岳

 ここで余計な荷物をデポして小太郎山を目指す。ここから先は下りに若干の雪があるだけで尾根の大半は雪がない。尾根道はやはりわかりにくく、岩を巻いて行くところを岩の上を越えてみたり、上を行くところをハイマツの上を通過したりと、何か所か間違えたものの、結局どの道を行っても同じ場所に出る。いちばん低いあたりから小太郎山手前のコブを越えて行くあたりはハイマツの薮になっていて歩きにくい。さらに小太郎山目前のハイマツ帯は道に大きくハイマツの枝が被っていて、道が途中で無くなっているように見えた。ここで道を捜してしばしウロウロ、そんなことでコースタイム1時間20分のところを2時間近くかかって小太郎山に到着した。振り返って見る北岳は朝日で白く輝き、南アルプスの王者の威厳を放っている。大きな山体の仙丈岳、格好の良い三角錐を描くアサヨ峰越しの甲斐駒ケ岳、そして池山吊尾根の左に聳える富士山。360度のすばらしい眺望、訪れる人が少ないのも私の好みだ。


     小太郎山から見る初冠雪の北岳


     北岳初冠雪 実に壮大、王者の風格。

 さて、予定よりも30分ほどオーバーしているので早く戻らねば、と逸るのは気持ちだけでやはり小太郎尾根は歩きにくい。それでも順調に1時間30分で分岐点まで戻り、時間は10時30分だった。1時25分のバスにはぎりぎり乗れるかどうかといったところだ。腹が減ってきたが、ここはソイジョイとチョコレートで済ませて早々に下山する。右俣を足早に下り、約50分で二俣到着。ここで時間は11時30分、順当に下れば広河原までは1時間30分で到着できる。10分休憩してややペースダウンし、30分に1回の休憩を入れて歩き、無事1時10分、広河原に到着した。北岳に登った美女2人は先にバス停に到着していた。貸したアイゼンを返してもらい、そのうえ絵葉書のお礼までつけてくれた。たぶん、みなさん翌日は筋肉痛だったでしょう。私も2日間筋肉痛、しかも風邪をひく始末。


     美女とおやじ三人衆 小太郎山での記念撮影。楽しかったです。

 参考(にならない)タイム
1日目:広河原7:00-大樺沢二俣10:30-(右俣経由)-小太郎尾根分岐14:00-肩の小屋15:30
2日目:肩の小屋6:30-小太郎尾根分岐7:00-小太郎山9:50-小太郎尾根分岐10:30-(右俣経由)-大樺沢二俣11:30-広河原13:10
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初冠雪の北岳と小太郎山(平成19年10月20-21日) 1日目

2007年10月23日 | 南アルプス
 昨年の北岳初冠雪の時、偶然にも北岳山荘に宿泊していたのだが、強風とあられのような固い雪に見舞われ、大荒れの天候だった。しかしその翌日は稜線一帯岩氷と白い珊瑚のようなハイマツの林、もう二度と見られないのではないかというような凄い景色が待っていた。さて、今年はどうなのか。

 10月20日 天候晴れ
山梨百名山残り1桁台となった山口さんと植田さんを誘い、肩の小屋泊りで2人ともまだ行っていない小太郎山に行ってみる計画を立てた。ちょうど19日の金曜日、甲府はお昼ごろから雨となり結構な量が降ったが、天気予報では翌日の朝までには上りそうだ。宿泊予約を兼ねて午後4時過ぎ、北岳肩の小屋に電話すると積雪5cmだという。明朝までには15cmくらいの積雪が予想される。登ってみて雪が多ければ小太郎はあきらめるつもりで、右俣回りで肩の小屋を目指す。


     冠雪の北岳 青空とのコントラストが鮮やか


     大樺沢の紅葉と北岳

 5時10分の広河原行きバスに乗り、窓から農鳥岳を見ると上部は真白に雪を被っている。広河原に到着して北岳を見上げると感動、ダケカンバ林の上部から山頂が見事に真白、青空とのコントラストが眩しい。喜び勇んで歩き始める。大樺沢は紅葉しているものの、色づきはいまひとつだった。二俣の下で岩の上から紅葉と白い北岳を入れて撮影できそうな岩があり、その上に登って三脚を立てる。ここで同行した2人とは大きく遅れをとったため、2人には先に行ってもらうことにした。私は紅葉を楽しみつつ、午後4時に小屋到着するつもりで撮影を楽しみつつゆっくりと登る。二俣で女性3人のグループと一緒になったが、こちらも私と同じくらいにスローペース、抜いたり抜かれたりしながら登り、すっかり仲良くなったが、最終的には私のほうが遅くなってしまった。

     
        右俣の紅葉と冠雪


     ナナカマドの実と池山吊尾根

小太郎尾根分岐のあたりから積雪10cmほどとなり、風が強く結構寒い。幸いにも小太郎尾根には雪が無く、明日歩くには支障なさそうだ。それにしても見上げる白き北岳は壮大だ。これでこの山域5度目となるが、いつ来てもはずれたことがない、素晴らしい景色を見せてくれる。3時半、肩の小屋に到着。寝不足で登って来た植田さんは既にいびきを立てて寝入っている。しばし休憩後、夕暮れ時になってからまた三脚とカメラを持ってあちらこちらをブラブラ、あいにく狙っていた甲斐駒ケ岳はあまり焼けなかった。

      
       明日歩く小太郎尾根と甲斐駒ケ岳
 
 5時、夕食。焼肉が出たことに少し感動、それと初雪ということでワインが振舞われ、ご馳走になる。席の斜め向いに座っていたおじさん、既にだいぶアルコールが入っているようで、顔を真赤にしている。私が大好きな笊ヶ岳がどうもお気に召さないらしく、ちょっとした議論になる。ただの酔っ払いかと思っていたが、下山後にメールをいただき、この方のホームページを見てびっくり、沢あり、ロッククライミングあり、雪山あり、スキーあり、さらには山の上からパラグライダーまで飛ばすとんでもないクライマーだった。ヨセミテのロックの登攀経験もある。こんなことならもう少し仲良くして情報収集しておくんだった!と反省。


     北岳肩の小屋の夕暮れ
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抜き去られた茅ヶ岳標柱

2007年10月23日 | 八ヶ岳・秩父山系
 先日10月20-21日に北岳初冠雪を見に行き、下山後いつものように山ショップELKに立ち寄ったところショッキングなニュースが。9月1日に病院有志と登山仲間たちで立てた茅ヶ岳の山梨百名山標柱が抜き去られているという。ELKあてにメールで写真を送ってくださった方がいて、確認させてもらったところ、間違いなく私たちが立てた場所、しかも固めたセメントをわざわざ割って引き抜いたように見える。悪気があって抜くならばわざわざセメントを壊さずに根元で切り取るはず。これは標柱マニアの仕業なのか?それにしてもみんな標柱前で写真撮るのを楽しみにしているはずなのに、酷いことをするやつがいるものだ。目撃情報等ありましたらご連絡ください。とりあえず確認に行って、山の周りの林の中に捨てられていないか捜索後、無ければもう一度立てに行くつもりです。セメント20kgで抜かれてしまったので、次は30kgで固めます。何度でもやってやる!というのは意気込みだけ!?

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笊ヶ岳(2日目、平成19年10月7日)

2007年10月09日 | 南アルプス
 笊ヶ岳 2日目 10月7日 晴れ
 目覚まし時計を早朝4時に合わせておいたが、3時30分に目が覚める。テントの寒気窓から外を見ると、下弦の月と星(金星か?)が輝いている。外に出てみると、なんと素晴らしい景色、一面の雲海とそこに浮かぶ富士山、空には満点の星、今度は昨日とは逆に北東の空に北斗七星が昇っている。思ったよりも寒く、ダウンジャケットを着てさらにカッパを着て食事の準備をする。バルブ撮影もしたかったのだが、悪いことに電池を1個忘れてきてしまい、持ってきたスペア電池は充電していなかったらしく、使い物にならない。バルブ長時間撮影は電池の消費が大きく無理なので、Iso感度を1600まで上げて夜空の撮影を試みる。ここのところ山に登るたびに試みている撮影だが、まだ全くうまく撮れずにいる。月と星を入れた1枚だけはそこそこに見せられるものが撮影できた。
 やがて富士山の裏側の空がオレンジ色に焼け始め、しだいに色鮮やかに焼けてゆく。5時47分、富士山の左裾から太陽が昇り始める。雲海上の静かな日の出だ。ふと裏側の荒川三山を見ると何やら大きな山影が見える。均整のとれた見事な三角錐、影富士だ。ポジション移動、日の出の一時はいつも忙しい。そんなことをしながらあちらこちら撮影していると6時過ぎ、おはようございますと元気な声がする。昨日一緒に布引まで登って来た2人組のご夫婦。既に60歳は過ぎていると思われるご夫婦だが、実に元気、健脚だ。昨年も笊ヶ岳を目指して絵横手山まで登ってテントを張ったそうだが、雨のため下山し、今回はリベンジ登山だそうだ。裏に見える荒川三山も登っているそうで、小屋の位置など良く知っている。2~30分遅れてもう一組の3人組が到着。計6人で山頂からの景色を楽しみつつ山の話で盛り上がる。こちらの3人も山の経験豊富、女性の方は甲斐駒ケ岳黒戸尾根から仙丈岳、仙塩尾根、塩見岳までのルートを何度かに分けて踏破しているという。大門沢から広河内岳、笹山へと南下する白根南稜ルートや、塩見岳から蝙蝠岳を経て二軒小屋に下るルートなど、あこがれているルートは皆同じだ。

    
      笊ヶ岳山頂の朝。月と星、一面の雲海、そして富士。


    朝の静寂。見事な雲海だった。


    富士の左裾からの日の出


    荒川三山と影富士。右から荒川岳、赤石岳、聖岳が間近に見える。


    雲海上の日の出。昨年は雲が出て見られなかった風景。


    白根三山(左)と鳳凰三山(右)。尖った北岳が格好良い。


    八ヶ岳方面の眺望。山頂は360度の大パノラマ。この日は昼過ぎまで雲海上の景色が楽しめた。

 1時間ほど山頂で情報交換し、5人は布引山に引き返して行った。私もテント撤収し、下山の準備をしていると今度は椹島側から2人組が登って来た。最近そちらのルートはだいぶ整備されたと聞いているので状況を聞いてみると、2時間ほど下ると立派なテント場があるらしく、そこで水が汲めるのだそうだ。コースには倒木があるらしいが、通過には支障なさそうだ。さて、午前9時、山頂出発、長い下山だ。昨日の疲れが残っていて足取りが重い。絵横手から先は果てしなく長く感じ、膝はガクガク、踏ん張る力が無くなってしまい、なんと、4度もスリップして尻餅をついた。1度は横方向に1回転、ちょっと危なかった。広河原に午後2時45分到着。ここには私の好きなニンジソウという花が咲いているので、花の写真を撮ろうと思って三脚とカメラを持って行くと、何ともない場所でまたもやスリップ。気を引き締めて沢沿いの道を歩き、午後4時30分、ようやく駐車場に到着した。もちろん翌日は筋肉痛。体力を要する山だが、山頂の景色は抜群、辛いが、何度でも登ってみたくなる山だ。


    布引のガレから見る聖岳と小河内岳。

     
       広河原に咲いているジンジソウ。この花に会うのも楽しみ。


 参考(にならない)タイム
1日目:早川町老平7:10-一軒家7:45-広河原8:55-山の神10:15-絵横手山13:15(昼食)-布引山16:00-笊ヶ岳18:00 計10時間50分
2日目:笊ヶ岳9:00-布引山10:15-絵横手12:00-山の神13:55-広河原14:45-老平16:30 計7時間30分
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笊ヶ岳(平成19年10月6-7日)

2007年10月09日 | 南アルプス
 この季節は笊ヶ岳から富士山を見ると山頂近くに日の出の太陽が来るので、条件が良ければ真赤に焼けた朝空や雲海上の日の出とからむ富士が見られるはずだ。昨年はダイヤモンド富士を狙って登ったが日の出の時間に富士山の裏側に雲が出てしまい不発に終わっている。山頂からダイヤモンド富士になるのはあと3~4日遅い10日ごろなのだが、平日で行けないため、一足早く6日に訪れてみることにした。6月の鋸岳、9月の笹山に続いて今年スペシャリストの山3山目となるのだが、昨年登った時はどの山よりも体力的に大変だったという記憶がある。今年は果たして山頂まで行けるのか?累積標高差約2300mの長丁場だ。

 甲府を5時半に出発、コンビニに寄り、中央高速の双葉サービスエリアでガソリンを積んで行ったが、7時には老平の駐車場に到着した。中央高速から増穂まで行ける自動車道路ができたおかげで、早川町への移動はだいぶ早くなった。既に2台の車が停まっており、先に入山者がいるらしく、心強い。7時10分に歩き始める。林道終点の一軒屋まで約30分、ここから沢沿いの登山道になるのだが、広河原までの道は至って良く整備されている。ただ、タケ沢の吊り橋だけはグラグラ揺れてちょっと恐い。


    広河原への道。良く整備されている。


    タケ沢吊り橋。グラグラ揺れてちょっと怖い。

 順調に歩き、9時広河原到着し、徒渉する。水量は少なく、靴を少し濡らした程度で渡れた。対岸には先に入山していた1パーティー、3人組が休憩していた。軽く挨拶を交わし、3人組は先に出発していった。水を4Lほど汲み、10分ほど休憩して出発、いよいよ笊への登りだ。ザックもずっしりと重くなった。山の神まではジグザグのしっかりとした道があり、約1時間で到着。だが、その先から傾斜がきつくなる。頑張ってさらに1時間ほど登るとやや傾斜が緩くなり、ワイヤーやドラムが残されている造林小屋跡を通過する。このあたりで1ヶ所大きな倒木のため登山道が寸断されている場所があり、道がわかりにくいので注意が必要。さらに登って行くと、再び見上げるような急傾斜となり、そこを登りつめるとやがて緑鮮やかな苔が生い茂るシラビソやツガの林に入る。登山道の両側や古い倒木には苔がびっしりと生えており、踏むのが申し訳ない気さえする、静かで良い所だ。緩い傾斜を登って行くと、左手に2021m、桧横手山の看板が見えてくる。時間は午後1時15分、コースタイムよりは遅れているが、まあこんなものか。既にヘトヘト、布引山まではなんとか行けそうだが、山頂まで行けるかどうかかなり不安がある。広河原で会った3人組の前を行ったり後を歩いたり、ちょうど同じくらいのペースで登り、さらにもう一パーティー、2人組が桧横手山で追いついてきたので、計6人で布引山を目指す。


    山ノ神。広河原からここまでは良い道。ここから先が急登になる。


    桧横手山。テントを張るスペースあり。


    桧横手山の原生林。緑鮮やかな苔が生い茂る静かなトドマツやツガの林。

 絵横手から先は再び見上げるような急斜面だ。奮闘すること2時間30分、布引のガレの横を通過し、午後4時、ようやく布引山山頂に到着。5分ほど遅れて残り2パーティーも到着。みなさん布引山でテントを張るそうだが、私はどうしても笊ヶ岳山頂で富士山を見ながら眠りたいし、日の出の富士山を見たいという思いで、気力で笊ヶ岳山頂を目指す。布引からのコースタイムでは1時間20分ほどだが、布引のコル(標高2410m)から笊ヶ岳への登りはもう足が上らないくらいヘトヘト、なかなか先に進まない。5時半を回った頃には林の中はすっかり暗くなってしまい、ヘッドライトを点灯。こうなれば何時に着こうが同じ、と開き直り、しばし休憩を入れつつ登り、ジャスト6時、山頂に到着した。布引山からは1時間45分ほどかかった。
 西の空はすっかり日が沈み、うっすらと夕焼け空が残っている。東は一面の雲海で、時折大きな雲が流れ視界が遮られるが、小笊の上にうっすらと富士山も姿を見せている。空を見上げれば満点の星空、天の川が大きく流れ、北東の空にはカシオペア座、北西の低い位置には北斗七星が輝いている。明日の朝、雲海が残っていることを願いつつ眠りにつく。

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甲斐駒ケ岳、黒戸尾根 2日目(9月23日)

2007年10月01日 | 南アルプス
 2日目(9月23日) テント場~甲斐駒ケ岳山頂~下山 天候晴れのち曇り
 朝は山頂かあるいはその近くで日の出を迎えたいので、山頂まで2時間半として逆算すると、早朝3時から登りはじめないと到着できなそうだ。朝2時30分に起床し、持ってきたパンを食べ、朝3時、先頭を切って甲斐駒ケ岳山頂を目指す。古き信仰の道だけあって登山道はしっかりしていて、迷うことはなかった。8合目御来迎場の上には沢登りの人たちと思われる4~5人のグループがテントを張っており、朝4時のまだ暗い時間だというのに既に準備して出発目前というところだった。その先に大きな岩の横を通る急登の鎖場があり、暗い中で登るにはややスリルがあった。鎖場を過ぎたところで南の空にオリオン座がきれいに出ていたので、三脚を立て、カメラのIso感度を800に上げて星空の撮影を試みる。笹山でも試してみたが、やはり暗いのでピントを合わせるのが難しい。2~3枚撮影して帰ってきてからパソコンで見ると・・・とても人に見せられるものではなかった。もう少し勉強せねば。
 5時を回った頃にあたりが明るくなり、鋭く尖った北岳のシルエットや鳳凰山、さらにその向うに霞んで富士山が見えるようになってきた。日の出は5時50分ごろなので日の出前に山頂に到着できる時間帯だが、既に東の空は赤く焼け始めている。甲斐駒ケ岳へのハイマツ帯登りとなる手前の岩の上に三脚を立てるには絶好の場所があり、ここで日の出を待つことにした。富士山はちょうど鳳凰山地蔵岳オベリスクの真上に位置するという好ポジション、北岳は摩利支天を前景に、その左上に見える。朝焼けと雲海の上に浮かぶ鳳凰山、富士山に見とれながら写真を撮りつつ、露出をモニターで確認すると、何やらずいぶんと荒い画質になっている。先ほど星空を撮影する時にIso感度800にしたまま戻していなかったのだ。失敗失敗。感度を100に設定して撮り直したが、朝焼けの富士山はあっという間に終わってしまい、撮れたのは4~5枚程度。最初に撮影した10枚ほどは引き伸ばしてみせられるような写真にはならなかった。
 既に6~7人が私を追い抜いて山頂に登っていった。日が登った6時、三脚をたたんで山頂を目指す。この頃にはもう雲が湧き始め、富士山は見えなくなってしまっていた。6時30分、山頂到着。北岳や鳳凰山、仙丈岳など周辺の山がぐるりと見渡せ、良い眺めだ。しかし、ガスが多く、空気の透明度も悪く、良い写真にはならない。ラーメンを作って食べ、1時間ほど山頂で過ごして下山する。その間に昨日七丈小屋に宿泊した団体客2組が到着し、山頂はたくさんの人で大賑わいとなった。私もそうだが、黒戸尾根を登ってきて、みんな感動ひとしおのようだった。
 さて、下山。また長い黒戸尾根を駐車場まで戻らねば。景色を楽しみつつ下山して行くと、鉄剣の立った岩の上に代わる代わる登っている人たちがいたので、雲海と雲巻く鳳凰山を入れて写真を撮らせてもらった。私は岩登りと絶壁は得意ではないので(どちらかというと高所恐怖症の部類)登らずに通過する。9時テント場到着、ツエルト撤収し、9時30分、七丈小屋の小屋主、小田切さんにお礼を言って下山する。小田切さん、昨日の大盛況でだいぶ疲れておられる様子だった。すっかり曇り空に変わり、山の中は時折ガスに巻かれる。高度を下げるごとに変わってゆく森の姿を楽しみつつ、午後2時30分に竹宇駒ケ岳神社駐車場に到着した。車で甲府に戻る途中で小雨が降り出した。雨の降る前に下山していて良かった。黒戸尾根、距離は長いが、ハシゴあり鎖場ありの楽しい道だった。


   オベリスクの上に立つ富士


   雲海の彼方に浮かぶ


   日の出。右手の山塊は鳳凰山。  


   麻利支点と北岳


   賑わう甲斐駒ケ岳山頂


   鉄剣の岩峰に立つ(私ではありません)
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