山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

決着、ゼンマイ3種  令和2年4月26日

2020年04月27日 | シダの仲間
 前日も立ち寄っている昇仙峡であるが目的のヤシャゼンマイは良さそうな個体に出会えず、今回は再び長潭(ながとろ)橋付近の下流域に生育するこのシダを見に行く。こちらはそろそろ葉を展開している頃だろう。前回400㎜望遠レンズでは距離が足りなかったため今回は570㎜望遠レンズを持って行く。


    昇仙峡の谷を見下ろす。


    100㎜マクロで撮影。先日確認したヤシャゼンマイは葉を展開している。


    570㎜望遠。こちらはまだ葉が赤っぽい幼弱な個体。


    こちらが胞子を蓄えて葉を展開している若いヤシャゼンマイ。


    固まって生育している場所ではワサワサした感じで生えている。


    胞子穂と若葉


    注目すべきはこの葉の形である。長楕円形で先端は丸みがあり、柄が付いている。

 周辺を探したがゼンマイらしきものが見つからない。もう1ヶ所、昨年ゼンマイを見ている千代田湖のほとり、白山にゼンマイを見に行ってみる。


    白山に生育していたゼンマイ。胞子穂が出ているがまだ葉を十分に展開していない。


    別の個体。こちらはまだ若くて胞子穂が無い。


    葉に注目。長三角形型で先端はやや尖っている。なによりも、葉に柄が無い。

 そして改めて昇仙峡で見てきたもうひとつのゼンマイを見直してみる。


    昇仙峡の道路脇に生えていたゼンマイ。まだ幼弱で葉を十分に開いていない。


    こちらは葉を全開している個体。胞子穂は出ていなかった。


    葉に注目。長楕円形であるが先端部はやや尖っている。そして葉に柄が付いている。

 これが交雑種のオオバヤシャゼンマイである。春のうちに確認しておきたかったこの3種類のゼンマイはこれにて決着である。


    ヤシャゼンマイの葉。長楕円形、先端は丸く柄がある。ちなみに生えているのは水際の岩壁。


    ゼンマイの葉。形は長三角型、葉の先端は尖り、柄が無い。生育場所は森の林床。


    オオバヤシャゼンマイの葉。長楕円形だが先端はやや尖り、柄がある。見たのは渓谷沿いの道路脇。

 シダの中でも分かってしまえば比較的分かりやすい3種類だと思う。

 見ておきたかった白山の花は他にもいくつかあった。


    ちょうど見頃だったカイイワカガミ


    花付きが良いものもあるのだが・・・


    全体の個体数はかなり減少している。斜面の崩落と下草が減少して山肌が乾燥してしまったことが原因と思われる。


    トウゴクミツバツツジにしては色が赤紫で変わっていると思っていたのだが、やっと正体が分かった。


    これはダイセンミツバツツジであろう。山梨県ではこの周辺に咲く絶滅危惧種(Ⅱ類)になっている。

 花散策が終わった時刻は午後6時になってしまった。さほど歩いたという気はしないのだが、何かとても疲れた1日だった。茅ヶ岳の疲れを少し引きずっている気がしていたが、家に帰って焼き肉を食べたらすっかり元気回復、単純に軽い脱水だったようだ。
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沢沿いに咲くネコノメソウ属と峠に咲くスミレ  令和2年4月26日

2020年04月27日 | 山に咲く花
 前日に続いて本日も人の居ない沢沿いを歩いて峠まで行ってみる。単独行動、かつ山頂無しの散策である。沢を登るといっても渓流釣りの人たちが遡上するレベルの沢でさほど難しい滝も無く穏やかな沢である。途中からは林道に登り上げて峠まで行く予定である。本日から林道ゲートが冬期通行止め解除になる予定だったのだが、非常事態宣言で変更となり5月中旬までは開かないことになっていた。ゲートのところまで行って知ったが、これは想定した範囲内である。


    朝の清涼な沢。まだ朝日が差し込んできたばかり。


    ハナネコノメソウ。もう終盤である。


    こちらのハナネコノメソウももう終盤。


    ピンク色のハナネコノメソウだったようで、新鮮な姿を見られなくて残念。


    コガネネコノメソウ


    ニッコウネコノメソウ


    ニッコウネコノメソウ


    ツルネコノメソウ


    ツルネコノメソウ


    清流に咲くヤマエンゴサク


    清涼な流れは途中で二手に分かれている。

 途中で沢は2手に分かれ、さらに何本かに分かれて山の斜面に続いている。左側の沢に入れば林道に沿って登ることになるのだが、入ったことのない右側の沢に入ってみる。


    右手の沢に入って間もなく流れは細くなる。この先はあまり花は無さそうである。尾根を越えて隣の沢に入る。


    隣の沢はもう源頭を超えて水は流れていなかった。


    源頭付近に咲いていたヒナスミレは紫色が濃くて綺麗だ。


    白いエイザンスミレ


    炭焼き窯の跡がいくつかあり、ところどころ道が残っていた。

 本流に戻ってもう少し遡上し、林道に乗り上げてさらに歩く。沢の中をうろついたこともあるが、峠に到着するまで3時間ほどかかった。


    会いたかったのはこのスミレ。


    葉がギザギザした交雑のスミレ、オクタマスミレ。


    オクタマスミレの群落。おそらく山梨県最大の群落だろう。


    花の色はヒナスミレに似ているが少しふっくらしている。満開のちょうど見ごろだった。


    今年も沢山咲いてくれて良かった。存分に楽しませていただいた。


    白花のヒナスミレにも出会った。

 そろそろ見ごろを迎えているだろうと思い、林道が開くのを待っていたのだがコロナの影響で開かなかった。そのおかげもあって、本日は誰にも会うことは無く静かな散策となった。もう1種類、交雑スミレらしきものがあるのだが葉を確認したのみで花は咲いておらず花芽も付いていなかった。来年以降、咲いてくれることを期待したい。
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昇仙峡のシダを探索  令和2年4月25日

2020年04月27日 | シダの仲間
 昇仙峡の渓谷道は意外と距離が長く、下流の長潭橋(ながとろばし)から仙娥滝まで歩くと5.4㎞もある。前回は長潭橋周辺域を散策してヤシャゼンマイを見て廻ったが、対岸の遠い位置にしか生育しておらずとても近付けそうも無い。そこで、もう少し至近距離で見える場所は無いものかと今回は中流から仙娥滝までの約1.5㎞を探索してみる。


    見上げる羅漢寺山


    葉が開いたばかりのイヌワラビ。この季節の夏緑生シダは新鮮である。反面ソーラスが付いていないので判別が間違っているかも知れない。


    こんな道路脇の石垣にこのシダがたくさん。


    ゲジゲジシダ


    オクマワラビと思われる。ソーラスの形跡が全体の真ん中あたりまで付いていた。


    鱗片は黒っぽくてやや細め。


    こちらがたぶんクマワラビ。先端の部分にしかソーラスの形跡が付いていない。


    鱗片は茶色で幅が広い。


    こんなところに生えるのはほぼオオイタチシダである。


    細くて黒い鱗片。リョウトウイタチシダの鱗片とは明らかに違う。なんとなく区別が分かって来た。


    これまた判別が難しいトウゴクシダ。葉に光沢があり鮮やかな緑色である。


    鱗片は薄いが、芽吹きの芽を見ると真っ黒な細い鱗片がたくさん付いている。成長すると脱落するらしい。


    ソーラスは中央部から外側に向かって付着する。


    幼弱なイヌシダ。芽吹いた茎に毛がたくさん生えている。「イヌ」というのはそこいらで普通に見かけるという意味で使われるらしい。


    ゴソゴソと生えているこのシダは何?


    真っ黒な鱗片


    この形は、おそらくキヨタキシダと思われる、三日月型の細いソーラスが確認出来れば確実だが夏以降になりそうである。


    覚円峰


    さて、双眼鏡で覗き込みながら対岸の目的のシダを発見。あまり数は無かった。


    ヤシャゼンマイ。胞子穂が確認出来るが葉はまだ全開していない。やはり距離が遠く、200㎜望遠ではこれが限界。

 昇仙峡界隈にはゼンマイの他にこのヤシャゼンマイと交雑のオオバヤシャゼンマイが生育しているらしい。まだその3種類の区別が出来ておらず、新鮮な個体のうちに確認しておきたいと思っている。今回はこちら側に生育しているヤシャゼンマイを期待していたのだが残念ながら出会えなかった。また出直しである。


    新緑の仙娥滝。駐車台数を制限して規制中ではあるがそれなりに人に出会った。

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4種類のネコノメソウ属が咲く渓谷を歩く  令和2年4月25日

2020年04月27日 | 渓谷
 コロナウィルス感染拡大防止のため非常事態宣言が出され、登山の自粛が要請されている。山梨県の登山道も入山が規制されているところが多数ある。まず散策する場所を選択する私自身の基準のひとつがメインルートでは無くて人が居ない場所を選ぶこと、そして一人で出かけること、かつ山頂は避けるということである。そう考えると、ほとんど単独で入山していてマイナーな場所が多い私にはあまり影響が無いのかも知れない。そして最も注意しなければならないのは決して遭難しないということである。こんな非常時に人に迷惑をかけてはいられない。なので難しい場所ならば即座に撤退すること、これが最も重要だと思う。

 昨年も歩いているマウントピア黒平周辺の沢を散策に出かけてみる。甲府市の施設であるマウントピア黒平は現在休館中でありあまり人は居ないはずである。駐車場は半閉鎖状態だったが3台ほど車が止まっており、いずれも山梨県ナンバーだった。1台は管理人さんの車のはずである。施設の建物に挨拶に立ち寄ってみるが残念ながら不在だった。


    桜が満開のマウントピア黒平。施設は休館中である。


    ヒナスミレが咲く。


    エイザンスミレ


    エゾアオイスミレはもう痛みかけていた。


    白いヒナスミレ


    薄紫色のヒナスミレ


    ニリンソウはまだ咲き始め。だいぶ数が減ったように見受けられる。


    渓谷に咲くコガネネコノメソウ


    コガネネコノメソウ


    ニッコウネコノメソウ


    花が平開するニッコウネコノメソウ


    ニッコウネコノメソウと渓谷の流れ


    ツルネコノメソウ


    倒木が多く歩きにくいので避けていた場所に入ってみる。


    右側から滝が流れ込む。本流は左側。


    ニッコウネコノメソウと滝


    コガネネコノメソウ


    この先は倒木で荒れていて歩きにくい。左側の土手を登って登山道に抜け出る。

 何度も歩いている渓谷なので少し靴を濡らした程度で上流部まで登って来た。あと20分も登山道を歩けば源流になるが、途中の支脈に2本ほど入ってみる。


    1本目の支脈は伏流になっており、遡上するとすぐに水が流れ始める。


    コガネネコノメソウ


    ハナネコノメソウが咲く岩壁


    ハナネコノメソウ


    ツルネコノメソウ


    滝に出る。右側にマウントピア黒平の取水ホースが付いており左右にロープが取りつけられていた。

 ロープが付いているので滝を越えることはさほど難しくないが、もしものことがあると大変である。一応ザイルは持って来ているがこの場所まででこの沢は撤退する。帰り際にマウントピア黒平の管理人さんと出会い、この滝の上にある取水口までは行けるそうだがその先は難しいようである。次の沢に入るが、この沢は一昨年八丁平まで登り詰めており、勝手知ったる谷である。


    広い谷の中はハシリドコロがたくさん茂っている。


    赤紫色のヤマエンゴサク


    咲き残っていたハナネコノメソウ


    ハナネコノメソウ


    右岸の滝。この岩壁に何か変わったものがあるのではないかと期待してきたが何も無し。ここまでで本日は撤退。

 今年もたくさんのネコノメソウ属の花たちが咲いてくれた。ここは支脈も含めて植生豊かな素晴らしい渓谷である。昨年歩いた際にニッコウネコノメソウかヨゴレネコノメソウか判断できなかった群落があったのだが、どうやらニッコウネコノメソウのようだ。日当たりの悪い場所だと葉が茶色くなるようである。渓谷の岩壁に何か変わったシダが付いているのではないかと期待しての今回の散策だったが、何も目ぼしいものには出会えなかった。登山解禁となったら、升形山や黒富士の岩壁を探索してみたいと思う。
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オキナグサ咲く 茅ヶ岳  令和2年4月22日

2020年04月23日 | 山に咲く花
 保護柵を設置して食害から守っている茅ヶ岳のオキナグサであるが、今年は柵の設置に行っている余裕が無く解除されてそのままになっている。おそらくもう咲いてしまっているだろうが、無事に咲いてくれたのだろうか?ずっと気になっていた花を、午後から年休をとって見に行ってみる。時間があれば柵の設置が可能かも知れないので、一応ポール10数本と岩盤に穴を開けるためのインパクトドライバー、ハンマー、ノミなどもザックに詰め込む。かなりの重さになってしまい、息を切らせながら茅ヶ岳の尾根道を登る。


    アケボノスミレ


    エゾアオイスミレ


    色の濃いエゾアオイスミレはもう痛み始めていた。


    ヒゴスミレ


    ヒゴスミレ


    茅ヶ岳の防火帯尾根


    センボンヤリ


    防火帯尾根に咲くヒゴスミレはだいぶ数が減ってしまった。


    目的地が見えてきた。


    試練の急登。

 3時間少々で目的地に到着した。まずは解除されている保護ネットとそれに結んであるポールを取り外す作業をしなければならない。この作業がかなり大変で、ポールを取り外しさらには絡んでいるネットを分離する作業だけで2時間ほどかかってしまった。


    ネットからポールを外す作業がほぼ終わったところ。絡みついたネットを分離する。


    時刻は5時半を過ぎてしまいもはやネットの設置作業は困難となる。ネットとポールを纏めておく。折れて使えないポールは持ち帰る。

 ネットとポールを分離して纏めたところで時刻は6時近くとなってしまい撤退することとした。今年は保護柵の設置は困難ということになってしまったが、オキナグサは食害に遭うことなく無事に咲いてくれていた。


    無事に咲いてくれた茅ヶ岳のオキナグサ


    花数も昨年と変わらない。


    食害に遭った様子は無い。ひとまずは安心した。


    上を向いて笑うオキナグサ

 今年は保護柵設置が間に合わずになんとか咲いてくれたが、毎年無事に咲いてくれるとは限らず、今年が幸運だったと思うべきなのだろう。キンポウゲ科の花は基本的に毒草なので、花が咲いてしまえば食害に遭うことは少なく、出始めの芽と蕾が食害に遭う。ここ数年は花の開花が早く、3月のうちにはネットを張る作業を行っておかなければならないのだろう。しかし、この場所は風が強く吹き付ける場所で年を越してネットを張っておくことは今の保護柵では困難である。毎年修復かやり直しに行くことになるのであろうが、かなり大変な作業である。


    夕陽を見ながら下山。


    駐車場到着は午後8時になった。明るい金星が西の空に輝く。


    ボンネットとフロントガラスに映るトリプル金星。

 心配していたオキナグサだがひとまずは無事に咲いてくれて一安心である。
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沢沿いに咲くネコノメソウとスミレたち他 甲斐市北部  令和2年4月19日

2020年04月20日 | 里に咲く花
 未明3時起きで撮影に出かけたのでさすがに眠い。しかしもう1ヶ所どうしても行ってみたいところがあった。富士山麓から峠を越えて甲府盆地が見えるところまで来た時には時刻は午後3時を過ぎていた。しかし、高速道路を使って移動すれば2時間くらいは散策出来そうな時刻である。ガムを噛みながら眠気と闘いつつ、甲斐市の奥にある沢を訪れてみる。コガネネコノメソウが見ごろを迎えているので見たいということもあるのだが、それ以上に花仲間が山梨県ではほとんど見かけることが無い花を見つけ出してきてくれた。10年くらい前に茅ヶ岳の登山道で一度だけ見たことがあるがその後は絶えてしまったのかお目にかかっていない花である。


    ヒナスミレは満開を少し過ぎた頃で、痛み出している花が多くなっていた。


    エイザンスミレは咲き始めたばかりである。


    葉がギザギザの交雑スミレは残念ながら今年も花芽を付けていない。


    変わりもののヒナスミレが1株だけ咲いていた。花弁の色が薄紫色である。


    距は白い。おそらくはシロバナヒナスミレの一種であろうと思われる。来年も咲いてくれるかどうか?


    コガネネコノメソウは見ごろを迎えていた。


    まばらだが、数は結構あるコガネネコノメソウの花園


    渓流に咲くコガネネコノメソウ


    沢沿いにもそこそこに咲いている。


    沢沿いに咲くコガネネコノメソウ


    ハナネコノメソウはもう終わりかけである。


    渓流の流れに咲くハナネコノメソウ


    かろうじて葯が残っている。

 さて、花仲間に電話して珍しい花の在り処を詳細に聞いて現地に行ってみる。あっさりとその花は見つかったが1株しか咲いておらず、聞いた個体とは別のものを見ているのかも知れない。


    見たかったのはこの花。


    キバナノアマナ。


    絶滅危惧種には入っていないが、山梨県ではほとんど見かけることが無い。


    やや黄緑色がかった黄色い花。花の柄はいかにも華奢な感じがして、この個体も既に倒れていた。


    こちらは既に花柄が千切れて無くなっていた個体


    周辺には花を咲かせていない若葉が数本あった。全部で10株は無いのではないかと思う。

 沢の近くに生育していたのでさらに周辺の同じような環境の場所を探せば生育している可能性は高いと思う。しかしこの花、華奢で細いうえに周辺の景色に溶け込んでいて目立たず、その気で探さないと見つからなそうである。生育していることは分かったので、次からこの界隈の沢に入る時は注意しながら歩いてみたいと思う。貴重な花情報を提供してくれた花仲間に感謝である。
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富士北麓を散策 令和2年4月19日

2020年04月20日 | 山に咲く花
 春先にこれほどの澄んだ青空が広がる日は珍しい。富士山麓を吹く風はまだ少しばかり冷たいが散策するには絶好の日和である。恒例となっている樹海の森に咲く着生ランを見に行ってみる。高い木の上に咲くこの花は午後になると日が陰ってしまい撮影が難しくなる。かつ、風で木が揺れると画像がブレてしまう。超望遠レンズでの撮影は条件が難しい。


    まだ早いのではないかと思っていたが、もう咲いていたベニカヤラン。


    七分咲きといったところだろうか。


    風が比較的穏やかで陽が当たってくれていたので、シャッタースピードが速くブレも少なくて撮影が出来る。


    トリーミング画像。いつも撮っている株はいつもと同じように花を咲かせていた。上側に子分が増えたようだ。


    こちらもいつも撮影しているツリシュスラン


    花芽が見えていない。周辺の苔が脱落して風前の灯といった様相である。今年は咲かないのかも知れない。

 樹海の森の中にシダを散策に出かけてみる。樹海の森ではまだ春早いこの季節には花はほとんど咲いていない。


    いつもの場所にいつものように1株だけ生えているオオクボシダ。何株か生えている木があったのだが探しても見つからず、脱落してしまったかも知れない。


    木の幹に着生したコケシノブの仲間


    全体的に立ち上がるように着生しており軸から分岐する裂片の角度が広い。ホソバコケシノブと思われる。


    難しいのがこのイタチシダの仲間。


    基部の細い鱗片


    ソーラスはやや大き目


    トリーミング。中間部の鱗片は根元が袋状である。おそらくこれはヤマイタチシダと思われる。


    本日見たかったのはこの苔の生えた岩に生えるシダである。もう芽吹いているだろうと思ったのだが、残念ながら何も出ていなかった。

 見たかったウサギシダ(アオキガハラウサギシダ)の新芽はどうなっているのか見てみたかったのだが、残念ながらまだ何も出ていなかった。コイチヨウランが咲く頃に再訪してみたいと思う。

 もう1ヶ所、この季節にどうしても見に行ってみたい場所があった。まだ見たことが無い少し変わったリンドウが咲くらしいのだが、広大な草原の中のどのあたりに咲くのかは全く情報が無い。見つからない可能性が高いのだが下見だけでもしておかないと探せない。


    広大な草原は野焼きが行われたばかりで、まだいぶ臭さが残っていた。


    それにしても今日の富士山は真っ白で凄い。距離が近付くとなおさらその凄さが際立つ。


    まだ何も咲いていない道路


    ヒロハノカワラサイコの葉


    咲いているのはこのキジムシロくらい。期待していたリンドウは、まだフデリンドウさえ生えていなかった。


    樹林の林床を散策してみる。


    ネコノメソウ属が少し咲いていた。


    どうやらニッコウネコノメソウらしい。

 野焼きが行われたばかりの草原はまだいぶ臭さが残っており、少しだけ草が生えているだけで焼かれていない場所にキジムシロが咲いているだけだった。まだ時期的に早いのであろう。コケリンドウという珍しいリンドウがこの草原に咲くらしいのだが、見つかるのかどうか?日曜日にしか入れない場所なので散策にも制限がある。いつか見てみたいものである。






    
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朝霧高原周辺の春の花散策  令和2年4月19日

2020年04月20日 | 里に咲く花
 田貫湖のダイヤモンド富士を早々に切り上げて朝霧高原に移動する。野焼きで黒く焼けた広大なカヤト野原とその向こうに立つ真っ白な富士山は対照的で、雪を湛えて真っ白になった富士山の白さがさらに際立って見える。この季節にこれだけ白くてクッキリした富士山を眺めるのも珍しい。時刻はまだ7時前であるが、さっそく花散策に出かける。4月初旬にも一度訪問しているがまだ少ししか咲いていなかったスミレを見に行ってみる。


    野焼きしたカヤト野原の向こうに聳え立つ白い富士山


    見たかったのはこの黄色いスミレ。前日の雨で少し泥を被っている。


    満開直前といった感じである。


    鮮やかな黄色のスミレ


    朝日を浴びる


    横顔


    野焼きの後の野原に咲くたくましいキスミレ

 場所を移動して、こちらも4月初旬に訪れている場所を再訪してみる。おそらく、満開になっていると思うのだが?


    この小さくて白い花がだいぶ増えていた。


    セントウソウ


    咲き始めのまだ小ぶりなニリンソウ


    会いたかったのはこの花。しかしまだ陽が低くてお目覚めでは無い。


    半開きのトウゴクサバノオ


    日当たりの良い場所を探すと開いている花があった。


    小さな可愛らしい花


    全開のトウゴクサバノオ


    セントウソウとトウゴクサバノオ


    満開で花数は増えていたが必ずしも花を開いてくれているわけでは無いことが分かった。

 花もなかなか思うようには写真を撮らせてくれないものである。満開で全開のトウゴクサバノオを朝の斜光線で撮ってやろうと思ったのだが、この花は少し気むずかしいところがあって陽が当たらないと開いてくれないようである。またの機会に撮り直してあげたい。
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月とダイヤを追いかけて 田貫湖他  令和2年4月19日

2020年04月20日 | ダイヤモンド富士
 前日と本日は長者ヶ岳でダイヤモンド富士になる日だった。しかし前日は天候悪く朝から雨、午後になって雨が上がり青空が広がった。明朝はおそらく絶好のダイヤモンド富士日和になるだろう。しかし、テントを担いで山頂泊するほどの元気は無く、かといって車中泊して未明から登るほどの気力も出ない。コロナの感染リスクは単独で山に登るのならば安全だろうとは思うのだがやはり気が引けてしまう。ならば下から狙ってはどうか?ということでダイヤの位置を調べてみると、田貫湖の左端でギリギリでダイヤモンド富士が狙える。撮るならば、もちろん剣ヶ峰から昇るティアラ狙いである。その前に月齢26の細月が昇って来るので、朝霧高原道の駅付近から剣ヶ峰に昇る細月を撮影してから田貫湖ダイヤモンド富士を狙うという作戦をとる。未明に起きられるかどうかが一番心配だったが、11時に寝てなんとか未明3時に目が覚めた。


    朝霧霧高原道の駅に行く前に精進湖に立ち寄る。ちょうど月が昇り始めたところだった。


    富士山の上に輝くのは右から木星、火星、土星である。右側には天の川が見える。

 薄明の精進湖の景色が素晴らしく、ちょっと立ち寄りのつもりが少し長く居過ぎた。急いで場所を移動するが途中から見る月はもう富士山の山頂と同じくらいの高さまで昇っているように見える。現地到着して大急ぎでカメラとレンズを揃えて撮影地に向かうが、残念無念、その途中で剣ヶ峰の脇に月が姿を現してしまった。数分の差で月の出に間に合わず。


    月齢26の月が剣ヶ峰の上に現れた。この月を剣ヶ峰と重ねて撮るはずだったが、数分の差で間に合わず。


    地球照の月になるはずだったが、暗めに撮ってもこの月は微妙に地球照の月にはならない。時間的なことと少し太めの月であることもあるだろう。


    それなりに良い情景ではあるが、狙った獲物は逃してしまった。

 次の田貫湖ダイヤモンド富士まではまだ1時間以上時間がある。コンビニに立ち寄って朝食をとってから現地に向かう。まだ真ん中までは太陽が来ないことと非常事態宣言であまり人は来ていないだろうと思っていたのだが、想定外に駐車場は満車で止まれず道路までずらりと車が並んでいる。手前にある神社の駐車場が辛うじて空いていたのでそこに車を止めて撮影地に向かう。座標点には既に先客あり、装着している装備から見てティアラ狙いでは無いようである。わずかに位置がずれるがその脇でカメラ3台をセットする。ちょうど前方に桜の花が垂れ下がっていてこの場所はカメラマンが避けたようである。ならば、その桜を前景に入れてダイヤを撮ってみよう。


    桜と富士山。太陽は右端の剣ヶ峰から昇って来る。うまくダイヤが撮れますかどうか?


    Borg200mm。雪煙が多過ぎる。おそらくティアラは無理だろう。





    やはり雪煙に阻まれて光芒は出ず。




    1140㎜は装着するフィルターを間違えたこともあるが全く光芒は出なかった。


    普通に撮ったダブルダイヤはそれなりに写った。インターバルタイマー3秒の連続撮影。


    桜とダブルダイヤモンド富士。左側のコブシの花のように見えるのは若葉。

 ティアラは富士山を見た時の予想通りに失敗に終わった。天候だけでなく風や霞などの気象条件に大きく左右されるティアラはやはり撮影は難しい。これから本格的な田貫湖のダイヤモンド富士が始まるのであるが、例年通りに大混雑するのだろうか?屋外だから感染リスクは低いかも知れないが肩を触れ合うほどに混雑するのは怖い気がする。
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これがリョウトウイタチシダ? 昇仙峡界隈のシダを巡る  令和2年4月12日

2020年04月16日 | シダの仲間
 午後からの雨を想定して朝から花巡りを始めたのは良かったが、帯那山は林道が閉じているうえにカメラを忘れて撤退、交雑スミレを見に行ったが花が咲いておらず撤退、カタクリとアズマイチゲを見たところでガソリン切れとなって一旦甲府の市街に戻り再出発である。時刻はもうお昼を過ぎていて空模様も少し怪しくなってきた。空模様に関係無く咲いている花を巡るならばスミレかネコノメソウ属である。この季節に恒例になっているマウントピア黒平周辺のネコノメソウ属を見に行くが、昇仙峡を過ぎて荒川ダムを通り過ぎたところでなんと野猿谷の道路が工事のため通行止めになっていた。戻って夫婦木神社側から行くことは出来るのだが気が変わって途中から峠を越えて高成川上流を見に行ってみる。昨年ハナネコノメソウとコガネネコノメソウが生育しているのを確認しているのでもう少し広範囲を調べてみようと思ったのだが途中が工事中で沢に下りるには気が引けたためそのまま林道を通り抜けて昇仙峡まで抜け出てしまった。空模様はますます悪くなりすぐにも降り出しそうである。行ける場所はもう限られてしまい、以前に一度師匠に案内していただいた昇仙峡のリョウトウイタチシダをもう一度じっくりと見てみることにした。このイタチシダの仲間は区別するのがたいへん難しく、リョウトウイタチシダとオオイタチシダの区別は未だに良く分からないし、さらにはヒメイタチシダに関してはもっと分からない。おそらく今回見直したとしても自信を持って見分けるレベルには遠く至らないであろう。


    高成川沿いの林道を走ったついでに立ち寄った細草神社。こんな山奥に集落があるとは知らなかった。


    昇仙峡に行く前に支脈の塔岩川入り口を散策。ニリンソウ咲く渓谷。


    林道脇に咲いていた鮮やかなスミレ。園芸種のビオラソロリア・プリセアナ。


    渓谷に咲いていたタチツボスミレ


    昇仙峡とよく似た環境なのでこちらにもリョウトウイタチシダがあるはずである。たぶんこれがそうではないだろうか?


    黒くて平べったい鱗片。たぶん間違い無いと思うが、オオイタチシダはどうだったか、思い出せない。


    ソーラス

 塔岩川に生えているものもリョウトウイタチシダだろうとは思うのだが、オオイタチシダとの区別がいまひとつである。本命の昇仙峡を見に行ってみるが、いよいよ小雨が降り出してしまい傘を持って観察に行く。


    これは間違い無くリョウトウイタチシダのはずである。半分痛んでいる。


    リョウトウイタチシダ。これを見ただけではオオイタチシダとの区別は全く分からない。


    黒くて平らな鱗片。これがリョウトウイタチシダの特徴のはずだ。


    ソーラスの付き方は何か特徴があるのか?イタチシダの仲間はほとんど同じに見える。


    まだ葉が若い別株。下向き最下小羽片の発達が悪くて別物のように見えなくもない。


    鱗片を見ると、青くて若いほうは茶色い鱗片が混じっているが成熟して枯れかけたほうは真っ黒な鱗片。これもリョウトウイタチシダだろう。


    ソーラスは中軸側から付着するようだ。


    まだ観察不十分で自信を持って同定が出来ないイタチシダの仲間。これを見極められるようになるのはずっと先のことになりそうだ。

 他にも見ておきたかったシダがいくつかあり、特にゼンマイの仲間はこの場所には普通のゼンマイのほかにヤシャゼンマイが生育しておりさらにはその交雑のオオバヤシャゼンマイも生育しているはずである。師匠に解説していただいたがまだ枯れた葉しか見ておらず自分の目で確かめてみたい。


    道路脇の岩壁に生えているトキワトラノオ


    渓谷を見下ろす岩壁にもたくさん生えていた。


    オサシダと赤い芽吹きの葉


    まだ葉を展開していないがおそらくゼンマイと思われる。


    葉の形に特徴があるのだが、ゼンマイとオオバヤシャゼンマイの区別がもう少し観察してからでないと断定できない。


    ヤシャゼンマイは生育場所に特徴があり、渓谷の水際を好んで生育する。


    対岸の岩棚に生えているヤシャゼンマイ。まだ芽吹いたばかりである。赤い葉が栄養葉、緑色が胞子葉ではないかと思う。


    淵の際に生えているヤシャゼンマイ


    400㎜望遠で捉えたヤシャゼンマイと、おそらくはリョウトウイタチシダ。

 ゼンマイは他の場所でも普通に見られるであろうが、ヤシャゼンマイやオオバヤシャゼンマイを近くで見るには渓谷に下りるか、別の場所で探す必要がありそうである。あと1ヶ月もすれば葉を大きく展開しているであろうから、その頃にもう一度良く観察し直してみたいと思う。イタチシダの仲間は・・・難しくて判別出来る気がしない。イノデの仲間も同様である。
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復活したカタクリ群落 敷島カタクリロード  令和2年4月12日

2020年04月14日 | 里に咲く花
 この日も午後から天候が崩れる予報である。前日と同じく早朝からスミレを中心に花巡りの計画を立てて、朝6時に目を覚ましてまずは帯那山のシハイスミレとゲンジスミレなどを観察に出かける。現地の近くまで車が入れるはずだったが、今年はかなり手前で林道が閉鎖になっていて通れなくなっていた。ならば登山道を使って林道を短絡する作戦に出るが・・・準備して登山靴を履いていざ出発!というところでとんでもない忘れ物をやらかしたのに気付く。カメラを置いてきてしまった。別のカメラもあるにはあるのだが、小さなシハイスミレを接近して撮影するには77㎜口径のレンズでは接写が困難である。心くじけて一旦自宅に戻る。時刻は8時を過ぎてしまった。こんな日はたいてい良いことは無いものである。次の目的地に葉のギザギザした交雑スミレを見に行くが葉だけしか出ておらず撤退、その次に訪問したのがこの敷島カタクリロードである。もう何年も通っている場所であるが、数年前に斜面の大規模な伐採のために林道が削られてカタクリはだいぶ減ってしまっていた。葉は出ていたのでいつか復活するのではないかと期待していたがようやく・・・といった感じである。


    数年通っている場所であるが、ようやくカタクリが復活してきた。今まででいちばんたくさん咲いている。


    復活したカタクリの花園


    ちょうど満開、見事である。


    カタクリ


    カタクリ


    カタクリ


    イブキスミレとカタクリ


    色の薄いイブキスミレ


    色が濃い目のイブキスミレ


    伐採で日当たりが良くなった斜面にはマルバスミレが増えていた。

 この場所ではもうひとつ、楽しみにしている花がある。林道周辺が伐採されて山が乾燥化しつつあり、無くなってしまうのではないかと心配していたが、意外と例年と変わらずに花を咲かせている。


    例年とあまり変わらずに花を咲かせてくれたアズマイチゲ


    大群落とまでは行かないがそこそこに花数はある。


    しかし少し遅くて痛み出している。さらに空模様が悪くて花を開いてくれない。

 もしこの場所でアズマイチゲの花が開いていたら、数日前に訪問したばかりの北杜市にあるミチノクフクジュソウとアズマイチゲの花園を訪れてみようと思ったのだが、この様子では望み薄である。では、天候に左右されない4種類のネコノメソウ属が咲く渓谷、黒平を訪れてみよう、と思ったのだが、ここでガソリン切れになってしまう。一旦甲府の街に戻る。


    純白のカタクリに出会えた。白花のカタクリは初めて見る。(これで本日の運が尽きたか?)
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湖の周辺のスミレを散策  令和2年4月11日

2020年04月13日 | 山に咲く花
 山梨県県南部に生育する黄色いハナネコノメソウを観察した後、小雨に降られながら急ぎ足で下山してきた。山の上から下に向かって雲が広がってきているようで、雨に追いかけられながら下山してきた感じである。車に乗って甲府に移動して行くと、増穂町あたりまで来たところで雨は止み青空が見えてきた。日没にはまだ時間があるので、この天気ならば1~2時間くらいは花散策が出来そうである。まだ少し時期が早いと思うのだが、山の上にある湖の周辺に咲くスミレを覗きに行ってみる。


    桜は満開だが、お目当てのスミレが咲くには少し早いかも知れない。


    ヒナスミレはちょうど見ごろだった。


    ヒナスミレとどんぐり拾いの親子


    可愛らしいヒナスミレ


    あまり見慣れないスミレが咲いていた。


    やや丸っこい葉、葉の裏は毛が生えている。


    アオイスミレではないか。山梨県の生育場所は1ヶ所しか知らなかったがここで出会えるとは思ってもいなかった。


    また新しい出会いである。


    探していたのはこれか?と思ったのだが・・・


    花の顔つきが違う。


    これは普通のナガバノスミレサイシン。

 期待していた交雑のスミレはまだ葉も確認出来ず、早過ぎたようである。イブキスミレらしき葉があったが花は咲いておらず、これも再訪できるようならば確認しておきたい。しかし、ここでアオイスミレに出会えるとは想定外の収穫である。時期を変えていろいろと歩いてみるものだとつくづく感じた。いろいろと面白いシダも生えるらしいので、そちらも期待したい。

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山梨県に咲くキバナノハナネコノメ、他  令和2年4月11日

2020年04月13日 | 渓谷
 天気予報では午後から雨になりそうである。早起きしてさっさと植物観察・・・と思っていたのだが目を覚ませばもう朝の7時を回っている。結局はいつもと同じ時間に目を覚まして外を見ると思ったよりも青空が広がっている。衛星画像を見てもあまり厚い雲は無く、これならば日没近くまでは大丈夫なのではないかと思い、計画していた通りに山梨県県南部の渓谷に咲くキバナノハナネコノメを見に行くことにする。今年は花だけでなくシダも観察しながら歩いてみたいと思う。


    駐車スペースのすぐ脇に大株のキランソウ


    スミレ。葉が立っていて翼がある。


    ノジスミレ。葉は普通立たないが立っているように見えるものもある。


    渓谷の中に咲いていたタチツボスミレ


    距まで白いシロバナタチツボスミレ。花が開いていないのが残念。

 林道の法面や削られた岩壁を覗き込みながら歩いてみると、以外にもいろいろなシダが生育していることが分かった。


    岩壁にたくさん生育していたイワデンダ


    サジラン。冬季の乾燥から身を守るためにまだ葉を展開していない。


    イワオモダカ。これもまだ葉を丸めている。


    途中にある滝。以前訪問した時の写真に写っていた左側の岩壁に生えているシダが気になっていた。


    オサシダだった。ここのオサシダはやや大型である。


    まさか、こんなシダに出会えるとは。


    チャセンシダ。


    マクロで裏側の軸を見てみると翼は無い。これがイヌチャセンシダとの違いである。


    渓谷の中の岩壁にも、もちろんいろいろなシダが生育している。まだ新鮮なフクロシダ。特徴的な胞子嚢はまだ付いていなかった。


    ジュウモンジシダ


    驚いたのがこのシダ。南部町福士川流域で探したが見つからなかったシダにここで出会えた。


    ヒメサジラン。湿ったところを好むとは聞いていたがまさかこんな絶壁の岩壁で出会えるとは思わなかった。

 切れ立った斜面に生えているシダの写真を撮るのもちょっとばかり命がけである。しかし、全く想定していなかったヒメサジランに出会えたのは大きかった。ここで相当の時間を費やしてしまい、予定時間よりも大幅に遅れてしまった。お昼頃から次第に雲行きが怪しくなってきて、現地まで天候が持ってくれるかどうか怪しくなってきた。しかし、双眼鏡で覗き込みながら渓谷を散策してみたところ、思っていたよりも下流域からキバナノハナネコノメが生育していることが分かって来た。


    こちらのネコノメソウ属に会うのも楽しみにしていた。イワボタン。


    花(萼片)が開かないのが特徴である。葯は普通黄色っぽいが、時に赤いものもある。


    イワボタンの群生


    これは林道を歩き出して間もない渓谷の岩壁に生育していたキバナノハナネコノメ。


    このあたりはもうほとんど花は終わっており、花茎の上の部分が千切れて無くなっている。個体数も少ない。


    こちらは中流域で見つけた株。どっさりとは言わないまでもそこそこの個体数が生育していた。


    キバナノハナネコノメ マクロ撮影


    崖に生育していたキバナノハナネコノメ。命がけでこの個体を撮影していたら、そのすぐ上にヒメサジランが居た。


    さらに上流域のキバナノハナネコノメ


    イワボタンとキバナノハナネコノメ


    白いハナネコノメソウも美しいが黄色いハナネコノメソウもまた別の美しさがある。

 時刻は午後1時を過ぎた。予定では途中から渓谷の中に入って遡上し、林道と渓谷が交錯する上流部まで1時間ほど散策する予定だったが、想定していたよりも早く雨が降り出してしまった。衛星画像から見てこれから次第に雨脚が強くなってくるであろう。今回最も入ってみたかったのがここから上部の渓谷沿いであるが、残念ながら撤退である。初見のシダ、ヒメサジランに出会えたので本日は良しとしよう。


    空模様が悪い。ミヤマキケマンを見上げながら撤退。
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明野ゲンジロードのスミレたち  令和2年4月10日

2020年04月13日 | 山に咲く花
 ここ数年の恒例となっている北杜市明野のゲンジスミレがたくさん咲く小路を歩いてみた。ゲンジスミレがそろそろ見ごろを迎えている頃だと思う。


    アカネスミレが満開。斜面にたくさん咲いている。


    アカネスミレ


    昨年カクマスミレではないかと疑われた場所のスミレ。同じような感じのスミレが生えてはいるが・・・


    カクマスミレと断定するほどの特殊な形態はしておらず、おそらくはちょっと変わり者のアカネスミレではないかと思う。


    ニオイタチツボスミレ


    アケボノスミレはまだ出始めたばかり。


    イブキスミレもまだ咲き始めで大株や群落は出ていない。


    ゲンジスミレ。このスミレはあまり群落はつくらずポツポツと咲く。


    まだ咲き始めである。


    葉はそこそこに見かけるが花はあまり多く無い。これから咲いてくれることを期待したい。


    花期は例年と同じくらいか少し遅めな気がする。


    もうひとつ見ておきたかったのがこの白いスミレ。


    白いアカネスミレ


    コボトケスミレ


    まだ時期が早いためか、花数は昨年よりも少ない。

 ヒナスミレとアカネスミレはあちらこちらで見ごろを迎えつつあるが、ゲンジスミレやイブキスミレはまだこれからという感じである。今年もたくさん咲いてくれることを期待したい。花仲間たちを集めてスミレ観察会の計画があったのだが、コロナウィルス感染拡大により非常事態宣言が発動され、観察会は中止とした。今年は内輪のメンバーでそっと見守って行きたいと思っている。
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ミチノクフクジュソウとアズマイチゲの花園 北杜市  令和2年4月10日

2020年04月13日 | 里に咲く花
 花仲間のブログを見ると北杜市のミチノクフクジュソウ咲く花園はアズマイチゲも一緒に咲いてなかなか素晴らしい景色になっているようである。空が晴れたこの日、午後休みをとって花園を訪れてみる。業務を片付けて急いで出発したが、到着したのは午後3時になってしまう。太陽は西に傾き出していて花園は半分ほどもう日陰になってしまっている。さて、花は開いているのだろうか?


    土手のアズマイチゲはずいぶん増えていた。


    もう終わっているかと思ったが、意外と長持ちするミチノクフクジュソウ。


    まだ蕾の花もある。しかし、心配していた通り、午後のこの時間では花がもう閉じかけてしまっている。


    残念ながら花を開いた姿は今回も見られず。


    満開のアズマイチゲも同様に花を開いておらず。


    土手のアズマイチゲ群落


    折角の黄色と白のコラボレーションなのに花が開いてくれなかった。


    アズマイチゲとミチノクフクジュソウ


    なかなかタイミング良くは見られないものである。

 3度目の訪問となり、今度こそは花開いているところを期待したのだが残念ながらこの時間では遅いようである。仕事を片付けて午後から花を見に来るのではこの場所で花を開いたミチノクフクジュソウとアズマイチゲのコラボレーションを見るのは難しいということになるのだろう。かといって土・日曜は他に行きたいところがあるし天候に恵まれるとも限らない。今年はもう花の時期が過ぎてしまうので来年に持ち越しである。
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