山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

夕空を舞うパンスターズ彗星(総集編)

2013年03月28日 | 山梨百名山
 この彗星の情報を得たのは昨年12月のことだ。毎年購入するアストロガイド2013年版に記事が書かれていた。その時の予想では-1等星から-3等星くらいの明るさになる予測だったが、その後光度が上がらず最終的には2等星止まりとなってしまった。情報を得た当初から山梨で最初にこの彗星の写真を撮ってやろう、できるならば新聞に載せてやろうと思っていた。

 南半球側からやって来るこのパンスターズ彗星は3月10日の近日点(太陽に一番近いところ)を通過した頃からようやく日本で観察可能な高度に昇って来る。とはいっても、西の低空5~10度なので条件が良くないと観察は難しく、月明かりの影響を受けず最も観察し易いのは13日から20日ごろまでと予想していた。

    パンスターズ彗星の軌道(国立天文台ホームページから)


    夕方のパンスターズ彗星の位置(同上)

 3月13日頃にはおそらくたくさんの画像が出回っているだろうから、最初に狙ったのは近日点通過前日の3月9日、標高2,595mの金峰山山頂からの撮影を試みた。かなり太陽に近い位置を飛ぶが、計算上では日没後30分間はこの彗星を撮影するチャンスがあるはずだ。軌道はほぼ計算できたが、問題なのは彗星の大きさと明るさだ。それがわからないとどの程度の長さのレンズを使えば良いのかがわからない。結果は惨敗。17-55mmレンズを最大ズームの55mmにして撮り続けたが全く写ってくれなかった。今にして思えば、ズームが足りなかったこと、画像を明るく撮り過ぎたこと(+2/3EVで撮影)したことなどが反省点としてあげられるが、おそらくは撮影可能な条件だっただろうと思っている。

    金峰山から見る日没後の夕空


    55mmレンズで撮影し続けた夕暮れの空。甲斐駒ケ岳の右、中央アルプスの左端あたりに現れたはず。もっとズームをかけて狙っていれば撮れただろうと思っている。

 次は3月11日、茅ヶ岳へ。ここは標高1,700mほどなので、金峰山よりも900mも低い。それでも、甲府盆地から見上げるよりも遥かに見通しは良いし、空気も澄む。天候が良かったので絶対に写ると信じてシャッターを切っていたのだが、いちばん肝心な時間の15分前に下から雲が湧き上がり、それっきり景色は見えなくなってしまった。しかし、撮って来た画像を念入りに見てみると、暮れたばかりの空にうっすらと彗星が写っていた。思ったよりも小さい、それと、思ったよりも高い位置にいる。この画像を見て、次は気象条件さえ良ければ絶対に撮影出来ると確信した。

    茅ヶ岳から見る夕暮れの甲斐駒ケ岳。この空にうっすらとパンスターズ彗星が写っていた。


    初めて撮影したパンスターズ彗星

 前日の夕方も天候が良かったので、茅ヶ岳に登っていたならば撮影できた可能性が強い。しかし、先日の金峰山で強風に煽られてほとんど眠れず疲労困憊、とても登る気にはなれなかった。

 そして3月12日は帯那山へ。あらかじめ軌道をしっかりと計算しておき、100mm程度のズームレンズで鳳凰山と軌道が入る構図でひたすらシャッターを切る。双眼鏡片手に探すが、光学系の暗い普通の双眼鏡では見つけることができない。空が暗くなり、頭上に冬の大三角形が見えるようになってきた頃、カメラのレンズが小さな光を捉えた。カメラのモニター上で拡大してみると、間違い無し、尾を引いたパンスターズ彗星だ。あとはレンズのズームを上げて追いかけるだけだ。肉眼では見えなかったが、カメラのファインダーを通してこの彗星をはっきりと見ることができた。この時撮影した1カットが2日後の山梨日日新聞に掲載された。

    鳳凰山地蔵岳とパンスターズ彗星


    南アルプスを舞うパンスターズ彗星


    同上(トリ-ミング)

 3月14日、山岳会の仲間と再び帯那山へ。この時肉眼で初めてオレンジ色に光る小さな点を見ることができた。

    雲上のパンスターズ彗星


    同上(トリ-ミング)

 3月16日、白根三山に沈むパンスターズ彗星を狙って三ツ峠へ。位置的には隣の本社ヶ丸のほうが良かったのだが、時間的に間に合わずこちらに登る。低空には霞と雲が出たが、それを通して彗星はしっかりと輝いた。

    白根三山を舞うパンスターズ彗星


    農鳥岳に沈むパンスターズ彗星

 富士山とこの彗星のコラボレーションを撮影するため、箱根の山はずっと狙っていた。そして3月19日、金時山へ。霞がかかり、富士山の裏側には雲が出て撮影条件は今までで最悪だったが、その中でも彗星は舞い降りた。

    富士の上に現れたパンスターズ彗星


    富士に舞い降りるパンスターズ彗星

 その後甲府盆地の中にある職場の屋上から2度撮影を行っているが、盆地の中からだと霞みと町明かりに邪魔されて良くは写らなかった。


 これらの映像をまとめて作製したのが「夕空を舞うパンスターズ彗星」のビデオだ。職場で試写会をやったが、プロジェクターの解像度が悪く富士に舞い降りて行くパンスターズ彗星はほとんど見えず、再編集を行った。3月30日の「山と花と星の奏でる上映会」で披露するが、会場に来られない方のために、先行して披露する。曲は加古隆の「黄昏のワルツ」、思わず涙が流れそうなノスタルジックな曲とともにパンスターズ彗星をお楽しみいただきたい。

  夕空を舞うパンスターズ彗星


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甲府盆地から見上げるパンスターズ彗星  平成25年3月21日

2013年03月24日 | 番外編
 3月22日に職場の屋上からパンスターズ彗星観察会なるものを開催することになりました。ところが、この日は午後5時ごろから西の空に雲が広がり中止となってしまいました。その前日の21日、この日の西の空は雲ひとつない晴天。しかし、午後5時半から新しいコンピューターシステムの講習会が入っており、7時近くまでかかりそう。終了10分ほど前に抜け出させていただき、急いで撮影機材を持って屋上へ。親しい部署にはあらかじめ予告しておいたので、5~6人の職員が集まっており、皆必死に西の空を眺めていました。でも、肉眼で見えた人は誰もおらず、双眼鏡を持っている人も無し。カメラをセットして撮影してみると・・・計算した軌道通りの位置に彗星がいました。思ったよりも高い位置。

    21日午後、病院屋上から見る甲斐駒ケ岳。すっきりした青空が広がり、彗星観察には絶好の天候。


    午後6時50分、甲斐駒ケ岳の右上を飛ぶ彗星をカメラではきっちりと捉える。


    しかし、肉眼では見えない。円く写っているのはグランドのナイターの明かりから出るフレア。

 撮影した映像をモニターで見せながら場所を確認しましたが、やはり肉眼で見るのは難しく、それらしい光がなんとなく見えたのは一人だけでした。日没とともに空気が冷えて霞が多くなり、山影は全く見えなくなり、写真も真っ白に。しかし、その霞を通してカメラでは7時5分過ぎまで彗星が写っていました。

    7時5分、真っ白な映像の中に、右下にうっすらとパンスターズ彗星の光が写る。

 町明かりと霞のかかる甲府盆地からこの彗星を見るのはやはり難しいです。これから輝度を下げてますます見えにくくなるパンスターズ彗星、おそらく甲府盆地から見るのはこれが最後の機会になるのではないかと思います。
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富士に沈むパンスターズ彗星、だが・・・ 金時山再び  平成25年3月19日

2013年03月21日 | 圏外編
 この日は長女の引越しのため東京都内で手伝いをしていた。予想では作業を終えるのはお昼を過ぎるであろうと思っていたのだが・・・前日中にかなり荷物の梱包がはかどり、引っ越し業者さんにも恵まれて午前中の11時には引っ越し完了し、管理人さんの部屋点検も終了してしまった。長女は翌日が大学の卒業式で妻が列席するため、本日の宿泊地、東京帝国ホテルまで車で送って行った。そこでの時間は午後1時。これならば・・・十分間に合う、夕暮れの金時山。カーナビをセットして金時神社に向かう。途中で昼食を取りつつも、3時過ぎには金時神社に到着した。平日だけに駐車場は余裕で止めることができた。

 3時半に出発。日没は5時半ごろなので2時間も余裕がある。急ぐ必要など何も無かったのだが、道標には山頂まで75分の表示がある。3日前は足柄峠側の急登を30分のところを45分もかかっている。本当にこちら側は75分で到着できるものなのかどうか、真面目に歩いてみることにした。ルートは人気の山だけあってきわめて良く整備されていた。登山道を逸れて金時神社奥の院に立ち寄ったり、斧で割ったような金時宿り石を覗き込んだりしているとどんどん時間が過ぎて行く。(ちっとも真面目な登山では無い!)時間を気にしながら自分としては早いピッチで登ったつもりだったが・・・山頂到着は4時55分。10分オーバーだった。

    3日前は足柄峠から、今回は反対側の金時神社から登る。


    登山道をちょっと右に逸れたところに金時神社奥の院がある。


    金時宿り石。斧で割ったように真っ二つに割れている。


    整備が行き届いた登山道


    山頂直下だけ少し岩場がある。補助ロープがぶら下がっている。


    山頂到着。時間が時間だけに誰もいない静かな山頂。

 日没が迫る山頂はもう誰もおらず、静かだ。ただ、金時茶屋の中からはテレビかラジオと思われる音が聞こえてくる。山頂で軽食を取っていると金時茶屋の中から「おそいじゃんかー」という怒鳴り声が聞こえた。金時娘さんだ。80歳という高齢で毎日山を上り下りするのは大変なので小屋に泊ることもあるとは伺っていた。写真を撮りに来たということを伝えると、中で休んで行けとお誘いを受けたのだが、日没と彗星が気になってここはお気持ちだけいただき、そのまま外で撮影を続けさせていただいた。

    山頂の看板と富士山


    山頂にある祠


    富士の裾野に陽が沈んで行く。


    御殿場の町に明かりが灯る。

 登り始める前は霞がかかってはいるが雲は巻いていなかった富士山だが、日没前には悪いことに富士山の裏側に雲が出てしまった。そこはちょうど狙っているパンスターズ彗星の通過点にあたる。果たしてこの雲の中、パンスターズ彗星は輝いてくれるのだろうか?撮影条件はかなり悪い。そろそろ彗星が写り出すであろう午後6時25分ごろからズームレンズに変えて富士山頂の左側を狙って撮影する。写っていない。やはりダメか、と思っていたが、6時35分ごろ、雲間から飛び出したパンスターズ彗星を捉えることに成功した。しかし、霞が多くて全く鮮明な画像にはならない。あとは構図を固定して6秒のインターバル撮影に切り替えてひたすら撮り続けた。

    富士山の斜め左上あたりにいるはず。良く見れば・・・


    捉えた、富士を舞うパンスターズ彗星。しかし、小さい。


    富士を舞うパンスターズ彗星  画像をかなり操作してようやくこのくらいの画像。もともとは霞みでかなり白っぽい画像。


    同上、別カット


    富士に沈む直前のパンスターズ彗星。

 それにしてもインターバル撮影した画像の後半があまりにも白っぽいので、もしやと思ってレンズを見ると・・・やってしまった。夕暮れで湿度が上がり、レンズ先端が結露していた。見ればカメラ本体も霧吹きをかけたような状態になっていた。ひとまずは撮影に成功した「富士に沈むパンスターズ彗星」 だが、大手を振って人に見せられるような画像には程遠かった。

 
 これからはどんどん輝度が落ちてさらに捉えにくくなるパンスターズ彗星。まだしばらくの間は楽しめるのだが、良い絵にはならないかもしれない。


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富士に沈むパンスターズ彗星撮影ならず 金時山  平成25年3月17日

2013年03月21日 | 圏外編
 朝から好天となったこの日だが、低空には春霞が出てしまった。気温が上がり過ぎたのだろう。予定ではこの山に行くのは3月20日のはずだった。この日の夕方、追いかけているパンスターズ彗星がちょうど富士山の真上を飛ぶからだ。しかし、天気予報から推察して20日に彗星を撮影できる可能性はきわめて低い。山頂からは外れるが、富士山と彗星を同時に撮影出来るチャンスは本日と19日のみとなる。夕方の空模様が気になるが、まずは御殿場まで行ってみることにする。

 金時神社からの入山を予定していたが、その前に足柄峠に行ってみることにした。金太郎富士見街道なる道を行くと、右手に御殿場の町並み越しの富士山がきれいに見える。途中で写真を撮りながら足柄峠に到着したのは10時40分だった。城跡、関所跡、聖天堂などを見学する。
    金太郎富士見街道から見る御殿場の町と富士山


    足柄峠城跡


    城跡から見る富士山


    足柄峠関所跡(この関所は本物では無く、黒沢明監督が映画で使ったセットをここに設置したもの)


    聖天堂

 30分ほど見学したところで時間は11時を回る。夕暮れの彗星狙いならば、金時神社から1時間半もあれば山頂に到着できるので、時間的にはまだ相当の余裕がある。しかし、空模様を見ていると富士山のまわりにはどんどん雲が増え出して、夕方までは持ちそうに無い。彗星を撮影出来る可能性はきわめて低いので、本日は下見に行くつもりで足柄峠から歩いてみることにした。
 峠の先まで林道が続いているが、その先はダートの道になっており、入口には「この先チェーンが必要」なる看板が立っていた。きっと悪路なのだろうと思って峠から歩くことにしたが、それにしては林道に入って行く車を何台も見かけた。歩いてみると、ダートの道はほんの少しでその先は立派に舗装された道になっていた。距離にして2km強だろうか、30分ほど歩いて林道突き当たりゲートに到着、そこに駐車スペースがあり、たくさんの車が止まっていた。

    足柄峠の先は悪路・・・かと思いきや、すぐにアスファルトの良い道になっていた。


    歩くこと30分強、ゲート前の駐車場に到着。林道を歩いていたのは私だけだった。

 ゲートを過ぎると今度は本当の悪路になる。子供連れの登山者がたくさんおり、どうやら相当整備された道らしい。折角山に来たのにこんな林道を歩くのは面白く無いので、林道を逸れて右の林に入ると、そこはティッシュペーパーが散乱。トイレ代わりになってしまっているようだ。今度は左の林に入ると、そこには林道に沿って明瞭な登山道がついていた。誰も会わなかったが新しい足跡がある。山に来た雰囲気を味わいながら、向こうに見える金時山目指して進む。

    ゲート先のダートの道


    左の林に入ると、笹原と広葉樹林帯の良い雰囲気。向こうに見えるのが金時山。


    発見、ウバユリの種

 やがて道は林道と合流し、再び林道を歩くことになる。ほどなく猪鼻砦跡の休憩地に到着する。時間は12時35分、予想通りこの頃には富士山はすっかり雲におおわれて姿が見えなくなってしまった。

    猪鼻砦跡の休憩所。向こうに見えるはずの富士山はすっかり雲に巻かれる。


    林道終点。荷揚げをするためと思われる小屋がある。車は金時茶屋の方のもの。

 林道終点からはいよいよ本格的な登りとなる。階段12本が連なる急登だが、ステップがしっかりと作られていて整備されている。途中には休憩ベンチも設置されている。普通の人ならば30分ほどの行程らしいが、ここを45分かけて登り、午後1時40分、山頂に到着した。足柄峠から2時間半かかったことになる。

    林道終点からは本格的な登り。階段12本が連なるかなりの急登だ。


    途中に設置してある休憩ベンチ


    こんな急登りのところもある。


    ようやく山頂。


    山頂は人がたくさん。あちらこちらの登山道から次々にやって来る人、下山して行く人。

 人気の山だけあって山頂にはたくさんの人がいた。有名人の金時娘さんお目当てに金時茶屋に立ち寄ると、腰は曲がっているが元気いっぱいの声、金時娘さんがお出迎えしてくれた。お歳は80歳になるそうで、数日前に産経新聞に記事が載ったばかりだそうだ。お店のお得意さんが次々にやって来て声をかけあっている。食料と水、バーナーは持ってきたが、ここは金時茶屋の名物金時豆入りおしることソバをいただくことにした。2人で来たと思われたらしく、箸が2膳出て来た。

    金時茶屋でいただいたおしることソバ


    見渡す箱根の山々と芦ノ湖

 おいしくいただき、ゆっくり休憩させていただいて2時20分から下山開始。急傾斜に気をつけながら下山し、林道は小走りに歩き、3時半に足柄峠の駐車場に到着した。

 パンスターズ彗星と富士山のコラボレーションはおあずけとなってしまったが、チャンスがあればもう一度登りたいと思っている。
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あの彗星はいずこへ? 夕暮れの三ツ峠  平成25年3月15日

2013年03月20日 | 山梨百名山
 春めいた陽気となり気温が上昇し春霞がだいぶ多くなってきた。高気圧におおわれたこの日、日中は雲ひとつない青空が広がった。しかし、甲府盆地から見渡す山並は霞んで見える。しかし、この程度の霞ならばきっとあの彗星は見えるはずだ。夕暮れ時を狙って三ツ峠に登る。

 平日のしかも夕暮れ時の午後4時ということだけあって、駐車場に止まっている車はほんの数台だった。林道はアイスバーンになった雪が残り、登り始めてすぐに軽アイゼンを装着する。登りながら4~5人の登山者とすれ違ったが、アイゼン無しで登っている人がいるのにはちょっと驚いた。

    まだ雪が残る登山道。アイスバーンになっていて滑る。


    振り返ってみる夕暮れの陽。日没にはギリギリ間に合いそうだ。


    三ツ峠到着。夕暮れの陽に赤く染まる。

 夕暮れギリギリの5時半、三ツ峠裸山に到着する。裾野は霞んでいるが、眼前に富士山が大きくくっきりと見える。山頂に登る前に、山頂下の展望地(カメラマンが良くいる場所)で三脚を構えて日没を待つ。西には御坂山塊越しに南アルプスの山並がずらりと並ぶが、こちらは霞が多い。そして間も無く黒岳の左側、荒川岳あたりに赤い夕陽が沈んで行った。

    裸山から見る富士山


    南アルプスに沈む夕陽


    夕暮れの三つ峠


    雲流れる富士


    残照富士


    夕焼け空の富士  雲が赤く染まるのを期待したがあまり焼けず。

 富士山の残照がすっかり消えたところで山頂に移動する。時間は6時10分、そろそろヘッドライトが必要だ。空には美しい三日月が輝く。双眼鏡を取り出し、西の空を探すが西の空は低空に霞が多く黒い雲も出てあの彗星は見えない。おそらく見えてくるのは6時半ごろからだろう。望遠レンズに切り替えて、本日沈んで行くであろう白根三山に照準を合わせて待つ。

    夕暮れの三ツ峠山頂


    三日月が昇った西の空。低空には黒い雲、しかし、その隙間からきっと出る!

 2等星程度の明るさとは言え、肉眼で見るのはかなり難しいパンスターズ彗星だが、カメラで撮影すると少しの霞ならば十分に透過してくる明るさだ。雲の切れ間からきっと出ると信じてシャッターを切っていると・・・突然雲間から尾を引く彗星が姿を現した。やはりこのくらいの霞みと雲ならば十分に写ってくれる。この日は肉眼で見ても双眼鏡で見てもこの彗星は確認できなかった。

    雲間から現れたパンスターズ彗星


    白根三山を舞うパンスターズ彗星


    同上、拡大。農鳥岳に向かってまっしぐら。


    農鳥岳に沈むパンスターズ彗星

 ズームを最大の300mmにして撮影を試みたが、光量が減るため画像が暗くなり解像度も落ちる。さらにピントが合わず、農鳥岳に沈む直前の画像はいまいちになってしまった。

 ついでといってはこの星に失礼だが、きっと三ツ峠からならば見えるだろうと予想していた星、カノープスにレンズを向ける。オリオン座と冬の大三角形が南中した頃に富士山の左裾に見えるはずだ。肉眼では見えなかったが双眼鏡で探すと容易に見つけることができた。

    町明かり灯る夕暮れの富士  右裾野にはあの星が輝く。


    町明かり輝く富士とカノープス


    雲間の月と甲府盆地の明かり

 7時20分ごろまで撮影して、さて下山。アイゼン装着していたので土の道よりむしろ雪道の上のほうが歩き易い。ところが、あと10分ほどで駐車場というところで左足のアイゼンがガチャガチャと音を立て始めた。見れば、アイゼンの鎖が見事に切れて外れていた。左足のアイゼンを外し、右足だけで下山することとなったが、駐車場が近かったので難無く下山した。ついでに、翌日別の山に行こうとした時に愛用のストックを駐車場に置き忘れて来たのに気付く。さらに、アイゼンが壊れたのをすっかり忘れて出かけたため山に登れずにあきらめるという失態。ストックは数日後の山帰りに立ち寄ったところ、トイレの外壁に立てかけてあった。傷だらけの年季が入ったストックだけに誰も持って行かなかったようだ。

 
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パンスターズ彗星を追って 帯那山再び  平成25年3月14日

2013年03月18日 | 山梨百名山
 山岳会のメンバー4人とともに、予定では山中湖の外輪にある鉄砲木の頭から富士山の裾野に沈んで行く彗星を見るはずだった。甲府を出発する時には西の空に青空が広がり始め、甲斐駒ケ岳が姿を現し始めていた。ところが、御坂峠にさしかかるあたりからみぞれとなり、トンネルを越えると雪になった。河口湖のコンビニに立ち寄り、雲画像と天気図を見ると回復してきそうな様子だ。とりあえずは山中湖のパノラマ台まで行ってみることにする。3時半パノラマ台到着したが、そこもまた小雪が舞っていた。空を見上げても青空はどこにも見えない。しかも風が無いので急速に天候が回復するとは考えにくい。ここで待っても彗星の観察は無理と判断し、甲府に戻っていちばん行き易い場所、前日と同様に帯那山に行くことにした。


    到着したのは日没後。西の空が赤く染まっていた。


    雲は多いが空気は澄んでいる。これならばきっと・・・

 到着したのは午後5時45分、ちょうど西の空に日が沈んだころだった。雲は多いが前日雨が降った後で空気は澄んでいる。これならば彗星は観察できそうだ。観察地までは10分ほどで到着し、まずはみんなでワイワイ騒ぎながら腹ごしらえをする。時間が6時半近くになった頃から双眼鏡片手に本格的に撮影開始する。


    今日の彗星の位置はこの月の真直ぐ下あたり。雲が多いが隙間からきっと姿を見せるはず。


    雲の切れ間に突然姿を現したパンスターズ彗星。位置的には甲斐駒ケ岳の左上あたり。山が写らないのが残念。


    パンスターズ彗星

 この日は空気の透明度が良く、近眼・乱視の私の目でもオレンジ色に光るこの彗星を確かめることができた。6時45分、ほどなく彗星は山の上にかかった雲の中に吸い込まれてしまった。偶然にも月と一緒の構図で構えた中に、1カットだけ雲間に輝く彗星が写っていた。


    雲の上を流れるパンスターズ彗星


    同上(拡大)


    月と彗星


    同上、彗星部分を拡大

 これから日ごとに光度を減らして行くパンスターズ彗星、かつ月の明かりで観察条件も悪くなって行く。あと何日追えるのか、追えるだけ追ってみたいと思っている。
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パンスターズ彗星迎撃なるか?(その3) 帯那山  平成25年3月12日

2013年03月15日 | 山梨百名山
 前日の茅ヶ岳でなんとかパンスターズ彗星の姿を捉えることができた。このおかげで、彗星の大きさや輝度、高度がほぼ把握できた。軌道はパソコンで計算すればほぼ正確に割り出すことができる。気象条件が整えば、今度こそは確実に撮影できると確信していた。

 3月12日は朝から青空が広がった。気温はさほど上昇しなかったが、日差したっぷりで午後から雲が湧くのを心配しながら空を見上げた。本日の行き先は甲府市北部にある帯那山。ここは山頂直下まで林道が通っていて、10分も歩けば南アルプスの展望地に行ける。午後5時ごろ甲府を出発し、りんどう突き当たりのゲートに午後5時40分到着。前日の茅ヶ岳は、日没後カメラが凍りつくほど冷え込んだので防寒対策をしっかりして撮影場所に向かう。既に西の空に太陽が沈んだ後だった。西の空には若干雲が出てはいたが、南アルプスの山並は良く見え、雲と雲の間に隙間がある。この程度ならば、昨日の感触からすると十分に写ってくれるはずだ。


    帯那山の林道。この手前にゲートあり、その先は車が入れない。


    南アルプスと夕焼けの空


    この空のどこかに必ずいる。日が沈んだ位置の少し右寄りなので、この時間ならば地蔵岳の上あたりにいるはず。

 日が暮れるにつれて空の雲は次第に薄くなっていった。双眼鏡で念入りに探すが彗星は見つからず、ズームレンズで撮影してもなかなか捉えることができない。だが、この空の状態ならば絶対に見えるはずだ。


    この視野の中に絶対にいるはず。


    パソコンでズームをかけてみると、予想通り、地蔵岳のほぼ真上で小さな光が輝いていた。

 時刻が午後6時半を回った頃、鳳凰山の右上に輝く彗星をカメラでようやく捉えることができた。予想通りの高さ、位置、大きさだ。さらにズームをかけて彗星を追い続ける。肉眼で確認しようとしたのだが、乱視混じりの近視の私の眼では見えなかったが、双眼鏡では確認できた。


    夕暮れの鳳凰山と右隅にパンスターズ彗星。


    鳳凰山地蔵岳とパンスターズ彗星。その右奥は仙丈ヶ岳。


    夕空に舞うパンスターズ彗星


    同上画像を拡大


    南アルプスに沈み行くパンスターズ彗星

 金峰山、茅ヶ岳と続いて、3度目の正直でようやくまともな彗星を撮影することができた。帯那山は標高約1,300m、前日の茅ヶ岳に比べると400mも低い。この日は条件が良かったのでおそらくはもっと低いところから撮影された方もおられただろう。
 自宅に帰ってパソコン処理後、職場でプリントして山梨日日新聞に投稿しようと思ったのだが、誰にどうやって渡せばよいのかわからない。こういう時は新聞社関係、県庁関係の人たちが集う焼鳥池田に行けばなんとかなる。池田の店長さんやお客さん等、新聞社関係に電話をしてくださり、午後11時に山梨日日新聞本社にプリントした画像とデータを届けた。さすがに翌日の新聞には間に合わなかったが、14日の新聞にはありがたく掲載していただいた。山梨県で最初にこのパンスターズ彗星を撮影して新聞に載せたいという夢を叶えることができた。
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夕暮れに沈む彗星(山梨日日新聞記事から)

2013年03月14日 | 番外編
 平成25年3月14日の山梨日日新聞に掲載された記事です。




 原図はこちら。帯那山でようやく撮影に成功しました。山梨県初かどうかはわかりませんが、めでたく新聞記事に採用されました。



 帯那山のレポートは後ほど掲載します。
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パンスターズ彗星迎撃なるか?(その2) 茅ヶ岳  平成25年3月11日

2013年03月13日 | 山梨百名山
 近日点通過の1日前に高所からパンスターズ彗星を撮影してやろうと、3月9日金峰山に登ったがそのもくろみは見事に失敗した。そして今度は3月11日、高度が上がって来たはずなので、この山からなら見えるはず。彗星軌道から推察すると、甲斐駒ケ岳の右脇を通過する良い構図で写真が撮れるはずだ。今度こそは!気合を入れていざ参らん、茅ヶ岳!!

 午後2時半に深田公園駐車場から出発。冬季は大明神林道は閉鎖されているため車の乗り入れができず、いつも使う林道沿い駐車場からよりも30分ほど時間がかかる。花の視察を兼ねて女岩ルートでは無く尾根道を登るが、まだ時期が早く何も咲いていない。南アルプスの山並を見ながらひたすら登るが、気温が上がった割には空深田公園駐車場には気が澄んで雲は巻いていない。これならばきっと見えるはず。期待に胸をふくらませ、5時15分、2時間45分ほどで茅ヶ岳山頂に到着した。深田公園駐車場には5~6台の車が止まっていたのでまだ誰かいるかと思ったが既に誰もおらず、皆女岩側ルートから下山したようだ。


    きれいに刈られた尾根道。花はまだ咲いていない。


    茅ヶ岳山頂。もう誰もいない。

 午後5時38分、甲斐駒ケ岳の右裾に夕陽が沈む。本日のパンスターズ彗星の軌道はほぼ太陽の軌道と一致している。その軌道上を探せばきっといるはず。照準を甲斐駒ケ岳と鋸岳に合わせて、双眼鏡片手に星を探しながらひたすらシャッターを切る。


    南アルプスに夕陽が沈む


    甲斐駒ケ岳の裾に沈む夕陽


    夕暮れの富士山


    日没直後の甲斐駒ケ岳。この視野のどこかにきっと・・・

 この日の夕暮れの空は金峰山の時よりもはるかに条件が良く、若干のモヤがかかるものの春先にしてはかなり透明度が良い。双眼鏡ではまだ彗星が見えていないが、今日は絶対に来る!とこの時点では確信していた。写ると信じてひたすらシャッターを切り続けるが・・・
 

    空気が澄み雲が無く、撮影条件は良好。この視野のどこかに絶対いるはず。

 本日のパソコンソフトでの計算では6時40分ごろに甲斐駒ケ岳の裾に彗星が沈んで行くはずだ。最も撮影に適した時間は6時25分から5分間くらいと予想していた。ところが・・・陽が沈んで急に空気が冷たくなってきた頃、突然雲が湧き出した。最初は山裾だけだったが、あっという間にその雲は活発に上昇を始め、6時20分にはすっかり茅ヶ岳山頂は雲に覆われた真っ白な世界になってしまう。雲の切れ間を縫ってシャッターを切るが、露出が合わず、さらにレンズの先端が結露し、そのうえ流れ行く雲に山が霞み・・・まともな写真にならない。もちろん肉眼では全く彗星は確認できず、双眼鏡で観察する余裕も無くなってしまった。こうして、ほんの10分の違いで今回の撮影も失敗に終わってしまった。しかし、帰って来てパソコンで撮影した画像を良く見てみると・・・。


    6時23分、雲が湧き始めた頃の甲斐駒ケ岳と鋸岳。


    上の画像をズームして見てみると・・・甲斐駒ケ岳の右上に光るものが・・・。


    さらに拡大。光が拡散している。これこそがパンスターズ彗星。


    6時26分、雲の切れ間を縫って撮影した白っぽい画像をパソコンで処理したもの。見えますか?パンスターズ彗星。


    拡大してみると、確かに尾を引いているように見える。

 6時40分過ぎまでシャッターチャンスを伺って待っていたが、完全に雲に巻かれ、頭上の星すら見えなくなってしまった。残念、あきらめて下山する。女岩側ルートを下山したが、霧で視界は5mほどしか効かず、茅ヶ岳はこんな急斜面だったかと思いながらひたすら下山。樹林帯の中は落ち葉が深くて登山道が見えず、何度か間違えつつも無事女岩まで下りることができた。あとは広い道をテクテクと歩くだけ、帰路はずいぶん長く感じた。8時40分、駐車場到着。

 とりあえずは彗星が写ったが全く満足できるものではない。おそらくは、これが山梨県で撮影された最初のパンスターズ彗星ということにはなるだろうが、これでは論外。しかし、今回の収穫は大きく、彗星の明るさや高度がほぼわかり、使うべきレンズの長さもわかって来た。次に条件が整えば、きっと撮れる、そう確信した。
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パンスターズ彗星迎撃なるか? 金峰山  平成25年3月9日-10日

2013年03月12日 | 山梨百名山
 現在話題になっているパンスターズ彗星は、3月10日に近日点(太陽にいちばん近いところ)を通過後、高度を上げて計算上では13日ごろから甲府盆地からでも夕暮れの西の空で見えるようになってくるはずである。しかし、3月9日の時点でも日没時に水平線から5度以上の高度のところにあり、条件が良ければ山の上から見下ろせば見えるはずである。ここのところ冬山に登るトレーニングをしていたのはこの彗星を撮影するために照準を合わせていたこともある。山梨県で最初にこのパンスターズ彗星を撮影してやろうという意気込みでテントとカメラ機材を担いで山に登る。いざ参らん、冬の金峰山!

 冬の恒例だった金峰山だが、頸椎を故障後はテント泊の装備を担ぎ上げるのに不安があり、2年ほど冬山テント泊からは遠ざかっていた。雪があるので水はあまり持って行かなくても大丈夫なのだが、あのpm2.5が混入しているかと思うとあまり使う気にはなれず、3リットル近い水を持って行くことにする。レンズも3本、さらに寒い夜中の撮影を考えて防寒具たくさん・・・20kg近い荷物となる。業務を終えてからの出発となったので、瑞牆山荘を出発したのは10時半になってしまう。

    いざ出発!結構な荷物です。


    富士見平下から見上げる瑞牆山。雪はあまり着いていない。


    珍しく凍りついていた富士見平の水場

 1時間少々かかって富士見平到着。空は青空が広がったが、低空には春霞が出て富士山は白くボヤけている。気温が上がってすっかり春の陽気となったのでこの程度の霞は止むを得ないのだろう。テントが3張りほど、既に出発した後だ。トレースはしっかりしているが、大日小屋手前の樹林帯の中はアイスバーンになっており、アイゼンを装着する。大日岩下の林の中はさらにツルツルのアイスバーン、慎重に通過する。午後2時過ぎに大日岩を通過し、樹林帯の急登を登り切って千代の吹き上げに到着したのは午後4時だった。前回下見に来た時は荷物が軽かったので余裕だったが、今回は既にヘトヘト、足がかなり疲れた。目指す五丈岩はもう目の前、ここで大休憩する。


    大日小屋。鷹見岩の向こうに南アルプスが見えるはずだが、白く霞む。


    八ヶ岳も春霞の中だが、雲は巻いておらず姿は見える。


    千代の吹上到着。目指す五丈岩は目の前だ。

 日没は午後5時40分ごろ、その前に到着したいが、ギリギリといったところだろう。陽はどんどん西に傾いて行くが、疲れた足は全くピッチあがらず、足が攣らないように小休憩をとりながら稜線を進む。そして5時20分、五丈岩に到着、日没にはなんとか間に合った。


    西に傾く陽


    長く延びる影。(こんなに足長かったか?)


    斜光射すシュカブラ

 テント設営は後にして三脚を構える。霞が出たおかげで夕陽は大きく赤く見える。綺麗な夕暮れだ。目的とするパンスターズ彗星の位置は日没の太陽の位置の少し左側、中央アルプスの左上あたりに出現するはずだ。双眼鏡を片手にそのあたりを念入りに観察しながら、ひたすらシャッターを切る。


    夕暮れの富士山


    夕陽が沈む


    日没の空  この視野のどこかにあの彗星がいるはず。


    どこかにいるはず。ひたすらシャッターを切る。

 双眼鏡で見ると低空にはかなりの春霞が広がっていた。そのため夕陽の光が拡散してしまい、なかなか低空の夕焼けが消えない。おそらくはその夕焼けの中にパンスターズ彗星は隠れてしまったのだろう。双眼鏡では発見できなかった。しかし、写真では写っていることがあるので、帰宅後念入りに画像を見たが・・・やはり写っていない。残念ながら山梨県で最初にパンスターズ彗星を撮影してやろうという目論見は、今回は失敗に終わる。

 結構強い風が吹いており、風を避けるために五丈岩の裏側にテント設営する。眼下には甲府盆地の夜景が広がるが、霞んでいる。さらに富士山もほとんど霞の中。しかし、双眼鏡で見ると南の低空に輝くカノープスはしっかりと見えた。計算上では6時20分ごろ、あれと同じくらいの高度で彗星が輝くはずだった。 


    霞む富士山と甲府盆地  見えますか?富士山の右脇に輝くカノープス。上空の明るい星はシリウス。

 食事を終えて9時過ぎ、外に出てみると空には凄い星空が広がっていた。山上で見る星空はやはり格別だ。今年はオリオン座と冬の大三角形にさらに木星が加わって、そのあたりの星空は明るい星4つが輝いていてひときわ賑やかだ。カメラを変え、今度のEos7DはIso感度2000に上げてもノイズが少なく綺麗に撮れる。ハーフ拡散フィルターの効果も良く、安定した星空撮影ができるようになってきた。


    五丈岩に輝くオリオン座と冬の大三角形  右手のひときわ明るい星は木星。


    同上(縦位置)


    金峰山山頂に輝く北斗七星とカシオペア座


    おおいぬ座とオリオン座  この後インターバル撮影約2時間、オリオン座が西に沈むまで撮影を行った。


    五丈岩と沈み行く冬の大三角形

 深夜12時ごろから風向きが変わったようで、さらに風も強くなりテントは隅が持ち上がるほどの強風に煽られた。テントポールが折れるのではないかと思うほどテントが揺れて歪む。もし飛ばされたら・・・3メートル先は崖っぷち、落ちたら命は無い。とても落ち着いて寝ていられるような状況では無くなった。ピッケルを深く突き刺してテントは固定してあるものの、安心はできないし、歪んだテントが頭や顔を叩くのでとても眠れるようなものではない。結局ほとんど眠れず、まだ暗い早朝5時にテント撤収し始め、6時には下山開始した。


    朝の五丈岩

 空は曇り空、景色はほとんど見えず、目も開けていられないような強風が稜線上を吹き荒れた。千代の吹き上げまで下りて一休みし、その先の樹林帯の中は風を避けられた。足の疲れもあるが、それ以上に寝不足で体がだるい。当直の後もそうだが、最近はめっぽう寝不足に弱くなってしまった。休憩をふんだんにとりつつ、9時40分、瑞牆山荘前の駐車場に到着した。ちょうど富士見平小屋の小屋主相川さんが車でゲートを通過するところで、お会いすることができた。昨年瑞牆山での遭難者を救助する際に自らが怪我をされたそうで、今でもその後遺症に悩まされているそうだ。無謀な登山者も見かけるそうで、注意しても言うことを聞かずに困ると言っていた。シャクナゲ咲く季節にまた訪れることを約束した。

 下山時は空模様がいまひとつだったが、冬型の気圧配置となったこの日は夕方になると霞や雲がすっかり消え、澄んだ夕暮れ空となった。もう1日早くこういう空になってくれればとちょっと悔しい思いがした。さらに悔しかったのは翌日のインターネットで検索したパンスターズ彗星の映像だった。撮影地は長野県原村。追尾した映像を10数枚加算処理して合成したものだが、確かに彗星が映っている。山の上から苦労して撮った写真ならば「負けた!」と素直に思うのだが、車で行ける場所から撮ったものに負けるのはかなり悔しい。合成では無く、1枚の写真できっちりと撮ってやりたいと思う。
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「山と花と星の奏でる音楽会」開催します。

2013年03月12日 | 番外編
 2月に予定していたスライド上映会でしたが、インフルエンザが流行していたために延期し、下記日程で開催することとなりました。一部You-tubeで公開していますが、今回は星空やダイヤモンド富士のインターバル撮影を動画編集したものを含めて上映します。お時間の都合がつきましたら是非お越しください。





 私の勤務する社会保険山梨病院は現在新築工事が急ピッチで進行しており、5月に移転する予定です。今回は現在の建物で行う最後のスライド上映会となります。パンスターズ彗星が観察できる位置まで来ていますが、なかなか撮影条件が整わず苦戦しております。今回の上映会になんとかお届けできるようにと奮闘しております。
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十四夜・十五夜の冬月  平成25年2月24日・25日

2013年03月01日 | 山梨百名山
 平成25年2月24日

 西湖のほとり、根場から鬼ヶ岳を周回して下山後、食事を終えたのが午後4時半だった。この日は夕方5時過ぎに富士山頂あたりに十四夜の月が昇って来る日だった。場所は田貫湖よりやや朝霧高原寄りだが、田貫湖でもおそらくは見られるだろう。ということで、車を田貫湖に向かって走らせる。朝霧高原で富士山を横目で見ると裾野にもう月が昇って来ていた。急いで向かうが途中で曲がるところを間違え、人穴方向に行ってしまう。するとそのあたりに車が4~5台、カメラマンが三脚を構えて待っていた。ここでも良いのだろうが、湖の景色を入れたかったので方向を変えて田貫湖へ。すると・・・意外にも車が少なく、楽勝で駐車場に止められた。既に富士山の右側から月が昇っている。予想では剣ヶ峰からだったがだいぶ予想がはずれた。三脚とカメラだけ持って、足元はサンダル履きのままで湖畔に行き撮影するがあまり面白い写真では無い。前景に葦の穂を配して田貫湖らしさを表現するもいまいちだ。

    田貫湖と十四夜の月


    十四夜の月昇る

 十数カット撮って移動、夕陽に染まる富士山と月を撮る良さげな場所を運転しながら探すが、そう簡単には行かない。猪之頭公園のところで富士山が焼けておりそこで撮影して夕暮れとなる。もう少し場所と時間を正確に割り出さないとうまく行かなそうだ。

    夕陽に染まる富士と月


    残照と月


    下部をカットして撮影したが、その下にはトイレの建物がある。


 平成25年2月26日

 この日の月の位置はほぼ正確に計算してあった。場所は猪之頭林道下部。しかし、十五夜の月だけあって(正確には十五夜に近い十四夜の月)日が沈んで暗くなってから富士山頂に姿を現す。富士山に露出を合わせると月の模様は消えて光の塊になってしまう。甲府を4時過ぎに出発したが時間が遅過ぎて間に合わないかもしれない。前日同様、朝霧高原まで行くと裾野から金色の月が昇って来ていた。西の低空に雲が出たため残照はもう消えており、白い富士山が立つ。ギリギリで間に合う時間ではあったが、あたりの木や草を見ると日中の強風が嘘のように止んで動きが止まっていた。ならば・・・池に映る逆さ富士と月、ふもとっぱらに行き先を変更する。風が止めば水面に富士山が映ってくれるはずだ。

    池に映る月と富士


    同上


    暗くなるにつれて月の光は輝きを増し、光が拡散する。


    十五夜の冬月昇る  10mm超広角レンズで空に伸びる木を前景に配置。


    もうひとつの池は後ろ側にある建物の照明を浴びて妙な色に映る。

 富士山頂に昇るパール富士にこだわらずとも、前景を工夫すれば面白い写真が撮れるのではないかと思う。
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