山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

花と星の権現岳へ 令和1年8月11日ー12日(2日目 天女山に下山編)

2019年08月15日 | 八ヶ岳・秩父山系
 早朝から星撮りのために早起きし、さらにキレット小屋に看板を届けて権現岳小屋に戻って来たのは11時になった。予定では10時に戻るはずだったのだがそんなに甘くは無く、暑さと眠気も混じってヘトヘトである。1リットル持って行った水も帰りの途中で飲みつくしてしまい、権現岳小屋に戻ってから500mlほどの水を飲んで体を潤す。昼食にラーメンをいただき(500円は安い!)大休憩して12時に天女山に向けて下山開始する。入山したのは観音平だが天女山に仲間の車がデポしてあり、こちらのルートで確認しておきたい花がある。


    権現岳山頂付近に咲いていたタカネナデシコ


    タカネサギソウ。あまり株は見つからず、疲れてあまり探す元気も無くなった。


    ヒメシャジンと権現岳


    ヒメシャジンがたくさん。下に見えるのは雲が巻く三ツ頭。


    ムラサキタカネアオヤギソウ


    こちらは大株。


    蕾のオヤマリンドウ。この花が咲き出すと秋が来た感じがする。


    三ツ頭付近のハイマツの下に咲いていたミヤマフタバラン。こちらの尾根にもそこそこに数がある。


    ヒメハナワラビは胞子嚢がはじけて胞子が放出されているようだ。


    このハート形の葉、花の付き方、これはカイタカラコウではないかと思われる。南アルプス特産と思っていたが?


    確認しておきたかった花のひとつ、マツムシソウ。であるが、標高は2,200mを越えており小型なのでタカネマツムシソウと思われる。山梨県絶滅危惧DD類(情報不足)になっている。


    そして一番確認しておきたかったのがこの花。


    数年前に見た時には花筒に毛が生えておりビランジと思っていたが・・・


    この花の花筒には毛が生えていない。とすればオオビランジなのか?


    こちらの花筒には毛が生えている。


    さらに別株。これにはたくさん毛が生えている。

 同じ場所で同じ環境に生えているのでビランジとオオビランジが一緒に生えているとは考えにくい。砂礫帯の中の岩の付け根あたりを好んで咲いているこの花、環境的には鳳凰山のタカネビランジに似ている。小型、かつ茎には明らかに毛が生えており、花筒は毛の生えているものと生えていないものが混在している。おそらくはビランジと見て良さそうだが、他の場所のオオビランジをもう少し良く観察してみてから結論を出したいと思う。

 天女山駐車場の到着目標時間は午後4時だったが植物探しや写真撮影に時間を費やしたため5時を少し過ぎた頃に到着した。私は疲れと眠気が強くなりメンバーよりも少し遅れての到着となった。暑さとキレット小屋が思ったよりも遠かったことで疲れたが、3ヶ所の小屋に看板を届け初見の花にもいくつか出会うことが出来た。ミヤマアケボノソウが見つからなかったことは残念だったがなかなか良い花と星の山行だった。

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花と星の権現岳へ 令和1年8月11日ー12日(2日目 キレット小屋編)

2019年08月14日 | 八ヶ岳・秩父山系
 ペルセウス座流星群は撮影出来なかったが権現岳の朝は山々が雲海に浮かぶ素晴らしい夜明けだった。小屋に戻って朝食をいただいた後、キレット小屋に向かって出発する。ひとつは植物調査のため、そしてもうひとつは山梨県から依頼を受けた蝶類保全のための看板を小屋に届けるためである。


    権現岳小屋に設置してもらった蝶類保全のための看板。これをキレット小屋にも届けるのが今回のミッション。


    朝の権現岳と富士山


    赤岳と阿弥陀岳。その手前に立ちはだかるのが旭岳。あれを超えてさらにその先のコブを2つ超えた先にキレット小屋がある。遠い!


    まずは難関の長いハシゴを降りる。帰りにまた昇り返すかと思うと先が思いやられる。


    旭岳と赤岳。旭岳のピークは巻いて超える。


    ヤマハハコの群生


    チョウジコメツツジ


    あの看板のところがツルネ。キレット小屋はもう少し先だ。見えている山は左が阿弥陀岳、右が赤岳。


    ツルネからの眺望は素晴らしい。間近に見える赤岳と阿弥陀岳。


    鋭い岩が突き出している赤岳が格好良い。


    コマクサがたくさん咲いていた。


    振り返ってみるツルネ。帰りはあれを登り返す。下に生えているのはシコタンハコベ。


    以外にもたくさん生えていたシコタンハコベ。こんなにたくさんあるとシコタマハコベだ。


    まだ赤い葯を付けている新鮮なシコタンハコベ。


    気難しいトウヤクリンドウが花を開いていた。


    タカネニガナと奥秩父山塊


    こんなところに奇怪な腐った花が・・・


    もう花は終わってしまっているがオニク。これでも絶滅危惧種。


    そして今回の調査対象種のムシトリスミレ。もう結実している。


    キレットで見かけたクモマベニヒカゲ。ベニヒカゲは普通に見かけるがクモマはあまり見かけない。

 なんとかキレット小屋まで降りて小屋番さんに看板を渡し、さっそく小屋の中の壁に看板を設置していただいた。今回探していた別の花の情報を伺ったがどうもキレットの周辺には生育していないようだし、草地の中を覗き込みながら歩いてきたがやはりそれらしき葉や花は見つからなかった。探していたのは今年から新たに特定指定種に登録されたミヤマアケボノソウである。八ヶ岳の長野県側では見かけているが山梨県側では見たことが無く情報も無い。探すには苦労しそうな気配である。

 ヘロヘロになって権現岳小屋に戻ったのは予定時間を1時間ほどオーバーした11時だった。昼食に小屋でラーメンをいただき、水を十分に補給して休憩後、天女山の登山口に向かって下山である。

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花と星の権現岳へ 令和1年8月11日ー12日(1日目)

2019年08月14日 | 八ヶ岳・秩父山系
 今回の権現岳山行は植物観察(調査)もあるのだがそのほかに夜の星空とペルセウス座流星群、さらには山梨県からの依頼を受けて特定指定種蝶類保護のための看板を3ヶ所の山小屋に届けるというミッションがある。巨大な台風10号が遥か南の海上をゆっくりと北上して日本に近付きつつあるが8月3連休の山梨県にはまだ影響は及ばなそうで、むしろ空が晴れて星が期待できそうである。問題なのは猛暑だろう。山仲間4人で観音平から青年小屋を経て権現岳小屋に1泊の予定で入山する。


    朝7時半、観音平の駐車場はほぼ満車で道路まで車があふれていた。


    雲海展望台は雲が出て展望は無し。木がだいぶ伸びてきて展望が悪くなっている。


    押手川の編笠山分岐点。たくさんの登山者が休憩中だった。

 編笠山を越えても良かったのだが自分たちの体力とスピード、さらに暑さを考慮してここは編笠山に登らず巻き道を使って青年小屋まで行くことにした。お目当ての花の一つであったミヤマフタバランはそれなりの個体数が見つかった。


    ミヤマフタバラン。風に揺れてなかなか撮らせてくれない。


    次々と見つかったミヤマフタバラン。昨年以上にたくさんの個体に出会えた。


    接写


    ミヤマフタバランの近くにはたいていキソチドリが咲いている。


    探していたが見つからなかったこの花、まさかここで出会えるとは。


    リンネソウ


    別の場所でも群生していた。


    木陰にひっそりと咲いていたミヤマシグレ。県によっては絶滅危惧種に指定されているが山梨県では指定無し。

 お昼頃に青年小屋に到着しコーヒーをいただきながら大休憩する。ここでまず1枚目の看板を小屋に届ける。ここから先は本日のハイライト、権現岳ザレ場のお花畑が待っている。途中から三脚を出して登山道を登る。


    ヒメシャジン。後ろに見えるのはギボシ(左)と権現岳(右)。


    タカネナデシコ


    ギボシ斜面とイブキジャコウソウ


    ヒメコゴメグサ


    岩の隙間に生えたタカネツメクサ


    ミヤマダイモンジソウ


    ミヤマヒゴタイ。後ろの編笠山は雲に隠れてしまった。


    そして見たかった花の2つ目、シコタンハコベ。


    こんな岩ゴロゴロの場所を好んで咲く。


    ミヤマアキノキリンソウと権現岳小屋。

 同行したメンバーから1時間近く遅れて4時半に権現岳小屋に到着した。他のメンバーは山頂付近のお花畑の観察に出かけていた。まずは脱水の補正に水を買って水分を十分に補給して休憩する。かなりのゆっくりペースだったので足はさほど疲れていないが水分が足りないようでなんとなく体がだるい。問題なのは明日のキレット小屋往復である。

 6時に夕食となり、おいしいカレーをお腹いっぱいいただく。日が暮れた7時過ぎに小屋の外に出ると明るい月が昇ってきていた。右に木星、左に土星を従えている月だが、明るすぎて天の川は見えない。


    権現岳の月。右に見えるのが木星でその斜め下にいる星がさそり座アンタレス、月の左に輝く星が土星である。天の川はちょうど月の位置に重なっていて見えない。


    権現岳小屋の上に輝く夏の大三角形


    ギボシと北斗七星、さらに春の大曲線。ギボシ左上の明るい星はうしかい座アルクトゥールス。月が明るすぎて星の輝きはいまひとつである。

 存分に花を楽しみながら登ってきた権現岳。山梨県では初見のリンネソウにも出会えて大満足である。明朝は月が沈んだ未明3時ごろからが星の観察に好条件になる。1日早いペルセウス座流星群も期待できるだろうし、薄明の空に昇って来るオリオン座も富士山と一緒に撮れるはずである。目覚まし時計は2時50分にセットして8時半に寝る。



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雪山トレーニング、樹氷の北八ヶ岳へ 天狗岳  平成27年3月14日

2015年03月16日 | 八ヶ岳・秩父山系
 数年前から行きたいと思っていた天狗岳だが、日程が合わなかったり、天候がダメだったりと実現できずにいたこの山。今年は今後の雪山登山を考えたうえで、最低限クリアしておきたかったのがこの天狗岳だ。雪山シーズン到来の当初は、まずは蓼科山、そして天狗岳、さらにもうひとつ瑞牆山をクリアしておきたかったのだが、蓼科山は一度は駐車場に入れず、もう一度は天候不良で登れず、蓼科山を飛ばして天狗岳ということになった。何度も登っている金峰山や鳳凰山に比べれば難易度は低いと思うのだが果たしていかに?

 朝4時半に自宅を出発して7時前に渋の湯温泉に到着した。心配していた駐車場は、ハイシーズンの2月を過ぎたためかほとんど混雑していなかった。3月に入ったのでもう樹氷の景色も終わってしまっているかと思ったのだが、都合良くこの日は冬型の気圧配置となり、3月にしては冷え込んでいた。渋の湯の気温は氷点下5度くらいだったと思う。12本歯アイゼンを装着し、7時10分に渋の湯を出発。


    渋の湯から入山。空はどんより曇り空だが、午後からは回復してくる予報だ。


    樹林の中を進む。まだ雪はたっぷり。


    凍りつく木の枝


    唐沢鉱泉分岐。唐沢側へのトレースもあったが、この時期に唐沢側から来る人はかなりの熟達者のはず。


    思ったよりも立派な樹氷が残っていた。


    樹林帯を抜け、視野が開ける。空には雲を通して太陽が見える。


    中山側のモレーン帯。黒百合ヒュッテまでもう少し。


    黒百合ヒュッテ到着。これから天狗岳に登ろうという人たちが大勢いた。

 いつものスローピッチで後続者にはことごとく追い抜かれ、ちょうど2時間半かかって9時40分に黒百合ヒュッテに到着。これから天狗岳を目指す登山者が大勢準備をしていた。ほとんどの人たちが中山峠側に向かって行くが、左回りのコースで登る予定だったので、黒百合ヒュッテ前の雪の斜面を登り、岩のところまで行ってみると、左回りコースを行く人の姿は無く、風と雪でトレースも消えている。強烈な1人ラッセルとなりそうなので、そちらのコースはあきらめて、人の姿が見える右回りコース、東天狗への直登尾根を行くことにする。数人が歩いたトレースがあったので、ヒュッテに下りずそのまま外輪を回って中山峠側の登山道に合流する。この合流点でお会いしたのが横浜から来られたご夫婦さんで、その後は渋の湯に下山するまでずっとこのご夫婦の後ろをついて歩くことになる。


    黒百合ヒュッテからの登り斜面。美しいシュカブラの波模様。下を歩く人たちは中山峠に向かう人たち。


    斜面を登って右に進むと左回りルート。しかし歩いている人は見当たらず、トレースも消えている。


    岩に着いたエビの尻尾


    天狗岳は雲に隠れて見えない。きっと上は吹雪なのだろう。


    外輪を回り込んで中山峠側のルートに入る。途中から見る稲子岳の絶壁が格好良い。


    まだたっぷりと残っていた樹氷。


    ダケカンバの樹氷。晴れていれば隙間から天狗岳が見えたはず。


    樹氷と稲子岳


    樹氷と天狗岳


    たっぷりのダケカンバ樹氷


    樹氷を前景に東天狗、西天狗が見渡せるこの位置がベストポジションか。晴れていないのが残念。


    岩氷と中山


    ダケカンバの樹氷


    急斜面を0登る。上には大きな雪屁が出来ている。


    振り返って見る中山方面。


    左回りルート分岐。誰も歩いていなかった。


    天狗の顔の急斜面。あれが山頂かと思ったらその先だった。


    雪で霞む東天狗山頂。


    東天狗山頂。

 黒百合ヒュッテから約2時間かかり、12時に東天狗山頂に到着した。山頂は吹雪いていて、とてもではないがここで昼食をとる気にはなれない。小休止して下山、途中の緩斜面で中山の樹氷を見ながら昼食にでもしようと思ったのだが、天候は次第に悪化して風も強くなってきた。黒百合ヒュッテまで一気に下山してそこで昼食となる。


    吹雪の中を下山。右手の二人が横浜のご夫婦さん。


    ホワイトアウトまでは行かないが、登りでは吹雪いていなかった中腹の斜面も吹雪になった。


    黒百合ヒュッテ到着。下りは約50分。朝は無かったテントがたくさん張られていた。その中には、甲府第一高校のテントがあった。

 時間はまだ午後1時を少し過ぎたばかりだ。黒百合ヒュッテで昼食をとって、あとはのんびりと下山するだけだ。横浜のご夫婦さんに先導してもらって、山談義しながら楽しく下山した。今年の冬の課題の瑞牆山も2月に行って来られたばかりだそうで、それほど難しく無いと話しておられたが、私とのレベルの違いもあるだろう。もう雪山シーズンは終わってしまうが、機会があれば挑戦してみたい。

 



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樹氷の森散策 北八ヶ岳茶臼山と縞枯山  平成27年2月14日

2015年02月17日 | 八ヶ岳・秩父山系
 予定ではこっちでは無かったのだが・・・9時に女神茶屋駐車場に到着すると予想通り駐車場は満車を越えてあふれ出している。蓼科山はあきらめてピラタスのロープウェイを使って北横岳にでも・・・。しかし、こちらのロープウェイも少しばかり渋滞して行列が出来ていたが、1本見送っただけて次の便に乗車できた。ロープウェイ山頂駅で軽アイゼンを装着すると時間はもう11時近くになってしまった。北横岳までならば楽勝で行ける時間ではあるが、何度か登っているので、反対側の縞枯山方面の地図を見ると、五辻という分岐を経て縞枯山周回が出来ることを知る。隣の茶臼山にも立ち寄れそうだ。スノーシューのトレースがしっかり着いているので、若干の踏み抜きは覚悟の上でまずは五辻に向かう。(樹氷が素晴らしく、今回は写真がいっぱいです。)


    ロープウェイ山頂駅付近から見上げる縞枯山。すぐそこに見える。


    樹氷が素晴らしい。青空では無いのが残念だが、これでも天候は朝より回復している。


    ご機嫌な樹氷。写真撮りまくり。


    スノーシューハイクコースには赤フラッグが付いている。あまり踏み跡が無く、アイゼンで歩くのは大変そうだ。


    北横岳を振り返る。


    向こうに見えるのは美ヶ原方面か?


    間もなく展望台に到着。中央アルプスが見える。


    雪原の向こうに南アルプス。


    五辻の手前で茶臼山が見え始めた。


    50分ほどで五辻到着。ここまではトレースがしっかりあった。

 五辻まではトレースがしっかりあり、その先の麦草峠方面に続いていた。しかし、茶臼山方面に向かう新しいトレースは無く、なんとなく踏み跡の痕跡が残っているだけだ。むしろ、このほうが雪を踏むトレーニングには面白そうだ。膝下まで雪を踏みながら進んで樹林帯の中に入ると、その先にはしっかりと窪んだトレースがあった。今日は誰も歩いていないようだが、前日の踏み跡がはっきりとある。あとはひたすら登るだけ。途中から青空が見え始め、真っ白な樹氷が鮮やかだ。


    五辻の分岐の先は新しい踏み跡無し。頑張って歩きましょう。


    樹林帯の中は本日のトレースこそ無いものの、しっかりと窪んだ踏み跡があった。


    樹氷を見上げる。


    青空が広がり始めた。白と青のコントラストが鮮やか。


    真っ白な雪と樹氷、そして鮮やかな空の青。雲がすぐ頭の上を飛んで行く。


    峠までもう少し。茶臼山が見え始めた。


    立ち枯れの木々と茶臼山


    峠に到着。

 12時40分、峠に到着。ここでは10数人の人たちが休憩していた。あまり休憩スペースが無かったのでそのまま茶臼山に向かって進むが、その先は深い雪に阻まれ、さらに吹きさらしの風でトレースが全く見つからない。それらしきところを歩くのだが、膝あたりまでズッポリと雪にはまって全く進めない。この日はまだ茶臼山には誰も登っていないようだ。目の前に山が見えるのだが、この調子ではとてもたどり着けなそうだ。どうするか、考えていると、大きなザックを背負ってワカンを付けた若者2人組が後ろからやって来た。この2人が強力な山男で、先導してトレースを作ってくれて、私はその2人の後を追いかけて茶臼山に登り着くことが出来た。1人だったら引き返していただろう。


    茶臼山はすぐそこ。しかし、雪が深くて登れない。


    先導してくれた若武者2人とその後ろにスノーシューの2人組。この人たちのおかげで茶臼山に登ることができた。


    樹氷の森に陽が指し込む。


    茶臼山山頂。ここは樹林の中で展望無し。展望台までわずかだが、そちらも本日のトレース無し。


    若干樹林の中を右往左往して到着した茶臼山展望台。感動的な景色が広がる。


    展望台の岩


    岩の上から見る南八ヶ岳。天気が回復して山々が見えるようになってきた。


    北横岳、蓼科山と美ヶ原


    樹氷の木々と八ヶ岳

 風が強かったが、岩陰に隠れてここで昼食をとる。その後、続々と登山者たちがやって来た。ここで会った人たちは本日は麦草ヒュッテ宿泊の人たちばかりだった。その中の1人が、本日のロープウェイ最終時間は4時だと教えてくれた。時間は1時40分、2時頃までゆっくりしていようと思ったのだがそうも行かないようだ。縞枯れ山を越えて行くとなると、雪の状態によっては2時間くらいかかるかもしれない。三脚と荷物を片付けてさっさと下山することにした。


    縞枯山中腹から振り返る茶臼山と八ヶ岳


    樹氷がとにかく凄い。急いで歩くのはもったいないが、あまりゆっくりもしていられない。


    立ち枯れの木々に付着した樹氷が面白く、シャッター押しまくり。


    縞枯山山頂付近。向こうに見える岩山は三つ岳だろう。


    縞枯れ現象で立ち枯れの木々が立ち並ぶ縞枯山はあまり見慣れない絶景の景色だった。この先は急下り。

 スノーシューで踏み固められたトレースのおかげで難無く縞枯山に登り着くことができた。時間は2時40分、ここから先は想定外の急下りで、先行していたスノーシューの2人組はスリップして大変そうだった。軽アイゼンの私は下りには強い。駆け下りるように斜面を下り、あっという間に縞枯山荘に到着した。


    縞枯山中腹から見る北横岳と縞枯山荘


    楽しませてくれた縞枯山を振り返る。


    縞枯山荘


    思ったよりも早く、午後3時5分にロープウェイ山頂駅に到着。


 思ったよりも早くロープウェイ駅に到着し、3時20分発のロープウェイに乗ることができた。

 登り始めはなんとなく消化試合のような気分で出発したのだが、たっぷりの雪と素晴らしい樹氷の景色、回復した天候、あまり見慣れない立ち枯れの木々に着いた樹氷と、北八ヶ岳の素晴らしさを存分に楽しむことができた素晴らしい山行になった。満足!だが、この程度の運動量では腹はへこまない。
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黄葉の観音峠から金ヶ岳へ  平成25年11月9日

2013年11月17日 | 八ヶ岳・秩父山系
 前日八丁峠短絡ルートから曲岳に登った際に、山頂裏側(金峰山側)のカラマツ黄葉が素晴らしかった。そこでこの日はこのカラマツ黄葉の眺めがいちばん楽しめそうなルート、観音峠から金ヶ岳南峰に至るルートを歩いてみることにした。紅葉ハイシーズンで大混雑する茅ヶ岳・金ヶ岳山塊にあって、このルートは地図上破線の急登ルートになっており、歩く人が少なく静かな山歩きが楽しめる。中腹にある船首岩という展望台は観音峠から奥秩父山塊に至る山並の紅葉を存分に楽しむことができる絶景地である。

 朝8時観音峠に車を止めてスタートする。止まっているのは私の車だけだった。天候は曇り、富士山の眺望は期待できなそうだ。電波塔の脇を通り抜け、鎖場を2本越えて岩を登ると、30分ほどで船首岩に到着する。

    観音峠から見上げる。正面はルート途中のピーク、金ヶ岳南峰はその右に平べったく見える山。左の木に隠れているのが茅ヶ岳。


    ルート途中にある首無し地蔵。本来の観音峠はここだったが、古(いにしえ)のルートは荒廃してしまっている。


    鎖場1。鎖が無くても登れるが、下りは使わないと下りにくい。


    鎖場2


    2本目の鎖を越えると南側の眺望が開ける。谷の紅葉と太刀岡山(左)、茅ヶ岳(右)。


    上に見える岩が船首岩。


    船首岩直下の登りはちょっと登りにくい。


    船首岩。成るほど、確かに船の舳先のようだ。向こうに見えるのは曲岳。

 船首岩はこのルート最高の展望地で、岩の上からの眺望も良いが足場が安定せず、その一段下にある岩の上のほうが安心して眺望を楽しめる。カラマツの紅葉が見頃を迎えており、金色の絨毯の頭だようだ。

    観音峠から奥秩父山塊側の紅葉。金色の絨毯。


    観音峠電波塔と金峰山


    こちらは南側の眺望。中央左寄りに霞んで見えているのが太刀岡山、その右上にうっすら富士山が見えていたのだが、写真では消えてしまった。


    見下ろすカラマツ紅葉


    瑞牆山と金峰山


    こちらは八ヶ岳

 この先は急傾斜と岩尾根が続く。ルートはしっかりしているが、やや歩きにくいところもある。さらに倒木で道がふさがれているところが1ヶ所あり、上側を巻いて通過する。

    残っていた紅葉


    奇妙な岩


    急登と鎖場


    さらに続く鎖場


    急登、足元注意


    見えてきた金ヶ岳


    こちらは茅ヶ岳。左側にうっすらと富士山。(トーンカーブを操作)


    倒木、この先も倒木数本あり、ルートが塞がれていた。上に巻く。

 金ヶ岳南峰への最後の急登を登り、茅ヶ岳からの道と合流する。数人の登山者がここで休憩していた。右に進んで金ヶ岳北峰に到着、時間は11時だった。4~5人の登山者が休憩していた。ここで昼食をとり、ゆっくり休憩する。空はさらに雲が増えだしたが、その雲の中に一時だけ富士山が姿を現した。

    茅ヶ岳からの道と合流。


    金ヶ岳北峰到着。時間は11時。真面目に歩けばこれほど時間はかかりません。


    西側(明野側)の谷の紅葉。もう終焉。


    茅ヶ岳の上に一瞬の富士山。

 紅葉ハイシーズンの前にやっておきたかった茅ヶ岳標柱整備だったが、時期を逸してしまった。今回ニスや黒ペンキ、紙ヤスリなど道具はザックの中に詰め込んできた。しかし混雑するこのシーズンだけに、山頂で標柱をいじっているほどの余裕があるのかどうか・・・。南峰から茅ヶ岳に向かう下りで20人ほどの団体とすれ違った。茅ヶ岳の混雑具合を聞くと、食事休憩するスペースが無くてこちらに移動してきたそうだ。そんな中でスプレーニスを散布したらそれこそ顰蹙(ひんしゅく)ものである。あきらめて南峰に戻り下山する。

 帰りは旧観音峠のお地蔵さんのところから東側にいにしえの道を辿って下りてみた。(西側は以前に下りたことがある。林道のかなり手前に下り付いてテクテクと長い林道を歩いた記憶がある。)なんとなく道っぽいのがあり、やがて明瞭な道に出たと思ったらその道はすぐに笹の藪の中に消えてしまった。適当に斜面を下りるとまた笹籔、しかし、その中を縫うように細い道が通っており、背丈ほどの笹をかき分けながらその道を辿ると・・・ポンと林道に飛び出た。10分ほど林道を歩いて観音峠の駐車場に到着した。おそらく、本来の古い道は笹が生い茂ってもう歩けなくなってしまっているのだろう。


 今回のルートは鎖場や急傾斜があるものの、金峰山や太刀岡山、富士山の眺望が存分に楽しめる眺望の良いコースである。ルートは整備されているとは言えないがあまり迷うところは無く、中級者ならば問題無く歩ける道である。人が少なく静かな山歩きが楽しめる私好みの道と言える。この日も出会ったのは一人だけだった。
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コマクサ咲く八ヶ岳硫黄岳・横岳(後編)  平成25年7月27日‐28日

2013年08月06日 | 八ヶ岳・秩父山系
 前日赤岳鉱泉に宿泊し、日の出に間に合うように未明2時半に出発、5時過ぎに硫黄岳山頂に到着したは良いが、霧で何も見えない。朝食をとりながら休憩していると5時半過ぎから東の空に青空が見え始め、時折中央アルプスと御岳山が姿を現すようになってきた。そして次第に雲が晴れ始め、遂に中央アルプスの山並がずらりと姿を現す。そしてさらに、流れ行く雲の間から赤岳と阿弥陀岳が姿を現した。

    5時20分、霧に巻かれて何も見えない。


    5時38分、西の空に青空が広がり、御岳山と中央アルプスが姿を現す。


    西の空から次第に雲が晴れ始め、山並が見えるようになる。


    遂に姿を現した赤岳(左)と阿弥陀岳(右)


    雲湧く赤岳と横岳


    夜明けの空


    朝日射す阿弥陀岳と南アルプス(甲斐駒ケ岳と仙丈ヶ岳)


    北八ヶ岳、天狗岳と蓼科山


    全容を現した南八ヶ岳の山並

 6時を過ぎた頃から続々と山頂に登山者がやって来た。そのほとんどが夏沢鉱泉側からの登山者だった。そして6時半ごろに仲間の2人が山頂に登って来た。朝食はまだだというので、硫黄岳山荘のところで待っていてもらうことにして先に行ってもらう。三脚を撤収して硫黄岳山荘に向かうが、途中で写真を撮っていてレンズの異変に気付く。霧の影響でレンズの中が結露してしまった。もう1本のレンズは大丈夫なのでそちらに付け替える。

    硫黄岳山頂付近に咲いていたコゴメグサ。レンズが結露して画像が霞んでいる。もう1本の17‐55mmレンズに変える。

 
    硫黄岳山荘付近から見上げる横岳と赤岳


    硫黄岳山荘付近のコマクサ群落。株は小さいが数はたくさんある。


    チシマギキョウと阿弥陀岳


    イワツメクサと硫黄岳


    コマクサ群落と阿弥陀岳

 硫黄岳山荘周辺はコマクサがたくさん咲いている。そしてその先の横岳に至る砂礫の中もほとんどコマクサだらけだ。鹿の食害対策のために電流柵が張りめぐらされて保護されている。よくぞこれだけの範囲を囲んだものだと感心させられる。

    保護柵内のコマクサ群落


    こちらは電流柵内のコマクサ群落。見渡す限りのコマクサ。


    白花のコマクサ一株。向こうは硫黄岳。


    ハクサンシャクナゲ。


    混雑する硫黄岳の稜線


    ムカゴトラノオ


    綿毛になったツクモグサ


    団体さん数組重なったらしく、大混雑の横岳山頂。ここを避けて休憩する。


    静かになった横岳山頂。

 渋滞していたカニの横ばいで団体さんの通過を待ちつつ、横岳山頂には9時半ごろに到着した。大混雑していた山頂を避けてその先で休憩していると、10分ほどで山頂は静かになった。その後はさほど大人数のグループと出会うことも無く、花の写真を撮りながら稜線歩きを楽しむ。ウルップソウやヤツガタケキスミレはもう終わってしまっているのだが、黒くなったウルップソウの花を見る限りでは、今年はたくさん咲いたようだ。

    チョウノスケソウも綿毛になるようだ。


    もう散ってしまったウルップソウ


    今年はたくさん咲いたようだ。


    ムシトリスミレの群生。かなりたくさん咲いていた。


    イワオウギ


    地蔵の頭への下りにイブキジャコウソウ。

 地蔵の頭に11時半ごろ到着する。ここから行者小屋までが地蔵尾根の急下りだ。2度登っているがいずれも残雪期で、見上げるような雪の階段登りだった記憶がある。下ってみると傾斜はきついが道は良く整備されている。次第に山は雲に巻かれ始め、雨が降り出すがすぐに止んだ。行者小屋まで下りてここで昼食にする。

    地蔵の頭。横岳はもう雲におおわれている。


    地蔵尾根激下り。こんな金網の柵はあっただろうか?記憶に無い。


    行者小屋で昼食。おでんを注文したがタイミングが悪く、まだダシがしみ込んでいなかった。

 午後1時50分に行者小屋を出発して北沢の道を下るが、こちら側の登山道周辺に広がる森は苔が生い茂る豊かな森だ。きっと凄いものがある!と目を凝らして森の中を覗き込みながら歩くと、鳳凰山で見て以来となるコフタバランを発見した。コイチヨウランがあるのではと探したが発見できなかった。なんとか天気は持ってくれて、午後5時、美濃戸に到着した。

    南沢で見つけたコフタバラン


    コフタバラン(別株)


 夏の恒例で登っている横岳だが、ほとんどがウルップソウ目的だ。2008年に登った時のウルップソウが大当たりで、時間を忘れて撮影に没頭し、帰りは雷雲に追いかけられながら急いで下山した記憶がある。その季節はまだコマクサが咲き始めたばかりの頃で、いつかコマクサ満開の季節に行ってみたいと思っていた。今回は突然決まった八ヶ岳登山だったが、ちょうど見頃の時期に訪れることができた。想定外にたくさん咲いていた。それ以上の収穫がコイチヨウランだったと思う。また会うことができるかどうか・・・たくさん咲いてくれることを願う。
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コマクサ咲く八ヶ岳硫黄岳から横岳(前編)  平成25年7月27日‐28日

2013年08月05日 | 八ヶ岳・秩父山系
(写真枚数が多いので前編・後編の2部に分けてお届けします)

 7月26日の夜、北海道の土産話が聞きたいということで久しぶりにヨッシー隊のメンバー6人が集まって夕食会を開いた。写真を見たかったようだが、新病院に移転後自分で自由に使える部屋が無くなってしまい、プリンター等の写真関係のセットアップが出来ておらず現在写真プリントはほとんど出来ない状態になってしまっている。旧病院内にあった写真コーナーも新病院移転後は無くなってしまっている。壁に自由に壁掛けピンが打てないこと、デザインの問題等いろいろあるようで、再開の話はあるものの全く進んでいない。そういうことで集まったメンバーの皆様には申し訳なかったが、写真は無しの雑談と愚痴の会になった。
 メンバーの一人が夏休みをとって明後日から1泊2日で仙丈ヶ岳に行くという話題になった。しかもわざわざ長野側戸台側からバスに乗るという。花の終わっているこの季節に何故に仙丈ヶ岳?八ヶ岳ならコマクサが満開の頃だという話をしていたところ、一緒に行くはずだった友人から都合悪くなって行けなくなったというメールが届いた。ではどうするのだということになり、最終的に八ヶ岳に行くことになった。しかも私と植田さんが着いて行くことに。当直疲れがまだ抜けていないので早立ちは避けて27日ゆっくり出発、赤岳鉱泉宿泊でおいしい食事をいただき、翌日硫黄岳・横岳を越えて南沢から下山というプランを立てた。

 27日は10時に職場駐車場に集合する。メンバーは3人、まずは赤岳鉱泉に電話を入れて予約すると、あっさり部屋がとれた。美濃戸まで車で入り、12時半に出発、赤岳鉱泉に向かって北沢の林道を進む。もちろん花を探しながら歩くが、かつて咲いていたクリンソウの姿は無く、イチヤクソウ以外は目ぼしいものは何も見つからなかった。

    林道終点。ここから登山道。止まっている車は赤岳鉱泉関係者か林業関係者の許可車両。


    林道脇に咲いていたイチヤクソウ

 橋を渡り北沢沿いの登山道に入るとさっそく植田さんが花を発見。未だに判別ができないキソチドリらしきラン科の花が数本咲いていた。形は先日釈迦ヶ岳で見つけたものとほとんど同じだが、ここに咲いているものは花が緑色をしている。そしてその先で偶然発見した花は・・・一見した時はイチヤクソウかと思ったのだが、近付いて良く見れば花の形はイチヨウランにそっくりだ。最近図鑑のラン科植物ページを再三見ているので、すぐにその花とわかった。それは、超稀少な植物、コイチヨウランだ。

    発見!キソチドリ(だと思う)


    別株


    イチヤクソウほどの背丈と花の大きさしかないこの花は・・・コイチヨウラン。


    コイチヨウラン。1株しか発見できず。もう2度とお目にかかれないかもしれません。


    テガタチドリ。赤岳鉱泉周辺の草むらには結構生えていた気がしますが、今回見つけたのはこの1株だけ。


    赤岳鉱泉手前の草地。ほとんど雑草の草ばかり。ここも鹿の食害か?

 午後3時50分、赤岳鉱泉に到着。団体客が何組も入っており混雑してはいるが、4人分の布団に3人で寝ることができたので寝場所にはゆとりがあった。夕食は5時半からということで、それまでの間に外を散歩したりお茶を飲んだりして過ごすが4時過ぎあたりからぽつぽつと雨が降り出す。そして夕食時間の5時半になると土砂降りの大雨になった。夕立なので止むだろうが、明日の沢沿いの道は大丈夫なのかと心配するほどの雨だった。1時間ほど降って雨は小降りとなった。

    テント場と赤岳鉱泉。ぽつぽつと雨が降り出し、その後土砂降りに。テントの人はちょっと大変だっただろう。


    食事が豪華なことで知られる赤岳鉱泉。この日の夕食は牛ステーキ。ご飯とスープはおかわり自由。激おいしかったです!(今回の目的のひとつはこの豪華な夕食です。)


 翌朝は可能ならば硫黄岳山頂で日の出を迎え、写真を撮りたかった私は、夕食後すぐに睡眠薬マイスリーを2錠服薬した。5時半山頂として逆算して未明3時には赤岳鉱泉を出発したい。1錠で4時間、2錠で6時間眠れることは今まで星空の撮影のために使用した経験からわかっている。6時半には眠りに就いたので、おそらく目が覚めるのは深夜1時ごろだろう。

 そして目が覚めたのは・・・時間通り深夜12時半。窓の外を見ると星も月も見えない曇り空のようだ。布団の中で2時まで横になり、周りの人を起こさないようにそっと布団から出て洗面所に行き、歯磨きと洗顔後準備して2時半に赤岳鉱泉を一人で出発した。霧に巻かれた登山道を道迷いに注意しながら登り、赤岩の頭手前あたりで夜が明け始めて明るくなりヘッドライトを外す。うまくすれば雲海の上に抜けられるのではという期待も空しく、霧に巻かれて何も見えない。予定通り5時10分、硫黄岳山頂に到着した。

    霧に巻かれた赤岩の頭分岐点。4時45分通過。


    何も見えない硫黄岳山頂。5時15分。


 折角暗い中を登って来たのにこの天候では写真にならない。自然が相手だけにこればかりは仕方無い。赤岳鉱泉で作ってもらった朝食弁当を石室の脇で風を避けながら食べていると、西の空が明るくなり青空の下に御岳山と中央アルプスが一瞬姿を現した。消えたかと思うとまた姿を現し、次第にその山容がはっきりと見えるようになる。そして遂に・・・(後編に続く)。
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花咲く八ヶ岳、桜平から硫黄岳・横岳へ  平成24年7月11日

2012年07月13日 | 八ヶ岳・秩父山系
 偶然の平日休みがとれた7月11日水曜日、相棒の植田さんとともに桜平から硫黄岳・横岳を歩いた。植田さんは7月に入ってから既に杣添尾根から2度横岳に登っており、ウルップソウをはじめとする花が咲き誇る横岳尾根が相当お気に入りのようだ。横岳直登で最も早い杣添尾根を行くつもりだっただったが、3度目では申し訳無いので桜平からの硫黄岳経由でのルートをゆくことにする。午後からは天候が崩れる予報なので、少し早目の朝4時半に甲府を出発する。
 週末は大混雑して車を止めるのが大変な桜平だが、平日は至って静かだ。6時半、桜平を出発。オーレン小屋までは林道を2時間ほど歩くが、道端の土手や林、草むらを探しながら行くといろいろ咲いている。オサバグサはたくさんあるが既に終焉、今年は背丈が低くて小さな株ばかりだ。そのほかにキバナノコマノツメやシロバナノヘビイチゴ、さらにイチヨウランやキソチドリなども見つけることができた。

    イチヨウラン 林道脇で発見。結構ありました。


    キソチドリ(だと思う)  これもちらほら。


    オサバグサ これはたくさんありますが、今年は背丈が小さくもう終わりかけていました。

 途中で140人連れの中学生2組と遭遇した。1組は長野県茅野市からやって来た中学生、もう1組は佐久市から来た中学生だ。長野県では学校をあげてのこのような登山の取り組みをしているところが多いようで、さらに下山する時にこの日夏沢ヒュッテに宿泊するという小淵沢町から来た中学生の団体に出会った。感心なことである。桜平まではバスが入れないので、バスの入れる広い道までさらに2時間歩くと言っていた。
 花探しと撮影に時間を費やし、夏沢峠には9時15分に到着した。風は強かったが青空が広がった。この先は森林限界を超えてハイマツの広がる斜面となる。イワカガミやイワウメはもうほとんど終わってしまっていたが、代わりに色鮮やかなミヤマシオガマが咲いていた。偶然にも、ムシトリスミレを3輪見つけることができた。10時50分、硫黄岳山頂に到着。青空が広がったが、かなりの強風が吹き付ける。硫黄岳山荘まで下りてそこで昼食をとる。


    ミヤマシオガマと硫黄岳


    同上


    ムシトリスミレ発見


    硫黄岳噴火下降


    硫黄岳山頂。青空が広がったが風が強い。


    八ヶ岳  硫黄岳山頂から。

 強風だが空は晴れている。ここで帰ることも考えたのだが、ウルップソウが主に咲いているのは横岳の稜線だ。硫黄岳山荘周辺にもあるにはあるが、数は少ない。天候はまだ持ちそうなので行ってみることにした。途中のザレ場にはコマクサがたくさん葉を出しているが、花はまだ咲き始めたばかりでほとんどが蕾だ。その中にヤツガタケキスミレや白花のコマクサが混じっていた。


    コマクサは咲き始め。


    コマクサ(白花)と硫黄岳


    コマクサ


    ヤツガタケキスミレ

 強風に煽られながらも12時50分、硫黄岳山頂に到着した。その手前には新鮮なウルップソウが咲いていたが、数年前に来た時に比べると半分くらいしか数が無い。その先の杣添尾根分岐の手前にもかつてはたくさんあったのに、今年はだいぶ少ない。念入りに探してみると、咲き残っていたツクモグサを2株見つけることができた。


    ウルップソウ


    ウルップソウと硫黄岳


    咲き残っていたツクモグサ


    綿毛のツクモグサ


    横岳稜線のお花畑


    チョウノスケソウと赤岳

 午後1時半ごろまで横岳稜線のお花畑を楽しみ、折り返して下山し始める。相変わらずの風だが、さらに雲が増えてきた。赤岳は半分雲で隠れている。そして硫黄岳山荘への下りのところで、遂に硫黄岳山頂に雲がかかり始める。あっという間に雲は下がり始め、硫黄岳への登りの頃には既に真っ白な霧の中に入ってしまい、視界が悪くなる。大きなケルンは1つ先まで見えるものの、2つ目までは見えない。見失わないように山頂を目指し、午後2時40分、硫黄岳山頂に到着した。さらに天候が崩れそうだったので、ここは休憩せずに夏沢峠まで下りた。


    雲が巻き始めた硫黄岳山頂

 夏沢峠で休んでいるとポツポツと雨が降り出す。途中でカッパを上半身だけ着たが、さほどひどい雨にはならず、林道をひたすら歩いて午後5時、桜平に到着した。今年は他の花と同様にウルップソウもあまりたくさんは咲いてくれなかった。コマクサもたくさん葉が出てはいるが花付きはいまひとつのように思う。
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八ヶ岳に咲く稀少植物たち

2012年04月05日 | 八ヶ岳・秩父山系
八ヶ岳に咲く稀少植物たち


 甲府市武田通りの桜がちらほらと咲き始めました。もうすぐ山も花のシーズンを迎えます。昨年は山梨県山岳連盟のレインジャー活動に参加させていただき、八ヶ岳の花調査を行いカモメラン、ムシトリスミレ、イチヨウランなどの稀少植物を見てきました。今年は、ホテイランと天候が許せばツクモグサを久しぶりに見に行きたいと思っています。
 私のブログでホテイランを見ている方が多くいらっしゃるようですが、花期が合えば美濃戸から入って南沢沿いで意外と出会うことができる花です。当たり年になると良いですね。
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樹氷の森、鬼頬山から黒富士へ

2012年03月16日 | 八ヶ岳・秩父山系
 平成24年3月11日

 3月9日から10日にかけて甲府では雨が降った。さほど寒い雨ではなかったが、河口湖や富士吉田では雨ではなく雪だった。そして11日、雨は上がったが空は曇り空、しかし天気予報では日中晴れ間が差しそうだ。
 同じ職場に勤務する山仲間の一人が4月から静岡に転勤することとなった。この日は送別会を兼ねた登山を予定し、昨年北岳に登ったメンバーを主に、朝6時、職場前の駐車場に集結した。行き先はヨッシーの隠れ家、黒平から黒富士ルートと撥岩を予定していた。車で昇仙峡の奥、金桜神社からマウントピア黒平への道を行くが、途中に通行止めの看板あり、さらに林道を3kmほど進むとあたりの景色は雪景色に変わった。太刀岡山が真っ白に雪化粧している。この雪の量だと、黒平から黒富士へのルートは相当な時間を要してしまい、到着できないかもしれない。かつ、撥岩から道の無い尾根を下りるのはほとんど困難である。即座にルート変更を決め、引き返して平見城の黒富士農園から登ることにする。

    黒富士農園駐車場


    雪の越道峠

 黒富士農園からは越道峠、鬼頬山を経て黒富士に至り、八丁峠を経て農場に戻る周回が可能である。7時50分に農場を出発し越道峠に向かうが、予想通り途中から道路は雪道に変わった。30分ほど歩いて峠に到着したが、あたりはすっかりご機嫌の雪景色だ。先週の茅ヶ岳に続いて、3月にこの山域でこのような雪景色が見られるとはラッキーだ。誰も踏んでいない雪の感触を楽しみながら、鬼頬山に向かって進む。

    鬼頬山に向かう雪の登山道  木の枝が雪で垂れ下がる。


    樹氷の道、踏み跡の無い新雪の道

 くるぶしから脛下くらいの雪でラッセルというほどでは無かったのだが、鬼頬山への急登は辛かった。張られているロープや木につかまりながら、雪の斜面に靴を蹴り込んで登り、50分ほど時間を費やしてようやく山頂近くの緩い斜面に登り付いた。なんとかアイゼン装着せずに登り切った。ここで休憩していると、幸いなことに足の速い若者2人組みが私たちに追いついてきた。コースを聞くと、本日私たちが予定しているのと同じコースを歩くとのことだ。トレースをつけておくことをお願いし、ここから先は彼らのトレースの跡をひたすら追う、他力本願登山に変わる。

    霧の巻く樹氷の森  中央に見える黒い穴は鬼頬山の洞窟


    鬼頬山の急登。ここの登りは相当疲れた。


    森の切れ間から見る雪景色

 鬼頬山山頂からは一旦急下りとなり、そしてまた登り。黒富士の直下までは緩い下りとなり、そして最後の急登が待っている。岩混じりの急斜面を登り切り、12時10分、ようやく黒富士山頂に到着した。越道峠の道標には黒富士まで2時間と書かれていたが、ちょうど3時間かかって到着したことになる。

    雪山初経験者もいるが、皆笑顔。


    樹氷の森から見上げる青空


    鬼頬山山頂


    鬼頬山からの急下り


    カラマツの樹氷


    陽が差すといっそう生える樹氷の森

 朝は曇っていた空には青空が広がった。金峰山や八ヶ岳などは雲がかかっているが、隣の升形山、曲岳、茅ヶ岳などは良く見え、雪化粧した山並みが美しい。昼食をとってゆっくり休憩する。

    黒富士山頂  ハイキングコースのはずだったのですが、結構大変でした。


    黒富士展望台。富士山は見えず、残念。


    樹氷の山並み  右から升形山、曲岳、金ヶ岳、茅ヶ岳。その向こうの南アルプスは雲に隠れる。

 午後1時、下山開始する。升形山のコルあたりはいちばん雪が深く、膝下あたりまであったが、先行してくれた若者2人のおかげで迷うこともなく、労せずに通過することができた。午後になると樹氷の雪はボロボロと落下しはじめ、しばしば頭の上に降ってきた。これもまた樹氷の森の楽しみだ。1時40分、八丁峠を通過し、黒富士農園に向かって雪の感触を楽しみながらひたすら下りる。そして2時40分、黒富士農園の駐車場に到着した。参加メンバー皆、満足気な表情をしていた。

    升形山のコル。このあたりが一番雪が深かった。先行した若者2人に感謝。


    八丁峠直下。午後になると樹氷はだいぶ落ちてしまっていた。

 3月11日はあの大地震が東日本を襲った日だ。地震が発生した午後3時46分、追悼のサイレンが鳴った。参加者全員、北東の方向を向いて黙祷を捧げ、犠牲者の冥福を祈った。この後一旦解散し、6時半、駅前の「ういち」という鰻料理店に再び集合して送別会を行った。主力メンバーの一人が欠けることは残念だが、実家が甲斐市なので都合がつけばまた一緒に登れるだろうし、2年後には甲府に戻ってきているかもしれない。新しい職場でも活躍してくれることを願う。
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標柱整備と樹氷の茅ヶ岳  平成24年3月4日

2012年03月05日 | 八ヶ岳・秩父山系
 平成24年3月4日

 樹氷の情景を求めて北八ヶ岳を予定していた。そして予定通り朝5時に目を覚ました。しかし・・・空はどんよりと曇り空、三つ峠ライブカメラを見ても山には雲がかかっている。これでは・・・
 中止してもう一寝入りして明るくなった7時半に起きる。外に出ると、自宅のある積翠寺周辺の山にも雲がかかっている。これでは、山の眺望は望めない。そこで、一冬あけたところで傷んでいるであろう茅ヶ岳標柱を整備しに行くことに決めた。林道を短絡しようとして大明神林道に入ろうとしたが、冬季でゲートが閉鎖されていて入れない。深田公園駐車場から歩くことになるが、ちょうど2グループ、6~7人の登山者が出発するところで、山頂で一緒になるのを避けるため(ボンドやニスの臭いが強く、休憩時に不快感を与えかねない)あえて饅頭峠という峠を迂回して登山道に入る。この道は途中までが立派な林道になっていて、西側に迂回してから尾根に取り付き、2~3個のコブを超えて大明神林道に到着するため、10~15分ほど余計に時間がかかる。その代わりにほとんど人が歩いていないため、あの混雑する茅ヶ岳においてほとんど人に会うことがない静かなルートだ。ただし、時折オフロードバイクが走るため、バイクの音がしたら道を避けないと事故にならないとも限らない。

    深田公園


    深田公園を過ぎてすぐ先にまんじゅう峠の道標あり。


    饅頭峠。ここを右折して尾根道を歩くと、大明神林道沿いの駐車場に至る。

 深田公園を出発したのが10時半、11時15分に女岩経由の茅ヶ岳登山道入り口に到着。さらに女岩に到着したところで、駐車場で会った3人組が女岩の先の急斜面を登っているところだった。一休みして出発。いつもの茅ヶ岳の森で写真を撮り、ゆっくりと斜面を登って行くと、尾根に登り付くあたりで少しだけだが樹氷に彩られた木があった。思いもよらぬ光景にうれしくなり、しばしその界隈で休憩してこの景色を楽しむ。

    女岩。凍りついてはいなかった。10mm超広角レンズではこの広さまで写しこめる。


    茅ヶ岳の森の倒木


    尾根付近にできていた樹氷


    深田久弥慰霊碑付近の樹氷


    雪の華

 山頂に到着したのは午後2時。ほぼ予定通りだ。雲が湧いて景色は何も見えない。駐車場で見かけたグループはちょうど昼食を終えた頃だった。私は軽食をとって標柱整備にとりかかる。予想通り、古いほうの標柱は以前よりさらに朽ちており、さわるとボロボロと崩れてしまう。あまり壊さないように、朽ちた個所には念入りにボンドスプレーを噴霧して固める。そしてスプレーニス、さらに刷毛でニスを上塗りして、最後に黒ペンキで標柱の文字を塗り直す。約1時間で作業を終える。山頂にいた人たちも私の作業に興味を持ってくれ、この標柱のいきさつなどを、またしても自慢げに話してしまった。

    山頂のTwin Tower (before)


    山頂のTwin Tower (after) 天候が崩れ始めて暗くなってきたため、フラッシュを焚いて撮影。ピカピカ!

 3時過ぎ、尾根道を下山しはじめると、そこには驚くべき景色が広がっていた。一面樹氷の世界だ。日当たりが悪く風が吹かなかったこちら側の斜面にはまだ樹氷がそっくり残っていた。天候が崩れ始めて霧の巻いた光景がまたいっそう幻想的だ。本日は使うことが無いだろうと思っていた三脚をここで取り出し、存分に写真を撮る。この斜面で相当な時間を費やし、気が付けば時間は4時になっていた。遂に小雪が舞い始める。中腹の大岩を回り込んだあたりで樹氷の景色は終わり、三脚とカメラを仕舞ってあとはひたすら降りる。高度を下げると、雪はしだいに雨に変わり、さらに濃い霧が湧いてきた。午後5時、駐車場に到着した。

    茅ヶ岳尾根道に広がった樹氷の風景


    茅ヶ岳の樹氷


    同上


    同上


    凍りつく木


    霧巻く樹氷の情景

 茅ヶ岳は厳冬期にも何度か登っているが、このような樹氷の景色を見たのは初めてだった。うまくすれば、樹氷の向こうに立つ甲府盆地越しの富士山が見られるのかもしれない。
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 夕暮れに昇る月、月光の八ヶ岳西岳

2012年01月12日 | 八ヶ岳・秩父山系
 平成24年1月8-9日

 1月7日から9日の3連休は明るい月が夕方東の空から昇って来る。月明かりが明るすぎて星の撮影には向かないが、月光に照らされた山々を撮るには好条件である。好天となった3連休、富士山と月はおそらく朝霧高原あたりから狙っている人たちがたくさんいるはず。ならば富士山は避けて別の山・・・パソコンで良さそうな場所を探すと、八ヶ岳西岳からだとちょうど権現岳と赤岳の間から月が昇って来る。7日の1日目は車のタイヤを換えたり、久しぶりの冬山なので装備を点検したりでお昼を過ぎてしまい、8日の出発となった。計算が間違っていなければ、日没と同じ頃にほぼ満月に近い14夜の月が昇って来るはずだ。
 8日は寒い朝だったが、風が無くて穏やかな天気となった。中央道を小淵沢で降り、八ヶ岳高原スキー場を過ぎてその先の別荘地から林道に入ろうとしたのだが、そこは鎖が張られていて入れない。高原スキー場に戻って、そこの駐車場に車を止めさせてもらう。直後に私の横に止まった車から降りてきたのは、当院の看護師さんでびっくり。子供を連れてそり遊びに来たところだった。冬山に行く時は(といっても西岳は雪が積もっているだけの危険の少ない山だが)いつも職員に「遭難しないで」と言われるのだが、今回も同じ言葉で励まされて(?)西岳むけて出発する。

    八ヶ岳高原スキー場奥にある登山道入り口


    不動清水  凍っているが水は流れている。

 10時半富士見高原スキー場を出発。スキー場のいちばん奥に登山道入り口があり、看板が立っている。40分ほどで不動清水の水場に到着し、小休憩する。水場は凍りついているが、細い水は流れていた。この先、緩やかな登りがしばらく続き、林道を3度横切る。しだいに傾斜がきつくなり、山頂近くの登りは結構な急斜面となる。雪は10cmほどだったが、凍りついてはおらず、アイゼン装着せずに登る。

    山頂に近付くにつれて傾斜がきつくなる。


    山頂近くの岩地から見る編笠山と富士山

 午後3時、樹林帯が切れて眺望の良い岩地に出た。編笠山と富士山が並んで立っているのが見える。ここで三脚を取り出して30分ほど時間を費やす。高度計は2,200mくらいを示していたので、山頂までまだ30分くらいはかかるだろうと予想して、気合を入れなおして登ると、急斜面を登りついてぽんと山頂に飛び出した。高度計が100m以上も低く表示されていたのだ。3時40分、西岳到着。天気は良好、風も無く穏やかだが、気温は氷点下9℃を示していた。

    西岳山頂からの眺望。権現岳、編笠山、富士山が並んで見える。


    権現岳と十四夜の月


    夕暮れ迫る赤岳(左)と権現岳(右)  その間から月が昇る


    夕暮れに昇る月と権現岳


    Earth Shadowと十四夜の月

 既に先客4人組のパーティーがテント設営して休んでいた。私は見晴らしの良い山頂中央にテント設営させてもらう。午後4時過ぎ、日没近くなると、予想よりも早く月が昇り始めた。位置は計算通り、赤岳と権現岳の間から昇って来た。しかし、西岳山頂は裏側の木が若干邪魔になって、山並が隠れてしまうのが残念だった。もう一つ、木の枝に付けられた登山道を示す赤テープがどうしても邪魔になってしまい、これは雪をかぶせて隠した。権現岳の左肩に昇った14夜の月はしだいに夕暮れの空に輝き、さらに夕闇の中に包み込まれて輝きを増していった。反対側の南アルプスから中央アルプスの夕暮れも素晴らしく、寒いのも忘れて夢中でシャッターを切っていた。

    夕暮れの南アルプスと中央アルプス


    編笠山と南アルプスの夕空


    夕暮れに輝く一番星、金星


    月光に浮かぶ南アルプス


    十四夜の月と冬の大三角形


    西岳山頂に設営したテントと権現岳
   
 7時半、すっかり暗くなってからテントに入り、一旦寝る。次に目を覚ましたのは12時半、空高く月が昇っている。テント内の温度を計ると、プロトレックの温度計は-10℃までしか計れないらしく、振り切って点が表示されていた。あてにならないアルコール温度計を見ると・・・-18℃あたりを指していたが、そこまで冷えてはいないだろう。テントの外に出ると、甲府盆地の明かりは雲に覆われて隠れていた。空を月明かりに照らされた筋雲が流れて行く。カノープスを見ようと思っていたのだが、若干起きた時間が遅かった。北側の空には北斗七星が昇っていた。30分ほど撮影してまた寝る。

    月光の編笠山と甲府盆地の灯り


    北斗七星と権現岳  春の大曲線はおとめ座のスピカがまだ昇っていなかった。


    空を流れる筋雲と編笠山・権現岳


    月光照らす南アルプスの空

 肩の辺りが寒くて朝4時半に目が覚める。外を見ると空は雲に覆われて星は見えなくなっていた。またシュラフに潜り込むが、2枚持っていったシュラフにシュラフカバーを掛けた3枚装備でもまだ寒かった。ウトウトして6時半に起きると、隣りの4人組はもう出発するところだった。編笠山を経て下山するらしい。私も予定では編笠山まで行くはずだったが、完全に雲に覆われてしまっている。こちらの西岳に雲がかかるのも時間の問題だ。編笠山はあきらめて下山することにした。

    朝の編笠山  すっかり雲に覆われてしまっていた。

 朝食をとり、テント撤収、8時10分、下山開始した。下りはスリップが心配だったがアイスバーンにはなっておらず、アイゼン装着せずに下りることができた。念のため持って行ったピッケルは一度も出番が無かった。10時半、無事に駐車場に到着。
 昨シーズンは頚椎症のためにほとんど行けなかった冬山だが、18kgの荷物を背負って1,000mくらいの高度差ならば今年はなんとか大丈夫そうだ。出来る限り、入山したいと思っている。
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プチ登攀トレーニング、金ヶ岳裏ルート、観音峠からの道を登る

2011年11月30日 | 八ヶ岳・秩父山系
 平成23年11月23日

 すっきりとした秋空とはならなかったこの日、夕方からは雨が降るかもしれない。職場の近くにある朝日町商店街ではえびす溝祭りが行われており、当院でも出展していたため、そちらにちょっとだけ顔を出してから山に向かう。観音峠から金ヶ岳のルートは昭文社地図では点線で書かれたルートで、鎖場や岩場が続くルートである。ここを歩くのは4年ぶりとなるが、前回訪れた時は午後から登り、金ヶ岳で夕暮れを迎えてから暗い中を下りてきた。確かに茅ヶ岳からのルートに比べると難しいが、道は一応整備されている。

    観音峠の登山口


    10分ほどで電波塔の脇を通過する。ここで既に息があがる。

 さて、観音峠到着は11時半になってしまい、準備して出発。以前に比べると笹原が刈られていたり、道標が新たに付けられたりと整備されていた。しばらくまともに歩いていないこともあってか、10分ほど歩いて電波塔のあるところまで着いたところで、既に息が上がってしまう。しかし、トレーニングを兼ねているのでここは休まずに登り、船首岩という展望の良い岩場の下まで行くと、2人の登山客が下山途中で船首岩の上で眺望を楽しんでいた。この岩の直下の登りは少しばかり登りにくく、補助鎖やロープもついていない。

    最初の鎖場  鎖無しでも登れるが、下りは無いと降りにくい。


    鎖場その2


    船首岩直下の登り。ここはちょっとだけ難しい。


    船首岩  この岩の上は、富士山、八ヶ岳、金峰山などの眺望が抜群。向こうに見える山は曲岳。


    岩壁の横を通過


    鎖場その3


    さらにその上まで鎖が続く

 休憩しようかとも思ったのだがここも休まずに登り、1時間少々登った金ヶ岳の手前ピークを巻いたところで休憩した。巻いたところとは、以前はピークを越えて登ったのだが、新たに「谷ルート」と称したピークを越えない道ができていた。道は細いがテープがついていて、木も切り払われている。さらにその道からは、かつての林業軌道跡と思われる北側の林道に下りられそうな尾根道が延びていた。ほとんど踏み跡はなくテープも無いが明らかに道。機会があったら下りてみたいと思う。

    金ヶ岳北峰への最後の登り。道がややわかりにくいところがあります。


    金ヶ岳北峰から見る茅ヶ岳。残念ながら富士山は雲隠れ。

 さらに先に進んで金ヶ岳北峰への急登りを登り付くと、展望が開けて北峰に到着、さらに南峰まで行くと、そこには20人ほどの団体客が休憩中だった。時間は午後2時、途中のルート探索で時間を費やしてきた割には早く着いた。山頂は休憩スペースがなく、直下の草むらに入って休憩。昼食は軽食で済ませた。団体客がいなくなったところで今度は金ヶ岳から西側に向かう尾根のルートを探る。こちらは地図には載っていないのだが、茅ヶ岳の番人、末木さんからルートがあると聞いていた。山頂周辺こそテープは無いが、さらに進んで行くと明らかな道となり、テープがついている。確かに歩けるルートだが、果たしてどこに出るのか?こちらも地図を十分に検討していずれ歩いてみたいと思う。

    南峰の草地から見る茅ヶ岳  富士山は茅ヶ岳のほぼ真上に見えるのだが、この日は姿を現さず。

 さて、下山。この程度では疲れない・・・と思っていたが甘かったようで、ちょっと山歩きをさぼっただけで相当体が鈍ったようだ。何となく膝がガクガク、下りのピッチが上がらない。しかも、ちょうど中間点あたりで小雨が降り出してしまった。本降りにはならず、なんとか雨具を着ないで観音峠までたどり着いた。時間はちょうど午後4時だった。

    下りながら見つけたマツムシソウの咲き残り


    下りながら船首岩付近から見る観音峠の電波塔と金峰山の山波

 初心者にはあまり勧められないルートだが、中級くらいの方が行くと、なかなか楽しめるルートだと思う。もちろんザイルはいらないし、さほど迷うような場所もない。かつ、距離が短くて金ヶ岳に早く到着できるのも魅力だろう。なんとなく山を歩いたという達成感のある面白いルートである。
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晴天の金峰山  平成23年9月18日

2011年09月26日 | 八ヶ岳・秩父山系
 平成23年9月18日
 
 演奏会を終えた翌日、久しぶりに6才のなっちゃんを誘って山に出かけた。他に北岳登山ですっかり山にはまってしまった高山君と小堀君を誘う。3連休の中日、相当な混雑が予想される大弛峠、早朝5時に職場の駐車場集合し、塩山でなっちゃんとお母さんを拾って峠に向かう。
 塩山では空はどんよりとした雲が広がっていたが、大弛峠に近付くにつれて青空が広がり始め、7時に峠到着した頃には下に雲海が見える青空になった。予想通り駐車場も路上も車がいっぱいで、長野側の砂利道を100mほど下ったところに車を止めた。シャツ1枚では少々肌寒いくらいの気温だった。

    長野県側の砂利道脇に車を止める。


    空はもう秋の雲

 7時半、大弛峠からいざ出発。最初は少し急な登りだが、登って行くとなだらかな登りとなり、林の隙間から富士山が見え出す。雲の上に頭を出している。さらに南アルプスもずらりと雲を纏って並んでいる。今日の眺望は最高だ。2時間ほどで朝日岳の岩の堆積した展望地に到着した。ここで景色を見ながらしばし休憩する。いつもならこのくらいの時間になると富士山や南アルプスには雲が上がってしまい、見えなくなるのだが今日はすっきりと見えている。

    急な上りを登り付くと林の隙間から富士山が見え出す。


    雲海に浮かぶ富士山


    夜間に星空を入れながら撮るならこんな感じかなと考えながら撮影。


    朝日岳山頂付近から見る富士山


    こちらは雲海に浮かぶ南アルプス


    立ち枯れの森が広がるが、若い木が下から成長している。


    こちらも立ち枯れの倒木。環境の厳しさが伺える。

 朝日岳から一旦ぐっと下って、そこからまた金峰山山頂に向けての登りとなる。ツガの樹林帯を登って行くと、突然森林限界を超えて一気に眺望が開ける。眼下に瑞牆山、その向こうには雲に浮かぶ八ヶ岳が見える。山頂はもう目の前だ。

    眼下の瑞牆山と雲に浮かぶ八ヶ岳


    山頂付近の紅葉と富士山

 その先はゴロゴロした岩や大きな岩の上を歩くようになるが、山頂直前の岩場でルートを間違えて進めなくなり、なっちゃんともう一人同じようにルートを間違えた男の子を岩の上から抱えて降ろし、また先に進む。すぐ先が山頂だったが、山頂の金峰山標柱のところは写真の順番待ちをするほどの人でごったがえしていた。さらにその先の五丈岩周辺もちょうど昼食時だったこともありたくさんの登山客が訪れていた。人だかりを避けて五丈岩裏側の広場に逃げたつもりだったが、こちらも数人の先客あり。しかし、5人で座って食事するには十分な場所があり、ここで食事をとって大休憩する。

    五丈岩とたくさんの登山者たち


    五丈岩を背に記念撮影。今日は最高の登山日和でした。

 寒くも暑くもないちょうど良い気温、しかもお昼になってもまだ富士山がすっきりと見えている。なんと良い日に登って来たことだろうか。山の素晴らしさを満喫し、同じ道を下山。午後4時15分、大弛峠に無事下山した。
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