山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

山上から見下ろす山梨の夜景

2015年09月30日 | 番外編
 平成27年10月25日(日)午後2時からJCHO山梨病院1階の外来待合ホールにおいて「山と花と星の奏でる上映会」の開催を予定しています。今回はハイビジョン編集の新作(といっても映像自体は今まで使ってきた画像と変わりませんが)を予定しており、現在編集作業を行っているところです。今回お見せする映像の中で、山梨の山から見る甲府盆地、山中湖、河口湖などの美しい夜景を綴った映像があります。まだ編集は完了していませんが、画像だけひとまず集めましたのでご覧ください。


    甲府市街地越の夕富士(甲府市白山から 平成20年3月撮影)
 千代田湖の上にある白山は遊歩道が整備されており、甲府市街地の夜景を楽しむには手軽で絶好の場所です。ここは関東の富士見100選にも選ばれている場所ですが意外と知られていません。


    甲府盆地に昇る新春の月と金星(茅ヶ岳から 平成23年元日撮影)
 初日の出を山上で迎えるため、前日から山頂テント泊で迎えた夜明けの景色です。細い月の上に輝く金星が良いアクセントを添えてくれました。


    甲府盆地に昇る月とさそり座(金ヶ岳から 平成23年3月撮影)
 月と一緒に昇って来る天の川を捉えたかったのですが、思った以上に月が明るく天の川の白い帯は霞んでしまいました。


    雲下に広がる町灯り(帯那山から 平成21年11月撮影)
 獅子座流星群の撮影に出かけたのですが1個も撮影できず、星が消えて夜明けを迎えるころに見たのがこの景色です。


    南アルプスと八ヶ岳に挟まれた町灯り(春日沢の頭から 平成23年11月撮影)
 春日山の界隈は甲府盆地の夜景を見下ろすには絶好の場所です。夕焼け空が広がったこの日の夕暮れは格別に綺麗でした。


    金峰山五丈岩と甲府盆地の灯り(金峰山から 平成22年3月撮影)
 私のブログ上では何度も登場している画像です。この場所に行かれたことがある方は多いと思いますが、夜はまた別の景色が広がります。


    月昇る甲府盆地の夜明け(甘利山から平成21年2月撮影)
 厳冬の2月の甘利山から見る甲府盆地です。この画像は韮崎交流センター1階フロア、および甲府駅前の焼き鳥「いけ田」にも飾らせていただいています。


    薄明の甲府盆地に昇る月(鳳凰山から 平成25年12月撮影)
 大彗星になることが期待されたアイソン彗星だったが、太陽に接近した際に核が崩壊して消滅してしまいました。ひょっとしたら残骸の尻尾が見えるのでは・・・と鳳凰山に登ってみましたが、残念ながら見えず。もしも消滅していなければ、この視野で大きな尾を引く姿が見えたことでしょう。


    甲府盆地と十六夜(いざよい)の月(農鳥小屋から 平成18年10月撮影)
 強風が吹き荒れたおかげで霞が飛び、素晴らしい夜景を望むことが出来た農鳥小屋の一夜でした。


    白根南稜から見る甲府盆地の夜景(笊ヶ岳から 平成22年10月)
 両足が攣りながらも根性で登り着いた笊ヶ岳山頂です。あまり見ることが無い角度からの夜景です。


    赤岳と甲府盆地の夜景(八ヶ岳横岳から 平成20年6月撮影)
 まだ星の撮影を始めたばかりの頃に、天の川を撮影に出かけた時のカットです。夜中に登り着いて徹夜で撮影しましたが、体力が減退した今ではとても出来ない業です。


    月光照らす編笠山(八ヶ岳西岳から 平成24年1月撮影)
 月例14の明るい月が一晩中山々を照らし、白い雪が眩しかった西岳の一夜です。富士山が見えるとは知りませんでした。


    甲府盆地の町灯り越に聳える南アルプス連峰(大蔵高丸から 平成20年1月撮影)
 星の撮影にまだ初心者だった頃に210秒という長時間露出で撮影したカットです。霞が多かった割にはうまく撮れたかと思っています。


    薄明の富士と河口湖の灯り(黒岳から 平成21年3月撮影)
 御坂山塊最高峰の黒岳から見る富士山は眼下に河口湖を湛えて雄大な姿を見せてくれます。夜景はまた格別です。


 このような画像を音楽に合わせてつなぎ合わせ、作品が創り出されます。まだ編集は始まったばかりですが、どのようなものが出来上がるか、自分自身楽しみです。お時間許せば是非お越しください。
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

山中湖界隈の某山にて植物観察会  平成27年9月26日

2015年09月29日 | 山梨無名山
 今年4度目(5度目?)となる山梨県山岳連盟主催での植物観察会が開催された。今回の山は知る人ぞ知る花の宝庫で、ちょうど見ごろを迎えた紫の花を観察するために花マニアたちが集まって来る季節である。今回は講師を仰せつかっているが花の名前に自信があるわけではなく、花見隊メンバーの出動も要請して総勢15名で観察会に出かける。


    一応下見はしておいたが相変わらずわからないもの、同定できないものばかり。何じゃこりゃ~??たぶんヤマハッカ(シソ科ヤマハッカ属)。


    このあいだはこんなの咲いてなかったと思うが・・・たぶんヒキオコシ(シソ科ヤマハッカ属)。


    オケラ(キク科オケラ属) 


    最近この山のお気に入りの花がこれ。黄色じゃなくて赤いほう、コシオガマ(ゴマノハグサ科コシオガマ属)。


    半寄生の植物らしいが、全くそうは見えない。


    マツムシソウ(マツムシソウ科マツムシソウ属)。まだ結構咲き残ってました。


    葉や茎に棘が無い。これはタムラソウ(キク科タムラソウ属)。


    タチコゴメグサ(ゴマノハグサ科コゴメグサ属)。以前にも見たことがあったはずだが、名前ばかりでなく存在すら忘れていた。


    ありました。本日いちばんお目当ての紫の花。


    しかし以前に比べると数が減って大きさも小ぶりのものばかり。


    富士山を背景に撮れるような株は無くなってしまった。


    山頂で記念撮影。ですが・・・人数足りなくね~?

 普通に歩けば1時間ほどで山頂到着できるが、植物を観察しながら大回りして登って来たので、約2時間半かかって山頂到着。ここで昼食をとって下山する。


    もうひとつ見ておきたかったのがこの花。


    ハラグロ、は私で、おちょぼ口の花が可愛らしいフシグロ(ナデシコ科マンテマ属)。


    このホタルブクロは萼が反り返っていない。これはヤマホタルブクロだろう。


    もう終わっているだろうと思ってましたがまだ少しだけ咲き残ってました。ヒナの・巾着。

 広大な草地が広がり植生豊かなこの山だが、鹿の食害も、また、無法地帯であるだけに盗掘もあるのではないかと予想される。年々減少しつつある稀少な花たちの保護のためには保護柵の設置が必要だろうと考えているが、しかし、この山の地権者や利権等の問題でそれはなかなか難しい問題らしい。手遅れにならないうちに何か手を打てればと思うのだが・・・。。




    
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

道無き尾根は登れるのか? 白岩岳北東尾根  平成27年9月22日

2015年09月25日 | 南アルプス
 白岩岳は入笠山から釜無山の尾根のいちばん外れ、戸台川と小黒川の間に挟まれたあまり知られていない山である。明瞭な登山ルートは無いのだがネット上の記録を見ると戸台側の林道の途中から白岩谷の北側の尾根に不明瞭なルートがあるらしい。テープが付いているらしいが標高差1,000mの急登を登るバリアンスルートに近い。しかしそちら側から入山するには甲府からだとアクセスにかなりの時間を要してしまう。それならば反対側の釜無川林道からは登れないのだろうか?こちら側の記録は全く無いので完全なバリアンスルートとなるが、標高差約1,200mの直登コースで地図を見る限りでは尾根通しに登れば登り付けそうに見える。

 この白岩岳は山頂からの眺望が素晴らしく、仙丈ケ岳と北岳が並んで見え、また鋸岳の鋭鋒の向こうに甲斐駒ケ岳の三角錐が見える写真撮影にも絶好の場所である。数年前からこの山頂で一夜を過ごし星空を眺めながら寝てみたいと思っているのだが、なにせルートが厳しいだけになかなか実行できずにいる。もし今回調べに入る尾根が使えるのであれば、甲府からのアクセスも1時間少々で済む。山頂までは日帰りでは無理だろうから、急登が終わる標高1,700mあたりまで行ければと思い出かけてみた。


    今回登るのは護岸工事の向こう側に見える尾根。


    護岸工事の脇を登り、適当に尾根に取り付くが、なんとなく道っぽいものがあった。


    尾根に取り付くとその先は急登のカラマツ樹林帯。おそらく植林帯だろう。


    見上げるようなカラマツ樹林帯の急登がひたすら続く。なんとなく作業道らしき踏み跡がところどころに残っている。


    リンドウの葉。フデリンドウか?


    ナギナタコウジュ(シソ科ナギナタコウジュ属)


    イヌトウバナ(シソ科トウバナ属)


    何故か一本だけホタルブクロ(キキョウ科ホタルブクロ属)


    標高1,500m付近で平坦地に出た。林業作業の跡がある。

 標高1,500m付近まで登ったところで平坦地に出た。時間は11時なのでまだ余裕はあるのだが、その先もまだまだカラマツの林が続いており単調な林に飽きてきた。とりあえずは登れそうだということはわかったので、ここで昼食をとって下りることにした。このようなバリアンスルートは登るよりも下りるほうが手強い。

 急傾斜なので下りは速いが転倒したらかなり転げ落ちそうな斜面だ。標高1,300m付近に横方向に走る明らかな道がありそこをたどって進んでみると赤テープが付いていた。本日初めて見る目印だが、登山道では無くて作業用のテープのようだ。そのテープとは別の方向にロープが張られて杭が打たれているのが見えた。明らかに何かの作業の跡なのでそれを辿ってみると大きな護岸工事の真上に出てしまった。かなりの急斜面でとてもではないがここは下りられそうもない。裏側の土の斜面を見ると作業に使ったロープが残されておりこれを使って下りるが、そこはかなりの急斜面だ。しかし、そんな足場の悪いところに限って珍しい花が咲いている。


    作業道らしき道をたどると赤テープがあった。その先にもテープが見えるが、さらにその先はかなりの急斜面になっている。


    テープとは別方向の踏み跡をたどると護岸工事の真上に出てしまった。かなりの急斜面、途中には落石防止ネットが張ってありとてもではないが下りられない。


    向こうに見える鋭鋒は鋸岳。


    裏側の急斜面に作業用ロープが残されており、これを使って下りる。


    こんな足場の悪い急斜面にこんな花が咲く。


    秩父・リン・ドウ


    なかなか咲いている姿を見せてくれない。


    石灰岩の落ち葉混じりの斜面に点々と咲く。


    開花した株は見つからず。

 急斜面をやっと下りたと思ったらその先にまた難関が待っていた。またしても護岸工事の斜面だ。これはいちばん傾斜の緩いところを探して下りると、途中からロープが設置されていた。さらに最後の最後で、道路の法面工事の上に出てしまう。高さは4mほど、どこを見ても下りられる場所は無い。最後の最後で持って行ったザイルを出して壁を滑り降りた。無事林道に到着。


    またしても護岸工事の上。


    運良くロープが設置されていた。


    最後の最後でザイルを出してセメントの法面を滑り降りた。

 ほっと一安心、ザイルを片付けてザックを背負うと、おや、何か足りない。ストックを法面の上に置き忘れてきてしまった。法面のつなぎ目に少しだけ岩が露出しており、なんとか手がかかりそうだ。折角降りたのにその隙間に手をかけてまた壁を登ってストックを回収し、またザイルで下降した。あとは林道を1時間少々テクテクと歩いて車のところに戻った。時間は午後3時を少し過ぎており、1,500m付近で下山して正解だったと思う。


    ブッドレアという外来種の花で吸蜜するスジボソヤマキチョウ

 テープこそ付いてはいないが林業作業道らしきものがある白岩岳北東尾根、GPS頼りになんとか登れそうに見える。体力・気力とも充実した時、いつか釜無林道側のバリアンスルートを登ってみたいと思う。

 

 

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

この山の岩質はどうなのか? 笹子雁ヶ腹摺山  平成27年9月21日

2015年09月24日 | 山梨百名山
 前日の甲斐の黄花群落を発見してもはやすっかり休息モードに入ってしまったシルバーウィークだが、来年に向けて調べておきたいことがある。それは山の岩質である。ネットから入手した笹子雁ヶ腹摺山からお坊山にかけての一帯は石灰岩質で出来ているらしいのだが本当なのかどうか?だとすればアルカリ性の石灰岩質の山には少し変わった植物が咲いてもおかしくはない。しかしそのような記事は見たことが無い。それでは実際に自分の目で確かめてみようということで、花見でも景色見でも無くて岩質の調査に出かけた。最短ルートの笹子峠まで車で乗り入れ、尾根道を登る。


    鉄塔の巡視路を兼ねているこのルートは道が良く整備されている。


    岩の質を見ると、この辺りは花崗岩、ないしは玄武岩(素人なので違いが良く分からない)。


    山頂下の鉄塔のところもやはり同じ岩質。


    途中のルートに咲いていたママコナ。


    山頂下の急登。ここを登り切れば山頂だ。


    トモエシオガマ


    大部分が鹿の食害に遭っていた。


    アキノキリンソウ


    苦手のキク科植物 ユウガギクだと思う。


    トリカブト


    山頂到着。しかしここの山の岩質は・・・


    やはり花崗岩ないしは玄武岩。

 情報が必ずしも正しいとは限らず、やはり実際に歩いてみないとわからない。今まで岩の質などあまり気にしていなかったが、岩質と植生には大きな係わりがあることを最近痛感している。今まで登った山で、もっと良く土や岩の質を見ておけば良かったと思うのだが既に時遅し。近場の山から岩質の調査を積み重ねて行きたいと思う。

 下山は巻き道を使った。


    下りは新道(巻き道)を使う。


    バイオリン型の葉っぱ、タカオヒゴタイだと思う。


    ミソガワソウ


    シモバシラの群落。風に揺れてなかなか撮らせてくれない。

 昨年は笹子峠から今回と反対側の大洞山に登ったがあちらの岩質はどうだったのだろうか?全く意識していなかった。また訪れる必要がありそうだ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

見事なり 甲斐の黄花のホトトギス  平成27年9月20日

2015年09月20日 | 番外編
 おそらく甲斐の黄色いホトトギス探しは時期的に今年はこれが最後になるであろう。先週遂に出会うことは出来たのだがそれだけでは不十分で、他の沢には分布していないのか、数はどの程度あるのか、保護しなくても大丈夫なものなのかどうかなど、まだ調査しなければならないことが山積みである。今回は先日発見した支脈よりもさらに上にある沢を調べてみたいと思う。うーさんとるたんさんを誘い、山梨の山だけにオール山梨勢で出かける。


    ホトトギスが見ごろを迎えていた。


    シラヒゲソウも蕾だった花が開花し満開。


    見事なり、シラヒゲソウ。


    先週見つけた支脈の沢に到着。もう大部分花が終わってしまっていた。


    花は下向きに咲くのに種は上向きに付くらしい。面白い花だ。


    一瞬盗掘?と思ったがとても人の手が届く場所では無い。雨の影響か、苔の一部が剥げ落ちて黄花のホトトギスがぶら下がってしまっている。大丈夫か??

 今回もヤマヒルが大量に襲ってきた。既に10匹以上は撃退しており、足元に高速で地面を這い上がってくるやからも撃退した。さらに上流にある別の沢に入るが、そちらは水量が少なく谷も緩やかで探し物は見当たらず敗退。次の沢に入ると、こちらも水量は少ないのだがV字型に切れ込んだ谷は苔が生して雰囲気は抜群だ。源流近くでそろそろ水の流れが無くなるあたりで沢は二手に分かれていた。私とうーさんで別々の沢に入る。


    水は少ないが苔の生した雰囲気は抜群の沢。


    私が入った沢。こんな岩壁のところに付いていると思うのだが・・・


    源頭まで登り詰めたがこちらの沢にはいない。

 私の入った沢は残念ながら空振り。しかし、もう一方の沢に入ったうーさんが「ありましたよ~」と怒鳴る声が聞こえる。沢を分岐まで下ってそちらの沢を登ると、上に居たうーさんとるたんさんが岩壁を指差している。あった!岩壁にぶら下がるように咲いている、しかし数は決して多く無い。


    岩壁に点々と咲いていた甲斐の黄花のホトトギス。全部で20株ほどだろうか。


    岩壁から垂れ下がる甲斐の黄花のホトトギス


    同上

 さらに上のほうを探しに行ってくれたうーさんがたくさんあると怒鳴っている。本当か??大岩を巻きながらさらに上に登って行くと左手の大きな岩壁に今までに無い大株の黄色いホトトギスが付いている。さらにそのずっと上のほう、驚くほどのたくさんの花が咲いているが、遠すぎて75㎜ズームを使っても全く捉えられない。こんなこともあろうかと今回は200㎜望遠レンズも持っていたので、こちらに変えて撮影するが・・・足場が悪く三脚の固定が極めて悪く、ブレた写真ばかりになってしまった。


    小さな株ばかりだったが、ここで初めて大きな株に出会うことが出来た。


    下から覗き込む。いずれの花も人の手の届かない場所ばかり。


    かなりの数が咲いている。ここはとてもではないが人の登れるような岩壁では無い。


    圧巻の甲斐・ジョウ・ロウ・ホトトギス


    今後生存して行くだけの数は十分にありそうだ。


 予定ではあと2本調査したい沢があったのだが、撮影に多大な時間を使ってしまい既に時間は午後3時を過ぎてしまった。ひとまずは群生地を確認できたのでここで撤退することにした。

 まだ調査の全てが終わったわけではないのだが、群生する自生地が発見できたのでひとまずは今年のミッションはクリアである。まず人が入ることは無いであろう沢の奥深くにこうして花が残っていてくれたことは本当にうれしかった。登山者がここに立ち入ることはまず有り得ず、よほどの物好きか盗掘者でなければ立ち入ることは無いであろう。状況を10月に行われる山梨県山岳連盟自然保護グループの会合で報告し、保護するかどうかはメンバーの意見を聞きながら今後の方針を決めて行きたいと思っている。   

コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

努力はいつか報われる 甲斐の黄花を探して三たび沢を登る(続編)  平成27年9月13日

2015年09月14日 | 番外編
 先日の甲斐の黄花探しの記事には実は続きがあるのだ。

 時間は既に午後4時。9月に入ってすっかり日が短くなり、そろそろ下山しないと危ない時間になってきた。尾根に取り着くために支脈の小沢の土手を登っている時、沢の中の岩壁にホトトギスらしき葉が付いているのが目に留まる。先端に黄色いものがぶら下がっているように見えるがまさかそんなはずは・・・目に入った汗を拭いてもう一度良く見ると・・・居た!!これこそが探し求めていた甲斐の黄花のホトトギスではないか!最後の最後にドラマが待っていた。


    岩壁から垂れ下がっていた黄色い花


    これこそが探し求めていた花、甲斐の黄花のホトトギス。


    高い場所から垂れ下がっているものもある。

 靴にヤマヒルが付いているのはわかっていたが、そんなことはもうどうでも良かった。この花に出会えたこと、そしてまだこの山域に生き残っていてくれたことが嬉しくてたまらなかった。


    甲斐の黄花が咲いていた岩場。


    数はきわめて少ない。駿河や相模に比べてひとまわり小さいように見える。


    ひとまずは出会えて良かった。

 こうしてまず第一の課題、この花がまだ存在しているということは確認できた。あとはどの範囲に分布しているのか、どの程度の数があるのか、柵の設置などの保護の必要があるのかどうか等、調査すべき課題が山積みである。もう少し先のところまで調査したかったのだが今回はタイムアップ、存在を確認しただけで下山となってしまったが、大収穫であったことは間違い無い。

 そもそもこの花の存在を知ったのは「コブシの花の咲くころは」という著名なブログを書かれているサクラスミレさんという方からのコメントに始まる。この黄花は富士川から西の領域には存在しないと云われていたのだが、今から30数年前に富士川より西の山域でこの黄花を発見し、横浜のローカル新聞で取り上げられたことでその存在が明らかになった。ネット上でこの花が一時売買されたり、展示会で陳列されたことがあったのも事実である。しかし存在していたことは事実だがその後はほとんどその存在は確認されておらず、どこにあるのかも全くわからない幻の花となってしまっていた。偶然にもその花が存在していたという川の名前を知ることとなり、今年になってから本格的に調査を始めることとなった。支脈がたくさんある川だけに調査には膨大な時間と労力を費やすことは覚悟の上だったが、まずこの花が本当に残っているのかということが一番の心配だった。なにせこの花に関しての記述はほとんど見当たらず、名前もはっきりとは定められているわけではなく、便宜的に「甲斐」の名が付いているだけの花なのだ。まずは残っているかどうか、残っているならば現在の環境はどうなのか?手放しでこれからも咲き続けてくれる状態にあるのかどうか?分布と数はどうなのか?など、花は出会うだけではなくて今後その花がどうなって行くのかを見極めることも重要な課題であるとここ数年感じるようになってきた。今回はまだその入り口にようやくたどり着いたに過ぎないと思っている。

コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

いつか努力が報われる日が来るのだろうか? 甲斐の黄花を探して三たび沢を登る  平成27年9月13日

2015年09月13日 | 番外編
 好天気だった前日は当直疲れが抜けやらず、昼過ぎまで寝ていた。夕方5時過ぎ、思いもよらぬ植物の師匠から電話があった。明日北岳の腐生植物ランを見に行きたいのだが場所はどこかという電話だった。数は結構あるはずなのでおおよその場所を教え、さらに現在探している甲斐の黄花が手ごわくてなかなか見つからない旨を伝えた。すると、資料があったはずだから探してみるとのことで一旦電話は切れた。その約15分後再び電話がかかってきた。2003年にあったのが確認されているそうで、かなり詳細な場所を教えていただいた。そこは探しに出かけようとしていた場所から近からずも遠からず、第2候補に挙げていた場所で、今年見つからなければ来年探しに行こうとしていた場所の近くだった。予定変更して今回はそちらに行ってみることにしたが、そう簡単に行けそうな場所ではない。


    廃道になった林道の脇にはシラヒゲソウが咲いていた。


    シラヒゲソウ


    200㎜望遠レンズで少し芸術的に。

 廃道になった林道を進み沢に入る。少し遡上すると沢は二股に分かれており、その先も何本も滝が流れ込みながら分かれている。滝を登る技術など持っているわけもなく、いちばん遡上しやすそうな沢に入る。さほど水量が多い沢ではなかったが、沢を詰めると次第に傾斜が増し・・・そのまま上の稜線まで登り詰めて尾根を下ろうと思ったのだが、上部の傾斜がきつく、石屑状の岩が脆くて手も足もかからない。途中まで登ったは良いが登りつけそうもなく、下りるにも簡単には下りられそうもない。ザイルを使うにも支点をとるような物も無く、止む無し、斜面を5m近くズルズルと滑り下りてようやく足場のしっかりした石の上に戻った。沢の分岐点まで戻って一休みだが、足元を見るとヤマヒルが2~3匹ついている。アルコール液で撃退するが、おちおち座って休んでいられるような場所では無い。


    良い雰囲気の沢だが、少し遡上すると傾斜がきつくなる。雨の後でこの日は水流が多めである。


    小滝がいくつも流れ込む。


    オオッ、これは・・・と思ったが近付いてみればツルリンドウ。残念。


    ホトトギスがあったかと思えば普通のホトトギス。


    こんな沢の中にもシラヒゲソウが咲く。


    沢が二手に分かれている。まずは水量の少ない右側の沢に入る。


    こんな岩のところに付いていないかと双眼鏡片手に探すが、ホトトギス自体がほとんど無い。


    沢を源頭まで詰めてこの急なガレを登って尾根に取り付き・・・と思ったが上部は岩が脆くて登れず。悪運尽きて滑落するかと思った。

 懲りずにさらに沢を登るとまた二股に分かれていた。先ほどの沢でかなりへばったが懲りずに次の沢に入る。


    ここもさほど水流は多く無い。この程度の滝ならば登れる。


    上に行くとやはり急だ。


    雰囲気は抜群、岩の質も谷の様子もスルガの黄花が咲くところと似通っている。


    こんな岩の壁に付いていると思うのだが・・・残念ながら居ない。


    先ほどの沢の二の舞は嫌なのでこの滝は登らずに諦める。高度から見てもこの先にある可能性は低い。

 再び沢の分岐に戻り、また遡上するが、時間的に源頭まで詰めるのは困難である。適当なところで諦めて沢を下るか、尾根に取り付いて林道まで下るかいずれかを選択しなければならない。


    この沢がいちばん水量が多い。


    岩壁を双眼鏡で覗き込みながら遡上するが、たまに見つかるホトトギスはやはり普通のホトトギス。


    本日はここまで。尾根に取り付いて下山することにする。

 今回こそはと意気込んで出かけたが・・・。既に時間は4時を回ってしまった。明るいうちに林道まで下りないと危ない。GPSで位置確認し、一目散に尾根を下る。なんとか明るいうちに林道まで下ることができた。

 足早に車のところまで戻ったつもりだったが、もうすっかり暗くなってしまった。ヘッドライトで足元を照らすと・・・やはり付いていた。右に1匹、左に2匹。再三にわたって振り撒いたアルコールスプレーが効いているのかあまり上のほうまでは昇ってこようとしない。これをアルコールスプレーで撃退し、持って行ったスプレーもほぼ底をついた。本日撃退したヤマヒルの数は20匹以上になった。この山域はヒルだらけの場所、先日の場所は沢の中ではほとんどヤマヒルに会わなかったがここでは沢の中でもヒルがいる。人があまり近付きそうな場所では無い。



コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

絶滅危惧の花たち

2015年09月10日 | 番外編
(原稿が没にならなければ「山病便り」という職場広報誌の10月号に掲載される予定の原稿です。花と地球環境に対する私自身の思いを綴ってみました。)

 かつて山に登って山の景色や星の輝く空を眺めて写真を撮っていた頃、山上から甲府盆地を見下ろすといつでも盆地に蓋でもするかのように標高1,500mあたりから下のところに白い霞がかかっているのに気付きました。それは空気が澄んだ厳冬の冬でも同じで、何年も山に通っているうちに次第に霞が厚くなり、そして空も透明度が低くなり星が見えづらくなっているように感じるようになりました。このような変化に気付きだしたのはもう7~8年前からではないかと思います。もうひとつ気付いたのは山上のお花畑の変化です。日本第2の高峰北岳は、20年ほど前に撮影された写真を見ると、中腹にある御池小屋という標高2,230mほどの場所は一面に咲き誇るミヤマキンポウゲのお花畑が広がっていました。しかし現在その場所は鹿の食害が著しく、バイケイソウという鹿があまり食べない花ばかりが目立つようになっています。鹿の食害の無いキタダケソウが咲く標高2,800mあたりの場所でも変化は起きています。キタダケソウの咲く6月中旬から7月初旬ごろ、その場所はほとんどキタダケソウしか咲いていなかったはずなのですが、最近はハクサンイチゲなどの花が混じって咲くのが目立っているように感じます。これは地球温暖化による植生の変化が起こっているのではないかと考えています。このような山上の空やお花畑の変化、さらに咲いている植物の変化を追うことで、地球温暖化の影響がどのように出ているか、そして今後の地球環境の変化はどのように変わっていくのかを予測することが出来るのではないかと考えるようになりました。


    霞がかかる甲府盆地(平成25年12月 鳳凰山から)

 そしてここ数年追いかけているのが絶滅危惧の花たちです。ここ10年ほどの間で最も山の花たちに影響を及ぼしたのは爆発的な鹿の増殖による食害が上げられます。原因は鹿を狩猟する猟師さんたちが高齢化したこともありますが、最大の原因は地球温暖化によりかつては鹿が越冬できなかった標高の高い場所でも冬を越せるようになってしまい、そこには鹿の餌となる広大なお花畑が広がっていたことではないでしょうか。かつてアヤメが咲き誇り、山が紫色に見えるほどにたくさん咲いた櫛形山はわずか数年でアヤメは絶滅状態に追い込まれ、キバナノアツモリソウやニョホウチドリといった稀少なラン科植物も人目に届く場所からは姿を消してしまいました。残ったのはマルバタケブキやススキのような鹿が食べない植物ばかりでした。しかし、このような食害から山を守るため、4年ほど前からお花畑全体を鹿の保護柵で囲うようになり、昨年あたりからようやくその効果が見え始め、うれしいことに櫛形山のお花畑は驚くほどに植生が復活してきました。7月に訪れると櫛形山アヤメ平はテガタチドリやキソチドリなどのラン科植物が元気に咲くようになり、場所によっては一面が黄色い絨毯のように見えるほどのキンポウゲのお花畑が復活しています。8月になると花が入れ替わり、今度は山一面薄紫色に見えるほどのマツムシソウやソバナの大群落です。食害から保護することで山の保湿力が回復し、地上では絶えたように見えていた植物が残っていた根から再び活気を取り戻してきたということなのでしょう。そして今年は遂に、あの絶滅危惧種ニョホウチドリも花を咲かせてくれました。それなのに、悲しいことにさっそく数株が盗掘されてしまったと聞きます。


    黄色いキンポウゲの絨毯(平成27年7月 櫛形山アヤメ平)


    保護柵設置で復活したお花畑(平成27年7月 櫛形山裸山)


    テガタチドリとアヤメの群落(平成27年7月 櫛形山裸山)


    マツムシソウとソバナの群落(平成26年8月 櫛形山裸山)


    復活したニョホウチドリ(平成27年7月 櫛形山)

 このような鹿の食害から逃れるため、さらには人の盗掘からも逃れるためにいちはやく保護柵を張り巡らせ保護を行ってきたのが三ツ峠です。かつては御坂山塊の山々にたくさんあったと聞くアツモリソウ、甲府市北部の帯那山にもあったそうですが、今では自生しているものを見ることはまずありません。赤紫色の大きな花を咲かせるアツモリソウはいかにもラン科植物の王様という風格を持っています。大型で目立つその花は戦後の山野草ブームを発端に徹底的に盗掘され、あっという間に野山から姿を消してしまいました。8000万年という人類よりも何十倍という長い歴史を持つこの花は、恐竜が絶滅した隕石衝突の時代も、富士山が噴火した1万年前にも絶えずに生き残ってきたにもかかわらず、最大の敵は人間だったことになります。積極的な保護を行ってきた三ツ峠は現在もこのアツモリソウだけでなく他にも様々な絶滅危惧種の花たちが残っています。植生の維持のためには人の手を加えることも必要であり、増殖力が旺盛なテンニンソウや笹などは除去してやらないとあっという間に山全体をおおってしまい他の植物は絶えてしまいます。そのため、毎年ボランティアを集めて草刈りなどの清掃活動が行われており、高山植物保護協会、山梨県山岳連盟、三ツ峠ネットワークなど多くの団体がこの活動に協力しています。微力ながら私もこの活動に参加させていただいております。


    山梨県山岳連盟主催の三ツ峠清掃登山(平成26年6月)


    環境が保全されてこそこの花が咲くことができる。


    アツモリソウ(平成26年6月)

 このようにして鹿や人の手から絶滅危惧の花たちを守る活動が行われているわけですが、これから起こるであろうもっと大きな波に果たしていかに対応して行くのか、大きな危惧を抱いています。それが地球温暖化の波です。ゲリラ豪雨や相次ぐ巨大台風の到来などがその兆候と思いますが、いずれは日本は亜熱帯地域のような環境に変わっていってしまうのではないでしょうか。まだ予測するだけの十分な資料は持ち合わせていませんが、気象の変化以上に山の花の変化は速く起こるのではないかと考えています。希少植物を守りつつ、これからどう変わって行くのかを見守って行きたいと考えています。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今年南アルプスで出会ったフタバラン属の花たち 

2015年09月09日 | 番外編
 ラン科フタバラン属の花は日本では5種類が知られている。幸いなことに今年の夏はその5種類のうちの4種類に南アルプスで出会うことができた。整理して自分自身の記憶の中に残すため、まとめておきたいと思う。


    コフタバラン  おそらく最もポピュラーに出会うことが出来るフタバラン属の花だろう。鳳凰山のツガの森の中や八ヶ岳でもそれほど難無く出会うことが出来る。今回見つけたのは仙水峠だが、ここは数が少なかった。


    タカネフタバラン  それほど数が多い花では無い。葉にうっすらと筋が入る。広河原で見つけたものを8月に確認に行ったところ、ちょうど良いタイミングで訪れることができた。


    緑色の虫が舞うようなマニア向けの花だろう。葉が中空に浮いて出ることに注目していただきたい。


    アオフタバラン。尾白川渓谷を散策していて見つけた花で、8月に開花しているのを確認した。葉に筋が入っているが発見当初はタカネフタバのほうだと思っていた。開花した花はほとんどタカネフタバランと変わらない。


    葉に注目。タカネフタバに比べてこちらのほうが筋が濃いが、最大の違いは葉が中空から出ず地面を這うように出ること。こらに注目したほうが判別しやすい。


    ミヤマフタバラン  長い黒戸尾根を下山中に発見し、最も癒された花。タカネと同じく葉が中空から出るが、葉に光沢があり茎が茶色い。富士山の樹海の中にしか無いと思っていたので、ここでの出会いは嬉しかった。


    図鑑に載っているのはこのような黄色い花のものが多いと思う。


 残る1種類はヒメフタバランだけだが、これは山梨県内で見つけるのはちと難しいかも知れない。静岡県にはあるようなので、機会があれば来年訪れてみたいと思う。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

幻の甲斐の黄花を探して沢を登るが・・・またしても敗退  平成27年9月6日

2015年09月08日 | 番外編
 雨が降る確率が高いので一旦は中止とした今回の花探しだが、朝6時に起きて空を見上げると午前中ならばなんとか持ち堪えそうな空模様だ。相棒のうーさんに連絡して7時半に甲府を出発する。今回は8月に下見に行った沢をもう少し上の標高1,100mあたりまで遡上してみたいと思う。一応ザイルを持ちヘルメット装着して行くが、なにせ素人だけにうまくザイルが使えるかどうか。その前に沢が登れるかどうか。雨が降り出したら即撤退と決めて沢に入る。


    これは先日見に行った駿河の姫君。こんな感じでどこかに咲いていると思うのだが・・・


    壊れた林道を進むと道脇にこんな花がたくさん咲いていた。


    初見のアケボノソウ(リンドウ科センブリ属)


    前回訪れた滝を巻いて登ると道らしきものがあった。


    段々畑の跡と思われる。


    その先の沢は小滝の連続。左手にホトトギスの葉が付いている。


    近付いてみると、やはりこれも花芽が上向きについている。普通のホトトギス。


    やがて道は消失し、荒れた沢を歩くようになる。


    沢は何本かに分かれている。今回目指すのはいちばん左の沢。GPSの地図で見るとそこには大きな岩壁があるはずだ。


    支脈の滝が何本も落下してくる。そこに生えていたのも・・・ホトトギス。


    目的地の岩壁に到着。しかしそこのあったのは・・・


    残念。やはり普通のホトトギス。

 なんとか目的地まで雨に降られずに到着できたものの、そこに生えていたのは上臈ではなくて普通のホトトギスだった。その先も大きな岩壁が続くので、望遠レンズで覗き込みながら探すがそれらしきものは無い。


    あったのはイワシャジンが数株。


    咲き終えたイワタバコ。


    滝が2本流れ落ちる場所に出た。この滝は我々のレベルではとてもではないが超えられない。


    美しい滝の流れ。

 大きな滝に突き当たったところで雨が降り出してきた。撤退しなければならないが、GPSで見ると左側の尾根を越えるとその先に林道があるはずだ。急斜面を登って尾根に取り付き、さらに左に進と林道に抜け出ることができた。あとはその林道をテクテクと歩いて戻るだけだが、この林道は山腹を大きく巻いて付けられているためにかなり距離が長い。次第に雨が強まり、車に到着するころには本降りに近い雨脚となってしまった。沢から抜け出ていたので幸いだった。ヤマヒルは2匹しか出会わず、沢の中にはあまりいないようだ。

 今回の場所はかなり怪しいと思っていたのだが残念ながらまたしても敗退。次はもう少し上のほうまで高度を上げて探してみたいと思っているが、おそらくその場所は急峻で滝が連続する場所、、かつ沢を登り詰めても上には道が無い。さて、どうしましょうか?行ってみてから考えることにする。


    
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

櫛形山山麓に咲いていた腐生植物の白い花  平成27年7月中旬

2015年09月08日 | 番外編
 探し物は櫛形山にしか自生していない不思議な葉の形をした花だったのだが、その花は7~8年ほど前に山梨県山岳連盟でローラー作戦を展開して探したが見つからず絶滅したと思われていた。しかし、某ホームページを見ると昨年この花を見ている人がおり、どこかに残っていることは確実である。以前にあったという場所にはまず無いので別の場所を探しに行ってみた。

 獣道と思われる踏み跡が山腹を巻くように伸びており、それを辿って登って行くと背の高い白い花が2本咲いていた。この時はオニノヤガラだと思っていたのだがそれにしては花が白くて茎の色もちょっと違う。最近になってからネットで花を見ていたら偶然に全く同じ花がアップされていた。


    清涼な沢の流れの脇にはガクアジサイが咲いていた。


    広葉樹林の林の中に2本だけ背を伸ばして咲いていた花。


    オニノヤガラ?それにしては色白すぎる。


    この花の正体は・・・シ・ロ・テ・ン・マ(ラン科オニノヤガラ属)。絶滅危惧1A類の稀少な花だ。

 このシ・ロ・テ・ン・マはオニノヤガラの変種とされているが、別物であるという説もある。葉緑素を持たない腐生ランでナラタケに寄生する。

 さらにトラバース気味に上に登り、数本の枯れ沢を超えて斜面を登って行ったが目ぼしい花は見つからず。そのまま稜線まで抜けようかと思ったのだがこの日はGPSを置き忘れてきてしまったため、登ったところが必ずしも登山道のある稜線とは限らない。彷徨ってリカバーするほどの時間的な余裕もないため、沢筋を下山することにした。


    斜面をトラバース気味に登るが、あるのはフタリシズカばかり。


    ヒノキの大木が立つ広場に抜け出た。


    雰囲気の良い森だが、探し物は全く見つかる気がしない。


    あったのは満開のバイケイソウくらい。


    鹿の食害の後に残る花なのであまり好きではないが、こうして見ると綺麗な花だと思う。


    枯れた沢筋の草地を下る。こんなところに生えているのだと思うのだが・・・


    水の流れる沢に降り立つ。この先は滝も無く歩きやすくなった。

 本命は残念ながら敗退だが、思いもよらぬ花に出会うことができた。もしもネットで見ていなかったら変わったオニノヤガラということで終わってしまっていたかも知れない。まだまだ勉強不足。

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

水も滴る美しき駿河の上臈  平成27年9月5日

2015年09月06日 | 番外編
 捜索中の甲斐の上臈はそう簡単には姿を見せてくれなそうだ。そろそろ駿河の上臈がほころんでいる頃だろう。変種の難題に立ち向かう前にまずは原種を見て、この花が咲く環境や葉の特徴、花の付き方などをおさらいしておくことにしよう。午前中は天気が良かったが午後からは曇り空となり、深い谷の中は薄暗くなってしまった。


    いつもは草茫々のところを今年は綺麗に草刈りしてくれたおかげで、シデシャジンがたくさん咲いた。


    不思議な形をした花シデシャジン(キキョウ科シデシャジン属)。


    雨が降った後で増水しており、渡渉で靴が濡れるのは止む無し。


    咲いている、駿河の上臈の姫君。


    200㎜望遠で捉えた花。


    同上。


    何度か渡渉して岩壁を登ると、見ごろを迎えた上臈の姫君が咲いていた。


    水も滴る美しき駿河の上臈。


    下から見上げる。フラッシュ調整発光。


    風に揺れる上臈の姫君。


    深い谷の岩壁に咲く花。


    見上げる上臈の姫君。


    沢の流れと駿河の上臈・ホトトギス


    同上、別角度から。

 今回は谷の中に全く光が入らず、撮影時の彩度がきわめて悪いため、大部分の画像はフラッシュ調整発光(普通に発光すると不自然な画像になるため、ティッシュペーパーを重ねて光量を調整して発光させる方法)で撮影を行った。良い写真を撮るならこの場所は谷に光が差し込む午前中のほうが良い。

 この谷も最近は有名になりつつあり、だいぶ人が入るようになった。鹿の食害を受けるような場所ではなく、おそらくこの花の敵は岩盤の崩落と人の手による採取なのだろう。多くの人たちに愛されていて清廉な美しさを持つこの花、天然記念物に指定されていて移動も売買も禁止されている花である。花を傷めたり、盗掘するような不届き者は居ないと信じている。
    
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

幻の甲斐の黄花を探して  平成27年8月下旬

2015年09月01日 | 番外編
 本当にあるのかどうか、どこにあるのか、ほとんど情報の無いこの花が存在していたことだけは確かなようだ。かつてネット上では売買がされていたようだ。他県に咲くこの花の近似種は既に天然記念物に指定されており、採取も移動も売買も禁止されている。しかし山梨県ではその存在すら確認されていないため、保護も規制も何もされていない状態にある。もし本当にまだ残っているとしたら、分布と数を確定して県庁、ないしは環境省に報告し、保護に出なければ絶滅してしまう可能性がきわめて高い。今までの花探しの中で、この花を探すことが最も困難であることは間違い無いが、これほどの使命感を感じて花探しをするのも初めてである。これから築くのは敗退の山、それでもこの花に出会ってみたい。

 天候が思わしくなかったこの日はよほど行くのをやめようかと思ったのだが日程がそれほどとれるわけでは無く、場所の下見だけでもしておかないと行かず仕舞いになってしまいかねない。今回の予定地はヤマヒルが多い場所だけに、雨の日は餌食になり兼ねない。案の定目的地に近付くと雨が降り出した。

 傘を差して河原まで下降してみる。今日は下見だけだ。苔の青々と生すその沢、怪しいといえば怪しいが標高が低く遡上するにはかなり時間がかかりそうだ。足元を見るとさっそくヤマヒルが靴を這い上がろうとしており、持って行ったメタノール調合液で撃退する。河原にはいないだろうと思っていたのだが、気を付けて足元を見ていると砂地を猛スピードで近付いてくるやつがいる。石を拾ってすりつぶす。車に戻ってズボンをまくり上げてみると膝まで上がってきているやつがいた。これもメタノール液で撃退。この日は足元を念入りに固めてあるのでまず足に吸い付かれる心配は無いのだが、体や腕に吸い付かれたらひとたまりもない。

 その後も何本か下見するが、どこの沢に入っても同じような状況だ。雨が小降りになったところで最も怪しい1本の沢は行けそうなところまで遡上してみた。


    驚いたことに、わさび田の跡があった。


    こんな岩壁のところにいるはずだが・・・


    それっぽい葉はあるが花は無い。下見なので今回の画像はブレブレのものばかり。


    滝に突き当たった。


    左側に付いているのは明らかにホトトギス属の葉。


    近付いてみる。しかしこれは・・・


    花芽が出ているが上に向かって咲きそうだ。おそらくこれはホトトギス。


    向こうの岩にも付いているがおそらくは同じものだろう。

 2時間以上散策したが目的の花は出会えず敗退。ホトトギスと同じような環境の場所に咲き、同じ時期に開花するはずなので、まだ少し早いのだろう。9月になってから再訪し、さらに源頭まで遡上してみたいと思う。
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする