平成22年2月19-20日
2年前の厳冬に訪れた毛無山のダイヤモンド富士。この時はカメラのレンズが結露して薄氷の膜が張り、とんだダイヤになってしまった。あの時のリベンジに行きたいとずっと思っていた。雲海上のダイヤモンド富士、そして白い雪原を照らす朝日、そんなイメージで撮影できたら最高だろう。
数日間雨や雪の続いた甲府盆地、御坂の山塊は白く雪化粧している。天候が回復した19日は金曜日、平日だ。午後から空いているので登れないことはないのだが、相手は手強い毛無山、4度登って2度足が攣り、下山の翌日は筋肉痛になる。テント持ちだと4時間は優にかかるだろう。おそらく山頂に到着するのは夜になってしまう。しかし、天気が良くなると樹氷はわずか1~2日で落ちてしまう。おそらくこの日を逃すと、20日に登ったのではもう遅いだろう。葛藤が頭の中を巡る中、意を決して登ることにした。行かないと、きっと後悔することになるであろうから。
麓の駐車場に到着したのは午後2時少し前だった。とりあえず荷物は車に積んであるものの、ザックにはまだ詰めていなかったので準備し、忘れ物がないかどうか念入りにチェックする。出発は2時20分、5cmほどの雪が積もっており、駐車場から軽アイゼン装着して歩き始める。1時間ほどで不動の滝滝見台に到着、いつものようにここで休憩しながら滝の写真を撮る。凍りついてはいなかったが、周囲の木に雪がついた白い不動の滝だった。
1合目あたりで出会ったニホンカモシカ.得意の尻をこちらに向けて振り返ったスタイルでじっと私を見つめていた.
白い不動の滝 この景色は1日で終わってしまった.
さらに5合目下のヘリポート4時10分、8合目でヘッドライト点灯し、9合目下の富士山展望台に6時10分到着した。もう真っ暗だが、夕暮れ前まで雲の巻いていた富士山は晴れ、全容を見せるようになっていた。三脚を立て、長時間露出で2カット撮影したため、ここで30分ほど時間を費やす。そして山頂(三角点)に到着したのは7時20分だった。
9合目下の富士山展望台から見る富士山.雲が晴れて全容が見えるようになってきた.
樹氷の森と西に傾く月 毛無山三角点に到着した頃の情景.
細い5夜の月が西に傾き、オリオン座がもうすぐ南中するところだった。狙った通りの樹氷が発育していた。テントを張る前にカメラと三脚をセットして、月明かりが使えるうちに木と星の写真を撮る。8時過ぎ、テント設営して早々に食事を済ませて再度外に出て写真を撮る。空には一面の星、西に傾く冬の大三角形を冬の天の川が貫いてゆくのが見える。樹氷、星空、そして大きな富士山、こんな情景はめったに見られるものではない。
眠るのが惜しい気がしたのだが、寝ないと明日の下山がまた大変になる。10時半に睡眠薬を1錠飲んだが、あまりにも凄い星空だったので、眠気そっちのけで12時過ぎまで撮影に熱中した。そしてテントに戻ってシュラフに潜り込んだ途端に眠りについてしまった。
樹氷の森にささやく星たち いちばん明るいのは火星.赤く輝く星だが,赤系統に弱いデジカメでは色が消えてしまう.
樹氷の森に輝くオリオン座と冬の大三角形 三角形の中を天の川が貫く.凄い星空だった.
富士の上に昇る春の大三角形 冬の大三角形に比べて春の大三角形は地味.
ツリーを彩るふたご座と火星 クリスマスツリーを飾る星をイメージして撮った作品.
目が覚めたのは3時半。テントの換気口から外を見ると、先ほどまで見ていた星空は何だったのか?空一面に雲が広がり、星一つ見えなくなってしまっている。果たして朝のダイヤモンド富士はどうなってしまうのだろう。そろそろさそり座が昇ってくる時間だが、この空ではだめなのでもう一寝入りする。次に目が覚めたのは4時50分、4時20分に目覚まし時計をかけておいたはずなのに、どうやら凍りついて鳴らなかったようだ。テントの外に出ると相変わらずの雲の巻く空だったが、時折頭上に星が見える。どうやら薄い雲のようだ。ひょっとしたら晴れてくるかもしれない。そんな期待を抱きつつ、テントに入って朝食を作って食べる。
樹氷と雲海上の富士山 この位置でダイヤモンド富士を狙ったが・・・
樹氷と富士 林の中で良い場所を探し,フラッシュ同調で撮影.
樹氷と雲海上の富士Ⅱ 別の場所から撮影
6時、あたりが明るくなった頃に外に出ると、素晴らしい景色が広がっていた。雲が飛び、雲海上に富士山が浮かんでいる。風が無かったおかげで樹氷も残っている。ダイヤモンドまであと1時間、雲海、樹氷、ダイヤモンド富士と3拍子揃った凄い写真が撮れる!とこの時は期待に胸が膨らんだ。その前にこの情景を生かせる良い場所を探しつつ、あちらこちらで写真を撮り、ダイヤモンド富士15分前に予定した場所に戻ってその時を待つ。しかし・・・こともあろうか、あと15分というところで富士山は雲に巻かれて姿を消してしまった。じっと待つ。7時、7時5分、10分、15分・・・もうダイヤの時間はとうに過ぎてしまった。残念ながらダイヤモンド富士は不発に終わってしまった。
雲が湧き,わずかに富士山山頂が光っているところを撮影できたのみ.ダイヤモンド富士は不発に終わる.
富士山が出たのは8時過ぎ,日はもう高く昇っている.
雪の華咲く毛無山
次に富士山が姿を現したのは8時過ぎだった。三つ峠のライブカメラで見ると富士山が見えていたところをみると、どうやらこの雲は毛無山に巻いた雲らしい。なかなか狙った情景は見せてくれないものだ。しかし、素晴らしい樹氷の情景、そして雲海上の富士山、ありあまる素晴らしい情景を見せてもらった。もう1日泊まって明朝ダイヤモンド富士を再び狙うこともできたのだが、十分に満足した。明日にはもうこの樹氷の風景は見られなくなってしまっているだろう。ちょっと無理して登ってきて正解だったのだ。
毛無山の樹氷の森
ダケカンバの樹氷
毛無山のアルプス展望台から見る南アルプスの眺望
「また来年楽しみにおいでよ。」山がそう言っている気がする。樹氷の情景を存分に楽しみ、10時、下山開始。2年前のダイヤ撮影の時にお会いし、おそらく今回もお会いできるだろうと期待していたミスター毛無山さん、下山途中の8合目あたりでお会いすることができた。今回で1650回目の毛無山登頂だそうだ。(桁を間違えているわけではありません。)この山塊を知り尽くしているこの方に会うのは、この山に登る時のもうひとつの楽しみでもあり、また新たな情報もいただいた。1時20分、駐車場に無事到着。急登の毛無山、今回もまた若干膝が痛む。ミスター毛無山さんはもう既に下山し、着替えて帰りの支度をしていた。
2年前の厳冬に訪れた毛無山のダイヤモンド富士。この時はカメラのレンズが結露して薄氷の膜が張り、とんだダイヤになってしまった。あの時のリベンジに行きたいとずっと思っていた。雲海上のダイヤモンド富士、そして白い雪原を照らす朝日、そんなイメージで撮影できたら最高だろう。
数日間雨や雪の続いた甲府盆地、御坂の山塊は白く雪化粧している。天候が回復した19日は金曜日、平日だ。午後から空いているので登れないことはないのだが、相手は手強い毛無山、4度登って2度足が攣り、下山の翌日は筋肉痛になる。テント持ちだと4時間は優にかかるだろう。おそらく山頂に到着するのは夜になってしまう。しかし、天気が良くなると樹氷はわずか1~2日で落ちてしまう。おそらくこの日を逃すと、20日に登ったのではもう遅いだろう。葛藤が頭の中を巡る中、意を決して登ることにした。行かないと、きっと後悔することになるであろうから。
麓の駐車場に到着したのは午後2時少し前だった。とりあえず荷物は車に積んであるものの、ザックにはまだ詰めていなかったので準備し、忘れ物がないかどうか念入りにチェックする。出発は2時20分、5cmほどの雪が積もっており、駐車場から軽アイゼン装着して歩き始める。1時間ほどで不動の滝滝見台に到着、いつものようにここで休憩しながら滝の写真を撮る。凍りついてはいなかったが、周囲の木に雪がついた白い不動の滝だった。
1合目あたりで出会ったニホンカモシカ.得意の尻をこちらに向けて振り返ったスタイルでじっと私を見つめていた.
白い不動の滝 この景色は1日で終わってしまった.
さらに5合目下のヘリポート4時10分、8合目でヘッドライト点灯し、9合目下の富士山展望台に6時10分到着した。もう真っ暗だが、夕暮れ前まで雲の巻いていた富士山は晴れ、全容を見せるようになっていた。三脚を立て、長時間露出で2カット撮影したため、ここで30分ほど時間を費やす。そして山頂(三角点)に到着したのは7時20分だった。
9合目下の富士山展望台から見る富士山.雲が晴れて全容が見えるようになってきた.
樹氷の森と西に傾く月 毛無山三角点に到着した頃の情景.
細い5夜の月が西に傾き、オリオン座がもうすぐ南中するところだった。狙った通りの樹氷が発育していた。テントを張る前にカメラと三脚をセットして、月明かりが使えるうちに木と星の写真を撮る。8時過ぎ、テント設営して早々に食事を済ませて再度外に出て写真を撮る。空には一面の星、西に傾く冬の大三角形を冬の天の川が貫いてゆくのが見える。樹氷、星空、そして大きな富士山、こんな情景はめったに見られるものではない。
眠るのが惜しい気がしたのだが、寝ないと明日の下山がまた大変になる。10時半に睡眠薬を1錠飲んだが、あまりにも凄い星空だったので、眠気そっちのけで12時過ぎまで撮影に熱中した。そしてテントに戻ってシュラフに潜り込んだ途端に眠りについてしまった。
樹氷の森にささやく星たち いちばん明るいのは火星.赤く輝く星だが,赤系統に弱いデジカメでは色が消えてしまう.
樹氷の森に輝くオリオン座と冬の大三角形 三角形の中を天の川が貫く.凄い星空だった.
富士の上に昇る春の大三角形 冬の大三角形に比べて春の大三角形は地味.
ツリーを彩るふたご座と火星 クリスマスツリーを飾る星をイメージして撮った作品.
目が覚めたのは3時半。テントの換気口から外を見ると、先ほどまで見ていた星空は何だったのか?空一面に雲が広がり、星一つ見えなくなってしまっている。果たして朝のダイヤモンド富士はどうなってしまうのだろう。そろそろさそり座が昇ってくる時間だが、この空ではだめなのでもう一寝入りする。次に目が覚めたのは4時50分、4時20分に目覚まし時計をかけておいたはずなのに、どうやら凍りついて鳴らなかったようだ。テントの外に出ると相変わらずの雲の巻く空だったが、時折頭上に星が見える。どうやら薄い雲のようだ。ひょっとしたら晴れてくるかもしれない。そんな期待を抱きつつ、テントに入って朝食を作って食べる。
樹氷と雲海上の富士山 この位置でダイヤモンド富士を狙ったが・・・
樹氷と富士 林の中で良い場所を探し,フラッシュ同調で撮影.
樹氷と雲海上の富士Ⅱ 別の場所から撮影
6時、あたりが明るくなった頃に外に出ると、素晴らしい景色が広がっていた。雲が飛び、雲海上に富士山が浮かんでいる。風が無かったおかげで樹氷も残っている。ダイヤモンドまであと1時間、雲海、樹氷、ダイヤモンド富士と3拍子揃った凄い写真が撮れる!とこの時は期待に胸が膨らんだ。その前にこの情景を生かせる良い場所を探しつつ、あちらこちらで写真を撮り、ダイヤモンド富士15分前に予定した場所に戻ってその時を待つ。しかし・・・こともあろうか、あと15分というところで富士山は雲に巻かれて姿を消してしまった。じっと待つ。7時、7時5分、10分、15分・・・もうダイヤの時間はとうに過ぎてしまった。残念ながらダイヤモンド富士は不発に終わってしまった。
雲が湧き,わずかに富士山山頂が光っているところを撮影できたのみ.ダイヤモンド富士は不発に終わる.
富士山が出たのは8時過ぎ,日はもう高く昇っている.
雪の華咲く毛無山
次に富士山が姿を現したのは8時過ぎだった。三つ峠のライブカメラで見ると富士山が見えていたところをみると、どうやらこの雲は毛無山に巻いた雲らしい。なかなか狙った情景は見せてくれないものだ。しかし、素晴らしい樹氷の情景、そして雲海上の富士山、ありあまる素晴らしい情景を見せてもらった。もう1日泊まって明朝ダイヤモンド富士を再び狙うこともできたのだが、十分に満足した。明日にはもうこの樹氷の風景は見られなくなってしまっているだろう。ちょっと無理して登ってきて正解だったのだ。
毛無山の樹氷の森
ダケカンバの樹氷
毛無山のアルプス展望台から見る南アルプスの眺望
「また来年楽しみにおいでよ。」山がそう言っている気がする。樹氷の情景を存分に楽しみ、10時、下山開始。2年前のダイヤ撮影の時にお会いし、おそらく今回もお会いできるだろうと期待していたミスター毛無山さん、下山途中の8合目あたりでお会いすることができた。今回で1650回目の毛無山登頂だそうだ。(桁を間違えているわけではありません。)この山塊を知り尽くしているこの方に会うのは、この山に登る時のもうひとつの楽しみでもあり、また新たな情報もいただいた。1時20分、駐車場に無事到着。急登の毛無山、今回もまた若干膝が痛む。ミスター毛無山さんはもう既に下山し、着替えて帰りの支度をしていた。