山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

雨と風にさらされた白馬岳(大池まで)  平成21年7月18‐19日(2日目)

2009年07月27日 | 日本百名山
 平成21年7月18‐19日 天候ほとんど雨時々大雨

 蓮華温泉ロッジに宿泊した翌朝は3時半に起床。外に出てみると、ひとまず雨は止んでいる。空を見上げると西の空に傾いた木星が薄い雲を通して透けて見えている。これならなんとか行けそうだ・・・とこの時は思った。4時半、カッパを着てヘッドライト点灯のうえ出発。道は明瞭な1本道で暗くても迷いそうなところはなかった。時折小雨がぱらつくがすぐに止んでいた。夜が明けて空が見えるようになってくると、青空が見えるときもあるのだが白馬岳から雪倉・朝日岳の稜線には真黒な雲がかかっている。

    雲間から一瞬陽が射す.虹も出現した.


    天狗の庭到着.ここでは強風と豪雨に見舞われ,一時は下山を考えた.


    天狗の庭から見上げる小蓮華・雪倉岳方面.黒い雲がかかる.

 6時40分、天狗の庭という眺望の良い場所に到着したが、そこでは凄い強風と雨に見舞われた。大池から白馬の稜線上はおそらくは同様の強風・豪雨に見舞われることだろう。ここで引き返すかどうか、かなり迷い、一旦は蓮華温泉に引き返し始めた。しかし、時間はまだ早い。悪天候ながら白馬大池まではなんとか行けるだろう。そこで天候を見ながら山頂まで行くかどうかを決める・・・というプランで、再び登り始める。その先で白馬岳山頂から下山してきた人と出会い、上の様子を聞くとやはり雨と風が強いという。しかも、山頂小屋で聞いた天気予報では午後から大雨・雷警報が発令されているという。この情報を聞いて、本日は大池までで引き返すことに決めた。大池直下の登山道は水があふれて小川のようになっていた。8時15分、白馬大池山荘到着、予想通りの風と小雨が降り、青いイメージだった大池は真黒になっていた。

    白馬大池到着.大きな雪渓があり,お花畑にはチングルマやハクサンイチゲ,ハクサンコザクラ,コイワカガミなどが咲いていた.


    ハクサンコザクラ群落と雪渓


    ハクサンコザクラ

 小屋の休憩室に逃げ込み、ここで朝食。荷物を軽くしたかったので、いちばん重そうなレトルトカレーを温める。暖め始めて気付いたのだが、そういえば昨日の昼食もカレーだった。山に来ると食事はカレーとラーメンが圧倒的に多くなるのは私だけだろうか。私の席の向かいにのんびりと休まれている男性がいた。昨日は大池にテント泊し、風と雨でかなり大変だったそうだ。しばらくすると(超美人の)奥様が登場。明日は天候回復するかもしれないが、本日の天候悪く、下山するかもう1泊するか迷っていたようだ。私は本日蓮華温泉に下山し、車なのでそのまま甲府まで帰るので一緒に行くかどうかお誘いしたところ、同行することになる。悪天候の中を1人で歩くより3人のほうが心強い。車の運転も同様だ。

    あっという間に大雨が降り出す.以後カメラはずっとザックの中.

 大池周辺にはチングルマやハクサンコザクラ、コイワカガミなどのお花畑が広がる。ハクサンイチゲも少しだけ残っていた。折角来たので三脚を担いであたりの写真を撮り始めると、あっという間に豪雨が降り始める。強風が吹き始め、一張テントが池のほとりまで飛ばされて行くのが見えた。まさか・・・と思っていたがそのまさかで、その飛ばされたテントは同行するご夫妻のテントだった。幸いにして池の周囲に張られたロープにひっかかって事なきを得たが、一歩間違えたらテントは池の中だった。無事テント撤収し、10時に下山開始。雨は降ったり止んだりだが、時々強い雨と風にさらされる。特に天狗の庭あたりは風の通り道になっているらしく、凄い強風と横殴りの雨が降っていた。そんな天気でも時として青空が見えることもあるので、山の天気には騙されてしまう。3時間ほどで蓮華温泉ロッジ到着。その頃雨足は弱まっていたのだが、昼食(ご夫妻におごっていただきました)をとってお風呂に入っている頃から土砂降りの大雨になってきた。バケツでぶっかけるような本降りの雨が延々と降り続く。この時間に歩いていなくて良かったとつくづく思った。気温が低ければ大雪山トムラウシの遭難事故の二の舞になりかねない。
 温泉につかってゆっくり休んだ後、3時少し前に甲府に向けて出発する。相変わらずの大雨が続いていたが、大町を過ぎたあたりから雨が止み、青空が広がってきた。しかし、振り返って見ると白馬方面は真黒な雲におおわれていた。ご夫妻は千葉県(私の生まれ故郷)から来られた方で、登山歴は私と同じ4年くらい。2人で北海道の羅臼岳に登った(しかも普通の運動靴で)のがきっかけで山にはまり、週末のたびにどこかの山に登っているらしい。山梨県内が中心の私と違って、全国の山のことにかなり詳しかった。驚くべきは旦那さんの体力だ。鳳凰山をテント担いで夜叉神峠から早川尾根小屋まで1日で歩いたという。私はせいぜい薬師小屋まででギブアップだ。さらに自転車ロードレースもやっていて、千葉から新潟の糸魚川まで400km以上も1日で走る。山に登ると体重が増えて帰ってくる、というのもうなずける。そんな山の談義をしながら楽しくドライブし、睡魔に襲われることもなく無事に甲府に到着した。
雨と風にたたられた白馬岳、山頂を踏むことも、雪倉から朝日岳稜線のウルップソウやタカネヒカゲ(蛾のような真黒な蝶)を見ることも来年におあずけになってしまった。しかし、それでも楽しい山行ができたのは、山のすばらしさと同行いただいたご夫妻のおかげだと感謝している。
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大雨の白馬岳(白馬大池までで退却)  平成21年7月18-19日

2009年07月23日 | 日本百名山
 平成21年7月18-19日 天候雨時々止む

 1日目 蓮華温泉宿泊

 低気圧が日本海に停滞し、そこから延びる前線の影響で東日本はどこにいってもいまひとつの天候だ。その中でも17日(金)の天気予報で最も降水確率の低い場所を調べると、白馬が最も良さそうだった。前線が北側にいるが、北東に移動するだろうとの予想なのだろう。混雑が予想されるので、テント泊りで未だ訪れたことのない白馬岳に行ってみることにした。
 6時に甲府を出たが、携帯で白馬あたりの雲の動きを見るとちょうど雨雲の通り道になっていた。午前中は登るのが難しそうなので午後雨が上がるのを期待して、途中のインターで2時間ほど寝る。11時ごろ白馬村に入ると、雨があがるどころか、土砂降りの大雨だった。猿倉に行く県道白馬岳線は大雨のため通行止めの表示が出ている。どうも登山どころではなさそうな雰囲気だ。少々到着までに時間がかかるが、ロープウェイを気にせずに登れる蓮華温泉からのルートを選び、そちらに移動する。

    大雨で濁流と化したわさび沢(蓮華温泉途中の沢)


    蓮華温泉.ここは新潟県糸魚川市.あいにくの雨.

 12時、蓮華温泉到着。雨はやや小降りにはなったが相変わらず降り続いている。下山してきた人たちがいたので、上の状況を聞いてみると、かなりの雨と風で途中の登山道が小川のようになっているという。大池まで行けないことはない時間だが、行ったとしても雨と風に見舞われるだけ。この日は蓮華温泉ロッジに1泊させてもらうことにした。受付を済ませて食堂で昼食、カレーを食べた。風呂に入って一休みするが、時間はまだ2時だ。また一寝して、雨がだいぶ止んできたので午後3時半過ぎから野天風呂(外湯)に行ってみることにした。ここにはそれぞれ成分の違う4つの外湯がある。靴で歩くように掲示されてはいるのだが・・・まだ濡らしていない登山靴を履いてゆくのは避けてここはサンダル履きで登ってみた。まず三国一の湯、2人くらいしか入れない小さな湯で、手を入れてみると温水プール並みのぬるま湯。風邪を引きそうなのでここはパス。2つ目は仙気ノ湯。白く濁った湯で温度も手頃で、ちょうど衛星放送スカパーの取材が来ているところだった。私も入ろうと思って上着を脱ぎ始めたところ、私の斜め後で女性の方が着替え始めた。スカパー取材のためのタレントさんだった。さすがに一緒に入る気にはなれず、テレビに映るのもちょっと避けたい。ここはやめて、その上の薬師の湯に移動した。そこには・・・高齢男女が7~8人芋荒い状態で入浴中で、とても入るスペースなどない。それにしても皆さん元気、外湯全てに入るとのことで、残り2つだという。その中には・・・おそらくあのぬるま湯も入っているのだろう。しばらく待って、皆さん退却したところで入浴する。ここも白く濁った湯で、ややぬるいが熱い湯が苦手な私にとってはちょうど良かった。若い(美人の)女性が1人、さらにその連れの男性が遅れてやって来て、3人でゆっくりとお風呂につかる。

    蓮華温泉ロッジ前からの風景.左側に朝日岳が隠れる.


    三国一の湯.ここはぬるま湯.


    仙気ノ湯.入ろうとしたら後ろでタレントさんが着替え中だった.

 存分に堪能したところで再び仙気ノ湯に行ってみると、タレントさんは2人の男性と一緒にまだ入浴中だった。ちらっと横顔を拝見したが、さすがに美人、そのうえスタイルも・・・お風呂に入っているので肩から胸元までしか見えないが抜群!といった感じだった。さらに下に移動して今度は黄金湯に行く。ここは上の二つとは違ってお湯がかなり澄んでいる。しかも誰もおらず、1人でお風呂を独占。湯加減もちょうど良かった。雨足がやや強まり、5時過ぎにロッジに戻った。

    いちばん上にある薬師の湯.眺望も良い.スカパーの取材陣がやって来たところ.


    黄金湯.誰も入っていなかった.


    黄金湯,ここは独占.サンダル履きで行ってしまいました.


 本日の蓮華温泉ロッジは私と同じように予約無しの宿泊客が多かったようで、ほぼ満室状態、食事は3回に分けて行なわれた。私は一人だったこともあって、最初の食事に入れてもらって早々に食事を済ませ、再びロッジの内湯につかる。(本日4回目の風呂。)4~5人の入浴者がいたが、皆一様に雲が立ち込める夕暮れの空を見上げながら、明日の天気を心配していた。明日は暗いうちに早立ちするつもりなので、8時半には早々に眠りについた。(翌日に続く)
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標柱整備とトレーニング、茅ヶ岳 平成21年7月13日

2009年07月23日 | 八ヶ岳・秩父山系
 平成21年7月13日 天候曇り

 茅ヶ岳の番人、末木さんから標柱が無事であるというメールと写真を送っていただいたのはもう2ヶ月以上前のことだ。今回はいたずらされている様子は無いのだが、心配なのは標柱の文字だ。特にいちばん損傷のひどかった「茅」の文字は黒ペンキが剥げて木肌が露出してしまっているように見える。見栄えの問題もあるが、それ以上に心配なのは水を吸い込んで標柱の木が朽ちてしまうことだ。トレーニングを兼ねて、午後から茅ヶ岳に向かう。
 いつものように大明神林道に車を止めてルートを短絡する。今回は尾根道を登ることにした。トレーニングのため、30分ほどハイピッチ(私としては)登ると、右足の足首から足底にかけて痛みが出てきた。以前から時々あったが、歩いていると良くなっていたのでそのまま歩くが、この日は全く痛みがひかず、むしろ増してきた。たまに慣れないことをするとこんなもの、いつものスローペースに戻して歩く。

    尾根道を行く.藪っぽく見えますが道はしっかりしてます.


    野草がたくさん咲く.この花はママコナ?と???


    キバナノヤマオダマキ


    ウスユキソウ

このルートは山頂の直下だけ急勾配になっており、その途中の右側に土の斜面が露出した場所がある。ここは赤紫色の濃いビランジが咲く場所で、毎年この花を見るのを楽しみにしている。立ち寄ってみたが、まだ葉っぱだけで蕾もついていない状態だった。8月が見頃だろう。ここからは富士山も眺めることができる。

    ビランジはまだ葉っぱだけ.


    ここからは富士山が見える.下に咲くピンクの花はシモツケ.

 相変わらず足の痛みは改善しないが歩くには支障ない。ちょうど2時間で山頂に到着し、靴を脱いでマッサージとストレッチを行なう。標柱を確認すると、やはり茅の文字を中心にペンキが剥げ落ちている。黒ペンキを取り出してまず文字の修復を行い、(見栄えの良い文字を書くのは結構難しい)さらにニスを取り出して標柱全体にニスを塗る。ここで問題発生、昨年9月に標柱修復以来、放置してあったニス塗り用の刷毛が乾燥して石のようにカチカチに固まってしまっている。溶解液に浸してみるが全く柔らかくなる気配が無い。止む無し、標柱にニスを直接垂らしてこの硬い刷毛で引き伸ばすようにしてニスを塗り、なんとか修復を完了(?)した。

    山頂到着.これで6度目くらいか?


    山頂標柱の文字.予想通り剥げている.


    整備終了.ひとまずは見られるようになった?


    天候がやや回復し,富士山が見えるようになってきた.風が強く木が揺れる.


    午後5時だが,日はまだ高い.写真の真ん中に太陽を持ってくるとゴーストが出ないと聞いたので試したが・・・若干のゴーストが出る.

 下山は女岩側のルートをとる。女岩の水場に行くと、末木さんたち、山梨山の会が置いてくれたマグカップがきれいに並べて置いてあった。足は痛いが、歩行や踏ん張るには支障なし。下りながら気がついたのだが、以前に比べて女岩から上のルートがかなり踏まれていて道幅が広くなっており、さらにトラロープがつけられて歩きやすくなっていた。順調に下山し、1時間少々、まだ日が沈まないうちに車に到着した。

    曲岳,升形山,黒富士方面を望む.5月にのぞむ君,カズ君と楽しく歩いた山域.

 足の痛みは翌日も続き、トレイルランニングをやっている先生に聞いてみたところ、これは足底筋膜炎という肉離れの一種のようなものとわかった。扁平足の人がなりやすいそうで、私はまさに扁平足。風呂上りに自分の足跡が一目瞭然にわかってしまう。なので、走ることは昔から苦手なのだ。痛みは2日で改善、連休はいずこへ?
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ウルップソウ咲く八ヶ岳硫黄岳  平成21年7月5日

2009年07月14日 | 八ヶ岳・秩父山系
 平成21年7月5日 天候曇り

 昨年は当院職員約10人とともに富士山に登ったが、今年は山らしい山を楽しんでもらおうと、八ヶ岳登山を計画した。しかし・・・集まったメンバーは私を含めて5人のみ。10人くらいは集まると思っていたのだが、ちょっと残念。当初は美濃戸から入山して赤岳を越えて赤岳天望荘1泊、翌日横岳・硫黄岳を越えて下山する予定だったのだが、3日(金曜日)朝の天気予報では4日の降水確率50~70%、しかも大気の状態が不安定で雷を食らうかもしれないという予報だったため、宿泊をキャンセルして5日日帰りに変更した。ところが・・・4日朝空を見上げると青空が広がっている。天気予報は完全にはずれて、想定外の良い天候となってしまった。今さらメンバーを集めるわけにも行かず、1日損をした気分でその日を過ごした。
 さて、翌朝は4時半に病院集合し、出発。韮崎で1人乗せてゆくはずだったが、待ち合わせ場所を私が間違えたおかげで街中を車で右往左往することになる。日帰りなので今回は硫黄岳西側の桜平から入山する予定を立てたが、そこまで行くのに一苦労した。夏沢鉱泉が表示されないので事務所でカーナビをセットしたところ、そこは桜平方面ではなくて茅野市街の近くまで行ってしまった。そんなことで、桜平到着までに予定時間を1時間もオーバーしてしまい、歩き始めたのは7時半近くになってしまった。

    桜平のレンゲツツジ.車は道横の空いたスペースに停める.


    オサバグサの群落.林道横にたくさん咲いていた.

 レンゲツツジとハクサンシャクナゲの咲く桜平を出発し、しばらくは林道を歩く。道横にはキバナノコマノツメがたくさん咲き、ツガの樹林帯に入ったあたりから可愛らしい白い花の群落が目に付くようになる。私は始めて見るオサバグサだ。三脚を出して撮影したりしていると、同行した若者3人はあっという間に見えなくなってしまう。彼らのペースは速いので、夏沢鉱泉とオーレン小屋の待ち合わせを決めて先に行ってもらうことにした。40分ほどで夏沢鉱泉、さらに40分ほどでオーレン小屋に到着した。休憩して昼食分の水をここで汲み、夏沢峠に向かう。

    オーレン小屋.大きくて立派な小屋.小屋前の花壇ではコマクサが満開.


    夏沢峠.小屋の後ろに見えるのがこれから登る硫黄岳.

 夏沢峠に到着すると一気に展望が開け、目指す硫黄岳が右手に見えるようになってくる。ここからがいよいよ登山らしい登りになってくる。森林限界を超え、ハイマツと岩の中にジグザグにつけられた道をぐんぐん登る。途中にはイワウメの大群落や、コイワカガミ、イワヒゲ、キバナシャクナゲなどの花が咲きほこる。1時間半ほどかけて硫黄岳山頂に到着したのは11時だった。

    イワウメの群落.森林限界を超えるとイワウメやコイワカガミの群落が見られるようになる.


    硫黄岳爆裂火口の縁を歩く.


    振り返って見る天狗岳.夏沢峠から反対方向に向かえば天狗岳だ.


    硫黄岳山頂

 雲が湧き上がってはきているが、かろうじて主峰赤岳の姿は拝むことができた。硫黄岳山荘側に下りて行くと、山荘の手前の砂礫地にウルップソウが咲いていた。群落とまではゆかないが、たくさん咲いているのを見ることができた。小休憩して横岳に向かったが、あっという間に厚い雲に横岳側がおおわれてしまい、雷の危険性もあったので中腹で折り返し、硫黄岳山荘で昼食にした。同行した河西君はカップラーメン5個、すなわち全員分のカップラーメンをザックの中に入れ、バーナーもこのために新規に購入してきていた。意気込みが感じられ、今後の活躍が期待できそうだ。

    かろうじて見えた主峰赤岳と阿弥陀岳


    硫黄岳山荘到着.このあたりの砂礫帯にウルップソウが咲いている.


    ウルップソウ.向こうに見えるのは赤岩の頭.赤岳鉱泉に下りるルートが見える.


    硫黄岳山荘横のお花畑に咲いていたウルップソウ.


    チョウノスケソウ


    ハクサンイチゲとオヤマノエンドウ


    コイワカガミの大群落.八ヶ岳はこの季節にさまざまな高山植物が一斉に咲き乱れる.

 天気はなんとか持っているが、山はもうすっかり雲におおわれてしまった。横岳はあきらめて下山することにした。硫黄岳に登り返すと、石室の前で見慣れた顔の女性が休んでいた。嶺朋クラブでお世話になっている小野さんだ。美濃戸から単独で赤岳、横岳を越えてこれから赤岳鉱泉に下りるところだという。さすがに長年の経験者、早い。今年は花の咲くのが遅く、この季節でもツクモグサが咲いていたらしいのだが、小野さんは見つけられなかったらしく残念がっていた。赤沢の頭まで一緒に下りて、そこから私たちは右に折れてオーレン小屋へ、小野さんは左の赤岳鉱泉に下りていった。オーレン小屋側の道はほとんどが樹林帯の中で展望が利かず、この道は下山で使ったほうが良さそうだ。

    硫黄岳石室で嶺朋クラブの小野さんとバッタリ.(左が小野さん,右が当院の田村さん)


    イワヒゲの大株


    赤岩の頭で横岳と雲をバックに.ここからオーレン小屋に下りる.

 高度を下げるにつれて気温が上昇し、暑くなってきた。おそらく、甲府盆地では30℃くらいまで気温があがったことだろう。桜平に3時45分無事到着。若者たちには物足りなかったかもしれない、花を巡るスローペース登山だったが、私としてはもう少しゆっくりと花を見ながら写真を撮りたかったというのが本音だ。
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急登の連続、笹山ダイレクト尾根(2日目)  平成21年6月27‐28日

2009年07月02日 | 南アルプス
 平成21年6月27‐28日 天候曇り

 前日の急登ですっかり足がへばってしまい、しかも手と顔面・頭は虫刺されで多数やられた。この日の天気予報では午後になると雨の予報だ。疲れた足で果たして笹山山頂まで行けるのか?天気は持ってくれるのか?
 前夜は曇り空で星は全く期待できなかったので、ぐっすりと眠って目が覚めたのは早朝3時。既に隣のテントの植田さんも起き出してゴソゴソとやっている。3時半、テントから出るが、外はまだ真っ暗だ。なんとか雨は降らずに持っているが、星が全く見えないところをみると曇り空なのだろう。パンで軽く朝食を済ませ、まだ暗い午前4時、ヘッドライトを点けてテント場を出発。樹林帯の中の細い踏み跡を赤テープを探しながら登る。尾根は途中で緩く右に曲がり、そしてまた見上げるような急登りとなる。足のだるさが残ってはいるが、登れないほどの疲れではない。しかし、ピッチは全く上がらないため、植田さんに先に行ってもらう。ちょうどこの急登のあたりで夜が明け、ツガの林の中が見えるようになってきた。テープはついているが明瞭な道は無く、歩きやすい場所を上を目指して登るといった感じだ。登り終えて緩い尾根にたどり着くと、左側の林の間から荒川岳が見えてくる。さらに右側には北岳の雄姿、そして富士山も見える。曇り空ながら、眺望はなんとか得られそうだ。傾斜がやや増して、切られたハイマツの林をくぐり抜けると、笹山南峰にポンと抜けた。上では植田さんが待っていた。

    笹山直下の稜線から見る北岳


    笹山南峰で記念撮影.植田さんのVサインは残り2山.標柱の文字は以前は塩見岳を背景にして立っていたと思ったのだが・・・?

 時間は6時、なんとか2時間で到着できた。南峰に立てられた山梨百名山の標柱は抜けかかっていてぐらぐらしている。そういえば、標柱の文字の方向が3年前と90度くらい回転しているような・・・気がする。これで3度目の登頂だ。
記念撮影を済ませて北峰に行くと、こちらは東海パルプで立てた新しい立派な標柱が立っていた。まだ残雪を纏った塩見岳から蝙蝠岳の稜線が美しい。そして南峰越しの富士山も荒川岳の雄姿も見える。北の方角には農鳥岳に続く稜線、良く見ると隣の白河内岳稜線を3人ほど人が歩いているのが見える。いつかこの稜線を歩いてみたい、ここに来るたびにそう思うのだが、なかなか実現できないでいる。

    北峰に立つ東海パルプの標柱.新しくて立派.後ろに見えるのは荒川岳.


    塩見岳から蝙蝠岳の稜線.残雪を纏った姿が美しい.


    笹山南峰越しに見る富士山.曇りの天候ながら姿を見せてくれた.


    白根南稜,農鳥岳に続く稜線.ここに来るたびにこの稜線を歩いてみたいと思う.

 空はどんよりと曇り空、いつ降ってもおかしくないような空模様だ。早めに下山しないと、下りの急斜面で降られたらスリップして危険だ。足早に下山し、テント場までは40分で到着した。食事はお菓子などで済ませてテント撤収し、8時20分、下山開始。足は問題なし、普通に歩けるが、疲れがたまらないように30~40分に一度休憩を交えながら下る。急斜面のおかげで下りは早く、テント場からほぼ中間点の水場まで1時間10分で下り、11時半には奈良田湖に到着した。山の上の肌寒さとは全く違って、下界はなんと蒸し暑いことか。吊り橋の手前の草むらで休み、空を見上げる。厚い雲が空をおおっているが、なんとか天気も持ってくれた。これで植田さんは山梨百名山残り2座。笊ヶ岳と、最後は・・・とてつもない難峰!?

    奈良田湖の吊り橋を渡って,無事に帰還.対岸には私の車が見える.

 山梨県山岳連盟の白鳳会の人たちが中心となって新しく切り開かれたこのルート、標高差をカシミールで計測してみると1900mもあった。健脚者ならば日帰りのルートではあるが、かなり大変なのは間違いない。雨畑の広河原から笊ヶ岳を往復するのと傾斜、標高差ともあまり変わらない。ルート的には2泊で行く伝付峠側のルートのほうが楽だろう。ただ、1泊で行けるという魅力、そして白根南稜に入りやすくなったという意味で、このルートの存在は大きい。


    ルート地図


    ルート断面図
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急登の連続、笹山ダイレクト尾根  平成21年6月27‐28日

2009年07月01日 | 番外編
 平成21年6月27‐28日 天候曇り

 この日は植田さんと一緒に北岳にキタダケソウを見に行く予定だった。南アルプス林道バスは2日前の25日から運行が始まっている。土日用のバス時刻表を見て、5時40分に乗るつもりで、5時25分に芦安バス停に到着した。ところが・・・切符売り場に行くと誰もいないし、待っている人たちが何故かタクシー乗場のところに集中している。はて?バス案内の人がいたので、切符はどこで買うのが尋ねると、次のバス発車時刻は7時40分、土日運行のバスは7月1日以降にならないと運行しないという。2時間バスを待つのはちょっともったいない、即予定変更、最近開通した笹山ダイレクト尾根を登ってみることにした。車に乗って奈良田に向かう。

    奈良田湖と吊り橋.この吊り橋を渡る.

 3週間ほど前に嶺朋クラブの人たちがこのルート登っており、ちょうど地図と文献をもらって運良く車に積んであったので、それを読みながら登り始める。入り口は奈良田湖にかかる吊り橋。道を隔てて反対側に10台以上止められる駐車場がある。7時40分歩き始める。吊り橋を渡って左折し、管理等の前を通って林道を進む。取水管の棟が見えるところで右に曲がる林道があり、そこを進むとそのまま登山道に入る。山腹にジグザグにつけられた手摺のついた道を登ってゆくと、中腹で2方向に別れており、ここはテープのついた左方向に進む。登りつくと、上にフェンスで囲まれた取水管口の建物がある。その先はこのフェンスに沿って尾根に登ると、尾根沿いの明瞭な登山道に出る。10分ほど登ると、祠のある山の神に到着する。途中1回休憩を入れ、ここまで約1時間で到着した。山の神にはツガとヒノキの大木が抱き合うように立つ奇妙な木が生えている。

    取水管口の建物とフェンス.このフェンス沿いに登って尾根に取り付く.


    山の神  ツガとヒノキの大木が抱き合うように生えている.

 その先からいよいよこのルートらしい急登が始まる。見上げるような急登りを1時間ほど頑張ると右手から延びてくる明るい尾根に登りつく。ここで尾根は左に曲がり、一旦平坦な道になるがしばらく行くと再び傾斜がきつくなり、登りついた平坦地が水場のある1600m地点である。時間は11時、まだ半分も来ていないのにかなりへばって、足がパンパンに張りだした。

    水場の案内板.往復約20分かかる.


    水場.水は細いので渇水期には涸れる可能性があり,注意が必要だろう.

 ここで水を汲みに行くが、下り気味にトラバースして最後は急下りとなって水場に到着。水は細く、盛夏には涸れる可能性があるので注意が必要だ。木にくくりつけられた掲示板の通り、往復約20分である。荷物を軽くするため、ここで昼食をとり、11時50分、出発。この先は再び見上げるような急登が続く。1900mあたりまでは尾根沿いに明瞭な道があるが、そこを越えたあたりから道はやや不明瞭となる。しかし、尾根に沿ってつけられている境界標識と赤テープがあるので尾根をはずさなければ迷うことはない。2200m地点でガレ場に到着し、遠く向うに三角錐を描く北岳が聳え立っているのが見える。時間は午後3時、1600mから2200mまでの600mを登るのに、実に3時間もかかった。足のふくらはぎがパンパンに張り、踏ん張りがきかず、できれば山頂までと思っていたのだがとても登れるような状態ではない。文献によるとこの先2350mあたりのところにテント設営適地があるらしいので、本日はそこまでとすることにした。

    標高2200m付近のガレ場から見る風景.遠く北岳の三角錐が見える.


    コイワカガミの咲く森.この付近はコイワカガミが群生している.


    2350m付近にテント設営.適地がある.

 2350m地点には午後4時少し前に到着。まだ元気だった植田さんは私よりもだいぶ先に到着していた。二重稜線の窪地になっていて4~5張は張れそうだ。焚き火の跡もあって、ひょっとして私の所属する会のメンバーの仕業か?などと想像しながら、いちばん平坦な場所に2張並べてテントを張った。そして5時に夕食だが、ここで大変だったのはブヨの群れだ。2mmほどしかない小さなブヨなのに、刺されるとやたらと痒くて腫れてくる。虫除けスプレーをかけたが、それも数分しか効果なく、手を20ヶ所と頭と顔を10ヶ所ほど喰われた。半袖だった植田さんはもっとひどく、腕だけで40ヶ所も刺されていた。虫と格闘しながら夕食を済ませ、本日はまだ明るい6時半には2人とも早々にテントで眠りについていた。果たして明日山頂を踏んで無事に下山できるのか?足に湿布を貼りながら少しばかりの不安がよぎる。(翌日に続く。)

    ブヨの群れにやられた左手.両手で20か所,頭部・顔面10か所ほど刺された.
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