山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

冬の鬼ヶ岳周回(後編)  平成25年2月24日

2013年02月27日 | 御坂・毛無・天子山系
 根場いこいの里から雪頭ヶ岳を経て約4時間かかって鬼ヶ岳山頂に到着した。時間は12時半、ここから鍵掛峠への尾根道を進む。夏場ならば富士山の眺望を楽しみながら、岩場が混じった少しばかりのアルペン気分が味わえる楽しい道だが、冬はどうなっているのだろうか?進行方向を見るとかなりの雪が積もっている。幸いなことに数人で歩いたと思われるトレースがあって、ラッセルはしなくて済みそうだ。


    鬼ヶ岳山頂の岩と富士山


    これから進む鍵掛峠への稜線。結構な雪がある。


    小さいが雪屁ができていた。御坂山系では珍しい。


    トレースに感謝。先頭を歩いた人はさぞかし大変だっただろう。

 緩く下ってまた登り、その先は急傾斜の下りとなる。柔らかい雪で足をとられまくり、3度もスリップ・転倒する。下り切ったところで前方に展望の良い岩場が出現する。この日は誰も岩に登った様子は無く、雪を踏みつけて岩に登り、ここで休憩しつつ富士山を撮影する。この間に鬼ヶ岳山頂にいた若者二人に追い抜かれ、その後は下山するまで山上では誰にも出会わなかった。

    展望岩から見る雪頭ヶ岳の斜面と富士山


    上ズーム  足和田山越しの富士山


    裏側に広がる南アルプス・八ヶ岳と甲府盆地

 岩の上に登ってみるとかなり風が強く、ゆっくり休めるような場所では無い。写真を撮ったらさっさと下りて先に進む。展望岩の下を大きく回り込んで下り、また登り返す。ピークを越えて少し進むとまた展望の良さそうな岩が出現、ここも誰も登った様子は無い。ここはスルーしようかと思ったのだが、折角雲が晴れて午後にしては珍しいすっきりした富士山が見えているのに写真を撮らないのはもったいない。一旦は通り過ぎたが、戻って岩の上に登り三脚を立てる。先ほどとは角度が変わって足和田山の全景と西湖の一部が見えるようになる。午前中の雲はすっかり晴れ、綺麗な富士山が「撮ってくれ」と言わんばかりに立っていた。

    これから歩く稜線。登り返してその先を下って鍵掛峠。ピークを越えるとまた素晴らしい眺望が得られる展望岩あり。


    鍵掛峠近くの展望岩から見る足和田山越しの富士山


    歩いてきた稜線を振り返る。右が雪頭ヶ岳、中央が鬼ヶ岳。

 その先の鍵掛峠への下りは雪と岩が混じった、ところどころロープ場がある歩きにくい道だった。岩にアイゼンをひっかけて転ばないように注意しながら、ロープを使わせていただいて慎重に通過し、ようやく鍵掛峠に到着、時間は午後2時20分だった。鬼ヶ岳から2時間ほどかかったことになるが、撮影時間を除けば1時間半はかかっていない。これもトレースがあったおかげだが、もし無かったらさらに30分以上は余計にかかっただろう。峠の下には富士山の展望台があるので、そこまで行って腰を下ろしてゆっくり休む。

    鍵掛峠への下り。岩と雪がミックスした道で、ロープが張られた場所がある。


    鍵掛峠。向こうは王岳への稜線。


    鍵掛峠の林から望む富士山


    鍵掛峠展望台。峠の下、根場へ下りる途中にある。木が切られていて展望岩に乗ることができる。


    鍵掛峠展望台から望む富士山

 展望岩側の斜面は稜線と違って風が吹かず、休憩には絶好だった。しかし、ここはまだ標高1,500mほどあり、根場までの標高差は600m、下山には1時間少々時間がかかる。山の上にはもう誰もいないようで、人の姿は無く声も聞こえない。時間はもうすぐ3時、あまりのんびりもしていられない。この先は歩き易い良い道なのでアイゼンをはずして下山開始する。

    鍵掛峠の道は広くて歩き易いが、西側斜面にはまだ結構な雪があった。アイゼン無しで足早に下りる。


    根場いこいの里の萱葺屋根の家と富士山。3時53分到着、思ったよりも早く着いた。

 やや急ぎ足で登山道を下り、1時間ほどで根場いこいの里に到着した。持って行ったラーメンは食べずじまいで下山してしまったので、駐車場の傍らにあるおみやげ物屋さんでソバをいただいた。お店のおかみさんに山の上は雪が深かったという話をしたら、2週間ほど前に来た登山者は鍵掛峠の先が腰まで雪があって登れずに引き返してきたと言っていた。今日はまだ良いほうだったようだ。この程度の時間で歩けたのは先行した登山者のおかげ、重ね重ね感謝である。


 さて、この日は十四夜の月が登って来る日だ。田貫湖あたりで富士山山頂あたりに月が登って来るはず。ソバをいただいた後は朝霧高原・田貫湖方面に向かって車を走らせる。(十四夜・十五夜の冬月に続く)
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冬の鬼ヶ岳周回(前編)  平成25年2月24日

2013年02月26日 | 御坂・毛無・天子山系
 写真の枚数が多いので、前編と後編に分けてお届けする。

平成25年2月24日

 前日と同様に朝から強い風が吹き荒れた。青空は広がったが、自宅から見る南アルプスには雲がかかっている。出かけるなら御坂山塊が無難そうだ。昨日三方分山から見た王岳・鬼ヶ岳の山並が白くて美しく見えたのを思い出す。広い駐車場のある西湖のほとり、根場いこいの里にまずは行ってみることにする。


    根場いこいの里から見上げる雪頭ヶ岳と鬼ヶ岳。向こうの赤いバスは登山にやって来た団体さん。

 いこいの里から見上げる雪頭ヶ岳、鬼ヶ岳、さらに王岳に続く稜線は、下から見上げる限りではさほど雪が無いように見受けられた。ちょうどバスでやって来て出発の準備をしている15人ほどの団体さんや、他にも数グループが登山の準備をしていた。こちらもさっそく準備して団体さんより一足先にスタートする。向かった先は雪頭ヶ岳への直登コース。こちらのルートは鍵掛峠のルートよりも歩きにくい半面、登山客も少ない。8時半スタートし、根場いこいの里のかやぶき屋根の建物を左に見ながら、道標に従って右に曲がり堰堤広場・雪頭ヶ岳方面に進む。堰堤広場を過ぎると植林帯の中の雪道に変わる。少し行くと枯れた沢を対岸に渡ってまたすぐに渡り返すところがあり、テープがたくさんついてはいるものの、ここだけ若干わかりにくい。さらに樹林帯の中の道を進み、大きな岩のところを左に曲がって登って行くとカラマツの樹林帯に変わる。標高は1,200m付近、カラマツ林の向こうに富士山が見え出し、ここで一休みする。

    堰堤広場。右手に登山道がある。


    雪の登山道。堰堤の向こうに見えるのが雪頭ヶ岳。


    ヒノキ樹林帯の中を行く。


    大きな岩に突き当たり、看板に従って左折。


    歩き始めて1時間ほど、カラマツに樹林帯に変わる。


    カラマツ林の向こうに見える富士山。

 カラマツ樹林帯は日当たりが良いためか雪は少なかったが、尾根に取り付いて西側斜面の紅葉樹林帯に入ると雪が増えて来た。登山道にはところどころツルツルのアイスバーンが現れ始め、さすがにアイゼン装着しないと滑ってしまう。軽アイゼンを装着して雪頭ヶ岳への急登を登り、11時40分、歩き始めてから3時間かかって雪頭ヶ岳に到着した。ここで後続の若者2人組に抜かれたが、彼らはノーアイゼンで登って来ていた。

    カラマツ林から見上げる雪頭ヶ岳。まだちょっと距離も標高差もある。


    登山道はところどころアイスバーンになっており、さすがに危険を感じて軽アイゼンを装着。


    雪頭ヶ岳の急登。左手のロープを使わせてもらう。


    西側の広葉樹林帯は雪が深い。トレースに助けられる。


    雪頭ヶ岳頂上付近の草地


    山頂から見下ろす西湖と富士山。残念ながら雲がかかってしまう。

 雪頭ヶ岳は眺望に恵まれており、眼下に見える西湖の他に左手には河口湖、その遥か向こうの富士の裾野には山中湖を望むことができる。さらに右手には広大な青木ヶ原樹海とさらに右手に本栖湖、そして竜ヶ岳、雨ヶ岳、毛無山、長者ヶ岳へと続く山並が一望できる。三脚を立てて写真を撮りながら食事をとり、ここで大休止する。

    東側の眺望。遠く山中湖まで望むことができる。


    西側の眺望。本栖湖とその先の毛無山・天子山塊が一望できる。


    冬の陽

 30分ほど休憩して隣の鬼ヶ岳に向かう。その先の下りはかなりの急斜面、しかもアイスバーンの上に雪が積もっていてアイゼンが効いてくれない。へっぴり腰で木の枝や根っこにつかまりながら慎重に下りたが、この場所が今回のルートの中で一番怖かった。そこを下ると今度はハシゴ登りだが、その先の鬼ヶ岳への道は問題無く登れた。雪頭ヶ岳で追い抜かれた若者2人は鬼ヶ岳山頂で昼食休憩中だった。相変わらずのノーアイゼン、こういう道にはかなり慣れているようだ。

    眼前に迫る鬼ヶ岳。しかし、足元はアイスバーンと雪の急斜面。


    ハシゴを登る。


    ハシゴの上の展望地から見る十二ヶ岳と御坂山塊。右下は手前が西湖、向こうが河口湖。


    同じ場所から見上げる鬼ヶ岳。もう少し。


    鬼ヶ岳山頂


    鬼の角と富士山

 富士山には雲がかかっていたので、三脚を出さずに手持ちで数枚撮って彼らよりも一足先に鬼ヶ岳を出発した。もちろん、その後簡単に追い抜かれたが、その先の鍵掛峠への尾根道は想定以上に雪が深く、岩の混ざった悪路になっていた。(後編に続く)
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精進湖越しの富士山は? 雪の三方分山  平成25年2月23日

2013年02月25日 | 御坂・毛無・天子山系
 甲府盆地はビュービューと風の吹き荒れる寒い朝となった。冬型の気圧配置の時は行きたかった北八ヶ岳は難しい。登り易い御坂山系に行くことにしたが、どこに登るかは決まらないままにひとまずは精進湖方面に向かって車を走らせる。ふと思い出したのが「写ば写ば」に飾らせていただいてあった写真の事。2月に入ってから店内の写真を全て栗林先生ご自身の写真に変えたそうで、写真を取りに来て欲しいという連絡をいただいていた。ならば、精進湖の上の三方分山を周回してそのあとに食事を兼ねて写ば写ばに立ち寄らせていただくことにした。愛用していたキャノンEOS40Dの調子があまりにも悪く、1ランク上のEOS7Dに機種を変更し、今回が初使用となる。

 精進湖のほとりに車を止めてまずは7Dの試し撮りをする。シャッター音が小気味良く、モニターに映った画像で確認するとかなり綺麗に撮れているように見えた。(実はこれはモニターの性能が良いためで、後にパソコンで見ると若干手ぶれと後方のピントが甘いことがわかる。)9時半、湖畔を出発し女坂峠に向かう。

    精進湖湖畔から見るパノラマ台方面。かなり雪が着いている。


    民家の間の道を抜けて登山道(旧中道往還)に入る。


    登山道に入るとすぐに雪道となる。アイスバーンでは無いのでアイゼンは終日装着せず。


    中道往還とは東海道と中仙道の中間にある道という意味らしい。古くは商業や軍事のために使われていたらしい。

 女坂への道はジグザグにつけられていて歩き易く、雪の積もる道ではあるがアイゼン無しで歩けた。1時間ほど歩いて女坂峠に到着する。ここで一休み。三方分山が目の前に見えるが、かなりの急登に見える。

    雪の積もる中道往還


    女坂峠手前の樹林帯から見上げる三方分山。


    女坂峠。別名阿難坂。甲府方面から2つの峠を越えて精進湖に至るこの道は、このあたりが一番の難所だったらしい。


    峠に立つお地蔵さん。かつて身重な女性が道中で子を産んだが母子共に亡くなってしまい、ここに子を抱いた地蔵を建てたと伝えられている。何故かお地蔵さんは首が無い。

 さて、いよいよ三方分山への急登となる。さらに雪は深くなるが、トレースがしっかりとあって、道もジグザグにつけられていてさほど辛くは感じない。急登を登り切って笹の混じる緩い傾斜になると山頂は間もなくだ。11時半山頂に到着、湖畔からちょうど2時間くらいだった。この頃には朝の強風が嘘のように止み、日差しにはぬくもりを感じる。山頂にいた単独登山の先客は穏やかな天気に日向ぼっこしながら気持ち良さそうに昼寝していた。

    山頂への登り。


    笹が混じり、傾斜が緩くなると山頂は間もなく。


    三方分山山頂


    富士山側の眺望が開ける。この時間には霞んではいるが富士山が見えていた。

 山頂で20分ほど休憩してパノラマ台方向に進む。恐れていた下り斜面は雪が少ししか無かったものの、雪解けのドロドロ道でスリップに十分注意しながら下りる。30分ほどで精進峠の展望台に到着したが、この頃には富士山山頂には雲が巻いてしまっていた。精進湖を真下に見下ろしながらその向こうに富士山が立つこの場所の景色は、このルートの中で一番のお気に入りだが今日は不発に終わってしまった。カメラ手持ちで数カット撮影し、先に進む。

    精進峠展望台から見下ろす精進湖。富士山は残念ながら雲に巻かれる。


    左手に見える王岳と鬼ヶ岳山塊。向こうの山も結構白い。


    右手にはこれから歩くパノラマ台への山並。結構遠いし、アップダウンもある。

 この先はいくつかのアップダウンが続く。そしてパノラマ台入口からの道と合流して最後の緩い登りとなるが、雪の量は本日歩いた中でこのあたりが一番多かった。登り切ったところで本栖湖外輪山の周回コース、中之倉峠への分岐があり、これを過ぎるとすぐにパノラマ台だ。中之倉峠コースも下見してきたが、籔道では無くてきちんとした道が続いていた。

    パノラマ台への最後の登り。雪はこのあたりが一番多かったが、トレースはしっかりある。


    中之倉峠への分岐。今回はこのコースも確認しておきたかった。


    パノラマ台。富士山は残念ながら霞と雲の中。


    冬の御坂山塊。明日はあっちを歩いてみようかな??

 山頂には先客が二人休憩していた。私は方位版の向こう側の土台石に座って軽食をとっていたが、間も無く烏帽子岳方面から10人ほどの団体さんがやって来た。記念撮影をするらしく、方位版周辺に集まって旗かなにかを準備し始めた。どうみても私が居るのは邪魔になる。さっさと切り上げて下山することにする。下山道は雪はあるがアイスバーンは無く、快調に歩いて40分ほどでパノラマ台入口に到着した。その後は「写ば写ば」に立ち寄り、ゆっくりと昼食をいただき、栗林先生と写真談義を楽しむ。新メニューか、グリーンカレーはとてもおいしかった。

 11月に雨ヶ岳に行った時、中之倉峠側から雨ヶ岳に登って来た人に出会った。山頂直下は笹籔らしいが、距離はほんの少しだけで普通に登れると聞いた。同じところを登って来た登山者の記載が「望の富士」にもあった。ということは、烏帽子岳からパノラマ台を経て中之倉峠まで行ければ、雨ヶ岳、竜ヶ岳を越えて本栖湖外輪山を1周出来るということになる。もちろん私の足で1日で歩くには無理な距離なので、テント1泊ということになるだろう。気になっていたパノラマ台からのルートを確認するのも今回の目的の一つだった。気候が良くなった頃に、時間が許せば歩いてみたいと思う。
 
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樹氷の北横岳 

2013年02月19日 | 山梨百名山
 平成25年2月17日

 前日の強風が嘘のように止んで穏やかな朝となった。しかし強烈な冷え込み、甲府市内では朝の気温が氷点下4℃だった。予定通り、朝6時に起床し、ピラタス蓼科のロープウェイに向かう。中央道から見上げる甲斐駒ケ岳や八ヶ岳はすっきりと澄んで見え、雲ひとつない快晴の空だった。8時45分ロープウェイ駐車場に到着。大混雑かと思いきや、意外と駐車場は空いていて、楽々車を止めることができた。

    ピラタス蓼科駐車場。意外と空いていた。左に見えるのが蓼科山。


    ロープウェイから見る北横岳。山頂は左脇に隠れているところ。

 大半がスキー・スノボー客だが、スノーシューを持った客も結構いる。10分おきに発着するロープウェイは1本待っただけで、さほど混雑することも無く乗車できた。ロープウェイ山頂駅の気温は氷点下16℃、風が無いのが幸いしたが、それでも頬と鼻がヒリヒリする。登山者はアイゼン装着の人よりもスノーシュー装着している人のほうが圧倒的に多い。山頂駅から容易に行ける坪庭周辺はスノーシューハイクには絶好の場所だ。坪庭への道にはツアー客と思われる人の長い行列が出来ていた。

    坪庭・北横岳へのトレース。たくさん人が入っており、道には行列ができている。


    坪庭から見上げる北横岳


    縞枯山と坪庭

 坪庭を過ぎると樹林帯の中を通る北横岳への登りとなるが、ここは急斜面ながらジグザグにうまく道がつけられていて歩きやすい。本日は6本歯アイゼンを装着しているが、これで全く問題ない。1時間少々で北横岳ヒュッテに到着する。

    中腹から見下げる坪庭と、南八ヶ岳・南アルプス。10時を過ぎた頃には空に雲が広がっていた。


    北横岳ヒュッテ

 ヒュッテの前ではたくさんの登山客が休憩していた。時間は10時40分だが、朝食時間が早かっただけに空腹を覚え、ここで早目の昼食にする。この先が北横岳への急登となる。しっかり踏みつけられた道ではあるが傾斜が強く、スリップして登りにくい。キックステップでつま先を雪に蹴り込んで登り、25分ほどで北横岳北峰に到着した。眼前には格好の良い蓼科山の雄姿、その後ろには北アルプスの山並がずらりと並ぶ。朝のような青空だったならばさぞかし絶景であっただろうが、10時ごろから空には灰色の雲が広がってしまった。

    北横岳北峰。左が蓼科山。


    北横岳の樹氷と蓼科山


    北横岳北峰から見る南八ヶ岳

 三脚を立てて存分に撮影後、ザックを北峰に置いたままカメラ機材だけ担いで南峰に行く。樹氷はだいぶ落ちてしまってはいるが、それでも十分楽しめる。先ほどまで団体客で混雑していた南峰だったが、私が到着した頃にはちょうど空いたところで、数人の登山者のみだった。

    北横岳南峰


    南峰山頂と蓼科山。運良く、ちょうど人がいなくなった。


    蓼科山と北アルプスの山並


    浅間山。今年の浅間山は地肌が出ていて白く無い。


    樹氷と八ヶ岳

 北横岳山頂付近で1時間以上もぶらぶらしていて、時間は12時半を過ぎてしまった。しかし、このまま下山するには時間も体力もたっぷりある。岩峰のピーク、三ツ岳に立ち寄ることにした。以前来た時は早朝に先頭を歩いたのでトレースが無かったが、今回はトレースしっかりしていて歩きやすい。山頂直下の岩場には鎖がつけれれていて、以前はこの鎖につかまって登ったが、今回は脇をぐるりと巻いて後ろ側から登るトレースがついていた。分岐点から20分ほどで三ツ岳山頂(Ⅲ峰)に到着した。先ほどまでいた北横岳が目の前に見える。

    目の前に迫る三ツ岳。一番高いところがⅢ峰。


    三つ岳山頂(Ⅲ峰)。すぐ向こうに北横岳が見える。

 三ツ岳の面白い場所はこのⅢ峰ではなく、この先のⅡ峰手前にある鉾岩と呼ばれる格好の良い岩だ。天を切り裂くように突き出た岩の向こうには浅間山の景色が広がる。途中に広がるシュカブラの景色を楽しみつつ、Ⅱ峰まで下る。

    シュカブラと八ヶ岳


    Ⅱ峰頂上にある岩と浅間山


    鉾岩と浅間山。見たかったのはこの景色。

 再三写真を撮ったので三ツ岳界隈でも1時間ほど時間を費やしてしまい、時間は1時45分になってしまった。余裕があれば雨池峠側と坪庭をぐるりと周回してロープウェイ山頂駅に戻りたかったが、途中のピークを越える時に手こずると4時の最終時間に間に合わなくなるかもしれない。ここは無難に来た道を戻ることにした。休憩せずに下って、2時50分、ロープウェイ山頂駅に到着。


 北横岳は冬山初心者向けで、ロープウェイを使って簡単に行けるうえに抜群の眺望が得られる。ここの星空も素晴らしく、直下にある北横岳ヒュッテの食事はスキヤキやタラチリなどのなべ料理が振舞われ、これもまた凄い。あわせておすすめの山である。

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新道峠

2013年02月18日 | 番外編
 某所から、新道峠の宣伝用ポスターを作りたいので画像は無いかと相談を受けた。ここは車で駐車場まで乗り付けると15分ほどで行けるお手軽な場所なので、大きなカメラと三脚を持って、場合によっては徹夜で一晩中撮影を行っている人もいるほど有名な撮影場所だ。良い画像を持っている人はたくさんいるはずだ。しかし、私にとっての新道峠は黒岳に登るための単なる通過点。展望が良いので何カットか撮影はするものの、ここでじっくり撮影したことはほとんど無い。山に登る人は山の上から撮るべき、と思っているので、この場所は年をとって山に登れなくなった時のためにあえて腰を据えて撮らないようにしていた。
 しかし、依頼があったので改めて以前に撮った画像を集めてみることにした。こんな画像でポスターに採用してもらえるのかどうかはわからないが、ひょっとしたらどこかでこの中の画像を見かけることがあるかもしれない。


    薄明の河口湖と富士(平成21年3月)


    朝焼けの富士(同上)


    夜明けの富士と河口湖(同上)

 まだ林道が閉鎖されている3月中旬、月と一緒に富士山を撮ろうとしたのだが、予想したよりも月の位置が西側で、しかも凍りついた林道を歩くのに想定外に時間がかかった。予定時間より30分遅れたため、月の入った画像はいまひとつになってしまった。先客が一人。「ここはいつ雲海になってくれるんですかね~。」などと会話を交わしながら、夜明けまでここで撮影した後、黒岳に登った。この日は空気が澄んで風も無く穏やかな日で、山頂からの富士山も絶景だった。その時撮影した黒岳山頂からの朝富士は放送大学のカレンダーに採用された。



    雲霞に浮かぶ月光富士(平成22年11月)


    雲海に浮かぶ朝富士(同上)

 満月に近い明るい月が昇った夜だったが、空は霞んで月は見えなかった。駅前の飲食店で夜の12時ごろまでお茶を飲んで遊んでいたが、外に出ると月が見え始めていた。三つ峠のライブカメラで富士山を見ると・・・雲海の上に姿を現し始めている。これは行くしかないだろうということで、車に積んであった登山着に着替えてさっそく出発する。未明2時に新道峠に登ると、河口湖を覆う雲海の上に月光に照らされた富士山が浮かんでいた。その上にはおおいぬ座シリウスが輝く。先客は3人ほど、おそらくはこの夜は徹夜で撮影に没頭したことだろう。新道峠のシンボルとも言える木を前景に配して10カットほど撮影させていただき、月の照らす登山道を黒岳に登った。この時の雲海が今までで最高のものだった。「雲海に浮かぶ朝富士」は下山際に新道峠付近で撮影したもの。まだたくさんカメラマンが新道峠で撮影しており、邪魔しないように手持ちで撮影。こんな機会が来るのであればきっちり三脚を立てて撮影すべきだったとやや反省している。



    盛夏、新道峠の富士(平成21年8月)

 比較的天候が良かったお盆ごろの富士山。富士登山者のハイシーズンなだけに、きっと照明光跡が見えるだろうと夕暮れの黒岳を目指して登った途中で撮影したもの。新道峠のこの岩は絶好の展望台になっており、左の木が新道峠シンボルツリーだ。山梨放送のテレビ取材を受けた時に撮影場所となったのがこの岩の上だった。



    夕暮れの富士(平成22年10月)


    同上(同上)

 紅葉を求めて釈迦ヶ岳に登ったが、この年の紅葉はいまひとつであまり良い景色とはならず、ならば夜富士でもと考えて夕方から黒岳を目指して登った時に撮影したもの。霞の上に富士山が顔を出してくれて、それなりに良い夕景ではあったが、空が霞んでいて星が映らず、山頂からの夕景富士は全く面白みの無い画像になってしまった。


 河口湖を眼下に望む新道峠は登山者ならずとも簡単に行ける絶景地である。富士山世界遺産登録とからめて、ここを観光開発の目玉にしようという動きがあるらしい。峠が荒れて自然が破壊されてしまうのはあまり好ましいとは思わないが、できるだけ自然な形でこの峠の景色を楽しんでいただけたらと願う。
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凍りつく樹氷の森 北八ヶ岳中山周回  平成25年2月11日

2013年02月12日 | 番外編
 連休初日の2月9日は北八ヶ岳黒百合ヒュッテの予約がいっぱいになり、メイン登山口の渋ノ湯駐車場は大混雑が予想された。この日を避けて10日早朝に出かけることを考えていたが完全に寝過ごし、11日に行くことにした。朝6時に自宅を出発し、中央道を南諏訪インターで降りて渋ノ湯に到着したのは8時過ぎ、途中の路上脇に薄雪の積もった車がたくさん路上駐車されていたので、車を止められないのではないかと心配したが、渋ノ湯駐車場は意外と空いていた。本日目指すは天狗岳。だが、想定外に空模様が悪く、しかも強風が吹き荒れている。果たして登れるのか??8時20分、十二本歯アイゼンを装着して渋ノ湯を出発する。

    渋ノ湯駐車場。途中の路上に駐車されていた車は前日泊の人たちで、駐車場は想定外に空いていた。


    踏み跡しっかりしており、足を取られる事も無く快適に歩く。


    唐沢鉱泉分岐。たっぷりの雪、だが、空模様が心配。


    やや黒ずんだ雲が流れ行く空

 人気の高い冬山コースだけあって、しっかりしたトレースあり快適に歩く。下山して行く登山者とはたくさんすれ違ったが、登って行く人たちは少ないようだ。連休3日目ということもあるが、空模様がいまひとつということもあるのだろう。高度を上げるにつれて風が強くなり、それと引き換えに凄い樹氷の森が広がり出す。予定通り約2時間強で黒百合ヒュッテに到着した。

    強風と雪が作り出した樹氷の森。景色が凄いが、寒さも凄い。


    黒百合ヒュッテ手前の樹氷の森。日が差さないと白黒写真のようだ。


    黒百合ヒュッテ。下山の支度をしている人たちをたくさん見かけた。これから天狗岳に行こうという人は見当たらず。

 黒百合ヒュッテ周辺は窪地になっているので風はさほど強くはなかったが、空は黒ずんだ雲が足早に流れて行き、ゴーゴーと音を立てている。ヒュッテから天狗岳への取り付きは急斜面になっており、ひとまずはその上まで行ってみることにした。一応トレースはあるが、強風に煽られて不明瞭になっている。上に見える岩を目掛けて登ってみると・・・そこは目も開けていられないほどの強風が吹き荒れる。眼前に見えるはずの天狗岳はビュービューと流れ行く雲の中に隠れている。おそらく上は吹雪になっていることだろう。一人尾根に取り付いて登っている登山者の姿が見えたが、かなり苦戦しているようだ。無理はせず、即座に登頂をあきらめてヒュッテに下りる。

    天狗岳取り付きの急登。まずはあの上まで行ってみよう。


    登り着くと目も開けていられないような強風が吹き荒れる。雲の中に天狗岳が隠れている。


    凍りつく岩と道標


    凍りつく木々  樹氷どころではない、完全に凍っているように見える。


    わずか10分で自分のトレースは半分隠れてしまう。

 ヒュッテ前のベンチで食事にしようと思っていたのだが、下山準備の人たちで混雑しており、止む無くテント撤収後の雪の上に座って軽い昼食をとる。天気が若干回復してきたのか、雲の切れ間から一瞬だけ太陽が姿を覗かせた。
 さて、天狗岳が無理ならば難易度の低い反対側の中山に登り、高見石を経由して周回して渋ノ湯に戻るコースに変更することにした。このコースは2年前に所属する山岳会の人たちと一緒に歩いたことがある。中山峠から中山への登りは緩やかだが、風が猛烈に冷たく、指先と耳たぶが凍傷になるのではないかと思うほど寒かった。

    一瞬の日射し  強風で雪が宙を舞う。


    中山峠。ここでも一瞬陽が射し込む。


    時折青空が見え出すが、天狗岳は相変わらず雲の中。中山展望台から。


    立ち枯れの樹氷


    樹氷のドーム


    中山山頂付近の樹氷


    中山山頂の標柱は樹林帯の中にひっそりと立つ。

 中山山頂を越えて高見石側には真っ白な雪原と樹氷の森が広がる。しかし、そこは天狗岳取り付きと同様に強風が吹き付ける場所、目を開けているのも容易ではない。天気が良ければ休憩するに絶好の場所だが、この日はとてもではないが休んでいられるような状態ではない。写真をとって足早に通り過ぎ、樹林帯の中に逃げ込む。

    凄い樹氷が立ち並ぶ。強風が吹き付けるからこそこのような樹氷が出来上がる。


    雪原の彼方、陽が射し込む。


    通り過ぎる一瞬の陽射し


    中山の樹氷


    樹氷の枝

 風の無い樹林帯の中で小休憩後、高見石に向かってひたすら下る。40分ほど下ったところで高見石小屋に到着した。時間は午後1時だった。ここでも小休憩のみで渋ノ湯に向かって下って行くと、賽ノ河原という岩の堆積する広場に出る。眺望が開けるが、ここもまた谷筋から強風が吹き上げる場所で、トレースも半分消えてしまっている。写真を撮りながらも足早にこの場所を通り過ぎる。

    高見石小屋。建物の右手に高見石なる岩があり、その上から見下ろすと眼下に白駒池が見える。今回は岩に登らずに下山。


    賽ノ河原から見上げる中山。相変わらず強風が吹き、山頂には雲がかかる。


    振り返って見る賽ノ河原

 再び樹林帯に入り、トレースがはっきりした緩い傾斜の道を歩いて行くと右下に川の流れが見えてくる。その向こうにはもう渋ノ湯の建物が見え始める。やがて朝登った黒百合ヒュッテへの道と合流し、間もなく渋ノ湯に到着した。時間は午後2時を少し過ぎた頃だった。空には青空が広がっていた。もう半日早く天候が回復してくれれば、もっと良い景色が見られたに違いない。

    登山道から見下ろす川の流れ。その向こうには渋ノ湯の建物が見える。


    渋ノ湯到着。この頃には青空が広がり出す。

 帰りの車の中から雪化粧した蓼科山と北横岳が美しい姿を現しているのが見えた。あちらの山も、きっと凄い樹氷の景色が広がっていることだろう。冬山初級の山だが、残念ながら今回は冬の天狗岳に登りつけなかった。青空が広がる好天時に是非登ってみたい山だ。
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夕暮れのダイヤモンド富士 高指山  平成25年2月10日

2013年02月12日 | 山梨無名山
 目を覚ませばもう太陽が高く昇り、時間は9時半になっていた。連休は北八ヶ岳の樹氷を見たいと思っていたのだが、出発するにはあまりにも時間が遅過ぎる。ようやく当直の疲れは抜けたが、登る元気は出ず昼過ぎまで自宅で怠惰な時間を過ごす。ふと思い立ったのが夕暮れのダイヤモンド富士だ。7年ほど前の山梨百名山1ラウンド目の時、道志の菜畑山に登ろうとして雪道で車を側溝に落としてしまい、JAFを呼んで引き上げてもらった後に気を取り戻して登ったのが高指山、確か2月10日だったと思う。この日は富士山の山頂に太陽が沈む夕暮れのダイヤモンド富士がこの山から見られる日だ。時計を見ればもう午後1時半、ダイヤになる時間は午後4時半ごろだ。急いで準備して山中湖に向かう。

 混雑が予想される中央道は避けて御坂道、河口湖を経由して山中湖に行くが、雪はわずかで若干の渋滞のみで順調に走り、3時半に山中湖の湖畔に到着した。湖畔からのダイヤモンド富士狙いの車だろうか、駐車場にはあふれんばかりの車、駐車枠以外のスペースにまでぎっしりと車が止まっている。それを横目で見ながら高指山の登山口に向かうが、登山口周辺に良さそうな駐車スペースが見つからず、通り過ぎてまた戻って最終的に道路脇の小スペースに横付けして駐車する。既に時間は3時40分、確か山頂まで1時間ほどかかったような記憶があるので、下手をすると間に合わないかもしれない。薄雪の残る登山道を急ぎ足で登り、別荘地の中を通り過ぎると眼前にカヤト野原の広がる高指山が姿を現す。休憩せずに登ると・・・想定していたよりも山頂は近く、4時15分、30分ほどで山頂に到着した。

    高指山(たかざすやま)登山口。ここは東海自然歩道の一部。


    別荘地の中の道を登る。


    眼前に迫る高指山


    高指山山頂付近。30分で到着。

 既に先客が二人、三脚とカメラを構えて夕暮れを待っていた。しかし、今日の富士山は山頂付近に雲が巻いていていまひとつだ。山頂から一段下がったところの刈り払われた展望地で、地元都留市から来られたカメラマンの方と並んでカメラを構えさせてもらう。

    高指山山頂。一人は大きなカメラ(EOS MarkⅢレベル)を構えて夕暮れを待っていた。


    雲が巻く富士山頂


    なんとか雲が飛び、富士山頂が見えるようになる。

 午後4時37分、いよいよ山頂に太陽が沈み始める。確かにダイヤはダイヤだが・・・凍りつく朝のダイヤモンドに比べるとなんとなく霞んだ富士山とダイヤモンド、いまひとつだ。やはりダイヤモンド富士は朝のほうが感動的だと思う。

    高指山のダイヤモンド富士


    同上


    富士山頂から光の筋が放射する。


    夕暮れの富士  あまり焼けることも無く日が暮れる。

 今回この山に出かけた理由はダイヤモンド富士もあるのだが、もうひとつは3月中旬にやって来るパンスターズ彗星の下見もある。3月10日ごろに近日点(太陽に最も近い位置)を通過した後、夕暮れのほぼ真西の低空(10度以下)の位置に彗星が姿を現して来る。西側の展望が適しており、最も簡単に登れると思われるのがこの高指山と考えている。月の影響がまだ少ない、3月13日から17日あたりまでがこの山から彗星を見るのに適していると推測している。彗星の尾が大きく棚引いてくれれば、富士山の上に彗星のアーチがかかるかもしれない。天候に恵まれることを願っている。
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富士山撮影会  平成25年2月3日

2013年02月04日 | 番外編
 今回で3度目となる富士山撮影会の案内役を仰せつかった。狙うは前回・前々回と同じくダイヤモンド富士。昨年は猪之頭林道から狙ったが富士山に雲が巻いて不発、その前は富士ヶ嶺から狙ったがあまりにもあっさりし過ぎていてあまり面白い作品にはならなかった。できるだけ富士山から距離を離して早い時間のダイヤを撮りたいが、最大でも毛無山塊の裾野まで、かつ、車が入れる場所というとかなり限られてくる。根原の貯水池周辺を考えていたのだが、ゲートから20~30分歩かねばならず、最終的に朝霧高原の道沿いに車を止めてススキ野原の中から狙うことにする。

 朝6時に朝霧高原道の駅に集合する。ゲストの2人は前夜厚木市で講演会があり、朝4時に出発してはるばる来られた。貯水池まで歩く時間を想定してこの時間の集合としたが、結局は朝霧高原からの撮影ということになったので、まだダイヤモンドの時間まで1時間半もある。この日は根原の小学校あたりで富士山中央から日の出となるがその場所は周辺の集落と杉の木の林があるために富士山の裾野まで見ることができない。そこで、朝霧高原側の草むらの中で撮ることにする。早目に移動して撮影地を偵察すると、鹿避けの防護柵が切れたところにちょうど手ごろな草地があり、そこから撮影することにする。パソコンのカシミール3Dで計算すると、ちょうど剣ヶ峰あたりから日が昇るはずだ。3日前の天気予報ではこの日の午前は曇りのはずだったが、前日に予報が変わり、前線が早く抜けてしまって想定外の快晴の空となった。


    朝霧高原の撮影地。全く雲が無い快晴の空、天気が良過ぎる。


    富士山頂が輝き出す


    裏側には富士山山頂の影


    ダイヤモンドの始まり


    朝霧高原のダイヤモンド富士  朝霧高原らしさを表現するためあえてススキを入れて撮影。


    ススキ野原を照らすダイヤモンド

 レンズを絞り込んでの撮影は回析現象が出現して画像の鮮明度が落ちるため、あまり好ましいとは思っていないが、竜ヶ岳の時にF9で撮影してあまりダイヤらしくならなかった(薄雲の影響もあるが)ので、今回はF11~16で撮影してみた。だが、どの絞りでもさほど大きな差は無いようで、どうやら天候と空気の透明度の影響のほうが大きいようだ。(デジタルカメラではF16は絞り過ぎだと思う。)まずまずの撮影ができた。

 次に本栖湖に移動。湖面を照らす朝日の撮影だが、あまりにも太陽の光が強過ぎ、かつ、気温が高かった影響で富士山は薄い霞が巻き始めてしまった。さらに太陽と富士山の位置が近過ぎてゴーストがカットできない。これはいまいちの画像になってしまう。


    湖面に輝く朝日

 ゲストのお二人が前日宿泊したホテルで朝食を準備して持ってきてくださり、本栖湖展望台の休憩所で朝食となる。真冬とは思えない暖かな日で、富士山を眺めながら朝食とは贅沢なひと時だ。
 そして精進湖に移動する。今年の精進湖は湖面が真っ白に凍りついている。ちょうど富士山の真上あたりに太陽が昇って来ていたが、ここも霞とゴーストに阻まれ、あまり鮮明な画像とはならず。ゲスト2人と運転手さんを交え、4人で記念撮影する。


    輝く氷の湖面


    飯田先生、小松崎先生、運転手さん、そしてヨッシ-(私)

 時間はまだ9時半だったが、写真家栗林先生のお店「写ば写ば」に立ち寄ると既に開店していた。コーヒーをいただきながら写真談義と情報をいただく。午後からは曇りの予報なので、雲の様子を見ながら山中湖湖畔からのダイヤモンド富士か二十曲峠からの夕景を狙うことにする。
 ゆっくり休んだ後、今度はPLフィルターを効かせて青空の富士山撮影目的で朝霧高原ふもとっぱらに向かう。ちょうど良い具合に富士山中腹に雲が巻いて来ていた。しかし、空気の霞があり、さらに風が出始めて池に映る富士山を狙っていたが水面が揺れて富士山が映らない。池の端のところでなんとかダブル富士を撮影した。


    ふもとっぱらの池と富士山  水面が風で揺れる。


    池の端で撮影したダブル富士山  池の縁で隠された向こう側にはキャンピングカーが2台止まっており、三脚を低く構えてこれをカット。

 精進湖からの移動途中で良さそうな場所があったので再び精進湖に戻って撮影するが、やはり霞が影響してすっきりとした富士山にはなってくれなかった。時間は11時半、12時半に山中湖を見下ろす丘に立つホテルマウント富士で昼食を予約してあるとの事だったので、午前の撮影はここまでとし、西湖、河口湖はスルーして山中湖に向かう。富士吉田あたりから横目で見る富士山は大きく雄大に見え、大沢崩れが見えなくなった吉田側の富士山はまさしく端正な「山梨の富士」という感じがした。マウント富士に到着した頃にはだいぶ富士山には雲が巻き始めていた。

 ゆっくり昼食をとり、2時過ぎにマウント富士の展望ガーデンから富士山を見上げると、既に裾野の半分以上は雲に覆われてしまっていた。まずいことに、上空にも雲が出始めてしまう。山中湖湖畔の夕暮れダイヤモンド富士は4時半ごろだが、これではとても天候が持ちそうに無い。そこで、より高度の高い二十曲峠に行くことにする。富士の裾野に日が沈むのが5時20分ごろ、まだ3時半なので2時間ほど時間がある。かろうじて霞んだ富士山が見えてはいるが、果たしてどうなるものか??待っている間にまだ歩いていない杓子山側の登山道を手ぶらで登ってみた。撮影者と思われる登山靴では無い人の足跡が一人分ついている。標高差で50mほど登ったところの小ピークは草むらの間から富士山が望める場所があり、下刈りされていた。混雑する二十曲峠の撮影地よりもこちらのほうが人が避けられるかもしれない。

 4時半まで待ったがさらに雲は増え、富士山は全く見えなくなってしまう。二十曲峠では結局1枚も撮影すること無く撤退。あまり満足な撮影会とはならなかったが、自然が相手なだけにこればかりは仕方無いのかもしれない。昼食の前に、トップライトで輝いていた富士山の斜面を撮影しておけば良かったと反省した。
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